特許第6605394号(P6605394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6605394基板液処理装置、タンク洗浄方法及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605394
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】基板液処理装置、タンク洗浄方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   H01L21/304 648F
   H01L21/304 648K
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 648G
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-98977(P2016-98977)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-208418(P2017-208418A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】溝 田 昌 吾
【審査官】 小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−057843(JP,A)
【文献】 特開2015−220318(JP,A)
【文献】 特開2013−175552(JP,A)
【文献】 特開平11−126764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/306
B08B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を貯留するタンクと、
前記タンクに接続され、前記タンクから出て前記タンクに戻る前記処理液の循環流が流れる循環ラインと、
前記循環ラインから分配された前記処理液を基板に供給することにより基板を処理する処理ユニットと、
前記基板に供給された後に前記処理ユニットから排出される前記処理液を前記タンクに戻す戻しラインと、
前記タンクの内壁面に向けて洗浄液を吐出して、前記内壁面を前記洗浄液により洗浄する洗浄ノズルと、
前記循環ラインから分岐して、前記洗浄ノズルに前記洗浄液として前記処理液を供給する洗浄用ラインと、
前記洗浄用ラインに介設された第1開閉弁と、
前記洗浄用ラインが分岐する分岐点よりも下流側であってかつ前記タンクよりも上流側において前記循環ラインに設けられた第2開閉弁と、
前記タンク内の前記処理液を廃棄するドレンラインと、
前記ドレンラインに介設された第3開閉弁と、
前記処理ユニットで基板が処理されているときに前記第1開閉弁及び前記第3開閉弁が閉じられかつ前記第2開閉弁が開かれ、前記処理ユニットで基板が処理されておらず且つ前記タンクの内壁面が前記洗浄液により洗浄されるときに前記第2開閉弁が閉じられかつ前記第1開閉弁及び前記第3開閉弁が開かれるように、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁を制御する制御部と、
を備えた基板液処理装置。
【請求項2】
前記処理液を予め設定された目標高さ位置まで補充する処理液補充部をさらに備え、
前記洗浄ノズルは、前記目標高さ位置よりも高い位置に配置され、
前記洗浄ノズルは、当該洗浄ノズルから吐出された前記処理液の前記内壁面への着液高さ位置が、前記目標高さ位置と同じか若しくはそれよりも高くなるように設けられている、
請求項1記載の基板液処理装置。
【請求項3】
前記洗浄ノズルは、前記タンクの内壁面に沿って水平方向に延び、前記水平方向に沿って間隔を空けて設けられた複数の吐出口を有する、請求項1記載の基板液処理装置。
【請求項4】
処理液を貯留するタンクと、前記タンクに接続され、前記タンクから出て前記タンクに戻る前記処理液の循環流が流れる循環ラインと、前記循環ラインから分配された前記処理液を基板に供給することにより前記基板を処理する処理ユニットと、前記基板に供給された後に前記処理ユニットから排出される前記処理液を前記タンクに戻す戻しラインと、前記タンクの内壁面に向けて洗浄液を吐出して、前記内壁面を前記洗浄液により洗浄する洗浄ノズルと、前記循環ラインから分岐して、前記洗浄ノズルに前記洗浄液として前記処理液を供給する洗浄用ラインと、前記洗浄用ラインに介設された第1開閉弁と、前記洗浄用ラインが分岐する分岐点よりも下流側であってかつ前記タンクよりも上流側において前記循環ラインに設けられた第2開閉弁と、前記タンク内の前記処理液を廃棄するドレンラインと、前記ドレンラインに介設された第3開閉弁とを備えた基板液処理装置における前記タンクの洗浄方法において、
前記洗浄方法は、前記処理ユニットで基板が処理されているときに閉じられている前記第1開閉弁及び前記第3開閉弁を開き、かつ、前記処理ユニットで基板が処理されているときに開かれている前記第2開閉弁を閉じることにより、前記循環ラインを流れる前記処理液を取り出して、この処理液を、前記洗浄液として前記洗浄ノズルから前記タンクの内壁面に向けて吐出するとともに、前記タンク内にある前記処理液を前記ドレンラインを介して排出しながら行われる、タンク洗浄方法。
【請求項5】
前記タンク洗浄方法は前記タンクに貯留された処理液を交換するときに実施される、請求項記載のタンク洗浄方法。
【請求項6】
基板液処理装置の動作を制御するためのコンピュータにより実行されたときに、前記コンピュータが前記基板液処理装置を制御して請求項4または5記載のタンク洗浄方法を実行させるプログラムが記録された記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板液処理装置において処理液供給部を構成するタンクを洗浄する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、半導体ウエハ等の基板に、ウエット洗浄処理、ウエットエッチング処理等の液処理が施される。このような液処理を行う基板液処理装置においては、安定した濃度及び温度の薬液を基板に供給することを容易とするため、処理液を貯留するタンクと、タンクに接続された循環ラインと、循環ラインから分岐する複数の分岐ラインを備えた処理液供給部が設けられ、上記複数の分岐ラインをそれぞれ介して複数の処理ユニットに処理液が送られる。処理ユニットで一旦基板に供給された使用済みの処理液が、回収ラインを介してタンクに戻された後に循環ラインに送り出され、再び処理に供される(例えば特許文献1を参照)
【0003】
タンク内に戻された使用済みの処理液にはパーティクルが含まれており、タンクの内壁面にパーティクルが付着すると、タンクを汚染してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−220318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、基板液処理装置において、基板に供給された使用済みの処理液が戻されたタンクの内壁面を洗浄することができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、処理液を貯留するタンクと、前記タンクに接続され、前記タンクから出て前記タンクに戻る前記処理液の循環流が流れる循環ラインと、前記循環ラインから分配された前記処理液を基板に供給することにより基板を処理する処理ユニットと、前記基板に供給された後に前記処理ユニットから排出される前記処理液を前記タンクに戻す戻しラインと、前記タンクの内壁面に向けて洗浄液を吐出して、前記内壁面を前記洗浄液により洗浄する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに洗浄液を供給する洗浄用ラインとを備えた基板液処理装置が提供される。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、処理液を貯留するタンクと、前記タンクに接続され、前記タンクから出て前記タンクに戻る前記処理液の循環流が流れる循環ラインと、前記循環ラインから分配された前記処理液を基板に供給することにより前記基板を処理する処理ユニットと、前記基板に供給された後に前記処理ユニットから排出される前記処理液を前記タンクに戻す戻しラインと、を備えた基板液処理装置における前記タンクの洗浄方法において、前記タンクに設けられた洗浄ノズルから前記タンクの内壁面に向けて洗浄液を吐出して、前記内壁面を前記洗浄液により洗浄するタンク洗浄方法が提供される。
【0008】
本発明の更に他の実施形態によれば、基板液処理装置の動作を制御するためのコンピュータにより実行されたときに、前記コンピュータが前記基板液処理装置を制御して請上記のタンク洗浄方法を実行させるプログラムが記録された記憶媒体が提供される
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗浄液を洗浄ノズルからタンクの内壁面に向けて吐出することによりタンクの洗浄を行うことで、タンクの内壁面を効率良く洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す平面図である。
図2】基板処理システムに含まれる処理ユニットの概略構成を示す縦断面図である。
図3】処理ユニットに処理液を供給する処理液供給源(処理液供給機構)の構成を示す配管図である。
図4】処理液供給源に含まれるタンク内への洗浄ノズル配置の一例を示す概略平面図である。
図5】処理液供給源に含まれるタンク内への洗浄ノズル配置の他の例を示す概略平面図である。
図6】タンク内への洗浄ノズル配置を説明するための図4のVI−VI線に沿ったタンクの内壁面近傍の概略縦断面図である。断面図である。
図7】円形の水平断面を有するタンク内に配置される洗浄ノズルの一例を示す概略平面図である。
図8】円形の水平断面を有するタンク内に配置される洗浄ノズルの他の例を示す概略平面図である。
図9】円筒形のタンク及びその中に配置される洗浄ノズルの一例を示す概略斜視図である。
図10】処理液供給源(処理液供給機構)の他の構成を示す配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0012】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0013】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウエハ(以下ウエハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0014】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
【0015】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0016】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
【0017】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して所定の基板処理を行う。
【0018】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0019】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0020】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0021】
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0022】
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
【0023】
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0024】
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウエハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウエハWを回転させる。
【0025】
処理流体供給部40は、ウエハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源70に接続される。
【0026】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウエハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
【0027】
処理流体供給源70(処理流体供給機構)について、図3を参照して説明する。
【0028】
処理流体供給源70は、処理液を貯留するタンク102と、タンク102から出てタンク102に戻る循環ライン104とを有している。本実施形態において、タンク102は、概ね直方体の形状を有している。循環ライン104にはポンプ106が設けられている。ポンプ106は、タンク102から出て循環ライン104を通りタンク102に戻る処理液の循環流を形成する。循環ライン104を構成するパイプの上流端はタンク102の側面の最下部に接続されている。循環ライン104を構成するパイプの下流端は、タンク102内にあり、かつ、タンク102内に存在する処理液の液面LSの高さ(液位)の最低値(最低液位)よりも低い高さ位置にある。
【0029】
ポンプ106の下流側において循環ライン104には、処理液に含まれうるパーティクル等の汚染物質を除去するフィルタ108、処理液を加熱するヒータ110、及び開閉弁112が上流側から順に設けられている。
【0030】
開閉弁112よりも下流側の分岐点113において、循環ライン104から分配ライン114が分岐している。分配ライン114は、複数の分岐分配ライン116に分岐する。これら複数の分岐分配ライン116の各々は、対応する1つの処理ユニット16のノズル(図2の処理流体供給部40に対応)に処理液を供給する。各分岐分配ライン116には、開閉弁及び流量制御弁等の流れ制御機器118が介設されている。基板保持機構30により保持されたウエハWに、流れ制御機器118により制御された流量で処理液供給ノズル(処理流体供給部40)から処理液を供給することにより、ウエハWに液処理を施すことができる。
【0031】
循環ライン104分岐点113よりも下流側には定圧弁119が介設されている。定圧弁119は、その開度を調節することにより、一次側圧力を一定に制御する調圧機能を有する。定圧弁119は、複数の処理ユニット16に供給される処理液の総流量の変化に応じて変化しうる分配ライン114内の圧力を概ね一定に維持することにより、処理液供給ノズル(処理流体供給部40)から安定した流量で処理液が吐出されるようにする。
【0032】
なお、処理液をウエハWに供給中の処理ユニット16の数が増えると、一次側圧力を高く維持するために定圧弁119の開度が減少する。このとき、定圧弁119の弁体と弁座が接触して発塵が生じるおそれがある。発塵を回避するため、処理液をウエハWに供給中の処理ユニット16の数(あるいは分配ライン114を流れる処理液の総流量)が予め定められた閾値を超えた場合には、ポンプ106の駆動圧を増大させるようにポンプ106の運転制御を行ってもよい。
【0033】
循環ライン104の下流側部分に設定された分岐点120において、循環ライン104から洗浄用ライン122が分岐している。分岐点120よりも下流側の部分において、循環ライン104には開閉弁124が介設されており、また、洗浄用ライン122にも開閉弁126が介設されている。洗浄用ライン122の下流端には、タンク102の内壁面を洗浄するための洗浄ノズル128が取り付けられている。洗浄ノズル128は、タンク102内の処理液の液面LSが予め設定された目標高さ位置(後述の図6におけるL1に対応)よりも高い高さ位置にある。
【0034】
各処理ユニット16には、排液ライン130が接続されている。複数の排液ライン130が1つの戻しライン132に接続されている。戻しライン132は、タンク102に接続されている。この構成により、ノズル(処理流体供給部40)からウエハWに供給された後ウエハWを離れた使用済みの処理液を、排液ライン130及び戻しライン132を介してタンク102に戻すことができる。戻しライン132を構成するパイプの下流端は、タンク102内にあり、かつ、タンク102内に存在する処理液の液位よりも低い高さ位置にある。
【0035】
タンク102に、処理液または処理液構成成分を予め設定された目標高さ位置まで補充する処理液補充部134が設けられている。処理液補充部134は、補充用処理液供給源134Aに接続された補充用処理液供給ライン134Bと、補充用処理液供給ライン134Bに介設された開閉弁134Cとを有する。補充用処理液供給ライン134Bを構成するパイプの下流端は、タンク102内にあり、かつ、タンク102内に存在する処理液の液位よりも低い高さ位置にある。
【0036】
タンク102の底部には、タンク102内の処理液を廃棄するためのドレンライン136が接続されている。ドレンライン136には、開閉弁138が介設されている。タンク102には、タンク102内の処理液の液面LSの高さ位置(液位)を検出するための液位センサ140が設けられている。
【0037】
タンク102の上部は天板で塞がれており、循環ライン104、洗浄用ライン122、戻しライン132及び補充用処理液供給ライン134Bを構成するパイプは、前記天板を貫通している。
【0038】
好適な一実施形態において、洗浄ノズル128は、吐出口としての複数の穴が穿たれたタンク102の内壁面に沿って延びる少なくとも1本の管状体により構成することができる。
【0039】
タンク102の水平断面が矩形の場合、例えば図4に示すように、概ね矩形に曲げ加工された1本の管状体128Aにより洗浄ノズル128を構成することができる。この場合、タンクの天板を貫通して上下に延びる洗浄用ライン122を構成するパイプが管状体128Aに接続される。管状体128Aに形成された吐出口としての複数の穴(図4には図示せず)からタンク102の内壁面に向けて処理液が供給される(管状体128Aからタンク102の内周面に向けて延びる矢印を参照)。
【0040】
これに代えて、例えば図5に示すように、矩形の4つの辺にそれぞれ対応する4本の管状体128Bにより洗浄ノズル128を構成することもできる。この場合、洗浄用ライン122を構成するパイプは洗浄用ライン122の下流端部で4本に分岐し、4本の管状体128Bにそれぞれ接続される。各管状体128Bに形成された吐出口としての複数の穴(図5には図示せず)からタンク102の内壁面に向けて処理液が供給される(管状体128Aからタンク102の内周面に向けて延びる矢印を参照)。
【0041】
パーティクル等の汚染物質は、タンク102の処理液の液面に浮かんでタンク102の内壁面に付着することが多い。そして、タンク102内の処理液を交換する時などで処理液の液面が低下した際に、タンク102の内壁面にはパーティクル等の汚染物質が付着したまま残ってしまう。洗浄ノズル128の高さ位置及び吐出口の向きは、この汚染物質が付着しやすい箇所を確実に洗浄することができるように設定される。これについて図6を参照して説明する。
【0042】
タンク102内の処理液の液位の管理方式は、液位(図3の符号LSを参照)が予め設定された目標高さ位置に常時あるように液位センサ140の検出値に基づいて処理液補充部134のフィードバック制御を行う管理方式(以下、「第1管理方式」とも呼ぶ)がある。また、液位センサ140により液位が下限高さ位置(図6の鎖線L3)、つまり補充開始位置まで低下したことが検出されたら液位を予め設定された目標高さ位置(図6の鎖線L1)、つまり、補充停止位置となるまで処理液補充部134から処理液を補充する管理方式(以下、「第2管理方式」とも呼ぶ)がある。なお、第1管理方式の場合、液面は、比較的小さな範囲で変動し、例えば、鎖線L1と鎖線L2との間で変動する。
【0043】
採用する管理方式に依存して汚染物質の付着範囲及び付着密度が異なるが、いずれの場合も、汚染物質は、液面が存在しうる最も高い位置付近に最も多く付着する。従って、図6に示すように、液面が存在しうる最も高い位置である予め設定された目標高さ位置(図6の鎖線L1)とほぼ同じか若しくはそれよりも高い位置に洗浄用の処理液が衝突するように、洗浄ノズル128の高さ位置及び吐出口129の向きを定めることが好ましい。また、タンク102の内壁面に衝突した洗浄用の処理液が跳ねずに内壁面に沿って流下するように、洗浄用の処理液が斜め下方に向けてタンク102の内壁面に向けて吐出されるように吐出口129の向きを定めることが好ましい(図6の白抜き矢印Sを参照)。
【0044】
なお、洗浄ノズル128を2つの異なる高さ位置に設け、低い位置にある洗浄ノズル128がタンク102の内壁面上の鎖線L1の高さ位置付近(最も高密度で汚染物質が付着している部位)に向けて処理液を吐出し、高い位置にある洗浄ノズルがそれよりもさらに高い位置に向けて処理液を吐出してもよい。そうすることにより、低い位置にある洗浄ノズルから吐出された処理液の衝突エネルギにより効率良く汚染物質をタンク102の内壁面から引き剥がすことができ、また、高い位置にある洗浄ノズルから吐出された処理液により、引き剥がされた汚染物質を確実に下方に流すことができる。
【0045】
次に、処理液の交換時に行われるタンク102の洗浄方法について説明する。
【0046】
今、ある処理ロットのウエハWの処理が終了した直後であり、タンク102内の処理液は許容限界まで劣化しているかあるいは汚染物質含有量が許容限界まで達しており、処理液の交換が必要な状況である。ウエハWの処理中に開いていた開閉弁124及び閉じていた開閉弁126は引き続き同じ状態を維持しており、また、ウエハWの処理中に稼働していたポンプ106は引き続き稼働しており、循環ライン104内で処理液が循環中である。処理ユニット16のいずれにおいてもウエハWの処理は行われていないので、流れ制御機器118に含まれる開閉弁は閉じている。従って、循環ライン104から分配ライン114への処理液の流入はない。また、排液ライン130及び戻しライン132内に処理液は実質的に存在していない。
【0047】
上記の状態から、まず、ドレンライン136の開閉弁138を開き、タンク102内の処理液の排液を開始する。
【0048】
タンク102内の処理液の排液の開始とほぼ同時(排液の開始よりやや前またはやや後でもよい)に循環ライン104の開閉弁124を閉じて洗浄用ライン122の開閉弁126を開き、循環ライン104の分岐点120に流入してきた処理液が洗浄用ライン122を介して洗浄ノズル128に流入するようにする。これにより、洗浄ノズル128からタンク102の内壁面に処理液が噴射され、内壁面に付着している汚染物質が洗い流される。
【0049】
ドレンライン136からの排液の進行に伴い、タンク102内の処理液の液位が低下してゆく。タンク102内の処理液の液位が循環ライン104の上流端の接続高さ位置と概ね同じかそれより低くなるとポンプ106の空打ちが生じるので、空打ちが生じた直後に、あるいは空打ちが生じるような液位となったことが液位センサ140により検出されたら、ポンプ106を停止する。その後、タンク102内が空になるまで、引き続きドレンライン136からの排液を行う。
【0050】
上記のタンク102の洗浄の手順を開始してからポンプ106が停止されるまでの間ずっと、洗浄ノズル128からタンク102の内壁面に処理液が噴射され続ける。これにより、タンク102の内壁面に付着していた汚染物質が洗浄ノズル128から噴射された処理液により洗い流され、タンク102の内壁面上を下方に向けて流れ、タンク102内に貯留された処理液内に流れ込む。タンク102内に貯留された処理液内に流れ込んだ汚染物質の一部は、処理液と一緒にドレンライン136を通ってタンク102内から排出される。タンク102内に貯留された処理液内に流れ込んだ汚染物質の他の一部は、循環ライン104に流出し、フィルタ108により捕捉される。タンク102には、フィルタ108により清浄化された処理液が供給される。上記により、タンク102の内壁面に付着していた汚染物質を除去することができる。
【0051】
タンク102が空になったら、処理液補充部134からタンク102内に新しい処理液の供給を開始し、その後ドレンライン136の開閉弁138を閉じる。ポンプ106の稼働に支障が無い程度までタンク102内の液位が上昇したら、ポンプ106を稼働させ、循環ライン104中に処理液を循環させる。これにより、清浄な処理液が循環ライン104内を循環するようになる。これにより、清浄な処理液を用いて処理ユニット16でウエハWの処理を再び行うことができるようになる。
【0052】
なお、さらにタンク102、循環ライン104及び循環ライン104内の機器の清浄度を向上させたいのであれば、新しい処理液を用いて上記と同様の手順を1回以上実行してもよい。
【0053】
上述した手順においては、ドレンライン136からの排液開始後タンク102内液位がポンプ106の空打ちが生じるような液位となるまでドレンライン136からの排液を継続的に行っているが、これには限定されず、例えば、ドレンライン136からの排液開始後タンク102内液位がポンプ106の空打ちが生じるような液位となる前の任意の時点で一旦排液を止めてもよい。この場合、ドレンライン136からの排液を停止した状態で、タンク102、分岐点120よりも上流側の循環ライン104、洗浄用ライン122及び洗浄ノズル128を順次経由して処理液を流し、これによりタンク102の内壁面の洗浄を行い、この状態を所定時間継続した後に、再びドレンライン136からの排液を開始してもよい。
【0054】
上記実施形態によれば、タンク102内に設けた洗浄ノズル128からタンク102の内壁面に洗浄液が吐出されるため、タンク102の内壁面に付着した汚染物質を効率良く除去することができる。
【0055】
また、上記実施形態によれば、タンク102及び循環ライン104にある使用済み処理液を利用してタンク102の内壁面の洗浄を行うため、専用の洗浄液により洗浄を行う場合と比較して、廉価に洗浄を行うことができる。また、洗浄ノズル128からの処理液の吐出のための駆動力を循環ライン104に介設されたポンプ106により発生させているため、別のポンプにより洗浄ノズル128からの処理液の吐出のための駆動力を発生させる場合と比較して、設備コストの上昇を抑制することができる。また、一般的には、タンク102の内壁面に付着する処理液由来の汚染物質(つまり処理液との化学反応によりウエハW上から除去された物質)は、汚染物質が由来する処理液を用いることにより効率良く落とすことができる。
【0056】
タンク102の内壁面の洗浄を専用の洗浄液を用いて洗浄してもよい。この場合、図10に示すように、洗浄用ライン122は、循環ライン104から分岐するのではなく、循環ライン104から独立して設けられ、その上流端が洗浄液供給源150に接続される。この場合、パーティクルを含まないより清浄度の高い洗浄液を用いることができるので、効率良く汚染物質を除去することが可能となる。また、特定の汚染物質に対して特に洗浄性能が高い洗浄液を用いることが可能となるので、洗浄効率を向上させることも可能となる。この場合も、タンク102の内壁面の洗浄は、タンク102内の処理液を交換するときに、タンク102内の処理液をドレンライン136から排液しながら行うことができる。なお、洗浄液がタンク102内の処理液と望ましくない反応(発熱、有害ガスの発生等)を生じるものであるならば、タンク102内の処理液を全て排液した後に、例えば、洗浄ノズル128から純水を吐出してタンク102の内壁面から処理液を洗い流した後に、洗浄ノズル128から洗浄液をタンク102の内壁面に吐出させることができる。このように処理液とは別の洗浄液を用いることにより、タンク102の内壁面の洗浄手順を柔軟に変更することができる。
【0057】
上記の実施形態は下記のように改変することができる。
【0058】
上述した直方体形状のタンク102に代えて、例えば図7に示すように水平断面が円形(または概ね円形)のタンク102Aを使用してもよい。この場合、洗浄ノズル128は、タンク102Aの内周面(内壁面)に沿った形状に曲げ加工された1本の管状体128Cにより構成することができる。管状体128Cには、円周方向に沿って間隔を空けて複数の穴(吐出口)(図7には図示せず)が形成される。各吐出口からは、平面視で半径方向外側に向けて処理液が吐出される(管状体128Cからタンク102Aの内周面に向けて延びる矢印を参照)。また、図8に示すように、洗浄ノズル128を、円周方向に沿って間隔を空けて複数の穴(吐出口)(図8には図示せず)が形成された円盤状部材128Dから構成してもよい。各吐出口からは、平面視で半径方向外側に向けて処理液が吐出される(円盤状部材128Dからタンク102Aの内周面に向けて延びる矢印を参照)。この場合、洗浄ノズル128を成す円盤状部材128Dは、吐出する処理液を駆動源とする回転式スプリンクラーのように構成されていてもよい。
【0059】
水平断面が円形(または概ね円形)のタンク102Aは、図9に示すように、全体として円筒形に形成することができる。図9に示すタンク102Aは、底部が概ね漏斗形に、それより上の部分が円筒形に形成されている。タンク102Aの漏斗形部分の底にはドレンライン136を構成するパイプが接続され、タンク102の円筒形部分の最下部には循環ライン104の上流端部分を構成するパイプが接続されている。タンク102の天板を貫通して循環ライン104の下流端部分及び洗浄用ライン122を構成するパイプが上下方向に延びている。
【0060】
洗浄用ライン122を構成するパイプの先端には洗浄ノズル128Eが取り付けられている。この洗浄ノズル128Eは、タンク102の内周面(内壁面)に近接した位置からタンク102の内周面の概ね接線方向に、かつ、概ね水平方向またはやや下向きに、洗浄液を噴射する。洗浄ノズル128Eから噴射された洗浄液は、タンク102の内周面に沿って流れながら徐々に下方に落ちてゆく。すなわち、洗浄ノズル128Eから噴射された洗浄液は螺旋を描きながらタンク102の内周面に沿って流れる。この螺旋流れにより、タンク102の内周面に付着した汚染物質が洗い流される。図9の実施形態においても、洗浄の手順は、前述した実施形態と同じでよい。なお、図9では、戻しライン132及び補充用処理液供給ライン134Bを構成するパイプの記載は省略している。
【0061】
水平断面が円形のタンクは、全体として概ね球形であってもよい。この場合も、図9の実施形態と同様に、洗浄ノズルによりタンクの内周面(内壁面)に沿って螺旋状に流れる処理液の流れが形成される。
【0062】
上記実施形態においては、基板処理システム1の処理対象である基板が半導体ウエハWであったが、これに限定されるものではなくLCD用のガラス基板、セラミック基板等の他の種類の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
16 処理ユニット
102、102A タンク
104 循環ライン
122 洗浄用ライン
128、128A〜E 洗浄ノズル
132 戻しライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10