(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光開始剤が、モノ及びビスアシルホスフィンオキシド、α−ヒドロキシケトン、α−アルコキシケトン、又はα−アミノケトン化合物及びそれらの混合物から選択される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
硬化性組成物が、エトキシル化オリゴエーテルアクリレート、エトキシル化アミン変性ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート又はウレタンアクリレートを含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
紙又は板紙を、硬化性組成物を紙基材の表側の少なくとも一部に適用する前に、表側でカチオン性ポリマーを用いて処理する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、紙基材上に鮮やかな光沢のある金属コーティングを製造するための方法に関する。本発明の更なる態様は、本方法を用いて得られる紙製品及びかかる紙の装飾又は包装目的のための使用である。
【0002】
今日の紙上への金属効果の印刷は、例えば、溶媒含有アルミニウムインクを、紙又は板紙上に直接印刷し、その後、これを高光沢UVニスで重ね刷りすることによって行われる。その結果は光沢のある表面であるが、これは金属鏡様の表面の鮮やかな光沢から懸け離れている。他方では、鮮やかな光沢は、包装産業、さらには装飾目的のために重要な態様である。従って、これらの産業では非常に高い光沢のある鮮やかな金属蒸着紙が強く求められている。本発明は、この要件を満たして、鮮やかな金属光沢を有する紙を提供する。
【0003】
驚くべきことに、紙に高光沢UVニスを直接印刷し、これを溶剤ベースのメタリックインクで重ね刷りする際に、光沢が極めて高く且つ鮮やかになることが見出された。
【0004】
例えば、微細な蒸着アルミニウムプレートリットに基づくインクと組み合わせたUVニスの組成物において使用されるエポキシアクリレート及び/又はエトキシル化アミン変性ポリエーテルアクリレートは、鏡様の光沢を最終的な紙印刷に提供する。着色剤がメタリックインクに更に添加される時に、高光沢の着色された金属様の効果が達成される。
【0005】
本発明は、以下の工程を含む紙又は板紙の基材上で光沢を示す滑らかな装飾的な表面コーティングを形成するための方法であって、
A)1種以上のエチレン性不飽和化合物と1種以上の光開始剤を含む硬化性組成物を紙基材の表側の少なくとも一部分に適用する工程;
B)UVランプを使用して組成物を硬化する工程;及び
C)バインダー並びに5.0μm〜15μmの平均直径及び7nm〜32nmの厚さを有する蒸着アルミニウム粒子を含むアルミニウム層を、硬化組成物上に印刷する工程
を含む、前記方法に関する。
【0006】
本方法は、好ましくは、
a)紙基材を、装置を介して供給するための機構、
b)液状のUV硬化性組成物の供給源及び該供給源からの液体組成物を基材の表面に適用するための手段、及び該組成物を硬化するための手段を含むコーティングステーション及び
c)メタリックインクを印刷し、その後、該インクを乾燥させるための手段
を含む、印刷装置で実施される。
【0007】
一実施態様では、本発明の装置は、オフライン型又はスタンドアロン型の装置であってよく又は代替的な、好ましい実施態様では、これは統合された製造プロセスの一部として他の更なる従来の印刷、ラミネート加工、切削加工、スリット加工及び他の変換ステーションを有するインライン又は統合されたシステムであってよい。
【0008】
紙又は板紙の基材は、1つ以上のシート又はウェブの形態であってよい。紙基材は、好ましくは、UV光の透過を可能にする不透明な紙基材である。例えば、基材は12ミクロン〜300ミクロンの厚さを有する。紙基材は、普通紙、紙幣紙、合成紙、又はポリマー紙幣から選択される。普通紙は、木材パルプから作られている。紙幣紙は、通常、綿で作られている。合成紙は、その主要材料として、石油由来の合成樹脂の大部分を含有する。以下の3つの主要な合成紙のサブクラスがある:
− テスリン(Teslin)(登録商標)(PPGインダストリーズ、微多孔質、高充填、単層(sinle layer)、ポリオレフィン系合成材料)又はYupo(登録商標)(Covert−All, Inc.;不透明な白色、多層二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)製品)のようなフィルム合成紙;
− ファイバー合成紙(木繊維の代わりのポリマー繊維);及び
− フィルム積層合成紙:紙/フィルム/紙、例えば、Durasafe(登録商標)(Land−quart社);フィルム/紙/フィルム、例えば、ハイブリッド紙幣基材(Giesecke & Devrient社;綿繊維コアの周りの保護ポリエステルフィルムの組み合わせ)。
【0009】
紙は蛍光増白剤、例えば、スチルベン型蛍光増白剤を含有し得る。
【0010】
特別な実施態様では、紙基材は、単一被覆又は二重被覆のいずれかで被覆された紙である。かかる紙は、例えば、Raflabrite(RTM)の商品名でUPM−Kymmene Oyj社から入手可能な市販品である。かかる紙の厚さは、通常、50μm〜150μmの範囲である。
【0011】
別の実施態様では、紙基材は、多層構造を有し得る板紙である。板紙は、通常、180μm〜400μmの厚さを有する。かかる板紙は、例えば、Invercote(RTM)の商品名でIGGESUND社(Holmen Group)から市販されている。これらの種類の板紙はタバコの包装に広く使用されている。
【0012】
紙の厚さはISO534に従って測定される。
【0013】
一般的には、本発明において適した紙又は板紙は、12μm〜400μmの厚さを有し、好ましくは紙50μm〜150μm、板紙151μm〜300μmの厚さを有する。
【0014】
例えば、紙又は板紙の基材は、ISO8791−4(PPS10)に従って測定されるように、1.5μm未満、好ましくは1.1μm未満の粗さを有する。
【0015】
通常、紙又は板紙の基材は、ISO536に従って測定されるように、30g/m
2〜300g/m
2の質量を有する。
【0016】
紙又は板紙の基材との用語は、上記の方法で被覆された最初の紙又は板紙を意味する。
【0017】
基材は、木材パルプ又は綿又は合成木材不含繊維から作られた紙を含んでよい。紙は、被覆され、カレンダー加工され又はマシン光沢仕上げされてよい。
【0018】
被覆された紙の表面テクスチャ又は粗さは、最終的な紙製品の重要な特徴であり且つ鏡様の光沢に本質的に寄与する。これは、例えば、1
st−WLモードで5倍率の対物レンズを使用してデジタル顕微鏡ホログラフィ(DHM)によって測定することができる。測定された表面積は、例えば、1mm×1mmである。
【0019】
Sz値は、プロファイルで見出された最大の高さ(ピーク)と最大の深さ(全体)値のナノメートルでの平均距離である。これらのSz値は、通常、本発明によって被覆された紙製品の場合、300nm以下である。
【0020】
本方法で使用されるランプ及び本発明の装置は、例えば、UV−A範囲(400nm〜320nm)における発光ピーク及び短波長可視スペクトル(400〜450nm)を有する。即ち、ランプは320〜450nmの範囲の発光ピークを有する。
【0021】
UV照射は、一般的に、次のようにUV−A、UV−B、及びUV−Cとして分類されている:UV−A:400nm〜320nm、UV−B:320nm〜290nm、UV−C:290nm〜100nm。
【0022】
任意の紫外線光源が、高圧又は低圧水銀ランプ、冷陰極管、ブラックライト、紫外LED、紫外レーザー及び閃光などの放射線源として使用され得る。
【0023】
本発明の方法において使用され得るランプの例を以下に示す:
− 中圧水銀アークは、スペクトル出力を変化させるために小さな割合で金属ハロゲン化物の封入によって変更される:
− 鉄ドープ−350〜450nmにシフトされたスペクトル出力;
− ガリウムドープ−非常に少ない紫外線を放射する;紫と青のスペクトル領域における発光(波長/nm:ガリウム(Ga)403、417及び鉄(Fe)358、372、374/5、382、386、388で金属ヨウ化物を用いて水銀アークをドープすることによる予想される追加のUVライン);及び
− 集束反射型ダイオードアレイ(FRDA)システム(igb−tech GmbH)、例えば、FRDA202は約400nmの発光ピークを有する。マルチスペクトルランプも使用され得る。
【0024】
別の実施態様では、紫外線LEDランプは、単独で又は上記のランプの1つと組み合わせて使用されてよい。
【0025】
例えば、組成物を硬化させるために使用されるランプは、ガリウム又は鉄ドープ中圧水銀ランプである。
【0026】
ランプは、楕円形(又は用途に応じて、放物線状)の断面を有する直線状の反射器を含むアルミニウムハウジングで構成された照射器の一部である。照射ハウジングに取り付けられた反射器は、高程度のUV反射率及び変色や腐食に対する抵抗性を有する特殊なアルミニウムから作られている。
【0027】
光開始剤、又は光開始剤混合物及び使用されるランプは、最適印刷速度を達成するために、特定の基質の種類に依存して最適化されるべきである。
【0028】
一実施態様では、UV硬化性組成物は正面側から硬化される。しかしながら、紙がUV光の通過を可能にする特定の不透明度又は透明度を有する場合、裏側から組成物を硬化することも可能である。
【0029】
通常、光開始剤は、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシケトン系化合物、α−アルコキシケトン系化合物、α−アミノケトン系化合物、モノ及びビスアシルホスフィンオキシド化合物、フェニルグリオキシレート化合物、オキシムエステル化合物及びオニウム塩化合物(スルホニウム塩化合物及びヨードニウム塩化合物)及びそれらの混合物から選択される。
【0030】
例えば、光開始剤は、モノ及びビスアシルホスフィンオキシド化合物、α−アミノケトン系化合物、オキシムエステル化合物又はそれらの混合物から選択される。
【0031】
好ましい実施態様では、光開始剤は、モノ及びビスアシルホスフィンオキシド化合物及びそれらの混合物から選択される。
【0032】
あるいは、硬化性組成物は、モノ又はビスアシルホスフィンオキシド化合物とベンゾフェノン化合物との混合物、α−ヒドロキシケトン、α−アルコキシケトン、又はα−アミノケトン化合物を含む。
【0033】
現時点で最も好ましい光開始剤はモノ及びビスアシルホスフィンオキシド化合物である。モノ及びビスアシルホスフィンオキシド化合物は単独で使用できる。あるいは、モノ及びビスアシルホスフィンオキシド化合物の混合物が使用できるか、又はモノ及びビスアシルホスフィンオキシド化合物は、他の光開始剤、例えば、ベンゾフェノン系、α−アミノケトン系、α−ヒドロキシケトン系、ケタール化合物、フェニルグリオキシレート化合物、オキシムエステル化合物又はオニウム塩化合物、特にベンゾフェノン化合物、α−ヒドロキシケトン、α−アルコキシケトン、又はα−アミノケトン化合物、非常に特にベンゾフェノン化合物、α−ヒドロキシケトン、又はα−アルコキシケトン化合物との混合物で使用できる。α−アミノケトン化合物は、黄変が問題でない場合、単独で、又は他の光開始剤との混合物で使用できる。
【0034】
光開始剤の例は、例えば、Kurt Dietlikerによって刊行された“A compilation of photoinitiators commercially available for UV today”、Sita Technology Textbook、エディンバラ、ロンドン、2002年において当業者に知られている。
【0035】
好適なアシルホスフィンオキシド化合物の例は式XII
【化1】
(式中、R
50は非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであるか;又は1つ以上のハロゲン、C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、C
1〜C
12アルキルチオ又はNR
53R
54によって置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであるか;
又はR
50は非置換のC
1〜C
20アルキルであるか又は1つ以上のハロゲン、C
1〜C
12アルコキシ、C
1〜C
12アルキルチオ、NR
53R
54又は−(CO)−O−C
1〜C
24アルキルによって置換されたC
1〜C
20アルキルであり;
R
51は非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであるか;又は1つ以上のハロゲン、C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、C
1〜C
12アルキルチオ、又はNR
53R
54によって置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであるか;又はR
51は−(CO)R’
52であるか;又はR
51は、非置換の又は1つ以上のハロゲン、C
1〜C
12アルコキシ、C
1〜C
12アルキルチオ、又はNR
53R
54によって置換されたC
1〜C
12アルキルであり;
R
52及びR’
52は互いに独立して非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであるか、又は1つ以上のハロゲン、C
1〜C
4アルキル又はC
1〜C
4アルコキシによって置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであるか;又はR
52はS原子又はN原子を含む5員又は6員の複素環であり;
R
53及びR
54は互いに独立して水素、非置換のC
1〜C
12アルキル又は1つ以上のOH又はSHによって置換されたC
1〜C
12アルキルであり、その際、アルキル鎖は任意に1個〜4個の酸素原子によって中断されるか;又はR
53及びR
54は互いに独立してC
2〜C
12−アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニルである)
のものである。
【0036】
具体的な例は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(lrgacure(登録商標)819);2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド(Darocur(登録商標)TPO);エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィン酸エステル;(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドである。
【0037】
更に、式XIIの化合物と式XIの化合物との混合物並びに式XIIの異なる化合物の混合物が興味深い。
【0038】
例は、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとの混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドとエチル(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィン酸エステルとの混合物等である。
【0039】
適切なベンゾフェノン化合物の例は、式X:
【化2】
(式中、R
65、R
66及びR
67は、互いに独立して水素、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4−ハロゲンアルキル、C
1〜C
4アルコキシ、Cl又はN(C
1〜C
4アルキル)
2であり;
R
68は水素、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロゲンアルキル、フェニル、N(C
1〜C
4アルキル)
2、COOCH
3、
【化3】
であり;
Qは2〜6個のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物の残基であり;
xは1より大きいがQで利用可能なヒドロキシル基の数より大きくない数字であり;
Aは−[O(CH
2)
bCO]
y−又は−[O(CH
2)
bCO]
(y−1)−[O(CHR
71CHR
70)
a]
y−であり;
R
69は水素、メチル又はエチルであり;Nが1より大きい場合、基R
69は互いに同じ又は互いに異なってよく;
aは1〜2の数字であり;
bは4〜5の数字であり;
yは1〜10の数字であり;
nは;且つ
mは2〜10の整数である)
の化合物である。
【0040】
具体的な例は、Darocur(登録商標)BP(=ベンゾフェノン)、Esacure TZT(登録商標)(Lamberti社から入手可能)、(2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの混合物)、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルベンゼンメタンアミニウムクロリド;[4−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−(4−イソプロピルフェニル)−メタノン;ビフェニル−[4−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−メタノン;ビフェニル−4−イル−フェニル−メタノン;ビフェニル−4−イル−p−トリル−メタノン;ビフェニル−4−イル−m−トリル−メタノン;[4−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−p−トリル−メタノン;[4−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−(4−イソプロピル−フェニル)−メタノン;[4−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−(4−メトキシ−フェニル)−メタノン;1−(4−ベンゾイル−フェノキシ)−プロパン−2−オン;[4−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−(4−フェノキシ−フェニル)−メタノン;3−(4−ベンゾイル−フェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン;(4−クロロ−フェニル)−(4−オクチルスルファニル−フェニル)−メタノン;(4−クロロ−フェニル)−(4−ドデシルスルファニル−フェニル)−メタノン;(4−ブロモ−フェニル)−(4−オクチルスルファニル−フェニル)−メタノン;(4−ドデシルスルファニル−フェニル)−(4−メトキシ−フェニル)−メタノン;(4−ベンゾイル−フェノキシ)−酢酸メチルエステル;ビフェニル−[4−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−メタノン;1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン(Lamberti社から入手可能なEsacure(登録商標)1001)である。
【0041】
好適なアルファ−ヒドロキシケトン、アルファ−アルコキシケトン又はアルファ−アミノケトン化合物の例は、式(XI)
【化4】
(式中、R
29は水素又はC
1〜C
18アルコキシであり;
R
30は水素、C
1〜C
18アルキル、C
1〜C
12ヒドロキシアルキル、C
1〜C
18アルコキシ、OCH
2CH
2−OR
34、モルホリノ、S−C
1〜C
18アルキル、基−HC=CH
2、−C(CH
3)=CH
2
【化5】
であり、
d、e及びfは1〜3であり;
cは2〜10であり;
G
1及びG
2は互いに独立してポリマー構造の末端基、好ましくは水素又はメチルであり;
R
34は水素、
【化6】
であり;
R
31は、ヒドロキシ、C
1〜C
16アルコキシ、モルホリノ、ジメチルアミノ又は−O(CH
2CH
2O)
g−C
1〜C
16アルキルであり;
gは1〜20であり;
R
32及びR
33は、互いに独立して水素、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
16アルコキシ又は−O(CH
2CH
2O)
g−C
1〜C
16アルキルであるか;又は非置換のフェニル又はベンジルであるか;又はC
1〜C
12アルキルによって置換されたフェニル又はベンジルであるか;又はR
32及びR
33は、それらが結合される炭素原子と一緒にシクロヘキシル環を形成し;
R
35は水素、OR
36又はNR
37R
38であり;
R
36は水素、任意に1つ以上の非連続的なO原子により中断されたC
1〜C
12アルキルであり、その中断されていない又は中断されたC
1〜C
12アルキルは任意に1つ以上のOHによって置換されているか、
又はR
36は
【化7】
であり;
R
37及びR
38は、互いに独立して水素又は非置換の又は1つ以上のOHによって置換されたC
1〜C
12アルキルであり;
R
39は、任意に1つ以上の非連続的なOによって中断されたC
1〜C
12アルキレン、−(CO)−NH−C
1〜C
12アルキレン−NH−(CO)−又は
【化8】
であるが;
但し、R
31、R
32及びR
33は全て一緒にC
1〜C
16アルコキシ又は−O(CH
2CH
2O)
g−C
1〜C
16アルキルではないことを条件とする)
のものである。
【0042】
具体例は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(Irgacure(登録商標)184)又はIrgacure(登録商標)500(Irgacure(登録商標)184とベンゾフェノンとの混合物)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(Irgacure(登録商標)907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノ−フェニル)−ブタン−1−オン(Irgacure(登録商標)369)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(Irgacure(登録商標)379)、(3,4−ジメトキシ−ベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Irgacure(登録商標)2959)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(Irgacure(登録商標)651)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(Darocur(登録商標)1173)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(Irgacure(登録商標)127)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、Lamberti社によって提供されるEsacure KIP、2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オンである。
【0043】
Irgacure(登録商標)及びDarocur(登録商標)の製品はBASF SEから入手可能である。
【0044】
適切なフェニルグリオキシレート化合物の例は、式XIII
【化9】
(式中、R
60は水素、C
1〜C
12アルキル又は
【化10】
であり;
R
55、R
56、R
57、R
58及びR
59は、互いに独立して、水素、非置換のC
1〜C
12アルキル又は1つ以上のOH、C
1〜C
4アルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン又はCNによって置換されたC
1〜C
12アルキルであり;その際、アルキル鎖は、任意に1個以上の酸素原子によって中断されているか;又はR
55、R
56、R
57、R
58及びR
59は、互いに独立してC
1〜C
4アルコキシ、C
1〜C
4アルキルチオ又はNR
52R
53であり;
R
52及びR
53は互いに独立して水素、非置換のC
1〜C
12アルキル又は1つ以上のOH又はSHによって置換されたC
1〜C
12アルキルであり、その際、アルキル鎖は任意に1個〜4個の酸素原子によって中断されているか;又はR
52及びR
53は互いに独立してC
2〜C
12−アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニルであり;且つ
Y
1は任意に1個以上の酸素原子によって中断されるC
1〜C
12アルキレンである)
のものである。
【0045】
式XIIIの化合物の具体例は、オキソ−フェニル−酢酸2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−エトキシ]−エチルエステル(lrgacure(登録商標)754)、メチルα−オキソベンゼンアセテートである。
【0046】
適切なオキシムエステル化合物の例は、式XIV
【化11】
(式中、
zは0又は1であり;
R
70は、水素、C
3〜C
8シクロアルキル;非置換の又は1つ以上のハロゲン、フェニル又はCNによって置換されたC
1〜C
12アルキルであるか;又はR
70はC
2〜C
5アルケニル;非置換の又は1つ以上のC
1〜C
6アルキル、ハロゲン、CN、OR
73、SR
74又はNR
75R
76によって置換されたフェニルであるか;又はR
70はC
1〜C
8アルコキシ、ベンジルオキシ;又は非置換の又は1つ以上のC
1〜C
6アルキル又はハロゲンによって置換されたフェノキシであり;
R
71はフェニル、ナフチル、ベンゾイル又はナフトイルであり、それぞれが、1つ以上のハロゲン、C
1〜C
12アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、ベンジル、フェノキシカルボニル、C
2〜C
12アルコキシカルボニル、OR
73、SR
74、SOR
74、SO
2R
74又はNR
75R
76によって置換され、その際、置換基OR
73、SR
74及びNR
75R
76は任意に、フェニル環又はナフチル環上で更なる置換基と一緒に基R
73、R
74、R
75及び/又はR
76を介して5員環又は6員環を形成するか;又はそれぞれがフェニルによって又は1つ以上のOR
73、SR
74若しくはNR
75R
66によって置換されたフェニルによって置換されるか;
又はR
71はチオキサンチル、又は
【化12】
であり;
R
72は水素;非置換のC
1〜C
20アルキル又は1つ以上のハロゲン、OR
73、SR
74、C
3〜C
8シクロアルキル若しくはフェニルによって置換されたC
1〜C
20アルキルであるか;又はC
3〜C
8シクロアルキルであるか;又は非置換の又は1つ以上のC
1〜C
6アルキル、フェニル、ハロゲン、OR
73、SR
74又はNR
75R
76によって置換されたフェニルであるか;又は非置換の又は1つ以上のC
1〜C
6アルキル、フェニル、OR
73、SR
74又はNR
75R
76によって置換されたC
2〜C
20アルカノイル又はベンゾイルであるか;又はC
2〜C
12アルコキシカルボニル、フェノキシカルボニル、CN、CONR
75R
76、NO
2、C
1〜C
4ハロアルキル、S(O)
y−C
1〜C
6アルキル、又はS(O)
y−フェニルであり、
yは1又は2であり;
Y
2は直接結合しているか又は結合していない;
Y
3はNO
2又は
【化13】
であり;
R
73及びR
74は互いに独立して水素、C
1〜C
20アルキル、C
2〜C
12アルケニル、C
3〜C
8シクロアルキル、1つ以上、好ましくは2つのOによって中断されたC
3〜C
8シクロアルキル、フェニル−C
1〜C
3アルキルであるか;又はOH、SH、CN、C
1〜C
8アルコキシ、C
1〜C
8アルカノイル、C
3〜C
8シクロアルキルによって、1つ以上のOによって中断されたC
3〜C
8シクロアルキルによって置換されたC
1〜C
8アルキルであるか、又はそのC
1〜C
8アルキルが非置換の又は1つ以上のC
1〜C
6アルキル、ハロゲン、OH、C
1〜C
4アルコキシ又はC
1〜C
4アルキルスルファニルによって置換されたベンゾイルによって置換されるか;又はフェニル又はナフチルであり、それぞれが非置換であるか又はハロゲン、C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、フェニル−C
1〜C
3アルキルオキシ、フェノキシ、C
1〜C
12アルキルスルファニル、フェニルスルファニル、N(C
1〜C
12アルキル)
2、ジフェニルアミノ又は
【化14】
によって置換され;
R
75及びR
76は、互いに独立して、水素、C
1〜C
20アルキル、C
2〜C
4ヒドロキシアルキル、C
2〜C
10アルコキシアルキル、C
2〜C
5アルケニル、C
3〜C
8シクロアルキル、フェニル−C
1〜C
3アルキル、C
1〜C
8アルカノイル、C
3〜C
12アルケノイル、ベンゾイルであるか;又はフェニル又はナフチルであり、それぞれが非置換であるか又はC
1〜C
12アルキル、ベンゾイル又はC
1〜C
12アルコキシによって置換されるか;又はR
75及びR
76は、一緒になって、任意にO又はNR
73によって中断されたC
2〜C
6アルキレンであり且つ任意にヒドロキシル、C
1〜C
4アルコキシ、C
2〜C
4アルカノイルオキシ又はベンゾイルオキシによって置換され;
R
77は、C
1〜C
12アルキル、チエニル又は非置換の又はC
1〜C
12アルキル、OR
73、モルホリノ又はN−カルバゾリルによって置換されたフェニルである)
のものである。
【0047】
具体例は、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)(Irgacure(登録商標)OXE01)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(Irgacure(登録商標)OXE02)、9H−チオキサンテン−2−カルボキサルデヒド9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(4モルホリノベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−(2−(1,3−ジオキソ−2−ジメチル−シクロペンタ−5−イル)エトキシ)−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(Adeka N−1919)、エタノン1−[9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル]−1−[2−メチル−4−(1−メチル−2−メトキシ)エトキシ)フェニル]−1−(O−アセチルオキシム)(Adeka NCI831)等である。
【0048】
カチオン性光開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル(他の適切な過酸化物は米国特許第4950581号明細書の第19欄、第17行〜第25行に記載されている)、又は芳香族スルホニウム、ホスホニウム又はヨードニウム塩(例えば、米国特許第4950581号明細書の第18欄、第60行〜第19欄、第10行に記載されている)を添加することも可能である。
【0049】
適切なスルホニウム塩化合物は、式XVa、XVb、XVc、XVd又はXVe
【化15】
(式中、R
80、R
81及びR
82は、それぞれ互いに独立して非置換のフェニル、又は−S−フェニル、
【化16】
によって置換されたフェニルであり;
R
83は直接結合、S、O、CH
2、(CH
2)
2、CO又はNR
89であり;
R
84、R
85、R
86及びR
87は、互いに独立して、水素、C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
2〜C
20アルケニル、CN、OH、ハロゲン、C
1〜C
6アルキルチオ、フェニル、ナフチル、フェニル−C
1〜C
7アルキル、ナフチル−C
1〜C
3アルキル、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニル−C
1〜C
7アルキルオキシ、ナフチル−C
1〜C
3アルキルオキシ、フェニル−C
2〜C
6アルケニル、ナフチル−C
2〜C
4アルケニル、S−フェニル、(CO)R
89、O(CO)R
89、(CO)OR
89、SO
2R
89又はOSO
2R
89であり;
R
88は、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20ヒドロキシアルキル、
【化17】
であり;
R
89は、水素、C
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12ヒドロキシアルキル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;
R
90、R
91、R
92及びR
93は、互いに独立して、R
84に対して与えられた意味の1つを有するか;又はR
90及びR
91は、それらが結合されるベンゼン環と縮合環系を形成するように接合され;
R
95は、直接結合、S、O又はCH
2であり;
R
96は、水素、C
1〜C
20アルキル;1つ以上のOによって中断されたC
2〜C
20アルキル;又は−L−M−R
98又は−L−R
98であり;
R
97は、R
96に対して与えられた意味の1つを有するか又は
【化18】
であり;
R
98は一価の増感剤又は光開始剤の部分であり;
Ar
1及びAr
2は、互いに独立して、非置換の又はC
1〜C
20アルキル、ハロゲン又はOR
99によって置換されたフェニルであるか;
又は非置換のナフチル、アントリル、フェナントリル又はビフェニリルであるか;
又はC
1〜C
20アルキル、OH又はOR
99によって置換されたナフチル、アントリル、フェナントリル又はビフェニリルであるか;
又は−Ar
4−A
1−Ar
3又は
【化19】
であり;
Ar
3は、非置換のフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル又はビフェニリルであるか;
又はフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル又はC
1〜C
20アルキル、OR
99若しくはベンゾイルによって置換されたビフェニリルであり;
Ar
4は、フェニレン、ナフチレン、アントリレン又はフェナントリレンであり;
A
1は、直接結合、S、O又はC
1〜C
20アルキレンであり;
Xは、CO、C(O)O、OC(O)、O、S又はNR
99であり;
Lは、直接結合、S、O、C
1〜C
20アルキレン又は1つ以上の非連続的なOによって中断されたC
2〜C
20アルキレンであり;
R
99は、C
1〜C
20アルキル又はC
1〜C
20ヒドロキシアルキルであるか;又はO(CO)R
102によって置換されたC
1〜C
20アルキルであり;
M
1は、S、CO又はNR
100であり;
M
2は、直接結合、CH
2、O又はSであり;
R
100及びR
101は互いに独立して水素、ハロゲン、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8アルコキシ又はフェニルであり;
R
102はC
1〜C
20アルキルであり;
R
103は
【化20】
であり;且つ
Eはアニオン、特にPF
6、SbF
6、AsF
6、BF
4、(C
6F
5)
4B、Cl、Br、HSO
4、CF
3−SO
3、F−SO
3、
【化21】
、CH
3−SO
3、ClO
4、PO
4、NO
3、SO
4、CH
3−SO
4、又は
【化22】
である)
のものである。
【0050】
スルホニウム塩化合物の具体例は、例えば、lrgacure(登録商標)270(BASF SE);Cyracure(登録商標)UVI−6990、Cyracure(登録商標)UVI−6974(ユニオンカーバイド)、Degacure(登録商標)KI85(デグサ)、SP−55、SP−150、SP−170(旭電化)、GE UVE1014(ゼネラル・エレクトリック)、SarCat(登録商標)KI−85(=トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート;Sartomer社)、SarCat(登録商標)CD1010(=混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート;サートマー);SarCat(登録商標)CD1011(=混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート;Sartomer社)である。
【0051】
好適なヨードニウム塩化合物は、式XVI
【化23】
(式中、R
110及びR
111は、それぞれ互いに独立して、水素、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、OH置換C
1〜C
20アルコキシ、ハロゲン、C
2〜C
12アルケニル、C
3〜C
8シクロアルキル、特にメチル、イソプロピル又はイソブチルであり;且つ
Eは、アニオン、特にPF
6、SbF
6、AsF
6、BF
4、(C
6F
5)
4B、Cl、Br、HSO
4、CF
3−SO
3、F−SO
3、
【化24】
、CH
3−SO
3、ClO
4、PO
4、NO
3、SO
4、CH
3−SO
4又は
【化25】
である)
のものである。
【0052】
ヨードニウム塩化合物の具体例は、例えば、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−[(2−ヒドロキシ−テトラデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート又はヘキサフルオロホスファート、トリルクミルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート(Irgacure(登録商標)250、BASF SE)、4−オクチルオキシフェニル−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート又はヘキサフルオロアンチモナート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート又はヘキサフルオロホスファート、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、4−メチル−フェニル−4’−エトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、4−メチルフェニル−4’−ドデシル−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、4−メチルフェニル−4’−フェノキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファートである。
【0053】
上記の全てのヨードニウム塩のうち、他のアニオンを有する化合物も、当然ながら、適切である。ヨードニウム塩の調製は、当業者に公知であり、文献、例えば、米国特許第4151175号明細書、米国特許第3862333号明細書、米国特許第4694029号明細書、欧州特許第562897号明細書、米国特許第4399071号明細書、米国特許第6306555号明細書、国際公開第98/46647号パンフレット,J. V. Crivello, “Photoinitiated Cationic Polymerization” in: UV Curing: Science and Technology, Editor S. P. Pappas, 第24-77頁、Technology Marketing Corporation, Norwalk, Conn. 1980, ISBN No.O-686-23773-0; J. V. Crivello, J. H. W. Lam, Macromolecules, 10, 1307 (1977年)及びJ. V. Crivello, Ann. Rev. Mater. Sci. 1983, 13, 第173-190頁及びJ. V. Crivello, Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry, Vol. 37, 4241-4254 (1999年)に記載されている。
【0054】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。
【0055】
C
1〜C
24アルキル(C
1〜C
20アルキル、特にC
1〜C
12アルキル)は、通常、可能な場合、直鎖状又は分枝鎖状である。例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及び2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、又はオクタデシルである。C
1〜C
8アルキルは、通常、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及び2−エチルヘキシルである。C
1〜C
4アルキルは、通常、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0056】
C
2〜C
12アルケニル(C
2〜C
5アルケニル)基は、直鎖状又は分枝鎖状のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−ブタ−2−エニル、n−オクタ−2−エニル、又はn−ドデカ−2−エニルである。
【0057】
C
1〜C
12アルコキシ基(C
1〜C
8アルコキシ基)は、直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ又はtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ及びドデシルオキシである。
【0058】
C
1〜C
12アルキルチオ基(C
1〜C
8アルキルチオ基)は、直鎖状又は分枝鎖状のアルキルチオ基であり、硫黄に対して酸素を交換したものを除いて、アルコキシ基と同じ優先傾向を有する。
【0059】
C
1〜C
12アルキレンは、二価のC
1〜C
12アルキル、即ち、2つの(1つの代わりに)自由原子価を有するアルキル、例えば、トリメチレン又はテトラメチレンである。
【0060】
シクロアルキル基は、通常、C
3〜C
8シクロアルキル、例えば、非置換であるか又は置換されてよい、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチルである。
【0061】
幾つかの場合、光開始剤に加えて、増感剤化合物を使用することが有利である。適切な増感剤化合物の例は、国際公開第06/008251号パンフレット、第36頁、第30行〜第38頁、第8行に開示されており、その開示は参照により本明細書に援用されている。増感剤として、とりわけ、上記のようなベンゾフェノン系化合物を使用することができる。
【0062】
本発明の一実施態様では、光開始剤は、モノ及びビスアシルホスフィンオキシド、α−ヒドロキシケトン、α−アルコキシケトン、又はα−アミノケトン化合物及びそれらの混合物から選択される。
【0063】
硬化性組成物は、紫外線(U.V.)光により硬化される。この種の組成物は、しばしば、UV−ラッカーと呼ばれる。UV硬化ラッカーは、市販の製品であり、例えば、BASF SEから得ることができる。本発明において使用される化学放射線に曝露されるラッカーはUV光への曝露後に凝固段階に到達するために必要とされる。ラッカー組成物にとって特に適したものは、放射線硬化産業で工業用塗料及びグラフィックアートにおいて使用される化学物質である。特に適したものは、UV放射に対して曝露されたラッカー層の重合を開始する1種又は複数種の光潜伏性触媒(photo-latent catalysts)を含有する組成物である。固体状態への高速な硬化及び変換に特に適したものは、フリーラジカル重合に対して感受性の1種又は複数種のモノマー及びオリゴマー、例えば、アクリレート、メタクリレート又はモノマー又は/及び少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するオリゴマーを含む組成物である。
【0064】
不飽和化合物は、1種以上のオレフィン二重結合を含み得る。それらは、低(モノマー)又は高(オリゴマー)分子量であり得る。二重結合を有するモノマーの例は、アルキル、ヒドロキシアルキル又はアミノアクリレート、又はアルキル、ヒドロキシアルキル又はアミノメタクリレート、例えば、メチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル又は2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート又はエチルメタクリレートである。シリコーンアクリレートも有利である。他の例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルエーテル、例えば、イソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキル及びハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル又は塩化ビニリデンである。
【0065】
2つ以上の二重結合を有するモノマーの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール又はビスフェノールAのジアクリレート、及び4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート又はトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレートである。
【0066】
比較的高い分子量の多不飽和化合物(オリゴマー)の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリレート基、ビニルエーテル基又はエポキシ基を含むポリエステル、さらにはポリウレタン及びポリエーテルである。不飽和オリゴマーの更なる例は、通常、マレイン酸、フタル酸及び1種以上のジオールから調製され且つ約500〜3000の分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂である。更に、ビニルエーテルモノマー及びオリゴマー、さらにはポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシ主鎖を有するマレエート末端オリゴマーを使用することも可能である。特に適したものは、国際公開第90/01512号パンフレットに記載されるようなビニルエーテル基を有するオリゴマーとポリマーとの組み合わせである。しかしながら、ビニルエーテルとマレイン酸官能性モノマーとのコポリマーも適している。この種の不飽和オリゴマーはプレポリマーと呼ぶこともできる。
【0067】
特に好適な例は、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、及び鎖又は側基にエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば、不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン及びそれらのコポリマー、側鎖に(メタ)アクリル酸基を有するポリマー及びコポリマー、さらには1種以上のかかるポリマーの混合物である。
【0068】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、及び不飽和脂肪酸、例えば、リノレン酸又はオレイン酸である。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0069】
好適なポリオールは芳香族であり、特に、脂肪族及び脂環式ポリオールである。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、さらにはノボラック及びレゾールである。ポリエポキシドの例は、上記のポリオールに基づくもの、特に、芳香族ポリオール、及びエピクロロヒドリンである。他の好適なポリオールは、ポリマー鎖又は側基中にヒドロキシル基を有するポリマー及びコポリマーであり、例はポリビニルアルコール及びそれらのコポリマー又はポリヒドロキシアルキルメタクリレート又はそれらのコポリマーである。適切な更なるポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0070】
脂肪族及び脂環式ポリオールの例は、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びソルビトールである。
【0071】
ポリオールは、部分的に又は完全に1つのカルボン酸で又は異なる不飽和カルボン酸でエステル化されてよく、部分エステルでは、遊離ヒドロキシル基は修飾されてよく、例えば、他のカルボン酸でエーテル化又はエステル化されてよい。
【0072】
エステルの例は、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジアクリレート及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、又はそれらの混合物である。
【0073】
また、重合性成分として適切なものは、同一又は異なる、不飽和カルボン酸と、好ましくは2〜6個、特に2〜4個のアミノ基を有する芳香族、脂環式及び脂肪族ポリアミンとのアミドである。かかるポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−又はジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。他の適切なポリアミンは、好ましくは側鎖中に更なるアミノ基を有するポリマー及びコポリマー、並びにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。かかる不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレート及びN[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドである。
【0074】
適切な不飽和ポリエステル及びポリアミドは、例えば、マレイン酸から及びジオール又はジアミンから誘導される。マレイン酸の一部は他のジカルボン酸で置き換えることができる。これらは、エチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に使用することができる。ポリエステル及びポリアミドは、また、ジカルボン酸から及びエチレン性不飽和ジオール又はジアミンから、特に、例えば、6〜20個の炭素原子の、比較的長い鎖を有するものから誘導されてもよい。ポリウレタンの例は、飽和又は不飽和ジイソシアネート及び不飽和又は、それぞれ、飽和ジオールから構成されるものである。
【0075】
側鎖中に(メタ)アクリレート基を有するポリマーも同様に知られている。それらは、例えば、ノボラックに基づくエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であってよいか、又は(メタ)アクリル酸でエステル化されたビニルアルコール又はそれらのヒドロキシアルキル誘導体のホモポリマー又はコポリマーであってよいか、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化された(メタ)アクリレートのホモポリマー及びコポリマーであってよい。
【0076】
側鎖中にアクリレート基又はメタクリレート基を有する他の適切なポリマーは、例えば、溶媒可溶性又はアルカリ可溶性ポリイミド前駆体、例えば、分子内の主鎖又はエステル基のいずれかに結合された光重合性側基を有する、即ち、欧州特許第624826号明細書に記載された、ポリ(アミド酸エステル)化合物である。かかるオリゴマー又はポリマーは、高感受性のポリイミド前駆体を製造するために、任意に反応性希釈剤、例えば、多官能性(メタ)アクリレートを用いて配合することができる。
【0077】
重合性成分の例は、また、分子構造内に少なくとも2つのエチレン性不飽和基と少なくとも1つのカルボキシル官能基を有するポリマー又はオリゴマー、例えば、飽和又は不飽和多塩基酸無水物と、エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応生成物との反応によって得られる樹脂、例えば、特開10−301276号公報に記載されるような感光性化合物及び市販の生成物、例えば、EB9696(UCB化学社製);KAYARAD TCR1025(日本化薬社製)、NK OLIGO EA−6340、EA−7440(新中村化学工業社製)又はカルボキシル基含有樹脂とα,β−不飽和二重結合及びエポキシ基を有する不飽和化合物との間で形成される付加生成物(例えば、ACA200M、ダイセル化学工業社製)である。重合性成分の例としての追加の市販の製品は、ダイセル化学工業社製のACA200、ACA210P、ACA230AA、ACA250、ACA300、ACA320である。
【0078】
光重合性化合物は、単独で又は任意の所望の混合物で使用される。ポリオール(メタ)アクリレートの混合物を使用することが好ましい。
【0079】
希釈剤として、単官能又は多官能エチレン性不飽和化合物、又は前記化合物の幾つかの混合物は、組成物の固形分に基づいて70質量%まで上記組成物に含まれ得る。
【0080】
本発明は、また、乳化した又は水又は有機溶媒に溶解した少なくとも1つのエチレン性不飽和光重合性化合物を、重合性成分として含む組成物も提供する。
【0081】
不飽和重合性成分は、非光重合性、膜形成成分と混合して使用することもできる。これらは、例えば、有機溶媒において物理的に乾燥するポリマー又はその溶液、例えば、ニトロセルロース又はセルロースアセトブチレートであってよい。しかしながら、それらは、化学的に及び/又は熱的に硬化性(熱硬化性)の樹脂であってもよく、例はポリイソシアネート、ポリエポキシド及びメラミン樹脂並びにポリイミド前駆体である。熱硬化性樹脂を同時に使用することは、ハイブリッド系として知られるシステムでの使用にとって重要であり、これらは第一段階で光重合され、第二段階で熱後処理によって架橋される。
【0082】
重合性組成物は、追加的に溶媒を含んでよい。溶媒はエステル/アルコールブレンド、好ましくはノルマルプロピルアセテート及びエタノールであってよい。更に好ましくは、エステル/アルコールブレンドは、10:1〜40:1の間、更に好ましくは20:1〜30:1の間の比である。使用される溶媒は、任意の1種以上のエステル、例えば、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル;アルコール、例えば、エチルアルコール、工業用メタノール変性アルコール、イソプロピルアルコール又はノルマルプロピルアルコール;ケトン、例えば、メチルエチルケトン又はアセトン;芳香族炭化水素、例えば、トルエン及び水を含み得る。
【0083】
水は希釈剤として単独で使用されてよいが、これは殆どの場合、アルコールなどの有機溶媒と一緒に使用されている。
【0084】
光開始剤、又は光開始剤の混合物は、UV硬化プロセスを開始するために配合物/組成物中に組み込まれる。
【0085】
特別な実施態様では、硬化性組成物は、
(a)5.0〜0.5質量%、特に5.0〜1.0質量%、非常に特に4.0〜2.5質量%の光開始剤、及び
(b)99.5〜95質量%、特に99〜95質量%、非常に特に97.5〜96質量%の1種以上のエチレン性不飽和樹脂、モノマー又はそれらの混合物
を含み、
その際、成分a)〜c)の合計は100%である。
【0086】
一般に、光開始剤は、通常、硬化性組成物の全質量を基準として、1質量%〜20質量%、好ましくは3質量%〜10質量%の量で添加される。
【0087】
硬化性組成物は、様々な添加剤を含み得る。その例としては、熱阻害剤、光安定剤、蛍光増白剤、充填剤及び顔料、並びに白色及び着色顔料、染料、帯電防止剤、接着促進剤、湿潤剤、流動助剤、潤滑剤、ワックス、接着防止剤、分散剤、乳化剤、酸化防止剤;充填剤、例えば、タルク、石膏、ケイ酸、ルチル、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化鉄;反応促進剤、増粘剤、艶消剤、消泡剤、レベリング剤及び他の慣用の助剤、例えば、ラッカー、インク及び被覆技術が挙げられる。
【0088】
UVラッカーは、CRAYNOR(登録商標)(Sartomer Europe社)範囲又はBASF SE社から入手可能なLAROMER(登録商標)範囲からのエポキシ−アクリレート(10〜60%)及び1種又は複数種のアクリレート(単官能性及び多官能性)、Sartomer Europe社又はBASF SE社から入手可能なモノマー(20〜90%)及び1種又は複数種の光開始剤(1〜15%)、例えば、Irgacure(登録商標)819(BASF SE)及びレベリング剤、例えば、BYK Chemie社からのBYK(登録商標)361(0.01〜1%)を含み得る。
【0089】
本発明の更なる実施態様では、紫外線コーティングは着色することができる。即ち、硬化性組成物は顔料及び/又は染料を含み得る。顔料は、透明な有機着色顔料又は無機顔料であってよい。
【0090】
適切な着色顔料としては、特に、アゾ、アゾメチン、メチン、アントラキノン、フタロシアニン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジンイミノイソインドリン、ジオキサジン、イミノイソインドリノン、キナクリドン、フラバントロン、インダントロン、アントラピリミジン及びキノフタロン顔料、又はそれらの混合物又は固溶体;特にジオキサジン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、フタロシアニン、インダントロン又はイミノイソインドリノン顔料、又はそれらの混合物又は固溶体からなる群から選択される有機顔料が挙げられる。
【0091】
特に興味深い着色有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、国際公開第08/055807号パンフレットに記載されたプレートレットの形の2,9−ジクロロキナクリドン、又はそれらの混合物又は固溶体が挙げられる。
【0092】
適切な着色顔料としては、また、従来の無機顔料;特に、金属酸化物、二酸化チタン、アンチモンイエロー、クロム酸鉛、硫酸クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、マンガンブルー、酸化クロムグリーン、水和酸化クロムグリーン、コバルトグリーン及び金属硫化物、例えば、セリウム又は硫化カドミウム、硫セレン化カドミウム、亜鉛フェライト、バナジン酸ビスマス、プルシアンブルー、Fe
3O
4、カーボンブラック及び混合金属酸化物からなる群から選択されるものも挙げられる。市販の無機顔料の例は、バイフェロックス(BAYFERROX)(登録商標)3920、バイフェロックス(登録商標)920、バイフェロックス(登録商標)645T、バイフェロックス(登録商標)303T、バイフェロックス(登録商標)110、バイフェロックス(登録商標)110M、CHROMOXIDGRUEN GN、及びCHROMOXIDGRUEN GN−Mである。
【0093】
硬化性組成物を着色するために使用できる染料の例は、アゾ、アゾメチン、メチン、アントラキノン、フタロシアニン、ジオキサジン、フラバントロン、インダントロン、アントラピリミジン及び金属錯体染料からなる群から選択される。モノアゾ染料、コバルト錯体染料、クロム錯体染料、アントラキノン染料及び銅フタロシアニン染料が好ましい。
【0094】
更なる例は、機能的染料及び顔料、例えば、磁性顔料、IR吸収剤、蛍光及び燐光材料、サーモクロミック染料及び顔料である。
【0095】
本発明の典型的な実施態様において、硬化性組成物は、エトキシル化オリゴエーテルアクリレート、エトキシル化アミン変性ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート又はウレタンアクリレートを含む。
【0096】
更に詳細には、硬化性組成物は、エトキシル化アミン変性ポリエーテルアクリレート又はエポキシアクリレートを含む。
【0097】
エポキシアクリレートとの用語は、脂肪族エポキシアクリレート及び芳香族エポキシアクリレート及びそれらの混合物を含む。
【0098】
硬化性組成物は、例えば、グラビア、フレキソグラフィック、又はスクリーン印刷によって堆積され得る。しかしながら、スロット又はNIVEコーター、ワイヤーバー又はドクターブレードを用いたコーティングなどの他の用途も可能である。
【0099】
UVコーティング厚さは、通常、2〜24μmである。
【0100】
アルミニウム粒子は、物理蒸着(PVD金属顔料)によって製造される。真空蒸着の一般的な動作範囲は、5〜50nmの範囲内であってよい。本発明におけるアルミニウム粒子の厚さは、7nm〜32nmである。アルミニウム粒子の平均直径D50は5.0μm〜15μmである。
【0101】
本発明の文脈において、平均直径との用語は、矩形粒子の長さも含む。
【0102】
特別な実施態様において、蒸着アルミニウム粒子の平均粒径は8.0μm〜12μmであり、厚さは11〜18nmである。
【0103】
別の特別な実施態様では、蒸着アルミニウム粒子の平均直径は8.0μm〜12μmであり、厚さは12〜14nmである。
【0104】
更に特別な実施態様では、蒸着アルミニウム粒子の平均直径は8.0μm〜12μmであり、厚さは7〜20nmである。
【0105】
好ましい実施態様では、蒸着アルミニウム粒子の平均直径は8.0μm〜12μmであり、厚さは13nmである。
【0106】
別の好ましい実施態様では、蒸着アルミニウム粒子の平均直径は8.5μm〜11.5μmであり、厚さは17nmである。
【0107】
PVDアルミニウム粒子の製造は、例えば、Peter Wisslingら、Metalleffekt-Pigmente, Herausgeber, U. Zorll.Vincentz Verlag 2005、第53〜63頁に記載されている。粒子の厚さは、光学的方法によって製造の間、制御されている。堆積の間、厚さを高精度に調整できるように、堆積した粒子の光学濃度を測定した。様々な用途のPVDアルミニウム粒子は、例えば、Metasheen(RTM)の商品名でBASF SE社から市販されている。
【0108】
PVDフレークの製造は当該技術分野において良く知られている。例えば、国際公開第0024946号パンフレットは、フレークの製造方法であって、蒸着チャンバを提供すること;蒸着チャンバ内に輸送装置を配置すること;該輸送装置に向けられた真空蒸着チャンバ内に剥離コート源及び真空蒸着源を提供すること、その際、蒸着源がフレーク材料の層を堆積させる;真空をチャンバに適用すると同時にチャンバを排気すること、剥離コート源からの剥離コート及び真空蒸着源からの蒸着フレーク層の交互層を、交互フレーク材料層と介在剥離コート層の多層サンドイッチを構築するような順序で輸送装置に適用することを含み、剥離コート層は、滑らかな連続的なバリア層と支持体表面を形成する溶解可能材料を含み、その上にフレーク材料層を形成することができるので、排気されたチャンバからサンドイッチを取り出すと多層サンドイッチが得られ、これは介在剥離コート層を本質的に完全に溶解する材料を用いて後処理して、これらをフレークから除去することにより微細な粒子サイズのフレークに容易に分離することができる、前記製造方法を開示している。
【0109】
国際公開第0024946号パンフレットによれば、金属フレークを製造するための別の方法は、Metalure(RTM)の名称で販売されたフレークを作るためのエイブリィデニソン(Avery Dennison)社の方法である。この方法では、ポリエステルキャリアの両側は、溶剤系樹脂溶液でグラビア塗布されている。乾燥した被覆ウェブは、次に金属化施設に輸送され、そこで被覆されたシートの両面は蒸着アルミニウムの薄膜によって金属化される。金属薄膜のシートは、次に塗装設備に戻され、そこでアルミニウムの両面が溶剤系樹脂溶液の第二の膜で被覆される。乾燥した被覆/金属シートは、次に金属化施設に再び輸送され、蒸着アルミニウムの第二の膜をシートの両面に適用する。得られる多層シートは、次に更なる処理のために、コーティングがアセトンなどの溶媒中でキャリアから剥離される施設に輸送される。剥離操作は、連続層を、スラリー中に含まれる粒子に破壊する。溶媒は、スラリー中の金属層の間からポリマーを溶解させる。スラリーは、次に音波処理及び遠心分離にかけられて、溶媒及び溶解したコーティングを除去すると、約65%固体の濃縮アルミニウムフレークのケークを残す。ケークは、次に適切なビヒクルにのせて、インク、塗料、コーティング用途の制御されたサイズのフレークに均質化することによって更にサイズ分けされる。インクなどの印刷可能な用途で使用するために、この方法によって製造された金属フレークは、約4μm〜12μmの粒径及び約15nm〜約25nmの厚さによって特徴付けられる。
【0110】
平均粒径D50は、レーザー回折装置(コールターLS130レーザー回折粒度計)によって測定されるように8〜14.5μmの範囲である。
【0111】
コーティング/印刷用組成物は、上記のようにアルミニウムフレークとバインダーを含む。バインダーに対する顔料の比は、顔料粒子の整列を可能にするよう十分に高い。
【0112】
金属顔料フレークのこの整列を達成するために、コーティング/印刷組成物は、好ましくは非常に少ないバインダー、低い顔料含有率、及び中程度の顔料対バインダー比を有する。
【0113】
コーティング組成物は、好ましくは、低い固形分、高い粘度のバインダーを含む。好ましくは、顔料対バインダー比は、質量で3:1〜1:3の範囲である。例えば、顔料対バインダー比は、質量で1.5:1〜1:1の範囲である。別の特別な実施態様では、顔料対バインダー比は質量で3:1である。
【0114】
バインダーは、従来、コーティング組成物で使用される高分子量の有機化合物である。高分子量の有機材料は、天然又は合成起源のものであってもよい。高分子量の有機材料は、通常、約10
3〜10
8g/モル以上の分子量を有する。それらは、例えば、天然樹脂、乾性油、ゴム又はカゼイン、又はそれらに由来する天然物質、例えば、塩素化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテル若しくはエステル、例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセトブチレート又はニトロセルロースであってよいが、特に、重合、重縮合又は重付加によって得られるような、完全に合成の有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性プラスチック)であってよい。重合樹脂の分類から、特に、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン、さらには置換ポリオレフィン、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はブタジエンの重合生成物、さらには前記モノマーの共重合物、例えば、特にABS又はEVAが挙げられ得る。
【0115】
有利には、コーティング/印刷組成物は更に溶媒を含む。
【0116】
バインダーは、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、アルコール可溶性プロピオネート(ASP)、塩化ビニル、酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル、アクリル、ポリウレタン、ポリアミド、ロジンエステル、炭化水素、アルデヒド、ケトン、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート、テルペンフェノール、ポリオレフィン、シリコーン、セルロース、ポリアミド、ポリエステル及びロジンエステル樹脂を含む群から選択されるいずれか1つ以上を含み得る。
【0117】
コーティング組成物は好ましくは印刷インクである。本発明によるインクは、通常の印刷インクの場合、アルミニウム顔料、バインダー、補助剤等を含む。
【0118】
バインダー樹脂に関して、熱可塑性樹脂が使用されてよく、その例としては、ポリエチレン系ポリマー[ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン(PP)、ビニル系ポリマー[ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(塩化ビニリデン)(PVdC)、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)、ポリ(ビニルホルマール)(PVF)]、ポリスチレン系ポリマー[ポリスチレン(PS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)]、アクリル系ポリマー[ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、MMA−スチレンコポリマー]、ポリカーボネート(PC)、セルロース[エチルセルロース(EC)、セルロースアセテート(CA)、プロピルセルロース(CP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、硝酸セルロース(CN)]、フッ素系ポリマー[ポリクロロフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレンコポリマー(FEP)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF)]、ウレタン系ポリマー(PU)、ナイロン[6型、66型、610型、11型]、ポリエステル(アルキル)[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)]、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂、例えば、レゾール型フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等、及び天然樹脂、例えば、タンパク質、ゴム、シェラック、コーパル、デンプン及びロジンが使用されてもよい。
【0119】
更には、バインダーに、印刷フィルムの柔軟性と強度を安定化するための可塑剤並びにそれらの粘度及び乾燥特性を調整するための溶媒が、その必要に応じて添加されてもよい。溶媒は、1種以上のエステル、例えば、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル;アルコール、例えば、エチルアルコール、工業用変性アルコール、イソプロピルアルコール又はノルマルプロピルアルコール;ケトン、例えば、メチルエチルケトン又はアセトン;芳香族炭化水素、例えば、キシレン及びトルエンを含み得る。約100℃の低沸点の溶媒及び250℃以上の高沸点の石油系溶剤が、印刷方法の種類に応じて使用されてよい。アルキルベンゼン等は、例えば、低沸点の溶媒として使用されてよい。溶媒の例は、エトキシプロパノール、メチルエチルケトン、メトキシプロピルアセテート、ジアセトンアルコール等である。
【0120】
その上更に、乾燥特性、粘度、及び分散性を改善するために様々な反応剤を含む補助剤が、適宜、添加されてよい。補助剤は、インクの性能を調整するためのものであり、例えば、インク表面の耐摩耗性を改善する化合物及びインクの乾燥を促進する乾燥剤等が使用されてよい。
【0121】
インクは、インクの全質量を基準として、0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%のアルミニウム顔料の全含有率を含む。
【0122】
好ましくは、バインダーは、任意の上記の樹脂と併用して15%のニトロセルロースを含む。
【0123】
組成物は、更に溶媒を含み得る。溶媒は、エステル/アルコールブレンド、好ましくはノルマルプロピルアセテート及びエタノールであってよい。更に好ましくは、エステル/アルコールブレンドは、10:1〜40:1の間、更に一層好ましくは20:1〜30:1の間の比である。
【0124】
乾燥したメタリックインクは、0.6μm〜10μmの厚さを有する。
【0125】
メタリックインクで使用される溶媒は、エステル、例えば、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル;アルコール、例えば、エチルアルコール、工業用変性アルコール、イソプロピルアルコール又はノルマルプロピルアルコール;ケトン、例えば、メチルエチルケトン又はアセトン;芳香族炭化水素、例えば、トルエン、及び水のうちいずれか1つ以上を含み得る。
【0126】
溶媒が使用されない、UV硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂も代替のバインダー樹脂として使用され得る。それらの例としては、UV硬化性組成物について上記で概説した、アクリル系樹脂、及びアクリル系モノマーの具体例が挙げられる。
【0127】
金属インクは、従来の印刷機によって、例えば、グラビア印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、リソグラフィ、オフセット印刷、凸版凹版印刷及び/又はスクリーン処理、又は他の印刷プロセス、例えば、インクジェット印刷によって被覆された基材に適用され得る。被覆された基材は、次に、後の段階で更なる後続のオフライン印刷のために巻き戻され得るか又は代替的に、基材はインライン又はオフライン予備印刷されるか又はその後にインライン印刷され得る。
【0128】
メタリックインクは、金属顔料粒子、バインダー、及び任意に着色剤、例えば、顔料、又は染料、機能性顔料及び/又は染料を含んでよく、その際、UVニスを着色するために使用され得る、顔料及び染料も、メタリック系インクを着色するために使用されてよい。
【0129】
本発明による方法を適用した結果、20°のジオメトリで測定して、500の相対光沢単位よりも高い、光沢度が得られる。
【0130】
光沢測定は、コーティング及び印刷業界でよく知られている測定であり、例えば、この場合、20°のジオメトリで、ISO2813に従ってHunter又はZehnter ZGM 1120光沢計を用いて行われる。
【0131】
UVコーティングされた紙又は板紙は、包装や装飾目的のために望ましい高い光沢度を達成するために、光学構造を全く有していない滑らかな平面を有していなければならないことに留意することが重要である。
【0132】
本発明の特別な実施態様では、紙又は板紙は、硬化性組成物(ワニス)を紙基材の表側の少なくとも一部に適用する前に表側にてカチオン性ポリマーで処理されている。
【0133】
本発明の文脈における処理は、ポリマー溶液を、紙基材の表面に適用するための全ての適切な手段;特に印刷又はコーティングを含む。
【0134】
紙を処理するために本発明において使用されるカチオン性ポリマーは、カチオン性アミン塩を形成することができる繰り返しアミン単位を含む。アミン基含有カチオン性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。ホモポリマー又はコポリマーは、塩基の形、又は部分的に、又は完全に、カチオン性アミン塩の形のいずれかであってよい。かかるカチオン性ポリマーは、例えば、US2008/0318150号の第3頁〜4頁に記載されている。
【0135】
好ましくは、カチオン性ポリマーは、好ましくは少なくとも90%に加水分解された、ポリビニルアミンである。
【0136】
ポリビニルアミン又は部分的に又は完全に加水分解されたポリビニルホルムアミドは、N−ビニルホルムアミドの重合及びその後のアミン基を得るためのホルミル基の加水分解及び脱離によって得られる。加水分解の程度は1%〜100%、好ましくは50%以上、更に好ましくは90%以上の範囲であってよい。特に好ましいのは、完全に加水分解されたポリビニルホルムアミドである。
【0137】
N−ビニルホルムアミドポリマーの調製及びその後の加水分解は、例えば、米国特許第6,132,558号、第2欄、第36行〜第5欄、第25行に広範囲に記載されている。ポリビニルアミン及び部分的に又は完全に加水分解されたポリビニルホルムアミドは、BASF SEから商品名Catiofast(登録商標)及びPolymin(登録商標)で市販されている。
【0138】
例えば、これらのポリマーの平均分子量M
wは、20000〜2000000g/モル、例えば、50000〜1000000g/モル、特に100000〜500000g/モルである。
【0139】
例えば、ポリビニルアミンは、ポリビニルアミン1グラム当たり0.1〜22ミリ等量(meq)、例えば、5〜18meqのカチオン性基を含有する。ポリビニルアミンポリマーは、通常、分散液又は溶液の形であり、例えば、10%〜40%、例えば、15%〜30%、好ましくは20%〜25%の固体含有率を有する。それらは通常、かかる溶液又は分散液から紙又は板紙に適用される。
【0140】
上記のポリマー溶液の適用量は、例えば、紙基材1m
2当たり、2〜20g、例えば、2〜15g、好ましくは4〜12gである。ポリマー溶液は、その後、赤外線乾燥機及び/又は熱風乾燥機によって乾燥される。
【0141】
また、カチオン性ポリマーと一緒に更なる天然ポリマー、例えば、澱粉、特にアミロペクチンを適用することも可能である。カチオン性ポリマーに混合された量は、通常、カチオン性ポリマーの質量を基準として5%〜50%である。
【0142】
本発明の更なる態様は、上記の方法を使用して得られる紙製品、及び装飾又は包装目的のための紙製品の使用である。
【0143】
本方法で得られる紙製品は、更に、オーバーレイワニスとしてUVニスで又はアクリル系水性ニスで重ね刷りされ得る。
【0144】
選好性及び定義は、本発明の全ての態様に等しく適用される。
【0145】
以下の例は本発明を例示している。他に規定する場合を除いて、全ての%値は、質量%であり;全ての比は質量比である。
【0146】
実施例1:UVインク及びメタルインクのグラビアによるボール紙上への印刷
基材:ホワイトボード、Invercote T 220g/m
2、275μm(高品質コート紙、Iggesund Paperboard Europe社)。印刷面を完全に被覆し、マットレベルに仕上げる。表面粗さ1.1μm
【0147】
UVラッカーの組成を以下に示す:
【表1】
【化26】
【0148】
ニトロセルロースワニス
ワニスの調製:75.3gのニトロセルロース(DHX 3/5 IPA、70%の固形分、Nobel Enterprises、英国)を、2000mlのガラス瓶において220.5gの酢酸エチル(99〜100%の純度、Brenntag社)、557.2gのn−プロピルアセテート、147gのドワノールPMにゆっくりと添加し、室温で完全に溶解するまで穏やかに撹拌する。その後、固形分の測定を実施し、酢酸エチルの量を、ワニスの調製で5.27%の固体含有率の値を達成するように調整する。
【0149】
Al顔料スラリー(商品名Metasheen(RTM)でBASF SEより供給)
10%のアルミニウム顔料+45%の酢酸エチル+45%のイソプロピルアセテート。
【0150】
メタリックインク1(D50、8.5〜11.5μm、厚さ17nm)
メタリックインクを調製するための手順:アルミニウム顔料のスラリーを、顔料対バインダーの比を1:1に調整するような比で上記のニトロセルロースワニスに添加し、酢酸エチルを、インクを印刷粘度に調整するために添加する(2カップ20秒の速度)。得られた分散液を、ディスパーマット(Dispermat)を用いて800rpmで10分間撹拌する。
【0151】
メタリックインク2(D50、8.0〜12.0μm、厚さ13nm):
メタリックインクの調製手順:アルミニウム顔料スラリーを、顔料対バインダーの比を3:1に調整するような比で上記のニトロセルロースワニスに添加し;酢酸エチルを、インクを印刷粘度に調整するために添加する(2カップ20秒の速度)。得られた分散液を、ディスパーマット(Dispermat)を用いて800rpmで10分間撹拌する。
【0152】
基材:ホワイトボード、Invercote T 220g/m
2、275μm(高品質コート紙、Iggesund Paperboard Europe社)。印刷面を完全に被覆し、マットレベルに仕上げる。表面粗さ1.1μm。
【0153】
UV−ラッカーと金属インクを、インラインでUVグラビアユニット機と溶剤グラビア印刷ユニットを含むMoser pressを用いて適用する。
印刷速度30m/分、UV硬化強度50ワット/cm
2、溶媒インクの乾燥温度80℃、UVグラビアシリンダー30l/cmスクリーン、溶媒インクグラビアシリンダー120l/cmスクリーン。結果を第1表に示す。
【表2】
【0154】
実施例2
基材:Raflabrite RH1 85g/m
2、71μm(良好な印刷定義と細かなディテールを必要とする高品質のマルチカラーラベルのための多目的ラベル紙、UPMラフラタック社)。粗さ0.7μm。
【0155】
インクと印刷プロセスは実施例1と同じである。
【0156】
印刷した試料の光沢を、20°の角度でZehnter光沢計ZGM1120によって測定する。結果を第2表に示す。
【表3】
【0157】
紙及び板紙上のメタリックインクの光沢は、UVニスを最初に印刷し、微細なアルミニウム顔料を含有するメタリックインクを重ね刷りする時に顕著に増加する。
【0158】
実施例3
様々なアルミニウム顔料グレードのUV被覆及び未被覆の板紙上での光沢の比較。
UV−ラッカーとメタリックインクを、実施例1に記載されるように調製する。第3表は様々なメタリックインクをまとめる。
【表4】
【0159】
用途の手順:
紙を、ワイヤーバー1を用いてメタルインクを塗布し、空気乾燥機で乾燥させる。
【0160】
UVニスを、ワイヤーバー2(12ミクロン)を用いてInvercote T板紙上に被覆する。UVコーティングされた紙を、UV光(Aktiprintミニ18−2、水銀管電力80ワット/cm、位置10)下で硬化し、ワイヤーバー1を用いて金属インク1で上塗りし(6ミクロンの湿潤膜厚)、空気乾燥機で乾燥させる。
【0161】
基材:ホワイト Invercote T 220g/m
2、275μm(高品質コート紙、Iggesund Paperboard Europe社)。印刷面を完全に被覆し、マットレベルに仕上げる。表面粗さは1.1μmである。結果を第4表に示す。
【表5】
【0162】
UVニスで被覆され且つメタリックインクで上塗りされた試料は、全ての場合において遙かに高い光沢度を示す。最高値はインクの1番と2番で達成された。
【0163】
実施例4:紙上の放射線硬化型樹脂の光沢の比較
試験手順:UVニスを、5質量部のIrgacure 1173(RTM)、BASFを、95質量部の樹脂に添加することによって製造する。UVニスを、ワイヤーバー0(4ミクロン)、1(6ミクロン)、2(12ミクロン)、3(24ミクロン)を用いてInvercote T板紙上に被覆する。被覆された紙を、UV光(Aktiprintミニ18−2、水銀管、位置20)下で硬化し、ワイヤーバー1を用いて金属インク1で上塗りする(6ミクロンの湿潤膜厚)。結果を第5表に示す。
【表6】
【0164】
実施例5:様々な厚さでのUVコーティングの粗さ
UVニス1:37%のLaromer DPGDA、24%のLaromer LR8863、23%のLaromer 8986、10%のEbecryl P115、3%のIrgacure 127、3%のIrgacure 819
UVニス2:46%のLaromer LR8986、36%のLaromer PO77F、14%のLaromer TPGDA、4% Irgacure 127
【0165】
金属インク1:
インク2のアルミニウム粒子(D50、8.0μm〜12.0μm、厚さ13nm)を用いて実施例1で製造されるようなニトロセルロースワニス
【0166】
基材:ホワイト Invercote T 220g/m
2、275μm(高品質コート紙、Iggesund Paperboard Europe社)。表面粗さ1.1μm
【0167】
UVコーティングされた紙の表面テクスチャ又は粗さを、1
st−WLモードで5倍率の対物レンズを使用してデジタル顕微鏡ホログラフィ(DHM)によって測定する。測定された表面積は1mm×1mmである。
【0168】
表に示されたSz値は、プロファイルにおいてナノメートルで見出された最大の高さ(ピーク)と最大の深さ(全体)の値の平均距離である。結果を第6表に示す。
【表7】
【0169】
結論:Invercote T板紙の表面テクスチャは、メタルインク1で直接被覆された時に増加し、アルミニウムフレークは、紙表面上で平坦に配向していない。紙の表面テクスチャはUVニスで被覆される時に滑らかになり、光沢は顕著に増加する。結果は、最高の光沢と最低の粗さが12ミクロンのUVコーティング厚さで測定されるので、光沢度と相関する。紙表面上のUVニスの堆積は、滑らかな表面をもたらし、これはアルミニウムフレークの最適な配向を可能にする。