特許第6603467号(P6603467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6603467多層配線基板の製造方法、及び多層配線基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603467
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】多層配線基板の製造方法、及び多層配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20191028BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20191028BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   H05K3/46 N
   H05K1/11 L
   H05K3/40 H
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-71716(P2015-71716)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-201636(P2015-201636A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2018年3月16日
(31)【優先権主張番号】特願2014-74420(P2014-74420)
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛西 諒平
(72)【発明者】
【氏名】澤田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】結城 翔三
(72)【発明者】
【氏名】福岡 義孝
(72)【発明者】
【氏名】近藤 寿夫
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−342977(JP,A)
【文献】 特開2005−005054(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/052584(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/094129(WO,A1)
【文献】 特開平10−303561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 1/11
H05K 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー成分、30質量%以上のSn,10質量%以上のBi,10質量%以上のCu及び15〜30質量%のAgを含む導電性ペーストを第1の金属箔上に塗布し、当該導電性ペーストからなるバンプを形成する工程と、
前記第1の金属箔に対して、繊維状フィラーを含まない未硬化の絶縁樹脂層を押圧し、前記バンプが前記絶縁樹脂層を貫通するようにして当該絶縁樹脂層を前記第1の金属箔上に積層する工程と、
前記第1の金属箔に対して、第2の金属箔を、前記絶縁樹脂層を介して、加熱下で押圧し、前記絶縁樹脂層を硬化させるとともに、前記バンプを焼結硬化させ、前記絶縁樹脂層上に前記第2の金属箔を積層する工程と、
を具えることを特徴とする、多層配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記押圧時における前記絶縁樹脂層の溶融粘度が1x10Pa・s以上1x10Pa・s以下であることを特徴とする、請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記バンプは円錐形状を呈することを特徴とする、請求項1又は2に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性ペーストが、30〜50質量%のSn、および10〜20質量%のBiを含む、
ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項5】
少なくとも相対向する一対の配線層と、
前記一対の配線層間に介在する、繊維状フィラーを含まない絶縁部材と、
前記絶縁部材を貫通し、前記一対の配線層間を電気的に接続する、少なくとも30質量%以上のSn,10質量%以上のBi,10質量%以上のCu及び15〜30質量%のAgを含む層間接続体と、
を具えることを特徴とする、多層配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線基板の製造方法、及び多層配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高性能化・小型化の流れの中、回路部品の高密度、高機能化が一層求められている。かかる観点より、回路部品を搭載したモジュールにおいても、高密度、高機能化への対応が要求されている。このような要求に答えるべく、現在では配線基板を多層化することが盛んに行われている。
【0003】
このような多層配線基板においては、複数の配線層を互いに略平行となるようにして配置し、配線層間に絶縁部材を配し、半導体部品などの電子部品を配線層の少なくとも1つと電気的に接続するようにして絶縁部材中に埋設するとともに、絶縁部材間を厚さ方向に貫通した層間接続体(ビア)を形成し、複数の配線層を互いに電気的に接続するようにしている。
【0004】
上述のような多層配線基板は、以下のような方法によって形成することができる。例えば第1の金属箔上にAgなどの金属を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷などの方法で塗布してバンプを形成し、当該バンプを乾燥させた後、ロールラミネーターや真空ラミネーターなどの装置を用い、上記金属箔上に、当該バンプが厚さ方向に貫通するようにして絶縁樹脂層をプレス形成する。次いで、絶縁樹脂層上にさらに第2の金属箔を積層し、プレス装置により、加熱下、加圧することによって、当該第2の金属箔を絶縁樹脂層を貫通したバンプの上端部と接合する(積層プレス)。
【0005】
これによって、上記第1の金属箔及び第2の金属箔は配線層を構成し、絶縁樹脂層はこれら配線層間に介在する絶縁部材を構成し、バンプは層間接続体(ビア)を構成するようになり、多層配線基板を得ることができる(特許文献1等参照)。
【0006】
なお、さらなる多層化に際しては、上述の工程を繰り返し、第2の金属箔上に順次バンプ、絶縁樹脂層(絶縁部材)及び金属箔を形成することによって実現することができる。また、電子部品は、絶縁樹脂層を積層して形成する以前に、適宜第1の金属箔上等に実装しておくことにより、当該絶縁樹脂層からなる絶縁部材中に埋設されるようになる。
【0007】
しかしながら、多層配線基板を構成するバンプ(ビア)中に銀などの粒子が含有されていると、その比較的大きな表面積に依存して、高速伝送時に表皮効果による導体損失から信号遅延が発生してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開第5182421号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、層間接続体によって配線層間の電気的導通を十分に保持することができ、信号遅延などの発生を抑制し、信頼性に優れた多層配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明は、
第1の金属箔上に少なくともSn,Bi,Cu及びAgを含む導電性ペーストを塗布し、当該導電性ペーストからなるバンプを形成する工程と、
前記第1の金属箔に対して、繊維状フィラーを含まない未硬化の絶縁樹脂層を押圧し、前記バンプが前記絶縁樹脂層を貫通するようにして当該絶縁樹脂層を前記第1の金属箔上に積層する工程と、
前記第1の金属箔に対して、前記第2の金属箔を、前記絶縁樹脂層を介して、加熱下で押圧し、前記絶縁樹脂層を硬化させるとともに、前記バンプを焼結硬化させ、前記絶縁樹脂層上に前記第2の金属箔を積層する工程と、
を具えることを特徴とする、多層配線基板の製造方法に関する。
【0011】
本発明によれば、第1の金属箔上に少なくともSn,Bi,Cu及びAgを含む導電性ペーストからなるバンプを形成し、適宜乾燥した後、第1の金属箔に対して繊維状フィラーを含まない未硬化の絶縁樹脂層を押圧し、バンプの上端部が絶縁樹脂層を貫通した後、第2の金属箔を当該絶縁樹脂層を介して加熱下押圧するようにしている。したがって、上記バンプを構成する金属のうち、Sn Bi及びCuが焼結助剤として機能するようになり、例えば上記加熱によって液相となって、上記バンプは樹脂等のバインダー成分を含む少なくともSn,Bi,Cu及びAgの金属焼結体となる。
【0012】
したがって、従来のように、多層配線基板を構成するバンプ(加熱硬化後のビア)中に銀などの粒子が含有されている場合に比較して、粒子間の界面減少によるバンプ(ビア)の表面積が減少するので、高速伝送時に表皮効果による導体損失が減少し、信号遅延が発生してしまうという問題を抑制することができる。
【0013】
また、本発明では、バンプを完全に硬化せずに絶縁樹脂層中を貫通させるようにしているので、当該絶縁樹脂層が繊維状フィラーを含んでいると、バンプの当該絶縁樹脂層に対する貫通性が悪くなってバンプの貫通を阻害してしまう場合がある。しかしながら、本発明では、樹脂絶縁層は繊維状フィラーを含んでいないので、上述したようなバンプの貫通を阻害するようなことがない。
【0014】
さらに、本発明では、絶縁樹脂層が繊維状フィラーを含まないことにより、樹脂絶縁層自体の誘電率も低下するようになるため、誘電損失を低減し、信号遅延を抑制することができる。また、加熱硬化後の収縮が少ないために、最終的に得る多層配線基板の反りを低減することができ、結果として、その信頼性を向上させることができる。
【0015】
本発明の一例においては、前記押圧時における前記絶縁樹脂層の溶融粘度が1×10Pa・s以上1×10Pa・s以下とすることが好ましい。これによって、絶縁樹脂層を液だれ等を防止した状態で上記バンプの上端部が貫通するように十分に軟化させることができるようになる。
【0016】
また、本発明の一例において、上記バンプの形状を円錐形状とすることができる。この場合、バンプの上端部が鋭角となっているので、絶縁樹脂層を第1の金属箔に積層する場合に、当該絶縁樹脂層を簡易に貫通することができるようになる。
【0017】
以上のような製造方法の工程を経ることにより、本願発明の、
少なくとも相対向する一対の配線層と、
前記一対の配線層間に介在する繊維状フィラーを含まない絶縁部材と、
前記絶縁部材を貫通し、前記一対の配線層間を電気的に接続する、少なくともSn,Bi,Cu及びAgを含む層間接続体と、
を具えることを特徴とする、多層配線基板を得ることができる。
【0018】
なお、本発明における“バンプの上端部”とは、第2の金属箔、すなわち配線層と結合するバンプ領域の一部を指すものである。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によれば、層間接続体によって配線層間の電気的導通を十分に保持することができ、信号遅延などの発生を抑制し、信頼性に優れた多層配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の多層配線基板の製造方法を説明するための断面図である。
図2】実施形態の多層配線基板の製造方法を説明するための断面図である。
図3】実施形態の多層配線基板の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的特徴について、発明を実施するための形態に基づいて説明する。
【0022】
図1図3は、本実施形態の多層配線基板の製造方法を説明するための断面図であり、本実施形態における特徴を明確にすべく、1つのバンプの近傍の領域を拡大して示している。
【0023】
最初に、図1に示すように、第1の金属箔11上に、例えばスクリーン印刷法、ディスペンス法又はインクジェット法などの任意の方法で少なくともSn,Bi,Cu及びAgを含む導電性ペーストを塗布し、当該導電性ペーストからなるバンプ12を形成して、適宜乾燥処理を行って硬化させる。
【0024】
第1の金属箔11は、後に多層配線基板の配線層を構成することから、銅(Cu),金(Au),銀(Ag)あるいはアルミニウム(Al)などの電気的良導体から構成する。また、第1の金属箔11の厚さt1は、例えば1.5μm〜40μmとする。
【0025】
バンプ12を構成する導電性ペーストは、少なくともSn,Bi,Cu及びAgなどの導電性粉末、これらの合金粉末若しくは複合(混合)金属粉末と、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などのバインダー成分とを混合して調製された導電性組成物などから構成する。
【0026】
このとき、以下に説明するような本実施形態におけるバンプ(熱硬化後のビア)としての作用効果を奏するためには、バインダー成分に対して少なくともSn,Bi,Cu及びAgなどの導電性粉末等の成分が80質量%以上であることが好ましい。また、その上限値は95質量%以下であることが好ましい。上限値がこの値よりも大きいと、バインダー成分の量が少なくなりすぎ、ペーストの生成が困難になる。
【0027】
また、バンプ12、すなわち導電性ペースト中におけるSnの含有量は30質量%〜50質量%であることが好ましく、導電性ペースト中におけるBiの含有量は10質量%〜20質量%であることが好ましい。さらに、導電性ペースト中におけるCuの含有量は10質量%〜15質量%であることが好ましい。
【0028】
以下に説明するように、これらの金属元素は、バンプ12における焼結助剤として機能するので、Sn,Bi及びCuの含有量が上述した下限値未満であると、これらの金属元素が十分に焼結助剤として機能できなくなる場合がある。また、これらの金属元素の含有量が上述した上限値を超えると、バンプ12(後のビア)において導電性に寄与するAgの割合が少なくなってしまう。
【0029】
一方、バンプ12、すなわち導電性ペースト中におけるAgの含有量は15質量%〜30質量%とすることができる。Agの含有量が上記下限値よりも低いと、バンプ12の電気的導通が劣化してしまい、Agの含有量が上記上限値よりも大きいと、上述したSn等の焼結助剤の含有割合が低くなるので、当該焼結助剤としての機能を十分に発揮することができなくなってしまう場合がある。
【0030】
また、本実施形態において、バンプ12は円錐形状を呈しており、その高さhは例えば15μm〜200μmの範囲とすることができ、下面の直径Rは10μm〜200μmの範囲とすることができる。なお、バンプ12の形状は円錐形状の他、円錐台形状等、任意の形状とすることができる。
【0031】
次いで、図2に示すように、第1の金属箔11上に対して、ロールラミネーターや真空ラミネーターなどの装置を用い、未硬化の絶縁樹脂層13を押圧して、バンプ12を未硬化の絶縁樹脂層13に対して貫通させ、その上端部12Aが未硬化の絶縁樹脂層13から露出するようにして、当該絶縁樹脂層13を第1の金属箔11上に積層する。
【0032】
なお、本実施形態における“バンプの上端部”とは、第2の金属箔、すなわち配線層と結合するバンプ領域の一部を指すものである。
【0033】
絶縁樹脂層13は、その厚さt2が例えば10μm〜40μmの範囲であって、例えばエポキシ樹脂,ビスマレイミドトリアジン樹脂,ポリイミド樹脂,フェノール樹脂,ポリエステル樹脂,メラミン樹脂,あるいはブタジェンゴム,ブチルゴム,天然ゴム,ネオプレンゴム,シリコーンゴムなどの生ゴム等の熱硬化性樹脂のシート類が挙げられる。これら合成樹脂は、単独でもよいが絶縁性無機物や有機物系の充填物を含有してもよい。
【0034】
なお、未硬化の樹脂絶縁層13の溶融粘度は、例えば上限値が1×10Pa・sであることが好ましく、さらには1×10Pa・sであることが好ましい。当該溶融粘度が上記値を超えて大きくなると、樹脂絶縁層13が十分に流動しきれず、バンプ12の上端部に樹脂残渣が比較的多量に存在し、バンプ12の上端部を露出させることができない場合がある。
【0035】
また、樹脂絶縁層13の溶融粘度の下限値が1×101Pa・sであることが好ましく、さらには1×102Pa・sであることが好ましい。当該溶融粘度が、上記値より小さくなると、絶縁樹脂層13の厚さを制御することが困難になる場合がある。
【0036】
なお、当該溶融粘度は、300mm〜500mm□及び厚さ300μmの試験片を用い、TA instrument社製(型番ARES−G2)でレオメータ測定を行い、最低の溶融粘度から求めた値である。
【0037】
次いで、図3に示すように、さらに第1の金属箔11に対して、第2の金属箔14を、絶縁樹脂層13を介して加熱下押圧(熱プレス)し、絶縁樹脂層13を硬化させるとともに、バンプ12を焼結硬化させ、樹脂絶縁層13上に第2の金属箔14を積層している。
【0038】
したがって、従来のように、多層配線基板を構成するバンプ(加熱硬化後のビア)中に銀などの粒子が含有されている場合に比較して、Sn Bi及びCuが焼結助剤として機能するようになり、例えば上記加熱によって液相となって、上記バンプは樹脂等のバインダー成分を含む少なくともSn,Bi,Cu及びAgの金属焼結体となる。このため、従来のように、多層配線基板を構成するバンプ(加熱硬化後のビア)中に銀などの粒子が含有されている場合に比較して、粒子間の界面減少によるバンプ(ビア)の表面積が減少するので、バンプ(ビア)の表面積が減少して、高速伝送時に表皮効果による導体損失が減少する。さらにはバンプ(ビア)及び第2の金属箔14間で合金層を形成するようになる。この結果、信号遅延が発生してしまうという問題を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、バンプ12を乾燥させたのみで完全に硬化せずに絶縁樹脂層13中を貫通させるようにしているので、当該絶縁樹脂層13が繊維状フィラーを含んでいると、バンプ12の当該絶縁樹脂層13に対する貫通性が悪くなってバンプ12の貫通を阻害してしまう場合がある。しかしながら、本実施形態では、樹脂絶縁層13は繊維状フィラーを含んでいないので、上述したようなバンプ12の貫通を阻害するようなことがない。
【0040】
さらに、本実施形態では、絶縁樹脂層13が繊維状フィラーを含まないことにより、樹脂絶縁層13自体の誘電率も低下するようになり、誘電損失を低減し、信号遅延を抑制することができる。また、加熱硬化後の収縮が少ないために、最終的に得る多層配線基板の反りを低減することができ、結果として、その信頼性を向上させることができる。
【0041】
上述した焼結過程後において、第1の金属箔11及び第2の金属箔14は一対の配線層となり、加熱硬化された絶縁樹脂層13は絶縁部材となり、焼結硬化されたバンプは層間接続体(ビア)となるので、少なくとも相対向する一対の配線層と、前記一対の配線層間に介在する繊維状フィラーを含まない絶縁部材と、前記絶縁部材を貫通し、前記一対の配線層間を電気的に接続する、少なくともSn,Bi,Cu及びAgを含む層間接続体と、を具えることを特徴とする、多層配線基板を得ることができる。
【0042】
なお、上述のようにして得る多層配線基板は、2層の配線層を有する多層配線基板であるが、配線層の数を増大させるには、上述した工程を繰り返し行えばよい。
【0043】
具体的には、図1に示すように、最上層に位置する配線層を第1の金属箔11として例えばスクリーン印刷法、ディスペンス法又はインクジェット法などの任意の方法で導電性ペーストを塗布して当該導電性ペーストからなるバンプ12を形成した後、図2に示すように、ロールラミネーターや真空ラミネーターなどの方法によって、第1の金属箔11上に、バンプ12が貫通し、その上端部が露出するようにして未硬化の樹脂絶縁層13を積層し、次いで、図3に示すように、加熱プレス等を用い、絶縁樹脂層13を硬化させるとともに、バンプ12を焼結硬化させ、樹脂絶縁層13上に第2の金属箔14を積層する。
【0044】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、金属箔上にバンプ等を形成して多層配線基板を製造する場合について説明したが、予めコア基板(両面あるいは多層)を準備しておき、このコア基板上に上述した工程にしたがって多層配線基板を積層することもできる。この場合は、最上層に位置する配線層を第1の金属箔11と見做して、実施形態で説明したような工程を行う。
【符号の説明】
【0046】
11 第1の金属箔
12 バンプ
12A バンプの上端部
13 絶縁樹脂層
14 第2の金属箔
図1
図2
図3