特許第6607365号(P6607365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6607365固体試料の水分測定装置、固体試料の水分含量測定方法、及びイミド化率分析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607365
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】固体試料の水分測定装置、固体試料の水分含量測定方法、及びイミド化率分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   G01N27/22 B
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-519875(P2018-519875)
(86)(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公表番号】特表2018-533730(P2018-533730A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】KR2017004478
(87)【国際公開番号】WO2017188746
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2018年5月10日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0051682
(32)【優先日】2016年4月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ス ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒエ スン
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−140591(JP,A)
【文献】 特開2002−286595(JP,A)
【文献】 特開2000−298126(JP,A)
【文献】 特開平09−316199(JP,A)
【文献】 特開平07−043268(JP,A)
【文献】 特開平07−043269(JP,A)
【文献】 特開2001−188053(JP,A)
【文献】 特開平07−043267(JP,A)
【文献】 米国特許第05340541(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/10
G01N 27/14−27/24
G01N 1/00− 1/44
G01N 31/00−31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体試料が導入される導入部、
前記固体試料が固定され、前記固体試料を加熱及び冷却させるファーネス部、
前記導入部と前記ファーネス部との間でシーリングされたO−リング部、
前記ファーネス部に形成された水分移送管路と連結され、前記固体試料から蒸発した水分の供給を受けて断続する三方バルブ(Three Way Valve)、及び
前記三方バルブに形成された計量移送管路を通して移送された水分を用いて前記固体試料の検出水分含量を測定するカール・フィッシャー(Karl−Fischer)部を含み、
前記O−リング部は、前記O−リング部の外部に位置して前記O−リング部を冷却させるO−リング冷却部を含む、
固体試料の水分測定装置であって、
前記ファーネス部は、
前記固体試料を固定する本体、
前記本体の外部に位置し、前記本体を加熱する加熱部、及び
前記本体の外部に位置し、前記本体を冷却させる冷却部を含み、
前記三方バルブは、
前記ファーネス部に固定された前記固体試料から蒸発した水分が移送される水分移送バルブ、
前記ファーネス部から供給された水分が外部に移送されるパージバルブ、
前記ファーネス部から供給された水分が前記カール・フィッシャー部に移送される計量バルブ、および
前記加熱部及び前記本体を冷却させる前記冷却部を制御して前記ファーネス部の臨界温度を制御し、前記三方バルブを制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記加熱部の温度を第1臨界温度、第2臨界温度及び第3臨界温度のいずれか一つの温度に設定して前記ファーネス部を加熱させ、
前記本体を冷却させる前記冷却部の温度を基準温度及び前記第1臨界温度のいずれか一つの温度に設定して前記ファーネス部を冷却させ、
前記ファーネス部が前記第1臨界温度まで加熱されるか、または前記第3臨界温度以上に加熱された時、パージバルブをオン、計量バルブをオフに制御し、
前記ファーネス部が前記第2臨界温度及び前記第3臨界温度まで加熱された時、パージバルブをオフ、計量バルブをオンに制御し、
前記第1臨界温度は30℃〜60℃、前記第2臨界温度は130℃〜200℃、前記第3臨界温度は400℃〜500℃である、
固体試料の水分測定装置
【請求項2】
前記ファーネス部は、
水分移送ガスが供給される水分移送ガス管路を含み、
前記水分移送ガスは前記固体試料から蒸発した水分を前記三方バルブに移送させる、
請求項に記載の固体試料の水分測定装置。
【請求項3】
前記水分移送ガス管路は、水分トラップ部が含まれて、前記水分移送ガスに含まれた水分が除去される、
請求項に記載の固体試料の水分測定装置。
【請求項4】
前記本体を冷却させる前記冷却部及び前記O−リング冷却部は、
水冷式及び空冷式のいずれか一つ以上を用いて前記本体及び前記O−リング部を冷却させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の固体試料の水分測定装置。
【請求項5】
固体試料を準備するステップ、
前記固体試料をファーネス部の本体に固定し、前記本体を加熱するステップ、
前記固体試料から蒸発した水分が三方バルブに移送され、前記蒸発した水分が外部またはカール・フィッシャー部に移送されるステップ、
前記本体を冷却させるステップ、及び
前記カール・フィッシャー部に移送された水分を通じて前記固体試料の検出水分含量を測定するステップを含み、
前記本体を冷却させるステップは、
導入部と前記本体との間に位置するO−リング部を冷却させる、
固体試料の水分含量測定方法であって、
前記本体を加熱するステップは、
前記本体を基準温度から第1臨界温度まで加熱するステップ、
前記第1臨界温度から第2臨界温度まで加熱するステップ、及び
前記第2臨界温度から第3臨界温度まで加熱するステップを含み、
前記蒸発した水分が外部またはカール・フィッシャー部に移送されるステップは、
前記本体が前記第1臨界温度である時、制御部は前記三方バルブのうちパージバルブをオン、計量バルブをオフに制御して、前記蒸発した水分が外部に移送されるステップ、
前記本体が前記第2臨界温度である時、前記制御部は前記パージバルブをオフ、前記計量バルブをオンに制御して、前記蒸発した水分が前記カール・フィッシャー部に移送されるステップ、
前記本体が前記第3臨界温度である時、前記制御部は前記パージバルブをオフ、前記計量バルブをオンに制御して、前記蒸発した水分が前記カール・フィッシャー部に移送されるステップ、及び
前記本体が前記第3臨界温度以上である時、前記制御部は前記パージバルブをオン、前記計量バルブをオフに制御して、前記蒸発した水分が外部に移送されるステップを含み、
前記第1臨界温度は30℃〜60℃、前記第2臨界温度は130℃〜200℃、前記第3臨界温度は400℃〜500℃である、
固体試料の水分含量測定方法
【請求項6】
前記本体を冷却させるステップは、
前記本体の外部に位置する冷却部に気体及び液体のいずれか一つが流入され、前記基準温度及び前記第1臨界温度のいずれか一つの温度に冷却させる、
請求項に記載の固体試料の水分含量測定方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の固体試料の水分含量測定方法により測定された検出水分含量を用いて前記固体試料のイミド化率を分析するステップをさらに含む、
固体試料のイミド化率分析方法。
【請求項8】
前記イミド化率を分析するステップは、
前記本体が前記第2臨界温度及び前記第3臨界温度のいずれか一つ以上である時に蒸発した検出水分含量を用いてイミド化率を分析する、
請求項に記載の固体試料のイミド化率分析方法。
【請求項9】
前記イミド化率を分析するステップは、
下記数学式に基づいて決定される変数に相応するように前記イミド化率が演算される、
請求項またはに記載の固体試料のイミド化率分析方法。
[式1]
【数1】
ここで、DIはイミド化率、
H2Oは検出水分含量(g)、
H2Oはユニット当たりに蒸発するHOのmol、
PIは固体試料中のポリイミド質量(g)、
MWPIはポリイミドユニットの分子量
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は2016年04月27日付韓国特許庁に出願された韓国特許出願第10−2016−0051682号に基づいた優先権の利益を主張し、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、固体試料の水分測定装置、固体試料の水分含量測定方法、及びイミド化率分析方法に関し、より具体的には、固体試料のイミド化率分析方法において、固体試料の水分含量のみを選択的に検出することができるカール・フィッシャー(Karl−Fischer)装置を用いて特定温度で固体試料の水分含量を検出し、検出した水分含量を用いて固体試料のイミド化率を演算する固体試料の水分測定装置、固体試料の水分含量測定方法、及びイミド化率分析方法に関する。
【0003】
また、本発明は、ファーネス部の温度を高温まで昇温して固体試料に含まれた正確な水分含量を測定することができ、O−リング部のみを冷却させる冷却部を別に形成して、高温でのO−リング部の変質を防止する固体試料の水分測定装置、固体試料の水分含量測定方法、及びイミド化率分析方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ポリイミドフィルムは、芳香族ジアミンと芳香族二無水物で合成された高分子であって、優れた絶縁特性、耐熱性、耐候性を有する非結晶高分子である。よって、金属より遥かに軽く且つ強い機械的特性と低い熱膨張性を有することにより、航空宇宙分野、自動車、接着及びコーティング、電子材料として広範囲の産業分野で用いられている。
【0005】
ポリイミドフィルムは前駆体であるポリアミック酸状態で熱処理を通じてイミド化して製造されるが、実際の工程でイミド化度を制御するには困難があり、前駆体であるポリアミック酸がイミドフィルムに残留するようになる。
【0006】
よって、ポリアミック酸のイミド化率を糾明するために温度と時間に応じたイミド化に関する研究が行われてきており、イミド化過程内で残留溶媒に対する研究も行われてきた。
【0007】
イミド化率を糾明する方法としてはFT−IR法とEGA−MS法があり、FR−IR法は、各温度でイミド化反応が起こる時に蒸発する水とDAMcを除去してポリアミドフィルムを蒸発し、ポリアミドフィルムの特性化ピークを確認してイミド化度を決める方法である。
【0008】
また、EGA−MS法は、ポリアミック酸からポリイミドに硬化する時、副産物として蒸発する水分の含量を測定してイミド化率を計算する方法である。
【0009】
しかし、FT−IR法は、相対イミド化率を計算する方法として、ポリアミック酸の硬化度が100%でない場合にイミド化度の結果値が正確ではないという問題があり、EAG−MS法は、測定可能な固体試料の量が約10〜30mg範囲であるという点で固体試料を取り扱い難いという問題がある。
【0010】
なお、二つの方法の両方とも固体試料を高温まで加熱する場合、固体試料を固定する固定部の入口にシーリングされたシーリング剤の模様が変形して、固体試料を加熱するファーネスの温度を維持できないという問題がある。
【0011】
それと共に、EGC−MS分析法は、一定の温度区間でパージした後、次の温度区間で蒸発した水分を捕集して固体試料の水分含量及びイミド化率を測定することができるプログラム及び装置が含まれていないという問題がある。よって、低温区間で蒸発する水分値をイミド化率の計算時に引かなければならないという問題が発生する。
【0012】
よって、本発明者らは、従来の固体試料のイミド化率測定方法より改良して固体詩料を高温まで加熱することができる固体試料の水分測定装置を考案するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した問題を解決するために導き出されたものであり、固体試料を加熱及び冷却させる固体試料硬化部と固体試料の加熱時に蒸発する水分含量を測定するカール・フィッシャー装置を結合して、測定可能な固体試料の量に制約がなく、固体試料表面に含まれる水分を水分測定及びイミド化率の測定時に自動で除去する固体試料の水分測定装置を提供する。
【0014】
また、固体試料が硬化する時に発生する水分を用いてイミド化率を分析することにより絶対イミド化率を計算することができ、硬化度が100%でない場合にも正確なイミド化率の値を分析することができる固体試料の水分含量測定方法、及びイミド化率分析方法を提供する。
【0015】
なお、固体試料を加熱または冷却できるファーネス部の内部温度を維持するためにシーリングされたO−リング部の周辺にO−リング冷却部を位置させることによって高温でO−リング部の形態または性質が変形するのを防止することができ、固体試料の加熱時に高温まで昇温可能な固体試料の水分測定装置、固体試料の水分含量測定方法、及びイミド化率分析方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような課題を解決するために、本発明に係る固体試料の水分測定装置は、固体試料が導入される導入部、前記固体試料が固定され、前記固体試料を加熱及び冷却させるファーネス部、前記導入部と前記ファーネス部との間でシーリングされたO−リング部、前記ファーネス部に形成された水分移送管路と連結され、前記固体試料から蒸発した水分の供給を受けて断続する三方バルブ(Three Way Valve)、及び前記三方バルブに形成された計量移送管路を通して移送された水分を用いて前記固体試料の検出水分含量を測定するカール・フィッシャー(Karl−Fischer)部を含み、前記O−リング部は、前記O−リング部の外部に位置して前記O−リング部を冷却させるO−リング冷却部を含むことを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記ファーネス部は、前記固体試料を固定する本体、前記本体の外部に位置し、前記本体を加熱する加熱部、及び前記本体の外部に位置し、前記本体を冷却させる冷却部を含むことを特徴とする。
【0018】
好ましくは、前記ファーネス部は水分移送ガスが供給される水分移送ガス管路を含み、前記水分移送ガスは前記固体試料から蒸発した水分を前記三方バルブに移送させることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記水分移送ガス管路は、水分トラップ部が含まれて、前記水分移送ガスに含まれた水分が除去されることを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記冷却部及び前記O−リング冷却部は、水冷式及び空冷式のいずれか一つ以上を用いて前記本体及び前記O−リング部を冷却させることを特徴とする。
【0021】
好ましくは、前記三方バルブは、前記ファーネス部に固定された前記固体試料から蒸発した水分が移送される水分移送バルブ、前記ファーネス部から供給された水分が外部に移送されるパージバルブ、及び前記ファーネス部から供給された水分が前記カール・フィッシャー部に移送される計量バルブを含むことを特徴とする。
【0022】
好ましくは、前記固体試料の水分測定装置は、前記加熱部及び前記冷却部を制御して前記ファーネス部の臨界温度を制御し、前記三方バルブを制御する制御部をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
好ましくは、前記制御部は、前記加熱部の温度を第1臨界温度、第2臨界温度及び第3臨界温度のいずれか一つ以上の温度に設定して前記ファーネス部を加熱させ、前記冷却部の温度を基準温度及び第1臨界温度のいずれか一つ以上の温度に設定して前記ファーネス部を冷却させることを特徴とする。
【0024】
好ましくは、前記制御部は、前記ファーネス部が前記第1臨界温度まで加熱されるか、または前記第3臨界温度以上に加熱された時、パージバルブをオン、計量バルブをオフに制御し、前記ファーネス部が前記第2臨界温度及び前記第3臨界温度まで加熱された時、パージバルブをオフ、計量バルブをオンに制御することを特徴とする。
【0025】
本発明に係る固体試料の水分含量測定方法は、固体試料を準備するステップ、前記固体試料をファーネス部の本体に固定し、前記本体を加熱するステップ、前記固体試料から蒸発した水分が三方バルブに移送され、前記蒸発した水分が外部またはカール・フィッシャー部に移送されるステップ、前記本体を冷却させるステップ、及び前記カール・フィッシャー部に移送された水分を通じて前記固体試料の検出水分含量を測定するステップを含み、前記本体を冷却させるステップは、導入部と前記本体との間に位置するO−リング部を冷却させることを特徴とする。
【0026】
好ましくは、前記本体を加熱するステップは、前記本体を基準温度から第1臨界温度まで加熱するステップ、第1臨界温度から第2臨界温度まで加熱するステップ、及び第2臨界温度から第3臨界温度まで加熱するステップを含むことを特徴とする。
【0027】
好ましくは、前記蒸発した水分が外部またはカール・フィッシャー部に移送されるステップは、前記本体が第1臨界温度である時、制御部は三方バルブのうちパージバルブをオン、計量バルブをオフに制御して、前記蒸発した水分が外部に移送されるステップ、前記本体が第2臨界温度である時、前記制御部は前記パージバルブをオフ、前記計量バルブをオンに制御して、前記蒸発した水分が前記カール・フィッシャー部に移送されるステップ、前記本体が第3臨界温度である時、前記制御部は前記パージバルブをオフ、前記計量バルブをオンに制御して、前記蒸発した水分が前記カール・フィッシャー部に移送されるステップ、及び前記本体が第3臨界温度以上である時、前記制御部は前記パージバルブをオン、前記計量バルブをオフに制御して、前記蒸発した水分が外部に移送されるステップを含むことを特徴とする。
【0028】
好ましくは、前記本体を冷却させるステップは、前記本体の外部に位置する冷却部に気体及び液体のいずれか一つ以上が流入され、基準温度及び第1臨界温度のいずれか一つ以上の温度に冷却させるステップを含むことを特徴とする。
【0029】
本発明に係る固体試料のイミド化率分析方法は、前記検出水分含量を用いて前記固体試料のイミド化率を分析するステップをさらに含んでもよい。
【0030】
好ましくは、前記イミド化率を分析するステップは、前記本体が第2臨界温度及び第3臨界温度のいずれか一つ以上である時に蒸発した検出水分含量を用いてイミド化率を分析することを特徴とする。
【0031】
好ましくは、前記イミド化率を分析するステップは、下記数学式に基づいて決定される変数に相応するように前記イミド化率が演算されることを特徴とする。
[式1]
【数1】
ここで、DIはイミド化率、WH2Oは検出水分含量(g)、MH2Oはユニット当たりに蒸発するHOのmol、WPIは固体試料中のポリイミド質量(g)、MWPIはポリイミドユニットの分子量、Wsampleは測定固体試料の質量(g)
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る固体試料の水分測定装置、固体試料の水分含量測定方法、及びイミド化率分析方法は、固体試料を加熱及び冷却させる固体試料硬化部と固体試料の加熱時に発生する水分含量を測定するカール・フィッシャー装置を結合して、測定可能な固体試料の量に制約がなく、固体試料表面に含まれている水分を外部にパージさせてイミド化率の測定時に自動で除外できるという効果がある。
【0033】
また、固体試料が硬化する時に発生する水分を用いてイミド化率を分析することによって絶対イミド化率を計算することができ、硬化度が100%でない場合にも正確なイミド化率の値を分析できるという効果がある。
【0034】
なお、固体試料を加熱または冷却できるファーネス部の内部温度を維持するためにシーリングされたO−リング部の周辺にO−リング冷却部を位置させることによって高温でO−リング部の形態または性質が変形するのを防止することができ、固体試料の加熱時に高温まで昇温可能な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】固体試料の水分測定装置の構造を示す正面図である。
図2】固体試料加熱部の構造を示す平面図である。
図3】導入部、ファーネス部、O−リング部及び三方バルブの連結関係を示す構造図である。
図4】固体試料量に応じた固体試料の水分検出含量の測定結果を示す検量線(calibration curve)グラフである。
図5】実施例に応じた温度別イミド化率の実験結果を示すグラフである。図5の(a)はPI film 1の実験結果であり、図5の(b)はPI film 2の結果であり、図5の(c)はPI film 3の結果である。図5の(d)はPI film 1〜3の温度別イミド化率グラフを比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施例による固体試料の水分測定装置、固体試料の水分含量測定方法、及びイミド化率分析方法の好ましい実施例を添付図面を参照して説明する。この過程で、図面に示された線の厚さや構成要素の大きさ等は説明の明瞭性と便宜のために誇張して図示されることがある。また、後述する用語は本発明での機能を考慮して定義された用語であって、これは使用者、運用者の意図または慣例に応じて異なる。よって、このような用語に対する定義は本明細書の全般にわたった内容に基づいて記述されなければならない。
【0037】
図1は固体試料の水分測定装置100の構造を示す正面図であり、図2は固体試料硬化部(図示せず)の構造を示す平面図であり、図3は導入部10、ファーネス部20、O−リング部30及び三方バルブ40の連結関係を示す構造図である。
【0038】
図1に示された固体試料の水分測定装置100は、大きく、固体試料硬化部及びカール・フィッシャー部50を含む構造であって、固体試料硬化部によって固体試料の硬化時に発生する水分を蒸発させ、移動管を通して蒸発した水分をカール・フィッシャー部50に移動させて固体試料の検出水分含量を測定する装置である。
【0039】
図2を参照すれば、固体試料硬化部は、固体試料が導入される導入部10、固体試料が固定され、固体試料を加熱及び冷却させるファーネス部20、導入部10とファーネス部20との間でシーリングされたO−リング部30、ファーネス部20に形成された水分移送管路と連結され、固体試料から蒸発した水分の供給を受けて断続する三方バルブ(Three Way Valve)40、加熱部22及び冷却部23を制御してファーネス部20の臨界温度を制御し、三方バルブ40を制御する制御部60、一つ以上の電気コネクターが含まれた端子台(図示せず)及び電力調節器(図示せず)を含むことができる。さらに、O−リング部30は、O−リング部30の外部に位置して、O−リング部30を冷却させるO−リング冷却部31を含むことができる。
【0040】
図3を参照すれば、導入部10は、ファーネス部20の入口の役割をし、開閉装置が形成されていてもよい。さらに、導入部10は従来の公知の技術を使用するので、それに関する詳細な説明は省略する。
【0041】
そして、ファーネス部20は、固体試料を固定する本体21、本体21の外部に位置し、本体21を加熱する加熱部22、及び本体21の外部に位置し、本体21を冷却させる冷却部23を含むことができる。本体21の大きさは、固体試料が固定されるトレイを収容できる程度の大きさに形成されることに留意する。よって、測定可能な固体試料の量に制約なしに固体試料の水分を測定できるという効果がある。
【0042】
なお、加熱部22は外部から電気または熱を受けて加熱される加熱体または加熱されたガス/液体が管を通して流入されて本体21を加熱させる加熱管によって加熱されてもよいが、ファーネス部20を加熱できる他の加熱方法に代替されてもよく、これに限定されるものではない。
【0043】
さらに、冷却部23は水冷式及び空冷式のいずれか一つ以上を用いて本体21を冷却することができる。すなわち、ファーネス部20は冷却液体流入管、冷却気体流入管及び廃冷却媒体排出管を含むことができ、冷却液体流入管を通して冷却液体が流入される場合には水冷式、冷却気体流入管を通して冷却気体が流入される場合には空冷式、冷却液体流入管及び冷却気体流入管を通して冷却液体及び冷却気体が流入される場合には水冷式と空冷式が併合になった混合式によってファーネス部20を冷却させることができる。この時、廃冷却液体及び廃冷却気体は廃冷却媒体排出管を通して外部に排出されることができる。
【0044】
ここで、冷却液体は蒸留水、冷却気体は窒素からなることが好ましいが、ファーネス部20を冷却できる他の液体及び気体に代替されてもよく、これらに限定されるものではない。
【0045】
さらに、空冷式と水冷式が併合になった混合式によってファーネス部20を冷却する場合、自然冷却、水冷式または空冷式より速い時間内にファーネス部20の温度を目標温度まで冷却させることができる。
【0046】
例えば、自然冷却、空冷式、水冷式、及び空冷式と水冷式が併合になった方法の冷却時間を測定した時、450℃から50℃に冷却されるのに、自然冷却は80分〜100分、空冷式は50分〜70分、水冷式は20分〜40分、併合になった方法は3分〜6分に測定された。併合になった方法は、自然冷却より冷却時間を約15倍以上短縮し、水冷式より冷却時間を約5倍以上短縮したことを確認することができる。
【0047】
また、ファーネス部20は水分移送ガスが供給される水分移送ガス管路24を含み、水分移送ガスは固体試料から蒸発した水分を三方バルブ40に移送させることができる。さらに、固体試料から蒸発した水分のみを移送させるために、水分移送ガスは無水条件を満たさなければならず、よって、水分移送ガス管路24は水分トラップ部(図示せず)が含まれていてもよいことに留意する。水分トラップ部は水分移送ガスに含まれた水分を除去する役割をする。
【0048】
次に、O−リング部30は、導入部10とファーネス部20との隙間を充填または挿入して水密性及び気密性を高める構成であり、合成樹脂、油性コーキング、シリコン及びゴムのいずれか一つ以上の組成物からなってもよいが、類似した機能を遂行できる他の組成物に代替されてもよく、これらに限定されるものではない。
【0049】
なお、O−リング部30はO−リング冷却部31を含んでおり、O−リング冷却部31は、O−リング部30の周辺に形成された空間に位置して、冷却液体流入管及び冷却気体流入管に流入される冷却液体及び気体を用いてO−リング部30を水冷式及び空冷式のいずれか一つ以上を用いて冷却させることができる。また、O−リング部30を冷却させた冷却液体及び気体は廃冷却媒体排出管を通して外部に排出されることができる。冷却液体流入管、冷却気体流入管及び廃冷却媒体排出管は分離バルブを含んでおり、流入される冷却液体及び気体を冷却部23とO−リング冷却部31に分離して流入できることに留意する。
【0050】
さらに、O−リング部30の外部に空間を形成してO−リング冷却部31が構成されることにより、固体試料を硬化するためにファーネス部20が加熱される時、200℃〜500℃の高温でのO−リング部30の変形を防止することができ、固体試料を200℃以上の高温で硬化させることができ、よって、固体試料の硬化時に発生する水分を最大限に検出できるという効果がある。
【0051】
次に、三方バルブ40は、外部にエアー貯蔵部(図示せず)及びエアー供給部(図示せず)が位置して、外部から流入されるエアーをエアー貯蔵部に貯蔵した後、三方バルブ40に移送された水分が外部またはカール・フィッシャー部50に移送されるためにエアー供給部は三方バルブ40にエアーを供給することによって、水分移送の動力を提供することができる。
【0052】
なお、水分移送エアーは無水条件を満たさなければならないということで、エアー貯蔵部及びエアー供給部のいずれか一つ以上には水分を除去するトラップ部が含まれる。
【0053】
さらに、三方バルブ40は、ファーネス部20に固定された固体試料から発生した水分が移送される水分移送バルブ41、ファーネス部20から供給された水分が外部に移送されるパージバルブ42、及びファーネス部20から供給された水分がカール・フィッシャー部50に移送される計量バルブ43を含むことができる。
【0054】
固体試料硬化部の外部に位置したカール・フィッシャー部50は、三方バルブ40に形成された計量移送管路を通して移送された水分を用いて固体試料の検出水分含量を測定することができる。また、カール・フィッシャー部50を用いて固体試料の検出水分含量を測定する技術は従来の公知の技術を使用するので、それに関する詳細な説明は省略する。
【0055】
制御部60は、加熱部22の温度を第1臨界温度、第2臨界温度及び第3臨界温度のいずれか一つ以上の温度に設定してファーネス部20を加熱させ、冷却部23の温度を基準温度及び第1臨界温度のいずれか一つ以上の温度に設定してファーネス部20を冷却させることができる。また、制御部60は、第1臨界温度、第2臨界温度及び第3臨界温度のいずれか一つ以上の温度において三方バルブ40をオン/オフに制御することができる。
【0056】
より詳細には、ファーネス部20が第1臨界温度まで加熱されるか、または第3臨界温度以上に加熱された時、パージバルブ42をオン、計量バルブ43をオフに制御し、ファーネス部20が第2臨界温度及び第3臨界温度まで加熱された時、パージバルブ42をオフ、計量バルブ43をオンに制御することができる。
【0057】
この時、低温部である常温から第1臨界温度区間で発生する水分を外部に蒸発させることにより、カール・フィッシャー部50において固体試料の水分含量を測定する時、固体試料表面に含まれる水分含量を除外できるという効果がある。
【0058】
なお、ファーネス部20の内部に形成された温度測定装置はファーネス部20の温度に対するデータを制御部60に送信し、制御部60は受信したデータによりファーネス部20の温度及び三方バルブ40を制御することができる。
【0059】
さらに、加熱部22、冷却部23及び三方バルブ40を制御するために表示部をさらに含むことができ、表示部を介してファーネス部20の温度及び三方バルブ40のオン/オフ温度を設定することができる。
【0060】
ここで、臨界温度は第1〜第3臨界温度に限定されず、第4、第5〜第N(Nは自然数)臨界温度に設定できることに留意する。
【0061】
端子台及び電力調節器は従来の公知の技術を使用するので、それに関する詳細な説明は省略する。
【0062】
本発明は、演算部(図示せず)をさらに含むことができ、自動で固体試料のイミド化率を測定できる固体試料のイミド化率測定装置に適用されることができる。より詳細には、固体試料の水分測定装置100により検出された固体試料の検出水分含量に対するデータを演算部に送信し、データを受信した演算部において固体試料のイミド化率を計算することができる。
【0063】
固体試料の水分測定時、ファーネス部20を第1臨界温度まで加熱させた時に蒸発する水分を外部にパージさせることにより、固体試料表面に含まれた水分を外部に蒸発させて、固体試料の水分測定及びイミド化率の測定時に誤差値を減少する。また、イミド化率の計算時、常温から第1臨界温度まで加熱する区間で蒸発した固体試料の水分含量をイミド化率の計算時に演算部を介して除外させなければならない煩わしさを減少させることができる。
【0064】
本発明の係る固体試料の水分含量測定方法は、固体試料を準備するステップ(S101)、固体試料をファーネス部の本体21に固定し、本体21を加熱するステップ(S201)、固体試料から蒸発した水分が三方バルブ40に移送され、蒸発した水分が外部またはカール・フィッシャー部50に移送されるステップ(S301)、本体21を冷却させるステップ(S401)、及びカール・フィッシャー部50に移送された水分を通じて固体試料の検出水分含量を測定するステップ(S501)を含むことができ、本体21を冷却させるステップ(S401)は導入部10と本体21との間に位置するO−リング部30を冷却できることに留意する。
【0065】
固体試料を準備するステップ(S101)は、水分を含んでいて加熱により水分が蒸発するか、加熱によりイミド化になりうる固体試料を準備するステップである。ここで、固体試料は当分野で使用する固体試料を含む限り、特に制限されない。
【0066】
本体21を加熱するステップ(S201)は、本体21を基準温度から第1臨界温度まで加熱するステップ(S211)、第1臨界温度から第2臨界温度まで加熱するステップ(S221)、及び第2臨界温度から第3臨界温度まで加熱するステップ(S231)をさらに含むことができる。
【0067】
この時、第1臨界温度は30℃〜60℃であることが好ましく、第2臨界温度は130℃〜200℃、第3臨界温度は400℃〜500℃であることが好ましい。
【0068】
また、3分〜8分間基準温度から第1臨界温度まで昇温し、10分〜20分間第1臨界温度から第2臨界温度まで昇温し、30分〜40分間第2臨界温度から第3臨界温度まで昇温できることに留意する。
【0069】
蒸発した水分が外部またはカール・フィッシャー部50に移送されるステップ(S301)は、本体21が第1臨界温度である時、制御部60は三方バルブ40のうちパージバルブ42をオン、計量バルブ43をオフに制御して、蒸発した水分が外部に移送されるステップ(S311)、本体21が第2臨界温度である時、制御部60はパージバルブ42をオフ、計量バルブ43をオンに制御して、蒸発した水分がカール・フィッシャー部50に移送されるステップ(S321)、本体21が第3臨界温度である時、制御部60はパージバルブ42をオフ、計量バルブ43をオンに制御して、蒸発した水分がカール・フィッシャー部50に移送されるステップ(S331)、及び本体21が第3臨界温度以上である時、制御部60はパージバルブ42をオン、計量バルブ43をオフに制御して、蒸発した水分が外部に移送されるステップ(S341)をさらに含むことができる。
【0070】
この時、本体21が第1臨界温度である時、制御部60は三方バルブ40のうちパージバルブ42をオン、計量バルブ43をオフに制御して、蒸発した水分が外部に移送されるステップ(s311)によって、固体試料表面に含まれた水分を外部に蒸発させて、固体試料の水分測定及びイミド化率の測定時に誤差値を減少させることができる。
【0071】
さらに、水分移送ガス管路24を通して供給される水分移送ガスの流量は10mL/min〜300mL/minに設定できることに留意する。
【0072】
本体21を冷却させるステップ(S401)は、本体21の外部に位置する冷却部23に気体及び液体のいずれか一つ以上が流入され、基準温度及び第1臨界温度のいずれか一つ以上の温度に冷却させることができる。
【0073】
本発明に係る固体試料のイミド化率分析方法は、前記固体試料の水分含量測定方法により測定された検出水分含量を用いて固体試料のイミド化率を分析するステップ(S501)を含むことができる。
【0074】
固体試料のイミド化率を分析するステップ(S501)は、本体21が第2臨界温度及び第3臨界温度のいずれか一つ以上である時に蒸発した検出水分含量を用いてイミド化率を分析し、下記数学式に基づいて決定される変数に相応するように前記イミド化率が演算される。
[式1]
【数2】
ここで、DIはイミド化率、WH2Oは検出水分含量(g)、MH2Oはユニット当たりに蒸発するHOのmol、WPIは固体試料中のポリイミド質量(g)、MWPIはポリイミドユニットの分子量、Wsampleは測定固体試料の質量(g)
【0075】
<実験例1:固体試料の気泡発生原因の分析>
【0076】
サンルーフ用LCフィルムの気泡発生原因を分析した。気泡発生原因の分析実験は、LCフィルムを基材別に分類した後、各々の基材を高温に加熱する時に発生する水分量を測定する方法によって行った。
【0077】
この時、各々の基材の水分量を測定する装置としては固体試料の水分測定装置を用いた。
【0078】
より詳しくは、ファーネス部の本体21に各々の基材を固定した後、本体21の温度を50℃まで加熱した。この時、基材から蒸発した水分は外部にパージした。
【0079】
次に、本体を50℃から120℃まで加熱した後、120℃の温度を1時間維持した。この時、発生した水分はカール・フィッシャー部50に移送させて基材の検出水分含量を測定した。
【0080】
各々の基材から検出された検出水分含量の測定結果は以下の表のとおりである。
【表1】
【0081】
LCフィルム基材中、「偏光板基材1及び2」が最も多い水分含量が測定され、よって、LCフィルムの気泡発生原因になりうることを意味する。
【0082】
LCフィルム基材中、「LC cell用基材:COP 1及びCOP 2フィルム」の水分含量は0.05%以下として最も低い値が検出された。
【0083】
<実験例2:固体試料量に応じた水分検出含量の測定>
【0084】
ファーネス部20は1% K/F oven standard(Na2WO4 2H2O)を使用し、水分移送ガス(He)の流量は100mL/minに設定した。
【0085】
実験方法は、10℃/minの速度で25℃から50℃まで昇温した後、この時に蒸発した水分は外部にパージした。
【0086】
10℃/minの速度で50℃から450℃まで昇温し、この時に蒸発した水分はカール・フィッシャー部50に移送して固体試料の水分検出量を測定した。
【0087】
450℃以上で発生する水分は外部にパージされることに留意する。
【0088】
固体試料の重さは11.8、20.5、31、58、102、401及び704mgに設定し、各々固体試料量に応じて実験を行った。
【0089】
試料量に応じた水分検出量の測定実験結果は以下の表のとおりである。
【表2】
【0090】
図4を参照すれば、実験例1のように標準品をK/F oven standardを用いて硬化させた結果、標準品の含量に比例して水分検出量が増加するのを確認することができる。これは、K/F oven standardを使用する場合、固体試料の硬化時に発生する水分の量を最大限に検出することができ、よって、数学式1によって分析されるイミド化率の誤差範囲が最小になることを意味する。
【0091】
<実施例1>
【0092】
ポリアクリルアミドを加熱してポリイミドフィルムを生成し、ポリイミドフィルムの硬化時に発生する水分を検出するために、臨界温度別の水分検出含量及びイミド化率を測定した実験を行った。
【0093】
固体試料のイミド化率分析方法により実験を行い、ファーネス部20はHYDRANAL−Coulomat AG−Oven(Sigma−Aldrich、CN:34739−500ML−R)を使用し、Extraction timeは300s、Start drift値は20μg/min未満、Stop timeはオフに設定した。この時、Start drift値は10μg/minを維持することが好ましいということに留意する。
【0094】
制御部60の臨界温度の設定は50℃、200℃、250℃、300℃、350℃及び450℃に設定した。ポリアクリルアミド表面及びファーネス部20に含まれている水分を蒸発させるために、常温から50まで昇温する過程で発生する水分は外部にパージさせることに留意する。
【0095】
温度別の水分含量及びイミド化率の測定は2回ずつ実施してイミド化率の平均を測定した。
【0096】
実施例1 BPDA−PDA PI film 1の固体試料重合構造、及びBPDA−PDA PI film 1の重合時、温度別に発生する水分含量及びイミド化率は以下のとおりである。PI film 1は、MWpaaが402.36であり、MWPIは366.34であることに留意する。
【化1】
【表3】
【0097】
<実施例2>
【0098】
実施例1と同様の条件で実験を行い、実施例2 BPDA/ODPA−PDA/ODA PI film 2の固体試料重合構造、及びBPDA/ODPA−PDA/ODA PI film 2の重合時、温度別に発生する水分含量及びイミド化率は以下のとおりである。PI film 2は、MWpaaが912.82であり、MWPIは840.76であることに留意する。
【化2】
【表4】
【0099】
<実施例3>
【0100】
実施例1と同様の条件で実験を行い、実施例3 ODPA−ODA PI film 3の固体試料重合構造、及びODPA−ODA PI film 3の重合時、温度別に発生する水分含量及びイミド化率は以下のとおりである。PI film 3は、MWpaaが510.46であり、MWPIは474.43であることに留意する。
【化3】
【表5】
【0101】
<具体的な検討>
【0102】
図5を参照すれば、図5の(a)はPI film 1の実験結果であり、図5の(b)はPI film 2の結果であり、図5の(c)はPI film 3の結果である。実験例2のように、水分含量が低く、ポリアクリルアミド(PAA)及びポリイミド(PI)の分子量が低いほど、イミド化率が増加するのを確認することができる。
【0103】
また、図5の(d)はPI film 1〜3の温度別のイミド化率グラフを比較したグラフであり、200℃で最も多い水分が発生し、温度が増加するほど、水分含量が減少することにより、イミド化率が増加するのを確認することができる。
【0104】
なお、PI film 1〜3は温度が増加するに伴ってイミド化率の数値の差が減少し、450℃の温度ではイミド化率の数値の差が最も小さいのを確認することができる。
【0105】
上記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当業界で通常の知識を有した者であれば、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域を逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることを理解することができるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5