(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、前記光検出部で検出された前記漏れ光の光量が予め定められた基準値よりも大きい場合に前記光音響波発生部が異常であると判定する請求項3または4に記載の光音響計測装置。
前記主光源と光学的に接続された第1の光入力部と、前記副光源と光学的に接続された第2の光入力部と、1つの光出力部とを備えた光路結合部材、及び前記導光部材が接続され、前記光路結合部材を介して該導光部材が前記主光源及び前記副光源と光学的に結合される光結合部を備えた請求項1から8のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
前記副光源接続検知部による前記導光部材と前記副光源用光結合部との接続の検知をモード切替スイッチとして、前記異常検出モードを開始する請求項13または14に記載の光音響計測装置。
前記接続検知部による前記導光部材と前記光結合部との接続の検知をモード切替スイッチとして、前記異常検出モードを開始する請求項16または請求項17に記載の光音響計測装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1の構成において、光ファイバ等の導光部材が破損した場合、あるいは導光部材と光吸収体との接続が外れた場合には、挿入物の先端から光音響波を発生させるための光が外部に漏れ出ることとなる。挿入物から漏れ光による術者や被検者への無用な曝露は、好ましくない。また、導光部材と光吸収体との接続のズレや光吸収体の一部欠落などが生じると、光音響波の発生位置にずれが生じたり、光音響波の信号強度が低下したりするために、被検体内における挿入物の先端位置を正確に検出することができなくなる恐れがある。なお、導光部材の一部断線などの理由で導光部材の先端まで励起光が十分に到達しない場合には、十分な光音響波を発生させることができないために、光音響波の発生位置を検出することができず、やはり、挿入物の先端位置を正確に検出することができなくなる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、導光部材及び光吸収体からなる光音響波発生部の不良を検出可能とした光音響計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光音響計測装置は、パルスレーザ光を出射する主光源、
主光源から出射されるパルスレーザ光の波長とは異なる波長の光を出射する副光源、
主光源及び副光源と切り換え可能に接続される、基端から入射された、主光源および副光源から出射される光を先端に導光する導光部材、
少なくとも先端部が被検体内に挿入される挿入物であって、導光部材の少なくとも上記先端と、その先端に接続された、上記パルスレーザ光を吸収して光音響波を発生する光吸収体とを内包する挿入物、及び、
被検体内に挿入された挿入物の先端部から発せられる光音響波を検出する光音響波検出部を備え、
動作モードとして、副光源を駆動して、導光部材及び光吸収体からなる光音響波発生部の異常を検出する異常検出モードを有する。
【0009】
本発明の光音響計測装置においては、導光部材のうち挿入物に内包されていない部分を内包する保護部材を備え、保護部材は副光源から出射される光を透過することが好ましい。
【0010】
本発明の光音響計測装置は、挿入物の先端部からの漏れ光を検出する光検出部と、その光検出部で検出された漏れ光の光量に基づいて光音響波発生部の異常を判定する判定部とを備えていることが好ましい。
【0011】
本発明の光音響計測装置は、光検出部は、副光源から出射される光の波長域のみを透過する光学フィルタを光入射面に備えていることが好ましい。
【0012】
本発明の光音響計測装置において、判定部は、光検出部で検出された漏れ光の光量が予め定められた基準値よりも大きい場合に光音響波発生部が異常であると判定することが好ましい。
【0013】
本発明の光音響計測装置は、判定部により光音響波発生部が異常であると判定された場合に異常通知を行う異常通知部を備えることが好ましい。
【0014】
本発明の光音響計測装置においては、異常検出モードで一定時間異常が検出されない場合に、異常検出モードを終了するよう構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の光音響計測装置においては、主光源が駆動していることを示す主光源駆動通知部を備えていることが好ましい。
【0016】
本発明の光音響計測装置は、導光部材が接続され、導光部材が主光源と光学的に結合される主光源用光結合部と、導光部材が接続され、導光部材が副光源と光学的に結合される副光源用光結合部とを備えていることが好ましい。
【0017】
本発明の光音響計測装置は、導光部材と主光源用光結合部との接続を検知する主光源接続検知部を備えていることが好ましい。
【0018】
本発明の光音響計測装置においては、主光源接続検知部により上記導光部材と主光源用光結合部との接続が検知されている場合にのみ、主光源が駆動可能とされることが好ましい。すなわち、主光源接続検知部により導光部材と主光源用光結合部との接続が検知されていない場合には、主光源は駆動されないように構成されていることが好ましい。
【0019】
本発明の光音響計測装置は、主光源接続検知部により上記導光部材と主光源用光結合部との接続が検知されている場合に、その接続を外部に通知する接続通知部を備えていてもよい。
【0020】
本発明の光音響計測装置は、導光部材と副光源用光結合部との接続を検知する副光源接続検知部を備えていることが好ましい。
【0021】
本発明の光音響計測装置においては、副光源接続検知部により上記導光部材と副光源用光結合部との接続が検知されている場合にのみ、副光源が駆動可能とされることが好ましい。すなわち、副光源接続検知部により上記導光部材と副光源用光結合部との接続が検知されていない場合には、副光源は駆動されないように構成されていることが好ましい。
【0022】
本発明の光音響計測装置は、主光源と光学的に接続された第1の光入力部と副光源と光学的に接続された第2の光入力部と、1つの光出力部とを備えた光路結合部材、及び導光部材が接続され、光路結合部材を介して導光部材が主光源及び副光源と光学的に結合される光結合部を備えていてもよい。
【0023】
本発明の光音響計測装置は、上記光路結合部材及び光結合部を備えた場合、導光部材と光結合部との接続を検知する接続検知部を備えていることが好ましい。
また、接続検知部によって、導光部材と光結合部との接続が検知されている場合にのみ、主光源又は副光源が駆動可能とされることが好ましい。すなわち、接続検知部によって、導光部材と光結合部との接続が検知されていない場合には、主光源及び副光源はいずれも駆動されないように構成されていることが望ましい。
【0024】
本発明の光音響計測装置は、異常検出モードのオンとオフとを切り替えるモード切替スイッチを備えていることが好ましい。
【0025】
本発明の光音響計測装置においては、副光源接続検知部による導光部材と副光源用光結合部との接続の検知をモード切替スイッチとして、異常検出モードを開始するよう構成されていてもよい。
【0026】
あるいは、本発明の光音響計測装置においては、接続検知部による導光部材と光結合部との接続の検知をモード切替スイッチとして、異常検出モードを開始するよう構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の光音響画像生成装置は、主光源が出射するパルスレーザ光の波長とは異なる波長の光を出射する副光源を備え、動作モードとして、副光源を駆動する異常検出モードを備えているので、導光部材及び光吸収体のからなる光音響波発生部の不良を容易に確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る光音響計測装置10の構成を示すブロック図である。
本光音響計測装置10は、一例として、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する機能を有するものであり、
図1に示すように、超音波プローブ(超音波探触子)11、超音波ユニット12、レーザユニット13、画像表示部14及び挿入物の一例である穿刺針15を備えている。穿刺針15の先端近傍には光音響波を発生する光吸収体17が配置されており、光吸収体17に光を導光する光ファイバなどの長尺な導光部材16は基端がレーザユニット13と接続される。
【0031】
本光音響計測装置10は、被検体に挿入された穿刺針15の先端から発せられる光音響波をプローブ11により検出して光音響画像として画像化することにより穿刺針15の先端位置を検出可能に構成されている。導光部材16により導光された光が光吸収体17に照射され、この光吸収体17が光を吸収して光音響波を発生する。この光音響波を発生させる光としては、パルスレーザ光を用いることが一般的である。光音響発生部の不良の原因としては、導光部材16の破損、導光部材16と光吸収体17との接続のズレ、光吸収体17の一部欠落やハズレなどが、挙げられる。これらの異常が生じているときには、レーザ光を光音響波発生部18に入力すると、一部のレーザ光が外部に漏れ、術者および被検体が不要なレーザ光に曝されることとなり好ましくない。
【0032】
本光音響計測装置10においては、本光音響計測装置10は、導光部材16と光吸収体17とからなる光音響波発生部18の異常を検出するための異常検出手段を備えて、動作モードとして、光音響波発生部18の異常を検出する異常検出モードを有しており、異常が生じた光音響波発生部18が配設された穿刺針15が使用されるのを防止可能に構成されている。
【0033】
レーザユニット13は、パルスレーザ光を出射する主光源35及び主光源35から出射されるパルスレーザ光の波長とは異なる波長の光を出射する副光源45を備えている。主光源35は、光音響波を発生させるための光源であり、光音響波を計測する光音響波計測処理において用いられる。他方、副光源45は光音響波発生部18の異常の有無を検査する異常検出モードで用いられる光源である。
以下、本装置10の各要素について説明する。
【0034】
既述の通り、穿刺針15は少なくとも先端部が被検体内に挿入される挿入物の一例である。
図2は穿刺針15の断面を示す図である。穿刺針15は、例えば、ステンレス等の金属あるいは合成樹脂から形成された中空管状の針管からなる。穿刺針15は、全長に亘って管軸方向に延びる中空部15aを有している。また、穿刺針15は管軸に対して斜めにカットされた先端15bを有している。穿刺針15は、先端15bから被検体に穿刺される。
【0035】
中空部15a内には、光音響波を発生させる光が基端から入力されて先端16aに導光する長尺な導光部材16の先端16aが穿刺針先端15bの近傍に位置するように配置されている。なお、本明細書においては、長尺な導光部材16の光が入力される一端を基端、光を出射する他端を先端と称している。この穿刺針先端15bの近傍には、この導光部材16の先端16aに接続された光吸収体17が配置されている。ここで、穿刺針先端15bの近傍とは、その位置に光吸収体17が配置された場合に、穿刺作業に必要な精度で穿刺針15の先端を画像化できる光音響波を発生可能な位置であることを意味する。例えば、穿刺針15の先端から基端側へ0mm〜0.5mmの範囲内のことを指す。
【0036】
光吸収体17は、主光源から出射される光を吸収する材料からなる。主光源から出射される光の波長に応じて、紫外、可視、あるいは赤外などの特定の波長域の光を吸収する色素を樹脂に含有させて構成された光吸収体を備えればよい。例えば、主光源から出射される光が赤外光である場合、例えば黒色顔料が混合されたエポキシ樹脂、フッ素樹脂、またはポリウレタン樹脂等の合成樹脂からなり、溶融状態で導光部材16の先端16aを覆うように穿刺針15の内壁に供給された後、固化したものを用いることができる。なお、特定の波長域の光を吸収する色素としては、例えば、FEW CHEMICALS社、あるいは、QCR Solutions Corp社などにより市販されている色素を適宜用いることができる。このようにして、本例では、導光部材16の先端近傍部分はこの光吸収体17によって穿刺針15の内壁に固定されている。なお、導光部材16のその他の部分は、別の接着剤等によって適宜、穿刺針の内壁に固定されていてもよい。
【0037】
導光部材16は、例えば、光ファイバにより構成され、その基端から先端まで連続した1本の光ファイバで構成されていてもよいし、複数の光ファイバが光コネクタなどで直列に接続されて構成されていてもよい。
【0038】
導光部材16の基端がレーザユニット13の主光源35と光学的に接続されているとき、主光源35から出射されるレーザ光が導光部材16の基端から入力され、そのレーザ光が導光部材16の先端16aから出射されて光吸収体17に照射される。光吸収体17は照射されたパルスレーザ光を吸収して光音響波を生じる。
導光部材16は、穿刺針15に内包されていない部分は保護チューブなどの可撓性の保護部材19(
図3を参照。)に内包されている。なお、保護部材19は副光源から出射される光に対して透明であることが好ましく、このようにすることで、肉眼で導光部材16の破損の有無を確認しやすくなる。
【0039】
超音波プローブ11は、被検体内に挿入された挿入物(ここでは、穿刺針15)の先端部から発せられる光音響波を検出する光音響波検出部である。プローブ11は、例えば一次元的に配列された複数の超音波振動子を有している。また、プローブ11は、光音響波の検出に加えて、被検体に対する音響波(超音波)の送信、及び送信した超音波に対する反射音響波(反射超音波)の受信を行う。これにより、光音響画像データのみならず、超音波画像データを取得することができる。
【0040】
超音波ユニット12は、レーザトリガ送信部22と、超音波送信部23、信号受信部24、光音響画像生成部25、超音波画像生成部26及びこれらを制御する制御部28を備えている。
【0041】
レーザトリガ送信部22は、制御部28からの指示を受けてレーザユニット13にレーザトリガを送信する。
【0042】
超音波送信部23は、制御部28からの超音波送信トリガ信号を受信して、プローブ11から超音波を送信させる。
【0043】
信号受信部24は、プローブ11で検出された光音響波の検出信号、及び反射超音波の検出信号を受信する。信号受信部24は、制御部28からのサンプリングトリガ信号及びサンプリングクロック信号に基づいて、光音響波あるいは反射超音波のサンプリングを開始し、所定のサンプリング周期で光音響波あるいは反射超音波の検出信号をサンプリングする。
【0044】
光音響画像生成部25は、プローブ11で検出された光音響波の検出信号に基づいて光音響画像を生成する。光音響画像の生成には、例えば、位相整合加算などの画像再構成や、検波、対数変換などを含む。光音響画像生成部25は、生成された光音響画像のデータを画像表示部14に出力する。
【0045】
超音波画像生成部26は、プローブ11で検出された反射超音波の検出信号に基づいて超音波画像(反射音響波画像)を生成する。超音波画像の生成も、位相整合加算などの画像再構成や、検波、対数変換などを含む。超音波画像生成部26は、生成された超音波画像のデータを画像表示部14に出力する。
【0046】
制御部28は、超音波ユニット12内の各部を制御するものである。制御部28は、光音響画像を取得する場合は、レーザトリガ送信部22を介してレーザユニット13にレーザトリガ信号を送り、主光源35からパルスレーザ光を出射させる。そして、パルスレーザ光の照射に合わせて、信号受信部24にサンプリングトリガ信号を送り、光音響波のサンプリングを開始させる。
【0047】
また、制御部28は、超音波画像を取得する場合は、超音波送信部23に超音波送信を指示する旨の超音波送信トリガ信号を送り、超音波送信部23にプローブ11による超音波送信させる。そして、超音波送信のタイミングに合わせて信号受信部24にサンプリングトリガ信号を送り、反射超音波のサンプリングを開始させる。
【0048】
画像表示部14は、超音波ユニット12から入力されたデータに基づいて光音響画像及び超音波画像を別々に、あるいは合成された合成画像として表示する。
【0049】
レーザユニット13は、主光源35を含む主光源駆動手段として、トリガ入力部32、主光源駆動回路33、主光源用光結合部36及び主光源接続検知部37を有する。また、レーザユニット13は、後述の異常検出モードのオンオフを切り替えるモード切替スイッチ42、及び副光源45を含む副光源駆動手段として、副光源駆動回路43と、副光源用光結合部46と副光源接続検知部47を有する。さらに、レーザユニット13は、異常検知手段50として、副光源45から出力された光を検出する光検出部52、判定部54及び異常通知部56を有する。なお、光検出部52は光入射面に、副光源45から出力される光の波長域を透過する光学フィルタ52aを備えている。なお、光音響波発生部18の異常を検出する異常検出手段は、副光源駆動手段と異常検知手段50とから構成される。
【0050】
まず、主光源35を含む主光源駆動手段について説明する。
【0051】
主光源35は、例えばアレキサンドライトレーザ又はYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ等のフラッシュランプ励起Qスイッチ固体レーザであり、被検体に照射する測定光として、例えば近赤外域(700nm超)の波長を有するレーザ光を発する。主光源35は、超音波ユニット12の制御部28からのトリガ信号を受けてパルスレーザ光を出力するように構成されている。
【0052】
なお主光源35は、アレキサンドライトレーザの他、同様に近赤外波長域のレーザ光を出力可能なYAG−SHG(Yttrium Aluminum Garnet-Second harmonic generation:イットリウム・アルミニウム・ガーネット−第二次高調波発生)−OPO(Optical Parametric Oscillation:光パラメトリック発振)レーザや、Ti−Sapphire(チタン−サファイア)レーザ等を用いて構成することもできる。
なお主光源35が出射するパルスレーザ光の波長帯は近赤外域のものに限らず、可視域あるいは紫外域の波長帯であってもよい。
【0053】
また、主光源35は固体レーザ光源に限らず、その他のタイプのレーザ光源であってもよい。例えば、主光源35は、レーザダイオード光源(半導体レーザ光源)であってもよいし、レーザダイオード光源を種光源とする光増幅型レーザ光源であってもよい。
【0054】
一例として、主光源35を光増幅型レーザ光源として構成する場合には、種光としてのパルスレーザ光を発する半導体レーザ光源と、励起用レーザ光を発する励起用半導体レーザ光源と、パルスレーザ光及び励起用レーザ光を合波する合波器と、例えばEr(エルビウム)がドープされたコアを有し、上記合波器に接続されたファイバ光増幅器と、このファイバ光増幅器に接続された発振防止のための光アイソレータと、この光アイソレータから出力されたパルスレーザ光を波長が1/2の第2高調波に変換する光波長変換素子とを備えればよい。
【0055】
トリガ入力部32は超音波ユニット12からのレーザトリガ信号を受信し、主光源駆動回路33にトリガ信号を伝達する。主光源駆動回路33は、レーザトリガ信号を受信して主光源35の駆動するものであり、所望のタイミングで主光源35からレーザ光を出射させる。主光源用光結合部36は、主光源35からの光を導光部材16に入射させるための集光光学系及び光コネクタからなる。そして、主光源接続検知部37は、導光部材16が主光源用光結合部36に接続されていることを検知するものである。本光音響計測装置10において穿刺針先端部からの光音響波を取得する光音響波計測は、導光部材16が主光源用光結合部36に接続されて主光源と光学的に結合された状態(
図1において破線で示す状態)で実施される。主光源接続検知部37は、例えば、導光部材16と主光源用光結合部36との接続部61に設けられたマイクロスイッチ等の接点により接続を検知する。
【0056】
なお、導光部材16が主光源用光結合部36に接続されている場合にのみ、主光源35は駆動可能と構成されていること、すなわち、主光源用光結合部36に導光部材16が接続されていない場合には、主光源35が駆動されないように構成されていることが好ましい。本装置10においては、導光部材16と主光源用光結合部36との接続を主光源接続検知部37が検知したとき、主光源接続検知部37から超音波ユニット12に接続検知信号が送信される。超音波ユニット12は接続検知信号を受信しない限り、制御部28によるレーザトリガ信号の送信はしない。導光部材16が主光源用光結合部36に接続されていない場合には、制御部28によりレーザトリガ信号の送信が停止されるように構成されている。主光源用光結合部36に導光部材16が接続されていない状態では主光源35が駆動されないので、主光源35がレーザ光源であっても、ユーザが安全に光音響波発生部18の検査をすることができ、好ましい。
【0057】
モード切替スイッチ42は、異常検出モードのオンオフを切り替えるスイッチである。異常検出モードがオンの状態は、光検出部52が駆動され、異常検出のための一定期間の光検出の開始の指示を待機しているもしくは光検出を実行している状態である。異常検出モードがオフの状態は、光検出部52を駆動しない状態である。モード切替スイッチ42を備えた場合には、異常検出モードのオンオフをユーザが制御できるので、光音響波発生部18の検査を安全に実施することができる。なお、モード切替スイッチ42はレーザユニット13、超音波ユニット12及び超音波プローブ11のいずれに設けられていてもよく、さらに別のユニットとして設けられてもよい。モード切替スイッチ42は、ユーザ操作を受け付けて、受け付けた操作に応じて、光検出部52の検出開始及び検出停止を指示できる任意の構成を採用してよい。
【0058】
本光音響計測装置10においては、モード切替スイッチ42のオンにより、副光源駆動回路43に駆動開始のトリガ信号が送信されて、副光源駆動回路43及び光検出部52動作するよう構成されている。また、ここでは、モード切替スイッチ42は、モード通知部を兼ねており、透明部材で覆われた発光素子を備えて構成される。モード切替スイッチ42は、異常検出モードがオンの場合には点灯し、異常検出モードがオフの場合には消灯する。モード通知部を備えた場合には、ユーザが容易に動作モードを認識することができ、好ましい。なお、モード通知部は、省略しても良く、モード切替スイッチ42とは別個に設けてもよい。また、モード切替スイッチ42は、レーザユニット13、超音波ユニット12及び超音波プローブ11のいずれに設けられていてもよく、さらに別のユニットとして設けられてもよい。
【0059】
本モード切替スイッチは、ユーザが手動でオンオフする手動切替スイッチであるが、機器の接続状態、所定の時間条件などの様々な判断基準によって自動的にモード切替を行う自動切替スイッチを備えていてもよい。
手動切替スイッチとしては、例えば、画像表示部14上に表示されるメニュー画面などで異常検出モードを指定する態様であってもよい。自動切替スイッチとしては、例えば、導光部材16の副光源用光結合部46への接続検知をトリガとして異常検出モードを開始する構成が挙げられる。また、自動モード切り替えの設定としては、異常検出モードにおいて異常が検出されなかった場合には、自動的に異常検出モードを終了するように構成してもよい。但し、異常検出モードで異常が検出された場合には、ユーザの確認入力なしでは、自動的に異常検出モードを終了しないことが好ましい。
【0060】
次に、副光源45を含む副光源駆動手段について説明する。
【0061】
副光源45は、発光ダイオード、レーザダイオードなどの発光素子からなり、連続点灯もしくは点滅点灯する。副光源45から出射される光は、主光源から出射されるパルスレーザ光の波長とは異なる波長の光であればよいが、可視域(400nm〜700nm)の光が特に好ましい。可視域の光としては、白色であってもよいが、例えば緑(波長510nm〜570nm)など単色の波長帯域の光であってもよい。なお、主光源35および副光源45から出射される光が共に可視域の光である場合には、副光源45は、可視域において主光源35から出射される光とは異なる波長の光を出射するものとする。可視域において異なる波長の光とは、目視される色として区別できる光であればよく、赤色と緑色など波長域が互いに重ならない場合のみならず、白色と緑色など一方の光源から出射される光が他方の光の一部もしくは全部の波長域を含む場合であってもよい。
副光源45は、副光源駆動回路43によって点灯及び消灯が制御される。
【0062】
副光源駆動回路43は、モード切替スイッチ42による指示に従い、副光源45の点灯、消灯を制御する。副光源用光結合部46は、副光源45からの光を導光部材16に入射させるための集光光学系及び光コネクタからなる。そして、副光源接続検知部47は、導光部材16が副光源用光結合部46に接続されていることを検知するものである。本光音響計測装置10において光音響波発生部18の異常を検出する異常検出モードは、導光部材16がこの副光源用光結合部46に接続されて副光源45と光学的に結合された状態で実施される。副光源接続検知部47も主光源接続検知部37と同様、導光部材16と副光源用光結合部46との接続部62に設けられたマイクロスイッチ等の接点により接続を検知する。
【0063】
なお、導光部材16が副光源用光結合部46に接続されている場合にのみ、副光源45は駆動可能に構成されていること、すなわち、副光源用光結合部46に導光部材16が接続されていない場合には、副光源45が点灯しないように構成されていることが好ましい。本装置10においては、副光源接続検知部47により、導光部材16の副光源用光結合部46への接続が検知されると、副光源接続検知部47から副光源駆動回路43に接続検知信号が送信される。副光源駆動回路43は、モード切替スイッチ42がオンとされても、副光源接続検知部47からの接続検知信号を受信しない限り、副光源45を駆動しないように構成されている。
【0064】
なお、レーザユニット13は、さらに、導光部材16と主光源用光結合部36との接続、および導光部材16と副光源用光結合部46との接続をユーザに通知する接続通知部48を備えている。接続通知部48は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子により構成することができ、接続状態のとき発光素子を点灯させ、非接続状態のとき、発光素子を消灯させることにより、ユーザが接続状態を視覚により確認可能とする。接続通知部48として多色LEDを用い、主光源側に接続されているときに赤、副光源側に接続されているときに緑、いずれも未接続のとき黄色などで発光するようにしてもよい。
【0065】
接続通知部48は、レーザユニット13のみならず、光音響計測装置10のどの部分に備えられていてもよいが、レーザユニット13の導光部材16を接続させる接続部61、62の近傍であることが、確認容易であり好ましい。
【0066】
なお、副光源駆動回路43は、モード切替スイッチ42がオンのとき動作するものとして説明したが、超音波ユニット12の制御部28からトリガ信号を受けて動作するように構成されていてもよい。あるいは、副光源接続検知部47が導光部材16と副光源用光結合部46との接続を検知したとき、副光源接続検知部47からの接続検知信号を受けて副光源駆動回路43が動作するように構成されていてもよい、また、導光部材16と副光源用光結合部46が接続されている間は副光源45が駆動され、非接続である間は副光源45が駆動されないように構成されていてもよい。
【0067】
次に異常検知手段50について説明する。
【0068】
光検出部52は、光源35から出射される光を検出可能なフォトダイオード等の光電変換素子で構成されている。光検出部52は、光源35から出射される光を検出可能な素子で構成することができ、サーモパイル等の熱電変換素子により構成してもよい。光検出部52は、副光源駆動回路43からの副光源駆動指示に伴い光検出回路を動作させ光検出を開始し、検出した光量を判定部54に送出する。光検出部52は、副光源45の駆動から一定期間蓄積動作を開始し、光量を検出するように構成されていてもよい。一定期間は例えば10〜30secとすることができる。光検出部52は、光源35の駆動開始又は別途設けられた近接センサによって光検出部52から所定距離内に物体が検出された場合に、検出を開始してもよい。光学フィルタ52aは、副光源以外の光の影響をなくすため、副光源45の発光光波長以外をカットするバンドパスフィルタである。
【0069】
判定部54は、光検出部52から受信した検出光量に基づいて、光音響波発生部18の異常の有無を判定する。判定部54は、予め定められた基準値として判定閾値を有し、検出光量を判定閾値と比較することで、光音響波発生部18の異常の有無を判定する。例えば、検出光量が判定閾値を超える場合に光音響波発生部18が異常であると判定する。判定閾値により異常の有無を判定することにより、容易に異常の有無を判断することができる。
【0070】
異常通知部56は判定部54による判定結果をユーザに通知する。異常通知部56は、LED等の発光素子やビープ音発生手段により構成することができる。判定結果が「異常あり(異常)」であるとき、発光素子を連続点灯もしくは点滅点灯させる、あるいはビープ音発生手段によりビープ音を発生させる。判定結果が「異常なし(正常)」であるときは、通知しなくてもよいし、発光素子の点灯方法、ビープ音発生手段によるビープ音を異常の場合と異ならせるなどにより通知してもよい。また、発光素子として多色発光型LEDを用い、異常時は赤、正常時は緑で点灯させてもよい。なお、画像表示部14に「異常検知」等の文字やマークを表示させるように構成することもできる。また、異常判定中か否かをユーザが把握できるように、異常判定期間中は、発光素子を点滅点灯させてもよい。
【0071】
上述の接続通知部48が異常通知部56を兼ねるように構成することもできる。
この場合には、判定部54により光音響波発生部18が異常であると判定された場合に、導光部材16と主光源用光結合部36又は副光源用光結合部46との接続の通知と識別可能に異常通知を行うよう構成すればよい。このことにより、部品点数を増加させないで、ユーザに接続の有無及び異常検出の結果を通知することができる。また、接続通知部48として多色発光型LEDを用いて、例えば、未接続で黄色、接続で緑、異常通知は赤などそれぞれを異なる色で発光させればよい。
【0072】
図3は、本発明の第1実施形態に係る光音響計測装置10の具体的な外観を示す図である。
図3に示すように、本光音響計測装置10においては、超音波ユニット12は、プロセッサとメモリと入力部を備えたコンピュータであり、画像表示部14と一体型の装置として構成されている。超音波ユニット12には、既述のレーザトリガ送信部22、超音波送信部23、信号受信部24、光音響画像生成部25、超音波画像生成部26及び制御部28を含む光音響画像生成及び超音波画像生成に関するプログラムが組み込まれている。プローブ11は超音波ユニット12に接続されており、レーザユニット13は後述のUSB(Universal Serial Bus)ポートを介して超音波ユニット12に接続されている。
【0073】
レーザユニット13は、異常検出以外の通常時に導光部材16を接続するための接続口である通常時接続部61、及び異常検出モード時に導光部材16を接続するための接続口である異常検出時接続部62を有する。導光部材16は通常時接続部61に装着されることにより主光源用光結合部36と接続され、異常検出時接続部62に装着されることにより導光部材16は副光源用光結合部46と接続される。
【0074】
また、レーザユニット13の表面にはモード切替スイッチ42及び光検出部52が設けられており、さらに、発光素子からなる異常通知部56及び接続通知部48が設けられている。
【0075】
レーザユニット13のトリガ入力部32は、超音波ユニット12の信号出力ラインに接続される。トリガ入力部32であるトリガ入力端子は、例えばUSBコネクタとして構成される。超音波ユニット12はUSBポート(レセプタクル)29を有しており、USBポート29にトリガ入力端子を含むUSBコネクタを差し込むことで、超音波ユニット12から出力される信号が供給される。
【0076】
以上のように構成されている本実施形態の光音響計測装置10における処理を説明する。
【0077】
図4は、第1実施形態に係る光音響計測装置10による光音響計測処理のフローチャートである。
図4を用いて、まず、本光音響計測装置10における、光音響波計測処理を説明する。
【0078】
光音響波計測処理において、フレームレート、1フレームあたりのレーザ発光数、1フレームあたりの反射音響波信号と光音響画像信号のフレーム数バランスなどの画像取得条件は、超音波ユニット12の不図示のメモリに予め記憶されている。また、この画像取得条件に対応するように、制御部28により、レーザ発光タイミング、レーザパルス数および電流などの光源駆動条件が決定されて、主光源駆動回路33による主光源35の駆動に用いられる。
【0079】
光音響波計測処理は、導光部材16が主光源用光結合部36に接続された状態で開始する。超音波ユニット12の制御部28は、レーザユニット13にトリガ信号を送る。レーザユニット13は、トリガ信号を受けると、レーザ発振を開始し、パルスレーザ光を出射する。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、導光部材16によって穿刺針15の先端の近傍まで導光され、光吸収体17に照射される。光吸収体17はパルスレーザ光を吸収して音響波を発生する。なお、光音響波検出処理において、医師などのユーザにより、光源35の駆動の前後等の任意のタイミングで穿刺針15が被検体に穿刺される。
【0080】
プローブ11は、パルスレーザ光の照射により光吸収体17から発生した光音響波を検出する(ステップA2)。信号受信部24はプローブ11から光音響波の検出信号を受け取り、光音響波の検出信号を、サンプリングして格納し、格納された光音響波の検出信号を光音響画像生成部25に送信する(ステップA3)。光音響画像生成部25は、光音響波の検出信号に基づいて光音響画像を生成し、その光音響画像が画像表示部14に表示される。
【0081】
なお、光音響波計測処理の際には、上記の光音響画像の取得に続いて超音波画像の取得を行ってもよい。超音波画像取得動作は次のように行われる。制御部28が、超音波送信部23に超音波送信トリガ信号を送り、超音波送信部23は、それに応答してプローブ11から超音波を送信させる(ステップA4)。プローブ11は、超音波の送信後、反射超音波を検出する(ステップA5)。その検出信号を信号受信部24が受け取り、反射超音波の検出信号をサンプリングして格納し、格納された反射超音波の検出信号を超音波画像生成部26に送信する。超音波画像生成部26は、反射超音波の検出信号に基づいて超音波画像を生成し(ステップA6)、その超音波画像が画像表示部14に表示される(ステップA7)。
【0082】
なお、画像表示部14においては、光音響波画像と超音波画像とを合成して表示するようにしてもよい。このようにすることで、穿刺針15の先端15bが生体内のどこにあるかを確認することができるようになるため、正確で安全な穿刺が可能になる。なお、本光音響計測装置10においては、超音波画像データの取得は光音響画像データの取得と独立して別モードにて行うこともできる。
【0083】
図5は、第1実施形態に係る光音響計測装置による異常検出処理のフローチャートである。
図5を用いて、光音響計測装置10による異常検出モード時の異常検出処理について説明する。
【0084】
ユーザによりモード切替スイッチ42がオンにされることにより異常検出モードが起動される。異常検出処理は、導光部材16が副光源用光結合部46に接続され、穿刺針15が被写体に穿刺されていない状態で開始する。副光源駆動回路43により副光源45が駆動されて副光源45から所定の光が出射される。副光源45から出射した光は、導光部材16によって穿刺針15の先端15bの近傍まで導光され、光吸収体に照射される(ステップB1)。もし、穿刺針15の先端15bが光吸収体17から外れているなど異常が生じている場合には、穿刺針15の先端15bから漏れ光が生じる。
【0085】
なお、ここでは、光検出部52は、副光源接続検知部47の接続通知信号に基づいて、副光源用光結合部46と導光部材16とが接続されており、かつ、異常検出モードがオンであるという条件を満たす場合にのみ、光検出を行うよう構成されている。これにより、異常検出処理は、ユーザ操作により、モード切替スイッチ42が切り替えられて異常検出モードがオンにされた状態で実行され、異常検出モードがオフにされた状態では実行されない。また、異常検出処理は、導光部材16が副光源用光結合部46に接続されている状態で実行され、導光部材16が副光源用光結合部46に接続されていない状態では実行されない。
【0086】
副光源駆動回路43からの副光源45の駆動を示すトリガ信号に基づいて、光検出部52は副光源の駆動開始からの一定期間光検出を行う(ステップB2)。なお、係る一定期間の少なくとも一部期間において、ユーザによって穿刺針15の先端15bが光検出部52にかざした状態とされる。異常通知部56は、判定中は、光検出部52による光検出の開始から判定結果が出るまでの間は緑色に点滅点灯する。
【0087】
本実施形態では、副光源駆動回路43からの副光源45の駆動を示すトリガ信号に基づいて、光検出部52が光検出を開始して、穿刺針15の先端15bからの漏れ光を一定期間検出する。このことにより、副光源45の駆動に応じて、ユーザがスムーズに異常検出処理を行うことができる。
【0088】
なお、光検出部52が異常検出のための一定期間の光検出を開始する開始条件として、任意の条件を設定可能である。例えば、光検出部52は、副光源接続検知部47による導光部材16と副光源用光結合部46との接続の検知に基づいて、その接続の検知から一定期間光検出を開始し、判定部54は、一定期間に光検出部52で検出された漏れ光の光量に基づいて光音響波発生部18の異常を判定するよう構成してもよい。
【0089】
さらなる例として、超音波ユニット12に異常検出開始ボタンなどを設け、ユーザ操作による異常検出開始ボタンのオン動作の検知信号が送信されると、光検出部52が光検出を開始するよう構成してもよい。或いは、不図示の近接検知センサを設けて、近接検知センサにより穿刺針15が所定距離内に近づいたことを示す検知信号が送信されると、光検出部52が光検出を開始する構成としてもよい。
【0090】
なお、副光源45は、副光源駆動回路43により光検出部52による光検出を行う期間が終了した後、消灯される。副光源45は、異常検出モードの終了により消灯されるように構成されていてもよいし、異常検出処理の終了により消灯されるように構成されていてもよい。
【0091】
続いて、光検出部52から蓄積された検出光量が判定部54に送信され、判定部54ではこの検出光量と判定閾値との比較が行われる。判定部54は、入力された検出光量が判定閾値よりも大きいとき、異常と判定し、判定閾値以下であれば正常と判定する(ステップB3)。その後、判定部54における判定結果が異常通知部56によりユーザに通知される(ステップB4)。異常通知部56は、判定結果が異常である場合には赤色に点灯し、判定結果が正常である場合には緑色に点灯して判定結果を通知して、異常検出手段による異常検出処理が終了する。なお、異常通知部56により異常が通知された場合には、ユーザは穿刺針15を交換するなどの対応を行う。
【0092】
なお、光音響計測装置10は、一定期間に光検出部52で検出された漏れ光の光量に基づいて、判定部54により光音響波発生部18が異常でないと判定された場合に、光検出部52の光検出を停止し、異常検出モードを終了するように構成することができる。
【0093】
さらに、異常通知部56は、判定部54に異常であると判定された場合に、ユーザの確認入力を求める異常通知を行い、確認入力を受け付けるまで異常通知を継続することができる。このとき、ユーザからの確認入力を受け付けるまで、異常検出モードが継続されるように構成されていることが好ましい。例えば、制御部28の一部が異常通知部56を兼ねており、制御部28は、異常であると判定された場合に、表示画面に、「続けて光音響波の測定を行う場合には確認ボタンを押してください」というメッセージと確認ボタンを表示して、ユーザの確認入力を受け付けるまで、上記メッセージと確認ボタンの表示を継続すればよい。さらに、確認入力を受け付けるまで、制御部28がレーザトリガ送信部22にレーザ停止指示を送信させ、主光源35を駆動しないよう構成することが考えられる。異常があると判定された場合に、ユーザの確認を促すことで、光音響計測装置10の使用の安全性を高めることができる。
【0094】
また、光音響波計測処理は異常検出モードがオンオフにかかわらず実行可能に構成されている。異常検出モードがオンの状態で、光音響波計測処理と異常検出処理をそれぞれ実行可能とすることで、穿刺針15を被検体に挿入する直前に穿刺針15の先端15bの異常検出を行うなど、挿入物の不良を任意のタイミングで確認して光音響波計測処理を行うことができる。
【0095】
また、光音響計測装置10においては、主光源35が駆動中、すなわちレーザ光が出力中であることを通知するレーザ出力通知部(主光源駆動通知部)を有していてもよい。レーザ出力通知部は、例えば、LED等の発光素子により構成することができる。上述の異常通知部56が、レーザ出力通知部を兼ねてもよい。レーザ出力通知は緑の点滅、異常通知は赤の点滅などである。また、レーザ出力通知部は、トリガ入力部からのトリガパルスを受け取るたびに点滅するものであってもよい。
レーザ出力通知部を有していれば、レーザが出力されているかどうかをユーザは容易に認識することができ、光音響波発生部の検査を安全に実施することができる。
【0096】
なお、異常通知部56、接続通知部48及びレーザ出力通知部などの各種通知部は、それぞれ独立に構成されていてもよいし、2つもしくは3つの機能を1つの通知部が兼ねるように構成されていてもよい。
1つの通知部で複数の情報を通知させる場合には、多色発光型LEDを用いて情報毎で発光色を変えたり、連続点灯と点滅点灯とで区別したりすればよい。
【0097】
本装置に備えられる異常通知部56、接続通知部48、レーザ出力通知部などの各種通知部は発光素子で構成されるのみならず、画像表示部14への各種通知表示手段であってもよい。
【0098】
本光音響計測装置10は、さらに、レーザトリガ信号のオン、オフを切り替えるためのフットスイッチ等の主光源駆動用の外部スイッチを有していてもよい。外部スイッチは超音波ユニット12に接続されて、制御部28にオンオフ信号を入力するよう構成されていればよい。外部スイッチを備えることにより、主光源35の駆動をユーザが制御できるので、光音響波発生部の検査を安全に実施することができる。
【0099】
また、上記実施形態においては、レーザユニット13中に主光源駆動手段、副光源駆動手段及び異常検知手段50が内包されているものとして説明したが、これらの各手段はそれぞれ別体として備えられていてもよい。
【0100】
例えば、
図6および
図7に第1の実施形態の音響波計測装置10の設計変更例1および設計変更例2をそれぞれ示すように、レーザユニット13中に主光源駆動手段と副光源駆動手段を備え、異常検知手段50を超音波ユニット12あるいはプローブ11に備えてもよい。このとき、光検出部52は、例えば、
図3中に破線で示すようにプローブ11の一部、あるいは、超音波ユニット12の一部に設けられる。さらには、光検出部52、判定部54及び異常通知部56が、互いに異なる箇所に設けられていてもよい。例えば、光検出部52がレーザユニット13、判定部54が超音波ユニット12、異常通知部56が画像表示部14にそれぞれ設けられるなどである。
【0101】
図6に示すように、光検出部52、判定部54および異常通知部56を含む異常検知手段50が超音波ユニット12に備えられていれば、術者を補助する補助者が異常検出を行う場合に操作が容易となる。
【0102】
図8は、超音波プローブ11の一部に光検出部52が設けられた構成例を示す模式図である。
図8に示すように、超音波プローブ11の一部に光検出部52を備えた場合、術者が手元で穿刺針15の異常を検出することが可能となる。超音波プローブ11及び穿刺針15はいずれも清潔環境下で使用する必要があり、超音波プローブ11の一部に光検出部52を設けられていれば、異常検出も清潔環境下で実施することができるので、特に好ましい。
【0103】
本発明の第2の実施形態に係る光音響計測装置10Aについて説明する。
図9は、第2の実施形態の光音響計測装置10Aの構成を示すブロック図である。第1の実施形態の光音響計測装置10の構成要素と同等の構成要素には同一符号を付与している。
【0104】
本実施形態の光音響計測装置10Aはレーザユニット13Aの構成が、第1の実施形態の光音響計測装置10のレーザユニット13と一部異なる。第1の実施形態におけるレーザユニット13中の主光源用光結合部36及び副光源用光結合部46の代わりに、本レーザユニット13では主光源35と副光源45の出射光の光路を結合する光路結合部材38及び光路結合部材38を介して導光部材16を主光源35及び副光源45と光学的に結合させる光結合部39を備える。また、主光源接続検知部37及び副光源接続検知部47の代わりに、1つの接続検知部49を備える。その他の構成要素及びそれらの機能は第1の実施形態の光音響計測装置10と同様である。
【0105】
光路結合部材38は、主光源35からの光が入力される第1の光入力部と、副光源45からの光が入力される第2の光入力部と、それらの光を出力する1つの光出力部を備えてなり、例えば、合波用の光ファイバカプラにより構成することができる。本構成によれば、光結合部39が1つであるため、異常検出モード時に導光部材16をつなぎ替える必要がなくなり、異常検出をより簡単に実施することができる。
【0106】
接続検知部49は、主光源接続検知部37及び副光源接続検知部47と同様に、光結合部39への導光部材16の接続を検知するものであり、例えば、導光部材16と光結合部39との接続部に設けられたマイクロスイッチ等の接点により接続を検知する。
【0107】
本例においても、接続検知部49により上記接続が検知されている場合にのみ、主光源35及び副光源45は駆動可能に構成されている。すなわち、接続検知部49により上記接続が検知されていない場合は、主光源35及び副光源45は駆動されないように構成されている。これにより、光音響波発生部の異常検出を安全に実施することができる。
【0108】
本装置10Aにおいては、光結合部が1つであるため、第1の実施形態の光音響計測装置10のような導光部材16の接続の切り替えによるモード切替えはできない。一方、導光部材16の光路結合部材38への接続検知をモード切替スイッチとして、自動的に異常検出モードとなるように設定することできる。このように、接続時に毎回、異常検出を行うように設定することにより、不良な挿入物を被検者に挿入させずに済み、その結果、手技のやり直しや被検者の負担を減らすことができる。また、一定時間異常検出モードで光検出を行った後、異常がなければ自動的に異常検出モードを終了するように構成されていれば、一連の作業がよりスムーズなものとなる。
【0109】
次に、第3の実施形態に係る光音響計測装置10Bについて説明する。
図10は、第3の実施形態の光音響計測装置10Bのブロック図である。
【0110】
図10に示すように、本実施形態の光音響計測装置10Bは、異常検知手段50を備えていない点で第1の実施形態の光音響計測装置10と異なる。本例においては、レーザユニット13B中のみならず、超音波ユニット12および超音波プローブ11にも異常検知手段は設けられていない。また、本装置10Bにおいては、主光源接続検知部37は超音波ユニット12の制御部28ではなく、主光源接続検知部37において接続が検知されたとき、主光源接続検知部37が接続検知信号を主光源駆動回路33に送信するように構成されている。この場合、主光源接続検知部37による接続検知信号が主光源駆動回路33に入力されて初めて主光源駆動回路33による主光源35の駆動がなされる。
【0111】
副光源45が、可視域の光を出射するものであれば、光音響波発生部に異常があり漏れ光が生じている場合、ユーザは漏れ光を視認することができる。
導光部材である光ファイバの穿刺針外の部分は副光源45から出射される光を透過する保護部材内に内包されており、光ファイバの折損傷部があると、その箇所から光が漏れるため、ユーザが目視により損傷を確認することができる。また、穿刺針内において、光ファイバの損傷、あるいは光吸収体のずれや外れなどが生じていた場合には、穿刺針の先端から、可視域の光が漏れるため、同様にユーザが目視により異常を検知できる。
【0112】
このように、本発明の光音響計測装置は、必ずしも光検出部、判定部及び異常通知部からなる異常検知手段を備えていなくてもよい。但し、第1及び第2の実施形態のように、異常検知手段を備えれば、ユーザが検知できない漏れ光などを検知することができ、また、一定の検査基準に基づく判定が可能であり、好ましい。また、副光源から出射される可視光がレーザ光である場合にも安全に検査を行うことができ、好ましい。
【0113】
上記各実施形態では、挿入物として穿刺針を例に挙げたが、これには限定されない。特開2015−37519号公報に記載の通り、挿入物は、内部にラジオ波焼灼術に用いられる電極を収容するラジオ波焼灼用針であってもよいし、血管内に挿入されるカテーテルであってもよいし、血管内に挿入されるカテーテルのガイドワイヤであってもよい。あるいは、レーザ治療用の光ファイバであってもよい。
【0114】
また、上記各実施形態においては、副光源を主光源とは独立した光源として説明したが、副光源は、赤外光を出射する主光源と、その主光源から出射された赤外光の高調波を発生する高調波発生素子とから構成することもできる。この場合、主光源は、副光源の一部を兼ねるものとなる。この場合、例えば主光源に赤外光を用いて副光源は主光源と異なる可視光や近赤外光を用いる事が可能である。なお、副光源に近赤外光を持ってきた場合には、例えば、光検出部52として副光源45から出力された近赤外光を検出する光電変換素子や、近赤外光を透過するフィルタ52aと光電変換素子の組み合わせなどを用いる事が可能である。