特許第6602922号(P6602922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6602922裏面パッシベーションのための装置及び方法
<>
  • 特許6602922-裏面パッシベーションのための装置及び方法 図000002
  • 特許6602922-裏面パッシベーションのための装置及び方法 図000003
  • 特許6602922-裏面パッシベーションのための装置及び方法 図000004
  • 特許6602922-裏面パッシベーションのための装置及び方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602922
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】裏面パッシベーションのための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20191028BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20191028BHJP
   H01L 21/318 20060101ALN20191028BHJP
【FI】
   H01L21/31 C
   H01L21/68 N
   !H01L21/318 A
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-126898(P2018-126898)
(22)【出願日】2018年7月3日
(62)【分割の表示】特願2015-544171(P2015-544171)の分割
【原出願日】2013年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-195830(P2018-195830A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2018年8月1日
(31)【優先権主張番号】61/730,051
(32)【優先日】2012年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/087,815
(32)【優先日】2013年11月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハウリルチャック, ララ
(72)【発明者】
【氏名】トービン, ジェフ
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−208590(JP,A)
【文献】 特開2000−150399(JP,A)
【文献】 特開平05−275342(JP,A)
【文献】 特開2001−102321(JP,A)
【文献】 特開2004−165640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/683
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理される前面と裏面とを有する基板をチャンバ内で、長尺基板支持体上に配置することであって、前記長尺基板支持体は、エッジ領域によって前記基板を保持する支持体リングを有する開放上面を含む円筒形本体を有し、前記円筒形本体は、前記長尺基板支持体内部に空隙を画定する、配置することと、
前記チャンバ内で前記基板裏面をパッシベーションすることと、
前記基板前面を処理することであって、前記基板を加熱することを含む処理することと
を含む処理方法であって、
複数のリフトピンを用いて前記基板支持体の近くに及び前記基板支持体から遠くに前記基板を移動することをさらに含み、前記リフトピンは前記基板支持体の前記開放上面の開口部を下方に通過し、前記空隙の中央に向かって屈曲し、前記基板支持体の前記開放上面の下に、前記空隙の内部に支持体の終端を形成する、方法
【請求項2】
前記基板裏面をパッシベーションすることは、前記基板裏面を反応性ガスまたはプラズマの一又は複数に曝露することによって、前記基板裏面上にパッシベーション膜を堆積することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜は、窒化物層または酸化物層の一又は複数を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板をパッシベーションすることは、前記基板から約0.25インチから約2.5インチの範囲の距離を開けて、前記基板をプラズマ源に曝露させることを含み、前記距離は前記基板と前記プラズマ源との直接結合を防ぐに十分な距離である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
処理される前面と裏面を有する基板をチャンバ内に、長尺基板支持体上に配置することであって、前記長尺基板支持体は、エッジ領域によって前記基板を保持する支持体リングを有する開放上面を含む円筒形本体を有し、前記円筒形本体は、前記長尺基板支持体内部に空隙を画定し、前記基板は複数のリフトピンを用いて基板支持体に近づくように移動され、前記リフトピンは前記基板支持体の前記開放上面の開口部を下方に通過し、前記空隙の中央に向かって屈曲し、前記基板支持体の前記開放上面下に、前記空隙の内部に支持体の終端を形成する、配置することと、
前記基板裏面をプラズマに曝露して、窒化物層または酸化物の層の一又は複数を有する膜を形成することによって、前記チャンバ内で前記基板裏面をパッシベーションすることと、
前記基板の前記前面を処理することであって、前記基板を加熱することを含む処理することと、
を含む処理方法。
【請求項6】
前記膜は約15Åを超える厚さを有する、請求項2またはに記載の方法。
【請求項7】
前記チャンバはロードロックチャンバであり、前記基板裏面をパッシベーションした後、かつ前記基板前面を処理する前に、前記基板が第2のチャンバに移動される、請求項2またはに記載の方法。
【請求項8】
前記基板裏面のパッシベーション及び前記基板前面の処理は単一チャンバ内で行われる、請求項2またはに記載の方法。
【請求項9】
前記チャンバはロードロックチャンバと前記基板前面の処理を行う処理チャンバとの間の中間領域である、請求項2またはに記載の方法。
【請求項10】
前記パッシベーション膜を前記基板裏面から除去することをさらに含む、請求項2またはに記載の方法。
【請求項11】
前記プラズマが、前記基板から約0.25インチから約2.5インチの範囲の距離を開けて配置されたプラズマ源によって発生され、前記距離は前記基板と前記プラズマ源との直接結合を防ぐに十分な距離である、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記プラズマ源は前記空隙内に誘導結合RFプラズマを生成する、請求項または11に記載の方法。
【請求項13】
プラズマ発生装置が前記空隙から遠隔に位置し、前記プラズマが前記空隙に流れる、請求項または11に記載の方法。
【請求項14】
前記基板が前記支持体リングに実質的に重力のみで支持される、請求項1またはに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は概して、基板裏面のパッシベーションのための装置及び方法に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、基板が存在する場合、基板裏面上にパッシベーション層を形成するためにプラズマが生成され得る空隙を有する長尺支持体を含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温チャンバ内のウエハ(基板とも称される)は、ガス放出又は昇華の影響を受けやすい裏面層を有することがある。昇華物又は揮発した膜構成要素又は汚染物質は、様々な形でチャンバハードウェアを損傷することがある。ガス放出ドーパント又はシリコン昇華物は、反射板(光学反射器)又は高温計を含むチャンバ構成要素を覆うことがあり、これは長時間にわたるチャンバドリフトの原因となり、再較正、ハードウェア変更、チャンバの洗浄を要求し、ダウンタイムをもたらす。ウエハ裏面からのフッ素は、反射板(反射器)の被覆を損傷し、更には、再較正及び最終的にはハードウェア交換を要求することがある。
【0003】
ウエハの処理中に、ウエハ裏面の膜又はベアシリコンがガス放出する(膜の場合)或いは昇華する(シリコンの場合)ときには、急速熱処理(RTP)及びその他の処理並びにハードウェアは損傷を引き起こすことがある。ガス放出された物質及び昇華した物質は、光学部品又は他のチャンバ構成要素を被覆することがあり、頻繁に交換及び/又は洗浄が必要となる。
【0004】
現時点では、これに対処する方法は問題ごとに異なる(例えば、種々の反射板スタックはフッ素耐性があり、MWBCキットはシリコン昇華又はドーパントガス放出に対して犠牲部品を供給する)。
【0005】
したがって、当技術分野においては、処理中にウエハからのガス放出及び昇華を防止する装置及び方法が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、処理される前面と裏面を有する基板をチャンバ内に配置することを含む処理方法を対象とする。基板裏面はチャンバ内でパッシベーションされ、基板前面は処理され、前面の処理は基板を加熱することを含む。
【0007】
幾つかの実施形態では、基板裏面をパッシベーションすることは、基板裏面を一又は複数の反応性ガス又はプラズマに曝露することによって、基板裏面上にパッシベーティング膜を堆積することを含む。
【0008】
一又は複数の実施形態では、膜は一又は複数の窒化物層及び酸化物層を含む。幾つかの実施形態では、膜は約15Åを超える厚みを有する。
【0009】
幾つかの実施形態では、チャンバはロードロックチャンバで、基板は、裏面をパッシベーションした後、前面を処理する前に第2のチャンバへ移動される。
【0010】
一又は複数の実施形態では、基板裏面のパッシベーション及び基板前面の処理は単一チャンバ内で行われる。
【0011】
幾つかの実施形態では、チャンバはロードロックチャンバと基板の前面を処理する処理チャンバとの間の中間領域である。
【0012】
一又は複数の実施形態は、基板裏面からパッシベーティング膜を除去することを更に含む。
【0013】
本発明の付加的な実施形態は、裏面パッシベーションシステムを対象とする。本システムは、基板を保持する長尺基板支持体を備える。長尺基板支持体は、基板のエッジ領域によって基板を保持する支持リングを有する開放上面を含む円筒形本体を有し、これによって、基板が支持体リング上にあるときには、円筒形本体及び基板は空隙を画定する。本システムは、基板裏面にパッシベーション膜を形成するためのプラズマ源を備える。
【0014】
幾つかの実施形態は、基板を支持体リングに近づける及び支持体リングから遠ざけるためのリフトピンを更に備える。
【0015】
一又は複数の実施形態では、ロードロックチャンバを通過する基板が長尺基板支持体上に配置され、パッシベーション膜を形成するため基板裏面がプラズマに曝露され得るように、本システムはロードロックチャンバ内に配置される。
【0016】
幾つかの実施形態では、基板が長尺基板支持体上に配置され、パッシベーション膜を形成するため基板裏面がプラズマに曝露され、更に基板を移動することなく基板前面が処理され得るように、本システムは半導体処理チャンバ内に配置される。
【0017】
一又は複数の実施形態では、移送ステーションから処理チャンバへ移動される基板が長尺基板支持体上に配置され、パッシベーション膜を形成するため基板裏面がプラズマに曝露され、次いで基板は更なる処理のためにトンネルに沿って処理チャンバまで更に移動されるように、本システムは移送ステーションと処理チャンバをつなぐトンネル内に配置される。
【0018】
幾つかの実施形態では、プラズマ発生装置は基板裏面から少なくとも約1インチの距離に位置する。
【0019】
一又は複数の実施形態では、プラズマ発生装置は空隙内に誘導結合RFプラズマを生成する。
【0020】
幾つかの実施形態では、プラズマ発生装置は空隙から離れた場所に配置されており、プラズマ(装置の下流からのプラズマ流(plasma effluent))は空隙内に流し込まれる。
【0021】
本発明の更なる実施形態は、裏面パッシベーションシステムに関し、このシステムは、保持位置で少なくとも1つの基板を受け取るアンテチャンバ付のロードロックを備える。本システムは、支持体リングを形成する開放上面を有する円筒形本体を有する長尺支持体を含む。長尺基板支持体は、保持位置の下方に配置され、これによって、基板が保持位置にあるときには、円筒形本体及び基板は空隙を画定する。プラズマ発生装置は、基板裏面にパッシベーション膜を形成するため、空隙内にプラズマを生成するように空隙に結合されている。
【0022】
幾つかの実施形態では、基板が保持位置にあるときには、プラズマ発生装置は基板裏面から少なくとも約1インチの距離にプラズマを生成する。
【0023】
一又は複数の実施形態は、少なくとも1つの基板を長尺支持体に近づける及び長尺支持体から遠ざけるためのリフトを更に備える。
【0024】
幾つかの実施形態では、プラズマ発生装置は空隙内に誘導結合RFプラズマを生成する。
【0025】
本発明の上述の特徴が実現され細部にわたり理解されるように、上で簡潔に要約した本発明のより具体的な説明は、添付の図面に示されている本発明の実施形態を参照することによって得られよう。しかしながら、本発明は他の等しく有効な実施形態も許容しうるため、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本発明の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一又は複数の実施形態による、裏面パッシベーションシステムの一部を示している。
図2】本発明の一又は複数の実施形態による、裏面パッシベーションシステムの一部を示している。
図3】本発明の一又は複数の実施形態による、裏面パッシベーションシステムを組み込んだクラスタツールを示している。
図4】本発明の一又は複数の実施形態による、裏面パッシベーションシステムを組み込んだロードロックを示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態は、他のチャンバ(例えば、RTPチャンバ)を有するクラスタツールに追加され得る裏面パッシベーションチャンバを対象とする。裏面パッシベーションチャンバは、パッシベーション層を裏面キャップとしてプラズマベースで追加することであってもよい。最初の目標は、ウエハ前面を変えることなく、ウエハ裏面に薄い窒化物層を提供することになろう。これは、シリコンやのドーパントの昇華を緩和するのに有効であることが示されている。チャンバ仕様を変更して、他の種類の単純な膜(例えば、酸化物)や軽い表面洗浄(light surface clean)にも対応できるようにしてもよい。
【0028】
第1の態様では、加熱されたランプ上方チャンバ構成要素は、層形成用に励起された核種を供給するため、ボトムチャンバ部分に装着されたラジカル源(遠隔プラズマ源)を使用する。必要な厚さを得るには、ウエハを加熱して適切な拡散深度を可能にするランプが要求される。
【0029】
第2の態様では、ICP型直接プラズマ源がウエハ下の下方チャンバ部分に装着される。ウエハ前面は、機械的な制限によってプラズマから保護される上方チャンバ部分に面する。ダイレクトプラズマソリューションは、ガス放出又は昇華の抑制に十分な膜厚を生成するために温度を上げる必要はないが、そうしないと加熱されない。
【0030】
パッシベーションチャンバが単純なチャンバの場合には、クラスタツール上にポートを必要とすることがある。しかしながら、システムによってはポートが利用できないことがある。したがって、ウエハの裏面をパッシベーションするがポートを必要としない場所を見つけることが有利となる。第3の態様では、単純な誘導性プラズマ発生源は、単一又は多重ウエハロードロック内のウエハの下に配置される(但し、プラズマ源直上のロードロック内のウエハ上で作用することがある)。ウエハは任意のロードロック内で大気圧から真空引きされるが、圧力が適度に低く(≦200mTorr)なると、窒素雰囲気中でプラズマが当たるようになり、ウエハ裏面にSiN又はSiONの被覆を生成する。裏面のみが影響を受ける/パッシベーションされるように、ウエハは前面からプラズマを効果的に密閉する構造体の上部に配置される。ロードロックのその他の機能は維持される。
【0031】
したがって、本発明の一又は複数の実施形態は裏面パッシベーションシステムを対象とする。図1は、裏面パッシベーションシステム100の部分の実施例を示している。システム100は基板を保持するための基板支持体110を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、「基板」と「ウエハ」という用語は交換可能に使用される。基板支持体110は、上面114及び底面116を有する長尺円筒形本体112を備える。長尺円筒形本体112は「バケツ」型と記述されることもある。
【0032】
上面114は、基板のエッジによって基板を支持し得る支持体リング118を有する。支持体リング118は、図1に示したように平らな平面であってもよく、或いは基板が載るような凹部119を有してもよい(図2参照)。支持体リング118は、平らであっても凹部を有していても、支持体リングに載る基板の面積が最小になるように、エッジによって基板を保持する。リング上に載っている基板の部分は、裏面パッシベーションを受けることがないか、或いは裏面パッシベーションが低下する。基板支持体はエッジの周囲で基板を保持し、エッジの約0.5mmから約3mmの範囲を、或いはエッジの約1mmから約2.5mmの範囲を、或いはエッジの約1.5mmから約2mmの範囲を覆う。一又は複数の実施形態では、基板支持体は基板のエッジ約2mmを覆う。
【0033】
基板が支持体リング118上にあるとき、空隙120は基板支持体内に形成される。空隙120は、長尺円筒形本体112の内壁113、底面116及び基板裏面(図示せず)によって画定される。支持体リング上での基板の密着は、反応性ガス又はプラズマが基板前面に流れるのを防止する。基板と基板支持体との間の密閉はプラズマ密閉であってもよい。一部のガスはプラズマが消滅するまでウエハの前面に漏れることがあり得る。
【0034】
支持体リング110は、限定するものではないが、アルミニウムを含む任意の好適な材料で作られてもよい。幾つかの実施形態の支持体リング110は電気的に接地されている。
【0035】
プラズマ源130は基板支持体110の空隙に結合されている。プラズマ源130は基板裏面上にパッシベーション膜を形成し、ガス注入口132及び空隙内に反応性核種を生成するデバイスを含む。ガス注入口132は、基板裏面上でのパッシベーション層生成に適したガス源と流体連通している。ガス源は、例えば、窒素、酸素又はこれらの組み合わせであってもよい。ガスが窒素の場合には、パッシベーション層は窒化物層を含み、ガスが酸素の場合には、パッシベーション層は酸化物層を含む。幾つかの実施形態では、パッシベーション膜は、窒化物、酸化物及び酸素窒化物のうちの一又は複数である。一又は複数の実施形態では、基板はシリコンであり、パッシベーション層は窒化ケイ素を含む。窒化処理は、最大の層厚が生成されるように、自己制御式であってもよい。一方、酸化物層は成長を続けることが可能で、除去が難しくなるが機能し続けるパッシベーション膜を生み出す。
【0036】
反応性核種、プラズマ源130を生成するデバイスは、反応性ガス及び/又はプラズマを生成することができる任意の好適なデバイスであってもよい。例えば、プラズマ源130は、基板裏面上にパッシベーション層を形成するため、ガスのラジカル及び/又はイオンを生成し得る。好適なプラズマ源は、限定するものではないが、ラジカルを生成することができる熱素子(例えば、熱線)及びイオンを生成するための誘導結合されたプラズマコイル134(図1に示す)を含む。幾つかの実施形態では、プラズマは空隙内で、例えばICPコイルによって生成される。一又は複数の実施形態では、プラズマ(又はその下流廃水)は、例えば遠隔プラズマシステムにおいて、遠隔的に生成され空隙内に流入する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、プラズマという用語の使用は下流へのプラズマ流を含む。
【0037】
好適な基板は、限定するものではないが、シリコン、ゲルマニウム及びHF仕上げウエハを含む。基板裏面には特徴(feature)がなくてもよく、或いはその上に形成済みの特徴を有していてもよい。ウエハ裏面に形成済みの特徴がある場合には、本発明の実施形態は、その特徴並びに当該特徴を形成する膜の昇華を有害でない方法で防止する処理機器を保護する。
【0038】
基板裏面からプラズマ源130までの距離は、裏面上に形成されるパッシベーション膜に影響を及ぼすことがある。例えば、プラズマ源130がウエハの裏面に近すぎると、基板とプラズマ源との間の直接結合がウエハに損傷を引き起こすことがある。この距離が遠すぎると、パッシベーション層を形成する反応性核種が不十分になることがある。幾つかの実施形態では、プラズマ源130とウエハ裏面との間の距離は、約0.25インチから約2.5インチの範囲、或いは約0.5インチから約2インチの範囲、或いは約0.75インチから1.75インチの範囲、或いは約1インチから約1.5インチの範囲にある。一又は複数の実施形態では、ウエハ裏面とプラズマ源130との間の距離は、少なくとも約1インチ、或いは少なくとも約1.5インチである。幾つかの実施形態では、ウエハ裏面とプラズマ源130との間の距離は約2インチである。
【0039】
ウエハは実質的に重力のみによって、支持体リング118上に保持されている。ウエハと支持体リングとの間にはある程度の小さな相互作用があり得るが、ウエハは主として重力によって所定の位置に保持されており、凹部を有する支持体リングの場合には、凹部のエッジによって所定の位置に保持されている。幾つかの実施形態では、ウエハは支持体リング118に(例えば、静電的に)固定されているわけではない。
【0040】
基板裏面のパッシベーション中に、前面は休止中又は処理中となり得る。幾つかの実施形態では、裏面パッシベーション中に、基板前面は不活性ガスに曝露される。一又は複数の実施形態では、前面は裏面パッシベーションと同時に又は直後に処理される。
【0041】
幾つかの実施形態では、図1に示したように、システム100は、基板を支持体リング118に近づける及び支持体リング118から遠ざけるリフトピン140を含む。図示されているリフトピン140は、リフトピン140が上下に移動する際に、基板に接触する支持体端部142が上面114の開口部の内側にあるように、基板支持体の上面114を通り、空隙120の方向に屈曲している。リフトピン140は、限定するものではないが、金属、プラスチック及び高分子材料を含む任意の好適な材料からなり得る。図示されているリフトピン140は、単なる例示であって、本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。他のリフトピン140の設計が使用され得ることが、当業者には理解されよう。
【0042】
裏面パッシベーションシステムは、様々な場所に配置され得る。例えば、裏面パッシベーションシステムは、(1)クラスタツール上の分離された処理チャンバ、(2)処理チャンバとクラスタツールの中央移送ステーションとをつなぐトンネルの1つに沿った中間処理領域であってもよく、或いは(3)クラスタツールの移送ステーションに接続されたロードロックチャンバ内にあってもよい。これらは、システムが使用され得る幾つかの位置の単なる例示であって、本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。
【0043】
図3は、その上に装着された単一ウエハ処理チャンバ162を複数個有するクラスタツール160の上面概略図を示す。図3に示されたものと同様のクラスタツールは、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能である。本ツールは、スリットバルブ161a、161bによって移送ステーション168からそれぞれ分離されるロードロックチャンバ163a、163bを含む。移送ステーション168はまた、中央移送ステーション又は移送チャンバと呼ばれることがあり、システム内のある場所から別の場所へ、具体的には複数の処理チャンバ162間でウエハを移動するための、アーム型/ナックル型/リスト型のウエハハンドリングロボット166を含む。図示したツールは、2つの単一ウエハ処理チャンバ162、及び移送ステーション168の周囲に放射状に配置された2つの裏面パッシベーションシステム100を有する。本ツールはまた、裏面パッシベーションシステム100を組み込んだ単一ウエハ処理チャンバ167、及び裏面パッシベーションシステム100を有するトンネル169を経由して中央移送ステーション168に接続される単一ウエハ処理チャンバ165を有する。これはクラスタツールの一例にすぎず、可能な配置は他に多数あることが、当業者には理解されよう。
【0044】
図1に示したクラスタツールでは、基板はロボット166によって、ロードロックチャンバ163aからバルブ161aを経由して、中央移送ステーション168まで移動可能である。ロボット166は次いで、本明細書に記載されているように、ウエハの裏面がパッシベーションされる裏面パッシベーションシステム100の1つに基板を移動することができる。ロボット166は次いで、裏面パッシベーションシステム100からウエハを取り除き、更なる処理のためにチャンバ162に移動することができる。幾つかの実施形態では、ウエハは、裏面パッシベーションに先立って一又は複数の処理チャンバ162内で処理される。
【0045】
クラスタツール160は比較的複雑で高価な機器である。したがって、ツール160によってウエハのスループットを最適化することが望ましい。特に、処理チャンバ162が可能な限り連続的に占有され、更に移送ステーション168内のロボット166が連続的に占有され、不必要な移送操作を行わないように、ツールによって効率とウエハ処理を最大化することが重要である。
【0046】
幾つかの実施形態では、基板を基板支持体上に配置した後に、基板裏面はパッシベーション可能になり、前面は基板を動かさずに処理可能になるように、裏面パッシベーションシステム100は半導体処理チャンバ167内に配置される。裏側及び前面の処理は順次実行可能であってもよく、同時に実行可能であってもよい。この構成は、チャンバ167と裏面パッシベーションシステム100の組み合わせとして、図3に示されている。
【0047】
別の実施形態では、裏面パッシベーションシステム100は、移送ステーション168と処理チャンバ165をつなぐトンネル169内に配置される。この実施形態では、ロボット166はウエハをトンネル169内に移送し、支持体の上或いはウエハを支持体まで下げるリフトピンの上に、当該ウエハを配置することができる。ロボットがウエハをトンネルの外へ移動し、更に処理を行うため処理チャンバ165内へ移動できるように、ウエハの裏面はパッシベーション可能であり、リフトピンはウエハを持ち上げることができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、ロードロックチャンバを通過する基板は長尺基板支持体上に配置され、基板裏面はパッシベーション膜を形成するためプラズマに曝露され得るように、裏面パッシベーションシステムはロードロックチャンバ内に配置されている。図4は、本発明によるロードロック構造体の一実施形態の平面図で、メインロードロックチャンバに対して横向きのアンテチャンバを利用する。
【0049】
図4は、本発明の実施形態で使用するための例示的なロードロックチャンバ200を示している。示されているロードロックチャンバは1つの可能な実施形態にすぎず、本発明の範囲を限定するとみなされるべきではないことが、当業者には理解されよう。ロードロック200は、メインロードロックチャンバ202及び第1のロードロックアンテチャンバ204を含む。第2のロードロックアンテチャンバ206は、メインロードロックチャンバ202に隣接して配置され、第1のロードロックアンテチャンバ204とは反対の側では、第1のアンテチャンバ204及びメインチャンバ202と同一平面上にある。図4は単一ロードロックを特徴とする実施形態を示しているが、他の実施形態は一又は複数のロードロックを含み得る。
【0050】
各ロードロックアンテチャンバ204及び206は、それぞれ第1のカセット250及び第2のカセット252の形態にある外部ウエハサプライと通信を行っている。カセット250及び252は現場の一時保管用テーブル254に配置され、アーム型/ナックル型/リスト型のローディングロボット256及び258に対してそれぞれアクセス可能となるように収納されたウエハ214供給するようになっている。一時保管用テーブル254は典型的に、製造施設のクラスタツールと他の構成要素との間のインターフェースを提供する。
【0051】
ローディングロボット256と258は、アクセスポート204a及び206aを介して、ロードロックアンテチャンバ204及び206との間でウエハのバッチを移送する。図4に示したローディングロボット256及び258は回転式のアーム型/ナックル型/リスト型であるが、他の型式のロボットもこの機能を実行するため利用され得る。
【0052】
ロードロック200のメインチャンバ202は、第1のスリットバルブ212を介して、クラスタツールメインフレーム210及びクラスタツールロボット216と選択的に通信を行う。第1のロードロックアンテチャンバ204は、第1のスリットバルブ208を介して、メインロードロックチャンバ202と選択的に通信を行う。第2のロードロックアンテチャンバ206は、第2のスリットバルブ209を介して、メインロードロックチャンバ202と選択的に通信を行う。
【0053】
ロードロックアンテチャンバ204及び206とロードロックメインチャンバ202との間のウエハの交換は、様々な機械的デバイスによって実施されてもよい。図4に示すように、ロードロックメインチャンバ202に示されているロボット260は、単一のラインに沿って二方向に動くことができるシャトルタイプである。しかしながら、ロードロックチャンバ間でウエハを移送するために使用され得るロボットの他の例には、固定点の周りで回転可能なアーム型/ナックル型のロボットが含まれる。
【0054】
第1のロードロックアンテチャンバ204及び第2のロードロックアンテチャンバ206はそれぞれ、バルブ224を介して真空源220及び換気口222と選択的に流体連通している。アンテチャンバ204及び206は、互いに独立に、またメインロードロックチャンバ202とは独立に、真空引き及び換気され得る。加えて、第1のロードロックアンテチャンバ204及び第2のロードロックアンテチャンバ206のいずれか又は両方は、カセット底面の上でウエハ裏面をパッシベーションし得る裏面パッシベーションシステム100を含み得る。
【0055】
クラスタツール210の操作中には、ウエハ214のバッチは個別に、ロボット256及び258によってそれぞれアクセスポート204及び206を経由して、アンテチャンバ204及び206へ装填される。次いでウエハ214は、スリットバルブ208又は209を経由してメインロードロックチャンバ202へ、更に処理のためにスリットバルブ212を経由してクラスタツールメインフレーム210へ選択的に移動される。
【0056】
ウエハ214は、クラスタツール210の様々な処理段階を経由して、アンテチャンバ204及び206へ収納され、利用できるツール処理チャンバを待つか、他のウエハの処理の完了を待つ。ロットの一様性を維持し、エラートレーサビリティを確保する目的で、ウエハは一般的に、半導体製造シーケンス全体を通じて同一のカセットに関連付けがなされる。これらのアンテチャンバ内にある間、ウエハは裏面パッシベーションシステム100によって裏面パッシベーションを受けることができる。
【0057】
特定のバッチの全ウエハがツールによって処理され、それぞれのアンテチャンバ204又は206に戻されると、当該アンテチャンバはメインロードロックチャンバ202から密閉され排気され、その間、ウエハは他のアンテチャンバを使用して引き続き処理され得る。これによりウエハは開放される換気済みのアンテチャンバに留まることができ、ツールによる連続処理を可能にするため新しいバッチと交換される。あらかじめ換気されたアンテチャンバは次いで真空引きされ、排気済みのメインロードロックチャンバ202と再結合され得る。
【0058】
本発明の付加的な実施形態は、処理する方法を対象とする。処理される前面及び裏面を有する基板は、チャンバ内に配置される。基板裏面はチャンバ内でパッシベーションされ、基板前面は処理され、基板の処理は基板の加熱を含む。幾つかの実施形態では、基板の処理は、基板裏面又は基板裏面の特徴が昇華又はガス放出の影響を受ける温度まで基板を加熱することを含む。
【0059】
幾つかの実施形態では、基板裏面をパッシベーションすることは、基板を一又は複数の反応性ガス及び/又はプラズマに曝露することによって、基板裏面上にパッシベーション膜を堆積することを含む。
【0060】
一又は複数の実施形態では、膜は一又は複数の窒化物層及び酸化物層を含む。幾つかの実施形態では、パッシベーション膜は約5Åを超える厚さ、又は約10Åを超える厚さ、又は約15Åを超える厚さ、又は約20Åを超える厚さ、又は約25Åを超える厚さを有する。
【0061】
一又は複数の実施形態では、パッシベーション膜は、前面が処理された後、基板裏面から除去される。膜は、下部の特徴又は基板前面を損傷しない、任意の好適な技法によってエッチング又は除去され得る。パッシベーション膜の除去に使用される具体的な技法は、膜の組成物及び厚みに依存する。
【0062】
裏面パッシベーションの間、基板は加熱又は冷却され得る。そのような加熱又は冷却は、限定するものではないが、基板支持体の温度を変化させること、及び、基板表面へ加熱された又は冷却されたガスを流すことを含む、任意の適当な手段により、達成することができる。幾つかの実施形態では、基板支持体は、伝導的に基板温度を変化させるように制御することができるヒータ/クーラを含む。一又は複数の実施形態では、基板温度を局所的に変化させるために、使用されるガス(反応性ガス又は不活性ガスのいずれか)は加熱又は冷却される。幾つかの実施形態では、基板温度を対流で変化させるために、ヒータ/クーラはチャンバ内部で基板表面に隣接して配置される。
【0063】
基板はまた、裏面パッシベーションの間に、静止又は回転させることができる。回転する基板は、連続的に又は不連続なステップで、回転させることができる。例えば、基板は、処理全体を通して、回転させてもよいし、又は、基板は、様々な反応性ガス又はパージガスへの曝露の間に、少量ずつ回転させることができる。処理の間に基板を(連続的又は段階的のいずれかで)回転させることは、例えば、ガス流の形状寸法における局所的な変動性の効果を最小化することにより、より均一な堆積又はエッチングを生成することに役立ち得る。
【0064】
本明細書に記載の発明は具体的な実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本発明の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び装置に対して、様々な修正及び変形を行い得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図されている。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
円筒形本体を有し、基板を保持する長尺基板支持体であって、基板が支持体リング上にあるときには、前記円筒形本体及び前記基板が前記長尺基板支持体内に空隙を画定するように、前記基板のエッジ領域によって基板を保持する支持体リングを有する開放上面を含む長尺支持体と、
前記基板裏面上にパッシベーション膜を形成するためのプラズマ源と
を備える裏面パッシベーションシステム。
(態様2)
基板を前記支持体リングに近づける及び支持体リングから遠ざけるためのリフトピンを更に備える態様1に記載のシステム。
(態様3)
本システムは、ロードロックチャンバを通過する基板が前記長尺基板支持体上に配置され、前記パッシベーション膜を形成するため前記基板裏面がプラズマに曝露され得るように、前記ロードロックチャンバ内に配置される、態様1又は2に記載のシステム。
(態様4)
本システムは、基板が前記長尺基板支持体上に配置され、前記パッシベーション膜を形成するため前記基板裏面が前記プラズマに曝露され、更に前記基板を移動することなく前記基板前面が処理され得るように、半導体処理チャンバ内に配置される、態様1又は2に記載のシステム。
(態様5)
本システムは、移送ステーションから処理チャンバへ移動される基板が前記長尺基板支持体上に配置され、前記パッシベーション膜を形成するため基板裏面が前記プラズマに曝露され、次いで前記基板は更なる処理のためにトンネルに沿って処理チャンバまで更に移動され得るように、移送ステーションと処理チャンバをつなぐトンネル内に配置される、態様1又は2に記載のシステム。
(態様6)
保持位置で少なくとも1つの基板を受け取るため、アンテチャンバを有するロードロックと、
支持体リングを形成する開放上面を有する円筒形本体を有する長尺支持体であって、基板が前記保持位置にあるときには、前記円筒形本体及び前記基板が空隙を画定するように、前記保持位置下方に配置される長尺基板支持体と、
前記基板裏面上にパッシベーション膜を形成するため前記空隙内にプラズマを生成するように結合されたプラズマ源と
を備える、裏面パッシベーションシステム。
(態様7)
基板が前記長尺支持体上にあるとき、前記基板裏面と前記プラズマ源との間に少なくとも約1インチの空間がある、態様1、2又は6のいずれか一項に記載のシステム。
(態様8)
前記プラズマ源は空隙内に誘導結合RFプラズマを生成する、態様7に記載のシステム。
(態様9)
前記プラズマ源は前記空隙から離れた場所に配置されており、プラズマは前記空隙内に流し込まれる、態様7に記載のシステム。
(態様10)
処理される前面と裏面を有する基板をチャンバ内に配置することと、
前記チャンバ内で前記基板裏面をパッシベーションすることと、
前記基板の前記前面を処理することであって、前記基板を加熱することを含む処理することと
を含む処理方法。
(態様11)
前記基板裏面をパッシベーションすることは、前記基板裏面を一又は複数の反応性ガス及びプラズマに曝露することによって、前記基板裏面上にパッシベーション膜を堆積することを含む、態様10に記載の方法。
(態様12)
前記膜は一又は複数の窒化物層及び酸化物層を含む、態様10又は11に記載の方法。
(態様13)
前記膜は約15Åを超える厚さを有する、態様12に記載の方法。
(態様14)
前記基板裏面のパッシベーション及び前記基板前面の処理は単一チャンバ内で起こる、態様10又は11に記載の方法。
(態様15)
前記基板裏面からパッシベーション膜を除去することを更に含む、態様10、11又は13のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4