(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の投影画像を表示する第1の表示用光学素子と、前記第1の表示用光学素子に投影光を入射させる第1の光源と、前記第1の表示用光学素子から出射される第1の投影画像を第1の投影対象物に投影する第1の投影レンズと、投影光路上に配置され、赤色、緑色、及び青色の透過波長域を有する第1のバンドパス光学フィルタと、を備えた第1のプロジェクタ装置と、
複数の受光素子が2次元状に配列された第1の距離画像センサと、前記第1の投影対象物にて反射する前記第1の投影画像を前記第1の距離画像センサに結像させる第1の結像レンズと、撮像光路上に配置され、前記第1のバンドパス光学フィルタと同じ特性を有する第2のバンドパス光学フィルタと、前記第1の光源をパルス駆動し、前記第1の光源から出射され、前記第1の投影対象物にて反射して前記第1の距離画像センサに入射するパルス光の飛翔時間に対応する第1の情報を前記第1の距離画像センサから取得し、前記取得した第1の情報に基づいて第1の距離画像を生成する第1の距離画像生成部と、を備えた第1の距離画像取得装置と、
第2の投影画像を表示する第2の表示用光学素子と、前記第2の表示用光学素子に投影光を入射させる第2の光源と、前記第2の表示用光学素子から出射される第2の投影画像を前記第1の投影対象物よりも近い第2の投影対象物に投影する第2の投影レンズと、投影光路上に配置され、前記第1のバンドパス光学フィルタの透過波長域と重複しない赤色、緑色、及び青色の透過波長域を有する第3のバンドパス光学フィルタと、を備えた第2のプロジェクタ装置と、
複数の受光素子が2次元状に配列された第2の距離画像センサと、前記第2の投影対象物にて反射する前記第2の投影画像を前記第2の距離画像センサに結像させる第2の結像レンズと、撮像光路上に配置され、前記第3のバンドパス光学フィルタと同じ特性を有する第4のバンドパス光学フィルタと、前記第2の光源をパルス駆動し、前記第2の光源から出射され、前記第2の投影対象物にて反射して前記第2の距離画像センサに入射するパルス光の飛翔時間に対応する第2の情報を前記第2の距離画像センサから取得し、前記取得した第2の情報に基づいて第2の距離画像を生成する第2の距離画像生成部と、を備えた第2の距離画像取得装置と、
からなり、
前記第1のプロジェクタ装置は、前記第1の距離画像取得装置により取得された前記第1の距離画像に応じて前記第1の投影レンズの焦点調節を行う第1の焦点調節部を備え、
前記第2のプロジェクタ装置は、前記第2の距離画像取得装置により取得された前記第2の距離画像に応じて前記第2の投影レンズの焦点調節を行う第2の焦点調節部を備えた距離画像取得装置付きプロジェクタ装置。
前記第1のバンドパス光学フィルタ及び第2のバンドパス光学フィルタは、前記第3のバンドパス光学フィルタ及び第4のバンドパス光学フィルタよりも透過波長域幅が広い請求項1に記載の距離画像取得装置付きプロジェクタ装置。
前記第1のバンドパス光学フィルタの透過率と前記第1の距離画像センサの分光感度とを掛け合わせた積分感度は、前記第3のバンドパス光学フィルタの透過率と前記第2の距離画像センサの分光感度とを掛け合わせた積分感度よりも大きい請求項2に記載の距離画像取得装置付きプロジェクタ装置。
前記第1の投影レンズにより焦点の合う第1の合焦範囲は、前記第2の投影レンズにより焦点の合う第2の合焦範囲よりも遠い請求項1から3のいずれか1項に記載の距離画像取得装置付きプロジェクタ装置。
前記第1のプロジェクタ装置は、前記第1の投影対象物に投影する前記第1の投影画像であって、前記第1の投影対象物の領域外を黒画像にした前記第1の投影画像を、前記第1の距離画像に基づいて生成する第1の投影画像生成部を備え、
前記第2のプロジェクタ装置は、前記第2の投影対象物に投影する前記第2の投影画像であって、前記第2の投影対象物の領域外を黒画像にした前記第2の投影画像を、前記第2の距離画像に基づいて生成する第2の投影画像生成部を備えた請求項1から5のいずれか1項に記載の距離画像取得装置付きプロジェクタ装置。
前記第1の投影画像生成部と前記第2の投影画像生成部とは、それぞれ前記第1の投影対象物と前記第2の投影対象物との境界部分において、前記黒画像以外の前記第1の投影画像と前記黒画像以外の前記第2の投影画像とが重複する前記第1の投影画像と前記第2の投影画像とを生成し、かつ前記第1の投影画像と前記第2の投影画像との前記重複する境界部分の輝度を、それぞれ半減させた前記第1の投影画像と前記第2の投影画像とを生成する請求項6に記載の距離画像取得装置付きプロジェクタ装置。
前記第1のプロジェクタ装置は、前記第1の投影対象物と前記第2の投影対象物との境界部分の距離が連続的に変化する場合において、前記第1の投影画像の前記境界部分に対応する画像の輝度を連続的に減少させて黒画像にした前記第1の投影画像を、前記第1の距離画像に基づいて生成する第1の投影画像生成部を備え、
前記第2のプロジェクタ装置は、前記第2の投影画像の前記境界部分に対応する画像の輝度を連続的に減少させて黒画像にした前記第2の投影画像を、前記第2の距離画像に基づいて生成する第2の投影画像生成部を備えた請求項1から5のいずれか1項に記載の距離画像取得装置付きプロジェクタ装置。
前記第1の距離画像センサのセンサ出力と前記第2の距離画像センサのセンサ出力とを使用した三角測距法に基づいて前記第1の距離画像取得装置により取得可能な距離よりも遠い距離を測距する三角測距部を備えた請求項1から8のいずれか1項に記載の距離画像取得装置付きプロジェクタ装置。
前記第1のバンドパス光学フィルタから前記第4のバンドパス光学フィルタは、それぞれ480nm以下の青色、500nm以上580nm以下の緑色、及び590nm以上の赤色の3原色域に透過波長域を持つ請求項1から11のいずれか1項に記載の距離画像取得装置付きプロジェクタ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、プロジェクションマッピングでは、投影対象物に距離差があると、投影対象物の全体にピントの合った画像を投影することができないという問題があり、1台のプロジェクタ装置では距離差のある投影対象物(立体)の表面に明瞭な画像を投影することが出来ないという課題があった。
【0008】
これに対し、それぞれ異なる投影距離にピント調整された(即ち、被写界深度が異なる)複数台のプロジェクタ装置から、投影対象物の距離に応じた画像を別々に投影することにより、距離差がある投影対象物の全体にピントの合った画像を投影することができる。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクタ装置の場合、被写界深度が異なる複数台のプロジェクタ装置を準備し、投影対象物の距離に応じた画像をパルス光として別々に投影すると、TOFカメラは別々に投影されたパルス光を混信して受光することになり、距離画像を取得することができないという問題がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、投影対象物に距離差があり、かつ投影対象物が移動しても投影対象物の全体にピントの合った画像を投影することができ、特にTOF方式で距離画像を取得する際にTOF方式専用の光源等を省略することができ、かつ混信せずに測定精度の高い距離画像を取得することができる距離画像取得装置付きプロジェクタ装置及びプロジェクションマッピング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の一の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置は、第1の投影画像を表示する第1の表示用光学素子と、第1の表示用光学素子に投影光を入射させる第1の光源と、第1の表示用光学素子から出射される第1の投影画像を第1の投影対象物に投影する第1の投影レンズと、投影光路上に配置され、赤色、緑色、及び青色の透過波長域を有する第1のバンドパス光学フィルタと、を備えた第1のプロジェクタ装置と、複数の受光素子が2次元状に配列された第1の距離画像センサと、第1の投影対象物にて反射する第1の投影画像を第1の距離画像センサに結像させる第1の結像レンズと、撮像光路上に配置され、第1のバンドパス光学フィルタと同じ特性を有する第2のバンドパス光学フィルタと、第1の光源をパルス駆動し、第1の光源から出射され、第1の投影対象物にて反射して第1の距離画像センサに入射するパルス光の飛翔時間に対応する第1の情報を第1の距離画像センサから取得し、取得した第1の情報に基づいて第1の距離画像を生成する第1の距離画像生成部と、を備えた第1の距離画像取得装置と、第2の投影画像を表示する第2の表示用光学素子と、第2の表示用光学素子に投影光を入射させる第2の光源と、第2の表示用光学素子から出射される第2の投影画像を第1の投影対象物よりも近い第2の投影対象物に投影する第2の投影レンズと、投影光路上に配置され、第1のバンドパス光学フィルタの透過波長域と重複しない赤色、緑色、及び青色の透過波長域を有する第3のバンドパス光学フィルタと、を備えた第2のプロジェクタ装置と、複数の受光素子が2次元状に配列された第2の距離画像センサと、第2の投影対象物にて反射する第2の投影画像を第2の距離画像センサに結像させる第2の結像レンズと、撮像光路上に配置され、第3のバンドパス光学フィルタと同じ特性を有する第4のバンドパス光学フィルタと、第2の光源をパルス駆動し、第2の光源から出射され、第2の投影対象物にて反射して第2の距離画像センサに入射するパルス光の飛翔時間に対応する第2の情報を第2の距離画像センサから取得し、取得した第2の情報に基づいて第2の距離画像を生成する第2の距離画像生成部と、を備えた第2の距離画像取得装置と、からなる。
【0012】
本発明の一の態様によれば、第1の投影画像を第1の投影対象物に投影する第1のプロジェクタ装置及び第1の投影対象物の第1の距離画像を取得する第1の距離画像取得装置と、第2の投影画像を第1の投影対象物よりも近い第2の投影対象物に投影する第2のプロジェクタ装置及び第2の投影対象物の第2の距離画像を取得する第2の距離画像取得装置との2組の距離画像取得装置付きプロジェクタ装置により、距離が異なる第1、第2の投影対象物に対して、それぞれピントの合った第1、第2の投影画像を投影することができる。また、第1のプロジェクタ装置の第1の光源及び第2のプロジェクタ装置の第2の光源をそれぞれパルス駆動することにより、第1、第2の光源及び第1、第2の投影レンズを、第1、第2の距離画像取得装置の光源及び投影レンズとして兼用することができ、装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。更に、第1のプロジェクタ装置側の赤色、緑色、及び青色の透過波長域を有する第1のバンドパス光学フィルタと、第1の距離画像取得装置側の第2のバンドパス光学フィルタとを同一の特性にし、一方、第2のプロジェクタ装置側の第3のバンドパス光学フィルタと、第2の距離画像取得装置側の第4のバンドパス光学フィルタとを同一の特性にし、かつ第1、第2のバンドパス光学フィルタの透過波長域と、第3、第4のバンドパス光学フィルタの透過波長域とが重複しないようにしたため、第1、第2の距離画像センサにおいて、第1、第2の投影画像に対応するパルス光が混信して受光されることがなく、第1、第2の距離画像を精度よく測定することができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、第1のバンドパス光学フィルタ及び第2のバンドパス光学フィルタは、第3のバンドパス光学フィルタ及び第4のバンドパス光学フィルタよりも透過波長域幅が広いことが好ましい。これにより、遠距離
用の第1の投影画像の発光光量を、近距離
用の第2の投影画像の発光光量よりも大きくすることができる。
【0014】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、第1のバンドパス光学フィルタの透過率と第1の距離画像センサの分光感度とを掛け合わせた積分感度は、第3のバンドパス光学フィルタの透過率と第2の距離画像センサの分光感度とを掛け合わせた積分感度よりも大きいことが好ましい。これにより、遠距離
用の第1の距離画像の生成に使用される第1の距離画像センサのセンサ出力と、近距離
用の第2の距離画像の生成に使用される第2の距離画像センサのセンサ出力との差が大きくならないようにすること(測定精度の均一化)ができる。
【0015】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置は、第1の投影レンズにより焦点の合う第1の合焦範囲は、第2の投影レンズより焦点の合う第2の合焦範囲よりも遠いことが好ましい。これにより、近距離から遠距離までピントの合った画像を投影することができる。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、第1の合焦範囲と第2の合焦範囲とは連続し、又は一部が重複することが好ましい。これにより、測定対象物の距離が連続して変化する場合でも、全ての距離にピントの合った画像を投影することができる。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、第1のプロジェクタ装置は、第1の距離画像取得装置により取得された第1の距離画像に応じて第1の投影レンズの焦点調節を行う第1の焦点調節部を備え、第2のプロジェクタ装置は、第2の距離画像取得装置により取得された第2の距離画像に応じて第2の投影レンズの焦点調節を行う第2の焦点調節部を備えることが好ましい。これにより、投影対象物(第1、第2の投影対象物)の距離に応じて、ピントの合った画像(第1、第2の投影画像)を投影することができる。
【0018】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、第1のプロジェクタ装置は、第1の投影対象物に投影する第1の投影画像であって、第1の投影対象物の領域外を黒画像にした第1の投影画像を、第1の距離画像に基づいて生成する第1の投影画像生成部を備え、第2のプロジェクタ装置は、第2の投影対象物に投影する第2の投影画像であって、第2の投影対象物の領域外を黒画像にした第2の投影画像を、第2の距離画像に基づいて生成する第2の投影画像生成部を備える。これにより、第1の投影画像と第2の投影画像との投影領域を分けることができ、遠距離から近距離までピントの合った画像を投影することができる。
【0019】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、第1の投影画像生成部と第2の投影画像生成部とは、それぞれ第1の投影対象物と第2の投影対象物との境界部分において、黒画像以外の第1の投影画像と黒画像以外の第2の投影画像とが重複する第1の投影画像と第2の投影画像とを生成し、かつ第1の投影画像と第2の投影画像との重複する境界部分の輝度を、それぞれ半減させた第1の投影画像と第2の投影画像とを生成することが好ましい。これにより、第1の投影画像と第2の投影画像との重複する境界部分も距離測定することができ、かつ境界部分の輝度が強調されないようにすることができる。
【0020】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、第1のプロジェクタ装置は、第1の投影対象物と第2の投影対象物との境界部分の距離が連続的に変化する場合において、第1の投影画像の境界部分に対応する画像の輝度を連続的に減少させて黒画像にした第1の投影画像を、第1の距離画像に基づいて生成する第1の投影画像生成部を備え、第2のプロジェクタ装置は、第2の投影画像の境界部分に対応する画像の輝度を連続的に減少させて黒画像にした第2の投影画像を、第2の距離画像に基づいて生成する第2の投影画像生成部を備えることが好ましい。これにより、第1の投影画像と第2の投影画像との重複する境界部分も距離測定することができ、かつ境界部分の距離が連続して変化する場合でも、境界部分において、第1の投影画像と第2の投影画像とを滑らかにつなぐことができる。
【0021】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、第1の距離画像センサのセンサ出力と第2の距離画像センサのセンサ出力とを使用した三角測距法に基づいて第1の距離画像取得装置により取得可能な距離よりも遠い距離を測距する三角測距部を備えることが好ましい。2組の第1、第2の距離画像取得装置を使用するため、測定対象物の測距に三角測距法を適用することができ、これにより第1の距離画像取得装置では測定することができない遠距離でも測定することができる。
【0022】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、静的測距モードを選択する測距モード選択部と、静的測距モードが選択されると、第1のプロジェクタ装置及び第2のプロジェクタ装置からそれぞれ第1の投影画像及び第2の投影画像を投影する前に、第1のプロジェクタ装置及び第2のプロジェクタ装置のうちの少なくとも一方から全画面一様光量を投影対象物にパルス照射させ、第1の距離画像取得装置及び第2の距離画像取得装置の少なくとも一方により第1の投影対象物及び第2の投影対象物の第1の距離画像及び第2の距離画像を取得させる制御部と、を備えることが好ましい。これにより、静止している投影対象物(第1、第2の投影対象物)の距離を精度よく測定することができる。
【0023】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、動的測距モードを選択する測距モード選択部と、動的測距モードが選択されると、第1のプロジェクタ装置及び第2のプロジェクタ装置からそれぞれ第1の投影画像及び第2の投影画像をそれぞれ第1の投影対象物及び第2の投影対象物に連続してパルス照射させ、第1の距離画像取得装置及び第2の距離画像取得装置により第1の距離画像及び第2の距離画像を連続して取得させる制御部と、を備えることが好ましい。これにより、投影対象物(第1、第2の投影対象物)が動体の場合でも、画像(第1、第2の投影画像)を動体に投影しつつ、動体の距離画像を取得することができる。
【0024】
本発明の更に他の態様に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置において、第1のバンドパス光学フィルタから第4のバンドパス光学フィルタは、それぞれ480nm以下の青色、500nm以上580nm以下の緑色、及び590nm以上の赤色の3原色域に透過波長域を持つことが好ましい。これにより、可視光の3原色の投影画像を投影し、その反射光を受光することができる。
【0025】
他の態様に係る本発明は、第1の合焦範囲内の第1の投影対象物に第1の投影画像を合焦させて投影する第1のプロジェクタ装置と、第1の投影対象物の距離に対応する第1の情報であって、第1の投影対象物との間の光の飛翔時間に対応する第1の情報を取得し、取得した第1の情報に基づいて第1の距離画像を生成する第1の距離画像取得装置と、第1の合焦範囲よりも近い第2の合焦範囲内の第2の投影対象物に第2の投影画像を合焦させて投影する第2のプロジェクタ装置と、第2の投影対象物の距離に対応する第2の情報であって、第2の投影対象物との間の光の飛翔時間に対応する第2の情報を取得し、取得した第2の情報に基づいて第2の距離画像を生成する第2の距離画像取得装置と、からなる距離画像取得装置付きプロジェクタ装置を使用したプロジェクションマッピング方法であって、第1のプロジェクタ装置の第1の光源をパルス駆動し、赤色、緑色、及び青色の透過波長域を有する第1のバンドパス光学フィルタを介して第1の投影画像を投影するステップと、第2のプロジェクタ装置の第2の光源をパルス駆動し、第1のバンドパス光学フィルタの透過波長域と重複しない赤色、緑色、及び青色の透過波長域を有する第3のバンドパス光学フィルタを介して第2の投影画像を投影するステップと、第1の距離画像取得装置が、第1のバンドパス光学フィルタと同じ特性を有する第2のバンドパス光学フィルタを介して投影された第1の投影画像の第1の投影対象物からの反射光を受光し、第1の投影対象物の距離に対応する第1の距離画像を生成するステップと、第2の距離画像取得装置が、第3のバンドパス光学フィルタと同じ特性を有する第4のバンドパス光学フィルタを介して投影された第2の投影画像の第2の投影対象物からの反射光を受光し、第2の投影対象物の距離に対応する第2の距離画像を生成するステップと、第1のプロジェクタ装置が、第1の投影対象物に投影する第1の投影画像であって、第1の投影対象物の領域外を黒画像にした第1の投影画像を、第1の距離画像に基づいて生成するステップと、第2のプロジェクタ装置が、第2の投影対象物に投影する第2の投影画像であって、第2の投影対象物の領域外を黒画像にした第2の投影画像を、第2の距離画像に基づいて生成するステップと、を含み、第1の距離画像取得装置及び第2の距離画像取得装置は、それぞれ第1の距離画像及び第2の距離画像を連続して生成し、第1のプロジェクタ装置及び第2のプロジェクタ装置は、それぞれ連続して生成された第1の距離画像及び第2の距離画像に基づいて第1の投影画像及び第2の投影画像を連続して生成し、連続して生成した第1の投影画像及び第2の投影画像を第1の投影対象物及び第2の投影対象物に投影する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、投影対象物に距離差があっても投影対象物の全体にピントの合った画像を投影することができ、特にTOF方式で距離画像を取得する際にTOF方式専用の光源及び投影レンズを省略することができ、装置の小型化及び低コスト化を図ることができ、更に混信せずに測定精度の高い距離画像を取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に従って本発明に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置及びプロジェクションマッピング方法の実施形態について説明する。
【0029】
[距離画像取得装置付きプロジェクタ装置の外観]
図1は本発明に係る距離画像取得装置付きプロジェクタ装置の外観を示す平面図である。
【0030】
この距離画像取得装置付きプロジェクタ装置1は、第1のプロジェクタ装置10A及び第1の距離画像取得装置(第1のTOF(Time Of Flight)カメラ)20Aからなる第1のTOFカメラ付きプロジェクタ装置と、第2のプロジェクタ装置10B及び第2の距離画像取得装置(第2のTOFカメラ20B)からなる第2のTOFカメラ付きプロジェクタ装置との2組のTOFカメラ付きプロジェクタ装置により構成されている。
【0031】
第1のTOFカメラ付きプロジェクタ装置は、遠距離の投影対象物(第1の投影対象物)に遠距離用の投影画像(第1の投影画像)を投影するとともに、第1の投影対象物の3次元の距離画像を取得するものであり、第2のTOFカメラ付きプロジェクタ装置は、近距離の投影対象物(第2の投影対象物)に近距離用の投影画像(第2の投影画像)を投影するとともに、第2の投影対象物の3次元の距離画像を取得するものである。
【0032】
尚、第1のTOFカメラ付きプロジェクタ装置と第2のTOFカメラ付きプロジェクタ装置とは、後述するように電気的に接続されているが、一体的に構成されていてもよいし、分離可能に構成されていてもよい。
【0033】
[距離画像取得装置付きプロジェクタ装置の内部構成]
図2は上記距離画像取得装置付きプロジェクタ装置1の内部構成例を示すブロック図である。
【0034】
図1及び
図2に示すように、第1のTOFカメラ付きプロジェクタ装置を構成する第1のプロジェクタ装置10Aは、主として第1の投影レンズ11Aと、第1のバンドパス光学フィルタ12Aと、第1の表示用光学素子13Aと、第1の光源14Aと、第1の焦点調節部として機能する投影レンズドライバ16Aとから構成され、第1のTOFカメラ付きプロジェクタ装置を構成する第1のTOFカメラ20Aは、主として第1の結像レンズ21Aと、第2のバンドパス光学フィルタ22Aと、第1の距離画像センサ23Aと、A/D(Analog-to-Digital)変換器24Aと、インターフェース回路25Aと、結像レンズドライバ26Aとから構成されている。また、第1のプロジェクタ装置10A及び第1のTOFカメラ20Aに共通のタイミングジェネレータ15Aを備えている。
【0035】
第2のTOFカメラ付きプロジェクタ装置は、第1のTOFカメラ付きプロジェクタ装置と同様の構成を有しており、第2のTOFカメラ付きプロジェクタ装置を構成する第2のプロジェクタ装置10Bは、主として第2の投影レンズ11Bと、第3のバンドパス光学フィルタ12Bと、第2の表示用光学素子13Bと、第2の光源14Bと、第2の焦点調節部として機能する投影レンズドライバ16Bとから構成され、第2のTOFカメラ付きプロジェクタ装置を構成する第2のTOFカメラ20Bは、主として第2の結像レンズ21Bと、第4のバンドパス光学フィルタ22Bと、第2の距離画像センサ23Bと、A/D変換器24Bと、インターフェース回路25Bと、結像レンズドライバ26Bとから構成されている。また、第2のプロジェクタ装置10B及び第2のTOFカメラ20Bに共通のタイミングジェネレータ15Bを備えている。
【0036】
更に、2組の第1のTOFカメラ付きプロジェクタ装置及び第2のTOFカメラ付きプロジェクタ装置に共通の中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)30、メモリ32、及び測距モード選択部34を備えている。
【0037】
<第1のプロジェクタ装置10A>
本実施形態の第1のプロジェクタ装置10Aは、表示用光学素子が1枚の単板式のプロジェクタ装置である。第1のプロジェクタ装置10Aの第1の光源14Aは、例えば、投影光として白色光を発光する発光ダイオードにより構成されており、タイミングジェネレータ15Aから加えられるタイミング信号によりパルス発光できるようになっている。また、第1の光源14Aと第1の表示用光学素子13Aとの間には、第1の光源14Aから出射される白色光を赤(R)、緑(G)、青(B)の色に分解するRGBのダイクロイックミラー(図示せず)が配置されており、RGBのダイクロイックミラーは、白色光をRGB光に色分解し、かつ色毎に角度の異なるRGB光を第1の表示用光学素子13Aに入射させる。
【0038】
第1の表示用光学素子13Aは、例えば、光透過型の液晶表示素子から構成され、3つの画素毎に1つのマイクロレンズが配置されている。1つのマイクロレンズは、色毎に角度の異なるRGB光を入射すると、RGB光を3つの画素のいずれかに入射させる。
【0039】
また、第1の表示用光学素子13Aは、投影する遠距離用の画像(第1の投影画像)に応じて画素毎に透過率が制御され、これにより、第1の表示用光学素子13Aからは、RGBの第1の投影画像が出射される。尚、第1の表示用光学素子13Aは、タイミングジェネレータ15Aから加えられるフレーム毎のタイミング信号により駆動タイミングが制御される。
【0040】
第1の表示用光学素子13Aから出射されたRGBの第1の投影画像は、第1のバンドパス光学フィルタ12Aにより波長域が選択された後、第1の投影レンズ11Aを介して遠距離の投影対象物(第1の投影対象物)に投影される。尚、第1の投影レンズ11Aは、遠距離用の投影画像が遠距離の投影対象物の表面で合焦するように、CPU30からのピント調整指令に応じて投影レンズドライバ16Aを介してレンズ位置が制御される。
【0041】
図3は、第1のバンドパス光学フィルタ12Aと第3のバンドパス光学フィルタ12Bのそれぞれの透過率を示すグラフである。
【0042】
図3に示すように第1のバンドパス光学フィルタ12Aと第3のバンドパス光学フィルタ12Bは、それぞれ480nm以下の青色、500nm以上、580nm以下の緑色、590nm以上の赤色の3原色域に透過波長域を持ち、第1のバンドパス光学フィルタ12Aと第3のバンドパス光学フィルタ12BとのRGBの透過波長域は、それぞれ重なり合わないように設計されている。
【0043】
上記のようにして第1のプロジェクタ装置10Aは、遠距離の投影対象物に遠距離用の投影画像を投影する。
【0044】
<第1のTOFカメラ20A>
第1のTOFカメラ20Aは、物体に光を照射し、その反射光をセンサで受光するまでの時間を測定することにより物体までの距離(3次元の距離画像)を求めるものであり、本実施形態の第1のTOFカメラ20Aは、第1のプロジェクタ装置10Aから投影される遠距離用の投影画像であって、パルス発光される投影画像が遠距離の投影対象物に照射され、その反射光を複数の画素を有する第1の距離画像センサ23Aにより受光し、第1の距離画像センサ23Aの画素毎の受光量(受光強度)から遠距離の投影対象物の距離画像を取得する。
【0045】
第1のTOFカメラ20Aの第1の結像レンズ21Aは、遠距離の投影対象物からの反射光(第1のプロジェクタ装置10Aからパルス発光された遠距離用の投影画像の反射光)を第2のバンドパス光学フィルタ22Aを介して第1の距離画像センサ23Aに結像させる。尚、第1の結像レンズ21Aは、遠距離の投影対象物の表面で反射した遠距離用の投影画像が第1の距離画像センサ23Aの受光面上で合焦するように、CPU30からのピント調整指令に応じて結像レンズドライバ26Aを介してレンズ位置が制御される。
【0046】
第2のバンドパス光学フィルタ22Aは、
図3に示した第1のバンドパス光学フィルタ12Aと同じ特性を有するものである。また、同じ特性のバンドパス光学フィルタとは、全く同じものに限らず、受光用の第2のバンドパス光学フィルタ22Aは、投影用の第1のバンドパス光学フィルタ12Aよりも透過波長域が広くてもよく、要は第2のプロジェクタ装置10Bからパルス発光された近距離用の投影画像の波長域と重ならなければよい。
【0047】
第1の距離画像センサ23Aは、垂直ドライバ及び水平ドライバ等を有するCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)ドライバ、及びタイミングジェネレータにより駆動されるCMOS型のイメージセンサにより構成されている。尚、第1の距離画像センサ23Aは、CMOS型に限らず、XYアドレス型、又はCCD(Charge Coupled Device)型のイメージセンサでもよい。
【0048】
第1の距離画像センサ23Aは、2次元状に複数の受光素子(フォトダイオード)が配列され、複数の受光素子の入射面側には、受光素子毎にRGBのカラーフィルタが配置され、これによりRGBの画素が構成されている。尚、RGBのカラーフィルタのフィルタ配列は、ベイヤ配列が一般的であるが、これに限らない。
【0049】
図4は、距離画像センサの分光感度を示すグラフであり、主としてRGBのカラーフィルタの透過率に対応している。
【0050】
第2のバンドパス光学フィルタ22Aは、第1のバンドパス光学フィルタ12Aと同じ特性を有し、かつ距離画像センサ(第1の距離画像センサ23A)は、
図4に示す分光感度を有するため、第1の距離画像センサ23AのRGBの画素には、
図5に示す波長域の光が入射する。
【0051】
第1の距離画像センサ23Aは、タイミングジェネレータ15Aから第1の光源14Aのパルス発光と同期して加えられるシャッタ制御信号により露光期間(露光時間及び露光タイミング)が制御され、第1の距離画像センサ23Aの各受光素子には、露光期間に入射する光量に対応する電荷が蓄積される。そして、第1の距離画像センサ23Aからは、入射光量に応じた画素信号(画素毎に蓄積された電荷に対応するアナログ信号)が読み出される。
【0052】
ここで、タイミングジェネレータ15Aは、詳細については後述するが、第1の光源14Aからパルス光を発光させ、少なくとも遠距離の投影対象物の距離に応じて第1の距離画像センサ23Aの対応する受光素子での露光量(パルス光の受光時間)に差が生じる第1の露光制御と、第1の光源14Aからパルス光を発光させ、パルス光に対する露光開始の位相が第1の露光制御のパルス光に対する露光開始の位相と異なる第2の露光制御であって、第1の距離画像センサ23Aの全ての受光素子が遠距離の投影対象物にて反射したパルス光(遠距離用の第1の投影画像)を全て露光する第2の露光制御と、を順次行う。
【0053】
タイミングジェネレータ15Aによる露光制御後に第1の距離画像センサ23Aから読み出されたアナログ信号は、A/D変換器24Aによりデジタル信号に変換され、画像入力コントローラとして機能するインターフェース回路25Aを経由してメモリ32に保持される。
【0054】
メモリ32は、CPU30での処理に必要な各種のデータなどを記憶すると共に、CPU30のワーキング・メモリとして機能する。また、メモリ32は、投影用の動画又は静止画が記録され、また、第1のTOFカメラ20A及び第2のTOFカメラ20Bで撮像された画像の記録部として機能し得る。
【0055】
CPU30は、詳細については後述するが、タイミングジェネレータ15A、投影レンズドライバ16A及び結像レンズドライバ26A等の各部を統括的に制御するデバイス制御部としての機能、距離画像生成部30A(第1の距離画像生成部及び第2の距離画像生成部)、投影画像生成部30B(第1の投影画像生成部及び第2の投影画像生成部)及び制御部30Cとしての機能を有する。
【0056】
距離画像生成部30Aは、距離画像センサ(第1の距離画像センサ23A,第2の距離画像センサ23B)のセンサ出力に基づいて、それぞれ遠距離の投影対象物及び近距離の投影対象物の3次元の距離画像を生成する。
【0057】
投影画像生成部30Bは、距離画像生成部30Aにより生成された第1の距離画像及び第2の距離画像に基づいて遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を生成する。
【0058】
測距モード選択部34は、手動操作により静的測距モード又は動的測距モードを選択する選択部である。ここで、静的測距モードは、投影対象物が静止している場合に選択される測距モードであり、動的測距モードは、投影対象物が動体の場合に選択される測距モードである。
【0059】
一方、第2のプロジェクタ装置10B及び第2のTOFカメラ20Bは、上述した第1のプロジェクタ装置10A及び第1のTOFカメラ20Aと同様の構成を有しているため、その詳細な説明は省略するが、主として第3のバンドパス光学フィルタ12B及び第4のバンドパス光学フィルタ22Bの特性が、第1のバンドパス光学フィルタ12A及び第2のバンドパス光学フィルタ22Aと相違し、また、第2のプロジェクタ装置10Bは、近距離用の投影画像(第2の投影画像)を投影する点で相違する。
【0060】
第3のバンドパス光学フィルタ12Bは、
図3の破線で示す透過率を有している。また、第4のバンドパス光学フィルタ22Bは、第3のバンドパス光学フィルタ12Bと同じ特性を有している。ここで、同じ特性のバンドパス光学フィルタとは、全く同じものに限らず、受光用の第4のバンドパス光学フィルタ22Bは、投影用の第3のバンドパス光学フィルタ12Bよりも透過波長域が広くてもよく、要は第1のプロジェクタ装置10Aからパルス発光された遠距離用の投影画像の波長域と重ならなければよい。従って、投影用の第1のバンドパス光学フィルタ12A及び第3のバンドパス光学フィルタ12Bよりも、受光用の第2のバンドパス光学フィルタ22A及び第4のバンドパス光学フィルタ22Bの方が透過波長域が広くてもよい。
【0061】
第4のバンドパス光学フィルタ22Bは、第3のバンドパス光学フィルタ12Bと同じ特性を有し、かつ距離画像センサ(第2の距離画像センサ23B)は、
図4に示す分光感度を有するため、第2の距離画像センサ23BのRGBの画素には、
図6に示す波長域の光が入射する。
【0062】
図3に示す第1のバンドパス光学フィルタ12A(これと同じ特性の第2のバンドパス光学フィルタ22A)は、第3のバンドパス光学フィルタ12B(これと同じ特性の第4のバンドパス光学フィルタ22B)よりも透過波長域幅が広くなっている。これにより、遠距離用の投影画像の発光光量を、近距離用の投影画像の発光光量よりも大きくしている。
【0063】
また、
図5及び
図6に示すように、第1のバンドパス光学フィルタ12AのRGBの透過率と、
図4に示した距離画像センサ(第1の距離画像センサ23A)のRGB画素の分光感度とを掛け合わせた積分感度は、第3のバンドパス光学フィルタ12BのRGBの透過率と、距離画像センサ(第2の距離画像センサ23B)のRGB画素の分光感度とを掛け合わせた積分感度よりも大きい。これにより、遠距離の距離画像の生成に使用される第1の距離画像センサ23Aのセンサ出力と、近距離の距離画像の生成に使用される第2の距離画像センサ23Bのセンサ出力との差が大きくならないように(測定精度を均一化)している。
【0064】
本例では、第2の距離画像センサ23BのRGB画素の積分感度に対する第1の距離画像センサ23AのRGB画素の積分感度の比(積分感度比)は、R=0.87、G=0.72、B=0.82である。
【0065】
<TOF法の基本原理>
次に、TOFカメラにより3次元の距離画像を取得する基本原理について説明する。以下、第1のTOFカメラ20Aにより遠距離の投影対象物の距離画像を取得する場合について説明するが、第2のTOFカメラ20Bも同様に近距離の投影対象物の距離画像を取得することができる。
【0066】
第1のプロジェクタ装置10Aの第1の光源14Aは、タイミングジェネレータ15Aによりパルス駆動され、その結果、第1のプロジェクタ装置10Aからは、パルス状の遠距離用の投影画像が投影される。この遠距離用の投影画像は、遠距離の投影対象物の表面で反射し、その反射したパルス状の投影画像は、第1のTOFカメラ20Aの第1の結像レンズ21A及び第2のバンドパス光学フィルタ22Aを介して第1の距離画像センサ23Aにより結像(受光)される。
【0067】
図7は、遠距離の投影対象物内の遠い物体T
1と近い物体T
2の距離の演算処理を示す図である。
【0068】
第1のプロジェクタ装置10Aの第1の光源14Aは、タイミングジェネレータ15Aによりパルス駆動されるが、第1の光源14Aのパルス駆動に同期して、
図7(A)及び(B)に示すように、第1の距離画像センサ23Aは、タイミングジェネレータ15Aにより第1の露光制御及び第2の露光制御の2回の露光制御が順次行われる。
【0069】
図7(A)に示す第1の露光制御は、第1のプロジェクタ装置10Aからパルス状の投影画像を発光させ、少なくとも投影対象物の距離に応じて第1の距離画像センサ23Aの対応する受光素子での露光量に差が生じるように露光期間を制御する露光制御であり、第1の光源14Aからパルス光を発光させた後、一定時間(測距可能な最も遠い物体からパルス光(投影画像)が戻ってくるまでの時間)経過後に露光を開始し、少なくとも最も遠い物体にて反射したパルス光(投影画像)の全てが戻ってくる時間(所定の露光時間)経過後に露光を終了させる。
【0070】
尚、投影画像は、通常、所定のフレームレート(60フレーム/秒、30フレーム/秒)で連続して投影されるが、本例のパルス状の投影画像は、1フレーム期間(フレームレートが60フレーム/秒の場合、1/60(秒))に対して1つのパルス状の画像であり、かつ1フレーム期間よりも十分に短い画像である。即ち、あるフレーム期間に発光されたパルス状の画像が、最も遠い物体で反射し、全てが戻ってくるまでに次のフレーム期間のパルス状の画像が発光されない程度に短い画像である。
【0071】
上記の第1の露光制御によれば、物体の反射率が一定、かつ全画面一様光量の画像の場合、遠い物体T
1と近い物体T
2とを比較すると、遠い物体T
1ほど露光量が多くなる。
【0072】
図7(B)に示す第2の露光制御は、第1の光源14Aからパルス光を発光させ、パルス光に対する露光開始の位相が第1の露光制御のパルス光に対する露光開始の位相と異なる露光制御であり、物体の反射率の相違及び全画面一様光量でないパルス状の投影画像による第1の距離画像センサ23Aでの露光量の変化を除去するための露光制御である。本例では、第1の距離画像センサ23Aの全ての受光素子が物体にて反射したパルス光(パルス状の投影画像)を全て露光する露光制御である。具体的には、第1の光源14Aから発光するパルス光の発光タイミングに同期して露光を開始し、一定時間(少なくとも測距可能な最も遠い物体からパルス状の投影画像が全て戻ってくるまでの所定の露光時間)経過後に露光を終了させる。尚、第1の露光制御における「所定の露光時間」と、第2の露光制御における「所定の露光時間」とは同じ時間であるが、上記のようにパルス光に対する露光開始の位相が異なる。
【0073】
次に、CPU30の距離画像生成部30Aは、
図7(C)に示すように第1の露光制御及び第2の露光制御により第1の距離画像センサ23Aから取得される各露光量に対応するセンサ出力(ある画素の出力データ)を、それぞれ第1のデータL
1及び第2のデータL
2とすると、物体の距離に対応する距離情報Dを、次式、
[数1]
D=L
1÷L
2
により算出する。
【0074】
即ち、[数1]式によれば、第1のデータL
1を第2のデータL
2で除算した除算データを算出する。この除算データは、物体の反射率の影響が除去され、かつ全画面一様光量でないパルス状の投影画像の光量の影響が除去された相対距離に対応するデータ(距離情報D)となる。この距離情報Dは、投影対象物に光を照射し、その反射光を距離画像センサで受光するまでの時間(飛翔時間)に対応する情報である。尚、第1のデータL
1と第2のデータL
2とに基づいて物体の絶対距離を求めることも可能である。
【0075】
そして、第1の距離画像センサ23Aの全ての画素毎に距離情報Dを取得することにより、3次元の距離画像を生成することができる。
【0076】
尚、第1の距離画像センサ23Aからは、RGBの色毎のセンサ出力が得られるが、距離画像生成部30Aは、RGBの色毎のセンサ出力から輝度データを生成し、生成した輝度データを、第1のデータL
1及び第2のデータL
2として使用することが好ましい。また、輝度データの代わりに、輝度データの生成に最も寄与するGのセンサ出力を、第1のデータL
1及び第2のデータL
2として使用してもよい。
【0077】
次に、第1のプロジェクタ装置10A及び第2のプロジェクタ装置10Bからそれぞれ投影される遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像の焦点が合う範囲について説明する。
【0078】
第1のプロジェクタ装置10A及び第2のプロジェクタ装置10Bは、それぞれCPU30からのピント調整指令に応じて投影レンズドライバ16A、16Bを介して第1の投影レンズ11A及び第2の投影レンズ11Bのレンズ位置が制御できるようになっている。
【0079】
CPU30は、距離画像生成部30Aにより遠距離の投影対象物の距離画像及び近距離の投影対象物の距離画像が生成されるため、遠距離の投影対象物の距離画像(例えば、距離画像の平均値)に基づいてピント調整指令を投影レンズドライバ16Aに出力し、同様に近距離の投影対象物の距離画像に基づいてピント調整指令を投影レンズドライバ16Bに出力する。これにより、第1のプロジェクタ装置10Aの第1の投影レンズ11Aのレンズ位置及び第2のプロジェクタ装置10Bの第2の投影レンズ11Bのレンズ位置が調整され、第1の投影レンズ11Aにより焦点の合う合焦範囲(第1の合焦範囲)、及び第2の投影レンズ11Bにより焦点の合う合焦範囲(第2の合焦範囲)が制御される。
【0080】
図8(A)及び(B)は、それぞれ第1のプロジェクタ装置10A及び第2のプロジェクタ装置10Bから投影される遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像の焦点が合う範囲(第1のプロジェクタ装置10Aの被写界深度及び第2のプロジェクタ装置10Bの被写界深度)を示す図である。
【0081】
図8(A)及び(B)に示す距離画像取得装置付きプロジェクタ装置1は、それぞれ第1の投影レンズ11A及び第2の投影レンズ11Bのレンズ位置が異なる位置に調整されており、
図8(A)に示す距離画像取得装置付きプロジェクタ装置1は、第1のプロジェクタ装置10Aの被写界深度及び第2のプロジェクタ装置10Bの被写界深度が、
図8(B)に示す距離画像取得装置付きプロジェクタ装置1と比較して、近距離側にシフトしている。
【0082】
尚、
図8に示すように第1のプロジェクタ装置10Aの被写界深度と第2のプロジェクタ装置10Bの被写界深度(第1の合焦範囲と第2の合焦範囲)とは、連続していること、又は一部が重複していることが好ましい。また、図示しないレンズ絞りにより被写界深度を調整し、第1の合焦範囲と第2の合焦範囲とが連続又は重複するように調整するようにしてもよい。
【0083】
また、明示していないが、投影対象物が、遠距離と近距離との間にギャップがあり、中間距離に投影対象物が無い場合は、投影する必要が無いため、ギャップの部分は被写界深度に収まらなくてもよい。即ち、第1のプロジェクタ装置10Aの被写界深度と第2のプロジェクタ装置10Bの被写界深度とは、必ずしも連続している場合に限らず、ギャップがあってもよい。
【0084】
[投影画像生成部30B]
次に、CPU30の投影画像生成部30Bについて詳述する。
【0085】
<投影画像の第1の生成例>
図9は、距離画像取得装置付きプロジェクタ装置1からそれぞれ異なる距離1、距離2、及び距離3の投影対象物に投影画像を投影する場合に関して示している。
【0086】
本例では、距離1、距離2の投影対象物が近距離の投影対象物であり、距離3の投影対象物が遠距離の投影対象物である。
【0087】
図10は、
図9に示した投影対象物の表面に投影する投影画像の一例を模式的に示した図である。
【0088】
CPU30の投影画像生成部30Bは、メモリ32に記録されている投影用の画像(動画又は静止画)を、距離画像生成部30Aにより生成された第1の距離画像及び第2の距離画像(即ち、近距離の投影対象物及び遠距離の投影対象物の形状、大きさ及び凹凸といった情報)を利用して
、トリミング、座標変換、拡縮等の処理を行い、遠距離の投影対象物及び近距離の投影対象物の表面に合った遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を生成する。
【0089】
図11(A)及び(B)は、それぞれ遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を模式的に示した図であり、
図9に示した距離1、距離2、及び距離3の投影対象物に、
図10に示す投影画像を表示させるための遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を示している。
【0090】
図11(A)に示す遠距離用の投影画像は、投影画角内で距離3の投影対象物(遠距離の投影対象物)のみに投影される投影画像であり、距離1、距離2の投影対象物(近距離の投影対象物)に対応する部分は黒画像である。
【0091】
また、
図11(B)に示す近距離用の投影画像は、投影画角内で距離1、
距離2の投影対象物(近距離の投影対象物)のみに投影される投影画像であり、距離3の投影対象物(遠距離の投影対象物)に対応する部分は黒画像である。
【0092】
投影画像生成部30Bは、
図10に示す投影画像を、距離画像生成部30Aにより生成された第1の距離画像及び第2の距離画像に基づいて画像処理し、
図11(A)及び(B)に示した遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を生成する。
【0093】
図2に示した第1のプロジェクタ装置10Aの第1の表示用光学素子13Aは、投影画像生成部30Bにより生成された遠距離用の投影画像に基づいて各光学素子の透過率が制御され、第2のプロジェクタ装置10Bの第2の表示用光学素子13Bは、投影画像生成部30Bにより生成された近距離用の投影画像に基づいて各光学素子の透過率が制御される。
【0094】
<投影画像の第2の生成例>
図12は、距離画像取得装置付きプロジェクタ装置1から距離1の投影対象物(面1)、距離2の投影対象物、及び距離1から距離2にわたって距離が連続的に変化する斜めの投影対象物(面1−2)に投影画像を投影する場合に関して示している。
【0095】
本例では、斜めの投影対象物(面1−2)の中間位置を境界に、その中間位置よりも手前(距離画像取得装置付きプロジェクタ装置1側)の投影対象物が、近距離の投影対象物であり、中間位置よりも奥行き側の投影対象物が、遠距離の投影対象物である。
【0096】
図13は、
図12に示した投影対象物の表面に投影する投影画像の一例を模式的に示した図である。
【0097】
図14(A)及び(B)は、それぞれ遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を模式的に示した図であり、
図12に示した面1、面1−2及び距離
2の投影対象物に、
図13に示す投影画像を表示させるための遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を示している。
【0098】
図14(A)に示す遠距離用の投影画像は、投影画角内で、面1−2の奥行き側の約半分の面、及び距離
2の投影対象物(遠距離の投影対象物)のみに投影される投影画像であり、面1及び面1−2の手前側の約半分の面(近距離の投影対象物)に対応する部分は黒画像である。
【0099】
また、
図14(B)に示す近距離用の投影画像は、投影画角内で距離1の投影対象物、及び面1−2の手前側の約半分の面(近距離の投影対象物)のみに投影される投影画像であり、面1−2の奥行き側の約半分の面、及び距離
2の投影対象物(遠距離の投影対象物)に対応する部分は黒画像である。
【0100】
尚、面1−2は、距離1から距離2にわたって距離が連続的に変化する斜めの投影対象物の面であり、この面1−2の中間位置よりも奥行き側の面は、遠距離の投影対象物に属し、手前側の面は近距離の投影対象物に属する。従って、
図14(A)及び(B)に示すように、遠距離用の投影画像と近距離用の投影画像とが滑らかにつながるように、遠距離用の投影画像と近距離用の投影画像との境界部分は、画像が重複するように生成し、かつ重複する部分の画像の輝度が高くならないように調整する(互いに連続して変化させる)ことが好ましい。
【0101】
即ち、遠距離用の投影画像の境界部分に対応する画像の輝度を連続的に減少させて黒画像にし、近距離用の投影画像の境界部分に対応する画像の輝度を連続的に減少させて黒画像にする。
【0102】
投影画像生成部30Bは、
図13に示す投影画像を、距離画像生成部30Aにより生成された第1の距離画像及び第2の距離画像に基づいて画像処理し、
図14(A)及び(B)に示した遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を生成する。
【0103】
<投影画像の第3の生成例>
図15(A)は、
図9に示した投影対象物の表面に投影する投影画像の一例を模式的に示した図であり、
図10に示した投影画像と同じ投影画像である。
【0104】
図15(B)及び(C)は、それぞれ遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を模式的に示した図であり、
図9に示した距離1、距離2、及び距離3の投影対象物に、
図15(A)に示す投影画像を表示させるための遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像を示している。
【0105】
図15(B)及び(C)に示した遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像と、
図11(A)及び(B)に示した遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像との比較からも明らかなように、
図15(B)及び(C)に示した遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像は、遠距離用の投影画像と近距離用の投影画像との境界部分が重複して生成されている。尚、遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像は、それぞれ重複部分の画像の輝度が高くならないように調整(半減)されている。
【0106】
上記のように遠距離用の投影画像と近距離用の投影画像との境界部分が重複するように遠距離用の投影画像と近距離用の投影画像とを生成することにより、投影対象物が移動する場合でも、遠距離用の投影画像と近距離用の投影画像との重複する境界部分も距離測定できるようにしている。
【0107】
<ステレオ測距>
図16は、TOF法による測距範囲とステレオ測距範囲とを示す図である。
【0108】
第1のTOFカメラ20A及び第2のTOFカメラ20BによるTOF法では、正確に測距できない程、投影対象物が遠距離の場合、本例では、ステレオ測距法(三角測距法)により測定する。
【0109】
図16に示すように、距離画像取得装置付きプロジェクタ装置1(2組の第1のTOFカメラ付きプロジェクタ装置及び第2のTOFカメラ付きプロジェクタ装置)は、投影方向とは直交する方向に配置されており、特に第1のTOFカメラ20Aの第1の結像レンズ21Aの光軸と第2のTOFカメラ20Bの第2の結像レンズ21Bの光軸とは、投影方向に直交する方向にずれている。
【0110】
三角測距部として機能するCPU30は、第1のTOFカメラ20A及び第2のTOFカメラ20Bから得られる2枚の画像(ステレオ画像)を使用し、第1のTOFカメラ20Aの第1の結像レンズ21Aの光軸と第2のTOFカメラ20Bの第2の結像レンズ21Bの光軸とのずれ量を基線長とした、ステレオ測距法(三角測距法)による測距を行う。
【0111】
これにより、投影対象物がTOF法では正確に測距できない遠距離にある場合、又は本例のTOF法による測距可能範囲外の遠距離にある場合でも、ハードウエアを追加することなく測距することができる。
【0112】
<プロジェクションマッピング方法測距モード>
次に、本発明に係るプロジェクションマッピング方法について説明する。
【0113】
図2に示した測距モード選択部34の手動操作により、静的測距モード及び動的測距モードのうちのいずれか一方の測距モードを選択することができる。
【0114】
図17は、動的測距モードが選択された場合のプロジェクションマッピング方法を示すフローチャートであり、特に投影対象物が動体の場合の距離画像の取得方法に関して示している。
【0115】
図17において、CPU30(制御部)は、測距モード選択部34での操作に応じて、静的測距モードが選択されているか、又は動的測距モードが選択されているかを判別する(ステップS10)。
【0116】
CPU30は、動的測距モードが選択されていると判別すると(「Yes」の場合)、タイミングジェネレータ15A及び15Bを介して第1の光源14A及び第2の光源14Bをパルス駆動し、第1のプロジェクタ装置10A及び第2のプロジェクタ装置10Bからそれぞれ連続的に投影する画像(遠距離用の画像及び近距離用の画像)をパルス光として照射させる(ステップS12)。
【0117】
第1のTOFカメラ20A及び第2のTOFカメラ20Bは、それぞれパルス光照射された遠距離用の投影画像及び近距離用の投影画像の投影対象物での反射光を、第1の結像レンズ21A及び第2の結像レンズ21Bを介して第1の距離画像センサ23A及び第2の距離画像センサ23Bに結像させる。そして、第1の距離画像センサ23A及び第2の距離画像センサ23Bからのセンサ出力に基づいてTOF法により遠距離の投影対象物の距離画像及び近距離の投影対象物の距離画像を取得する(ステップS14)。
【0118】
本例では、
図7に示したように第1の露光制御及び第2の露光制御(即ち、2回のパルス発光)により距離画像を取得するため、連続的に投影される投影画像の2フレーム毎に距離画像を取得することができる。
【0119】
投影対象物が移動する場合、上記の動的測距モードを選択し、距離画像を連続して(動画の2フレーム毎に)取得する。
【0120】
投影対象物の移動速度が遅い場合、その投影対象物の速度に応じて、距離画像を取得する間隔(第1の光源14A及び第2の光源14Bをパルス駆動する間隔)を空けることが好ましい。連続的に投影される画像の1フレーム当りの光量を大きくすることができるからである。
【0121】
図18は、静的測距モードが選択された場合のプロジェクションマッピング方法を示すフローチャートであり、特に投影対象物が静止している場合の距離画像の取得方法に関して示している。
【0122】
図18において、CPU30は、測距モード選択部34での操作に応じて、静的測距モードが選択されているか、又は動的測距モードが選択されているかを判別する(ステップS20)。
【0123】
CPU30は、静的測距モードが選択されていると判別すると(「Yes」の場合)、タイミングジェネレータ15A及び15Bを介して第1の光源14A及び第2の光源14Bをパルス駆動し、第1のプロジェクタ装置10A及び第2のプロジェクタ装置10Bからそれぞれ全画面一様光量の画像をパルス光として照射させる(ステップS22)。即ち、投影画像の投影開始前に、第1の光源14A及び第2の光源14Bをパルス駆動し、かつ第1のプロジェクタ装置10Aの第1の表示用光学素子13A、及び第2のプロジェクタ装置10Bの第2の表示用光学素子13Bの各光学素子の透過率を最大にして、TOF法による測距用のパルス光を照射させる(ステップS22)。
【0124】
第1のTOFカメラ20A及び第2のTOFカメラ20Bは、それぞれパルス光照射された全画面一様光量の画像の投影対象物での反射光を、第1の結像レンズ21A及び第2の結像レンズ21Bを介して第1の距離画像センサ23A及び第2の距離画像センサ23Bに結像させる。そして、第1の距離画像センサ23A及び第2の距離画像センサ23Bからのセンサ出力に基づいてTOF法により遠距離の投影対象物の距離画像及び近距離の投影対象物の距離画像を取得する(ステップS24)。
【0125】
投影対象物が静止している場合、上記の静的測距モードを選択し、投影画像の投影開始前に遠距離の投影対象物の距離画像及び近距離の投影対象物の距離画像を取得する。
【0126】
そして、投影対象物が静止している場合、投影画像の投影開始前に遠距離の投影対象物の距離画像及び近距離の投影対象物の距離画像を一旦取得すると、その後は、距離画像の取得は行わない。投影対象物が静止している場合、距離画像は変化しないからである。従って、投影画像の投影が開始されると、第1のTOFカメラ20A及び第2のTOFカメラ20Bによる測距は行わないため、第1の光源14A及び第2の光源14Bをパルス駆動する必要がない。
【0127】
尚、全画面一様光量を投影対象物にパルス照射するため、パルス光の光量を大きくすることができ、静止している投影対象物の距離を精度よく測定することができる。
【0128】
[その他]
図19は、人の目のRGBの各色に対する分光感度例を示すグラフである。
【0129】
第1のバンドパス光学フィルタ12A及び第3のバンドパス光学フィルタ12Bを設計する際に、
図19に示す人の目の分光感度に合うように設計することが好ましい。これによれば、可視光の3原色に合うような投影画像を投影することが可能になる。
【0130】
また、第1の表示用光学素子13A及び第2の表示用光学素子13Bは、光透過型の液晶表示素子に限らず、反射型の液晶表示素子、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD:Digital Micromirror Device)等の他の表示用光学素子を適用することができる。
【0131】
更に、本実施形態の第1のプロジェクタ装置10A及び第2のプロジェクタ装置10Bは、表示用光学素子が1枚の単板式のプロジェクタ装置であるが、これに限らず、3原色に対応する3枚の表示用光学素子を使用した3板式のプロジェクタ装置でもよい。また、3板式のプロジェクタ装置の場合、3原色(RGB)の各色に対応する画像を表示する3枚の表示用光学素子に対する光源は、RGBの3つの発光ダイオードを使用することができ、また、第1のバンドパス光学フィルタ12A及び第3のバンドパス光学フィルタ12B(マルチバンドパス光学フィルタ)の代わりに、3枚の表示用光学素子にそれぞれ対応する3枚(RGB)のバンドパス光学フィルタを適用することができる。