(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
150℃、90分の条件で加熱後の熱抵抗と加熱前の熱抵抗の比(加熱後の熱抵抗/加熱前の熱抵抗)の値が0.5以下、かつ、150℃、90分の条件で加熱後の接着強度/60℃、90分の条件で加熱後の接着強度の値が2.0以上である請求項1記載の熱伝導性シリコーン組成物。
成分(A)の全部又は一部が、成分(E):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び/又は、成分(F):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである請求項1〜4の何れか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物。
発熱性電子部品と、放熱体とを備えている半導体装置であって、前記発熱性電子部品と放熱体との間に、請求項1〜6の何れか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物が介在していることを特徴とする半導体装置。
請求項1〜6の何れか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物を、発熱性電子部品と放熱体との間で、0.01Mpa以上の圧力を掛けられた状態で80℃以上に加熱する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、良好な放熱効果と強い接着強度を有する熱伝導性シリコーン組成物及びこれを有する高信頼性の半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の粒径を持つ銀ナノ粒子及び特定の粉末を特定のオルガノポリシロキサン中に混合することで熱伝導性が飛躍的に向上すると共に接着強度も増すことを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の熱伝導性シリコーン組成物等を提供するものである。
【0006】
[1]
下記の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する熱伝導性シリコーン組成物。
(A)下記平均組成式(1)
R
1aSiO
(4-a)/2 (1)
〔式中、R
1は、水素原子又は炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の一価炭化水素基を示し、aは1.8≦a≦2.2の数である。〕
で表される、25℃における動粘度が10〜100,000mm
2/sのオルガノポリシロキサン。
(B)平均粒径が3〜600nmの銀ナノ粒子
成分(A)100質量部に対して、50〜1700質量部
(C)平均粒径が0.7〜100μmであり、10W/m℃以上の熱伝導率を有する成分(B)以外の熱伝導性充填材
成分(A)100質量部に対して、50〜3000質量部
(D)白金系触媒、有機過酸化物及び縮合反応用触媒からなる群より選択される触媒
触媒量
【0007】
[2]
150℃、90分の条件で加熱後の熱抵抗と加熱前の熱抵抗の比(加熱後の熱抵抗/加熱前の熱抵抗)の値が0.5以下、かつ、150℃、90分の条件で加熱後の接着強度/60℃、90分の条件で加熱後の接着強度の値が2.0以上である[1]記載の熱伝導性シリコーン組成物。
[3]
成分(C)の熱伝導性充填材が、平均粒径が0.7〜20μmの銀粉末である[1]又は[2]記載の熱伝導性シリコーン組成物。
[4]
成分(B)の銀ナノ粒子の質量αと成分(C)の銀粉末の質量βの質量比α/βが0.03〜40である[1]〜[3]の何れか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物。
[5]
成分(C)の銀粉末の、タップ密度が3.0〜7.0g/cm
3であり、比表面積が0.08〜2.0m
2/gである[1]〜[4]の何れか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物。
[6]
成分(A)の全部又は一部が、成分(E):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び/又は、成分(F):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである[1]〜[5]の何れか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【0008】
[7]更に、成分(G)として、下記平均組成式(2)
R
2bSi(OR
3)
4-b (2)
〔式中、R
2は、置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の一価炭化水素基、エポキシ基、アクリル基及びメタクリル基の中から選択される1種又は2種以上の基を示し、R
3は一価炭化水素基を示し、bは1≦b≦3の数である。〕
で表されるオルガノシランを、成分(A)100質量部に対して0.1〜20質量部含む[1]〜[6]の何れか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物。
[8]
発熱性電子部品と、放熱体とを備えている半導体装置であって、前記発熱性電子部品と放熱体との間に、[1]〜[7]の何れか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物が介在していることを特徴とする半導体装置。
[9]
[1]〜[7]の何れか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物を、発熱性電子部品と放熱体との間で、0.01Mpa以上の圧力を掛けられた状態で80℃以上に加熱する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、良好な放熱効果と強い接着強度を有するため、これを用いれば高信頼性の半導体装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物について以下詳述する。
【0012】
成分(A):
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)
R
1aSiO
(4-a)/2 (1)
〔式中、R
1は、水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の一価炭化水素基の群の中から選択される1種若しくは2種以上の基を示し、aは1.8≦a≦2.2である。〕
で表される、25℃における動粘度が10〜100,000mm
2/sのオルガノポリシロキサンである。
【0013】
上記式(1)において、R
1で示される炭素数1〜18の飽和又は不飽和の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。本発明のシリコーン組成物をグリースとして用いる場合、aはシリコーングリース組成物として要求される稠度の観点から1.8〜2.2の範囲がよく、特に1.9〜2.1が好ましい。
また、本発明で使用するオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、10mm
2/sより低いと組成物にした時にオイルブリードが出やすくなるし、100,000mm
2/sより大きくなると組成物にしたときの粘度が高くなることから取り扱いが乏しくなるため、25℃で10〜100,000mm
2/sであることが必要であり、特に30〜10,000mm
2/sであることが好ましい。なお、オルガノポリシロキサンの動粘度はオストワルド粘度計で測定した25℃の値である。
【0014】
成分(E)及び(F):
成分(A)の全部又は一部は、成分(E)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン及び/又は、成分(F)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
【0015】
成分(E)のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンは、一分子中に平均2個以上(通常2〜50個)、好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個程度のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するものである。成分(E)のオルガノポリシロキサンのアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特に、ビニル基が好ましい。成分(E)のアルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖非末のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよい。
【0016】
成分(E)のオルガノポリシロキサンにおいて、アルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、フェニル基が好ましい。
このような成分(E)の分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状等が挙げられるが、基本的に主鎖がジオルガノシロキサン単位(D単位)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサン、直鎖状のジオルガノポリシロキサンと分岐鎖状あるいは三次元網状のオルガノポリシロキサンの混合物が好ましい。
【0017】
成分(F)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一分子中に少なくとも2個(通常、2〜300個)、好ましくは2〜100個程度のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有するものであり、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。成分(F)の水素原子は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖非末端のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよい。
成分(F)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、水素原子以外のケイ素原子に結合した有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられ、就中、メチル基、フェニル基が好ましい。
【0018】
また、成分(A)の一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンと併せて、下記一般式(3)で表される、加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン(成分(H))を配合してもよい。この加水分解性オルガノポリシロキサンの含有量は、成分(A)に対して0.1〜20質量%の量が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0020】
(式(3)中、R
4は炭素数1〜6のアルキル基であり、R
5は、互いに独立に、炭素数1〜18の、飽和または不飽和の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、cは5〜120の数である)
上記式(3)で示されるオルガノポリシロキサンは、シリコーン組成物中に粉末を高充填することを補助する。また、該オルガノポリシロキサンによって粉末の表面を疎水化処理することもできる。
【0021】
上記式(3)中、R
4は、炭素数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好ましい。R
5は、互いに独立に、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の、飽和または不飽和の、非置換または置換の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、及びオクタデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、及びアリル基等のアルケニル基、フェニル基、及びトリル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、及び2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基、又は、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えば、3,3,3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等が挙げられる。この内、特にメチル基が好ましい。上記式(3)中、cは5〜120の整数であり、好ましくは10〜90の整数である。
【0022】
成分(B):
成分(B)は、平均粒径が3〜600nmの銀ナノ粒子である。
成分(B)の銀ナノ粒子の平均粒径は、3nmより小さいと得られる組成物の粘度が上昇してしまい作業性が悪化してしまう。また、600nmより大きいと銀ナノ粒子の熱伝導経路の形成が困難になり、熱伝導性が低下してしまうため、3〜600nmの範囲がよく、好ましくは50〜400nm、より好ましくは100〜350μmである。なお、本発明において、銀ナノ粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率5000倍で600個の粒子の投影径の定方向径を測定することで求めた平均値である。
【0023】
本発明において用いる成分(B)の銀ナノ粒子は、カルボン酸塩の銀塩と脂肪族第一級アミンとを混合し、次いで還元剤を添加して、反応温度20〜80℃で銀ナノ粒子を析出させることにより製造することができる。また、成分(B)の銀ナノ粒子は、公知の銀粉末を使用してもよい。
この銀ナノ粒子は、成分(A)100質量部に対し50質量部より少ないと得られる組成物の熱伝導率が低くなる。1,700質量部より多いと得られる組成物の粘度が上昇してしまい作業性が悪化してしまうため、50〜1,700質量部の範囲であり、好ましくは250〜1,100質量部、より好ましくは400〜800質量部である。
【0024】
成分(C):
成分(C)は、平均粒径が0.7〜100μmであり、10W/m℃以上の熱伝導率を有する成分(B)以外の熱伝導性充填材である。
成分(C)の熱伝導性充填材の平均粒径は、0.7μmより小さいと得られる組成物の熱伝導率が低くなる。また、100μmより大きいと得られる組成物の熱抵抗が高くなり、性能が低下してしまうため、0.7〜100μmの範囲がよく、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1.5〜30μmである。なお、本発明において、熱伝導性充填材の平均粒径は、日装機(株)製マイクロトラックMT330OEXにより測定できる体積基準の体積平均径[MV]である。
【0025】
成分(C)の熱伝導率は、10W/m℃より小さいと組成物の熱伝導率が小さくなるため10W/m℃以上であり、10〜2000W/m℃の範囲がよく、好ましくは100〜2,000W/m℃、より好ましくは200〜2000W/m℃である。なお、本発明において熱伝導性充填材の熱伝導率は、京都電子工業(株)製QTM−500により測定した値である。
【0026】
この熱伝導性充填材は、成分(A)100質量部に対し50質量部より少ないと得られる組成物の熱伝導率が低くなる。3,000質量部より多いと得られる組成物の粘度が上昇してしまい作業性が悪化してしまうため、50〜3,000質量部の範囲であり、好ましくは100〜1,700質量部、より好ましくは200〜1,200質量部である。
【0027】
成分(C)の熱伝導性充填材としては、銀、アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、金、銅、カーボン、ニッケル、インジウム、ガリウム、金属ケイ素等の粉末が挙げられるが、銀粉末が好ましく、特に平均粒径が0.7〜20μmの銀粉末が好ましい。平均粒径が0.7μmより小さいと得られる組成物の熱伝導率が低くなる。また、20μmより大きいと得られる組成物の熱抵抗が高くなり、性能が低下してしまうため、0.7〜20μmの範囲がよく、好ましくは1〜15μm、より好ましくは1.5〜10μmである。なお、本発明において、熱伝導性充填材の平均粒径は、日装機(株)製マイクロトラックMT330OEXにより測定できる体積基準の体積平均径[MV]である。
また、成分(C)の銀粉末は、公知の銀粉末を使用してもよい。銀粉末の形状は、特に限定されず、例えば、球状、粒状、あるいはフレーク状(鱗片状)の銀粉を用いることが可能である。
【0028】
成分(B)の銀ナノ粒子の質量αと成分(C)が銀粉末である場合の銀粉末の質量βの質量比α/βは0.03より小さいと得られる組成物の熱伝導率が低下し、40より大きいと得られる組成物の粘度が上昇してしまい作業性が悪化してしまうため、0.03〜40が好ましく、特に0.1〜10が好ましく、更に0.3〜3の範囲が好ましい。
【0029】
成分(C)の銀粉末は、タップ密度が3.0〜7.0g/cm
3であり、比表面積が0.08〜2.0m
2/gであるものが好ましい。成分(C)の銀粉末のタップ密度は、3.0g/cm
3より小さいと組成物の充填率が上げられなくなり、粘度が上がってしまうことがあるため、作業性が悪くなる虞があり、3.0g/cm
3〜7.0g/cm
3の範囲がよく、好ましくは4.0g/cm
3〜7.0g/cm
3、より好ましくは4.5g/cm
3〜7.0g/cm
3である。
尚、本明細書記載のタップ密度は銀粉末100gをはかり、ロートで100mlメスシリンダーに静かに落とした後、シリンダーをタップ密度測定器にのせて落差距離20mm、60回/分の速さで600回落下させ、圧縮した銀粉の容積を測定した値である。
また、銀粉末の比表面積は、2.0m
2/gより大きいと組成物の充填率が上げられなくなり、粘度が上がってしまい、作業性が悪くなるため0.08m
2/g〜2.0m
2/gの範囲がよく、好ましくは0.08m
2/g〜1.5m
2/g、より好ましくは0.08m
2/g〜1.0m
2/gである。比表面積は銀粉約2gをサンプルにとり、60±5℃で10分間脱ガスした後、比表面積自動測定装置(BET法)にて総表面積を測定した。その後、サンプル量をはかり、下記式(4)で計算し、算出したものである。
比表面積(m
2/g)=総表面積(m
2)/サンプル量(g) (4)
【0030】
また、成分(C)の熱伝導性充填材は必要によりオルガノシラン、オルガノシラザン、オルガノポリシロキサン、有機フッ素化合物等で疎水化処理を施しても良い。疎水化処理法としては、一般公知の方法でよく、例えばアルミニウム粉末とオルガノシランあるいはその部分加水分解物をトリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(何れも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機にて混合する方法が挙げられる。この際、必要ならば50〜100℃に加熱しても良い。尚、混合にはトルエン、キシレン、石油エーテル、ミネラルスピリット、イソパラフィン、イソプロピルアルコール、エタノール等の溶剤を用いてもよく、その場合は混合後溶剤を真空装置など用いて除去することが好ましい。また、希釈溶剤として本発明の液体成分である成分(A)のオルガノポリシロキサンを使用することも可能である。この場合予め処理剤であるオルガノシランあるいはその部分加水分解物をオルガノポリシロキサンと混合し、そこに熱伝導性充填材を加えて処理と混合を同時に行うことができる。
この方法で製造された組成物も又本発明の範囲内である。
【0031】
また、本発明の熱伝導性シリコーン組成物は成分(B)及び(C)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、無機化合物粉末及び/又は有機化合物材料を含有せしめても良い。該無機化合物粉末は、熱伝導率の高いものが好ましく、例えばアルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末、酸化マグネシウム粉末、アルミナ粉末、水酸化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、ダイヤモンド粉末、金粉末、銅粉末、カーボン粉末、ニッケル粉末、インジウム粉末、ガリウム粉末、金属ケイ素粉末、二酸化ケイ素粉末の中から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。有機化合物材料も、熱伝導率の高いものが好ましく、例えば、炭素繊維、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボン材料の中から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。これら無機化合物粉末と有機化合物材料の表面は、必要に応じてオルガノシラン、オルガノシラザン、オルガノポリシロキサン、有機フッ素化合物等で疎水化処理を施してもよい。無機化合物粉末と有機化合物材料の平均粒径は、組成物の充填率が上げるため、0.5〜100μmの範囲が好ま しく、特に好ましくは1〜50μmの範囲である。また、炭素繊維の繊維長は10μmより小さくても500μmより大きくても得られるグリース組成物の充填率が上がらなくなるため、10〜500μmの範囲が好ましく、特に好ましくは30〜300μmの範囲である。無機化合物粉末と有機化合物材料の配合量は、成分(A)100質量部対して3,000質量部より大きくなると流動性が悪くなり取り扱いが悪くなるため0.1〜3,000質量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜2,000質量部である。
【0032】
成分(D):
成分(D)は、白金系触媒、有機過酸化物及び縮合反応用触媒からなる群より選択される触媒であり、本発明組成物は、該触媒を配合することにより、硬化性の組成物とすることができる。
本発明組成物がヒドロシリル化反応により硬化する場合には、成分(A)として成分(E)及び成分(F)と、白金系触媒を添加する。成分(F)の配合量は、成分(E)のアルケニル基1モルに対して成分(F)のケイ素原子結合水素原子が0.1〜15.0モルの範囲内となる量とすることが好ましく、さらに、0.1〜10.0モルの範囲内となる量とすることが好ましく、特に、0.1〜5.0モルの範囲内となる量とすることが好ましい。
白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体が挙げられる。
本発明組成物において、白金系触媒の含有量は、本発明組成物の硬化に必要な量、所謂触媒量であり、具体的には、(A)成分に対して本成分中の白金金属が質量単位で0.1〜2,000ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特に、0.1〜1,500ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
【0033】
また、本発明組成物の硬化速度を調節し、取扱作業性を向上させるため、2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエン−イン化合物;その他、ヒドラジン系化合物、フォスフィン系化合物、メルカプタン系化合物等の硬化反応抑制剤を含有することができる。この硬化反応抑制剤の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して0.0001〜1.0質量部の範囲内とすることが好ましい。
【0034】
一方、本発明組成物が有機過酸化物によるフリーラジカル反応により硬化する場合には、硬化触媒は有機過酸化物を用いることが好ましい。この有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ(p−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(o−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエートが挙げられる。この有機過酸化物の含有量は、本発明組成物の硬化に必要な量であり、具体的には、(A)成分100質量部に対して0.1〜8質量部の範囲内とすることが好ましい。
【0035】
また、本発明組成物を縮合反応により硬化させる場合には、組成物中に、硬化剤として、一分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合加水分解性基を有するシランもしくはシロキサンオリゴマー、および硬化触媒として縮合反応用触媒を含有せしめることが好ましい。ここで、ケイ素原子結合加水分解性基としては、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基が例示される。また、このシランのケイ素原子には上記の加水分解性基以外に、例えば、前記と同様の直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基が結合していてもよい。このようなシランもしくはシロキサンオリゴマーとしては、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルオルソシリケート、ビニルトリ(イソプロぺノキシ)シランが挙げられる。
このシランもしくはシロキサンオリゴマーの含有量は、本発明組成物の硬化に必要な量であり、具体的には、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲内が好ましく、特に、0.1〜10質量部の範囲内が好ましい。
【0036】
また、縮合反応用触媒は任意の成分であり、例えば、アミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等の加水分解性基を有するシランを硬化剤として用いる場合には必須ではない。このような縮合反応用触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシビス(アセチルアセテート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等の有機チタンキレート化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラブチレート等の有機ジルコニウム化合物;ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ブチルスズ−2−エチルヘキソエート等の有機スズ化合物;ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;ヘキシルアミン、燐酸ドデシルアミン等のアミン化合物、およびその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩;酢酸カリウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;グアニジル基含有有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0037】
本発明組成物において、この縮合反応用触媒の含有量は任意量であり、配合する場合は、具体的には、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲内とすることが好ましく、特に、0.1〜10質量部の範囲内とすることが好ましい。
【0038】
成分(G):
更に、本発明組成物には、成分(G)として、下記一般式(2)
R
2bSi(OR
3)
4-b (2)
〔式中、R
2は、置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の一価炭化水素基、エポキシ基、アクリル基及びメタクリル基の中から選択される1種又は2種以上の基を示し、R
3は一価炭化水素基を示し、bは1≦b≦3である。〕
で表されるオルガノシランを配合してもよい。
【0039】
上記一般式(2)のR
2の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等のアルキル基;シクロアルキルアルケニル基、アクリル基、エポキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロヘキシル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基、3.3.3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基等が挙げられる。一価炭化水素基の置換基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。また、bは1〜3の数である。R
3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6の1種若しくは2種以上のアルキル基が挙げられ、特にメチル基、エチル基が好ましい。
【0040】
成分(G)の一般式(2)で表されるオルガノシランの具体例としては、下記のものを挙げることができる。
C
10H
21Si(OCH
3)
3、
C
12H
25Si(OCH
3)
3、
C
12H
25Si(OC
2H
5)
3、
C
10H
21Si(CH
3)(OCH
3)
2、
C
10H
21Si(C
6H
6)(OCH
3)
2、
C
10H
21Si(CH
3)(OC
2H
5)
2、
C
10H
21Si(CH=CH
2)(OCH
3)
2、
C
10H
21Si(CH
2CH
2CF
3)(OCH
3)
2、
CH
2=C(CH
3)COOC
8H
16Si(OCH
3)
3 。
このオルガノシランを添加する場合には、成分(A)100質量部に対し0.1〜20質量部の範囲で添加するのが良く、より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0041】
本発明のシリコーン組成物の製造方法は、従来公知のシリコーングリース組成物の製造方法に従えばよく、特に制限されるものでない。例えば、上記(A)〜(D)成分、並びに必要に応じてその他の成分を、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(いずれも井上製作所(株)製混合機、登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機、登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機、登録商標)等の混合機にて30分〜4時間混合することにより製造することができる。また、必要に応じて、50〜200℃の範囲の温度で加熱しながら混合してもよい。
【0042】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は次の2つの特長を有する。
1. 150℃での加熱硬化後に得られるシリコーン組成物の熱抵抗と加熱硬化前の熱抵抗の比(加熱後の熱抵抗/加熱前の熱抵抗)の値が0.5以下である。
この値は、好ましくは、0.3以下である。この値は小さいほどよいが、事実上の下限は0.01である。
加熱後の熱抵抗は、好ましくは5.0mm
2・K/W以下、より好ましくは3.5mm
2・K/W以下、さらに好ましくは2.5mm
2・K/W以下、特に好ましくは2.0mm
2・K/W以下である。
加熱前の熱抵抗は、好ましくは50mm
2・K/W以下、より好ましくは25mm
2・K/W以下、さらに好ましくは20mm
2・K/W以下、特に好ましくは15mm
2・K/W以下である。
熱抵抗は、次の方法で測定したものである。
φ12.7mmのアルミニウム板2枚の間に、各組成物を挟み込み、0.14Mpaの圧力を掛けられた状態で、室温で15分放置して、試験片を作製し、加熱前の熱抵抗を測定する。更に、その後0.35Mpaの圧力を掛けられた状態で150℃のオーブンに90分間装入して各組成物を加熱硬化させ、試験片を作製し、加熱後の熱抵抗を測定する。
【0043】
2. 熱伝導性シリコーン組成物をシリコンウエハに貼りつけた後に測定した接着強度に関して、150℃で加熱硬化させた後の接着強度と60℃で加熱硬化させた後の接着強度の比の値が2.0以上である。好ましくは、4.0以上である。
80℃以上の温度で加熱後の接着強度は、好ましくは5.0kgf/cm
2以上、より好ましくは8.0kgf/cm
2以上、さらに好ましくは10.0kgf/cm
2以上、特に好ましくは15.0kgf/cm
2以上である。
80℃未満の温度で加熱後の接着強度は、好ましくは0.5kgf/cm
2以上、より好ましくは1.0kgf/cm
2以上、さらに好ましくは2.0kgf/cm
2以上、特に好ましくは2.5kgf/cm
2以上である。
接着強度は、次の方法で測定したものである。
各組成物を1mm×1mmのシリコンウェハと2.5mm×2.5mmのシリコンウェハに挟み込み1.8kgfのクリップによって加圧しながら60℃にて90分間加熱し、接着強度を測定する。更に、各組成物を1mm×1mmのシリコンウェハと2.5mm×2.5mmのシリコンウェハに挟み込み1.8kgfのクリップによって加圧しながら150℃にて90分間加熱し、接着強度を測定する。
【0044】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の使用方法
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、加熱硬化させ使用する。
加熱温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90〜300℃、更に好ましくは100〜300℃、特に好ましくは120〜300℃である。80℃以上であると、銀ナノ粒子、及び銀粉が熱伝導経路を効率的に形成し、熱伝導性が向上する。また、300℃以下であると、熱伝導性シリコーン組成物を適度な硬さにすることが可能である。
【0045】
加熱時間は、好ましくは1分以上、より好ましくは10〜300分、更に好ましくは30〜300分、特に好ましくは60〜300分である。1分以上であると、銀ナノ粒子、及び銀粉が熱伝導経路を形成し、熱伝導性が向上する。また、300分以下であると、熱伝導性シリコーン組成物を適度な硬さにすることが可能である。
また、加熱の際に圧力を加えても良い。圧力は好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.05〜100MPa、更に好ましくは0.1〜100MPaである。
【0046】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、25℃にて測定される絶対粘度が10〜600Pa・s、好ましくは15〜500Pa・s、更には15〜400Pa・sであるものが好ましい。絶対粘度が上記範囲内であることにより良好なグリースを提供でき、また作業性にも優れる。該絶対粘度は、各成分を上述した配合量で調整することにより得ることができる。上記絶対粘度は、株式会社マルコム社製の型番PC−1TL(10rpm)を用いて測定した結果である。
【0047】
半導体装置:
本発明の半導体装置は、発熱性電子部品の表面と放熱体との間に、本発明の熱伝導性シリコーン組成物が介在することを特徴とする。本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、10〜200umの厚さで介在させることが好ましい。
代表的な構造を
図1に示すが本発明はこれに限定されるものではない。本発明の熱伝導性シリコーングリースは、
図1の3に示すものである。
【0048】
本発明の半導体装置を製造するには、本発明の熱伝導性シリコーン組成物を、発熱性電子部品と放熱体との間で、0.01Mpa以上の圧力を掛けられた状態で80℃以上に加熱する方法が好ましい。この際、掛ける圧力は、0.01Mpa以上が好ましく、特に0.05Mpa〜100Mpaが好ましく、更に0.1MPa〜100Mpaが好ましい。加熱する温度は、80℃以上が必要である。好ましくは、90℃〜300℃であり、より好ましくは100℃〜300℃であり、更に好ましくは120℃〜300℃である。
上記のようにして得られる熱伝導性シリコーン硬化物の性状は限定されないが、例えば、ゲル状、低硬度のゴム状、あるいは高硬度のゴム状が挙げられる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の効果をより明確にする目的で、実施例及び比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
本発明に関わる効果に関する試験は次のように行った。
〔粘度〕
グリース組成物の絶対粘度は、マルコム粘度計(タイプPC−1TL)を用いて25℃で測定した。
【0050】
〔熱抵抗測定〕
φ12.7mmのアルミニウム板2枚の間に、各組成物を挟み込み、0.14Mpaの圧力を掛けられた状態で、室温で15分放置して、試験片を作製し、加熱前の熱抵抗を測定した。更に、その後0.35Mpaの圧力を掛けられた状態で150℃のオーブンに90分間装入して各組成物を加熱硬化させ、試験片を作製し、加熱後の熱抵抗を測定した。なお、この熱抵抗測定はナノフラッシュ(ニッチェ社製、LFA447)により行った。
【0051】
〔圧縮時の最小厚み(BLT)測定〕
φ12.7mmで厚さがアルミニウム板2枚の厚みを測定し、その後、0.14Mpaの圧力を掛けられた状態で、室温で15分放置して、BLT測定用の試験片を作製し、加熱前の試験片の厚みを測定した。更に、その後0.35Mpaの圧力を掛けられた状態で150℃のオーブンに90分間装入して各組成物を加熱硬化させ、試験片を作製し、加熱後の厚みを測定した。BLTは下記式(5)で計算し、算出したものである。
【0052】
BLT(μm)
=試験片の厚み(μm)−使用したアルミニウム板2枚の厚み(μm) (5)
【0053】
なお、厚みの測定はデジマチック標準外側マイクロメータ((株)ミツトヨ社製、MDC−25MX)により行った。
【0054】
〔接着強度〕
各組成物を1mm×1mmのシリコンウェハと2.5mm×2.5mmのシリコンウェハに挟み込み1.8kgfのクリップによって加圧しながら60℃にて90分間加熱し、接着強度を測定した。更に、各組成物を1mm×1mmのシリコンウェハと2.5mm×2.5mmのシリコンウェハに挟み込み1.8kgfのクリップによって加圧しながら150℃にて90分間加熱し、接着強度を測定した。なお、接着強度の測定はDage Deutchland GmbH製Dage series−4000PXYにより行った。
【0055】
組成物を形成する各成分を次に示す。
成分(A)
A−1:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が600mm
2/sのジメチルポリシロキサン。
A−2:下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン。
【0056】
【化2】
【0057】
A−3:両末端が水酸基で封鎖され、25℃における動粘度が5000mm
2/sのジメチルポリシロキサン。
【0058】
成分(B)
B−1:平均粒径が350nmの銀ナノ粒子。
B−2:平均粒径が100nmの銀ナノ粒子。
B−3:平均粒径が600nmの銀ナノ粒子。
B−4(比較例):平均粒径が0.5nmの銀ナノ粒子。
B−5(比較例):平均粒径が650nmの銀ナノ粒子。
【0059】
成分(C)
C−1:平均粒径が2.5μm、タップ密度が5.0g/cm
3、比表面積が0.80m
2/g、のフレーク状銀粉末。
C−2:平均粒径が3.5μm、タップ密度が6.2g/cm
3、比表面積が0.48m
2/gのフレーク状銀粉末。
C−3:平均粒径が1.0μm、タップ密度が5.4g/cm
3、比表面積が0.87m
2/gの球状銀粉末。
C−4:平均粒径が20μm、熱伝導率230W/m℃、タップ密度が1.5g/cm
3、比表面積が0.3m
2/gのアルミニウム粉末。
C−5(比較例):平均粒径が110μm、熱伝導率230W/m℃、タップ密度が2.0g/cm
3、比表面積が0.12m
2/gのアルミニウム粉末。
【0060】
成分(D)
D−1(白金触媒):白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のA−1溶液、白金原子として1wt%含有。
D−2(有機過酸化物):パーオキサイド。日本油脂(株)製の商品名パーヘキサC。
D−3(縮合反応用触媒):テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン。
【0061】
成分(G)
G−1:下記式で表されるオルガノシラン。
【0062】
【化3】
【0063】
成分(H)硬化反応抑制剤
H−1:1−エチニル−1−シクロヘキサノール。
【0064】
成分(I)硬化剤
I−1:ビニルトリ(イソプロピノキシ)シラン。
【0065】
実施例1〜15および比較例1〜7
下記表1〜3に示す組成で、次のように混合して実施例1〜15および比較例1〜7
の組成物を得た。
即ち、5リットルプラネタリーミキサー(井上製作所(株)社製)に成分(A)及び(G)を取り、成分(B)、及び(C)を加え25℃で1.5時間混合した。次に成分(D)、(H)又は(I)を加えて均一になるように混合した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】