(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フォーカスレンズを光軸方向に沿ってサーチ範囲内で移動させながら設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出するコントラスト評価値算出手段と、
複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記コントラスト評価値算出手段により算出されたコントラスト評価値とから、合焦位置を算出する合焦位置算出手段とを備えてなる合焦位置検出装置において、
大気の揺らぎを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記大気の揺らぎを検知した場合の露光時間を、前記大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間よりも長く設定する露光時間設定手段とを備えてなることを特徴とする合焦位置検出装置。
第1のサーチ範囲に対して前記フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、前記大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間で前記被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する標準コントラスト評価値算出手段と、
前記標準コントラスト評価値算出手段による前記複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記標準コントラスト評価値算出手段により算出されたコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出手段と、
前記検知手段が前記大気の揺らぎを検知した場合に、前記第1の合焦位置を含み、かつ、前記第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、前記フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら前記大気の揺らぎを検知した場合の露光時間で前記被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する揺らぎコントラスト評価値算出手段と、
前記揺らぎコントラスト評価値算出手段による前記複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記揺らぎコントラスト評価値算出手段により算出されたコントラスト評価値とから、合焦位置を算出する第2の合焦位置算出手段とを備える請求項1に記載の合焦位置検出装置。
第1のサーチ範囲に対してフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第1のコントラスト評価値算出手段と、
前記第1のコントラスト評価値算出手段における、前記複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記算出したコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出手段と、
前記第1の合焦位置に前記フォーカスレンズを駆動する駆動手段と、
前記第1の合焦位置において、前記設定された露光時間で前記被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第2のコントラスト評価値算出手段と、
前記第2のコントラスト評価値算出手段において算出された複数の前記コントラスト評価値の時間変動を検出する時間変動検出手段と、
前記時間変動の検出結果から前記コントラスト評価値における大気の揺らぎの影響の有無を判断する判断手段と、
前記大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、露光時間を前記設定された露光時間より長く設定する露光時間設定手段と、
前記大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、前記第1の合焦位置を含み、かつ、前記第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、前記フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら前記露光時間設定手段によって設定された露光時間で前記被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第3のコントラスト評価値算出手段と、
前記第3のコントラスト評価値算出手段における、前記複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記算出したコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する第2の合焦位置算出手段とを備えてなることを特徴とする合焦位置検出装置。
フォーカスレンズを光軸方向に沿ってサーチ範囲内で移動させながら設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出するコントラスト評価値算出ステップと、
複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記算出したコントラスト評価値とから、合焦位置を算出する合焦位置算出ステップとを備える合焦位置検出方法において、
大気の揺らぎを検知する検知ステップと、
前記大気の揺らぎを検知した場合の露光時間を、前記大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間よりも長く設定する露光時間設定ステップとを備えることを特徴とする合焦位置検出方法。
第1のサーチ範囲に対して前記フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、前記大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間で前記被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する標準コントラスト評価値算出ステップと、
前記標準コントラスト評価値算出ステップにおける、前記複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記算出したコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出ステップと、
前記大気の揺らぎを検知した場合に、前記第1の合焦位置を含み、かつ、前記第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、前記フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら前記大気の揺らぎを検知した場合の露光時間で前記被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する揺らぎコントラスト評価値算出ステップと、
前記揺らぎコントラスト評価値算出ステップにおける、前記複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記算出したコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する第2の合焦位置算出ステップとを備える請求項8に記載の合焦位置検出方法。
第1のサーチ範囲に対してフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第1のコントラスト評価値算出ステップと、
前記第1のコントラスト評価値算出ステップにおける、前記複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記算出したコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出ステップと、
前記第1の合焦位置に前記フォーカスレンズを駆動する駆動ステップと、
前記第1の合焦位置において、前記設定された露光時間で前記被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第2のコントラスト評価値算出ステップと、
前記第2のコントラスト評価値算出ステップにおいて算出された複数の前記コントラスト評価値の時間変動を検出する時間変動検出ステップと、
前記時間変動の検出結果から前記コントラスト評価値における大気の揺らぎの影響の有無を判断する判断ステップと、
前記大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、露光時間を前記設定された露光時間より長く設定する露光時間設定ステップと、
前記大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、前記第1の合焦位置を含み、かつ、前記第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、前記フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら前記露光時間設定ステップにおいて設定された露光時間で前記被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第3のコントラスト評価値算出ステップと、
前記第3のコントラスト評価値算出ステップにおける、前記複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記算出したコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する第2の合焦位置算出ステップとを備えることを特徴とする合焦位置検出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで
図10に、評価値カーブの一例を示す。
図10の上図は、大気の揺らぎが発生していない場合の評価値カーブ、
図10の下図は、大気の揺らぎが発生している場合の評価値カーブである。なお評価値カーブとは、横軸を合焦位置、縦軸をコントラスト評価値としてグラフにしたものである。また
図10の下図の点線の評価値カーブは比較のためのものであり、
図10の上図の実線の評価値カーブを示している。横軸のMOD(Minimum Object Distance)は、最も被写体に近づいて撮影ができる距離すなわち最短撮影距離を示し、INF(Infinity)は被写体の距離が非常に遠方にあるすなわち無限遠を示す。
【0007】
コントラスト検出方式のAF機構においては、露光時間が同じ時間に設定されている場合、
図10の上図に示す大気の揺らぎが発生していない場合の評価値カーブと比べて
図10の下図に示す大気の揺らぎが発生している場合の評価値カーブは、撮影レンズの合焦位置が変化したことによるコントラスト評価値の変動に、被写体像が揺らぐことによるコントラスト評価値の変化が加わってしまい、評価値カーブの形状が乱れてしまう。
【0008】
上述したように、合焦位置は、コントラスト評価値が最大となる合焦位置とその前後の複数点の合焦位置、及び各合焦位置に対応するコントラスト評価値に基づき補間演算にて算出されるので、
図10の下図のように評価値カーブが乱れると、ピーク付近のコントラスト評価値が乱れてしまって正確な合焦位置を見つけられない場合がある。
【0009】
特許文献1は、露光時間内に陽炎が変化しない短時間の露光時間で画像を撮影する技術を開示しているが、コントラスト検出方式のAF機構において、露光時間を短くしてしまうと、撮像された画像データ間での被写体像の形状差が大きくなり、算出されたコントラスト評価値の変動が大きくなってしまって、正確な合焦位置が見つけられない場合がある。また、特許文献2は、同一の被写体を複数枚撮影し、撮影した複数枚の画像を平均化することにより歪みの補正を行うことを開示しているが、コントラスト検出方式のAF機構に関することは記載されていない。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、大気の揺らぎが発生している状況でも正確に合焦位置を見つけることができるコントラスト検出方式の合焦位置検出装置及び合焦位置検出方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の合焦位置検出装置は、フォーカスレンズを光軸方向に沿ってサーチ範囲内で移動させながら設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出するコントラスト評価値算出手段と、
複数回の撮像時の各々のフォーカス位置とコントラスト評価値算出手段により算出されたコントラスト評価値とから、合焦位置を算出する合焦位置算出手段とを備えてなる合焦位置検出装置において、
大気の揺らぎを検知する検知手段と、
検知手段が大気の揺らぎを検知した場合の露光時間を、大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間よりも長く設定する露光時間設定手段とを備えてなるものである。
【0012】
なお本発明において「検知手段」は、大気の揺らぎを自動的に検知するものであってもよいし、大気の揺らぎの有無がユーザによって入力される手動的なものであってもよい。
【0013】
また本発明の第1の合焦位置検出装置は、第1のサーチ範囲に対してフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する標準コントラスト評価値算出手段と、
標準コントラスト評価値算出手段による複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と標準コントラスト評価値算出手段により算出されたコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出手段と、
検知手段が大気の揺らぎを検知した場合に、第1の合焦位置を含み、かつ、第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら大気の揺らぎを検知した場合の露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する揺らぎコントラスト評価値算出手段と、
揺らぎコントラスト評価値算出手段による複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と揺らぎコントラスト評価値算出手段により算出されたコントラスト評価値とから、合焦位置を算出する第2の合焦位置算出手段とを備えることができる。
【0014】
なお本発明において「標準コントラスト評価値算出手段」は、大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間を使用した撮像で得られた画像データからコントラスト評価値を算出するための手段であり、「揺らぎコントラスト評価値算出手段」は、大気の揺らぎを検知した場合の露光時間を使用した撮像で得られた画像データからコントラスト価値を算出するための手段である。
【0015】
また本発明の第1の合焦位置検出装置は、標準コントラスト評価値算出手段におけるサーチ幅よりも揺らぎコントラスト評価値算出手段におけるサーチ幅を短くすることができる。
【0016】
なお本発明において「サーチ幅」は、被写体を複数回撮像するときの撮像間隔を意味する。
【0017】
本発明の第2の合焦位置検出装置は、第1のサーチ範囲に対してフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第1のコントラスト評価値算出手段と、
第1のコントラスト評価値算出手段における、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出手段と、
第1の合焦位置にフォーカスレンズを駆動する駆動手段と、
第1の合焦位置において、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第2のコントラスト評価値算出手段と、
第2のコントラスト評価値算出手段において算出された複数のコントラスト評価値の時間変動を検出する時間変動検出手段と、
時間変動の検出結果からコントラスト評価値における大気の揺らぎの影響の有無を判断する判断手段と、
大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、露光時間を設定された露光時間より長く設定する露光時間設定手段と、
大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、第1の合焦位置を含み、かつ、第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら露光時間設定手段によって設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第3のコントラスト評価値算出手段と、
第3のコントラスト評価値算出手段における、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する第2の合焦位置算出手段とを備えてなるものである。
【0018】
本発明の第1の合焦位置検出装置及び第2の合焦位置検出装置は、第2のサーチ範囲の中心位置を第1の合焦位置にすることができる。
【0019】
また本発明の第2の合焦位置検出装置は、第2のコントラスト評価値算出手段におけるサーチ幅よりも第3のコントラスト評価値算出手段におけるサーチ幅を短くすることができる。
【0020】
本発明の第1の合焦位置検出方法は、フォーカスレンズを光軸方向に沿ってサーチ範囲内で移動させながら設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出するコントラスト評価値算出ステップと、
複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、合焦位置を算出する合焦位置算出ステップとを備える合焦位置検出方法において、
大気の揺らぎを検知する検知ステップと、
大気の揺らぎを検知した場合の露光時間を、大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間よりも長く設定する露光時間設定ステップとを備える。
【0021】
なお本発明において「検知ステップ」は、大気の揺らぎを自動的に検知してもよいし、大気の揺らぎの有無がユーザによって手動的に入力されてもよい。
【0022】
また本発明の第1の合焦位置検出方法は、第1のサーチ範囲に対してフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する標準コントラスト評価値算出ステップと、
標準コントラスト評価値算出ステップにおける、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出ステップと、
大気の揺らぎを検知した場合に、第1の合焦位置を含み、かつ、第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら大気の揺らぎを検知した場合の露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する揺らぎコントラスト評価値算出ステップと、
揺らぎコントラスト評価値算出ステップにおける、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する第2の合焦位置算出ステップとを備えることができる。
【0023】
なお本発明において「標準コントラスト評価値算出ステップ」は、大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間を使用した撮像で得られた画像データからコントラスト評価値を算出するためのステップであり、「揺らぎコントラスト評価値算出ステップ」は、大気の揺らぎを検知した場合の露光時間を使用した撮像で得られた画像データからコントラスト価値を算出するためのステップである。
【0024】
また本発明の第1の合焦位置検出方法は、標準コントラスト評価値算出ステップにおけるサーチ幅よりも揺らぎコントラスト評価値算出ステップにおけるサーチ幅を短くすることができる。
【0025】
本発明の第2の合焦位置検出方法は、第1のサーチ範囲に対してフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第1のコントラスト評価値算出ステップと、
第1のコントラスト評価値算出ステップにおける、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記算出したコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出ステップと、
第1の合焦位置にフォーカスレンズを駆動する駆動ステップと、
第1の合焦位置において、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第2のコントラスト評価値算出ステップと、
第2のコントラスト評価値算出ステップにおいて算出された複数のコントラスト評価値の時間変動を検出する時間変動検出ステップと、
時間変動の検出結果からコントラスト評価値における大気の揺らぎの影響の有無を判断する判断ステップと、
大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、露光時間を設定された露光時間より長く設定する露光時間設定ステップと、
大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、第1の合焦位置を含み、かつ、第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら露光時間設定ステップにおいて設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第3のコントラスト評価値算出ステップと、
第3のコントラスト評価値算出ステップにおける、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する第2の合焦位置算出ステップとを備える。
【0026】
本発明の第1の合焦位置検出方法及び第2の合焦位置検出方法は、第2のサーチ範囲の中心位置を第1の合焦位置にすることができる。
【0027】
また本発明の第2の合焦位置検出方法は、第2のコントラスト評価値算出ステップにおけるサーチ幅よりも第3のコントラスト評価値算出ステップにおけるサーチ幅を短くすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の第1の合焦位置検出装置及び第1の合焦位置検出方法によれば、フォーカスレンズを光軸方向に沿ってサーチ範囲内で移動させながら設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出するコントラスト評価値算出手段と、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置とコントラスト評価値算出手段により算出されたコントラスト評価値とから、合焦位置を算出する合焦位置算出手段とを備えてなる合焦位置検出装置において、大気の揺らぎを検知する検知手段と、検知手段が大気の揺らぎを検知した場合の露光時間を、大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間よりも長く設定する露光時間設定手段とを備えているので、大気の揺らぎが発生した場合に、取得した複数の画像データにおいて、被写体像は不鮮明になるものの、時間平均化されて被写体像が揺らぎのない像となるため、画像データ間での被写体像の形状差を小さくすることができ、被写体像が揺らぐことによるコントラスト評価値の変動を軽減することができて、より正確に合焦位置を算出することができる。
【0029】
また、本発明の第1の合焦位置検出方法によれば、フォーカスレンズを光軸方向に沿ってサーチ範囲内で移動させながら設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出するコントラスト評価値算出ステップと、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、合焦位置を算出する合焦位置算出ステップとを備える合焦位置検出方法において、大気の揺らぎを検知する検知ステップと、大気の揺らぎを検知した場合の露光時間を、大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間よりも長く設定する露光時間設定ステップとを備えているので、大気の揺らぎが発生した場合に、取得した複数の画像データにおいて、被写体像は不鮮明になるものの、時間平均化されて被写体像が揺らぎのない像となるため、画像データ間での被写体像の形状差を小さくすることができ、被写体像が揺らぐことによるコントラスト評価値の変動を軽減することができて、より正確に合焦位置を算出することができる。
【0030】
また、本発明の第2の合焦位置検出装置によれば、第1のサーチ範囲に対してフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第1のコントラスト評価値算出手段と、第1のコントラスト評価値算出手段における、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出手段と、第1の合焦位置にフォーカスレンズを駆動する駆動手段と、第1の合焦位置において、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第2のコントラスト評価値算出手段と、第2のコントラスト評価値算出手段において算出された複数のコントラスト評価値の時間変動を検出する時間変動検出手段と、時間変動の検出結果からコントラスト評価値における大気の揺らぎの影響の有無を判断する判断手段と、大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、露光時間を設定された露光時間より長く設定する露光時間設定手段と、大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、第1の合焦位置を含み、かつ、第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら露光時間設定手段によって設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第3のコントラスト評価値算出手段と、第3のコントラスト評価値算出手段における、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する第2の合焦位置算出手段とを備えているので、算出したコントラスト評価値に対する大気の揺らぎの影響がある場合のみに、再度AFサーチを行うことになり、不要なAFサーチを行わないことによりAFサーチに要する時間を低減することができる。
【0031】
また、本発明の第2の合焦位置検出方法によれば、第1のサーチ範囲に対してフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第1のコントラスト評価値算出ステップと、第1のコントラスト評価値算出ステップにおける、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と前記算出したコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出ステップと、第1の合焦位置にフォーカスレンズを駆動する駆動ステップと、第1の合焦位置において、設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第2のコントラスト評価値算出ステップと、第2のコントラスト評価値算出ステップにおいて算出された複数のコントラスト評価値の時間変動を検出する時間変動検出ステップと、時間変動の検出結果からコントラスト評価値における大気の揺らぎの影響の有無を判断する判断ステップと、大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、露光時間を設定された露光時間より長く設定する露光時間設定ステップと、大気の揺らぎの影響があると判断された場合に、第1の合焦位置を含み、かつ、第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、フォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させながら露光時間設定ステップにおいて設定された露光時間で被写体を複数回撮像して得られた複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する第3のコントラスト評価値算出ステップと、第3のコントラスト評価値算出ステップにおける、複数回の撮像時の各々のフォーカス位置と算出したコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する第2の合焦位置算出ステップとを備えているので、算出したコントラスト評価値に対する大気の揺らぎの影響がある場合のみに、再度AFサーチを行うことになり、不要なAFサーチを行わないことによりAFサーチに要する時間を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明における第1の実施形態の合焦位置検出装置を備えた電子機器としてデジタルカメラを例に説明するが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話、メディアプレーヤ、タブレット端末及びスマートフォン等のカメラ付き携帯情報端末(PDA;Personal Data Assistant)等、電子撮像機能を備えた他の電子機器に対しても適用可能である。また本発明における合焦位置検出装置は、例えば電子撮像機能を備えた電子機器と無線または有線により接続されたパーソナルコンピュータ等の操作側端末に搭載することもできる。
【0034】
ここで
図1にデジタルカメラ1の機能構成を示すブロック図を示す。本実施形態のデジタルカメラ1は、
図1に示す如く、デジタルカメラ1の操作系として、レリーズボタン27や、図示しないメニュー/OKボタン、ズーム/上下矢印ボタン等の操作内容をCPU30に伝える操作部26が設けられている。
【0035】
撮影レンズ10は被写体像を所定の結像面上(カメラ本体内部にある撮像素子)に結像させるためのものであり、撮影レンズ10を構成するものとして、フォーカスレンズ10a及びズームレンズ10bが設けられている。これらの各レンズは、モータとモータドライバからなるフォーカスレンズ駆動部20a、ズームレンズ駆動部20bによってステップ駆動され、光軸方向に移動可能な構成となっている。フォーカスレンズ駆動部20aは、後述するAF処理部32から出力されるフォーカス駆動量データに基づいてフォーカスレンズ10aをステップ駆動する。ズームレンズ駆動部20bは、ズーム/上下矢印ボタン(操作部26)の操作量データに基づいてズームレンズ10bのステップ駆動を制御する。
【0036】
絞り11は、モータとモータドライバとからなる絞り駆動部21によって駆動される。この絞り駆動部21は、後述するAE処理部33から出力される絞り値データに基づいて絞り11の絞り径の調整を行う。
【0037】
シャッタ12は、メカニカルシャッタであり、モータとモータドライバとからなるシャッタ駆動部22によって駆動される。シャッタ駆動部22は、レリーズボタン27の押下により発生する信号と、AE処理部33から出力されるシャッタ速度データとに応じてシャッタ12の開閉の制御を行う。
【0038】
上記光学系の後方には、撮影素子であるCCD(Charge-Coupled Device)13を有している。CCD13は、多数の受光素子がマトリクス状に配置されてなる光電面を有しており、光学系を通過した被写体光が光電面に結像され、光電変換される。光電面の前方には、各画素に光を集光させるためのマイクロレンズアレイ(不図示)と、RGB各色のフィルタが規則的に配列されてなるカラーフィルタアレイ(不図示)とが配置されている。
【0039】
CCD13は、CCD駆動部23から供給される垂直転送クロック信号及び水平転送クロック信号に同期して、画素毎に蓄積された電荷を1ラインずつ読み出してシリアルなアナログ画像信号として出力する。各画素における電荷の蓄積時間、即ち露出時間は、CCD駆動部23から与えられる電子シャッタ駆動信号によって決定される。
【0040】
CCD13が出力するアナログ画像信号は、アナログ信号処理部14に入力される。このアナログ信号処理部14は、アナログ画像信号のノイズ除去を行う相関2重サンプリング回路と、アナログ画像信号のゲイン調整を行うオートゲインコントローラと、アナログ画像信号をデジタル画像データに変換するA/Dコンバータ(Analog/Digital converter)とからなる。そしてこのデジタル信号に変換されたデジタル画像データは、画素毎にRGB(Red Green Blue)の濃度値を持つCCD−RAWデータである。
【0041】
タイミングジェネレータ24は、タイミング信号を発生させるものであり、このタイミング信号がシャッタ駆動部22、CCD駆動部23、アナログ信号処理部14に入力されて、レリーズボタン27の操作と、シャッタ12の開閉、CCD13の電荷取り込み、アナログ信号処理部14の処理の同期が取られる。
【0042】
フラッシュ15は、レリーズボタン27が押下され、シャッタ12が開いている間に、撮影に必要な光を被写体に対して瞬間的に照射するためのものである。フラッシュ制御部25は、フラッシュ15の発光動作を制御する。
【0043】
画像入力コントローラ31は、上記アナログ信号処理部14から入力されたCCD−RAWデータをフレームメモリ36に書き込む。このフレームメモリ36は、画像データに対して後述の各種デジタル画像処理(信号処理)を行う際に使用する作業用メモリであり、例えば、一定周期のバスクロック信号に同期してデータ転送を行うSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が使用される。
【0044】
表示制御部39は、フレームメモリ36に格納された画像データをスルー画像として液晶モニタ40に表示させるためのものであり、例えば、輝度(Y)信号と色(C)信号を一緒にして1つの信号としたコンポジット信号に変換して、液晶モニタ40に出力する。スルー画像は、撮影モードが選択されている間、所定時間間隔で取得されて液晶モニタ40に表示される。また表示制御部39は、外部記録メディア38に記憶され、メディア制御部37によって読み出された画像ファイルに含まれる画像データに基づいた画像を液晶モニタ40に表示させる。
【0045】
液晶モニタ40は、撮影の際に被写体確認用のスルー画像が表示され、電子ビューファインダとして機能する他、撮影後の静止画や動画の再生表示、各種設定メニューの表示を行う。
【0046】
AF処理部32は、検出された合焦位置に基づいて合焦設定値(フォーカス駆動量)を決定し、フォーカス駆動量データを出力する。この出力されたフォーカス駆動量データに基づいて、フォーカスレンズ駆動部20aがフォーカスレンズ10aをステップ駆動する(AF処理)。本実施形態においては、合焦位置の検出方式としてコントラスト検出方式を採用する。AF処理部32はフォーカスレンズ駆動部20aによってフォーカスレンズ10aを予め設定された合焦のためのサーチ範囲内で光軸方向に移動させながら、予め設定されたサーチ幅及びサーチ点数で、かつ後述する露光時間設定部46によって設定された露光時間で、フォーカスレンズ10aの所定位置毎に段階的にCCD13に被写体を撮像させることにより複数の画像データを取得するAFサーチを行う。なおサーチ範囲、サーチ幅及びサーチ点数は、予めデジタルカメラ1に設定されている値を使用してもよいし、ユーザが操作部26によって設定してもよい。
【0047】
また、撮影者によって撮影指示がなされた時、例えばレリーズボタン27が全押し操作された本撮影時の合焦位置は、後述する合焦位置算出部44により検出された合焦位置を使用し、この合焦位置に基づいて合焦設定値(フォーカス駆動量)を決定し、フォーカス駆動量データを出力する。
【0048】
AE処理部33は、画像データに基づいて被写体輝度(測光値)を測定し、測定した被写体輝度に基づいて絞り値及び露光時間(シャッタスピード)等の露光設定値を決定し、絞り値データ及び露光時間データを出力する。この出力された絞り値データ及び露光時間データに基づいて、絞り駆動部21が絞り11の絞り径の調整を行い、シャッタ駆動部22がシャッタ12の開閉を制御する(AE処理)。なお、AE処理部33は、本撮影時の露光時間と、合焦位置の算出に使用される画像データを取得するためのAFサーチ時の露光時間データを出力する。
【0049】
AWB処理部34は、画像データに基づいて色温度を算出し、算出した色温度に応じて撮影時のホワイトバランスを自動調整する(AWB処理)。なお、AWB処理部34は、撮影前でも、撮影後でもホワイトバランスの調整を行うことができる。
【0050】
画像信号処理部41は、本画像の画像データに対してガンマ補正処理、輪郭強調(シャープネス)処理、コントラスト処理、ノイズ低減処理等の画質補正処理を施すと共に、CCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータ及び赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を行う。
【0051】
なお本画像とは、撮影者によって撮影指示がなされた時、例えばレリーズボタン27が全押し操作された本撮影時にCCD13から取り込まれ、アナログ信号処理部14、画像入力コントローラ31経由でフレームメモリ36に格納された画像データによる静止画像や動画像である。本画像の画素数の上限はCCD13の画素数によって決定されるが、例えば、撮影者が設定可能な画質設定(フル画素、ハーフ画素、自動画素等の設定)により、記録画素数を変更することができる。一方、スルー画像等の画素数は本画像より少なくてもよく、例えば、本画像の1/16程度の画素数で取り込まれてもよい。
【0052】
圧縮/伸長処理部35は、画像信号処理部41によって画質補正等の処理が行われた本画像の画像データに対して、静止画像のときにはJPEG(Joint Photographic Experts Group)、動画像のときにはMPEG(Moving Photographic Experts Group)等の圧縮形式で圧縮処理を行って、画像ファイルを生成する。この画像ファイルには、Exif(Exchangeable image file format)形式等に基づいて、撮影日時や、撮影シーン等の付帯情報が格納されたタグが付加される。
【0053】
またこの圧縮/伸長処理部35は、再生モードにおいては外部記録メディア38から圧縮された画像ファイルを読み出し、伸長処理を行う。伸長後の画像データは表示制御部39に出力され、表示制御部39は画像データに基づいた画像を液晶モニタ40に表示する。
【0054】
メディア制御部37は、メモリカード等の外部記録メディア38が充填されるための充填口であり外部記録メディア38が充填されるとデータの読み取り/書き込みを行うメディアスロットに相当し、外部記録メディア38に記憶された画像ファイル等の読み出し、または画像ファイルの書き込みを行う。
【0055】
内部メモリ42は、デジタルカメラ1において設定される各種定数、及び、CPU30が実行するプログラム等を格納する。
【0056】
ここで、デジタルカメラ1に搭載された合焦位置検出装置100について説明する。本実施形態の合焦位置検出装置100は、コントラスト評価値算出部(コントラスト評価値算出手段)43、合焦位置算出部(合焦位置算出手段)44、検知部(検知手段)45及び露光時間設定部(露光時間設定手段)46を備えている。
【0057】
コントラスト評価値算出部43は、AF処理部32によるAFサーチによって取得され、アナログ信号処理部14、画像入力コントローラ31経由でフレームメモリ36に格納された複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する。コントラスト評価値算出部43によるコントラスト評価値の算出は、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタ等を用いて行う公知の技術を使用することができる。各フィルタの周波数特性を調整することで、コントラスト評価値の高低や、横軸を撮影レンズの合焦位置、縦軸をコントラスト評価値としてグラフにした評価値カーブにおけるピークの形状を調整することが可能となる。本実施形態においては、画像データをフィルタリング処理して高周波成分を求め、この高周波成分の絶対値を積分した値をコントラスト評価値とする。
【0058】
合焦位置算出部44は、各コントラスト評価値の算出元となる画像データを撮像したときの各々のフォーカス位置とコントラスト評価値算出部43により算出されたコントラスト評価値とから、合焦位置を算出する。なお本実施形態において合焦位置は、算出されたコントラスト評価値が最も高いところ、すなわちピーク値を基準にして算出する。具体的には、合焦位置は、コントラスト評価値が最大となる合焦位置とその前後の複数点の合焦位置、及び各合焦位置に対応するコントラスト評価値に基づき補間演算にてコントラスト評価値のピーク値に対応する合焦位置を算出する。
【0059】
検知部45は、大気の揺らぎを検知するものである。大気の揺らぎは、ユーザにより操作部26を介して、大気の揺らぎがあることが入力されることにより検知する。なお本実施形態においては、ユーザによって手動的に大気の揺らぎを検知するものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、デジタルカメラ1が静止画撮影モードにより撮影を行う場合には、撮像された複数の画像データを用いて、画像データ中に決定した基準点の時間経過に伴う変化を画像解析し、画像解析の結果、変化があると判断した場合に、大気の揺らぎがあると検知するようにしてもよい。大気の揺らぎの検知には公知の技術を使用することができる。
【0060】
露光時間設定部46は、検知部45によって大気の揺らぎが検知された場合に、合焦位置の算出に使用される画像データを取得するためのAFサーチ時の露光時間を、AE処理部33によって設定された露光時間よりも長く設定してAE処理部33に出力する。なおAE処理部33は、露光時間設定部46から出力されたAFサーチ時の露光時間データを出力する。
【0061】
大気の揺らぎに起因する評価値カーブの形状の乱れは、各コントラスト評価値の算出元となる画像データを撮像したときの露光時間との関連性が強く、露光時間が短いほど被写体像は鮮明になるが、撮像された画像データ間での被写体像の形状差が大きくなるので評価値カーブの形状は乱れる場合が多い。一方、露光時間が長いほど被写体像は不鮮明になるものの、画像データを時間平均化することにより被写体像が揺らぎのない像となるため、画像データ間での被写体像の形状差が小さくなるので評価値カーブの形状は乱れる場合が少ない。従って、大気の揺らぎを検知した場合にAFサーチ時の露光時間を、設定された露光時間すなわち大気の揺らぎを検知していない場合のAFサーチ時の露光時間よりも長く設定することにより、大気の揺らぎが発生した場合に、取得した複数の画像データにおいて、被写体像は不鮮明になるものの、時間平均化されて被写体像が揺らぎのない像となるため、画像データ間での被写体像の形状差を小さくすることができ、被写体像が揺らぐことによるコントラスト評価値の変動を軽減することができて、より正確に合焦位置を算出することができる。
【0062】
CPU30は、操作部26による操作や各機能ブロックからの信号に応じて、デジタルカメラ1の本体各部を制御する。
【0063】
データバス60は、画像入力コントローラ31、各種処理部14、32〜35、41、フレームメモリ36、各種制御部37、39、内部メモリ42、コントラスト評価値算出部43、合焦位置算出部44、検知部45、露光時間設定部46及びCPU30に接続されており、このデータバス60を介して各種信号、データの送受信が行われる。
【0064】
上記構成されたデジタルカメラ1では、ユーザが操作部26を操作することにより撮影モードまたは再生モードに設定される。そして撮影モードのときは、ユーザが液晶モニタ40に表示されたスルー画像で被写体の構図等を確認し、レリーズボタン27を半押し操作するとAE処理が行われて、本撮影に使用される絞り値及び露光時間(シャッタスピード)とAFサーチ時の撮影に使用される露光時間等の露光設定値が決定され、次にAF処理が行われて、本撮影のための合焦位置が決定され、レリーズボタン27が全押し操作されるとAE処理及びAF処理によって出力されたデータに基づいて本撮影が行われ、この本撮影によって取得された画像データが、外部記録メディア38に記録される。
【0065】
次に、以上の構成のデジタルカメラ1における合焦位置検出処理を含むAF処理について、図面を参照して詳細に説明する。
図2はデジタルカメラ1のAF処理の流れを説明するためのフローチャートを示す図である。
【0066】
まず、
図2に示すように、検知部45が大気の揺らぎがあるか無いかを検知する(ステップS1)。大気の揺らぎがない場合(ステップS2;NO)には、露光時間設定部46がAFサーチ時の撮影に使用される露光時間をT1(<T2)に設定して(ステップS3)、合焦位置算出部44がAF処理部32に上述したAFサーチを実行させる(ステップS5)。ここで露光時間T1は大気の揺らぎがない場合、すなわち標準時の露光時間であり、露光時間T2は大気の揺らぎがある場合の露光時間であって、露光時間設定部46によって露光時間T2は露光時間T1よりも長く設定されている。
【0067】
一方、ステップS2において、大気の揺らぎがある場合(ステップS2;YES)には、露光時間設定部46がAFサーチ時に使用される露光時間をT2(>T1)に設定して(ステップS4)、合焦位置算出部44がAF処理部32に上述したAFサーチを実行させる(ステップS5)。
【0068】
次に、コントラスト評価値算出部43が、AF処理部32によるAFサーチによって取得された複数の画像データから上述した方法によって各々コントラスト評価値を算出し、合焦位置算出部44がAFサーチ時の各々のフォーカス位置とコントラスト評価値算出部43により算出されたコントラスト評価値から合焦位置を算出して、算出した合焦位置をAF処理部32に出力する(ステップS6)。本実施形態の合焦位置検出装置100は、
図2においてステップS1からステップS6までの処理を行う。
【0069】
次に、AF処理部32が、合焦位置算出部44から出力された合焦位置に基づいて、合焦設定値(フォーカス駆動量)を決定し、フォーカス駆動量データを出力して、フォーカスレンズ駆動部20aが、AF処理部32から出力されるフォーカス駆動量データに基づいてフォーカスレンズ10aを合焦位置にステップ駆動する(ステップS7)。
【0070】
以上によりデジタルカメラ1はAF処理を行う。本実施形態のデジタルカメラ1の合焦位置検出装置100による合焦位置検出方法によれば、大気の揺らぎを検知した場合にAFサーチ時の露光時間を、設定された露光時間すなわち大気の揺らぎを検知していない場合のAFサーチ時の露光時間よりも長く設定しているので、大気の揺らぎが発生した場合に、取得した複数の画像データにおいて、被写体像は不鮮明になるものの、時間平均化されて被写体像が揺らぎのない像となるため、画像データ間での被写体像の形状差を小さくすることができ、被写体像が揺らぐことによるコントラスト評価値の変動を軽減することができて、より正確に合焦位置を算出することができる。
【0071】
なお本実施形態のデジタルカメラ1においては、AF処理部32の他に、合焦位置検出装置100のコントラスト評価値算出部43及び合焦位置算出部44を備えるものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、AF処理部32を合焦位置検出装置100のコントラスト評価値算出部43及び合焦位置算出部44として機能させてもよい。
【0072】
また本実施形態のデジタルカメラ1においては、AE処理部33の他に、合焦位置検出装置100の露光時間設定部46を備えるものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、AE処理部33を合焦位置検出装置100の露光時間設定部46として機能させてもよい。
【0073】
次に本発明に係る第2の実施形態として、本発明における第2の実施形態の合焦位置検出装置100−2を備えたデジタルカメラ1−2を例に説明する。ここで、
図3にデジタルカメラ1−2の機能構成を示すブロック図を示す。なお、第2の実施形態におけるデジタルカメラ1−2において、
図3のブロック図については、第1の実施形態において説明した
図1のブロック図と同一の構成のものは同じ符号で示して説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0074】
図3に示すデジタルカメラ1−2は、合焦位置検出装置100−2を搭載している。合焦位置検出装置100−2は、上述した検知部45及び露光時間設定部46に加えて、さらに標準コントラスト評価値算出部(標準コントラスト評価値算出手段)47、第1の合焦位置算出部(第1の合焦位置算出手段)48、揺らぎコントラスト評価値算出部(揺らぎコントラスト評価値算出手段)49及び第2の合焦位置算出部(第2の合焦位置算出手段)50を備えている。
【0075】
標準コントラスト評価値算出部47は、フォーカスレンズ10aを予め設定された合焦のための第1のサーチ範囲内で光軸方向に移動させながら、予め設定されたサーチ幅及びサーチ点数で、かつ露光時間設定部46によって設定された露光時間T1で、フォーカスレンズ10aの所定位置毎に段階的にCCD13に被写体を撮像させることにより複数の画像データを取得するAF処理部32によるAFサーチによって取得され、アナログ信号処理部14、画像入力コントローラ31経由でフレームメモリ36に格納された複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する。標準コントラスト評価値算出部47によるコントラスト評価値の算出は、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタ等を用いて行う公知の技術を使用することができる。各フィルタの周波数特性を調整することで、コントラスト評価値の高低や、横軸を撮影レンズの合焦位置、縦軸をコントラスト評価値としてグラフにした評価値カーブにおけるピークの形状を調整することが可能となる。本実施形態においては、画像データをフィルタリング処理して高周波成分を求め、この高周波成分の絶対値を積分した値をコントラスト評価値とする。
【0076】
第1の合焦位置算出部48は、各コントラスト評価値の算出元となる画像データを撮像したときの各々のフォーカス位置と標準コントラスト評価値算出部47により算出されたコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する。なお本実施形態において第1の合焦位置は、算出されたコントラスト評価値が最も高いところ、すなわちピーク値を基準にして算出する。具体的には、第1の合焦位置は、コントラスト評価値が最大となる合焦位置とその前後の複数点の合焦位置、及び各合焦位置に対応するコントラスト評価値に基づき補間演算にてコントラスト評価値のピーク値に対応する合焦位置を算出する。
【0077】
揺らぎコントラスト評価値算出部49は、検知部45が大気の揺らぎを検知した場合に、第1の合焦位置算出部44によって算出された第1の合焦位置を含み、かつ、第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、フォーカスレンズ10aを光軸方向に移動させながら、予め設定されたサーチ幅及びサーチ点数で、かつ露光時間設定部46によって設定された、大気の揺らぎが検知された場合の露光時間T2で、フォーカスレンズ10aの所定位置毎に段階的にCCD13に被写体を撮像させることにより複数の画像データを取得するAF処理部32によるAFサーチによって取得され、アナログ信号処理部14、画像入力コントローラ31経由でフレームメモリ36に格納された複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する。
【0078】
第2の合焦位置算出部50は、揺らぎコントラスト評価値算出部49により算出された各コントラスト評価値の算出元となる画像データを撮像したときの各々のフォーカス位置と揺らぎコントラスト評価値算出部49により算出されたコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する。なお本実施形態において第2の合焦位置は、算出されたコントラスト評価値が最も高いところ、すなわちピーク値を基準にして算出する。具体的には、第2の合焦位置も第1の合焦位置と同様に、コントラスト評価値が最大となる合焦位置とその前後の複数点の合焦位置、及び各合焦位置に対応するコントラスト評価値に基づき補間演算にてコントラスト評価値のピーク値に対応する合焦位置を算出する。
【0079】
次に、以上の構成のデジタルカメラ1−2における合焦位置検出処理を含むAF処理について、図面を参照して詳細に説明する。ここで
図4にデジタルカメラ1−2のAF処理の流れを説明するためのフローチャートを示す図、
図5に評価値カーブ及びAFサーチ範囲の一例を示す図をそれぞれ示す。
【0080】
まず、
図4に示すように、露光時間設定部46がAFサーチ時の撮影に使用される露光時間をT1(<T2)に設定し(ステップS21)、ユーザが操作部26を操作することにより第1のサーチ範囲を設定する(ステップS22)。ここで露光時間T1は大気の揺らぎがない場合、すなわち標準時の露光時間であり、露光時間T2は大気の揺らぎがある場合の露光時間であって、露光時間設定部46によって露光時間T2は露光時間T1よりも長く設定されている。なお第1のサーチ範囲は、予めデジタルカメラ1−2に設定されている値を使用してもよい。本実施形態においては、
図5に示すように、INFすなわち無限遠からMODすなわち最短撮影距離までの間を第1のサーチ範囲とする。
【0081】
次に、第1の合焦位置算出部48がAF処理部32に第1のサーチ範囲に対して上述したAFサーチを実行させる(ステップS23)。なお本実施形態においては、
図5に示すように、第1のサーチ範囲内で20回撮像する。標準コントラスト評価値算出部47が、AF処理部32によるAFサーチによって取得された20個の画像データから上述した方法によって各々コントラスト評価値を算出し、第1の合焦位置算出部48がAFサーチ時の各々のフォーカス位置と標準コントラスト評価値算出部47により算出されたコントラスト評価値から第1の合焦位置を算出する(ステップS24)。
【0082】
次に、検知部45が大気の揺らぎがあるか無いかを検知し(ステップS25)、大気の揺らぎがない場合(ステップS26;NO)には、第1の合焦位置算出部48により算出された第1の合焦位置をAF処理部32に出力し、AF処理部32が、第1の合焦位置算出部48から出力された第1の合焦位置に基づいて、合焦設定値(フォーカス駆動量)を決定し、フォーカス駆動量データを出力して、フォーカスレンズ駆動部20aが、AF処理部32から出力されるフォーカス駆動量データに基づいてフォーカスレンズ10aを第1の合焦位置にステップ駆動する(ステップS27)。
【0083】
一方、大気の揺らぎがある場合(ステップS26;YES)には、露光時間設定部46がAFサーチ時の撮影に使用される露光時間をT2(>T1)に設定し(ステップS28)、ユーザが操作部26を操作することにより第2のサーチ範囲を設定する(ステップS29)。ここで露光時間設定部46によって露光時間T2は露光時間T1よりも長く設定される。なお第2のサーチ範囲は、予めデジタルカメラ1−2に設定されている複数の値からユーザが操作部26を操作することにより選択可能にしてもよい。第2のサーチ範囲は、第2の合焦位置を算出するために複数の評価値が必要であることを考慮して、第1の合焦位置を含み、かつ前後の評価値を含む範囲で設定するものとし、本実施形態においては、
図5に示すように、第2のサーチ範囲の中心を第1の合焦位置とする。具体的には、第1の合焦位置を基準として前後2点の評価値、つまり5点の評価値が取得できるように設定する。
【0084】
次に、第2の合焦位置算出部50がAF処理部32に第2のサーチ範囲に対して上述したAFサーチを実行させる(ステップS30)。なお本実施形態においては、
図5に示すように、第2のサーチ範囲内で5回撮像する。揺らぎコントラスト評価値算出部49が、AF処理部32によるAFサーチによって取得された5個の画像データから上述した方法によって各々コントラスト評価値を算出し、第2の合焦位置算出部50がAFサーチ時の各々のフォーカス位置と揺らぎコントラスト評価値算出部49により算出されたコントラスト評価値から第2の合焦位置を算出して(ステップS31)、第2の合焦位置算出部50により算出された第2の合焦位置をAF処理部32に出力する。そしてAF処理部32が、第2の合焦位置算出部50から出力された第2の合焦位置に基づいて、合焦設定値(フォーカス駆動量)を決定し、フォーカス駆動量データを出力して、フォーカスレンズ駆動部20aが、AF処理部32から出力されるフォーカス駆動量データに基づいてフォーカスレンズ10aを第2の合焦位置にステップ駆動する(ステップS32)。以上によりデジタルカメラ1−2はAF処理を行う。
【0085】
本実施形態のデジタルカメラ1−2の合焦位置検出装置100−2による合焦位置検出方法によれば、大気の揺らぎを検知した場合に、大気の揺らぎを検知していない場合よりも長い露光時間T2を設定してAFサーチを実行している。ここで
図6に露光時間の設定を説明するための図を示す。
【0086】
大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間T1=t/4ms、大気の揺らぎを検知した場合の露光時間T2を大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間T1の4倍すなわち露光時間T2=tmsとした場合、通常、露光時間が長くなると1回の撮像に要する時間が長くなるため、AFサーチ全体に要する時間も増加してしまう。例えば、第1のサーチ範囲内でのサーチ点数N1=20回、大気の揺らぎを検知しない場合の露光時間T1=5ms及び大気の揺らぎを検知した場合の露光時間T2=20msとすると、露光時間T1の場合は、サーチに要する時間がT1×20=5×20=100msとなり、露光時間T2の場合は、サーチに要する時間がT2×20=20×20=400msとなる。
【0087】
本実施形態のデジタルカメラ1−2においては、一度、大気の揺らぎのない場合の露光時間T1で第1のサーチ範囲に対してAFサーチを実行し、第1の合焦位置を算出した後で、検知部45が大気の揺らぎの検知を行い、大気の揺らぎがあると検知された場合にのみ、露光時間を大気の揺らぎのある場合の露光時間T2に設定して、第1の合焦位置を含み、かつ第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対してAFサーチを実行し、第2の合焦位置を算出する。なお実施形態においては、第1のサーチ範囲に対するAFサーチと第2のサーチ範囲に対するAFサーチとは、隣り合うサーチ点数の間隔すなわちサーチ幅は同じ幅とする。
【0088】
すなわち、
図6に示すように、第2のサーチ範囲内でのサーチ点数N2を5回とすると、大気の揺らぎがあると検知された場合に、第2のサーチ範囲内でのAFサーチに要する時間はT2×5=20×5=100msとなり、第1のサーチ範囲内でのAFサーチに要する時間100msと合わせると200msになって、この200msは、大気の揺らぎがあると検知された場合に第1のサーチ範囲に対して露光時間T2でAFサーチを行ったときにAFサーチに要する時間である400msよりも短い時間となる。
【0089】
従って、本実施形態のデジタルカメラ1−2の合焦位置検出装置100−2による合焦位置検出方法によれば、大気の揺らぎを検知した場合のみに、再度AFサーチを行うことになり、不要なAFサーチを行わないことによりAFサーチに要する時間を低減することができる。つまり、大気の揺らぎを検知した場合にAFサーチ時の露光時間を、設定された露光時間すなわち大気の揺らぎを検知していない場合のAFサーチ時の露光時間よりも長く設定したことで生じるAFサーチの長時間化を抑制することができる。
【0090】
なお本実施形態においては、第1のサーチ範囲に対するAFサーチと第2のサーチ範囲に対するAFサーチとは、隣り合うサーチ点数の間隔すなわちサーチ幅は同じ幅としたが、本発明はこれに限られるものではなく、サーチ幅を異なる幅としてもよい。ここで
図7にサーチ幅を異なる幅としたときの評価値カーブ及びAFサーチ範囲の一例を示す図を示す。なお第1のサーチ範囲、第1のサーチ範囲内におけるサーチ点数、サーチ幅及び第2のサーチ範囲は上述した実施形態の
図6に示す値と同様である。
【0091】
図7に示すように、第2のサーチ範囲におけるサーチ幅を第1のサーチ幅よりも短く設定し、かつ、第2のサーチ範囲におけるサーチ点数を上述した実施形態よりも多い9回とすると、大気の揺らぎがあると検知された場合に、第2のサーチ範囲内でのAFサーチに要する時間はT2×9=20×9=180msとなり、第1のサーチ範囲内でのAFサーチに要する時間100msと合わせると280msになって、この280msは、大気の揺らぎがあると検知された場合に第1のサーチ範囲に対して露光時間T2でAFサーチを行ったときにサーチに要する時間である400msよりも短い時間となる。
【0092】
従って、大気の揺らぎを検知した場合のAFサーチ時の露光時間を、設定された露光時間すなわち大気の揺らぎを検知していない場合のAFサーチ時の露光時間よりも長く設定したことで生じるAFサーチの長時間化を抑制することができ、さらに、サーチ幅を短くすることによりサーチ点数を多くすることができるので、大気の揺らぎを検知した場合の第2のサーチ範囲でのコントラスト評価値を多く算出できて、コントラスト評価値のピーク値に対応する合焦位置をより正確に検出することができる。
【0093】
次に本発明に係る第3の実施形態として、本発明における第3の実施形態の合焦位置検出装置100−3を備えたデジタルカメラ1−3を例に説明する。ここで、
図8にデジタルカメラ1−3の機能構成を示すブロック図を示す。なお、第3の実施形態におけるデジタルカメラ1−3において、
図8のブロック図については、第1の実施形態において説明した
図1のブロック図と同一の構成のものは同じ符号で示して説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0094】
図8に示すデジタルカメラ1−2は、合焦位置検出装置100−3を搭載している。合焦位置検出装置100−3は、上述した検知部45は備えておらず、上述した露光時間設定部46に加えて、さらに第1のコントラスト評価値算出部(第1のコントラスト評価値算出手段)51、第1の合焦位置算出部(第1の合焦位置算出手段)52、第2のコントラスト評価値算出部(第2のコントラスト評価値算出手段)53、時間変動検出部(時間変動検出手段)54、判断部(判断手段)55、第3のコントラスト評価値算出部(第3のコントラスト評価値算出手段)56及び第2の合焦位置算出部(第2の合焦位置算出手段)57を備えている。
【0095】
第1のコントラスト評価値算出部51は、フォーカスレンズ10aを予め設定された合焦のための第1のサーチ範囲内で光軸方向に移動させながら、予め設定されたサーチ幅及びサーチ点数で、かつ露光時間設定部46によって設定された露光時間T1で、フォーカスレンズ10aの所定位置毎に段階的にCCD13に被写体を撮像させることにより複数の画像データを取得するAF処理部32による第1のAFサーチによって取得され、アナログ信号処理部14、画像入力コントローラ31経由でフレームメモリ36に格納された複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する。第1のコントラスト評価値算出部51によるコントラスト評価値の算出は、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタ等を用いて行う公知の技術を使用することができる。各フィルタの周波数特性を調整することで、コントラスト評価値の高低や、横軸を撮影レンズの合焦位置、縦軸をコントラスト評価値としてグラフにした評価値カーブにおけるピークの形状を調整することが可能となる。本実施形態においては、画像データをフィルタリング処理して高周波成分を求め、この高周波成分の絶対値を積分した値をコントラスト評価値とする。
【0096】
第1の合焦位置算出部52は、各コントラスト評価値の算出元となる画像データを撮像したときの各々のフォーカス位置と第1のコントラスト評価値算出部51により算出されたコントラスト評価値とから、第1の合焦位置を算出する。なお本実施形態において第1の合焦位置は、算出されたコントラスト評価値が最も高いところ、すなわちピーク値を基準にして算出する。具体的には、第1の合焦位置は、コントラスト評価値が最大となる合焦位置とその前後の複数点の合焦位置、及び各合焦位置に対応するコントラスト評価値に基づき補間演算にてコントラスト評価値のピーク値に対応する合焦位置を算出する。
【0097】
第2のコントラスト評価値算出部53は、第1の合焦位置算出部44によって算出された第1の合焦位置において、露光時間設定部46によって設定された露光時間T1で、フォーカス位置を変化させずにCCD13に被写体を複数回撮像させることにより取得され、アナログ信号処理部14、画像入力コントローラ31経由でフレームメモリ36に格納された複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する。なお第2のコントラスト評価値算出部53によって取得されたコントラスト評価値は、後述する時間変動検出部54によってコントラスト評価値に変動があるか否かを判断するために使用するので、フォーカス位置を変化させずにCCD13に少なくとも2回被写体を撮像させる。
【0098】
時間変動検出部54は、第2のコントラスト評価値算出部53によって算出された2枚以上のコントラスト評価値の時間変動を検出するものである。時間変動の検出は、例えばフォーカス位置を変化させずにCCD13に5回被写体を撮像させることにより、第2のコントラスト評価値算出部53が5つのコントラスト評価値を算出したとすると、5つのコントラスト評価値の最大値と最小値の差を検出する。なお本実施形態においては5つのコントラスト評価値の最大値と最小値の差を検出するものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば標準偏差を検出してもよい。
【0099】
判断部55は、時間変動検出部54による時間変動の検出結果からコントラスト評価値における大気の揺らぎの影響の有無を判断するものである。具体的には、時間変動検出部54により算出された5つのコントラスト評価値の最大値と最小値の差の値が、予め設定された閾値よりも大きい場合には、コントラスト評価値が乱れていて大気の揺らぎの影響があると判断する。なお上記閾値は、予めデジタルカメラ1−3に設定されている閾値を使用することもできるし、ユーザが操作部26によって入力することにより設定することもできる。また自動算出することもできる。ここで閾値を自動算出して決定する方法の一例を説明する。
【0100】
上記第1のAFサーチにおいて第1のコントラスト評価値算出部51が算出したコントラスト評価値のうち最大コントラスト評価値Vmaxと、最大コントラスト評価値Vmaxに対応する合焦位置の前後の合焦位置のコントラスト評価値のうち小さい方を最小コントラスト評価値Vminとして判定閾値Thresを下記式(1)で計算する。
Thres=(Vmax−Vmin)×K・・・(1)
ここでKは予め設定する閾値調整パラメータであり、経験的に0.05〜0.2の範囲の値を設定する。
【0101】
Vmax−Vminは評価値カーブのピーク形状を表すものであり、値が大きければピークが急峻であり、小さければピークが平坦である。一方、合焦位置の算出精度は、VmaxやVminの持つ誤差が大きいほど低下する。大気の揺らぎに起因するコントラスト評価値の誤差がVmax−Vminと比較して小さければ合焦位置精度への影響は小さいので、判定閾値をVmax−Vminに比例させる。
【0102】
第3のコントラスト評価値算出部56は、判断部55が大気の揺らぎの影響があると判断した場合に、第1の合焦位置算出部52によって算出された第1の合焦位置を含み、かつ、第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対して、フォーカスレンズ10aを光軸方向に移動させながら、予め設定されたサーチ幅及びサーチ点数で、かつ露光時間設定部46によって設定された、大気の揺らぎが検知された場合の露光時間T2で、フォーカスレンズ10aの所定位置毎に段階的にCCD13に被写体を撮像させることにより複数の画像データを取得するAF処理部32によるAFサーチによって取得され、アナログ信号処理部14、画像入力コントローラ31経由でフレームメモリ36に格納された複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する。
【0103】
第2の合焦位置算出部57は、第3のコントラスト評価値算出部56により算出された各コントラスト評価値の算出元となる画像データを撮像したときの各々のフォーカス位置と第3のコントラスト評価値算出部56により算出されたコントラスト評価値とから、第2の合焦位置を算出する。なお本実施形態において第2の合焦位置は、算出されたコントラスト評価値が最も高いところ、すなわちピーク値を基準にして算出する。具体的には、第2の合焦位置も第1の合焦位置と同様に、コントラスト評価値が最大となる合焦位置とその前後の複数点の合焦位置、及び各合焦位置に対応するコントラスト評価値に基づき補間演算にてコントラスト評価値のピーク値に対応する合焦位置を算出する。
【0104】
次に、以上の構成のデジタルカメラ1−3における合焦位置検出処理を含むAF処理について、図面を参照して詳細に説明する。ここで
図9にデジタルカメラ1−3のAF処理の流れを説明するためのフローチャートを示す図を示す。
【0105】
まず、
図9に示すように、露光時間設定部46がAFサーチ時の撮影に使用される露光時間をT1(<T2)に設定し(ステップS41)、ユーザが操作部26を操作することにより第1のサーチ範囲を設定する(ステップS42)。ここで露光時間T1は大気の揺らぎがない場合、すなわち標準時の露光時間であり、露光時間T2は大気の揺らぎがある場合の露光時間であって、露光時間設定部46によって露光時間T2は露光時間T1よりも長く設定されている。なお第1のサーチ範囲は、予めデジタルカメラ1−3に設定されている値を使用してもよい。本実施形態においては、上述した実施形態と同様に、
図5に示すように、INFすなわち無限遠からMODすなわち最短撮影距離までの間を第1のサーチ範囲とする。
【0106】
次に、第1の合焦位置算出部52がAF処理部32に第1のサーチ範囲に対して上述したAFサーチを実行させる(ステップS43)。なお本実施形態においては、上述した実施形態と同様に、
図5に示すように、第1のサーチ範囲内で20回撮像する。第1のコントラスト評価値算出部51が、上述した方法によってAF処理部32によるAFサーチによって取得された20個の画像データから各々コントラスト評価値を算出し、第1の合焦位置算出部52がAFサーチ時の各々のフォーカス位置と第1のコントラスト評価値算出部51により算出されたコントラスト評価値から第1の合焦位置を算出する(ステップS44)。
【0107】
次に、第1の合焦位置算出部52により算出された第1の合焦位置をAF処理部32に出力し、AF処理部32が、第1の合焦位置算出部52から出力された第1の合焦位置に基づいて、合焦設定値(フォーカス駆動量)を決定し、フォーカス駆動量データを出力し、フォーカスレンズ駆動部20aが、AF処理部32から出力されるフォーカス駆動量データに基づいてフォーカスレンズ10aを第1の合焦位置にステップ駆動する(ステップS45)。
【0108】
次にAF処理部32が、第1の合焦位置算出部44によって算出された第1の合焦位置において、ステップS43のAFサーチ時と同じ露光時間T1で、フォーカス位置を変化させずにCCD13に被写体を複数回撮像させることにより複数の画像データを取得させ(ステップS46)、第2のコントラスト評価値算出部53が、取得された複数の画像データから各々コントラスト評価値を算出する(ステップS47)。
【0109】
次に時間変動検出部54が、上述した方法により、第2のコントラスト評価値算出部53によって算出された複数のコントラスト評価値の時間変動すなわち最大値と最小値の差を算出し(ステップS48)、判断部55が、時間変動検出部54による時間変動の検出結果から上述した判断方法によってコントラスト評価値における大気の揺らぎの影響の有無を判断し、大気の揺らぎの影響がない場合(ステップS49;NO)には、フォーカスレンズ10aを第1の合焦位置に設定したまま処理を終了する。
【0110】
一方、大気の揺らぎの影響がある場合(ステップS49;YES)には、露光時間設定部46がAFサーチ時の撮影に使用される露光時間をT2(>T1)に設定し(ステップS50)、ユーザが操作部26を操作することにより第2のサーチ範囲を設定する(ステップS51)。ここで露光時間設定部46によって露光時間T2は露光時間T1よりも長く設定される。なお第2のサーチ範囲は、予めデジタルカメラ1−3に設定されている複数の値からユーザが操作部26を操作することにより選択可能にしてもよい。第2のサーチ範囲は、第2の合焦位置を算出するために複数の評価値が必要であることを考慮して、第1の合焦位置を含み、かつ前後の評価値を含む範囲で設定するものとし、本実施形態においては、
図5に示すように、第2のサーチ範囲の中心を第1の合焦位置とする。具体的には、第1の合焦位置を基準として前後2点の評価値、つまり5点の評価値が取得できるように設定する。
【0111】
次に、第2の合焦位置算出部57がAF処理部32に第2のサーチ範囲に対して上述したAFサーチを実行させる(ステップS52)。なお本実施形態においては、
図5に示すように、第2のサーチ範囲内で5回撮像する。第3のコントラスト評価値算出部56が、上述した方法によってAF処理部32によるAFサーチによって取得された5個の画像データから各々コントラスト評価値を算出し、第2の合焦位置算出部57がAFサーチ時の各々のフォーカス位置と第3のコントラスト評価値算出部56により算出されたコントラスト評価値から第2の合焦位置を算出し(ステップS53)、第2の合焦位置算出部57により算出された第2の合焦位置をAF処理部32に出力し、AF処理部32が、第2の合焦位置算出部57から出力された第2の合焦位置に基づいて、合焦設定値(フォーカス駆動量)を決定し、フォーカス駆動量データを出力して、フォーカスレンズ駆動部20aが、AF処理部32から出力されるフォーカス駆動量データに基づいてフォーカスレンズ10aを第2の合焦位置にステップ駆動する(ステップS54)。以上によりデジタルカメラ1−3はAF処理を行う。
【0112】
本実施形態のデジタルカメラ1−3においては、一度、大気の揺らぎのない場合の、標準の露光時間T1で第1のサーチ範囲に対してAFサーチを実行し、第1の合焦位置を算出した後で、判断部55が大気の揺らぎの有無の判断を行い、大気の揺らぎの影響があると判断された場合にのみ、露光時間を大気の揺らぎのある場合の露光時間T2に設定して、第1の合焦位置を含み、かつ第1のサーチ範囲よりも狭い第2のサーチ範囲に対してAFサーチを実行し、第2の合焦位置を算出する。つまり、大気の揺らぎの影響がある場合にのみ、大気の揺らぎを検知していない、すなわち標準の露光時間T1よりも長い露光時間T2を設定してAFサーチを実行しているので、算出したコントラスト評価値に対する大気の揺らぎの影響がある場合のみに、再度AFサーチを行うことになり、不要なAFサーチを行わないことによりAFサーチに要する時間を低減することができる。つまり、大気の揺らぎの影響があると判断した場合のAFサーチ時の露光時間を、設定された露光時間すなわち標準のAFサーチ時の露光時間よりも長く設定したことで生じるAFサーチの長時間化を抑制することができる。
【0113】
なお本実施形態においては、第1のサーチ範囲に対するAFサーチと第2のサーチ範囲に対するAFサーチとは、隣り合うサーチ点数の間隔すなわちサーチ幅は同じ幅とするが、上述した実施形態と同様に、
図7に示すように、第2のサーチ範囲におけるサーチ幅を第1のサーチ幅よりも短く設定してもよい。
【0114】
第2のサーチ範囲におけるサーチ幅を第1のサーチ幅よりも短く設定することにより、大気の揺らぎの影響があると判断した場合のAFサーチ時の露光時間を、設定された露光時間すなわち標準のAFサーチ時の露光時間よりも長く設定したことで生じるAFサーチの長時間化を抑制することができ、さらに、サーチ幅を短くすることによりサーチ点数を多くすることができるので、大気の揺らぎがあると判断した場合のAFサーチ時の露光時間で撮影された画像データからコントラスト評価値を多く算出できて、コントラスト評価値のピーク値に対応する合焦位置をより正確に検出することができる。
【0115】
なお、大気の揺らぎ以外でコントラスト評価値を乱す要因としては、被写体が動物体であることが考えられる。この場合、被写体の動きによるコントラスト評価値の変動の方が、大気の揺らぎによるコントラスト評価値の変動よりもはるかに大きいことから、AFサーチを実行する前に動物体の検出を行い、動物体が存在する場合には、露光時間を長くする必要はないので、
図9のステップS46以降の処理は行わないことが好ましい。
【0116】
本発明の合焦位置検出装置は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更することができる。