特許第6607402号(P6607402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6607402自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートおよび自己温度調整型樹脂抵抗体シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607402
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートおよび自己温度調整型樹脂抵抗体シート
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/04 20060101AFI20191111BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20191111BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20191111BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20191111BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20191111BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20191111BHJP
   C08K 3/28 20060101ALI20191111BHJP
   H01C 7/02 20060101ALI20191111BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20191111BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   C08J7/04 DCER
   C08J7/04CEZ
   C08L63/00 Z
   C08L79/08 Z
   C08K7/00
   C08K3/08
   C08K3/04
   C08K3/28
   H01C7/02
   B32B27/18 J
   B32B27/20 Z
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-112676(P2016-112676)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-218488(P2017-218488A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2018年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】向井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】二木 昌次
【審査官】 安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−000680(JP,A)
【文献】 特表2014−534987(JP,A)
【文献】 特開2017−220517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/00−7/02、7/12−7/18
B29C 71/04
B32B 1/00−43/00
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
H01C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の少なくとも一方の表面に、未硬化の樹脂が含まれる未硬化樹脂粘着物と導電性物質と前記導電性物質のトリップ状態における再凝集を抑制する無機フィラーを含む自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物を備え、
前記未硬化樹脂粘着物が、
未硬化の熱硬化型樹脂、前記熱硬化型樹脂を有機溶剤に溶かした粘着物、ガラス転移点が250度以上の熱可塑性樹脂を有機溶剤に溶かした粘着物、前記熱硬化型樹脂と前記熱可塑性樹脂の混合物を有機溶剤に溶かした粘着物のいずれかであり、
前記無機フィラーが板状粉末で、
前記無機フィラーの含有率が、前記自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物の硬化物である自己温度調整型樹脂抵抗体の体積に対し、3〜20体積%含まれ、
前記導電性物質が導電性粉末であり、
前記導電性粉末が、金属粉末を含み、前記金属粉末が、粒径0.1〜10μmの一次粒子が凝集した粒度分布d50が5〜60μmの二次粒子からなることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シート。
【請求項2】
前記導電性物質が、前記自己温度調整型樹脂抵抗体の体積に対し、5〜20体積%となるような含有率で、前記自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物に含まれていれることを特徴とする請求項1に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シート。
【請求項3】
前記無機フィラーが、窒化ホウ素又はベントナイト、マイカ、カオリンから選ばれる1種の層状粘土鉱物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シート。
【請求項4】
前記未硬化樹脂粘着物に含まれる樹脂が、
熱硬化性樹脂であればエポキシ樹脂であり、
熱可塑性樹脂であればポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シート。
【請求項5】
前記導電性粉末に金属粉末が含まれる場合、前記金属粉末は、ニッケル粉末、ニッケル系合金粉末、ニッケル系コート粉末のいずれかであることを特徴とする請求項に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シート。
【請求項6】
前記導電性粉末に非金属粉末が含まれる場合、前記非金属粉末は、カーボンブラック粉末、窒化チタン粉末、窒化ジルコニウム粉末からなる群から選択された少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シート。
【請求項7】
基材と、
前記基材の少なくとも一方の表面に、樹脂に導電性物質と前記導電性物質のトリップ状態における再凝集を抑制する無機フィラーが分散したPTC特性を有する自己温度調整型樹脂抵抗体を備え、
前記樹脂が、熱硬化型樹脂、ガラス転移点が250℃以上の熱可塑性樹脂、前記熱硬化樹脂と熱可塑性樹脂の混合物のいずれかで、
前記自己温度調整型抵抗体の体積の3〜20体積%の板状粉末の無機フィラーと、5〜20体積%の導電性物質を含まれ、前記導電性物質が導電性粉末であり、前記導電性粉末が、金属粉末を含み、前記金属粉末が、粒径0.1〜10μmの一次粒子が凝集した粒度分布d50が5〜60μmの二次粒子からなることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体シート。
【請求項8】
前記無機フィラーが、窒化ホウ素、或いはベントナイト、マイカ、カオリンから選ばれた少なくとも1種の層状粘土鉱物であることを特徴とする請求項に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体シート。
【請求項9】
前記樹脂が、
熱硬化性樹脂であればエポキシ樹脂であり、
熱可塑性樹脂であればポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂
であることを特徴とする請求項7又は8に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体シート。
【請求項10】
前記導電性粉末が金属粉末を含む場合、前記金属粉末は、ニッケル粉末、ニッケル系合金粉末、ニッケル系コート粉末のいずれかであることを特徴とする請求項に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体シート。
【請求項11】
前記導電性粉末が非金属粉末を含む場合、前記非金属粉末は、カーボンブラック粉末、窒化チタン粉末、窒化ジルコニウム粉末からなる群から選択された少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体シート。
【請求項12】
温度上昇による抵抗値上昇の割合が変化する自己調整温度が、150℃以上であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の自己温度調整型樹脂抵抗体シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己温度調整型樹脂抵抗体を通電による発熱の温度上昇や雰囲気の温度上昇させた場合の抵抗値上昇の割合の変化が始まる温度(以下、自己調整温度ともいう)が、150℃以上にある自己温度調整型樹脂抵抗体シートに関し、また、その自己温度調整型樹脂抵抗体シートを形成する為の自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンやポリプロピレン等の有機ポリマーにカーボンブラックや金属粉等の導電性物質を分散させた導電性組成物は、その抵抗値が温度とともに変化し、抵抗値が上昇するというPTC(positive temperature coefficient)特性を有することが知られている。このような組成物が、特許文献1に開示されている。
【0003】
このようなPTC特性を有する素子(以下、PTC素子と呼ぶ)は、PTC素子に過剰電流が流れることで、そのPTC素子の温度自体がある温度T(変曲点)に達した場合、又は機器の環境温度が上昇し、PTC素子の温度がTに達した場合、PTC素子は急激に高抵抗(トリップ状態)となることにより、素子に流れる電流を遮断することにより、PTC素子が組み込まれた電気回路を保護する、保護回路として用いられている。
【0004】
PTC特性を利用することによって、導電性組成物が設定(材料設計)温度を保持する機能を有し、自己温度制御ヒーターとしてリボン状やフィルム状のフレキシブルヒーターとして様々なメーカーで製品化、市販されている。
【0005】
ところで、変曲点Tより高温のトリップ状態では、ポリマーが軟化や膨張し導電物質が動き抵抗値が上昇する。そして、PTC素子の温度が変曲点より低下すると、ポリマーの軟化や膨張が解消し、導電物質が再凝集するので抵抗値が低下する。また、PTC素子によっては、変曲点を150℃以上に設定することが必要な場合もある。
そこで、150℃以上の高い温度で動作するPTC抵抗体として非熱可塑性ポリイミドと導電性粉末からなる温度自己制御性成形体の技術が特許文献2に開示されている。しかし、特許文献2に開示された技術では、ポリイミド樹脂の分子を変化させて、変曲点を制御しているので、変曲点を想定する際の設計の自由度が低い問題がある。
【0006】
また、チタン酸バリウムのキューリー点での抵抗値変化特性を用いたセラミックスヒーターで同様な特性を持つ製品が販売されている。しかし、セラミックヒーターでは、自己温度調整型樹脂抵抗体の形状を自由に選択することが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭55−012683号公報
【特許文献2】特開2006−173586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、150℃以上の高温のトリップ状態では、ポリマーが軟化し導電物質が動きやすくなり、再凝集による抵抗値の減少などの変化を起こすために、安定したPTC特性を発現する有機樹脂組成物が得られにくいとの問題がある。しかも、変曲点が150℃以上で動作する自己温度調整型樹脂抵抗体では、分子設計をする必要がある。
【0009】
以上の状況に鑑み、本発明は、樹脂、導電性粉末、無機フィラーの3種類の材料、組成を適正化することにより150〜300℃の温度領域で自己温調機能を有する薄膜を形成するための自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートを提供すると共に、その形成用組成物シートを用いた自己温度調整型樹脂抵抗体シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の発明は、前記基材の少なくとも一方の表面に、未硬化の樹脂が含まれる未硬化樹脂粘着物と導電性物質と前記導電性物質のトリップ状態における再凝集を抑制する無機フィラーを含む自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物を備え、前記未硬化樹脂粘着物が、未硬化の熱硬化型樹脂、前記熱硬化型樹脂を有機溶剤に溶かした粘着物、ガラス転移点が250度以上の熱可塑性樹脂を有機溶剤に溶かした粘着物、前記熱硬化型樹脂と前記熱可塑性樹脂の混合物を有機溶剤に溶かした粘着物のいずれかであり、前記無機フィラーが板状粉末で、前記無機フィラーの含有率が、前記自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物の硬化物である自己温度調整型樹脂抵抗体の体積に対し、3〜20体積%含まれ、前記導電性物質が導電性粉末であり、前記導電性粉末が、金属粉末を含み、前記金属粉末が、粒径0.1〜10μmの一次粒子が凝集した粒度分布d50が5〜60μmの二次粒子からなることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートである。
【0011】
本発明の第2の発明は、第1の発明における導電性物質が、自己温度調整型樹脂抵抗体の体積に対し、5〜20体積%含まれることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートである。
【0012】
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明における無機フィラーが、窒化ホウ素又はベントナイト、マイカ、カオリンから選ばれる1種の層状粘土鉱物であることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートである。
【0013】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明における未硬化樹脂粘着物に含まれる樹脂が、熱硬化性樹脂であればエポキシ樹脂であり、熱可塑性樹脂であればポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートである。
【0014】
本発明の第6の発明は、第3の発明における導電性粉末に金属粉末が含まれる場合、その金属粉末は、ニッケル粉末、ニッケル系合金粉末、ニッケル系コート粉末のいずれかであることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートである。
【0015】
本発明の第7の発明は、第3の発明における導電性粉末に非金属粉末が含まれる場合、その非金属粉末は、カーボンブラック粉末、窒化チタン粉末、窒化ジルコニウム粉末からなる群から選択された少なくとも1種の粉末であることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートである。
【0016】
本発明の第8の発明は、基材と、前記基材の少なくとも一方の表面に、樹脂に導電性物質と前記導電性物質のトリップ状態における再凝集を抑制する無機フィラーが分散したPTC特性を有する自己温度調整型樹脂抵抗体を備え、前記樹脂が、熱硬化型樹脂、ガラス転移点が250℃以上の熱可塑性樹脂、前記熱硬化樹脂と熱可塑性樹脂の混合物のいずれかで、前記自己温度調整型抵抗体の体積の3〜20体積%の板状粉末の無機フィラーと、5〜20体積%の導電性物質を含まれ、前記導電性物質が導電性粉末であり、前記導電性粉末が、金属粉末を含み、前記金属粉末が、粒径0.1〜10μmの一次粒子が凝集した粒度分布d50が5〜60μmの二次粒子からなることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体シートである。
【0017】
本発明の第10の発明は、第8及び第9の発明における無機フィラーが、窒化ホウ素、或いはベントナイト、マイカ、カオリンから選ばれた少なくとも1種の層状粘土鉱物であることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体シートである。
【0018】
本発明の第11の発明は、第8〜第10の発明における樹脂が、熱硬化性樹脂であればエポキシ樹脂であり、熱可塑性樹脂であればポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体シートである。
【0019】
本発明の第12の発明は、第9の発明における導電性粉末が金属粉末を含む場合、その金属粉末は、ニッケル粉末、ニッケル系合金粉末、ニッケル系コート粉末のいずれかであることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体シートである。
【0020】
本発明の第13の発明は、第9の発明における導電性粉末が非金属粉末を含む場合、その非金属粉末は、カーボンブラック粉末、窒化チタン粉末、窒化ジルコニウム粉末からなる群から選択された少なくとも1種の粉末であることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体シートである。
【0021】
本発明の第14の発明は、第8〜第13の発明における温度上昇による抵抗値上昇の割合が変化する自己調整温度が、150℃以上であることを特徴とする自己温度調整型樹脂抵抗体シートである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、樹脂の選択と、導電性粉末と無機フィラーの含有率を選択することで、150℃〜300℃の温度範囲で自己調整温度を制御できる自己温度調整型樹脂抵抗体シートを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例1に係る自己温度調整型樹脂抵抗体の「電気抵抗−温度特性」を示し、自己温度調整温度の評価方法を表す図である。
図2】実施例2に係る「電気抵抗−温度特性」を示す図である。
図3】実施例3に係る「電気抵抗−温度特性」を示す図である。
図4】比較例1に係る「電気抵抗−温度特性」を示す図である。
図5】比較例5に係る「電気抵抗−温度特性」を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明では、自己温度調整型樹脂抵抗体を得るのに際し、エポキシ、ポリアミドイミド、ポリイミドの3種類樹脂の単一組成、或いは混合物の有機ポリマーにカーボンブラックや金属粉等の導電性物質を分散させて導電性組成物を形成することを必要とし、その電気特性の改善物質として、さらに板状結晶や板状形態の無機フィラーを、導電性物質の含有量を考慮して調整した所定量を添加して導電性組成物を形成することによって、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートを作製することにより、自己温度調整型樹脂抵抗体シートを作製するものである。
【0025】
自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートは、基材の少なくとも一方の表面に未硬化の樹脂が含まれる未硬化樹脂粘着物と導電性粉末などの導電性物質を含む自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物を備えられている。
一方、自己温度調整型樹脂抵抗体シートは、基材の少なくとも一方の表面に自己温度調整型樹脂抵抗体が備えられているものである。
本発明に係る自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートを説明する為に、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物と自己温度調整型樹脂抵抗体を説明する。
【0026】
自己温度調整型樹脂抵抗体に含まれる板状結晶や板状形態の無機フィラーの添加による電気特性の改善効果の発現機構に関しては、導電性物質間に均一に板状の無機フィラーが存在することにより、導電性物質のトリップ状態における再凝集を抑制する効果が考えられる。
【0027】
[無機フィラー]
用いる無機フィラーとしては、板状結晶や板状形態のものであればよく、窒化ホウ素が特に望ましいが、層状粘土鉱物も好ましい。その層状粘土鉱物としては、ベントナイト、マイカ、カオリンが挙げられる。
また、有機修飾物を有する粘土鉱物の有機ベントナイトも有益である。
【0028】
これらの無機フィラーは層状粘土鉱物も含めて板状粉末であり、本発明に係る自己温度調整型樹脂抵抗体では、この板状粉末の無機フィラーが、抵抗体中に略一方向に配向して分散している。そのため、自己温度調整型樹脂抵抗体が発熱したり、自己温度調整型樹脂抵抗体が熱に曝された際の熱膨張の仕方には、その配向方向が影響する。
そこで、板状の無機フィラーの配向方向の影響と、樹脂の選択により、自己調整温度を150℃以上とすることができる。
【0029】
使用する無機フィラーに窒化ホウ素粉末を用いる場合、その粒度分布はd50で0.01μm〜20μmが望ましい。一方、窒化ホウ素粉末の平均粒子径が20μmを上回ると、PTC特性の効果が得られにくくなる。ここで粒度分布d50とは、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布のメジアン値である。
また、層状粘土鉱物の粒径は、長軸方向で2μm以下である。
【0030】
本発明に係る自己温度調整型樹脂抵抗体は、無機フィラーの含有率により自己調整温度を調整している。
無機フィラーの含有率が多くなると自己調整温度は上昇する傾向があるが、自己温度調整型樹脂抵抗体に無機フィラーが20体積%を超えて含有されると、自己温度調整型樹脂抵抗体の抵抗値が10Ωを越え、高すぎてPTC素子を形成することができない。一方、無機フィラーの含有率が3体積%未満では、自己調整温度は確認されるが、自己調整温度を越えた温度に抵抗値のピークをもち、ピーク温度より高温側では抵抗値が低下するのでPTC素子として機能しなくなる。
【0031】
[導電性物質]
本発明は導電性物質を含むが、特に導電性粉末は自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物内での分散しやすく好適である。
【0032】
(導電性粉末)
その導電性粉末は、金属粉末又は非金属粉末、或いはその両者から構成されていても良い。その導電性粉末の含有率は、自己温度調整型樹脂抵抗体に5〜20体積%含まれることが望ましい。
導電性粉末の含有率が5体積%未満では、150℃以上の温度に自己調整温度を生じるが、温度上昇に対する抵抗値上昇の割合が変化する温度から40℃の温度範囲で、抵抗値が4倍に上昇することはなく、PTC素子として機能しない。また、導電性粉末の含有率が5体積%未満であると、得られる抵抗値は10Ωを越え、高すぎてPTC素子として機能しなくなる。
一方、導電性粉末が20体積%を超えて含有する場合も150℃以上の温度に自己調整温度を生じるが、温度上昇に対する抵抗値上昇の割合が変化する温度から40℃の温度範囲で、抵抗値が4倍に上昇することはなく、PTC素子として機能しない。
【0033】
<金属粉末>
この導電性粉末に金属粉末を用いる場合、ニッケル粉末、銅粉末、白金粉末、銀粉末、コバルト粉末、ニッケル系合金粉末、銀系合金粉末、或いはニッケル系コート粉末を用いることができる。特に、ニッケル粉末、ニッケル系合金粉末、ニッケル系コート粉末が望ましい。
ニッケル系合金粉末としては、ニッケル−クロム合金、ニッケル−銅合金を用いることができる。銀合金としては銀−パラジウム合金を用いることができる。
【0034】
用いる金属粉末の粒径は、一次粒子で0.1μm〜10μmであり、特に一次粒子の粒径が0.1μm〜3μmが好ましい。さらには、金属粉末は、一次粒子が凝集した二次粒子を形成していることが望ましく、その一次粒子が凝集した二次粒子の金属粉末を用いる場合、二次粒子の粒度分布d50は5μm〜60μmが望ましく、二次粒子の粒径が60μmを超えると、抵抗体中での金属粉末の分散が不十分となり、抵抗値が高くなりすぎる場合や自己調整温度を発現しないことがある。一方、二次粒子の粒径が5μm未満では、金属粉末の凝集が少ないために絡み合う箇所が減少し、樹脂との混練後の抵抗値が高くなることがある。
【0035】
一次粒子の粒径は、凝集している個々の粒子の粒径のことであり、SEM観察によって測定する。またSEM像を画像解析して平均値の粒径を算出して粒径としてもよい。さらに、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布から求めても良い。
【0036】
<非金属粉末>
導電性粉末には、これまで述べてきた金属粉末の他に、カーボンブラック、窒化チタン、窒化ジルコニウムなどの非導電性のある金属粉末も好適に使用することができる。
【0037】
非金属粉末は、粒度分布d50が0.005〜100μmのものを用いることが好ましく、特に粒度分布d50で0.01μm〜60μmのものを用いることが特に好ましい。
その粒度分布d50が0.005μm未満では混合が困難となり、100μmを上回るとかえって抵抗が高くなることがある。
【0038】
[樹脂]
自己温度調整型樹脂抵抗体に用いられる樹脂は、熱硬化型樹脂又はガラス転移点が250℃以上の熱可塑性樹脂、或いはその両者で構成される混合物を用いる。
熱硬化型樹脂は、ガラス転移点を超える温度に曝されても、熱分解等するまでは軟化することなく、形状を維持できる。そのような熱硬化型樹脂には、耐熱性等の観点からエポキシ樹脂が好ましい。また、エポキシ樹脂のガラス転移点は、自己調整温度より高温での抵抗値変化から適宜選択できる。
【0039】
<エポキシ樹脂>
そのエポキシ樹脂として、例えば各種ビスフェノール型エポキシ、各種フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンと各種フェノール類とを反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物、ノボラック変性等ナフタレン骨格から誘導された変性エポキシ、フルオレン骨格のフェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂等の公知の芳香族エポキシ樹脂等が挙げられる。また、脂環式エポキシ樹脂、ヘテロ環含有の公知のエポキシ樹脂の使用が可能である。
【0040】
また、併用する硬化剤にはアミン系化合物、アミド系化合物、二塩基性酸系化合物、酸無水物系化合物、フェノール系化合物などの公知の硬化剤が挙げられる。
アミン系化合物では、アミン系化合物としては、例えばジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル等が挙げられる。アミド系化合物としては、ジシアンジアミド等が挙げられる。酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。フェノール系化合物には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノール樹脂等の多価フェノール性水酸基含有化合物が挙げられる。
【0041】
エポキシ樹脂には、公知の硬化促進剤を併用してもよい。
さらに、本発明に係る自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物には、未硬化のエポキシ樹脂を溶解する有機溶剤や、エポキシ基を備えた反応性有機溶剤を用いてもよい。例えば、有機溶剤としてはジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類を用いることができる。
【0042】
未硬化のこれらのエポキシ樹脂は、液状の物や、固体のペレット状がある。未硬化のエポキシ樹脂は固体のペレット状であっても有機溶剤等に溶解する。そのため、未硬化のこれらのエポキシ樹脂は、本発明に係る未硬化樹脂粘着物を構成することができ、本発明に係る自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物に用いることができる。
自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物で用いるエポキシ樹脂は、硬化剤を選択し、加熱により硬化が行えることが望ましい。
【0043】
<ガラス転移点が250℃以上の熱可塑性樹脂>
ガラス転移点が250℃以上の熱可塑性樹脂には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が望ましい。ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂は、150℃〜300℃の温度で変質することはなので、本発明に係る自己温度調整型樹脂抵抗体の樹脂に用いることができる。
【0044】
自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物の樹脂に熱可塑性樹脂を用いる場合は、未硬化樹脂粘着物として、ポリイミド樹脂やポリアミド樹脂をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の公知のエーテル類に溶解した粘着性液体のワニスを用いることができる。
【0045】
さらに、未硬化液状物としては、ポリイミド前駆体のポリアミック酸を析出せせることなく溶解する公知のジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテル類やエステル類に溶解したワニス状の未硬化液状物も用いることができる。
【0046】
ポリアミック酸を有機溶剤に溶解した粘着性液体のワニスを未硬化樹脂粘着物に用いても、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物を塗布後に300℃に加熱して脱水閉環するイミド化で、ポリイミド樹脂とすることができる。
なお、ポリイミド樹脂は、加熱により脱水閉環させられることで、硬化することが知られているので、熱硬化型樹脂と認定されている場合もあるが、本発明では、ポリイミド樹脂を熱可塑性樹脂の一例として取り上げる。
また、本発明に係る自己温度調整型樹脂抵抗体に用いる樹脂は、エポキシ樹脂とポリイミド樹脂の混合物であってもよい。
【0047】
[自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シート]
本発明に係る自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートは、基材の少なくとも一方の表面に未硬化の樹脂が含まれる未硬化樹脂粘着物と導電性物質を含む自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物を備えている。
基材は、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物と剥離する性質を備えてもよいし、基材を剥離することなく自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物を硬化させて自己温度調整型樹脂抵抗体シートとしてもよい。
【0048】
この自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートを公知技術のラミネータ等を用いて被貼付物に自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物のみを転写してもよい。被貼付物に転写された自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物は加熱されて硬化し、被貼付物の表面で自己温度調整型樹脂抵抗体を形成する。
【0049】
自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートの製造方法は、有機溶剤などを添加されて希釈されて流動する自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物スラリーを、基材の少なくとも一方の面に公知技術のドクターブレード法やダイコータ法で塗布し、加熱乾燥により、有機溶剤が除去されて基材の表面に固着される。
なお、流動する自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物スラリーは塗布される際に、公知の消泡剤等のスラリーの添加剤を加えてもよい。
また、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物スラリーは、無機フィラー、導電性粉末、未硬化樹脂粘着物を公知の混合方法、例えば、自公転ミキサー、ビーズミル、ボールミル、ロールミル等で混合することで製造することができる。
【0050】
[自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物]
<塗布>
自己温度調整型樹脂抵抗体は、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物スラリーが塗布される際に、含まれる無機フィラーの板状粉末が塗布方向に配向、分散する。そのような塗布状態の自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物を硬化させると、板状粉末の無機フィラーは、塗布による配向、分散状態を維持したまま硬化する。
【0051】
<硬化>
自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物は、加熱乾燥温度よりも高温の加熱硬化温度に曝され、硬化することで自己温度調整型樹脂抵抗体となる。
このように加熱硬化温度に曝されると、熱硬化型樹脂を用いた自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物は、樹脂の硬化反応が進行する。また、ポリアミック酸を用いるとイミド化が進み、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物が硬化する。また、未硬化樹脂粘着物に有機溶剤に溶解したポリイミドなどの熱可塑性樹脂を用いれば、有機溶剤がより除去されて自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物が硬化する。
【0052】
この自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物の加熱硬化温度は、自己調整温度よりも50℃以上高い温度で硬化させる必要がある。
動作温度(使用温度)より低い温度での硬化させた場合には、長期使用の間に樹脂が変化する恐れがあり、十分な信頼性が得られないからである。実用上は、自己調整温度+20℃程度範囲で温度変化を繰返すため、+20℃以上の温度で硬化させれば良いが、温度変動リスクを考慮して+50℃とした。
この硬化後に端子を形成してPTC素子を作製することができる。
【0053】
また、自己温度調整型樹脂抵抗体シートにおいても、基材は、自己温度調整型樹脂抵抗体と剥離する性質を備えてもよいし、基材を剥離することのない自己温度調整型樹脂抵抗体シートとしてもよい。
【0054】
[自己温度調整型樹脂抵抗体]
本発明に係る自己温度調整型樹脂抵抗体では、熱硬化型樹脂やガラス転移点250℃以上の熱可塑性樹脂に、無機フィラーの板状粉末を3〜20体積%含み、さらに導電性粉末を5〜20体積%含むことで、150℃を越えた温度域に自己調整温度を発揮し、自己調整温度から自己調整温度に40℃を加えた温度範囲で自己温度調整型樹脂抵抗体の抵抗値が4倍以上に上昇させ、かつ、より高温にさらされても上昇した抵抗値が低下することない自己温度調整型樹脂抵抗体を実現できるのである。
【0055】
なお、自己調整温度とは、抵抗値と温度の関係を示すRT曲線で、自己温度調整型樹脂抵抗体の温度を上昇させた場合の温度に対する抵抗値の上昇の割合の変化が変化し始める温度(変曲点)のことである(詳細は図1参照)。
【実施例】
【0056】
以下に、実施例を上げて効果の説明をする。
【実施例1】
【0057】
実施例1に係る自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物は、未硬化樹脂粘着物として、エポキシ樹脂と硬化剤のフェノール樹脂を有機溶剤のジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解して、未硬化樹脂粘着物を作製した。その際に、エポキシ樹脂のエポキシ当量の数値とフェノール樹脂のフェノール当量数値が合致するように混合した。
導電性物質として、一次粒子の粒子径が1μmで2次粒子の粒度分布d50が10μmのNi粉末を用い、板状結晶の無機フィラーに粒度分布d50が2μmの窒化ホウ素を用い、それらを未硬化樹脂粘着物に添加し、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物スラリーを作製した。
【0058】
その作製した自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物スラリーを、基材に用いた37μm厚のポリイミドフィルム上に硬化後の膜厚が100μmとなるようにドクターブレード法で塗布し、塗布後に100℃の温度で乾燥させて、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートを得た。
その得られた自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートを350℃で硬化させて自己温度調整型樹脂抵抗体シートを得た。得られた自己温度調整型樹脂抵抗体シートを20mm×30mmに裁断し、長手方向の両端に銀電極を形成して自己温度調整型樹脂抵抗体の抵抗器を作製した。
その作製した抵抗器を恒温槽内にてRT(室温)〜300℃までの「抵抗−温度特性」の評価を行った。
【0059】
「抵抗−温度特性(以降、RT曲線と記す)」評価における自己温度調整を行う温度は、以下のように抵抗値変化の温度を特定して評価を行った。
評価方法、及び実施例1に係る結果の一例を、図1に示す。
図1に示すようにRT曲線において、大きく抵抗値変化する前後の近似直線の交点温度を自己調整温度とするものである。
実施例1における抵抗体の自己調整温度は178℃であることが分かる。
【0060】
また、抵抗値変化を開始する温度から+40℃の温度領域で、抵抗値変化が1桁以上生じるPTC特性を有していれば十分に自己温度調整が可能であり、実施例1では、抵抗値変化が150℃から開始し、150〜190℃の温度範囲で、その抵抗値が2桁以上変化しており、十分温度調整可能なPTC特性を有していると判断することが出来る。
実施例1に係る評価結果を纏めて表1に示す。
【実施例2】
【0061】
無機フィラーの含有量を14vol%とした以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1及び図2に示す。
【実施例3】
【0062】
実施例3では、無機フィラーを窒化ホウ素(BN)に替えて有機ベントナイトを用いた以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1及び図3に示す。
【実施例4】
【0063】
実施例4では、導電性物質のNi粉末の含有量を8vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【実施例5】
【0064】
実施例5では、導電性物質のNi粉末の含有量を13vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【実施例6】
【0065】
実施例6では、導電性物質にNi粉末に替え、粒度分布d50が0.04μmのカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【実施例7】
【0066】
実施例7では、導電性物質にNi粉末に替え、粒度分布d50が7μmの窒化チタンを用いた以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【実施例8】
【0067】
実施例8では、エポキシ樹脂をTMAで測定したガラス転移点が280℃のポリアミドイミド樹脂に替え、有機溶剤のジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解して未硬化樹脂粘着物を作製して用いた以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。なお、硬化剤のフェノール樹脂は含有していない。
その結果を表1に示す。
【実施例9】
【0068】
実施例9では、エポキシ樹脂をTMAで測定したガラス転移点が300℃以上のポリイミド樹脂に替え、有機溶剤のジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解して未硬化液状物を作製して用いた以外は、実施例1と同様にして供し材を作製して特性を評価した。なお、硬化剤のフェノール樹脂は含有していない。
【実施例10】
【0069】
実施例10では、導電性物質の含有量を5vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【実施例11】
【0070】
実施例11では、導電性物質の含有量を20vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【実施例12】
【0071】
実施例12では、無機フィラーの含有量を3vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【実施例13】
【0072】
実施例13では、無機フィラーの含有量を20vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【0073】
(比較例1)
比較例1では、無機フィラーの含有量を2vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1及び図4に示す。
【0074】
(比較例2)
比較例2では、無機フィラーの含有量を25vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【0075】
(比較例3)
比較例3では、無機フィラーに有機ベントナイトを用い、その含有量を2vol%とした以外は、実施例3と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【0076】
(比較例4)
比較例4では、導電性物質のNi粉末の含有量を4vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【0077】
(比較例5)
比較例5では、導電性物質のNi粉末の含有量を25vol%とした以外は、実施例1と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1及び図5に示す。
【0078】
(比較例6)
比較例6では、導電性物質のカーボンブラックの含有量を25vol%とした以外は、実施例6と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【0079】
(比較例7)
比較例7では、導電性物質の窒化チタンに替え、その含有量を25vol%とした以外は、実施例7と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【0080】
(比較例8)
比較例8では、導電性物質のNi粉末の含有量を25vol%とした以外は、実施例8と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【0081】
(比較例9)
比較例9では、導電性物質のNi粉末の含有量を25vol%とした以外は、実施例9と同様にして供試材を作製して特性を評価した。
その結果を表1に示す。
【0082】
(比較例10)
比較例10では、樹脂に熱可塑性樹脂のポリエチレン(TMA測定のガラス転移点−20℃)を用いたので、自己温度調整型樹脂抵抗体形成用組成物シートを製造することができなかった。
そこで、樹脂と導電性粉末と無機フィラーを樹脂混練機にて180℃の温度で混練を行い、厚み0.5mmのシートに加工し、3mm×4mmの大きさに打ち抜いて電極を取り付け自己温度調整型樹脂抵抗体の抵抗器を作製した。
得られた比較例10に係る自己温度調整型樹脂抵抗体の抵抗器のPTC特性を測定したところ、自己調整温度は150℃未満であった。
その結果を表1に示す。
【0083】
表1から明らかなように、本発明に係る実施例1〜13は、自己調整温度、抵抗値変化共に良好なPTC特性が得られているのが判る。
一方、無機フィラーの窒化ホウ素(比較例1)や有機ベントナイト(比較例3)が2vol%では添加効果が認められず、一方、25%含有(比較例2)すると、抵抗値が高かくなりすぎて、PTC特性を示さなくなってしまった。
また、導電性粉末(Ni粉)が4vol%と少ない(比較例4)では抵抗値が高くなり過ぎて、PTC特性を示さなくなってしまった。一方、導電性粉末が25vol%と多い比較例5、8〜10(Ni粉)、比較例6(カーボンブラック)、比較例7(窒化チタン)では「抵抗値変化」において十分な効果が得られなかった。
さらに、樹脂にポリエチレン樹脂を用いた比較例10では、「自己調整温度」、「抵抗値変化」共に十分な効果が得られなかった。
【0084】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5