(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の表示装置について、添付の図面に示される好適な実施例を基に、詳細に説明する。
【0021】
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、Re(λ)は、波長λにおける面内のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、またはWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルタをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。Re(λ)の測定方法の詳細は、特開2013−041213号公報の段落番号[0010]〜[0012]に記載され、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。なお、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
【0022】
本明細書において、「ヘイズ」は、日本電色工業株式会社製のヘーズメーターNDH−2000を用いて測定される値を意味する。理論上は、ヘイズは、以下式で表される値を意味する。
(380〜780nmの自然光の散乱透過率)/(380〜780nmの自然光の散乱透
過率+自然光の直透過率)×100%
散乱透過率は分光光度計と積分球ユニットを用いて、得られる全方位透過率から直透過率を差し引いて算出することができる値である。直透過率は、積分球ユニットを用いて測定した値に基づく場合、0°での透過率である。つまり、ヘイズが低いということは、全透過光量のうち、直透過光量が多いことを意味する。屈折率は、波長589.3nmの光
に対する屈折率である。
【0023】
図1に、本発明の表示装置の一例の正面図を概念的に示す。また、
図2に、
図1に示す表示装置の側面図を概念的に示す。なお、正面図とは、本発明の表示装置を視認側(観察側)から見た図である。
【0024】
図1および
図2に示すように、表示装置10は、表示素子12と、表示素子12の画像表示面側に対向して配置される光スイッチング素子とを有する。光スイッチング素子は、導光板14と、導光板14の端面に光を入射する光源16とを有する。この導光板14は、光源16を点灯した際に、導光板14の表示素子12とは逆側の主面から出射される光の80%以上を、導光板14の法線に対して30°以上の角度の領域に出射させる凹凸形状20が形成された光偏向層5を有する。また、表示装置10においては、表示素子12と導光板14との間は、空気層となっている。
【0025】
なお、本発明において、表示装置10は、図示した部材以外にも、表示装置10の外郭を構成する筐体、表示素子12の駆動手段や制御手段、表示素子12等を支持する支持手段、表示装置10の操作手段等、公知の表示装置が有する各種の部材を有してもよい。
【0026】
図2に概念的に示すように、本発明の表示装置10では、光源16を点灯した際に導光板14から出射(照射)する光は、80%以上が、矢印Zで示すように、導光板14の表示素子12側とは逆側の主面の、導光板14の主面の法線N(
図2の一点鎖線)に対して30°以上広角度な領域に向けて出射される。なお、導光板14の主面の法線Nとは、導光板14の主面と直交する線である。また、導光板14の表示素子12とは逆側の主面とは、導光板14における表示装置10の視認側の面である。
【0027】
すなわち、
図2に示すように、本発明の表示装置10は、光源16を点灯した際に導光板14から出射する光は、80%以上が、矢印Zで示すように、視認側の面で、かつ、法線Nに対して30°を示す二点鎖線よりも、法線Nに対して外側の領域に向かって出射される。言い換えれば、本発明の表示装置10は、光源16を点灯した際に導光板14から出射する光は、80%以上が、矢印Zで示すように、視認側の面で、かつ、法線Nに対して30°以上の角度を有して出射される。
【0028】
なお、このような導光板14からの出射光の光量分布(配光分布)は、市販の種々の配光分布測定装置で測定すればよい。また、輝度測定機を用いて、輝度と光束との変換を行うことで測定することも可能である。測定法の詳細は、「照明工学」電気学会(1978年)に詳述されている。
【0029】
前述のように、導光板14は、一方の主面を表示素子12の画像表示面に対向して配置される。本発明の表示装置10は、使用者は、表示素子12が表示した画像を、導光板14を介して視認する。
【0030】
ここで、後に詳述するが、本発明の表示装置10では、通常は光源16を消灯しておき、一般的な表示装置と同様の広視野角の表示を行う。これに対し、狭視野角の表示を行う場合には、光源16を点灯し、導光板14から斜め方向に光を出射することにより、視野角を制限して、斜め方向からの画像の視認性を低下させる。
【0031】
本発明の表示装置10は、このような構成を有することにより、通常の広視野角での表示と、視野角を制限した狭視野角での表示とを切り換えて、通常は横方向からでも適正な表示の視認を可能とし、必要に応じて光源16を点灯することで狭視野角として、例えば周囲の第三者が表示を視認することを防止する。
【0032】
表示装置10において、表示素子12は、タブレットPC(Personal Computer)、ノ
ートPC、スマートフォンなどの携帯電話等に利用される、公知の表示装置で利用されている各種の表示素子(ディスプレイパネル)が利用可能である。
具体的には、液晶表示素子、有機EL(Electro Luminescence)表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパ素子等が例示される。
【0033】
光源16は、導光板14の視認側の主面から出射するための光を、導光板14の端面に設定された入射面に入射するものである。
本発明の表示装置10において、光源16は、LED(Light Emitting Diode)等の点光源を導光板14の入射面となる端面に沿って配列した光源、蛍光灯、レーザーなど、いわゆるエッジライト型のバックライトユニットで用いられている公知の光源が、各種、利用可能である。また、本発明の表示装置10で用いる光源は、導光板の端面に光を入射するものであればよく、たとえばバックライトユニットに存在する光源から導光部材を通じて、導光板14の端面に光を出射するものであってもよい。
中でも、LED、レーザー等の光源は、所望の波長のみを強く発光するので、制御がしやすく、好適に利用される。
なお、導光板14から出射する光の波長や色には限定はなく、光の色は白色でも良いし、特定の色を選択しても良い。従って、出射する光の色等に応じて、LEDやレーザー等の使用する光源16を選択すればよい。
【0034】
図示例の表示装置10は、矩形の主面形状を有する導光板14の対向する2端面に対応して、光源16を有しているが、本発明は、これに限定はされない。
すなわち、矩形の主面を有する導光板14の4端面全てに対応して光源16を有してもよく、導光板14の3端面に対応して光源16を有してもよく、導光板14の1端面のみに対応して光源16を有してもよい。
また、表示装置10においては、導光板14の1端面に対応する光源16を、複数の光源で構成してもよい。また、導光板14の1端面に対応する光源16を複数の光源で構成する場合には、各光源の点灯は、個々に制御可能でも、個々の制御は不可能でもよい。
【0035】
図示は省略するが、表示装置10は、光源16を駆動するためのドライバや制御手段を有する。
各光源16は、独立したスイッチング機構を有し、光源16の駆動を制御する制御手段は、個々の光源16を独立して制御可能になっている。従って、表示装置10においては、2つの光源16を両方とも点灯してもよく、あるいは、使用者による入力指示等に応じて、いずれか一方の光源16のみを点灯してもよい。さらに、導光板14の1端面に対応する光源16を複数の光源で構成する場合にも、制御手段は、使用者による入力支持等に応じて、個々の光源毎に点灯を制御してもよい。すなわち、光源16の制御装置は、光源16の点灯時間や点灯位置の制御を行ってもよい。
さらに、制御手段は、光源16の光量を調節する機能を有してもよい。これにより、例えば、使用者による入力指示等に応じて、狭視野角とした場合における、横方向からの視認性を調節可能にでき、さらに、環境照度等に応じた適正な光量の光を出射できる。
また、光源16は、点滅などのパターンで光を出射してもよい。
以上の点に関しては、光源16が1つの場合や、光源を3以上有する場合でも、同様である。
【0036】
導光板14は、端面から入射された光を面方向に伝搬して、主面から出射するものである。前述のように、導光板14は、一方の主面を表示素子12の画像表示面に対向して配置される。本発明においては、この導光板14と、導光板14の端面に光を入射する光源16とから、本発明における光スイッチング素子が構成される。
以下の説明では、導光板14の表示素子12と対向する側の主面を『裏面14a』、導光板14の逆側の面すなわち導光板14の表示装置10における視認側の面を『視認面14b』とも言う。
【0037】
導光板14は、より具体的には、パターン形成された電極層2が少なくとも一方の主面に積層された透明基板1と、透明基板1と一体的に積層され、光源16を点灯した際に、導光板14の表示素子12とは逆側の主面から出射される光の80%以上を、導光板14の法線に対して30°以上の角度の領域に出射させる凹凸形状が形成された光偏向層5とを有する。
図1および
図2に示す例では、光偏向層5として、光偏向層用基板6に凹凸形状として複数の溝20が形成されたものが用いられる。
【0038】
電極層2が積層された透明基板1は、例えばタッチパネルとして機能させることができ、透明基板1および電極層2を構成する材料としては、公知のタッチパネルを構成する各種の材料を用いることができる。また、透明基板1に積層された電極層2は、電極層2との屈折率の差が0.2以内の屈折率整合層3で覆われていることが好ましい。これにより、電極層2のパターンの視認性を低下させることが可能となる。なお、屈折率整合層3を構成する材料としては、例えば特開2014-142834号公報に記載されている材料を好適に利用できる。
【0039】
そのため、本実施例の導光板14は、透明基板1、電極層2、屈折率整合層3がこの順に積層された透明積層体を備えたものを例として説明するが、導光板14は必ずしも屈折率整合層を備えている必要はない。また、この透明積層体については、上記3つの構成要素以外の層をさらに備えたものとしてもよい。光偏向層5は、貼合層4によって、この透明積層体の屈折率整合層3に貼着される。
なお、貼合層4と屈折率整合層3との屈折率の差が小さいのが好ましい。具体的には、貼合層4と屈折率整合層3との屈折率の差は0.05〜0.3であるのが好ましく、0.05〜0.1であるのがより好ましい。貼合層4と屈折率整合層3との屈折率の差を0.05〜0.3とすることにより、貼合層4と屈折率整合層3との界面における光の反射を防止することができる。
【0040】
光偏向層5を構成する光偏向層用基板6は、透明基板1と同じ材料で構成することができる。透明基板1および光偏向層用基板6は、端面から入射された光を面方向に伝搬する、公知の板状物(シート状物)が、各種、利用可能である。一例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ベンジルメタクリレート、MS樹脂(ポリメタクリルスチレン)、シクロオレフィンポリマ、シクロオレフィンコポリマ、セルロースジアセテートやセルローストリアセテートなどのセルロースアシレート等、公知のバックライト装置に用いられる導光板と同様の透明性が高い樹脂で形成すればよい。なお、透明基板1および光偏向層用基板6は、屈折率が空気よりも大きい必要が有る。
【0041】
ここで、本発明においては、正面に出射する光の偏光は導光板に影響されないのが好ましい(例えば、偏光サングラス使用時に色づかないようにする)。この点を考慮すると、透明基板1および光偏向層用基板6のRe(λ)は、色ムラがでないように設定するのが好ましく、シクロオレフィンポリマ、シクロオレフィンコポリマ、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等からなる導光板は、好適に例示される。
1つの範囲として、Re(λ)はなるべく小さいほうが好ましいが、具体的には、0〜100nmであるのが好ましい。反対に、Re(λ)が6000nm以上になると、リタデーションが非常に大きく色むらになりにくいため好ましい。
【0042】
前述のように、本発明の表示装置10において、光源16を点灯した際に導光板14から出射する光は、80%が、視認面14b側から、かつ、導光板14の法線N(
図2の一点鎖線)に対して30°(
図2の二点鎖線)以上、広い角度の領域に向かって出射する。すなわち、光源16を点灯すると、導光板14からは、80%の光が、矢印Zで示すように、視認面14bから法線Nに対して30°以上の角度を有して出射する。以下の説明では、この光の出射を『斜め出射』とも言う。
表示装置10においては、一例として、光偏向層用基板6に凹凸形状を形成したものを光偏向層5とすることにより、導光板14からの斜め出射を実現している。
【0043】
図示例においては、導光板14の裏面14a(光偏向層用基板6の
図2中下面)に、光源16の長手方向と同方向に長尺な三角形状の溝20を形成することで、裏面14aを凹凸形状として、斜め出射を実現している。従って、光源16と溝20とは、平行である。また、溝20は、長手方向を、表示素子12における画素の配列方向の一方向と一致する。
一例として、溝20は、裏面14aの表面を底面(底辺)とする二等辺三角形状の溝、すなわち、導光板14の裏面14aを略V字状に長尺に切欠いた溝である。
【0044】
光源16を点灯すると、光源16が出射した光は端面から導光板14に入射して、
図3に矢印aで概念的に示すように、導光板14の内で反射を繰り返して、導光板14の内部を伝搬する。なお、
図3では、導光板14内部を構成する各要素の輪郭線を省略している。
ここで、導光板14内を伝搬する光の一部は、裏面14aに形成された溝20に入射しして、反射される。前述のように、溝20の断面形状は三角形状である。従って、溝20によって反射された光は、
図3の矢印bに示すように、視認面14b側に向かって、かつ、法線Nに対してある程度の角度を有して進行し、視認面14bから出射される。これにより、光源16を点灯すると、光が、導光板14から斜め出射される。
【0045】
表示装置10において、光源16を点灯しない状態では、表示素子12に表示した画像は、導光板14を介して使用者によって視認される。従って、この場合には、表示素子12が有する広い視野角での表示が行われる。
これに対し、光源16を点灯すると、光源16が出射した光が導光板14から斜め出射、すなわち、導光板14が出射する光の80%以上が、
図2に矢印Zで示すように、視認面14b側で、かつ、法線Nに対して30°以上の角度の領域に向けて出射される。
【0046】
そのため、光源16を点灯した状態で表示装置10を斜め方向から観察した場合には、導光板14から斜め出射された光も観察する結果になり、表示画像のコントラストが大幅に低下して、適正に画像を視認することができない。一方、導光板14の法線Nに対して30°以内の領域には、導光板14からの光は20%未満しか出射されない。従って、表
示装置10を正面から視認した場合は、導光板14からの光に妨害されることなく、良好な視認性で画像を視認できる。すなわち、表示装置10においては、光源16を点灯することにより、視野角を大幅に制限して、狭視野角の表示を行うことができる。
従って、本発明の表示装置10によれば、光源16の非点灯および点灯という簡易な操作および制御によって、広視野角の表示と狭視野角の表示とを切り換えることができる。
【0047】
表示装置10において、斜め出射の状態、すなわち、導光板14の視認面14b側の法線Nに対して角度を有する光を、どのような光量分布で出射させるかは、導光板14の裏面14aに形成する凹凸形状の状態を調節することで制御できる。
凹凸がない“平ら”な表面では、導光板内を伝播する光は臨界角以上の角度で導光し、全反射を繰り返して導光板の外には出射されない。しかし、平らから斜めになると、臨界角以下の導光成分が導光板の外に広角度で出射され始める。さらに斜めの角度が大きくなると、導光板の外への出射光は広角側から狭角側に比率が移ってくる。このように、どのような光量分布で出射させるかは、導光板の面(裏面および/または視認面)の凹凸形状で制御することができる。
【0048】
凹凸形状の状態を調節する方法としては、一例として、凹凸形状を構成する凹部および/または凸部の、形状、間隔、密度、分布状態(規則的あるいは不規則など)、および、形成位置のうちいずれか1つ以上を調節する方法が例示される。
【0049】
例えば、
図1等に示す表示装置10のように、裏面14a(導光板14の主面)に三角形状の溝を形成することで、裏面14aを凹凸形状とする場合には、一例として、
図4に概念的に示すように、三角形の頂角の角度θを調節することにより、斜め出射の状態を調節できる。
本発明者らの検討によれば、三角形の頂角の角度θを100〜150°とすることにより、好適に、導光板14が出射する光の80%以上を、導光板14の視認面14b側で、かつ、法線Nよりも30°以上の角度の領域に向けて出射できる。
【0050】
三角形の頂角の角度θを100°以上とすることにより、より好適に、視認面14bからの光出射の方向を、法線Nに対して30°以上広い角度の領域にすることができ、より確実に、導光板14が出射する光の80%以上を、視認面14b側で、かつ、法線Nに対して30°以上の角度の領域に向けて出射できる。
他方、角度θが大きい程、視認面14bからの光の出射方向の法線Nに対する角度が大きくなる。しかしながら、光の出射方向の法線Nに対して角度が大きい成分が多すぎると、真横(視認面14bの面方向)に近い方向に出射する光成分が多くなって、法線Nに対して角度が小さい斜め方向からの視認性を十分に低下できない可能性がある。すなわち、視野角の制限が小さくなってしまう可能性が有る。これに対し、角度θを150°以下とすることにより、光の出射方向の法線Nに対する角度が大きな成分の量を適正にして、安定して十分に視野角を制限できる。
【0051】
以上の点を考慮すると、三角形状の溝20の頂角の角度θは、上記のように100〜150°とするのが好ましく、110〜140°とするのがより好ましい。
なお、視野角の制限が小さくてもよく、真横に近い、法線に対する角度が大きい方向のみからのみ、視認性を低下すればよい場合には、角度θを150°超にしてもよい。
【0052】
本発明の表示装置10においては、
図2に概念的に示すように、光源16を点灯した際に法線Nに対して45°の方向(破線B)から測定したコントラスト(コントラスト比)が10以下、特に5以下となるように、裏面14aの凹凸形状を形成するのが好ましい。
法線Nに対して45°の方向から測定したコントラストが10以下となるように裏面14aの凹凸形状を形成することにより、光源16を点灯して狭視野角状態とした際に、横から視認した場合の視認性を、より低下して、横方向からの表示画像の視認を好適に防止できる。
【0053】
本発明において、法線Nに対して45°の方向のコントラストは、一般的な表示装置のコントラスト測定と同様に求めればよい。一例として、輝度計(例えばトプコンテクノハウス社製のBM−5Aなど)を用いて、白表示と黒表示との比を計算して、コントラストを求めればよい。
【0054】
なお、後述するが、
図1に示す表示装置10では、光源16を点灯した際に狭視野角となるのは、溝20の長手方向と直交する方向のみである。
従って、図示例のような長尺な溝20(長尺な凸部)によって、導光板の主面に凹凸形状を形成した場合には、法線Nに対して45°の方向から測定したコントラストが10以下となるようにするのは、溝20と直交する両方向のみでよい。
【0055】
本発明において、
図5に示す溝20のサイズsは、表示素子12の画素のサイズ、表示装置10のサイズ、要求される視野角の制限、表示装置10に要求される画質等の1以上に応じて、適宜、設定すればよい。なお、
図5にも示すように、溝20のサイズsとは、導光板14の裏面14aにおける長手方向と直交する方向の溝20のサイズである。
ここで、本発明者らの検討によれば、溝20のサイズsは、表示素子12の画素サイズよりも小さいのが好ましく、特に、表示素子12の画素サイズの0.5倍以下とするのが好ましい。あるいは、溝20のサイズsは、表示素子12の画素サイズの1〜20倍とするのが好ましく、2〜10倍とするのがより好ましい。
溝20のサイズsを上記範囲とすることにより、溝20が、表示素子12の画素と干渉することを防止して、画素と溝20との干渉に起因する画像のボケや滲み等による画質低下を防止できる。
【0056】
また、溝20を周期的に形成にするのではなく、準周期的あるいはランダムに形成することで、溝20と表示素子12の画素との干渉を防止してもよい。
【0057】
また、溝20は、少なすぎたり、形成密度が低すぎると、狭視野角化の効果を十分に得られなくなる可能性が有る。他方、溝20は、使用者による表示素子12の表示画像の視認の妨げや、導光板14の透明性を低下する要因としても作用するので、多すぎたり、形成密度が高すぎると、表示装置10の表示画像の画質低下につながる。
そのため、溝20は、ある程度の間隔pを開けて、複数、形成するのが好ましい。
【0058】
以上の点を考慮すると、表示装置10においては、溝20を複数形成し、かつ、裏面14a(溝20の形成面)に対する溝20の面積率を、5〜80%とするのが好ましく、7〜70%とするのがより好ましく、10〜55%とするのがさらに好ましい。
なお、溝20の面積率とは、溝20が形成される裏面14aの表面における、溝20の面積率である。
また、同様の理由で、溝20の間隔pは、表示素子12の画素サイズの1〜100倍とするのが好ましく、10〜50倍とするのがより好ましい。また、狭視野角化の効果を重視する場合には、間隔pを狭くして溝20を密に形成するのが好ましく、正面から観察した際の画質(透明性)を重視する場合には、間隔pを大きくして溝20を疎に形成するのが好ましい。
なお、後述するように、ドット状の凹部(凸部)で裏面14aを凹凸形状にする構成では、間隔pは、最も近い凹部との距離を間隔pとする。
【0059】
溝20は、規則的に形成しても、不規則に形成しても、規則的に形成される領域と不規則に形成される領域とが混在してもよい。
さらに、溝20の形成密度は、全面的に均一でもよく、あるいは、光源16の近傍の形成密度は低く、光源16から離間する領域は密に形成するなど、裏面14aの面方向で溝20の形成密度に疎密が有ってもよい。
【0060】
さらに、溝20の深さは、溝20の頂角の角度θ、溝20の大きさ、溝20の面積率、溝20の間隔p、導光板14の厚さ等に応じて、適宜、設定すればよい。
なお、溝20のサイズs、溝20の面積率、溝20の間隔p、溝20の形成分布や形成密度、および、溝20の深さ(凸部では高さ)等に関しては、後述する、円弧状等の溝、円錐状の凹部などのドット状に形成される凹部、三角形状や円弧状などの断面形状を有する長尺な凸部、球欠状や円錐状など形状を有するドット状の凸部、粒子による凸部等でも、同様である。
すなわち、後述する凹部や凸部などのサイズsや間隔p等は、前述の記載における溝20を、凹部や凸部などに置き換えればよい。
【0061】
図1等に示す表示装置10では、導光板14の裏面14aを凹凸形状にするために、裏面14aに光源16の長手方向(表示素子12の画素配列方向)と同方向に長尺な溝20、すなわち光源16と平行な溝20を形成している。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、導光板14の裏面を凹凸形状とするための凹部は、各種の形状が利用可能である。
例えば、三角形状の溝20ではなく、円弧状の溝を、溝20と同様に形成することにより、裏面14aを凹凸形状にしてもよい。
あるいは、裏面14aに、円錐状の凹部、角錐状の凹部、および、球欠状の凹部の1以上を、複数、互いに離間してドット状(海島状)に形成することによって、裏面14aを凹凸形状にしてもよい。
さらに、これらの各種の形状の凹部を混在させることにより、裏面14aを凹凸形状にしてもよい。
【0062】
長尺な溝20を形成することで裏面14aを凹凸形状にする構成では、溝20の長手方向と直交する方向にのみ光の出射角度を調節できる。すなわち、長尺な溝20を利用する構成では、斜め出射になるのは、溝20の長手方向と直交する方向であり、表示装置10の縦方向もしくは横方向(H方向もしくはL方向)のいずれか一方の方向のみ、視野角を狭くすることができる。
これに対し、円錐状や角錐状などのドット状の凹部によって、裏面14aを凹凸形状する構成では、光源16の長手方向および光源16の長手方向と直交する方向の両方向に光の出射角度を調節できる。すなわち、ドット状の凹部を利用する構成では、凹部の形状等に応じて、法線Nを中心として、互いに直交する4方向や全方位などに斜め出射を行えるので、表示装置の縦横の両方向に視野角を狭くことができる。
この点に関しては、後述する裏面14aに凸部を形成することによって、裏面14aを凹凸形状にする構成も同様である。
【0063】
裏面14aに溝20のような凹部を有する導光板14は、導光板14内の光偏向層5を構成する光偏向層用基板6の形成材料に応じた公知の方法で作製すればよい。
一例として、光偏向層用基板6に切削加工や穿孔加工を行う方法、光偏向層用基板6となるシート状物を型押し加工(エンボス加工)する方法、射出成型によって透明基板(光偏向層)5を作製する方法、押出成型によって光偏向層用基板6を作製する方法等が例示される。
【0064】
以上の例においては、導光板14の裏面14aに溝20のような凹部を形成することで、裏面14aを凹凸形状にしている。
本発明は、これ以外にも、裏面14aに凸部を形成することで、裏面14aを凹凸形状にしてもよい。
【0065】
図6に、その一例の正面図を、
図7に同側面図を示す。なお、
図6および
図7に示す表
示装置28は、前述の表示装置10と同じ部材を複数有するので、同じ部材には同じ符号を付し、説明は異なる部材を主に行う。
図6および
図7に示す表示装置28は、表示素子12と、導光板30と、光源16とを有する。導光板30は、前述の導光板14と同様に、パターン形成された電極層2が少なくとも一方の主面に積層された透明基板1と、光偏向層5を有し、光偏向層5を構成する光偏向層用基板6には凸部32が形成されている。凸部32を有する導光板30と光源16とによって、本発明における光スイッチング素子が構成される。
表示装置28は、光偏向層用基板6の一方の主面に、球欠状の凸部32を、複数、形成することにより、導光板30の裏面30aを凹凸形状にしている。なお、裏面30aおよび視認面30bは、前述の導光板14における裏面14aおよび視認面14bと同様である。
【0066】
このように、裏面30aに凸部32を形成して、裏面30aを凹凸形状とした場合でも、前述の表示装置10の導光板14と同様、凸部32によって反射された光は、視認面30b側に向かって、かつ、法線Nに対してある程度の角度を有して進行し、視認面30bから出射される(
図3参照)。
そのため、光源16を点灯すると、導光板30が出射する光の80%以上を、視認面30b側で、かつ、法線Nに対して30°以上の角度の領域に向けて出射(斜め出射)できる。これにより、表示装置28は、光源16を点灯しない通常の広視野角の表示と、光源16を点灯する狭視野角の表示とを、切り換えることができる。
【0067】
凸部32のサイズs(直径)、面積率、間隔p等は、導光板30の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよいが、好ましくは導光板14の溝20と同様であるのは、前述のとおりである。
ここで、本発明者らの検討によれば、球欠状の凸部32では、
図8に概念的に示す内部角γが20〜80°であるのが好ましく、30〜70°であるのがより好ましい。
すなわち、凸部32のサイズs、面積率、間隔p等に応じて、内部角γが20〜80°となるように、球欠状の凸部32を形成するのが好ましい。あるいは、球欠状の凸部32の内部角γに応じて、凸部32のサイズs、面積率、間隔p等を設定してもよい。
【0068】
内部角γが小さい程、視認面30bからの光の出射方向の法線Nに対する角度が大きくなる。しかしながら、光の出射方向の法線Nに対して角度が大きい成分が多すぎると、真横(視認面30bの面方向)に近い方向に出射する光成分が多くなって、斜め方向からの視認性を十分に低下できなくなってしまう可能性がある。これに対し、内部角γを20°以上とすることにより、光の出射方向の法線Nに対する角度が大きな成分の量を適正にして、安定して視野角を制限できる。従って、視野角の制限が小さくても良い場合には、内部角γを20°未満にしてもよい。
他方、内部角γを80°以下とすることにより、より好適に、視認面30bからの光出射の方向を、法線Nに対して30°以上広い角度の領域にすることができ、より確実に、導光板30が出射する光の80%以上を、視認面30b側で、かつ、法線Nに対して30°以上の角度の領域に出射できる。
【0069】
なお、導光板30の裏面30aに凸部を形成することにより、裏面30aを凹凸形状にする構成では、凸部の形状は図示例のような球欠状に限定はされず、各種の形状の凸部が利用可能である。
一例として、導光板30の裏面30aに円錐状や角錐状などの凸部をドット状に形成することにより、裏面30aを凹凸形状にしてもよい。また、三角形状や円弧状などの断面形状を有する柱状などの長尺な凸部を前述の溝20と同様に形成することにより、裏面30aを凹凸形状にしてもよい。
また、これらの各種の形状の凸部を混在させることにより、裏面30aを凹凸形状にし
てもよい。さらに、前述の凹部と、このような凸部とを混在させることにより、裏面30aを凹凸形状にしてもよい。
【0070】
導光板30の光偏向層用基板6は、前述の導光板14と同様の材料で形成すればよい。また、屈折率が空気よりも大きいのは、導光板14と同様である。
凸部32も、空気よりも屈折率が高く、十分な透明性を有するものであれば、各種の材料で形成可能である。一例として、導光板14で例示した各種の材料が例示される。従って、光偏向層用基板6と凸部32とは、同じ材料で形成してもよく、一体成型してもよい。
凸部32bの形成方法としては、光偏向層用基板6を加熱しつつ金型を押圧して光偏向層用基板6を金型の形状に応じた形状に成型する、いわゆるエンボス加工が例示される。
また、凸部32bの形成方法としては、例えば、光偏向層用基板6の表面に凸部となる樹脂組成物を塗布し、この樹脂組成物を、乾燥した後、金型で成型しつつ紫外線出射等によって硬化する、いわゆる、インプリントによる方法も利用可能である。
あるいは、金型に凸部となる樹脂組成物を充填し、成型した樹脂組成物を支持体上に転写して紫外線出射等によって硬化して、凸部を形成してもよい。
【0071】
ここで、凸部32の形成材料としては、上述の材料以外にも、硬化性の液晶が好適に例示される。
硬化性の液晶を用いて凸部32を形成することにより、液晶の配向方向を調節することで、視認面30bからの光の出射方向を調節できるので、光の視野角を狭くする方向を制御して、より、狭視野角化の効果を良好にできる。
硬化性の液晶は、先と同様、空気よりも屈折率が高く(複屈折の一方向のみで可)、かつ、十分な透明性を有するものであれば、公知の各種の硬化性の液晶が利用可能である。
【0072】
一例として、コレステリック液晶化合物を球欠状に配向、硬化し、あるいはさらに、球欠状の凸部を透明な材料で埋めて平坦にしたものを用いることができる。すなわち、コレステリック液晶相を固定してなる球欠状の凸部は、好適に利用される。コレステリック液晶相は特定の波長を選択的に反射するため、光源16の波長に対応した波長の光のみ反射させることができ、表示装置10による表示への影響を好適に抑えることができる。特に、コレステリック液晶相の選択反射波長を赤外の波長にしておけば、導光板30の伝播光はコレステリック液晶相に対して斜め方向で入射するため、反射波長が短波側にシフトするので、赤の波長の導光が出射される。一方、視認面30bや裏面30aから導光板30に入射する光は、屈折率の影響で臨界角よりも大きな斜め角度では入射しないことから、可視光の光はコレステリック液晶相に影響を受けず、表示装置10による表示への影響は小さく抑えられる。
【0073】
このような裏面30aに凸部32のような凸部を有する導光板30は、導光板30の形成材料に応じた公知の方法で作製すればよい。
一例として、印刷によって光偏向層用基板6に凸部32を形成する方法、光偏向層用基板6に凸部32となる構造物を転写する方法、光偏向層用基板6となるシート状物に切削加工や穿孔加工を行う方法、光偏向層用基板6となるシート状物を型押し加工する方法、射出成型によって導光板30を作製する方法、押出成型によって導光板30を作製する方等が例示される。
さらには、インクジェットによる打滴を行い、球欠状の樹脂組成物を形成し、これを紫外線出射等によって硬化して、光偏向層用基板6上に凸部を形成してもよい。球欠状の樹脂組成物は、特定の波長の光を反射するコレステリック液晶相を有していてもよく、この場合、光偏向層用基板6の裏面30aに配向膜を設け、その上に打滴を行うのが好ましい。
また、凸部32等を硬化性の液晶で形成する場合、液晶の配向は、配向膜を形成する方法等の公知の方法で行えばよい。
【0074】
なお、エンボス加工やインプリントに等による方法で形成した凸部32の一方の傾斜面上に、コレステリック液晶相を固定してなる層を配置してもよい。また、両方の傾斜面にコレステリック液晶相を固定してなる層を有する構成としてもよい。
コレステリック液晶相を固定してなる層を凸部32の片方の傾斜面に有する構成では、主にコレステリック液晶相を固定してなる層の方向から導光してきた光を反射することになる。一方、凸部32の両方の傾斜面にコレステリック液晶相を固定してなる層を配置することで、左右の複数の方向から光を反射可能となる。これらは光源を右あるいは左だけに配置するか、あるいは左右両方に配置するかによって、好適な構成を選択することができる。また、この際の反射中心波長は、400〜900nmであるのが好ましく、さらに、上述の観点から750nm以上であるのが好ましい。
【0075】
図9に本発明の表示装置の別の例を示す。なお、
図9に示す表示装置36は、前述の表示装置28と同じ部材を複数有するので、同じ部材には同じ符号を付し、説明は異なる部材を主に行う。
表示装置36も、表示素子12と、裏面30aに凸部32が形成された導光板30と、光源16とを有する。表示装置36は、さらに、被覆層38を有する。
被覆層38は、空気よりも屈折率が高く、かつ、凸部32とは異なる屈折率を有する材料からなるものであり、導光板30の裏面30aを覆って形成される。
表示装置28と同様、表示装置36も、導光板30が裏面30aに凸部32を有することにより、光源16を点灯することで、導光板30が出射する光の80%以上を、視認面30b側で、かつ、法線Nに対して30°以上の角度の領域に出射(斜め出射)できる。これにより、表示装置36は、光源16を点灯しない通常の広視野角の表示と、光源16を点灯する狭視野角の表示とを、切り換えることができ、コントラストとして評価することができる。
【0076】
ここで、導光板30は、正面すなわち法線Nの方向には、透過率が高いのが好ましい。しかしながら、導光板30は、裏面30aに凹凸を有するため、凸部32に入射した光は正面に向かう光も屈折してしまい、凹凸の状態によっては、透明性が低下して、表示画像の滲みやボケ等を生じてしまう場合がある。
これに対して、表示装置36では、導光板30の裏面30aを覆って、凸部32とは屈折率が異なる被覆層38を有する。
そのため表示装置36は、正面方向の光が凸部32に入射しても、屈折の量を低減することができ、導光板30の透明性の低下を、抑制できる。なお、被覆層38を有することで、法線Nに対して十分な角度で出射する光の成分は、若干、減るものの、凸部32の作用によって、十分に、導光板30が出射する光の80%以上を、導光板30の視認面30b側の法線Nよりも30°以上、広い角度の領域に向けて出射できる。
従って、表示装置36の画質を優先する場合には、被覆層38を設けるのが好ましい。
【0077】
凸部32と被覆層38とは、屈折率が若干でも異なれば、導光板30の透明性の低下を抑制できる。ここで、凸部32と被覆層38の屈折率の差は、0.05〜0.5が好ましく、0.08〜0.3がより好ましい。なお、凸部32と被覆層38とは、いずれの屈折率が大きくてもよい。
凸部32と被覆層38の屈折率の差を上記範囲とすることにより、十分な斜め出射を行って好適に視野角を狭くできると共に、導光板30の透明性の低下も十分に抑制できる。
被覆層38の形成材料は、十分な透明性を有し、かつ、凸部32と屈折率が異なるものであれば、各種の材料が利用可能である。
【0078】
一例として、公知の低屈折率の材料を用いることができる。具体的には、特開2007−298974号公報に記載される含フッ素硬化性樹脂と無機微粒子を含有する組成物や
、特開2002−317152号公報、特開2003−202406号公報、および特開2003−292831号公報等に記載される中空シリカ微粒子含有低屈折率コーティングを好適に用いることができる。
また、公知の中、高屈折率の材料も用いることができる。具体的には、特開2008−262187号公報の段落番号[0074]〜[0094]に示される各種の材料を用いることができる。
このような被覆層38は、凸部32を有する導光板30を作製した後、塗布法等の公知の成膜法によって、導光板30の裏面30aを覆う、表面が平らな層を形成することで、作製すればよい。
【0079】
また、被覆層38を積層した導光板30の好ましい作製方法として、
図10に概念的に示す方法が例示される。
この方法は、まず、凸部32に対応する凹部を形成した被覆層38を作製する。凹部を有する被覆層38は、例えば、レーザーによる加工など、溝20を有する導光板14と同様に作製すればよい。また、凸部32となる組成物(塗料)を調製する。
【0080】
次いで、被覆層38の凹部に、凸部32となる組成物を充填し、組成物を乾燥および/または硬化する。凹部への組成物の充填は、ディスペンサや印刷等を利用する公知の方法で行えばよい。また、凸部32を硬化性の液晶で形成する場合には、凹部に配向膜を形成した後、凹部に組成物を充填して、液晶を配向するのが好ましい。
【0081】
さらに、
図10に示すように、凸部32を形成した側を導光板30の透明基板(光偏向層)5に向けて、透明基板(光偏向層)5に被覆層38を貼着して、必要に応じて被覆層38および/または凸部32の硬化を行って、被覆層38を積層した導光板30とする。透明基板(光偏向層)5への被覆層38の貼着は、被覆層38が粘着力を有する場合には、この粘着力を利用して行ってもよく、光学透明接着剤(OCA)や透明な粘着シート等を用いて行ってもよい。
【0082】
このような被覆層38は、前述の導光板14が裏面14aに溝20を有する表示装置10など、導光板の裏面に凹部を形成した導光板を用いる構成でも、利用可能である。従って、この場合には、被覆層38は、導光板と屈折率が異なる必要が有る。
凹部を有する導光板に被覆層38を設ける場合、被覆層38は、凹部を埋めても、埋めなくてもよい。あるいは、導光板の凹部を前述の硬化性の液晶で埋めて、被覆層38で覆ってもよい。
【0083】
なお、溝20を有する表示装置10等では、被覆層38を有さない場合でも、溝20等の凹部を硬化性の液晶で埋めてもよい。この際においても、液晶の配向は、配向膜を用いる方法等、公知の方法で行えばよい。
また、このような被覆層38は、後述する、粒子によって導光板に凸部を形成して凹凸形状とする構成でも、好適に利用可能である。従って、この場合には、被覆層38は、粒子と屈折率が異なる必要が有る。
【0084】
以上の例は、導光板30の裏面30aに球欠状の凸部32を形成することで、裏面30aを凹凸形状としているが、導光板の裏面に凸部を形成することで、裏面を凹凸形状にする構成は、他にも、各種の構成が利用可能である。
【0085】
図11に、その一例の正面図を、
図12に同側面図を示す。なお、
図11および
図12に示す表示装置50は、前述の表示装置10と同じ部材を複数有するので、同じ部材には同じ符号を付し、説明は異なる部材を主に行う。
図11および
図12に示す表示装置50は、表示素子12と、導光板52と、光源16とを有する。導光板52は、透明基板1、電極層2、および、屈折率整合層3から構成される透明積層体と、支持層54、バインダー層58、および粒子60から構成される光偏向層5と、貼合層62とを有する。粒子60等を有する導光板52と光源16とによって、本発明における光スイッチング素子が構成される。この導光板52においては、粒子60によって裏面52aに凸部を形成する。
なお、裏面52aおよび視認面52bは、前述の導光板14における裏面14aおよび視認面14bと同様である。
【0086】
導光板52において、裏面52aに凸部を形成する粒子60は、支持層54に積層されるバインダー層58に分散された状態で保持されている。また、バインダー層58の厚さは、粒子60の粒径よりも小さい。従って、粒子60は、バインダー層58から突出している。
粒子60を保持するバインダー層58が積層される支持層54は、貼合層62によって、導光板52の透明積層体に貼着される。
【0087】
表示装置50においては、このような構成を有することにより、導光板52の裏面52aに、バインダー層58から突出した粒子60による凸部を形成し、裏面52aを凹凸形状にしている。
このように、裏面52aに粒子60による凸部を形成して、裏面52aを凹凸形状とした場合でも、前述の表示装置10の導光板14や表示装置28の導光板30と同様、粒子60による凸部によって反射された光は、視認面52b側に向かって、かつ、法線Nに対してある程度の角度を有して進行し、視認面52bから出射される(
図3参照)。
そのため、光源16を点灯すると、導光板52が出射する光の80%以上を、視認面52b側で、かつ、法線Nに対して30°以上の角度の領域に向けて出射(斜め出射)できる。これにより、表示装置50は、光源16を点灯しない通常の広視野角の表示と、光源16を点灯する狭視野角の表示とを、切り換えることができる。
【0088】
粒子60による凸部のサイズ、すなわち、バインダー層58から突出する粒子60による球欠による凸部のサイズs(直径)、面積率、間隔p等は、導光板52の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよいが、好ましくは、導光板14の溝20と同様であるのは、前述のとおりである。また、粒子60による凸部の内部角γは、前述の導光板30の凸部32と同様であるのが好ましい。
また、粒子60による凸部によって凹凸が形成される裏面52aは、算術平均粗さRaが0.01〜0.25μmであるのが好ましく、0.01〜0.20μmであるのがより好ましく、0.01〜0.15μmであるのがさらに好ましい。なお、本発明において、算術平均粗さRaは、JIS B 0601(2001)に準拠して測定すればよい。
【0089】
導光板52の透明積層体は、前述の導光板14と同様の材料で形成すればよい。また、屈折率が空気よりも大きいのは、導光板14と同様である。
【0090】
支持層54は、各種の透明な樹脂フィルムが利用可能である。
透明な樹脂フィルム(樹脂板、樹脂シート)としては、具体的には、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が例示される。
支持層54としては、これら以外に、前述の導光板14で例示した材料からなるフィル
ムも、利用可能である。
【0091】
なお、支持層54の形成材料と透明基板1の形成材料とは、同じでも異なってもよい。
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムがさらに好ましい。
支持層54としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。支持層54としてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合には、支持層54と、その上に積層されるバインダー層58との密着強度をより向上させるため、支持層54は、易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
【0092】
ポリエチレンテレフタレートフィルムは、市販品も利用可能であり、特に、易接着層付きの光学用のポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に利用される。市販されている光学用易接着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
支持層54の厚さは、導光板52の厚さ等に応じて、適宜、設定すればよいが、25〜1000μmが好ましい。
本発明においては、特に、支持層54がセルロースエステル系フィルムであり、かつ、セルロースエステル系フィルムの膜厚が30〜70μmであるのがさらに好ましい。
【0093】
導光板52においては、後述する貼合層62と支持層54との屈折率の差が小さいのが好ましい。
具体的には、貼合層62と支持層54との屈折率の差は0.05〜0.3であるのが好ましく、0.05〜0.1であるのがより好ましい。
貼合層62と支持層54との屈折率の差を0.05〜0.3とすることにより、貼合層62と支持層54との界面における光の反射を防止することができる。
【0094】
バインダー層58は、粒子60を保持するマトリックスであり、支持層54に積層、貼着される。バインダー層58は、粒子60の一部を突出した状態で保持する。
バインダー層58は、硬化性樹脂化合物を含有する硬化性組成物によって形成される。この硬化性樹脂化合物は、硬化後に光透過性樹脂となり、バインダーとして作用する。このような樹脂バインダーとしては、電離放射線等による硬化後に飽和炭化水素鎖を主鎖として有する透光性ポリマー(バインダーポリマーともいう)を形成する化合物であるのが好ましい。また、硬化後の主たるバインダーポリマーは架橋構造を有するのが好ましい。
【0095】
硬化後に飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーを形成する化合物としては、下記に述べるエチレン性不飽和基を有するモノマーが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
【0096】
バインダー層58を形成するための硬化性樹脂化合物に用いられる2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート}、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、(メタ)アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)等が挙げられる。
【0097】
(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類は市販されているものを用いることもできる。市販品としては、日本化薬社製KAYARAD DPHA、同P
ET−30、新中村化学工業社NKエステル A−TMMT、同A−TMPT等を挙げる
ことができる。硬化収縮を低減してカールを抑制する観点からはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド、カプロラクトン付加して架橋点間距離を広げることが好ましく、例えば、エチレンオキサイド付加したトリメチロールプロパントリアクリレート(例えば大阪有機化学社製のビスコートV#360)、グリセリンプロピレンオキサイド付加トリアクリレート(例えば大阪有機化学社製のV#GPT)、カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(例えば日本化薬社製DPCA−20、120)などが好ましく用いられる。2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーは2種以上併用することも好ましい。
バインダー層58を形成する硬化性樹脂化合物は低分子であっても、高分子またはオリゴマーであってもよい。
【0098】
本発明における硬化性樹脂化合物としては、2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂および多価アルコール等の、多官能化合物などのオリゴマーまたはプレポリマー等も挙げられる。これらのオリゴマーまたはプレポリマーは2種以上併用してもよい。
2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂は、バインダーとなる硬化性樹脂化合物全量に対して10〜100質量%含有することが好ましい。
これらのエチレン性不飽和基を有する化合物の重合は、光ラジカル重合開始剤または熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
【0099】
従って、エチレン性不飽和基を有する化合物、光ラジカル重合開始剤または熱ラジカル重合開始剤、粒子60、必要に応じて添加される分散溶媒、塗布助剤、その他の添加剤等を含有する硬化性組成物(塗布液)を調製し、この硬化性組成物を支持層54上に塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化して、支持層54の表面に粒子60を保持するバインダー層58を形成できる。
この際には、電離放射線硬化と熱硬化を合わせて行うことも好ましい。光および熱重合開始剤としては市販の化合物を利用することができる。
【0100】
表示装置50の導光板52においては、支持層54とバインダー層58との屈折率の差が小さいのが好ましい。
具体的には、支持層54とバインダー層58との屈折率の差は0.2以下であるのが好ましく、0.1以下であるのがより好ましい。
支持層54とバインダー層58との屈折率の差を0.2以下とすることにより、支持層54とバインダー層58との界面における光の反射を防止して、より好適に、粒子60によって光を反射して、導光板52が出射する光を斜め出射できる。
【0101】
前述のように、バインダー層58は、粒子60を保持して、支持層54に積層、貼着される。
本発明において、粒子60は、光透過性を有する。この粒子60は、粒子によって形成
される凸部が傾斜部を有する形状となれば、球体、略球体、正八面体、切頭正八面体、正四面体、切頭正四面体、平板状等、いかなる形状のものを用いても良いが、球体あるいは略球体であるのが好ましい。粒子60は、バインダー層58から一部を突出させて、バインダー層58に保持される。
【0102】
粒子60の具体例としては、例えば架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合粒子、架橋アクリレート−スチレン共重合粒子、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子等の樹脂粒子が挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋アクリレート−スチレン共重合粒子等が好ましい。
さらには、これらの樹脂粒子の表面にフッ素原子、シリコン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、燐酸基等を含む化合物を化学結合させた表面修飾粒子やシリカのナノサイズの無機微粒子を表面に結合した粒子も。利用可能である。
粒子60は、マイクロビーズ、樹脂粒子、樹脂微粒子等として市販されている物も、各種、利用可能である。
【0103】
本発明においては、粒子60の平均粒径に対するバインダー層58の膜厚が、『バインダー層58の膜厚/粒子60の平均粒径』の比で0.3〜0.98であるのが好ましく、0.4〜0.98であるのがより好ましく、0.5〜0.98であるのがさらに好ましい。なお、バインダー層58の膜厚とは、粒子60を有さない位置におけるバインダー層58の膜厚である。
『バインダー層58の膜厚/粒子60の平均粒径』の比を0.3〜0.98とすることにより、バインダー層58から粒子60を適正に突出させて、より好適に、粒子60によって光を反射して、導光板52が出射する光を斜め出射できる。
【0104】
粒子60の平均粒径は2〜12μmが好ましく、2〜10μmがより好ましく、2〜8μmがさらに好ましく3〜8μmが特に好ましい。本発明においては、平均粒径は一次粒径を示す。
粒子60の平均粒径には特に制限はないが、光の波長より大きく幾何学的に光が屈折する大きさが好ましい。また、粒子60の平均粒径が2μm以上であれば、粒子60によって裏面52aに凸部を形成することで裏面52aを凹凸形状とする導光板52において、バインダー層58の厚さを十分な厚さにすることができ、十分なバインダー層58の強度が得られる。また、粒子60の平均粒径12μm以下であれば、粒子の沈降速度が遅くなり塗布直後から乾燥する間に粒子同士の衝突頻度を低くし粒子凝集を抑えることで、粒子60を好適に分散して、良好な斜め出射を行うことが可能になれる。
また、裏面52aの凹凸形状を調節するために、平均粒径が互いに異なる2種以上の粒子60を使用してもよい。
【0105】
粒子60の平均粒径の測定方法は、粒子の粒径を測る測定方法であれば、任意の測定方法が適用できる。具体的には、粒子の粒度分布をコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算して得られた粒子分布から平均粒径を算出する方法や、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒径とする方法がある。
なお、本発明において、粒子60の平均粒径はコールターカウンター法によって得られた値を用いる。
【0106】
表示装置50の導光板52においては、バインダー層58および支持層54と粒子60との屈折率の差が小さいのが好ましい。
具体的には、バインダー層58および支持層54と粒子60との屈折率の差は0.2以
下であるのが好ましく、0.1以下であるのがより好ましい。
バインダー層58および支持層54と粒子60との屈折率の差を0.2以下とすることにより、バインダー層58あるいは支持層54と粒子60との界面における光の反射を防止して、より好適に、粒子60によって光を反射して、導光板52が出射する光を斜め出射できる。
【0107】
なお、屈折率が互いに異なる2種以上の粒子60を使用することで、バインダー層58および支持層54と粒子60との屈折率の関係を調節してもよい。
粒子60の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n−ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に粒子60を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
【0108】
導光板52において、粒子60の量は、粒子60の粒径等に応じて、適宜、設定すればよい。具体的には、粒子60の量は、バインダー層58の全固形分と粒子60との合計の質量に対して3〜20質量%が好ましく、5〜18質量%がより好ましく、7〜15質量%がさらに好ましい。
導光板52は、このように粒子60を保持するバインダー層58が積層された支持層54を、バインダー層58とは逆側の面で、貼合層62によって透明積層体に貼着することで構成される。
【0109】
貼合層62は、透明積層体と支持層54とを必要な密着力で貼り合わせられる物であれば、公知の各種の材料からなるものが利用可能である。すなわち、貼合層62は、接着剤からなるものでも、粘着剤からなるものでも、両者の特性を有する物であってもよい。従って、貼合層62は、光学透明接着剤(OCA(Optical Clear Adhesive))、光学透明両面テープ、光学透明粘着シート、紫外線硬化型樹脂等の、光学装置および光学素子でシート状物の貼り合わせに用いられる公知のものを用いればよい。
貼合層62の厚さは、透明積層体と支持層54とを必要な密着力で貼着できる厚さを、貼合層62の形成材料に応じて、適宜、設定すればよい。なお、貼合層62は、必要な密着力が得られる厚さであれば、薄い方が好ましい。
【0110】
表示装置50の導光板52においては、透明積層体の屈折率整合層3と貼合層62との屈折率の差が0.05〜0.3であるのが好ましく、0.05〜0.1であるのがより好ましい。
透明積層体の屈折率整合層3と貼合層62との屈折率の差を0.05〜0.3とすることにより、透明積層体と貼合層62との界面における光の反射を防止することができる。
【0111】
このような導光板52は、公知の方法で製造すればよい。
一例として、前述のように、エチレン性不飽和基を有する化合物等の主にバインダー層58となる硬化性樹脂化合物、重合開始剤および粒子60を含有する硬化性組成物を調製する。この硬化性組成物には、必要に応じて、分散溶媒、塗布助剤、その他の添加剤等を添加してもよい。
この硬化性組成物を、支持層54に塗布して、必要に応じて乾燥した後、電離放射線または熱による重合反応により硬化性樹脂化合物を硬化して、表面に粒子60を保持するバインダー層58を積層した支持層54を作製する。
この支持層54を、貼合層62によって透明積層体に貼着することで、導光板52を作製できる。
【0112】
なお、表面に粒子60を保持するバインダー層58を積層した支持層54を作製する方法は、特開2010−277080号公報に記載される方法も、好適に利用できる。
すなわち、支持層54となる樹脂を溶剤に溶解した基層ドープと、前述の硬化性樹脂化合物、重合開始剤および粒子60を含有する硬化性組成物(表層ドープ)とを調製する。その上で、基層ドープと表層ドープとを、別々のスリットから、ドラムやバンド等の流延用支持体に同時に押し出して積層状態で流延し、適度に乾燥させた後に支持体から剥離して、さらに、乾燥および必要に応じて硬化を行って、粒子60を保持するバインダー層58を表面に積層した支持層54を作製してもよい。
【0113】
図11および
図12に示す表示装置50は、表面に粒子60を保持するバインダー層58を積層した支持層54を、透明積層体に貼着するとで、導光板52を形成しているが、本発明は、これに限定はされず、支持層54を用いないで、導光板を構成してもよい。
すなわち、
図13に概念的に示す表示装置70のように、導光板72を、透明積層体の主面に、粒子60を保持するバインダー層58を、直接、積層、貼着することで、導光板72を構成してもよい。すなわち、この場合には、バインダー層58および粒子60のみで光偏向層5が構成されることになる。なお、裏面72aおよび視認面72bは、前述の導光板14における裏面14aおよび視認面14bと同様である。
従って、この場合には、先と同様の理由で、透明積層体の屈折率整合層3と、バインダー層58および粒子60との屈折率の差が、0.1以下であるのが好ましく、0.05以下であるのがより好ましく、屈折率の差が無いのが最も好ましい。
【0114】
以上の例は、導光板と表示素子12との間に、空気層を有する。空気層を有することにより、導光板内での反射率を高くして、高い光量の斜め出射を行うことができ、光源16を点灯した際における横方向からの視認性を、大きく低下できる。
なお、空気層の厚さは、表示装置の構成に応じて、導光板と表示素子12とを全面的に完全に離間できる厚さを、適宜、設定すればよい。ここで、空気層は、この条件を満たすものであれば、基本的に、薄い方が好ましい。
【0115】
図14に、本発明の表示装置の別の例を示す。なお、
図14に示す表示装置42は、前述の
図1および
図2に示す表示装置10と同じ部材を複数有するので、同じ部材には同じ符号を付し、説明は異なる部材を主に行う。
表示装置42も、表示素子12と、裏面14aに溝20が形成された導光板14と、光源16とを有する。
前述のように、表示装置10は、表示素子12と導光板14との間には、空気層が存在している。
これに対し、
図14に示す表示装置42は、表示素子12と導光板14との間には、空気層を有さず、貼合層46が設けられる。貼合層46は、表示素子12と導光板14とを貼着する、導光板14との屈折率の差が0.05以上のものである。
【0116】
表示装置10と同様、表示装置42も、導光板14が裏面14aに溝20を有することにより、光源16を点灯することで、導光板14が出射する光の80%以上を、視認面30b側で、かつ、法線Nに対して30°以上の角度の領域に出射(斜め出射)できる。
これにより、表示装置36は、光源16を点灯しない通常の広視野角の表示と、光源16を点灯する狭視野角の表示とを、切り換えることができる。
【0117】
ここで、表示装置10では、表示素子12と導光板14との間には空気層が有るため、導光板14と空気との大きな屈折率差によって、導光板14内における光の反射率を高くして、高い光量の斜め出射を行うことができ、光源16を点灯した際における横方向からの視認性を、大きく低下できる。
その反面、空気層を有する表示装置10では、空気層を有することで、屈折率差が大きな界面が2つ存在する。そのため、特に、正面すなわち法線Nの方向から入射した光が、
この界面で反射されてしまい、表示装置10の使用環境等によっては、表示画像に外光の反射光による干渉が生じて、画像が滲んで見える、画像が暗くなる、外光の反射光が映り込むなどが生じて、表示画像の画質が低下してしまう場合が有る。
【0118】
これに対し、
図14に示す表示装置42は、空気層を有さず、表示素子12と導光板14との間に、導光板14との屈折率の差が0.05以上、好ましくは0.08以上の貼合層46を有する。
そのため、表示装置42は、表示素子12と導光板14との間に、屈折率の差が大きな界面が生じることが無いので、界面での外光の反射を抑制して外光に起因する表示画像の画質低下を、抑制できる。
【0119】
なお、貼合層46を有する表示装置42は、空気層が無いために、導光板14における反射が小さくなり、法線Nに対して十分な角度で出射する光の成分は、低減する。しかしながら、導光板14と貼合層46との屈折率の差を0.05以上とすることで、光源16を点灯した際に、導光板14が出射する光の80%以上を、導光板14の視認面14b側の法線Nよりも30°以上、広い角度の領域に向けて出射する。
すなわち、本発明の表示装置においては、狭視野角での表示における横方向からの視認性の低減が重要な場合には、表示素子12と導光板14との間に空気層を設けるのが好ましく、画質を重視する場合には、表示素子12と導光板14との間に貼合層46を設け、画質が重要な程、導光板14と貼合層46との屈折率の差を小さくのが好ましい。
【0120】
以上の点を考慮すると、導光板14と貼合層46との屈折率の差は、0.05〜0.3が好ましく、0.05〜0.1がより好ましい。
貼合層46の厚さは、貼合層46の形成材料に応じて、表示素子12と導光板14とを確実に貼着でき、かつ、表示素子12と導光板14とが接触しない厚さを、適宜、設定すればよい。
なお、貼合層46は、この条件を満たすものであれば、基本的に、薄い方が好ましい。
貼合層46の形成材料は、十分な透明性を有し、かつ、導光板14との屈折率の差が0.05以上のものであれば、各種の材料が利用可能である。
一例として、アクリル酸エステル重合体を好ましく用いることができる。例えば、特開2013−203899号公報の[0035]に記載される材料が例示される。このような一般的な材料を用いれば、貼合層46の屈折率を、本発明の条件に必要な値に、適宜、調節できる。
【0121】
このような貼合層46を有する表示装置42は、一例として、塗布法によって作製すればよい。
すなわち、導光板14および表示素子12を用意し、さらに、貼合層46となる組成物を調製する。次いで、導光板14および/または表示素子12に、貼合層46となる組成物を塗布し、必要に応じて組成物を乾燥および/または硬化する。
その後、導光板14、貼合層46および表示素子12からなる積層体を作製し、必要に応じて、貼合層46を硬化(架橋)することにより、表示装置42を作製する。
【0122】
なお、貼合層46と、表示素子12および/または導光板14との貼り合わせは、貼合層46が有する粘着力(接着力)を利用して行ってもよく、OCAや透明粘着シート等を用いて行ってもよい。この際において、一方との貼り合わせを貼合層46が有する粘着力を利用し、他方との貼り合わせはOCA等を用いて行ってもよい。
【0123】
貼合層46を有する表示装置42においては、必要に応じて、貼合層46と表示素子12との間に、誘電体多層膜を設けてもよい。
貼合層46と表示素子12との間に、誘電体多層膜を有することにより、主に光源16
から出射される導光板14から斜め出射した光を誘電体多層膜で反射して、導光板14に戻すことができ、主に外光に起因する導光板14を真っ直ぐ(法線N方向)に抜けた光は透過することができる。
そのため、貼合層46と表示素子12との間に、誘電体多層膜を有することにより、より好適に、外光による画質低下を防止し、かつ、狭視野角とした際における、横方向からの視認性を低下できる。
【0124】
誘電体多層膜は、公知の各種の物が利用可能であり、公知の方法で形成すればよい。
このような貼合層46あるいはさらに誘電体多層膜を有する構成は、導光板14の裏面14aに溝20を有する表示装置42のように、導光板の裏面に凹部を設けることで導光板の裏面を凹凸形状にした表示装置以外にも、
図6および
図7に示す表示装置28のような、導光板の裏面に凸部を設けることで、導光板の裏面を凹凸形状にした表示装置でも、
図11〜
図13に示すような、粒子60を使って導光板の裏面を凹凸形状にした表示装置でも、利用可能である。
【0125】
図15に、本発明の表示装置の別の例を示す。なお、
図15に示す表示装置76は、前述の
図11および
図12に示す表示装置50と同じ部材を複数有するので、同じ部材には同じ符号を付し、説明は異なる部材を主に行う。
図15に示す表示装置76は、前述の
図12等に示す表示装置50において、導光板52の裏面52aの表面に反射防止層78を設け、さらに、表示素子12の画像表示面にも反射防止層80を設けた構成を有する。
このように、導光板52の裏面の反射防止層78、および/または、表示素子12の画像表示面の反射防止層を有することにより、前述の
図14に示す表示装置42と同様に、界面での外光の反射を抑制して外光に起因する表示画像の画質低下を、抑制できる。
【0126】
反射防止層78および80には、特に限定はなく、例えば、高屈折率層と低屈折率層とを積層してなる反射防止膜等、公知の反射防止膜が、全て、利用可能である。なお、粒子60による凸部で形成した凹凸形状を埋没しない等の点で、導光板52の裏面52aの反射防止層78には、スパッタリング等の気相体積法によって形成される無機物からなる反射防止膜が、好適に利用される。
また、反射防止膜の膜厚も、反射防止膜の形成材料や、反射防止膜に要求される反射防止性能等に応じて、適宜、設定すればよい。
【0127】
図15に示す表示装置76は、導光板52の裏面52aの反射防止層78と、表示素子12の画像表示面の反射防止層80とを有するが、本発明は、これに限定はされない。
すなわち、本発明の表示装置は、導光板52の裏面52aの反射防止層78のみを有する構成でも、表示素子12の画像表示面の反射防止層80のみを有する構成でもよい。
【0128】
このような反射防止層を有する構成は、
図11および
図12(
図13)に示す表示装置42のように、粒子60によって凸部を形成して導光板52の裏面52aを凹凸形状とした表示装置以外にも、
図1および
図2に示す表示装置42のような、溝20等の凹部を設けることで導光板の裏面14aを凹凸形状にした表示装置や、
図6および
図7に示す表示装置28のような、裏面30aに凸部32を設けることで、導光板30の裏面30aを凹凸形状にした表示装置でも、利用可能である。
【0129】
このような本発明の表示装置において、高画質な画像表示を行うために、導光板は、ヘイズが30%以下であるのが好ましく、10%以下であるのが、より好ましい。
【0130】
また、凹凸形状は、型押し加工(エンボス加工)等により、屈折率整合層に直接形成してもよい。これにより、屈折率整合層を備えたタッチパネル等の従来からある構造体に対して、新たな部材を追加することなく、本発明の導光板とすることができるため、表示装置の薄型化、軽量化、低コスト化等に寄与する。
【0131】
本発明の表示装置を使用する場合には、導光板をタブレットPC等の装置の前面板としてもよい。言い換えれば、本発明の表示装置は、タブレットPCの前面板として利用可能な材料で、導光板を形成してもよい。
【0132】
なお、以上の例は、導光板の裏面に凹凸を形成した例であるが、本発明は、これに限定はされず、導光板の視認面を同様の凹凸形状としてもよく、あるいは、導光板の主面両面を同様の凹凸形状としてもよい。ただし、外光の反射によって凹凸形状を構成する溝や凸部が視認されるのを抑える観点から、導光板の裏面に凹凸を形成する方が好ましい。
また、導光板から出射する光は面内均一でなくてもよく、特定の情報(例えば広告、サイネージの情報をパターン表示)を出射しても良い。
【0133】
以上、本発明の表示装置について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【実施例1】
【0134】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。なお、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。また、本発明の趣旨を逸脱しない限り、以下に示す構成以外の構成とすることもできる。すなわち、本発明の構成は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
まず、各実施例に共通する透明積層体Aの作成方法について具体的に説明する。この透明積層体Aは、本発明における、電極層が積層された透明基板に相当する。
【0135】
〔透明積層体Aの作製〕
<1.異なる屈折率を有する少なくとも2種の透明薄膜を含む多層膜の形成>
屈折率1.51のガラス製透明基板上に、異なる屈折率を有する少なくとも2種の透明薄膜を含む多層膜を以下の方法で製膜した。デュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法により、1mmガラス基板上に透明積層体を形成した。ガラス基板を、スパッタリング装置内に配置し、ターゲットとしてNb
2O
5を用いたスパッタリングによりNb
2O
5(波長550nmの光の屈折率2.27、消衰係数0)からなる厚さ50オングストロームの無機薄膜層を形成し、その上にターゲットとしてSiを用いたスパッタリングにより、SiO
2からなる厚さ600オングストロームの無機薄膜層(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。その後、基板を200℃、60分間熱処理を行うことで、ガラス製透明基板上に異なる屈折率を有する少なくとも2種の透明薄膜を含む多層膜が積層された透明基板を得た。
【0136】
<2.透明電極パターン付き基板の形成>
上記にて得られた、透明基板を、真空チャンバー内に導入し、SnO
2含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基材の温度250℃、アルゴン圧0.13Pa、酸素圧0.01Pa)により、厚さ40nm、屈折率1.82のITO薄膜を形成し、特開2014−142834を参考にして、パターン電極を有する透明電極層を形成した、透明基板を得た。
【0137】
次に、各実施例に共通する透明積層体Bの作成方法について具体的に説明する。この透明積層体Bは、上記透明積層体A(電極層が積層された透明基板)に対して、本発明における屈折率整合層を積層したものである。
【0138】
〔転写フィルムの作製〕
<1.熱可塑性樹脂層および中間層の形成>
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させ15.1μmの熱可塑性樹脂層を得た。熱可塑性樹脂層に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させ1.6μmの中間層を得た。
【0139】
(熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1)
・メタノール :11.1質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :6.36質量部
・メチルエチルケトン :52.4質量部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジル
メタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=
55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃)
:5.83質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、
重量平均分子量=1万、Tg≒100℃) :13.6質量部
・モノマー1(商品名:BPE−500、新中村化学工業(株)製)
:9.1質量部
・フッ素系ポリマー :0.54質量部
上記のフッ素系ポリマーは、C
6F
13CH
2CH
2OCOCH=CH
2 40部と、
H(OCH(CH
3)CH
2)
7OCOCH=CH
2 55部と、
H(OCHCH
2)
7OCOCH=CH
2 5部との共重合体で、
重量平均分子量3万、メチルエチルケトン30質量%溶液である
(商品名:メガファックF780F、大日本インキ化学工業(株)製)
【0140】
(中間層用塗布液:処方P1)
・ポリビニルアルコール :32.2質量部
(商品名:PVA205、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550)
・ポリビニルピロリドン :14.9質量部
(商品名:K−30、アイエスピー・ジャパン(株)製)
・蒸留水 :524質量部
・メタノール :429質量部
【0141】
<2.第一の硬化性透明樹脂層>
下記表1に記す組成によって調製した第一の硬化性透明樹脂層用の材料−1を、膜厚2μmになるように調整し、塗布、乾燥させて、中間層上に第一の硬化性透明樹脂層を形成した。なお、下記表1および化学式1中において、「%」、「wt%」は、いずれも質量%を表す。
【0142】
【表1】
【0143】
【化1】
【0144】
<3.第二の硬化性透明樹脂層の形成>
その後、上記表1に記す組成によって調製した第二の硬化性透明樹脂層用の材料−2を、塗布、乾燥させて、第一の硬化性透明樹脂層上に膜厚65nm の第二の硬化性透明樹脂層を形成した。
【0145】
<4.保護フィルムの圧着>
このようにして熱可塑性樹脂層、中間層、第一の硬化性透明樹脂層および第二の硬化性透明樹脂層をこの順に設け、最後に保護フィルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
【0146】
〔透明積層体の作製〕
上記のようにして得られる転写フィルムは、透明基板1に積層された電極層2を覆う屈折率整合層3を形成するのに用いられるものであり、この転写フィルムを用いて、以下の方法で透明積層体Bを作製した。
【0147】
<屈折率整合層の転写>
まず、保護フィルム剥離用ロールを用いて、転写フィルムから保護フィルムを剥離した後、保護フィルムを剥離した転写フィルムを搬送し、加熱ロールに転写フィルムの仮支持体を接触させ、かつ、保護フィルムを剥離した側の第二の硬化性透明樹脂層を空気側に向けた状態で搬送した。
続けて、透明積層体AのITO薄膜が形成された側の主面を第二の硬化性透明樹脂層が覆うように、第二の硬化性透明樹脂層、第一の硬化性透明樹脂層、中間層(酸素遮断層)、熱可塑性樹脂層および支持体をこの順で転写した。具体的には、基板の温度:110℃、加熱ロール52温度110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分で、基板と加熱ロール52で保護フィルムを剥離した転写フィルムを挟圧しながら搬送した。
【0148】
その後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、露光マスク(オーバーコート形成用パターンを有す石英露光マスク)面と仮支持体との間の距離を125μmに設定し、仮支持体を介して露光量100mJ/cm
2(i線)でパターン露光した。
その後、仮支持体を剥離し、続いて炭酸ソーダ2%水溶液32℃で60秒間洗浄処理した。洗浄処理後の透明フィルム基板に超高圧洗浄ノズルから超純水を噴射することで熱可塑性樹脂層と中間層を除去した。引き続き、エアを吹きかけて透明基板上の水分を除去し、145℃30分間のポストベーク処理を行って、透明基板上に第二の硬化性透明樹脂層および第一の硬化性透明樹脂層(屈折率整合層に相当)が積層された透明積層体Bを作製した。
【0149】
次に、比較例1および実施例1〜7について個別に説明する。
【0150】
[比較例1]
アップル社製のiPad Air(登録商標)を分解して、液晶ディスプレイパネル(LCD)取り出して表示素子とし、この表示素子のみを表示装置とした。
【0151】
[実施例1]
実施例1の表示素子は、比較例1と同じである。
また、実施例1の光スイッチング素子の導光板は、上記透明積層体AのITO薄膜が形成された面に、下記の光偏向層を綜研化学社製、SKダイン2057にて貼り合わせたものである。
実施例1の光偏向層の構成は下記の通りである。
下記に示す成分を混合して、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターによってろ過して、硬化性組成物を調製した。
【0152】
<硬化性組成物(質量部)>
KAYARAD PET−30(日本化薬社製) 27.9
ビスコート#360(大阪有機化学社製) 16.7
セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製) 1.0
光重合開始剤(イルガキュア907、BASF社製) 0.5
光重合開始剤(イルガキュア819、BASF社製) 1.9
6μmの架橋アクリル−スチレン粒子の分散液(30質量%) 22.3
分散剤(BYK社製、Disperbyk-2000) 2.1
下記の化合物(SP−13) 0.1
MIBK(メチルイソブチルケトン) 6.0
MEK(メチルエチルケトン) 23.0
【0153】
【化2】
【0154】
また、架橋アクリル−スチレン粒子の屈折率を、アッベ屈折計(アタゴ社製、NAR−4T)を使用し、光源にナトリウムランプ(λ=589nm)を用いて測定したところ、粒子の屈折率は1.52であった。
【0155】
ダイコート法によって、表面を鹸化処理したセルローストリアセテートフィルム(富士
フイルム社製、フジタック、厚さ40μm、屈折率1.48)に、調製した硬化性組成物を、搬送速度30m/分の条件で塗布した。
ダイコート法による硬化性組成物の塗布は、特開2006−122889号公報の実施例1に記載される、上流側リップランド長が0.5mm、下流側リップランド長が50μm、スロットの開口部のウェブ搬送方向の長さが150μm、スロットの長さが50mmのスロットダイを用いて行った。
【0156】
塗布した硬化性組成部物を、60℃で150秒乾燥した。その後、さらに、窒素パージ下による酸素濃度約0.1vol%の環境下で、で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度400mW/cm
2、照射量150m
J/cm
2の紫外線を照射することで、硬化性組成物を硬化させて巻き取った。
これにより、支持層の表面に、粒子を保持するバインダー層を形成してなるフィルムを作製した。なお、バインダー層の膜厚(硬化後の平均膜厚)が3.2μmとなるように、硬化性組成物の塗布量を調節した。従って、粒子(粒径6μm)は、バインダー層から突出している。
また、バインダー層の屈折率を、上記と同様に測定したところ、バインダー層の屈折率は1.52であった。
【0157】
作製したフィルムのバインダー層を設けていない面を、上記透明積層体AのITO薄膜が形成された面に綜研化学社製、SKダイン2057にて貼り合わせた。
また、導光板(透明積層体Aのガラス製透明基板)の短手方向の端面に、光源として、LEDアレイを装着した。
導光板の光偏向層側の面と表示素子の画像表示面が対向するように、表示素子に導光板を装着した。導光板と表示素子との間には、1mmの空気層を設けた。
これにより、おおよそ
図11および
図12に示すような表示装置を作製した。
【0158】
[実施例2]
実施例2の表示素子は、比較例1と同じである。
また、実施例2の光スイッチング素子の導光板は、上記透明積層体Bの第一の硬化性透明樹脂層が形成された面に、実施例1と同じ光偏向層を綜研化学社製、SKダイン2057にて貼り合わせたものである。
また、導光板(透明積層体Bのガラス製透明基板)の短手方向の端面に、光源として、LEDアレイを装着した。
導光板の光偏向層側の面と表示素子の画像表示面が対向するように、表示素子に導光板を装着した。導光板と表示素子との間には、1mmの空気層を設けた。
これにより、おおよそ
図11および
図12に示すような表示装置を作製した。
【0159】
[実施例3]
実施例3の表示素子は、比較例1と同じである。
また、実施例3の光スイッチング素子の導光板は、上記透明積層体Bの第一の硬化性透明樹脂層が形成された面に、下記の光偏向層を綜研化学社製、SKダイン2057にて貼り合わせたものである。
【0160】
実施例3の光偏向層の構成は下記の通りである。
厚さが2mmで、サイズが100×100mmのポリメチルメタクリレート(PMMA)からなる平板(光社製、スミホリデー)を用意した。この平板の屈折率は、1.48である。
一方で、頂角が120°である二等辺三角形状の断面形状を有する長尺な凸部を、長手方向と直交する方向に、離間して複数有する金型(ニッケル製)を用意した。凸部の断面形状とは、凸部の長手方向と直交する方向の断面形状である。
PMMA製の平板に、金型を30分間押し当てて、形状を転写した。なお、形状の転写は、金型の凸部の長手方向と、平板の短手方向とを一致して行った。
【0161】
これにより、PMMA製の平板の一面に、頂角が120°の二等辺三角形状の長尺な溝(三角溝)が、長手方向と直交する方向に、複数、形成された、
図1および
図2に示されるような導光板を作製した。溝は長手方向を、導光板の短手方向と一致して、導光板の短手方向の全域に形成されていた。
作製した導光板から、無作為に10本の溝を選択し、形状をレーザー顕微鏡(キーエンス社製)で観察したところ、溝のサイズsは20μm、溝の間隔pは100μm、溝の深さは17μmであった(全て平均値)。
さらに、無作為に選択した5箇所をレーザー顕微鏡(キーエンス社製)で観察し、1×1mmの大きさの領域で面積率を測定したところ、面積率は17%(平均値)であった。
【0162】
作製した光偏向層の溝を設けていない面を、上記透明積層体Bの第一の硬化性透明樹脂層が形成された面に綜研化学社製、SKダイン2057にて貼り合わせた。
また、導光板(透明積層体Bのガラス製透明基板)の短手方向の端面に、光源として、LEDアレイを装着した。
導光板の光偏向層側の面と表示素子の画像表示面が対向するように、表示素子に導光板を装着した。表示素子は、画素の配列方向の一方向を、導光板の溝の長手方向と一致して配置した。導光板と表示素子との間には、1mmの空気層を設けた。
これにより、おおよそ
図1および
図2に示すような表示装置を作製した。
【0163】
[実施例4]
実施例4の表示素子は、比較例1と同じである。
また、実施例4の光スイッチング素子の導光板は、上記透明積層体Bの第一の硬化性透明樹脂層が形成された面に、下記の光偏向層を綜研化学社製、SKダイン2057にて貼り合わせたものである。
【0164】
実施例4の光偏向層の構成は下記の通りである。
<下地層の形成>
下記に示す成分を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、下地層溶液を調製した。
<<下地層溶液(質量部)>>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 67.8
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA) 5.0
界面活性剤(メガファックRS−90、DIC社製) 26.7
光重合開始剤(イルガキュア819、BASF社製) 0.5
実施例3で用いたPMMA製の平板の一面に、コロナ処理を施した。
この平板のコロナ処理を施した面に、調製した下地層溶液を、バーコーターを用いて3mL(リットル)/m
2の塗布量で塗布した。その後、膜面温度が90℃になるように加
熱し、120秒間乾燥した後に、酸素濃度100ppm以下の窒素パージ下で、紫外線出射装置により、700mJ/cm
2の紫外線を出射し、架橋反応を進行させ、下地層を形
成した。
【0165】
<凸部の形成>
下記に示す成分を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させて、凸部を形成する組成物(液晶組成物)を調製した。
<<凸部を形成する組成物(質量部)>>
メトキシエチルアクリレート 145.0
下記の棒状液晶化合物の混合物 100.0
光重合開始剤(イルガキュア819、BASF社製) 10.0
下記構造のキラル剤A 3.97
下記構造の界面活性剤 0.08
【0166】
棒状液晶化合物
【化3】
数値は質量%である。また、Rは酸素で結合する基である。
【0167】
キラル剤A
【化4】
【0168】
界面活性剤
【化5】
【0169】
この凸部を形成する組成物を、インクジェットプリンター(FUJIFILM Dim
atix社製、DMP−2831)によって、PMMA製の平板の下時層を形成した面の全面に打滴し、95℃で30秒間乾燥した。その後、紫外線出射装置により、130℃の環境下において500mJ/cm
2の紫外線を出射して組成物を硬化(UV硬化)させて
、凸部を形成した。
これにより、
図6および
図7に示すような、多数の凸部を有する光偏向層を作製した。
なお、凸部の形成材料は液晶であるが、130℃でのUV硬化によって液晶が等方相となり、異方性が無くなっている。
【0170】
無作為に10個の凸部を選択して、作製した導光板を実施例3と同様に測定したところ、凸部のサイズs(直径)は23μm、凸部の間隔pは100μm、凸部の高さは10μmであった。なお、球欠状の凸部の内部角γは50°であった。また、実施例3と同様に面積率を測定したところ、面積率は6.5%であった。
また、凸部の形成材料の屈折率を、実施例1と同様に測定したところ、凸部の屈折率は1.58であった。
【0171】
作製した光偏向層の凸部を設けていない面を、上記透明積層体Bの第一の硬化性透明樹脂層が形成された面に綜研化学社製、SKダイン2057にて貼り合わせた。
また、導光板(透明積層体Bのガラス製透明基板)の短手方向の端面に、光源として、LEDアレイを装着した。
導光板の光偏向層側の面と表示素子の画像表示面が対向するように、表示素子に導光板を装着した。導光板と表示素子との間には、1mmの空気層を設けた。
これにより、おおよそ
図6および
図7に示すような表示装置を作製した。
【0172】
[実施例5]
表示素子をLCDから有機EL表示パネル(OLED)に変更した以外は、実施例2と同様に表示装置を作製した。なお、有機EL表示パネルは、サムソン社製のギャラクシーS6を分解して取り出したものを用いた。
【0173】
[実施例6]
導光板と表示素子とを貼合層で貼り合わせた以外は、実施例2と同様に表示装置を作製した。
【0174】
なお、貼合層の詳細は下記の通りである。
下記に示す成分を混合して、全溶剤中プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが30質量%になるように添加した後メチルエチルケトンで希釈し、最終的に固形分濃度が5質量%となるようにして、溶液を調製した。
調製した溶液を、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌後、孔径0.5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過して、貼合層を形成する組成物を調製した。
【0175】
<貼合層を形成する組成物の成分(質量部)>
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬社製) 48.5
下記の分散液A 45
光重合開始剤(イルガキュア127、BASF社製) 3
防汚剤(反応性シリコーン、信越化学社製) 3.5
【0176】
<<分散液A>>
特開2007−298974号公報に記載の分散液A−1と同様の方法を用いて、条件を調節し、平均粒径60nm、シェル厚み10nm、シリカ粒子の屈折率1.31の中空シリカ粒子分散液(固形分濃度18.2質量%)を調製した。
この中空シリカ分散液500質量部に対して、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン15質量部およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部を加え混合した後に、イオン交換水9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。総液量がほぼ一定になるようにメチルイソブチルケトンを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して、分散液Aを調製した。
【0177】
実施例1と同じ光偏向層を用意し、この光偏向層の粒子形成面に、貼合層を形成する組成物をバー塗布によって塗布して、100℃で乾燥した。乾燥後、1000mJ/cm2の紫外線を出射して組成物を硬化して、貼合層を形成した。貼合層の厚さは4μmであった。また、実施例1と同様に貼合層の屈折率を測定したところ、貼合層の屈折率は1.4であった。
次いで、粘着剤(綜研化学社製、SKダイン2057)を用いて、画像表示面を貼合層に向けて実施例1と同じ表示素子を貼り合わせて、表示装置を作製した。
【0178】
[実施例7]
光偏向層のバインダー層側の面と表示素子の画像表示面に反射防止層を積層した以外は、実施例2と同様に表示装置を作製した。
【0179】
なお、反射防止層の詳細は下記の通りである。
反射防止層は、密着層、高屈折率層a、高屈折率層b、低屈折率層からなる。
(1)密着層:SiO
x
・スパッタターゲット:Bドープされた多結晶Si
・スパッタガス:Ar
・反応性ガス:O
2
・反応性ガス流量比:10%
・投入電力:100W
・成膜時圧力:0.13Pa
(2)高屈折率層a:SnO
2
・スパッタターゲット:金属Sn
・スパッタガス:Ar
・反応性ガス:CO
2
・反応性ガス流量比:85%
・投入電力:3kW
・成膜時圧力:0.6Pa
(3)高屈折率層b:Nb
2O
5
・スパッタターゲット:金属Nb
・スパッタガス:Ar
・反応性ガス:CO
2
・反応性ガス流量比:10%
・投入電力:500W
・成膜時圧力:0.6Pa
(4)低屈折率層:SiO
2
・スパッタターゲット:Bドープされた多結晶Si
・スパッタガス:Ar
・反応性ガス:CO
2
・反応性ガス流量比:10%
・投入電力:100W
・成膜時圧力:0.3Pa
【0180】
反射防止層の積層面と、形成した反射防止層(密着層、高屈折率層a、高屈折率層b、低屈折率層)との密着性は良好であった。
【0181】
[コントラストの評価]
作製した各表示装置について、表示素子によって、全面白および全面黒のパターンを交互に表示し、光源が非点灯の状態(OFF)と、光源を点灯した状態(ON)とで、正面(法線N方向)、および、法線Nに対して45°の方向から、コントラスト(コントラスト比)を測定し、評価を行った。なお、コントラストの測定は、輝度計(トプコンテクノハウス社製、BM−5A)を用いて行った。
《評価基準》
A:コントラストが100超のもの
B:コントラストが10超100以下のもの
C:コントラストが5超10以下のもの
D:コントラストが5以下のもの
この評価においては、正面に関しては、光源の点灯および非点灯に関わらずコントラストが高い方が好ましく、すなわちAが最も良好である。また、45°に関しては、光源が非点灯の場合にはコントラストが高い方が好ましく、すなわちAが最も良好であり、光源を点灯した場合にはコントラストが低い方が好ましく、すなわちDが最も良好である。
【0182】
[パターン形成された電極層の視認性の評価]
作製した各表示装置について、光源を点灯した状態(ON)で、光源から出射された光が透明電極パターンによって反射されるかどうかを、導光板の正面から目視観察することで官能評価した。
《評価基準》
A:電極層のパターンが全く見えない
B:電極層のパターンがわずかに見えるが、ほとんど見えない
C:電極層のパターンが見えるが、実用上支障がない
D:電極層のパターンが見え、実用上支障がある
E:電極層のパターンがはっきり見える
【0183】
[外光下における反射光の映り込みの評価]
作製した各表示装置のうち実施例6および7について、外光に見立てた光源(ハロゲンランプ)からの光を、導光板の法線に対して30°の角度で入射し、導光板の正面から目視観察することで、外光下における反射光の映り込みを官能評価した。
《評価基準》
A:映り込みがほとんどない
B:映り込みがあるが、実用上支障がない
C:映り込みがあり、実用上支障がある
【0184】
上記の評価結果を表2に示す。
【表2】
【0185】
上記表2に示されるように、本発明の表示装置(実施例1〜7)によれば、光源を点灯しない状態では、正面および45°方向ともに、コントラストが高い表示を行って、広い視野角に渡って良好な視認性を得ているが、光源を点灯した状態では、45°からの視認性が低下しており、狭視野角での表示が行われている。
ただし、貼合層を有する実施例6は、他の例に比して狭視野角化の効果は若干低いが、外光下での反射光の映り込みを大幅に低減している。すなわち、この例は、広視野角表示と狭視野角表示との切り換えと、高画質な画像表示を両立させたい場合に、好適に利用可能である。
また、反射防止層を有する実施例7は、狭視野角化の効果が高く、さらに、外光下での反射光の映り込みを大幅に低減している。すなわち、この例は、広視野角表示と狭視野角表示との切り換えと、高画質な画像表示を両立させたい場合に、さらに好適に利用可能である。
また、電極層の周囲に屈折率整合層を有さない実施例1は、電極層のパターンが若干見えてしまうのに対して、電極層の周囲に屈折率整合層を有する実施例2〜7は、電極層のパターンをほとんど見えなくしている。
【0186】
次に、表示素子の画像を表示させない状態で、極角0度(正面)から極角80度まで、10度おきに輝度を測定した。この時極角は光源とは逆側に傾け、1方位のみ実施し、測定は上述の輝度計で行った。極角30度以上の輝度の値の和が、極角0度から極角80度における輝度の値の和の80%以上であった。
【0187】
また、上記実施例1〜7に対し、導光板を有さない比較例1は、通常のLCDなので、広視野角表示と狭視野角表示を切り換えることはできない。
以上より本発明の効果は明らかである。