特許第6604469号(P6604469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6604469
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】蛇管式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28B 9/00 20060101AFI20191031BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20191031BHJP
   F28D 1/06 20060101ALI20191031BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20191031BHJP
   F28F 13/08 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   F28B9/00
   F28B1/02
   F28D1/06 A
   F28D7/02
   F28F13/08
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-138933(P2015-138933)
(22)【出願日】2015年7月10日
(65)【公開番号】特開2017-20724(P2017-20724A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】守田 晋介
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/058256(WO,A1)
【文献】 実開昭51−136545(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第02187143(EP,A1)
【文献】 実開平07−041256(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 9/00
F28B 1/02
F28D 1/06
F28D 7/02
F28F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から蒸気が供給される蛇管と、該蛇管の他端に連結された排出部と、を有する蛇管式熱交換器であって、
前記排出部は、
内部に液体を貯留し得る貯留空間を有する、両端が閉塞した筒状体の貯留部と、
該貯留部の貯留空間と連通され、該貯留空間内に貯留された液体を排出する排出管と、を備えており、
前記蛇管の他端は、
前記貯留部の側面における上端部側に偏った位置に接続されており、
前記排出管は、
その一端が前記貯留部の下端に接続されており、
その流路の断面積が、前記蛇管の流路の断面積よりも小さいものである
ことを特徴とする蛇管式熱交換器。
【請求項2】
前記貯留部は、
その貯留空間の断面積が、前記蛇管の流路の断面積よりも大きい
ことを特徴とする請求項1記載の蛇管式熱交換器。
【請求項3】
前記貯留部の貯留空間に貯留される液体の液面が、前記蛇管の他端よりも下方に位置するように設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の蛇管式熱交換器。
【請求項4】
前記貯留部は、
その両端に鏡板を有する筒状体である
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の蛇管式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇管式熱交換器に関する。さらに詳しくは、槽などに収容された液体を加熱するために使用される蛇管式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
反応槽やメッキ処理槽などのように、槽内に収容された液体を所定の温度まで加熱する場合、蒸気を使用した熱交換器が使用される。かかる熱交換器は中空な配管を有しており、この配管内に蒸気を流すことによって蒸気の熱を槽内の液体に供給する構成を有している。また、特許文献1には、蒸気の熱に加えて、蒸気が液化した液体の熱(顕熱)も利用して槽内の液体を加熱する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2007/058256
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような熱交換器では、通常は、潜熱を利用して熱交換を行うため、配管内において蒸気は相変化を起こし、ドレン(熱水)となる。熱交換器では、上部から蒸気を供給して下部から蒸気を排する構成を採用しているので、ドレンは配管の下部から排出されている。
【0005】
しかし、ドレンの量が増加すると、ドレンは配管の下部に溜まっていき、ドレンによって管路が水封される場合がある。かかる水封が発生すると、蒸気圧により急激にドレンが排出され、排出側の配管がハンマリンングを起こす場合がある。かかるハンマリンングが生じれば、配管には大きな衝撃が加わるので、配管が損傷する可能性があり、また、排出側の配管に接続されたドレン排出装置の故障を引き起こす可能性がある。
【0006】
また、配管からドレンが排出される際に、ドレンと共に蒸気も排出されるので、蒸気ロスが生じ、熱交換効率が低下する。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、ドレンを効率よく排出でき、配管の損傷や熱交換効率の低下を防ぐことができる蛇管式熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の蛇管式熱交換器は、一端から蒸気が供給される蛇管と、該蛇管の他端に連結された排出部と、を有する蛇管式熱交換器であって、前記排出部は、内部に液体を貯留し得る貯留空間を有する、両端が閉塞した筒状体の貯留部と、該貯留部の貯留空間と連通され、該貯留空間内に貯留された液体を排出する排出管と、を備えており、前記蛇管の他端は、前記貯留部の側面における上端部側に偏った位置に接続されており、前記貯留部の上端部の側面に接続されており、前記排出管は、その一端が前記貯留部の下端に接続されており、その流路の断面積が、前記蛇管の流路の断面積よりも小さいものであることを特徴とする。
第2発明の蛇管式熱交換器は、第1発明において、前記貯留部は、その貯留空間の断面積が、前記蛇管の流路の断面積よりも大きいことを特徴とする。
第3発明の蛇管式熱交換器は、第1または第2発明において、前記貯留部の貯留空間に貯留される液体の液面が、前記蛇管の他端よりも下方に位置するように設けられていることを特徴とする。
第4発明の蛇管式熱交換器は、第1、第2または第3発明において、前記貯留部は、その両端に鏡板を有する筒状体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、排出管の流路の断面積が蛇管の流路の断面積よりも小さいので、蒸気が相変化した液体によって常時排出管内を満たし、かつ、貯留部内も常時液体が溜まった状態とすることができる。すると、液体を連続的かつ効率よく排出することができる。しかも、排出管を通って蒸気が流出することを防ぐことができるので、配管の損傷や熱交換器の熱交換効率の低下を抑制することができる。また、貯留部の側面における上端部側に偏った位置に蛇管の他端が連通されているので、蒸気の流れを貯留部で緩めることができる。しかも、排出管の一端は、貯留部の下端に接続されている。すると、蒸気が排出管に直接流入したり、蒸気が貯留部内の液体に混入したりして、蒸気が排出管に流入する可能性を低くすることができる。
第2発明によれば、相変化する液体の量に変動があっても、貯留部内の液面変動を抑えることができるので、排出管4内に蒸気Gが混入することを防ぐことができる。
第3発明によれば、貯留部内の液体に蒸気が混入することを防ぐことができるので、蒸気が排出管に流入することを防止することができる。
第4発明によれば、貯留部の強度を高めることができるので、貯留部の板厚を薄くできる。すると、貯留部を軽量かつ安価に製造できるし、貯留部からの伝熱性も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の蛇管式熱交換器1の使用状況の概略説明図である。
図2】(A)、(B)は、本実施形態の蛇管式熱交換器1における貯留部5の拡大説明図であり、(C)は貯留部5の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の蛇管式熱交換器は、槽内の液体などを加熱するために使用される熱交換器であって、配管内に溜まったドレンの排出を効率よく行えるようにしたことに特徴を有している。
【0012】
本発明の蛇管式熱交換器が使用される装置は、反応槽や融解槽、保温槽等であるが、液体を加熱する必要がある装置であれば、これらに限定されない。また、本発明の蛇管式熱交換器によって加熱される液体も特に限定されない。
【0013】
また、本発明の蛇管式熱交換器において、熱媒として使用される物質もとくに限定されず、気体(蒸気)の状態で供給され、液体の状態で排出されるものであればよい。
【0014】
(本実施形態の蛇管式熱交換器1)
図1に示すように、本実施形態の蛇管式熱交換器1は、蛇管2と、この蛇管2の他端に接続された排出部3と、を備えている。本実施形態の蛇管式熱交換器1は、加熱される液体を収容する槽T内に配置されて使用されるものである。具体的には、蛇管2の全体または少なくとも下部が被加熱液体Lに浸漬された状態で使用される。
【0015】
このため、本実施形態の蛇管式熱交換器1は、蛇管2に高温の蒸気Gを供給すれば、蛇管2が浸漬された被加熱液体Lに蒸気Gの熱を供給することによって、被加熱液体Lを加熱することができる。
なお、被加熱液体Lに熱を供給した蒸気Gは、熱を失うことによって相変化して液体(以下、ドレンDという)になる。このドレンDが排出部3によって外部に排出される。
【0016】
(蛇管2)
図1に示すように、蛇管2は、配管をらせん状に曲げて形成されたものである。この蛇管2は、その一端(図1では上端)が加熱用の蒸気が供給される蒸気供給口となっており、この蛇管2の一端に、ボイラー等の蒸気供給手段が接続されている。この蛇管2は、被加熱液体Lを加熱する際には、その軸方向CLがほぼ鉛直方向を向くように槽T内の被加熱液体Lに浸漬される。このため、蛇管2に供給された蒸気が相変化によってドレンDとなれば、このドレンDは、蛇管2内を下方、つまり、蛇管2の他端に向かって流れることになる。
【0017】
(排出部3)
図1および図2において、符号5は、排出部3の貯留部5を示している。この貯留部5は、軸方向の両端に鏡板を有する断面略円形の筒状体であって、内部に貯留空間5hを有している。この貯留部5は、その貯留空間5hの内径d5が、蛇管2の流路の内径d2よりも大きくなるように形成されている。つまり、貯留部5は、その貯留空間5hの断面積A5が、蛇管2の流路の断面積A2よりも大きくなるように形成されている。
【0018】
この貯留部5の側面には、蛇管2の他端(図1では下端)が接続されている。具体的には、軸方向CLがほぼ鉛直方向を向くように蛇管2を槽T内の被加熱液体Lに浸漬したときに、貯留部5の軸方向において上方に位置する端部(以下単に貯留部5の上端部という)側に偏った位置に、蛇管2の他端が連結されている。そして、蛇管2の流路と貯留部5の貯留空間5hは連通されている。
【0019】
また、貯留部5の下端には、排出部3の排出管4の一端が接続されており、貯留空間5hと排出管4の流路が連通されている。この排出管4は、その一端近傍で折り返された略J字状の管である。この排出管4の他端は、蛇管2を槽T内の被加熱液体Lに浸漬した状態において、被加熱液体Lの液面より上方に位置するように設けられている。そして、この排出管4の他端は、例えば、フロート式ドレン排出装置やディスク式ドレン排出装置、バイメタル式ドレン排出装置等のようにドレンを排出する機器に接続されている。かかる機器として、フロート式ドレン排出装置を使用すれば、後述するようなドレンDの連続排出を最も効果的に行うことが可能となる。
【0020】
そして、排出管4には、蛇管2の流路の内径d2よりも流路の内径d4が小さいものが使用されている。つまり、排出管4には、その流路の断面積A4が、蛇管2の流路の断面積A2よりも小さいものが使用されている。
【0021】
以上のごとき構成であるので、蛇管2内で発生したドレンDは、蛇管2の他端から貯留部5の貯留空間5h内に流入して、貯留空間5hから排出管4を通って排出される。
【0022】
ここで、蛇管2の流路の断面積A2、貯留部5の貯留空間5hの断面積A5、排出管4の流路の断面積A4が、A5>A2>A4という関係になっている。このため、蛇管2に供給される蒸気Gの流量、温度、被加熱液体Lの温度等が所定の範囲内であれば、排出管4の一端と他端との間および貯留部5の貯留空間5hの一定の領域をドレンDによって満たすことができる(図2(C)参照)。つまり、蛇管2の他端と排出管4の他端との間を、ドレンDによって気密に分離することができる。すると、貯留部5の貯留空間5h内のドレンDに加わる蒸気Gの圧力によって、ドレンDを排出管4の他端から連続的に排出することができる。したがって、ドレンDを排出する効率を高くすることができる。
【0023】
しかも、蛇管2の他端と排出管4の他端との間がドレンDによって気密に分離されているので、蒸気Gが直接排出管4を通って排出されることを防ぐことができる。また、貯留部5の側面に蛇管2の他端が連通されているので、蒸気Gの流れを貯留部5で緩めることができる。すると、蒸気Gが排出管4に直接流入したり、蒸気Gが貯留部5の貯留空間5h内のドレンD内に混入したりして、蒸気Gが排出管4に流入する可能性を低くすることができる。したがって、蒸気Gの流出による熱交換器の熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0024】
また、蛇管2の他端と排出管4の他端との間がドレンDによって気密に分離されているので、蒸気Gが間欠的に排出されたりすることも防止することができる。すると、排出管4内の圧力変動を抑制することができるので、ハンマリング等に起因する排出管4等の損傷を防止することができる。
【0025】
(貯留部5について)
上記例では、蛇管2の流路の断面積A2、貯留部5の貯留空間5hの断面積A5、排出管4の流路の断面積A4が、A5>A2>A4という関係になっている場合を説明した。しかし、貯留部5の貯留空間5hの断面積A5は、必ずしも、蛇管2の流路の断面積A2よりも大きくなくてもよい。例えば、A5≒A2となっていてもよい。しかし、A5>A2>A4となっていれば、蒸気Gの流量やその他の条件が変化して生成されるドレンDの量がある程度変動しても、貯留部5の貯留空間5h内のドレンDの液面変動を少なくできる。すると、排出管4内に蒸気Gが混入することをふせぐことができる。
【0026】
また、上記例では、貯留部5が両端に鏡板を有する断面円形の筒状体の場合を説明した。しかし、貯留部5は、ドレンDを貯留でき、しかも、蒸気Gの圧力によって破損しないものであればよく、とくに限定されない。例えば、断面矩形の箱状体や球体等を貯留部5として使用してもよい。しかし、上記のごとく、貯留部5を両端に鏡板を有する断面円形の筒状体とすれば、貯留部の強度を高めることができるので、貯留部5を形成する素材の板厚を薄くできる。すると、貯留部5を軽量かつ安価に製造できるし、貯留部5からの伝熱性も向上できるという利点が得られる。
【0027】
(貯留部5の貯留空間5hの液面)
さらに、貯留部5の貯留空間5hに貯留されるドレンDの液面が蛇管2の他端よりも下方に位置するように、貯留部5や排出管4が構成されていることが望ましい。かかる構成とすれば、蒸気Gが貯留部5内のドレンDに混入するなどして、蒸気Gが排出管4に流入することを防止することができる。
【0028】
なお、蛇管2、貯留部5、排出管4として同じ組み合わせのものを使用した場合でも、被加熱液体Lの性質や蒸気Gの流量等の条件によって、貯留部5の貯留空間5hに貯留されるドレンDの液面は変化する。したがって、ドレンDの液面が蛇管2の他端よりも下方に位置するように、使用する条件に合わせて、蛇管2、貯留部5、排出管4は、その内径dや長さ等を適宜調整される。
【0029】
(素材について)
蛇管2、貯留部5、排出管4を形成する素材はとくに限定されず、被加熱液体Lや蒸気G、ドレンDによって腐食などを受けにくいものが好ましい。例えば、チタンやステンレス、鉄、アルミニウム等を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の蛇管式熱交換器は、反応槽や融解槽、保温槽等に収容されている液体を加熱する熱交換器に適している。
【符号の説明】
【0031】
1 蛇管式熱交換器
2 蛇管
3 排出部
4 排出管
5 貯留部
5h 貯留空間
T 槽
L 被加熱液体
D ドレン
G 蒸気
図1
図2