特許第6606191号(P6606191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606191
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】半導体加工用粘着シート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20191031BHJP
   C09J 7/24 20180101ALI20191031BHJP
【FI】
   H01L21/78 M
   H01L21/78 Y
   C09J7/24
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-554096(P2017-554096)
(86)(22)【出願日】2017年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2017012456
(87)【国際公開番号】WO2017170437
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2019年2月1日
(31)【優先権主張番号】特願2016-73264(P2016-73264)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】特許業務法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】河田 暁
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−063340(JP,A)
【文献】 特開2009−170886(JP,A)
【文献】 特開2014−165473(JP,A)
【文献】 特開2013−098443(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/004825(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
C09J 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
擦り落とし又は超音波発振端子によるピックアップを行うピックアップ工程を含む半導体加工方法に用いられる半導体加工用粘着シートであって、
基材フィルム上に粘着剤層を有し、
前記基材フィルムの5%モジュラスが7.0〜20.0MPaであり、
前記基材フィルムが、1層であって、ベース樹脂100質量部に対してスチレン系ブロック共重合体5〜39質量部を含み、
前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であり、
前記ベース樹脂が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体加硫物、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、アイオノマー、ニトリルゴム、ブチルゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムおよびその水添加物もしくは変性物から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする半導体加工用粘着シート。
【請求項2】
前記ベース樹脂が、ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項3】
前記粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系粘着剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項4】
前記スチレン系ブロック共重合体が、ベース樹脂100質量部に対して10〜35質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項5】
半導体パッケージのダイシングに用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体加工用粘着シートに関する。
さらに詳しくは、詳細には、半導体ウェハをチップにダイシングする際などにおける半導体ウェハの固定保持に適したダイシング用粘着テープおよび半導体パッケージ加工に使用されるダイシング用粘着テープについて関するものである。特に、高密度実装半導体パッケージ加工用として好適なダイシング用粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイシング用粘着テープは、回路パターンの形成された半導体ウェハをチップ状に分離するダイシング工程時に、ウェハを保護・固定するものである。半導体ウェハは、粘着テープに固定された後、ダイシングブレードと呼ばれる回転刃によりダイシングを行い、チップ状に分離された半導体チップになる。半導体チップは粘着テープにより、ピックアップ工程まで保持される。
【0003】
その後、複数の半導体チップを樹脂で一括モールドし、個別に分離して個々の半導体パッケージを形成する場合は、ダイシングテープに貼り付け固定し、ダイシングブレードと呼ばれる回転刃によりダイシングを行う。このように樹脂で一括封止されたパッケージのダイシング工程では、切断時の負荷が大きい上、パッケージ樹脂は離型剤を含有するとともにその樹脂表面も微小な凹凸を有する構造を有する。このため、その半導体加工用テープに使用されている粘着剤には強固にパッケージを保持でき、ダイシング時のパッケージが保持されず飛散する( 以下、「パッケージフライ」という。) などの不具合が生じないように柔軟な粘着剤が使用されている。
しかしながら、このような柔軟な粘着剤を使用することにより、ダイシングによるパッケージ側面への粘着剤付着やパッケージに捺印されているレーザーマークが剥がれるという問題が生じている。
【0004】
このようなパッケージフライを低減するため、従来から検討が行われている。
例えば、粘着剤層に(メタ)アルキル酸エステルを用いた粘着テープが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、近年ますますパッケージの小型化により、パッケージが粘着テープに保持される面積が小さくなりパッケージフライがより発生しやすくなっている。このため、粘着剤を改良しているだけではパッケージフライを抑制するには不十分であった。
また、半導体ウェハの振動を抑制するため、粘着シートの基材面にエラストマーを入れることでダイシング時のチッピングを抑制することが提案されている(特許文献2参照)。このように粘着剤だけでなく、基材側を柔軟にすることで、パッケージとの密着性を上げられるため好ましい。一方で、市場ではパッケージの小サイズ化が進行し、従来のピン突き上げによるピックアップ方法では、ピックアップに非常に時間がかかるようになっている。そのため、ピンセット等によりテープの背面を擦ることによりテープを撓ませて、パッケージを一気に落とす(以下、擦り落としという)ことでピックアップを行うようになってきた。
しかしながら、粘着シートの基材面にエラストマーを入れて基材側を柔軟にすると、柔軟なために、逆に、擦り落としによりテープを撓ませてもパッケージが立たないため擦り落としがうまくいかないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−100064号公報
【特許文献2】特開2009−170886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであり、ダイシング時に発生するパッケージフライの発生を低減しつつ、かつダイシング後には擦り落とし等によるピックアップでも迅速かつ確実に粘着テープから剥離できる半導体加工用粘着シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、スチレン系共重合体のベース樹脂に対する含有量と粘着シートの5%モジュラスを詳細に検討した結果、スチレン系共重合体含有量が少なく、かつ損失係数の値が低いことが重要であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は以下の手段によって解決される。
【0008】
〔1〕擦り落とし又は超音波発振端子によるピックアップを行うピックアップ工程を含む半導体加工方法に用いられる半導体加工用粘着シートであって、
基材フィルム上に粘着剤層を有し、
前記基材フィルムの5%モジュラスが7.0〜20.0MPaであり、
前記基材フィルムが、1層であって、ベース樹脂100質量部に対してスチレン系ブロック共重合体5〜39質量部を含み、
前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であり、
前記ベース樹脂が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体加硫物、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、アイオノマー、ニトリルゴム、ブチルゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムおよびその水添加物もしくは変性物から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする半導体加工用粘着シート。
〔2〕前記ベース樹脂が、ポリプロピレンであることを特徴とする〔1〕に記載の半導体加工用粘着シート。
〔3〕前記粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系粘着剤であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の半導体加工用粘着シート
〔4〕前記スチレン系ブロック共重合体が、ベース樹脂100質量部に対して10〜35質量部であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着シート。
〔5〕半導体パッケージのダイシングに用いられることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着シート。
【0009】
本発明では、アクリル系と称する場合、メタアクリル系も包括するものである。
また、アクリル系をより明確にするため、(メタ)アクリル系のように、「(メタ)」の括弧部分は、これがあってもなくてもよいことを意味し、例えば、(メタ)アクリル系は、アクリル系、メタクリル系もしくはこれらを含む場合のいずれでも構わない。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ダイシング時に発生するパッケージフライの発生を低減しつつ、かつダイシング後には擦り落とし等によるピックアップでも迅速かつ確実に粘着テープから剥離できる半導体加工用粘着シートを提供することが可能となった。
本発明の上記および他の特徴および利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の半導体加工用粘着シートの一実施形態を示す断面図である。
図2図2は、半導体ウェハのダイシング工程およびピックアップ工程を説明する断面図である。
図3図3は、半導体ウェハのダイシング工程およびピックアップ工程を説明する断面図である。
図4図4は、半導体ウェハのダイシング工程およびピックアップ工程を説明する断面図である。
図5図5は、半導体ウェハのダイシング工程およびピックアップ工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の半導体加工用粘着シートを詳細に説明する。
【0013】
<<半導体加工用粘着シート>>
本発明の半導体加工用粘着シート12は、図1で模式的に示す概略断面図のように、基材フィルム1上の少なくとも一方の面に粘着剤層2を有する。
最初に、基材フィルムから順に説明する。
【0014】
<基材フィルム>
本発明では、基材フィルムは複数の樹脂フィルムが積層された積層体でなく、1層、すなわち、単一の樹脂フィルムからなる。
基材フィルムを構成する樹脂は、単一の樹脂ではなく、ベース樹脂と少なくとも、スチレン系ブロック共重合体からなる。
【0015】
(スチレン系ブロック共重合体)
スチレン系ブロック共重合体は、エラストマーであり、スチレン系熱可塑性エラストマーもしくはスチレン系エラストマーとも称される。
スチレン系ブロック共重合体は、ハードセグメントのポリスチレンとソフトセグメントからなるスチレンブロック共重合体が好ましく、ソフトセグメントとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン(すなわち、エチレン/プロピレン)、水素添加ポリイソブチレン(すなわち、エチレン/ブチレン)、水素添加イソプレン/ブタジエン(すなわち、エチレン−エチレン/プロピレン)、ブタジエンラバー、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。
【0016】
スチレン系ブロック共重合体を使用することで、基材フィルムが柔軟になり、半導体パッケージとの密着性を上げられる。また、エキスパンドを容易に行えるようになる。
【0017】
このうち、本発明では、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体((SIS)、スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体(SEEPS)から選択される少なくとも1種の樹脂を使用する。
【0018】
ここで、スチレン系ブロック共重合体においては、「−」はブロック単位(1つのブロック)で連結する意味であり、「/」は1つの繰り返し単位となって、これがブロック単位(1つのブロック)となることを意味する。
【0019】
スチレン系ブロック共重合体は、1種類でも複数併用しても構わない。
【0020】
スチレン系ブロック共重合体は、ベース樹脂とともに使用され、本発明ではベース樹脂100質量部に対して5〜39質量部含有するが、10〜35質量部が好ましい。
スチレン系ブロック共重合体の含有量が5質量部未満であると、基材フィルムが剛直になり、半導体パッケージとの密着性を高めることができなくなる。逆に、39質量部を超えると、擦り落としにより半導体加工用粘着シートを撓ませてもパッケージが立たないため、擦り落としがうまくいかない。
【0021】
(ベース樹脂)
本発明において、ベース樹脂は、スチレン系ブロック共重合体以外の樹脂である。
ベース樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、基材フィルムの耐水性および耐熱性に優れているものがより好ましく、特に合成樹脂フィルムが好ましい。
【0022】
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル(変性ポリフェニレンエーテルを含む)樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(変性ポリエーテルエーテルケトンを含む)樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリールエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリ乳酸、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン樹が特に好ましい。
なお、熱可塑性樹脂は、酸変性など、変性されていてもよく、結晶性でも非晶性でも構わない
【0023】
この中でも、本発明では、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体加硫物、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、アイオノマー、ニトリルゴム、ブチルゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムおよびその水添加物もしくは変性物から選択される少なくとも1種の樹脂を使用する。
【0024】
(ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂は、少なくとも1種のオレフィンを重合してなるポリオレフィン樹脂であり、単独重合体であっても共重合体であっても構わない。
このようなオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソブテン(1−ブテン)を含む炭素原子数4〜12のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0025】
なお、炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどが挙げられる。
【0026】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリイソブテン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、(メタ)アクリル樹脂(いわゆるアリル樹脂)、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル樹脂、ポリ(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0027】
これらの樹脂のうち、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)が好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂がなかでも好ましい。
【0028】
ポリエチレン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。
【0029】
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
【0030】
なお、密度もしくは形状で分類した場合、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)のいずれでも構わない。
【0031】
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレンブロック共重合体(プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、エチレンおよびα−オレフィンから選択されるモノマーの少なくとも1種とプロピレンとを共重合して得られる共重合体とからなる)などが挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0032】
ポリプロピレン樹脂に用いられるα−オレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンが好ましく、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンがより好ましい。
【0033】
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体などが挙げられる。
【0034】
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
【0035】
プロピレンブロック共重合体としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体などが挙げられる。
【0036】
これらのポリプロピレン樹脂のうち、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレンブロック共重合体が好ましい。
【0037】
ポリプロピレン樹脂の結晶性は、融解温度(融点)や立体規則性で求められ、本発明のポリオレフィン樹脂組成物に求められる品質や、それを成形して得られる成形品に求められる品質に応じて、調整する。
なお、立体規則性はアイソタクチックインデックス、シンジオタクチックインデックスと称される。
【0038】
アイソタクチックインデックスは、Macromolecules,第8巻,687頁(1975年)に記載の13C−NMR法で求められる。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル基の炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率として、ポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスを求める。
アイソタクチックインデックスが高いものは、結晶性が高く、0.96以上が好ましく、0.97以上がより好ましく、0.98以上がさらに好ましい。
【0039】
一方、シンジオタクチックインデックスは、J.Am.Chem.Soc.,110,6255(1988)やAngew.Chem.Int.Ed.Engl.,1955,34,1143−1170に記載の方法で求められ、シンジオタクチックインデックスが高いものが、結晶性が高い。
【0040】
ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂[塩化ビニルモノマーの単独重合体(ポリ塩化ビニル樹脂など)、塩化ビニル単量体と他の単量体との共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)など]、ビニルアルコール樹脂(ポリビニルアルコールなどの単独重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの共重合体など)、ポリビニルホルマールなどのポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。これらのビニル系樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。
【0041】
ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、通常、0.01〜400g/10分であり、機械的強度や生産安定性を高めるという観点から、好ましくは1〜400g/10分であり、より好ましくは1〜100g/10分であり、さらに好ましくは1〜50g/10分である。
なお、本発明では、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)である。
【0042】
本発明では、ベース樹脂は、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0043】
基材フィルムの粘着剤層と接する面には密着性を向上するために、コロナ処理を施したり、プライマー等の他の層を設けてもよい。
基材フィルムの厚さは特に制限されないが、70〜300μmが好ましく、100〜200μmがより好ましく、100〜250μmがさらに好ましく、100〜150μmが特に好ましい。
また、本発明では、100μmを超えるものも好ましく、この場合、100μmを超え300μm以下が好ましく、110〜300μmがより好ましく、110〜250μmがさらに好ましく、110〜200μmが特に好ましい。
【0044】
<基材フィルムの5%モジュラス>
本発明では、基材フィルムの5%モジュラスは、7.0〜20,0MPaである。
基材フィルムの5%モジュラスは、7.0〜15,0MPaが好ましく、7.0MPaを超え15,0MPa以上がより好ましく、8.0MPaを超え15,0MPa以上がさらに好ましく、8.5〜15.0MPaが特に好ましく、10.0〜15.0MPaが最も好ましい。
【0045】
基材フィルムの5%モジュラスが7.0MPa未満であると、基材フィルムが柔軟であるため、チップの擦り落とし時に力が伝わらず、チップが半導体加工用粘着シート上に残ってしまうことがあり、20,0MPaを超えると、基材フィルムが剛直すぎるため、半導体パッケージへの貼り付き性が悪化し、ダイシング時にパッケージフライすることがある。
【0046】
5%モジュラスは、JIS K 7127/2/300に従い、5%歪み時の応力を測定することにより得られる。
本発明では、MD方向とTD方向を各5回測定し、これらの測定値の全てを平均した値を5%モジュラスの値とする。
【0047】
5%モジュラスを上記範囲とするには、ベース樹脂、スチレン系ブロック共重合体の種類と配合量で調整できる。
【0048】
<粘着剤、粘着剤層>
粘着剤層は、従来より公知の種々の粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等をベースポリマーとした粘着剤が用いられる。
本発明では、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0049】
これらのベースポリマーに凝集力を付加するために架橋剤を配合することができる。
架橋剤としては、ベースポリマーに対応して、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン樹脂などが挙げられる。さらに粘着剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、各種添加成分を含有させることができる。
【0050】
また、放射線硬化型や加熱発泡型の粘着剤も用いることができる。
放射線硬化型の粘着剤としては、紫外線、電子線等で硬化し、剥離時には剥離しやすくなる粘着剤を使用することができる。また、加熱発泡型の粘着剤としては、加熱により発泡剤や膨張剤により剥離しやすくなる粘着剤を使用することができる。さらに、粘着剤としてはダイシング・ダインボンディング兼用可能な接着剤であってもよい。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、特公平1−56112号公報、特開平7−135189号公報等に記載のものが好ましく使用されるがこれらに限定されることはない。本発明においては、紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。その場合には、放射線により硬化し三次元網状化する性質を有すればよく、例えば通常のゴム系あるいはアクリル系の感圧性ベース樹脂(ポリマー)に対して、分子中に少なくとも2個の光重合性炭素−炭素二重結合を有する低分子量化合物(以下、光重合性化合物という)および光重合開始剤が配合されてなるものが使用される。
【0051】
上記のゴム系あるいはアクリル系のベース樹脂は、天然ゴム、各種の合成ゴムなどのゴム系ポリマー、あるいはポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれと共重合可能な他の不飽和単量体との共重合物などのアクリル系ポリマーが使用される。
【0052】
また上記の粘着剤中に、イソシアネート系硬化剤を混合することにより、初期の接着力を任意の値に設定することができる。このような硬化剤としては、具体的には多価イソシアネート化合物、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネートなどが用いられる。
【0053】
紫外線硬化型粘着剤の場合には、粘着剤中に光重合開始剤を混入することにより、紫外線照射による重合硬化時間ならびに紫外線照射量を少なくなることができる。
このような光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。
【0054】
アクリル系粘着剤のベースポリマーの質量平均分子量は、10万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、25万以上がさらに好ましく、30万以上が特に好ましく、40万以上が最も好ましい。質量平均分子量の上限は、200万以下が好ましく、150万以下がより好ましく、100万以下がさらに好ましく、80万以下が特に好ましい。
本発明では、例えば、10万〜200万が好ましい範囲として挙げられ、25万〜200万がより好ましい範囲として挙げられる。別の範囲例を示せば、例えば、20万〜150万の範囲も挙げられる。
質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算して得られたものである。
【0055】
粘着剤層の厚さは特に制限されないが、好ましくは4〜30μm、特に好ましくは5〜25μmである。
【0056】
本発明の半導体加工用粘着シートに半導体ウェハを貼合し、常法により、図2〜5に示すようなウェハのダイシングおよびピックアップを行うことができる。本発明の半導体加工用粘着シートを用いた半導体ウェハの加工方法においては、基材フィルムまで切り込みを行わないことが、ダイシングブレードの切削抵抗を低減し、半導体ウェハ切削をスムーズにし、チッピングを低減するため、好ましい。切り込みが基材フィルムまで達しないためには、例えば、用いるダイシング装置の切り込み深さの設定を、マニュアルに従い適宜変更すればよい。
【0057】
本発明に用いられるベアウェハは、特に限定されるものではなく、従来用いられている任意のベアウェハから適宜選択して用いることができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0059】
<基材フィルムの製造>
1)基材フィルムA
スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)〔商品名:セプトンKF−2104、(株)クラレ社製〕とホモプロピレン(PP)〔商品名:J−105G、宇部興産(株)社製〕を下記表1に示す配合比で混合し、2軸混練機で、約200℃でフィルム押出成形にて加工し、厚さ150μmの基材フィルムAを製造した。
【0060】
2)基材フィルムB
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)〔商品名:ハイブラー5127、(株)クラレ社製〕とホモプロピレン(PP)〔商品名:J−105G、宇部興産(株)社製〕を下記表1に示す配合比で混合し、2軸混練機で、約200℃でフィルム押出成形にて加工し、厚さ150μmの基材フィルムBを製造した。
【0061】
3)基材フィルムC
スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)〔商品名:セプトン8104、(株)クラレ社製〕とホモプロピレン(PP)〔商品名:J−105G、宇部興産(株)社製〕を下記表1に示す配合比で混合し、2軸混練機で、約200℃でフィルム押出成形にて加工し、厚さ150μmの基材フィルムCを製造した。
【0062】
4)基材フィルムD
チレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体(SEEPS)〔商品名:セプトンセプトン4033、(株)クラレ社製〕とホモプロピレン(PP)〔商品名:J−105G、宇部興産(株)社製〕を下記表1に示す配合比で混合し、2軸混練機で、約200℃でフィルム押出成形にて加工し、厚さ150μmの基材フィルムDを製造した。
【0063】
<粘着剤の調製>
アクリル系ベースポリマー(2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートからなる共重合体、質量平均分子量40万、ガラス転移温度:−35℃)100質量部にポリイソシアネート化合物〔商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)社製〕3質量部、光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物としてテトラメチロールメタンテトラアクリレート50質量部、光重合開始剤としてα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1質量部を添加し、混合して得た。
【0064】
実施例1〜3および比較例1
上記基材フィルムAの一方の表面に、上記の粘着剤を厚さ20μmに塗工して、粘着剤層を形成し、実施例1〜3および比較例1の各半導体加工用粘着シートを製造した。
【0065】
実施例4
上記基材フィルムBを用いた以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを製造した。
【0066】
実施例5
上記基材フィルムCを用いた以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを製造した。
【0067】
実施例6
上記基材フィルムDを用いた以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを製造した。
【0068】
これらの各半導体加工用粘着シートに対して、以下のようにして、5%モジュラス、パッケージフライおよびピックアップ成功率の評価を行った。
【0069】
(5%モジュラス)
各基材フィルムを用いて、JIS K7127/2/300に従い、試験片を作製し、5%モジュラスを測定した。各試験片に対して、MD方向とTD方向を各5回測定し、これらの測定値の全てを平均した値を試験結果とした。
【0070】
(パッケージフライ)
各半導体加工用粘着シートにQFNパッケージ(60mm×150mm、厚さ0.95mm)を貼合した。ダイサー〔(株)DISCO社製 DFD6340〕にて、ブレード回転数20000rpm、切削速度30mm/min、粘着シートへの切り込み量60μmの条件で、チップサイズ1mm×1mmとなるようダイシングした。
ダイシング後、以下の評価基準で評価した。
【0071】
評価基準
○:チップが全て半導体加工用粘着シート上に残っている
×:チップが1つ以上飛んだ
【0072】
(ピックアップ成功率)
以下の2種の方法で評価を行った。
(1)擦り落としによる評価
ダイシング後に紫外線照射(200mJ/cm)し、半導体加工用粘着シートの背面をピンセットで擦り、チップを落とした。
【0073】
(2)超音波による評価
ダイシング後に紫外線照射(200mJ/cm)し、半導体加工用粘着シートの背面を、超音波発振端子をあてて、チップを落とした。
【0074】
得られた結果を、下記表1にまとめて示す。
なお、表中、ブランクは、未使用であることを意味する。
【0075】
【表1】
【0076】
上記表1から、実施例1〜6の半導体加工用粘着シートはいずれも5%モジュラスの値が7.0〜20.0MPaの範囲であり、パッケージフライが発生せず、かつ擦り落としおよび超音波発振端子によるピックアップも良好にできた。
これに対して、比較例1の半導体加工用粘着シートは、エラストマー成分が多く、5%モジュラスの値が小さくなった結果、パッケージフライは発生しなかったものの、特に、擦り落としによるピックアップ時に、半導体加工用粘着シートを擦った力が良好に伝わらず、チップが半導体加工用粘着シート上に残ってしまった。
一方、比較例2の半導体加工用粘着シートは、エラストマー成分が少なく、5%モジュラスの値が小さくなった結果、損失係数が低くなった結果、半導体パッケージへの貼り付き性が悪化し、パッケージフライが発生してしまった。
【0077】
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
【0078】
本願は、2016年3月31日に日本国で特許出願された特願2016−073264に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
【符号の説明】
【0079】
1 基材フィルム
2 粘着剤層
11 ホルダー
12 半導体加工用粘着シート
13 半導体ウェハ
14 半導体チップ
15 実線矢印方向
16 エキスパンダー
17 点線矢印方向
図1
図2
図3
図4
図5