(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の半導体装置の各々の前記出力部は、自己の異常検出部によって異常が検出された場合および異常が検出されない場合のいずれか一方の場合に前記自己のクロック信号および隣接する上位側の半導体装置から供給された通信信号を論理和演算した信号を自己の通信信号として下位側の半導体装置に供給する
請求項5に記載の管理システム。
前記複数の半導体装置のうち最下位の半導体装置の出力部から出力された通信信号に基づいて、前記複数の半導体装置のうち異常を検出した半導体装置を特定する制御装置を更に含む
請求項5または請求項6に記載の管理システム。
前記複数の半導体装置の各々の前記クロック生成部は、基本クロック信号を、前記複数の半導体装置のうちの自己の半導体装置以外の他の半導体装置の各々とは異なる分周比で分周した信号を自己のクロック信号として生成する
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の管理システム。
前記複数の半導体装置の各々は、前記複数の半導体装置のうちの自己の半導体装置以外の他の半導体装置に対する自己の接続位置に応じた自己のアドレスを生成するアドレス生成部を含み、
前記複数の半導体装置の各々の前記クロック生成部は、前記基本クロック信号を、前記自己のアドレスに応じて定められる分周比で分周した信号を自己のクロック信号として生成する
請求項9に記載の管理システム。
各々が自己の異常を検出する機能を備え、隣接する他の半導体装置と通信可能に接続された複数の半導体装置を含む管理システムにおいて異常を検出した半導体装置を特定する特定方法であって、
前記複数の半導体装置の各々において、前記複数の半導体装置のうちの自己の半導体装置以外の他の半導体装置の各々とは異なる周波数のクロック信号を自己のクロック信号として生成させ、自己の半導体装置に異常が検出された場合および異常が検出されない場合のいずれか一方の場合に前記自己のクロック信号と隣接する上位側の半導体装置から供給された通信信号とを論理演算した信号を自己の通信信号として下位側の半導体装置に供給させ、自己の半導体装置に異常が検出された場合および異常が検出されない場合のいずれか他方の場合に隣接する上位側の半導体装置から供給された通信信号を自己の通信信号として隣接する下位側の半導体装置に供給させ、
前記複数の半導体装置のうち最下位の半導体装置から供給された通信信号に基づいて異常を検出した半導体装置を特定する
特定方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る管理システム100の構成を示すブロック図である。管理システム100は、通信線5を介して直列接続(多段接続)された複数の電池監視IC(Integrated Circuit)20a、20b、20c、20dと、入力端が電池監視IC20a、20b、20c、20dにそれぞれ接続され、出力端が共通の出力線40に接続されたフォトカプラ30a、30b、30c、30dと、出力線40に接続された制御装置50を含んで構成されている。
【0018】
電池監視IC20a〜20dは、組電池10を構成する複数の電池セル11の状態を監視する機能を有する半導体装置である。
図1には、16個の電池セル11を有する組電池10に対して、4つの電池監視IC20a〜20dを配備した構成が例示されている。すなわち、各電池監視IC20a〜20dは、それぞれ、4つの電池セル11の監視を担う。なお、各電池監視IC20a〜20dが監視する電池セルの数および管理システム100に配備される電池監視ICの数は、適宜変更することが可能である。
【0019】
電池監視IC20a〜20dは、通信線5を介して直列接続されており、隣接する上位側の電池監視ICおよび下位側の電池監視ICとの間で情報通信を行うことが可能である。なお、上位側とは通信線5を介して行われる通信の上流側を意味し、下位側とは、通信線5を介して行われる通信の下流側を意味する。本実施形態では、電池監視IC20aを最上位とし、電池監視IC20dを最下位とする。すなわち、本実施形態において、通信線5を介した通信によって伝達される情報は、電池監視IC20a、20b、20c、20dの順で供給される。電池監視IC20a〜20dは、通信入力端子21および通信出力端子22を有する。上位側の電池監視ICから通信線5を介して供給される情報は通信入力端子21から入力され、自身が発する情報は、通信出力端子22から出力されて下位側の電池監視ICに供給される。
【0020】
電池監視IC20a〜20dは、それぞれ、自身が監視する電池セル11における異常および自身の内部回路の異常を検出する機能(すなわち、自己診断機能)を有する。また、電池監視IC20a〜20dは、それぞれ、電源供給端子23および出力端子24を有し、これらの端子に絶縁素子であるフォトカプラ30a〜30dの入力端が接続されている。
【0021】
フォトカプラ30a〜30dは、それぞれ、入力段に設けられた発光ダイオードおよび出力段に設けられたフォトトランジスタを含む。発光ダイオードへの電流供給により該発光ダイオードが発光することによりフォトトランジスタがオン状態となる。電池監視IC20a〜20dは、電池セル11および内部回路における異常の検出結果に応じて対応するフォトカプラ30a〜30dを駆動または駆動停止させる。その詳細については後述する。
【0022】
フォトカプラ30a〜30dの出力段のフォトトランジスタは、それぞれ、共通の出力線40に接続されている。出力線40には、抵抗素子41を介して電源電圧Vddが印加されている。出力線40には、フォトカプラ30a〜30dの駆動状態に応じた信号波形が現れる。制御装置50は、出力線40に接続されており、出力線40に現れる信号波形に基づいて、電池監視IC20a〜20dのうち異常を検出したものを特定する。制御装置50は、出力線40に現れる信号波形に基づいて特定した、異常を検出した電池監視ICを示す情報を上位システム(図示せず)に通知する。電池監視IC20a〜20dを、フォトカプラ30a〜30dを介して出力線40に接続することで、高電圧系の電池監視IC20a〜20dと、低電圧系の制御装置50とを電気的に分離することが可能となる。
【0023】
図2は、電池監視IC20aの内部構成を示すブロック図である。なお、他の電池監視IC20b〜20dも電池監視IC20aと同じ構成を有する。
【0024】
電圧測定部201は、監視対象の電池セル11のセル電圧を測定し、セル電圧の測定結果を制御部203に供給する。異常検出部202は、当該電池監視ICの内部回路における異常を検出し、検出結果を制御部203に供給する。
【0025】
クロック生成部204は、共通の出力線40に接続された他の電池監視ICに対する当該電池監視ICの接続位置に応じて定まる周波数のクロック信号を生成する。より具体的には、電池監視IC20a〜20dの各々において、クロック生成部204は、他の電池監視ICとは異なる分周比で、基本クロック信号を分周した信号を自己のクロック信号として生成する。
【0026】
図3は、電池監視IC20a〜20dのクロック生成部204において生成されるクロック信号のタイムチャートである。最上位の電池監視IC20aのクロック生成部204は、基本クロック信号CLK_sを分周比1で分周した信号を自己のクロック信号CLK_aとして生成する。すなわち、クロック信号CLK_aの周波数は、基本クロック信号CLK_sの周波数と同じである。
【0027】
電池監視IC20bのクロック生成部204は、基本クロック信号CLK_sを分周比2で分周した信号を自己のクロック信号CLK_bとして生成する。すなわち、クロック信号CLK_bの周波数は、クロック信号CLK_aの周波数の2分の1である。
【0028】
電池監視IC20cのクロック生成部204は、基本クロック信号CLK_sを分周比4で分周した信号を自己のクロック信号CLK_cとして生成する。すなわち、クロック信号CLK_cの周波数は、クロック信号CLK_aの周波数の4分の1である。
【0029】
電池監視IC20dのクロック生成部204は、基本クロック信号CLK_sを分周比8で分周したものを自己のクロック信号CLK_dとして生成する。すなわち、クロック信号CLK_dの周波数は、クロック信号CLK_aの周波数の8分の1である。
【0030】
基本クロック信号CLK_sは、電池監視IC20a〜20dが有する通信機能により各電池監視IC20a〜20dにおいて共有される。基本クロック信号CLK_sは、例えば、最上位の電池監視IC20aにおいて生成される。なお、基本クロック信号CLK_sは、外部から電池監視IC20aに供給されてもよい。電池監視IC20aのクロック生成部204は、基本クロック信号CLK_sに基づいて自己のクロック信号CLK_aを生成する。電池監視IC20aの制御部203は、基本クロック信号CLK_sを、通信部209および通信出力端子22を介して出力し、これを隣接する下位側の電池監視IC20bに供給する。
【0031】
電池監視IC20bの制御部203は、通信入力端子21および通信部208を介して基本クロック信号CLK_sを受信するとともに、通信部209および通信出力端子22を介して基本クロック信号CLK_sを出力し、これを隣接する下位側の電池監視IC20cに供給する。電池監視IC20bのクロック生成部204は、受信した基本クロック信号CLK_sに基づいて自己のクロック信号CLK_bを生成する。電池監視IC20c、20dも同様の要領で、基本クロック信号CLK_sの送受信を行い、自己のクロック信号CLK_c、CLK_dを生成する。電池監視IC20a〜20dのクロック生成部204は、それぞれ、基本クロック信号CLK_sに同期したクロック信号CLK_a〜CLK_dを生成する。
【0032】
また、電池監視IC20a〜20dは、通信機能を用いて、共通の出力線40に接続された他の電池監視ICに対する自己の接続位置に応じた自己のアドレスを生成し、これを自身に割り当てる機能を有する。例えば、各電池監視IC20a〜20dの制御部203は、上位の電池監視ICから順に自己のアドレス番号を生成し、これを隣接する下位の電池監視ICに通知する。各電池監視ICは、上位の電池監視ICから通知されたアドレス番号を1つインクリメントした番号を自己のアドレス番号として生成してもよい。
【0033】
電池監視IC20a〜20dのクロック生成部204は、当該電池監視ICに割り当てられたアドレスに応じて分周比を定める。すなわち、電池監視IC20a〜20dのクロック生成部204は、それぞれ、他の電池監視ICに対する当該電池監視ICの接続位置に応じ定まる分周比で基本クロック信号CLK_sを分周した信号を、自己のクロック信号CLK_a〜CLK_dとして生成する。
【0034】
出力部205は、ドレインが出力端子24に接続され、ソースがグランドラインに接続され、ゲートがスイッチ207に接続されたnチャネル型のトランジスタ206を有する。スイッチ207は、制御部203から供給される制御信号に基づいてトランジスタ206のゲートの接続先を切り替える。トランジスタ206のゲートは、スイッチ207によって、クロック生成部204の出力端およびグランドラインのいずれか一方に接続される。
【0035】
制御部203は、上記のように基本クロック信号CLK_sを中継する機能、当該電池監視ICの接続位置に応じて自己のアドレスを生成して自身に割り当てる機能を有する。また、制御部203は、電圧測定部201において測定されたセル電圧に基づいて電池セル11の異常を検出する。
【0036】
制御部203は、電池セル11の異常を検出せず、且つ異常検出部202から当該電池監視ICの内部回路に異常が生じていることが通知されない場合にトランジスタ206のゲートをクロック生成部204の出力端に接続するようにスイッチ207を制御する。一方、制御部203は、電池セル11の異常を検出した場合または異常検出部202から当該電池監視ICの内部回路に異常が生じていることが通知された場合にトランジスタ206のゲートをグランドラインに接続するようにスイッチ207を制御する。
【0037】
電池監視IC20a〜20dの各々において、トランジスタ206は、ゲートがクロック生成部204の出力端に接続されることで自己のクロック信号CLK_a〜CLK_dの周波数でオンオフする。一方、トランジスタ206は、ゲートがグランドラインに接続されることでオフ状態となる。
【0038】
電池監視IC20aの電源供給端子23には抵抗素子31を介してフォトカプラ30aの入力段の発光ダイオードのアノードが接続され、電池監視IC20aの出力端子24には該発光ダイオードのカソードが接続されている。フォトカプラ30aの出力段のフォトトランジスタは、トランジスタ206が自己のクロック信号CLK_aの周波数でオンオフすることによりトランジスタ206と同じ周波数でオンオフし、トランジスタ206がオフ状態となることによりオフ状態となる。他の電池監視IC20b〜20dに接続されたフォトカプラ30b〜30dについても同様である。
【0039】
以下に、管理システム100の動作について説明する。
【0040】
図4(a)は、電池監視IC20a〜20dのいずれもが、電池セル11の異常を検出せず且つ内部回路の異常を検出しない場合のフォトカプラ30a〜30dの動作および出力線40に現れる信号波形を示すタイムチャートである。
【0041】
図4(b)は、電池監視IC20aのみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合のフォトカプラ30a〜30dの動作および出力線40に現れる信号波形を示すタイムチャートである。
【0042】
図4(c)は、電池監視IC20bのみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合のフォトカプラ30a〜30dの動作および出力線40に現れる信号波形を示すタイムチャートである。
【0043】
図5(a)は、電池監視IC20cのみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合のフォトカプラ30a〜30dの動作および出力線40に現れる信号波形を示すタイムチャートである。
【0044】
図5(b)は、電池監視IC20dのみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合のフォトカプラ30a〜30dの動作および出力線40に現れる信号波形を示すタイムチャートである。
【0045】
なお、
図4および
図5において、電池監視IC20a〜20dを、それぞれIC1〜IC4と表記し、フォトカプラ30a〜30dを、それぞれPC1〜PC4と表記している。また、フォトカプラ30a〜30dのオン状態をハイレベル、オフ状態をローベルに対応させている。
【0046】
電池監視IC20a〜20dのいずれもが電池セル11の異常を検出せず且つ内部回路の異常を検出しない場合(
図4(a)に示す場合)には、電池監視IC20a〜20dの各々において、トランジスタ206のゲートは、クロック生成部204の出力端に接続される。これにより、電池監視IC20a〜20dの各々において、トランジスタ206は、自己のクロック信号CLK_a〜CLK_dの周波数でオンオフする。これに伴ってフォトカプラ30a〜30d(PC1〜PC4)は、それぞれ、クロック信号CLK_a〜CLK_dの周波数でオンオフする。すなわち、フォトカプラ30b(PC2)は、フォトカプラ30a(PC1)がオンオフする周波数の2分の1の周波数でオンオフし、フォトカプラ30c(PC3)は、フォトカプラ30a(PC1)がオンオフする周波数の4分の1の周波数でオンオフし、フォトカプラ30d(PC4)は、フォトカプラ30a(PC1)がオンオフする周波数の8分の1の周波数でオンオフする。出力線40には、フォトカプラ30a(PC1)〜30d(PC4)のオンオフの状態に応じた信号波形が現れる。
【0047】
電池監視IC20a(IC1)のみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合(
図4(b)に示す場合)には、電池監視IC20a(IC1)のトランジスタ206のゲートは、グランドラインに接続される。これにより、電池監視IC20a(IC1)のトランジスタ206はオフ状態となり、これに伴ってフォトカプラ30a(PC1)はオフ状態となる。他のフォトカプラ30b(PC2)、30c(PC3)、30d(PC4)は、それぞれ、クロック信号CLK_b、CLK_c、CLK_dの周波数でオンオフする。出力線40には、フォトカプラ30a(PC1)〜30d(PC4)のオンオフの状態に応じた信号波形が現れる。
【0048】
電池監視IC20b(IC2)のみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合(
図4(c)に示す場合)には、電池監視IC20b(IC2)のトランジスタ206のゲートは、グランドラインに接続される。これにより、電池監視IC20b(IC2)のトランジスタ206はオフ状態となり、これに伴ってフォトカプラ30b(PC2)はオフ状態となる。他のフォトカプラ30a(PC1)、30c(PC3)、30d(PC4)は、それぞれ、クロック信号CLK_a、CLK_c、CLK_dの周波数でオンオフする。出力線40には、フォトカプラ30a(PC1)〜30d(PC4)のオンオフの状態に応じた信号波形が現れる。
【0049】
電池監視IC20c(IC3)のみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合(
図5(a)に示す場合)には、電池監視IC20c(IC3)のトランジスタ206のゲートは、グランドラインに接続される。これにより、電池監視IC20c(IC3)のトランジスタ206はオフ状態となり、これに伴ってフォトカプラ30c(PC3)はオフ状態となる。他のフォトカプラ30a(PC1)、30b(PC2)、30d(PC4)は、それぞれ、クロック信号CLK_a、CLK_b、CLK_dの周波数でオンオフする。出力線40には、フォトカプラ30a(PC1)〜30d(PC4)のオンオフの状態に応じた信号波形が現れる。
【0050】
電池監視IC20d(IC4)のみが、自身が監視する電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合(
図5(b)に示す場合)には、電池監視IC20d(IC4)のトランジスタ206のゲートは、グランドラインに接続される。これにより、電池監視IC20d(IC4)のトランジスタ206はオフ状態となり、これに伴ってフォトカプラ30d(PC4)はオフ状態となる。他のフォトカプラ30a(PC1)、30b(PC2)、30c(PC3)は、それぞれ、クロック信号CLK_a、CLK_b、CLK_cの周波数でオンオフする。出力線40には、フォトカプラ30a(PC1)〜30d(PC4)のオンオフの状態に応じた信号波形が現れる。
【0051】
出力線40に現れる信号波形は、全てのフォトカプラ30a〜30dがオフ状態となるタイミングでハイレベルを呈し、フォトカプラ30a〜30dの少なくとも1つがオン状態となるタイミングでローレベルを呈する。すなわち、出力線40に現れる信号波形は、フォトカプラ30a〜30dのオンオフ状態の否定論理和(NOR)を示している。従って、出力線40に現れる信号波形は、いずれのフォトカプラがオフ状態であるかに応じて変化する。換言すれば、出力線40に現れる信号波形は、いずれの電池監視ICが異常を検出したかによって変化する。
【0052】
出力線40に接続された制御装置50は、出力線40に現れる信号波形に基づいて異常を検出した電池監視ICを特定する。なお、
図4および
図5には、1つの電池監視ICのみが異常を検出した場合を例示したが、上記の手法によれば、2つ以上の電池監視ICが異常を検出した場合でも、出力線40に現れる信号波形に基づいて、異常を検出した2つ以上の電池監視ICを特定することも可能である。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る管理システム100は、絶縁素子としてのフォトカプラ30a〜30dを介して共通の出力線40に接続された複数の電池監視IC20a〜20dを含む。電池監視IC20a〜20dは、それぞれ、基本クロック信号CLK_sを他の電池監視ICの各々とは異なる分周比で分周した信号を自己のクロック信号CLK_a〜CLK_dとして生成するクロック生成部204を有する。また、電池監視IC20a〜20dは、異常を検出しない場合に自己のクロック信号CLK_a〜CLK_dの周波数で対応するフォトカプラ30a〜30dをオンオフさせ、異常を検出した場合に対応するフォトカプラ30a〜30dをオフさせるトランジスタ206を備えた出力部205を有する。上記の構成によれば、出力線40に現れる信号波形は、いずれの電池監視ICが異常を検出したかによって変化する。
【0054】
すなわち、本発明の実施形態に係る電池監視IC20a〜20dおよびこれらを備えた管理システム100によれば、複数の電池監視IC20a〜20dのうち異常を検出した電池監視ICの特定が可能となる。
【0055】
なお、本実施形態では、電池監視IC20a〜20dが異常を検出しない場合に、フォトカプラ30a〜30bをクロック信号CLK_a〜CLK_dの周波数でオンオフさせ、電池監視IC20a〜20dが異常を検出した場合に、フォトカプラ30a〜30bをオフ状態とする場合を例示したが、この態様に限定されるものではない。すなわち、電池監視IC20a〜20dが異常を検出しない場合に、フォトカプラ30a〜30bをオフ状態とし、電池監視IC20a〜20dが異常を検出した場合にフォトカプラ30a〜30bをクロック信号CLK_a〜CLK_dの周波数でオンオフさせてもよい。この場合においても、出力線40に現れる信号波形から、異常を検出した電池監視ICを特定することが可能である。
【0056】
また、本実施形態では、絶縁素子としてフォトカプラ30a〜30bを用いる場合を例示したが、絶縁素子としてトランスを用いてもよい。
【0057】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る管理システム101の構成を示すブロック図である。第2の実施形態に係る管理システム101は、上記した第1の実施形態に係る管理システム100を構成するフォトカプラ30a〜30dおよび出力線40を有しない。
【0058】
管理システム101を構成する電池監視IC20a〜20dは、それぞれ、通信入力端子21および通信出力端子22とは別の通信入力端子25および通信出力端子26を有する。上位の電池監視ICの通信出力端子26は、通信線6を介して隣接する下位側の電池監視ICの通信入力端子25に接続されている。なお、本実施形態において、最上位の電池監視IC20aの通信入力端子25はグランドラインに接続されている。通信線6には、各電池監視ICにおける異常検出の有無を示す情報を含む通信信号が伝送される。
【0059】
電池監視IC20b〜20dは、それぞれ、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出しない場合には、通信線6を介して上位の電池監視ICから供給された通信信号と、自己のクロック信号CLK_b〜CLK_dとを論理演算した信号を、自己の通信信号として通信出力端子26から出力し、これを下位の電池監視ICに供給する。一方、電池監視IC20b〜20dは、それぞれ、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合には、通信線6を介して上位の電池監視ICから供給された通信信号を自己の通信信号として通信出力端子26から出力し、これを下位の電池監視ICに供給する。
【0060】
最上位の電池監視IC20aは、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出しない場合には、自己のクロック信号CLK_aを通信出力端子26から出力し、これを下位の電池監視IC20bに供給する。一方、電池監視IC20aは、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合には、ローレベル(グランドレベル)の信号を自己の通信信号として出力する。
【0061】
最下位の電池監視IC20dの通信出力端子26には、制御装置50が接続されている。制御装置50は、最下位の電池監視IC20dの通信出力端子26から出力される通信信号の信号波形に基づいて、電池監視IC20a〜20dのうち異常を検出したものを特定する。制御装置50は、特定した異常を検出した電池監視ICを上位システム(図示せず)に通知する。なお、本実施形態では、制御装置50は、組電池10の最も低電位側に配置されている最下位の電池監視20dに接続されており、制御装置50に高電圧が印加されることがないので、フォトカプラ等の絶縁素子が不要である。
【0062】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る電池監視IC20aの内部構成を示すブロック図である。なお、他の電池監視IC20b〜20dも電池監視IC20aと同じ構成を有する。第2の実施形態に係る電池監視IC20aは、出力部205の構成が上記した第1の実施形態に係る電池監視と異なる。第2の実施形態に係る電池監視IC20aの出力部205は、論理和演算(OR)回路210aを含んで構成されている。
【0063】
論理和演算回路210aは、一方の入力端が通信入力端子25に接続され、他方の入力端がスイッチ207に接続され、出力端が通信出力端子26に接続されている。論理和演算回路210aは、一方の入力端に入力される信号と他方の入力端に入力される信号の論理和を出力端から出力する。
【0064】
制御部203は、電池セル11の異常を検出せず、且つ異常検出部202から当該電池監視ICの内部回路に異常が生じていることが通知されない場合に論理和演算回路210aの一方の入力端をクロック生成部204の出力端に接続するようにスイッチ207を制御する。一方、制御部203は、電池セル11の異常を検出した場合または異常検出部202から当該電池監視ICの内部回路に異常が生じていることが通知された場合に論理和演算回路210aの一方の入力端をグランドラインに接続するようにスイッチ207を制御する。
【0065】
電池監視IC20a〜20dの各々において、クロック生成部204は、他の電池監視ICのクロック生成部204において生成されるクロック信号とは異なる分周比で基本クロック信号を分周した信号を自己のクロック信号として生成する。この点は、上記した第1の実施形態に係る電池監視IC20a〜20dと同様である。
【0066】
図8は、電池監視IC20a〜20dにそれぞれ設けられた論理和演算回路210a〜210dの接続形態を示す図である。最上位の電池監視IC20aの論理和演算回路210aは一方の入力端がグランドラインに接続され、他方の入力端がスイッチ207に接続され、出力端が通信線6を介して下位の論理和演算回路210bの一方の入力端に接続されている。論理和演算回路210bは、他方の入力端がスイッチ207に接続され、出力端が通信線6を介して下位の論理和演算回路210cの一方の入力端に接続されている。論理和演算回路210cは、他方の入力端がスイッチ207に接続され、出力端が通信線6を介して下位の論理和演算回路210dの一方の入力端に接続されている。論理和演算回路210dは、他方の入力端がスイッチ207に接続され、出力端が通信線6を介して制御装置50に接続されている。
【0067】
電池監視IC20aにおいて、電池セル11の異常が検出されず、且つ当該電池監視IC20aの内部回路に異常が検出されない場合には、スイッチ207は、クロック生成部204の出力端に接続される。この場合、論理和演算回路210aは、クロック生成部204から出力された自己のクロック信号CLK_aと、グランドラインの電位(ローレベル)の論理和(すなわち、クロック信号CLK_aそのもの)を自己の通信信号として出力し、これを下位の論理和演算回路210bに供給する。一方、電池監視IC20aにおいて、電池セル11の異常または当該電池監視IC20aの内部回路の異常が検出された場合には、スイッチ207は、グランドラインに接続される。この場合、論理和演算回路210aは、ローレベル信号を自己の通信信号として出力し、これを下位の論理和演算回路210bに供給する。
【0068】
電池監視IC20bにおいて、電池セル11の異常が検出されず、且つ当該電池監視IC20bの内部回路に異常が検出されない場合には、スイッチ207は、クロック生成部204の出力端に接続される。この場合、論理和演算回路210bは、クロック生成部204から出力された自己のクロック信号CLK_bと、上位の論理和演算回路210aから供給された通信信号の論理和を自己の通信信号として出力し、これを下位の論理和演算回路210cに供給する。一方、電池監視IC20bにおいて、電池セル11の異常または当該電池監視IC20bの内部回路の異常が検出された場合には、スイッチ207は、グランドラインに接続される。この場合、論理和演算回路210bは、グランドラインの電位(ローレベル)と、上位の論理和演算回路210aから供給された通信信号の論理和(すなわち、上位の論理和演算回路210aから供給された通信信号そのもの)を自己の通信信号として出力し、これを下位の論理和演算回路210cに供給する。
【0069】
電池監視IC20cにおいて、電池セル11の異常が検出されず、且つ当該電池監視IC20cの内部回路に異常が検出されない場合には、スイッチ207は、クロック生成部204の出力端に接続される。この場合、論理和演算回路210cは、クロック生成部204から出力された自己のクロック信号CLK_cと、上位の論理和演算回路210bから供給された通信信号の論理和を自己の通信信号として出力し、これを下位の論理和演算回路210dに供給する。一方、電池監視IC20cにおいて、電池セル11の異常または当該電池監視IC20cの内部回路の異常が検出された場合には、スイッチ207は、グランドラインに接続される。この場合、論理和演算回路210cは、グランドラインの電位(ローレベル)と、上位の論理和演算回路210bから供給された通信信号の論理和(すなわち、上位の論理和演算回路210bから供給された通信信号そのもの)を自己の通信信号として出力し、これを下位の論理和演算回路210dに供給する。
【0070】
電池監視IC20dにおいて、電池セル11の異常が検出されず、且つ当該電池監視IC20dの内部回路に異常が検出されない場合には、スイッチ207は、クロック生成部204の出力端に接続される。この場合、論理和演算回路210dは、クロック生成部204から出力された自己のクロック信号CLK_dと、上位の論理和演算回路210cから供給された通信信号の論理和を自己の通信信号として出力し、これを制御装置50に供給する。一方、電池監視IC20dにおいて、電池セル11の異常または当該電池監視IC20dの内部回路の異常が検出された場合には、スイッチ207は、グランドラインに接続される。この場合、論理和演算回路210dは、グランドラインの電位(ローレベル)と、上位の論理和演算回路210cから供給された通信信号の論理和(すなわち、上位の論理和演算回路210cから供給された通信信号そのもの)を自己の通信信号として出力し、これを制御装置50に供給する。
【0071】
図9(a)は、電池監視IC20a〜20dのいずれもが、電池セル11の異常を検出せず且つ内部回路の異常を検出しない場合の論理和演算回路210a〜210dの入出力信号のタイムチャートである。
【0072】
図9(b)は、電池監視IC20aのみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合の論理和演算回路210a〜210dの入出力信号のタイムチャートである。
【0073】
図10(a)は、電池監視IC20bのみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合の論理和演算回路210a〜210dの入出力信号のタイムチャートである。
【0074】
図10(b)は、電池監視IC20cのみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合の論理和演算回路210a〜210dの入出力信号のタイムチャートである。
【0075】
図11は、電池監視IC20dのみが、電池セル11の異常または内部回路の異常を検出した場合の論理和演算回路210a〜210dの入出力信号のタイムチャートである。
【0076】
なお、
図9〜
図11において、論理和演算回路210a〜210dを、それぞれOR1〜OR4と表記している。
図9〜
図11を比較して明らかなように、最下位の論理和演算回路210d(OR4)から出力される通信信号の信号波形は、いずれの電池監視ICが異常を検出したかによって変化する。
【0077】
制御装置50は、最下位の論理和演算回路210d(OR4)から出力される通信信号の信号波形に基づいて異常を検出した電池監視ICを特定する。なお、
図9〜
図11には、1つの電池監視ICのみが異常を検出した場合を例示したが、上記の手法によれば、2つ以上の電池監視ICが異常を検出した場合でも、最下位の論理和演算回路210dから出力される通信信号の信号波形に基づいて、異常を検出した2つ以上の電池監視ICを特定することも可能である。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る管理システム101は、各々が自己の異常を検出する機能を備え、隣接する他の半導体装置と通信可能に直列接続された複数の電池監視IC20a〜20dを含む。電池監視IC20a〜20dは、それぞれ、基本クロック信号CLK_sを、他の電池監視ICの各々とは異なる分周比で分周した信号を自己のクロック信号CLK_a〜CLK_dとして生成するクロック生成部204を含む。また電池監視IC20a〜20dは、それぞれ、異常を検出しない場合に自己のクロック信号CLK_a〜CLK_dと隣接する上位側の電池監視ICから供給された通信信号とを論理演算した信号を自己の通信信号として下位側の電池監視ICに供給し、異常を検出した場合に隣接する上位側の電池監視ICから供給された通信信号を自己の通信信号として隣接する下位側の電池監視ICに供給する出力部205を有する。上記の構成によれば、最下位の電池監視IC20dの出力部205から出力される通信信号の信号波形は、いずれの電池監視ICが異常を検出したかによって変化する。
【0079】
すなわち、本発明の第2の実施形態に係る電池監視IC20a〜20dおよびこれらを備えた管理システム101によれば、複数の電池監視IC20a〜20dのうち異常を検出した電池監視ICの特定が可能となる。
【0080】
また、第2の実施形態に係る管理システム101によれば、第1の実施形態に係る管理システム100において使用されているフォトカプラ等の絶縁素子、出力線40および抵抗素子41が不要となり、低コスト化を図ることが可能となる。
【0081】
なお、本実施形態では、電池監視IC20a〜20dが異常を検出しない場合に、論理和演算回路210a〜210dの一方の入力端にクロック信号CLK_a〜CLK_dを入力し、電池監視IC20a〜20dが異常を検出した場合に、論理和演算回路210a〜210dの一方の入力端にローレベル信号を入力する場合を例示したが、この態様に限定されるものではない。すなわち、電池監視IC20a〜20dが異常を検出しない場合に、論理和演算回路210a〜210dの一方の入力端にローレベル信号を入力し、電池監視IC20a〜20dが異常を検出した場合に、論理和演算回路210a〜210dの一方の入力端にクロック信号CLK_a〜CLK_dを入力してもよい。この場合においても、最下位の論理和演算回路210dから出力される通信信号の信号波形に基づいて、異常を検出した電池監視ICを特定することが可能である。