(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605800
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】太陽電池電極形成用組成物およびこれにより製造された電極
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20191031BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
H01L31/04 264
H01B1/22 A
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-230794(P2014-230794)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-119176(P2015-119176A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2017年10月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0157659
(32)【優先日】2013年12月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0124652
(32)【優先日】2014年9月18日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 錫 鉉
(72)【発明者】
【氏名】朴 永 起
(72)【発明者】
【氏名】金 東 ▲せき▼
(72)【発明者】
【氏名】金 周 熙
(72)【発明者】
【氏名】朴 ▲びん▼ 秀
(72)【発明者】
【氏名】金 君 浩
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲びん▼ 載
(72)【発明者】
【氏名】金 碩 徹
(72)【発明者】
【氏名】梁 相 賢
【審査官】
本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/129554(WO,A2)
【文献】
特開2014−049743(JP,A)
【文献】
特開2013−089600(JP,A)
【文献】
特表2013−531863(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0037941(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0224
H01B 1/00 − 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀粉末;ガラスフリット;および有機ビヒクルを含み、
前記ガラスフリットは、酸化金属混合物の全重量に対して、ビスマス酸化物5質量%〜30質量%、テルル酸化物40質量%〜80質量%、クロム酸化物1質量%〜15質量%、および第4金属酸化物1質量%〜50質量%を含む酸化金属混合物から製造されたことを特徴とし、
前記第4金属酸化物は、前記酸化金属混合物の全重量に対して、酸化リチウム1質量%〜10質量%、酸化亜鉛1質量%〜10質量%、および酸化タングステン1質量%〜10質量%を含むことを特徴とする太陽電池電極形成用組成物。
【請求項2】
前記クロム(Cr)と前記テルル(Te)のモル比は、1:1〜1:80であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項3】
前記ガラスフリットは、鉛(Pb)、リン(P)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、セリウム(Ce)、ストロンチウム(Sr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、インジウム(In)、バナジウム(V)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、カルシウム(Ca)、ヒ素(As)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)およびホウ素(B)よりなる群から選ばれてなる一つ以上の元素をさらに含むものである請求項1または2に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項4】
前記ガラスフリットは、鉛(Pb)元素を前記ガラスフリットの全重量に対して5モル%〜50モル%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項5】
前記第4金属酸化物は、鉛(Pb)、リン(P)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、セリウム(Ce)、ストロンチウム(Sr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、インジウム(In)、バナジウム(V)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、カルシウム(Ca)、ヒ素(As)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)およびホウ素(B)よりなる群から選ばれてなる一つ以上の金属の酸化物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項6】
前記第4金属酸化物は、前記酸化金属混合物の全重量に対して、酸化鉛(PbO)を15質量%〜50質量%含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項7】
前記銀粉末60質量%〜95質量%;前記ガラスフリット0.5質量%〜20質量%;および前記有機ビヒクル1質量%〜30質量%;を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項8】
前記ガラスフリットは、平均粒径(D50)が0.1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項9】
前記組成物は、分散剤、揺変剤、可塑剤、粘度安定化剤、消泡剤、顔料、紫外線安定剤、酸化防止剤、およびカップリング剤よりなる群から選ばれてなる一つ以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項10】
前記有機ビヒクルは、バインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30,000g/mol〜200,000g/molであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項11】
前記組成物は、粘度が100,000cps〜500,000cpsであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の太陽電池電極形成用組成物で製造された太陽電池電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池電極形成用組成物およびこれにより製造された電極に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽光のフォトン(photon)を電気に変換させるpn接合の光電効果を用いて電気エネルギーを発生させる。太陽電池は、pn接合が構成される半導体ウエハ又は基板の上・下面にそれぞれ前面電極と後面電極が形成されている。太陽電池は、半導体ウエハに入射される太陽光によってpn接合の光電効果が誘導され、これにより発生した電子が電極を通じて外部に流れる電流を提供する。このような太陽電池の電極は、電極用ペースト組成物の塗布、パターニングおよび焼成によって、ウエハ表面に形成できる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、太陽電池の効率を増加させるためにエミッター(emitter)の厚さが持続的に薄くなっていることにより、太陽電池の性能を低下させ得るシャンティング(shunting)現象を誘発させ得る。また、太陽電池の効率を増加させるために、太陽電池の面積を徐々に増加させているが、これは太陽電池の接触抵抗を高めて太陽電池の効率を減少させ得る。
【0004】
また、太陽電池を構成するセル(cell)は、太陽電池用のリボン(ないしリボン線;インターコネクタ、バスバー、セル連結用板、セル結合板、リボン状のタブ線(導電性ワイヤ(例えば、銅線)の織物若しくは編物)、リボンワイヤ等)で相互連結されるが、電極とリボンの接着力が良くない場合は、直列抵抗が大きく、変換効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明者は、従来の柔軟ガラスフリットを含む太陽電池電極形成用組成物で製造された電極とリボンの接着力が十分に確保されていない点に着目して、これを改善しようと、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2013−504152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、直列抵抗(Rs)を最小化できる太陽電池電極形成用組成物を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、フィルファクターおよび変換効率に優れた太陽電池電極を提供することである。
【0009】
本発明のまた別の目的は、電極とリボンの接着強度に優れた太陽電池電極形成用組成物を提供することである。
【0010】
本発明の前記およびその他の目的は、下記で説明する本発明によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの観点は、銀粉末;ガラスフリット;および有機ビヒクルを含み、前記ガラスフリットは、ビスマス(Bi)、テルル(Te)およびクロム(Cr)元素を含むことを特徴とする太陽電池電極形成用組成物に関することである。
【0012】
前記クロム(Cr)と前記テルル(Te)のモル比(Cr:Te)は、1:1ないし1:80でもよい。
【0013】
前記ガラスフリットは、鉛(Pb)、リチウム(Li)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、リン(P)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、セリウム(Ce)、ストロンチウム(Sr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、インジウム(In)、バナジウム(V)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、カルシウム(Ca)、ヒ素(As)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、およびホウ素(B)よりなる群から選ばれてなる一つ以上の元素をさらに含んでもよい。
【0014】
前記ガラスフリットは、鉛(Pb)元素をガラスフリット全重量に対して5モル%ないし50モル%さらに含んでもよい。
【0015】
前記ガラスフリットは、ビスマス酸化物5質量%ないし30質量%;テルル酸化物(酸化テルル)40質量%ないし80質量%;クロム酸化物1質量%ないし15質量%、および第4金属酸化物1質量%ないし50質量%を含む酸化金属混合物から製造されたものでもよい。
【0016】
前記第4金属酸化物は、鉛(Pb)、リチウム(Li)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、リン(P)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、セリウム(Ce)、ストロンチウム(Sr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、インジウム(In)、バナジウム(V)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、カルシウム(Ca)、ヒ素(As)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、およびホウ素(B)の一つ以上の金属の酸化物を含んでもよい。
【0017】
前記第4金属酸化物は、前記酸化金属混合物の全質量に対して、酸化リチウム1質量%ないし10質量%、酸化亜鉛1質量%ないし10質量%、および酸化タングステン1質量%ないし10質量%を含んでもよい。
【0018】
前記第4金属酸化物は、前記酸化金属混合物の全質量に対して、酸化鉛(PbO)を15質量%ないし50質量%含んでもよい。
【0019】
前記組成物は、前記銀粉末60質量%ないし95質量%;前記ガラスフリット0.5質量%ないし20質量%;および前記有機ビヒクル1質量%ないし30質量%;を含んでもよい。
【0020】
前記ガラスフリットは、平均粒径(D50;メディアン径)が0.1μmないし10μmでもよい。
【0021】
前記組成物は、分散剤、揺変剤(チクソトロピック剤)、可塑剤、粘度安定化剤、消泡剤、顔料、紫外線安定剤、酸化防止剤およびカップリング剤よりなる群から選ばれてなる一つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0022】
前記有機ビヒクルは、バインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30,000g/molないし200,000g/molでもよい。
【0023】
前記組成物は、粘度が100,000cpsないし500,000cpsでもよい。
【0024】
本発明の別の観点である太陽電池電極は、前記太陽電池電極形成用組成物から形成できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の太陽電池電極形成用組成物で製造された太陽電池電極は,直列抵抗(Rs)が最小化されてフィルファクターおよび変換効率に優れ、リボンとの接着強度が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる太陽電池の構造を簡略に図示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<太陽電池電極形成用組成物>
本発明の太陽電池電極形成用組成物(以下、単に組成物ともいう)は、銀粉末;ビスマス(Bi)、テルル(Te)およびクロム(Cr)元素を含むガラスフリット;および有機ビヒクルを含む太陽電池電極形成用組成物であって、直列抵抗(Rs)が最小化されるためフィルファクターおよび変換効率が優れ、太陽電池セル(cell)を連結するリボンとの接着強度に優れる。
【0029】
(A)銀粉末
本発明の太陽電池電極形成用組成物は、導電性粉末として銀(Ag)粉末を使用する。前記銀粉末は、ナノサイズ又はマイクロサイズの粒径を有する粉末でもよいが、例えば、数十ないし数百ナノメーターの大きさの銀粉末、数ないし数十マイクロメーターの銀粉末でもよく、2以上の相違する大きさを有する銀粉末を混合して使用することもできる。
【0030】
銀粉末は、粒子形状が球形、板状、無定形形状を有してもよい。
【0031】
本実施形態(一具体例)において、前記銀粉末の平均粒径(D50)は、0.1μmないし10μmでもよい。例えば、0.5μmないし5μmでもよい。前記平均粒径は、イソプロピルアルコール(IPA)に導電性粉末である銀(Ag)粉末を超音波で25℃で3分間分散させた後、CILAS社で製作した1064LDモデルを使用して測定されたものである。前記銀粉末の平均粒径が前記範囲内であれば、接触抵抗と線抵抗が低くなるという効果を有することができる。
【0032】
前記銀粉末は、組成物の全質量に対して60質量%ないし95質量%で含むことができる。前記銀粉末が、組成物全質量に対して前記範囲内であれば、抵抗の増加により変換効率が低くなることを防ぐことができる。例えば、70質量%ないし90質量%で含んでもよい。本実施形態(具体例)において、前記銀粉末は、組成物の全質量に対して、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94又は95質量%で含んでもよい。
【0033】
(B)ビスマス(Bi)、テルル(Te)およびクロム(Cr)元素を含むガラスフリット
ガラスフリット(glass frit)は、電極ペースト(太陽電池電極形成用組成物)の焼成工程中に反射防止膜をエッチング(etching)し、銀粒子(銀粉末)を溶融させて抵抗が低くなるようにエミッタ領域に銀結晶粒子を生成させ、伝導性粉末(導電性粉末)とウエハ間の接着力を向上させ、焼結時に軟化して焼成温度をより下げる効果を誘導する。
【0034】
太陽電池の変換効率(Efficiency)を増加させるために太陽電池の面積を増加させると、太陽電池の接触抵抗が高くなり得るため、pn接合(pn junction)に対する被害を最小化すると同時に直列抵抗(Rs)を最小化し、開放電圧(Voc)を最小化させることが有利である。また、多様な面抵抗のウエハの増加によって焼成温度の変動幅が大きくなるため、広い焼成温度でも熱安定性を十分に確保できるガラスフリットを使用することが好ましい。
【0035】
さらに、太陽電池を構成するセル(cell)は、リボンによって相互連結されるが、リボンと接着される太陽電池電極の接着強度(adhesion strength)が十分に確保されないと、セル(cell)が脱落したり信頼性が低下するおそれがある。
【0036】
本発明では、前記の太陽電池電極の電気的特性と接着強度のような物理的特性を同時に確保するために、ビスマス(Bi)、テルル(Te)及びクロム(Cr)元素を含むガラスフリットを導入した。
【0037】
本発明の実施形態(別の具体例)において、前記クロム(Cr)対前記テルル(Te)のモル比は、1:1ないし1:80でもよい。前記モル比の範囲内であれば、リボンと接着される太陽電池電極の接着強度および変換効率に優れ、低い直列抵抗および接触抵抗を確保することができる。本実施形態(具体例)では、前記モル比は、1:1ないし1:40でもよい。例えば、前記モル比は、1:5ないし1:35でもよい。
【0038】
本実施形態(具体例)において、前記ガラスフリットは、ビスマス(Bi)、テルル(Te)およびクロム(Cr)元素以外に、鉛(Pb)、リチウム(Li)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、リン(P)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、セリウム(Ce)、ストロンチウム(Sr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、インジウム(In)、バナジウム(V)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、カルシウム(Ca)、ヒ素(As)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)およびホウ素(B)よりなる群から選ばれてなる一つ以上の元素をさらに含んでもよい。
【0039】
特に、本発明のガラスフリットは、ビスマス(Bi)、テルル(Te)、及びクロム(Cr)元素以外に、鉛(Pb)元素を、前記ガラスフリットの全重量に対して、5モル%ないし50モル%含有してもよい。この場合、工程性(Process window)の面で優れた効果を有することができる。本実施形態(具体例)において、前記鉛(Pb)元素は、前記ガラスフリットの全重量に対して、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50モル%含有してもよい。
【0040】
前記ガラスフリットは、ビスマス酸化物、テルル酸化物、クロム酸化物および第4金属酸化物を含む酸化金属混合物から製造されたものでもよい。
【0041】
本実施形態(具体例)において、前記第4金属酸化物は、鉛(Pb)、リチウム(Li)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、リン(P)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、セリウム(Ce)、ストロンチウム(Sr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、インジウム(In)、バナジウム(V)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、カルシウム(Ca)、ヒ素(As)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)およびホウ素(B)から選ばれた一つ以上の金属の酸化物を含んでもよい。
【0042】
本実施形態(一具体例)において、前記酸化金属混合物は、ビスマス酸化物5質量%ないし30質量%;テルル酸化物40質量%ないし80質量%;クロム酸化物1質量%ないし15質量%、および第4金属酸化物1質量%ないし50質量%を含んでもよい。前記範囲で優れた変換効率(Efficiency)および接着強度(Adhesion Strength)を同時に確保することができる。
【0043】
本実施形態(具体例)において、前記第4金属酸化物は、前記酸化金属混合物の全質量に対して、酸化鉛(PbO)を15質量%ないし50質量%含んでもよい。前記範囲で含む場合、工程性(Process window)の面で優れた効果を有することができる。本実施形態(具体例)において、前記第4金属酸化物は、前記酸化金属混合物の全質量に対して、前記酸化鉛を、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50質量%含有してもよい。
【0044】
本実施形態(具体例)において、前記第4金属酸化物は、前記酸化金属混合物の全質量に対して、酸化リチウム(Li
2O)1質量%ないし10質量%、酸化亜鉛(ZnO)1質量%ないし10質量%、および酸化タングステン(WO
3)1質量%ないし10質量%を含んでもよい。前記範囲で優れた変換効率および接着強度を同時に確保することができる。本実施形態(具体例)において、前記ガラスフリットは、ビスマス酸化物5質量%ないし30質量%;テルル酸化物(酸化テルル)40質量%ないし80質量%;クロム酸化物1質量%ないし15質量%、酸化リチウム(Li
2O)1質量%ないし10質量%、酸化亜鉛(ZnO)1質量%ないし10質量%、および酸化タングステン(WO
3)1質量%ないし10質量%を含む酸化金属混合物から製造されたものでもよい。 前記範囲で優れた変換効率および接着強度を同時に確保することができる。
【0045】
前記ガラスフリットは、通常の方法を用いて前記の金属酸化物から製造することができる。例えば、前記の金属酸化物の組成で混合する。前記混合は、ボールミル(ball mill)又はプラネタリーミル(planetary mill)を使用して混合することができる。次に、混合された組成物を900℃ないし1300℃の条件で溶融させ、25℃でクエンチング(quenching)する。得た結果物をディスクミル(disk mill)、プラネタリーミル等によって粉砕してガラスフリットを得ることができる。
【0046】
本実施形態(具体例)において、前記ガラスフリットは、平均粒径(D50;メディアン径)が0.1μmないし10μmであるものを使用することができる。本発明において、前記ガラスフリットの形状は、球形や不定形でも構わない。
【0047】
本実施形態(具体例)において、前記ガラスフリットは、組成物の全質量を基準に0.5質量%ないし20質量%含むことができる。前記範囲で含まれると、多様な面抵抗下で接着強度および変換効率に優れ、直列抵抗値を最小化させることができ、最終的に太陽電池の効率を改善することができる。本実施形態(具体例)において、前記ガラスフリットは、前記組成物の全質量を基準に、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20質量%含んでもよい。
【0048】
(C)有機ビヒクル
有機ビヒクルは、太陽電池電極形成用組成物の無機成分と機械的混合を通じて、ペースト組成物(太陽電池電極形成用組成物)に印刷に適した粘度および流変学的特性を付与する。
【0049】
前記有機ビヒクルは、通常の太陽電池電極形成用組成物に使用される有機ビヒクルが使用され得るが、通常、バインダー樹脂と溶媒等を含むことができる。
【0050】
前記バインダー樹脂としては、アクリレート系またはセルロース系樹脂等を使用でき、エチルセルロースが一般的に使用される樹脂である。ただし、これらに制限されるものではなく、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロースとフェノール樹脂の混合物、アルキド樹脂、フェノール系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、キシレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリエステル系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、木材ロジン(rosin)又はアルコールのポリメタクリレート等を使用することもできる。
【0051】
本実施形態(具体例)において、前記バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30,000g/molないし200,000g/molでもよい。前記バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)が前記範囲内の場合、印刷性の面で優れた効果を有することができる。例えば、40,000g/molないし150,000g/molでもよい。
【0052】
前記溶媒としては、例えば、ヘキサン、トルエン、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ジブチルカルビトール(ジエチレングリコールジブチルエーテル)、ブチルカルビトールアセテート(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘキシレングリコール、テルピネオール(Terpineol)、メチルエチルケトン、ベンジルアルコール、ガンマブチロラクトン又は乳酸エチル等を単独あるいは2種以上混合して使用してもよい。
【0053】
前記有機ビヒクルは、組成物の全質量に対して、1質量%ないし30質量%含むことができる。前記範囲で十分な接触強度と優れた印刷性を確保することができる。本実施形態(具体例)において、前記有機ビヒクルの配合量は、組成物の全質量に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30質量%含んでもよい。
【0054】
(D)添加剤
本発明の太陽電池電極形成用組成物は、前記(A)〜(C)の構成要素以外に、流動特性、工程特性および安定性を向上させるために必要に応じて通常の添加剤を更に含んでもよい。本実施形態(具体例)において、前記添加剤は、分散剤、揺変剤(チクソトロピック剤)、可塑剤、粘度安定化剤、消泡剤、顔料、紫外線安定剤、酸化防止剤およびカップリング剤の一つ以上を含んでもよい。
【0055】
前記添加剤は、組成物の全質量に対して、0.1質量%ないし5質量%で添加できるが、必要に応じて変えてもよい。本実施形態(具体例)において、前記添加剤の配合量は、組成物の全質量に対して、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5又は5質量%含んでもよい。
【0056】
また、前記太陽電池電極形成用組成物の粘度(viscosity)は、100,000cpsないし500,000cps(100kcpsないし500kcps)でもよい。粘度が前記範囲の場合、印刷性の面で優れた効果を有することができる。例えば、250,000cpsないし400,000cps(250kcpsないし400kcps)でもよい。
【0057】
<太陽電池電極およびこれを含む太陽電池>
本発明の別の観点は、前記太陽電池電極形成用組成物から形成された電極およびこれを含む太陽電池に関するものである。
図1は、本発明の一実施形態(一具体例)にかかる太陽電池の構造を表したものである。
【0058】
前記
図1を参照すると、p層(又はn層)101およびエミッターとしてのn層(又はp層)102を含むウエハ100又は基板の上に、前記太陽電池電極形成用組成物を印刷し、焼成して後面電極210および前面電極230を形成することができる。例えば、太陽電池電極形成用組成物をウエハの後面に印刷塗布した後、200℃ないし400℃の温度で10秒ないし60秒程度乾燥して後面電極のための事前準備ステップを行ってもよい。また、ウエハの前面に太陽電池電極形成用組成物を印刷した後、乾燥して前面電極のための事前準備ステップを行うことができる。その後、400℃ないし950℃、例えば、850℃ないし950℃で30秒ないし50秒焼成する焼成過程を行って前面電極および後面電極を形成することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、この実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明を制限するものと解釈してはならない。
【0060】
実施例1
酸化ビスマス、酸化テルル、酸化クロムおよび第4金属酸化物として、酸化リチウム、酸化亜鉛および酸化タングステンを下記表1の組成で混合して900℃ないし1400℃で溶融および焼結過程を経て平均粒径(D50)が2.0μmのガラスフリットを製造した。
【0061】
有機バインダー(有機ビヒクルのバインダー樹脂)として、エチルセルロース(Dow chemical company,STD4)(重量平均分子量(Mw)=50,000g/mol)0.8質量%を溶媒であるブチルカルビトール(Butyl Carbitol)8.5質量%に60℃で十分に溶解した後、平均粒径が2.0μmの球形の銀粉末(Dowa Hightech CO.LTD,AG‐4‐8)86.5質量%、前記で製造されたガラスフリット3.5質量%、添加剤として分散剤BYK102(BYK‐chemie)0.2質量%、および揺変剤Thixatrol‐ST(Elementis co.)0.5質量%を投入して均等に混ぜた後、3ロール混錬器で混合分散させて太陽電池電極形成用組成物を製造した。
【0062】
前記の製造された組成物の粘度は、回転粘度計であるブルックフィールド社のHBDV−II+Proを使用して常温で測定し、測定時にサンプルカップに試料を完全に満たし、14番スピンを装着して5分間温度を安定化させた後、10rpmのせん断速度で測定した。測定した粘度値は表2に表した。
【0063】
前記の製造された太陽電池電極形成用組成物を結晶系モノウエハ(Wafer)前面に一定のパターンでスクリーンプリントして印刷し、赤外線乾燥炉を使用して乾燥させて、前面電極を製造した。その後、ウエハの後面にアルミニウムを含む電極形成用組成物を後面印刷した後、同様の方法で乾燥した。前記過程で形成されたセルを、ベルト型焼成炉を使用して980℃で40秒間焼成を行い、製造完了した。このように製造完了したセルは、太陽電池効率測定装備(Pasan社、CT‐801)を使用して直列抵抗(Rs)(mΩ)、フィルファクター(FF、%)および変換効率(%)を測定した後、前面電極にフラックス(flux)を塗り、半田ごて機(HAKKO社)で300℃ないし400℃でリボンと接合させた。その後、剥離角180°の条件で張力機(Tinius olsen社)を使用して50mm/minの伸張速度で接着強度を測定した。測定した変換効率、直列抵抗および接着強度(N/mm)を下記表2に示した。
【0064】
実施例2ないし20および比較例1ないし3
下記表1の組成でガラスフリットを製造したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で太陽電池電極形成用組成物を製造した後、物性を測定して下記表2に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
前記表2から分かるように、実施例1ないし実施例20のガラスフリットを使用した太陽電池電極形成用組成物で製造された太陽電池電極は、本発明のガラスフリット組成から外れる比較例1ないし比較例3に比べて直列抵抗値が低く、フィルファクターおよび変換効率に優れ、リボンとの接着強度に優れることが分かる。
【0068】
本発明の単純な変形ないし変更は、本分野の通常の知識を有する者によって容易に実施でき、このような変形や変更は全て本発明の領域に含まれると見なすことができる。
【符号の説明】
【0069】
100:ウエハ、
101:p層、
102:n層、
210:後面電極、
230:前面電極。