(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(g)の前記非イオン界面活性剤は、4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド縮合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用インク。
【発明を実施するための形態】
【0012】
そこで、本出願人は、本発明において、シングルパスプリントヘッド及び走査プリントヘッドを含む、あらゆる種別のプリントヘッドを通じて確実に発射可能であるのみならず、特にシングルパスプリントヘッドにおいて、希釈とその後のスチーム処理及び洗浄において良好なブラック発色を保持することも可能であるブラックインクジェット印刷用インクを開発した。
【0013】
したがって、本発明の第1の態様によると、ブラックインクジェット印刷用インクであって、a)9〜11.5部のC.I.リアクティブブラック39と、b)5〜7.5部のC.I.リアクティブブラウン11及び/又はC.I.リアクティブイエロー95と、c)2.5〜4部のC.I.リアクティブオレンジ12及び/又はC.I.リアクティブオレンジ13と、d)0.1〜10部の緩衝剤と、e)15〜30部のエチレングリコールと、f)0〜15部の水混和性溶剤と、g)0.01〜2.5部の非イオン界面活性剤と、h)4〜14部の尿素と、i)0〜5部の殺生物剤と、j)100部までの残量に相当する水とを備えるブラックインクジェット印刷用インクを提供する。
【0014】
本明細書における「部」及びパーセンテージは(指摘のない限り)重量に関するものである。
【0015】
インクの総量に対して、成分a)、b)及びc)の総含有量は、18%を上回ることが好ましい。インクの総量に対して、成分a)の含有量は、9.4〜11.3%であり、成分b)の総含有量は、5.5〜7.3%であり、成分c)の総含有量は、2.7〜3.6%であることが好ましい。
【0016】
好適な実施形態において、成分b)は、C.I.リアクティブブラウン11であり、成分c)は、C.I.リアクティブオレンジ12である。
【0017】
成分d)は、pH7〜8.5という要求される範囲内にインクのpHを維持することのできる任意の相溶性緩衝剤であってもよく、このような緩衝剤の例として、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(THAM)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、リン酸塩緩衝液、及びトリス緩衝剤が挙げられる。
【0018】
ただし、緩衝剤は、化学式(1)の化合物であることが好ましい。
R
1R
2N−Ar−(Z)
n 化学式(1)
式中、R
1は、H又はアルキルであり、R
2は、アルキルであり、Arは、フェニレンであり、Zは、SO
3X又はCO
2Xであり、Xは、H又はカチオンであり、nは、1又は2である。
【0019】
化学式(1)の化合物において、R
1及びR
2は、各々独立してアルキルであり、又はR
1及びR
2は、それらが結合されるN個の原子とともに5員環又は6員環を形成することが好ましい。R
1及びR
2は、各々独立してC
1−6−アルキルであり、特にエチルであることがより好ましい。
R
1及びR
2が、それらが結合されるN個の原子ともに5員環又は6員環を形成するとき、環は、置換されていてもよいモルホリン、ピペラジン、又はピぺリジンであることが好ましい。
好適な任意の置換基は、カルボキシ及びスルホである。
ともに付加されるR
1及びR
2中の炭素原子の総数は、3〜18であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜6であることが特に好ましい。
Arは、フェニレンであることが好ましい。
Zは、CO
2Xであることが好ましい。
Xは、カチオンであることが好ましく、アルカリ金属(特に、Na
+、K
+、又はLi
+)、アンモニウム又は置換アンモニウムカチオンであることがより好ましい。
【0020】
化学式(1)の化合物の例として、4−クロロ−N:N−ジエチルアニリンスルホン酸、N:N−ジ−n−ヘキシルアニリン−3−スルホン酸、N−エチル−N−n−ヘキシルアニリンジスルホン酸、2−N:N−ジエチルアミノナフタレン−6−スルホン酸、2−(N−エチル−N−ベンジルアミノ)−トルエン−4−スルホン酸、2−N:N−ジエチルアミノトルエン−4−スルホン酸、N−エチル−N−シクロヘキシルアニリン−スルホン酸、N−エチル−N−ベータヒドロキシエチルアニリン−スルホン酸、N−エチル−N−フェニルベンジルアミノモノスルホン酸、2−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−エタンスルホン酸、2−(N−ブチル−N−フェニルアミノ)エタンスルホン酸、及び4:4’ビス(ジエチルアミノ)ジフェニル−2:2’−ジスルホン酸が挙げられる。緩衝剤の製造の簡便性及び効率により、好適な化学式(1)の化合物は、メタニル酸(アニリン3−スルホン酸)及びスルファニル酸(アニリン4−スルホン酸)のN:N−低級ジアルキル誘導体であり、特にN:N−ジエチルメタニル酸、N:N−ジエチルスルファニル酸、又は発煙硫酸によるジエチルアニリンのスルホン化によって得られるこれら2つの混合物である。N:N−ジエチルスルファニル酸は、N:N−ジエチル−3−スルホアミノベンゼン(DEAS)としても知られている。
成分(d)の緩衝剤、すなわち化学式(1)の化合物は、N:N−ジエチルスルファニル酸であることが好ましい。
【0021】
緩衝剤は、インク組成物100部につき0.2〜5部の量で存在することが好ましく、0.5〜2部の量で存在することがより好ましい。
【0022】
成分e)のエチレングリコール(EG)及びh)の尿素の総含有量は、インクの総量に対して20%を上回ることが好ましい。成分e)の含有量は、インクの総量に対して15〜26%であることが好ましい。
【0023】
成分f)は、例えば、グリセロール又はピロリドン等、他のインク成分と相溶性のある任意の水混和性溶剤又は水混和性溶剤の混合物であってもよい。成分f)は、ピロリドンを備えることが好ましく、2−ピロリドンからなることがより好ましい。成分f)の総含有量は、インク100部につき2.5〜7.5部であることが好ましい。他の好適な実施形態において、成分f)は、インク100部につき2.5〜7.5部の2−ピロリドンからなる。
【0024】
非イオン界面活性剤である成分(g)は、アセチレン界面活性剤である。
任意のアセチレン界面活性剤が、成分(g)として使用されてもよい。しかしながら、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンー4,7−ジオール及びそのエチレンオキシド縮合物と、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール及びそのエチレンオキシド縮合物とが好ましい。
特に好適なアセチレン界面活性剤は、4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール又はそのエチレンオキシド縮合物である。アセチレン界面活性剤は、4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド縮合物であることが特に好ましい。2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン4,7−ジオール及びそのエチレンオキシド縮合物の界面活性剤は、Air Productsの界面活性剤Surfynol(商標)の範囲で入手可能である。
異なる界面活性剤を含有した混合物が使用されてもよい。
成分(g)は、インク100部につき0.1〜1部の範囲で存在することが好ましい。
【0025】
成分(h)の尿素は、インク100部につき7〜12部の量で存在することが好ましい。
【0026】
成分(i)の殺生物剤は、インク中で安定な任意の殺生物剤(又は殺生物剤の混合物)であってもよい。殺生物剤は、LonzaからProxel(商標)GXLとして20%活性溶液として入手可能な1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、及びDow Chemical CompanyからのBioban(商標)つまりDXN(2,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イルアセテート)を備えることが特に好ましい。
インク中の殺生物剤のレベルは、いずれの殺生物剤を使用するかによって決まる。しかしながら、殺生物剤は、インク100重量部につき0.01〜1重量部の範囲内で存在することが好ましい。
【0027】
インクジェット印刷用インクのpHは、pH6〜9の範囲内であることが好ましく、pH7〜8.5の範囲内であることがより好ましい。
インクジェット印刷用インクは、Kibron AquaPiを使用して25℃で計測した際、20〜50dyn/cmの表面張力を有することが好ましく、25〜50dyn/cmの表面張力を有することがより好ましく、30〜40dyn/cmの表面張力を有することが特に好ましい。
インクジェット印刷用インクは、10ミクロン未満の平均細孔サイズを有するフィルタを通じてろ過されていることが好ましく、5ミクロン未満の平均細孔サイズを有するフィルタを通じてろ過されていることがより好ましく、1ミクロンの平均細孔サイズを有するフィルタを通じてろ過されていることが特に好ましい。インクジェット印刷用インクは、インク中のCa及びMgの総濃度が300ppm未満であることが好ましく、100ppm未満であることがより好ましく、50ppm未満であることが特に好ましい。
【0028】
インクジェット印刷用インク組成物は、上述の成分に加え、任意で1つ以上のインク添加物を備えてもよい。インクジェット印刷用インクに適した好適な添加物は、焦げ防止剤、レオロジー改良剤、防腐剤、及びキレート剤である。
【0029】
a)〜c)の染料以外の追加の反応性染料もブラックインクジェット印刷用インクに添加されてもよい。これらの追加の染料は、状況によっては、ブラックインクジェット印刷用インクのブラック色調と発色特性とをさらに改善し得る。追加の反応性染料は、モノクロロトリアジン赤色染料であることが好ましく、C.I.リアクティブレッド3.1であることがより好ましい。追加の反応性染料は、インクの総量に対して、0.2〜5%の範囲で添加されることが好ましく、0.5〜2%の範囲で添加されることがより好ましい。
添加剤及び追加の染料の総量は、インク100重量部につき10重量部以下であることが好ましい。これらの添加剤及び追加の染料が添加されると、インクジェット印刷用インクに添加される成分(j)すなわち水の一部となる。
【0030】
好適な実施形態において、ブラックインクジェット印刷用インクは、a)9〜11.5部のC.I.リアクティブブラック39と、b)5〜7.5部のC.I.リアクティブブラウン11及び/又はC.I.リアクティブイエロー95と、c)2.5〜4部のC.I.リアクティブオレンジ12及び/又はC.I.リアクティブオレンジ13と、d)0.2〜5部のN:N−ジエチルスルファニル酸と、e)15〜30部のエチレングリコールと、f)2.5〜7.5部の2−ピロリドンと、g)0.01〜1部の4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド縮合物と、h)4〜14部の尿素と、i)0〜5部の殺生物剤と、j)100部までの残量に相当する水とを備える。
【0031】
本発明の第2の態様は、インクジェット印刷プロセスを提供するものであり、本発明の第1態様に係るインクジェット印刷用インクは、インクジェットプリンタによって基材上に印刷される。
本発明のプロセスは、好ましくはシングルパスプリントヘッドを備える任意のインクジェットプリンタを使用してもよい。
従って、本発明の第2の態様は、インクジェット印刷プロセスを提供するものであり、本発明の第1の態様に係るインクは、シングルパスプリントヘッドを備えたインクジェットプリンタを使用して基材上に印刷される。
【0032】
好適な種別のシングルパスプリントヘッドは、インク供給システム内にインク再循環チャネルを有する。このチャネルにより、フレッシュなインクを噴射することができるようになり、インク供給システムの一部、又はノズルプレートの後方を走行する特別に開発されたチャネルの一部とすることができる。インク供給システムは、再開/待機挙動を損なうことなく、より多くの揮発性インクの使用が可能となるように、ノズルプレートの後方を走行することが好ましい。この種のプリントヘッドは、Fujifilm Dimatixより入手可能である。
【0033】
再循環プリントヘッドは、通常、噴射温度を制御するために、貯蔵器ヒータとサーミスタとを備えている。噴射温度におけるインクジェット印刷インクの粘度は、3〜20mPa*sの範囲内であることが好ましく、4〜12mPa*sの範囲内であることがより好ましい。粘度は、Brookfieldを使用して測定される通り、ULアダプタ、ウォータジャケット及びスピンドルSC4−18を備えたBrookfield DV−2Tデジタル粘度計使用して150rpmで測定される。
【0034】
従って、本発明の第2の態様に係る第1の好適な実施形態において、インクジェットプリンタは、シングルパスインク再循環プリントヘッドを有する。
第2の好適な種別のシングルパスプリントヘッドは、非再循環プリントヘッドである。この種のプリントヘッドは、Kyoceraから入手可能である。
【0035】
非再循環プリントヘッドもまた、通常、噴射温度を制御するための貯蔵器ヒータとサーミスタとを備えている。この種のプリントヘッドの噴射温度におけるインクジェット印刷用インクの粘度は、4〜7mPa*sの範囲内であることが好ましい。
【0036】
そこで、本発明の第2の態様の第2の好適な実施形態において、インクジェットプリンタは、シングルパスインク非再循環プリントヘッドを有する。
【0037】
本発明の第1の態様に係るインクジェット印刷インクは、30℃を超える温度で塗布されることが好ましい。
【0038】
基材は、紙、プラスチック、金属、又はガラスであることが好ましく、布材であることがより好ましい。布材は、天然繊維又は合成繊維、これらのブレンドを含む繊維であってもよい。例えば、粘性レーヨン及び再生粘性レーヨン、ウール、アクリル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレングリコールテレフタレート等のポリエステル、又はポリウレタンを含む、セルロースであってもよい。しかしながら、セルロース又はそのブレンドであることが好ましい。
布材は、乾式繊維又は湿式繊維の形態で織られるか、又は編まれることが好ましい。シート、織物、糸、又はドレープ、シャツ、タオル、下着、靴下、及びシーツ等の完成した布製品の形態であってもよい。
【0039】
布材には、発色促進剤等の成分と、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、またはこれらの混合物と、アルギン酸ナトリウム等の増粘剤と、水とを含む前処理組成物が滲み込まされていることが好ましい。
本発明の第2の態様に係る布印刷プロセスにおいて、染色プロセスを改善するために布材に前処理剤が滲み込まされていない場合、前処理ステップが実施されてもよい。
【0040】
前処理ステップでは、布材が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、及び酢酸ナトリウム等のアルカリ剤と、尿素等のハイドロトロピー剤とのうちの少なくとも一方を含有する前処理液で処理されることが必要となる。
【0041】
前処理液は、例えば、トウモロコシ及び小麦等のスターチ材料、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等のセルロース系材料、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、ローカストビーンガム、タラカントガム、グアーガム、及びタマリンド種子等の多糖類、ゼラチン及びカゼイン等のプロテイン、タンニン及びリグニン等の天然水溶性ポリマー、及びポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキシド系化合物、アクリル酸系化合物、無水マレイン酸系化合物等の合成水溶性ポリマーなどのサイジング剤も含有してもよい。
【0042】
前処理液中に存在してもよい他の成分には、抗還元剤、防腐剤、殺菌剤、キレート剤、pH調整剤、アルギン酸塩等の増粘剤、及び界面活性剤を含む。
前処理液の正確な組成については、印刷様式と布材の性質によって決まる。
前処理液は、任意の好適な方法で布材に塗布されてもよい。そこで、布材は、前処理液に浸漬されるか、パッドバッチ法、ロールコータ等によって塗布されるか、インクジェットプリンタによって噴射または塗布されてもよい。
その後、前処理された布材を乾燥させてもよい。
【0043】
本発明の第2の態様に係るプロセスにおいて、布材には、上述のシングルパスプリントヘッドを備えたインクジェットプリンタを使用して印刷される。
【0044】
印刷ステップに続いて、染料の布材への固定を改善するために、印刷済みの布材には熱処理ステップを施すことが好ましい。熱処理は、高温スチーム処理又は高圧スチーム処理等、当該分野で公知の任意の方法を利用してもよい。布材に対して可能性のある任意の損傷を最小化するために、熱処理置ステップにおける温度は、90℃〜110℃の範囲内であることが好ましい。
【0045】
熱処理ステップに続き、印刷済みの布材が洗浄されて、任意の過剰な染料が取り除かれてもよい。場合によっては、石鹸処理を通じて水を使用する洗浄ステップが使用されてもよい。
【0046】
そこで、本発明の第2の態様に係る好適なインクジェット印刷プロセスは、a)任意で、布材を前処理するステップと、b)好ましくは、上述の好適なシングルパスプリントヘッドを備えたインクジェットプリンタを使用して、布材にインクジェット印刷を行うステップと、c)任意で、印刷された布材に熱処理を行うステップと、d)任意で、印刷及び熱処理された布材を洗浄するステップとを備える布材印刷プロセスである。
【0047】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に記載のインクジェット印刷用インクを使用して、本発明の第2の態様に記載のインクジェット印刷プロセスにより印刷された基材を提供するものである。この基材は、本発明の第2の態様に記載の好適なものである。そこで、好適な印刷済みの基材は、布材である。
【0048】
本発明の第4の態様によると、本発明の第1の態様に記載のブラックインクジェット印刷用インクを備える、インクジェットプリンタインク容器(例えば、カートリッジ又はより大型のインクタンク)を提供するものである。
【0049】
本発明の第5の態様は、本発明の第1の態様に記載のブラックインクジェット印刷用インクを収容する、本発明の第2の態様に記載のシングルパスプリントヘッドを備えたインクジェットプリンタを提供するものである。
【0050】
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様に記載のブラックインクジェット印刷用インクを備えるマルチカラーインクセットを提供するものである。
【0051】
本発明の第7の態様は、本発明の第1の態様に記載のブラックインクジェット印刷用インクを備えるインクジェットプリンタインク容器槽を提供するものである。
【0052】
本発明の第8の態様は、本発明の第1の態様に記載のブラックインクジェット印刷用インクを収容するシングルパスプリントヘッドを備えたインクジェットプリンタを提供するものである。
【0053】
本発明の第1の態様に記載のブラックインクジェット印刷用インクに加え、マルチカラーインクセットは、シアンインクジェット印刷用インク、イエローインクジェット印刷用インク、及びマゼンタインクジェット印刷用インクを備え、任意で、赤色、緑色、及びオレンジ等、他の着色インクジェット印刷用インクを備えることが好ましい。
【実施例】
【0054】
以降、以下の実施例により本発明について説明するが、実施例中、断りのない限り、すべての「部」は「重量部」である。
【0055】
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンは、LonzaよりProxel(商標)GXL(20%溶液)として得た。GXLは、実施例及び参照中、インク100部につき0.075の量で使用した。
スルフィノール(登録商標)465は、Air Productsからの4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド縮合物である。
DEASは、N:N−ジエチルスルファニル酸である。
リアクティブブラック39、リアクティブオレンジ12、リアクティブイエロー95、及びリアクティブオレンジ13は、Dystarから得た。
リアクティブブラウン11は、Lakhani Dyestuffs Pvt Ltd.から得た。
【0056】
表1(本発明1〜22のインク)に示されるインク組成物と、表2(参照1〜14のインク)に示される比較インク組成物とを調製し、1.0μmの細孔サイズの膜を通じてろ過し、以下の試験プロトコルを使用して評価した。
【0057】
1.印刷OD及びカラーシェード
66.3%の水、20.0%の尿素、12.0%のソーダ灰、1.7%のアルギン酸ナトリウムを含有する前処理溶液を調製し、10μmの細孔サイズの膜フィルタでろ過した。
前処理溶液をPad Batch(60%の湿式ピックアップ)による100%綿布の表と裏に塗布し、周囲条件において一晩乾燥した。
【0058】
基材には、Fujifilm Dimatix Sambaシングルパスプリントヘッドを備えたプリンタを使用して、本発明1〜22のインク又は参照1〜14のインクで印刷を施した。4つの異なる液滴容量(2.5pl、5.3pl、7.0pl、13.0pl)を100%デューティのベタ画像(1200×1200dpi)で塗布した。印刷したサンプルを25℃で30分間乾燥させた。その後、これらのサンプルに100℃で10分間、スチーム処理を施した。その後、これらを冷水で2分間洗浄し、90℃の熱水で10分間洗浄し、最後に冷水で2分間洗浄した。その後、サンプルを室温で乾燥させた。
【0059】
ブラック印刷基材の光学特性(OD、L
*、a
*、及びb
*)は、X−Rite eXact(X−Rite,Inc.製)で測定した。印刷物は、以下の通り、評価した。
【0060】
光学密度
AA:13.0plのサンプルのODが1.60を上回る。
A:13.0plのサンプルのODが1.55〜1.60である。
B:13.0plのサンプルのODが1.50〜1.54である。
C:13.0plのサンプルのODが1.45〜1.49である。
D:13.0plのサンプルのODが1.45未満である。
【0061】
カラーシェード
印刷サンプルC(Chroma)を以下の通り、計算及び評価した。
C=(a*
2+b*
2)
1/2、C
max=C
2.5pl、C
5.3pl、C
7.0pl、C
13.0plの最大数。
AA:C
max<2.0
A:2.0≦C
max<4.0
B:4.0≦C
max<6.0
C:6.0≦C
max<8.0
D:8.0≦C
max
【0062】
2.乾燥による噴射の障害(オープンキャップ評価)
シングルパスKyocera KJ4Bプリントヘッド(4.5plの液滴体積)を備えたプリンタを使用して、基材(いずれの基材)に本発明1〜22のインク又は参照1〜14のインクで印刷を施した。
HP Advanced Photo Paper(商標)に全2656個のノズルのノズルチェック画像の初期印刷を施した。その後、ノズルチェック画像を再印刷するまで、プリントヘッドのキャップを閉じないまま30分間放置し、発射信号後の噴射の遅延を判定した。この遅延をD(mm)と定義する。
A:D<1.0mm
B:1.0mm≦D<2.5mm
C:2.5mm≦D<5.0mm
D:5.00mm≦D及び/又は10超のノズルが噴射しなかった。
【0063】
3.インク安定性
新たに調整されたインク(本発明1〜22のインク又は参照1〜14のインク)の32℃における粘度(Brookfield DV−2Tで測定)及びpHを測定した。その後、インクを封止した容器内において60℃で7日間保管し、32℃における粘度及びpHを再測定した。その後、物理特性変化率(R)を以下の通り、判定した。
R
viscosity=(Viscosity
60℃7d−Viscosity
Fresh)/Viscosity
Fresh×100(%)
R
pH=(pH
60℃7d−pH
Fresh)/pH
Fresh×100(%)
A:R
viscosity及びR
pHの双方が10%未満である。
B:R
viscosity及びR
pHの双方が10%〜20%である。
C:R
viscosity及びR
pHの双方が20%超である。
【0064】
4.カラーシェード変化
上述のプロトコル1に記載の通りに準備した綿基材への印刷サンプルを、上述の通り、新たに作成したインクと60℃で7日間置いたインクとを使用して準備した。その後、X−Rite eXact(X−Rite Inc.製)により、印刷された基材の光学特性(OD、L*、a*、及びb*)を測定した。カラーシェードの変化△Eを以下に示す通り、計算した。
△E={(L
60℃7d*−L
Fresh*)
2+(a
60℃7d*−a
Fresh*)
2+(b
60℃7d*−b
Fresh*)
2}
1/2
A:△E<3.0
B:3.0≦△E<6.0
C:6.0≦△E
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
米国第62/309,144号の開示全体を参照としてここに組み込む。本明細書において述べたすべての公開物、特許出願、及び技術規格については、各個別の公開物、特許出願、又は技術規格が具体的且つ個別的に参照としてここに組み込まれる旨の指摘がなされたのと同程度に、参照としてここに組み込まれるものとする。