【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書では、光重合性化合物;無機微細粒子;および反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane);光反応性官能基を含むフッ素系化合物;および光重合開始剤;を含み、前記光重合性化合物100重量部対比の前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン0.5〜25重量部を含む、低屈折層形成用光硬化性コーティング組成物が提供される。
【0012】
また、本明細書では、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化物を含む低屈折層が提供される。
【0013】
さらに、本明細では、前記低屈折層;および前記低屈折層の一面上に形成されたハードコート層;を含む反射防止フィルムが提供される。
【0014】
以下、発明の具体的な実施形態に係る光硬化性コーティング組成物、低屈折層、および反射防止フィルムに関してより詳細に説明する。
【0015】
本明細書において、光重合性化合物は、光が照射されると、例えば、可視光線または紫外線が照射されると、重合反応を起こす化合物を通称する。
【0016】
また、(メタ)アクリル[(Meth)acryl]は、アクリル(acryl)およびメタクリル(Methacryl)の両方を含む意味である。
【0017】
さらに、(共)重合体は、共重合体(co−polymer)および単独重合体(homo−polymer)の両方を含む意味である。
【0018】
また、中空シリカ粒子(silica hollow particles)とは、ケイ素化合物または有機ケイ素化合物から導出されるシリカ粒子であって、前記シリカ粒子の表面および/または内部に空き空間が存在する形態の粒子を意味する。
【0019】
発明の一実施形態によれば、光重合性化合物;無機微細粒子;および反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane);光反応性官能基を含むフッ素系化合物;および光重合開始剤;を含み、前記光重合性化合物100重量部対比、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン0.5〜25重量部を含む、低屈折層形成用光硬化性コーティング組成物が提供される。
【0020】
本発明者らは、低屈折層と反射防止フィルムに関する研究を進行させて、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンを特定の含有量で含む光硬化性コーティング組成物を用いると、低い反射率および高い透光率を実現することができ、耐アルカリ性を向上させると同時に、優れた耐摩耗性または耐スクラッチ性を確保可能な低屈折層、およびディスプレイ装置の画面の鮮明度を高めながらも優れた機械的物性を示す反射防止フィルムを提供できるという点を実験を通して確認して、発明を完成した。
【0021】
前記一実施形態の光硬化性コーティング組成物から提供される低屈折層は、ディスプレイ装置の画面の鮮明度を高めながらも優れた耐スクラッチ性および耐アルカリ性を有し、ディスプレイ装置または偏光板製造工程などに大きな制限なく容易に適用可能である。
【0022】
特に、前記一実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られた低屈折層は、アルカリに露出しても反射率または透光率などの外観特性や耐摩耗性または耐スクラッチ性などの機械的物性の低下が大きくないことから、外部表面保護のための追加的な保護フィルムの適用を省略可能で、生産工程を単純化し、生産費用を節減することができる。
【0023】
具体的には、前記一実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られる低屈折層が有する平均反射率や色などの外観特性や耐スクラッチ性は、アルカリに露出の際にもさほど大きくない変化率を示し、アルカリ露出による物理−化学的変化が相対的に小さいことが確認される。
【0024】
従来は、反射防止フィルムに含まれる低屈折層の耐スクラッチ性を向上させるためには、ナノメートルサイズの多様な粒子(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどの粒子)を添加する方法が主に試みられたが、この方法によれば、耐スクラッチ性をある程度確保することはできるが、前記ナノメートルサイズの粒子が低い表面処理率を示すだけでなく、小さいサイズによって前処理液に露出する比表面積が増加して耐アルカリ性が大きく低下する限界があった。
【0025】
これに対し、前記一実施形態の光硬化性コーティング組成物は、前記光重合性化合物100重量部対比、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン0.5〜25重量部、または1.5〜19重量部を含むことで、低い反射率および高い透光率を兼ね備えながら、高い耐アルカリ性および耐スクラッチ性を同時に実現可能な低屈折層を提供することができ、同時に、最終的に製造される反射防止フィルムや、該反射防止フィルムが適用されるディスプレイ装置の性能や品質を高めることができる。
【0026】
具体的には、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンは、表面に反応性官能基が存在し、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂の機械的物性、例えば、耐スクラッチ性を高めることができる。また、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンは、シロキサン結合(−Si−O−)が分子の内部に位置し、従来知られたシリカ、アルミナ、ゼオライトなどの微細粒子を用いる場合とは異なり、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂の耐アルカリ性を向上させることができる。
【0027】
前述のように、前記光硬化性コーティング組成物は、前記光重合性化合物100重量部対比、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン0.5〜25重量部、または1.5〜19重量部を含むことができる。
【0028】
前記光硬化性コーティング組成物中、前記光重合性化合物対比、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンの含有量が小さすぎる場合、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂の耐アルカリ性や耐スクラッチ性を十分に確保しにくいことがある。また、前記光硬化性コーティング組成物中、前記光重合性化合物対比、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンの含有量が大きすぎる場合、前記光硬化性コーティング組成物から製造される低屈折層や反射防止フィルムの透明度が低下し、スクラッチ性がむしろ低下することがある。
【0029】
前記ポリシルセスキオキサンに置換される反応性官能基は、アルコール、アミン、カルボン酸、エポキシド、イミド、(メタ)アクリレート、ニトリル、ノルボルネン、オレフィン[アリル(allyl)、シクロアルケニル(cycloalkenyl)、またはビニルジメチルシリルなど]、ポリエチレングリコール、チオール、およびビニル基からなる群より選択された1種以上の官能基を含むことができ、好ましくは、エポキシドまたは(メタ)アクリレートであってもよい。
【0030】
前記反応性官能基のより具体的な例としては、(メタ)アクリレート、炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数3〜20のシクロアルキル(cycloalkyl)エポキシド、炭素数1〜10のアルキルシクロアルカン(cycloalkane)エポキシドが挙げられる。前記アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレートと結合しない「アルキル」の他の一部分が結合位置であるとの意味であり、前記シクロアルキルエポキシドは、エポキシドと結合しない「シクロアルキル」の他の部分が結合位置であるとの意味であり、アルキルシクロアルカン(cycloalkane)エポキシドは、シクロアルカン(cycloalkane)エポキシドと結合しない「アルキル」の他の部分が結合位置であるとの意味である。
【0031】
一方、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンは、前述した反応性官能基のほか、炭素数1〜30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数6〜30のシクロヘキシル基、および炭素数6〜30のアリール基からなる群より選択された1種以上の未反応性官能基を1以上さらに含んでもよい。このように、前記ポリシルセスキオキサンに反応性官能基と未反応性官能基が表面に置換されることによって、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンにおいてシロキサン結合(−Si−O−)が分子の内部に位置しながら外部に露出しなくなって、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂の耐アルカリ性をより高めることができる。特に、前記ポリシルセスキオキサンに反応性官能基と共に導入される非反応性官能基が、炭素数6以上、または炭素数6〜30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、または炭素数6〜30のシクロヘキシル基の場合、塗膜やバインダー樹脂の耐アルカリ性を向上させる効果がより高い。
【0032】
一方、前記ポリシルセスキオキサンは、(RSiO
1.5)
nで表記され(この時、nは、4〜30または8〜20)、ランダム、梯子形、cage、および部分的なcageなどの多様な構造を有してもよい。
【0033】
ただし、前記一実施形態の前記光硬化性コーティング組成物から製造される低屈折層および反射防止フィルムの物性および品質を高めるために、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンに反応性官能基が1以上置換され、ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン(Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane)を使用することができる。
【0034】
また、より好ましくは、前記官能基が1以上置換され、ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、分子中にシリコン8〜20個を含むことができる。
【0035】
前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンのシリコンのうちの少なくとも1個以上または全体が前述した反応性官能基が置換されていてもよいし、さらに、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンのシリコンのうちの少なくとも1個以上には反応性官能基が置換されていてもよいし、反応性官能基が置換されていないシリコンには前述した非反応性官能基が置換されていてもよい。
【0036】
前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンのシリコンのうちの少なくとも1個に反応性官能基が置換されることによって、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂の機械的物性を向上させることができ、同時に、残りのシリコンに非反応性官能基が置換されることにより分子構造的に立体的な障害(Steric hinderance)が現れて、シロキサン結合(−Si−O−)が外部に露出する頻度や確率を大きく低下させ、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂の耐アルカリ性を向上させることができる。
【0037】
より具体的には、前記ポリシルセスキオキサンに反応性官能基および非反応性官能基が共に置換される場合、前記ポリシルセスキオキサンに置換された非反応性作用基に対する反応性官能基のモル比(molar ratio)が0.20以上、または0.3以上であってもよく、さらに、0.20〜6、または0.3〜4、または0.4〜3であってもよい。前記ポリシルセスキオキサンに置換される反応性官能基および非反応性官能基の間の比率が前記範囲の場合、前記ポリシルセスキオキサン分子において立体的な障害が極大化され、これによって、シロキサン結合(−Si−O−)が外部に露出する頻度や確率をより大きく低下させることができ、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂の機械的物性や耐アルカリ性がより向上できる。
【0038】
そして、前記ポリシルセスキオキサンに反応性官能基および非反応性官能基が共に置換される場合、前記ポリシルセスキオキサンに置換された非反応性作用基に対する反応性官能基のモル比(molar ratio)を満足した状態で、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンのシリコンの100mol%が反応性官能基および非反応性作用基で置換されていてもよい。
【0039】
一方、前記反応性官能基が1以上置換され、ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン(Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane、POSS)の例としては、TMP DiolIsobutyl POSS、Cyclohexanediol Isobutyl POSS、1,2−PropanediolIsobutyl POSS、Octa(3−hydroxy−3methylbutyldimethylsiloxy)POSSなどアルコールが1以上置換されたPOSS;AminopropylIsobutyl POSS、AminopropylIsooctyl POSS、Aminoethylaminopropyl Isobutyl POSS、N−Phenylaminopropyl POSS、N−Methylaminopropyl Isobutyl POSS、OctaAmmonium POSS、AminophenylCyclohexyl POSS、AminophenylIsobutyl POSSなどアミンが1以上置換されたPOSS;Maleamic Acid−Cyclohexyl POSS、Maleamic Acid−Isobutyl POSS、Octa Maleamic Acid POSSなどカルボン酸が1以上置換されたPOSS;EpoxyCyclohexylIsobutyl POSS、Epoxycyclohexyl POSS、Glycidyl POSS、GlycidylEthyl POSS、GlycidylIsobutyl POSS、GlycidylIsooctyl POSSなどエポキシドが1以上置換されたPOSS;POSS Maleimide Cyclohexyl、POSS Maleimide Isobutylなどイミドが1以上置換されたPOSS;AcryloIsobutyl POSS、(Meth)acrylIsobutyl POSS、(Meth)acrylate Cyclohexyl POSS、(Meth)acrylate Isobutyl POSS、(Meth)acrylate Ethyl POSS、(Meth)acrylEthyl POSS、(Meth)acrylate Isooctyl POSS、(Meth)acrylIsooctyl POSS、(Meth)acrylPhenyl POSS、(Meth)acryl POSS、Acrylo POSSなど(メタ)アクリレートが1以上置換されたPOSS;CyanopropylIsobutyl POSSなどのニトリル基が1以上置換されたPOSS;NorbornenylethylEthyl POSS、NorbornenylethylIsobutyl POSS、Norbornenylethyl DiSilanoIsobutyl POSS、Trisnorbornenyl Isobutyl POSSなどノルボルネン基が1以上置換されたPOSS;AllylIsobutyl POSS、MonoVinylIsobutyl POSS、OctaCyclohexenyldimethylsilyl POSS、OctaVinyldimethylsilyl POSS、OctaVinyl POSSなどビニル基が1以上置換されたPOSS;AllylIsobutyl POSS、MonoVinylIsobutyl POSS、OctaCyclohexenyldimethylsilyl POSS、OctaVinyldimethylsilyl POSS、OctaVinyl POSSなどのオレフィンが1以上置換されたPOSS;炭素数5〜30のPEGが置換されたPOSS;またはMercaptopropylIsobutyl POSSまたはMercaptopropylIsooctyl POSSなどのチオール基が1以上置換されたPOSS;などが挙げられる。
【0040】
一方、前述のように、前記一実施形態の光硬化性コーティング組成物は、光反応性官能基を含むフッ素系化合物を含むことができる。前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物が含まれることによって、前記光硬化性コーティング組成物から製造される低屈折層および反射防止フィルムは、より低い反射率および向上した透光率を有することができ、同時に、耐アルカリ性および耐スクラッチ性をより高めることができる。
【0041】
前記フッ素系化合物には1以上の光反応性官能基が含まれているかまたは置換されていてもよいし、前記光反応性官能基は、光の照射によって、例えば、可視光線または紫外線の照射によって重合反応に参加できる官能基を意味する。前記光反応性官能基は、光の照射によって重合反応に参加できることが知られた多様な官能基を含むことができ、その具体例としては、(メタ)アクリレート基、エポキシド基、ビニル基(Vinyl)、またはチオール基(Thiol)が挙げられる。
【0042】
前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物は、1重量%〜25重量%のフッ素含有量を有することができる。前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物におけるフッ素の含有量が小さすぎると、前記一実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られる最終結果物の表面にフッ素成分が十分に配列できず、耐アルカリ性などの物性を十分に確保しにくいことがある。また、前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物におけるフッ素の含有量が大きすぎると、前記一実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られる最終結果物の表面特性が低下したり、最終結果物を得るための後段工程中に不良品の発生率が高くなり得る。
【0043】
前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物は、ケイ素またはケイ素化合物をさらに含んでもよい。つまり、前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物は、選択的に内部にケイ素またはケイ素化合物を含有することができ、具体的には、前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物中のケイ素の含有量は、0.1重量%〜20重量%であってもよい。
【0044】
前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物に含まれるケイ素は、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られた低屈折層にヘイズ(haze)が発生するのを防止して透明度を高める役割を果たすことができる。一方、前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物中のケイ素の含有量が大きすぎると、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られた低屈折層の有する耐アルカリ性が低下することがある。
【0045】
前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物は、2,000〜200,000の重量平均分子量(GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)を有することができる。前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物の重量平均分子量が小さすぎると、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られた低屈折層が十分な耐アルカリ特性を有さないことがある。また、前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物の重量平均分子量が大きすぎると、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られた低屈折層が十分な耐久性や耐スクラッチ性を有さないことがある。
【0046】
具体的には、前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物は、i)1つ以上の光反応性官能基が置換され、少なくとも1つの炭素に1以上のフッ素が置換された脂肪族化合物または脂肪族環化合物;ii)1以上の光反応性官能基で置換され、少なくとも1つの水素がフッ素で置換され、1つ以上の炭素がケイ素で置換されたヘテロ(hetero)脂肪族化合物またはヘテロ(hetero)脂肪族環化合物;iii)1つ以上の光反応性官能基が置換され、少なくとも1つのシリコンに1以上のフッ素が置換されたポリジアルキルシロキサン系高分子(例えば、ポリジメチルシロキサン系高分子);iv)1以上の光反応性官能基で置換され、少なくとも1つの水素がフッ素で置換されたポリエーテル化合物、または前記i)〜iv)のうちの2以上の混合物またはこれらの共重合体が挙げられる。
【0047】
前記光硬化性コーティング組成物は、前記光重合性化合物100重量部に対して、前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物1〜75重量部を含むことができる。前記光重合性化合物対比、前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物が過剰に添加される場合、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物のコーティング性が低下したり、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られた低屈折層が十分な耐久性や耐スクラッチ性を有さないことがある。また、前記光重合性化合物対比、前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物の量が小さすぎると、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物から得られた低屈折層が十分な耐アルカリ特性を有さないことがある。
【0048】
一方、前記光重合性化合物は、(メタ)アクリレートまたはビニル基を含む単量体またはオリゴマーを含むことができる。具体的には、前記光重合性化合物は、(メタ)アクリレートまたはビニル基を1以上、または2以上、または3以上含む単量体またはオリゴマーを含むことができる。
【0049】
前記(メタ)アクリレートを含む単量体またはオリゴマーの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、またはこれらの2種以上の混合物や、またはウレタン変性アクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、エーテルアクリレートオリゴマー、デンドリティックアクリレートオリゴマー、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。この時、前記オリゴマーの分子量は、1,000〜10,000であることが好ましい。
【0050】
前記ビニル基を含む単量体またはオリゴマーの具体例としては、ジビニルベンゼン、スチレン、またはパラメチルスチレンが挙げられる。
【0051】
前記光硬化性コーティング組成物中の前記光重合性化合物の含有量が大きく限定されるものではないが、最終的に製造される低屈折層や反射防止フィルムの機械的物性などを考慮して、前記光硬化性コーティング組成物の固形分中の前記光重合性化合物の含有量は、20重量%〜80重量%であってもよい。前記光硬化性コーティング組成物の固形分は、前記光硬化性コーティング組成物中の液状の成分、例えば、後述するように、選択的に含まれる有機溶媒などの成分を除いた固体の成分のみを意味する。
【0052】
一方、前記光重合性化合物は、前述した単量体またはオリゴマーのほか、フッ素系(メタ)アクリレート系化合物をさらに含んでもよい。前記フッ素系(メタ)アクリレート系化合物をさらに含む場合、前記(メタ)アクリレートまたはビニル基を含む単量体またはオリゴマーに対する前記フッ素系(メタ)アクリレート系化合物の重量比は、0.1%〜10%であってもよい。
【0053】
前記フッ素系(メタ)アクリレート系化合物の具体例としては、下記化学式11〜15からなる群より選択される1種以上の化合物が挙げられる。
【0054】
【化1】
前記化学式11において、R
1は、水素基または炭素数1〜6のアルキル基であり、aは、0〜7の整数であり、bは、1〜3の整数である。
【化2】
前記化学式12において、cは、1〜10の整数である。
【化3】
前記化学式13において、dは、1〜11の整数である。
【化4】
前記化学式14において、eは、1〜5の整数である。
【化5】
前記化学式15において、fは、4〜10の整数である。
【0055】
一方、前記無機微細粒子は、ナノメートルまたはマイクロメートル単位の直径を有する無機粒子を意味する。
【0056】
具体的には、前記無機微細粒子は、10〜100nmの数平均粒径を有する中空シリカ粒子であってもよい。前記中空シリカ粒子は、粒子の表面および/または内部に空き空間が存在するシリカ粒子を意味する。前記中空シリカ粒子は、中実粒子に比べて低い屈折率を有し、優れた反射防止特性を示すことができる。
【0057】
前記中空シリカ粒子は、数平均粒径が10〜100nm、好ましくは20〜70nm、より好ましくは30〜70nmであってもよいし;粒子の形状は、球状であることが好ましいが、不定形でも構わない。
【0058】
また、前記中空シリカ粒子としては、その表面がフッ素系化合物でコーティングされたものを単独で使用するか、フッ素系化合物で表面がコーティングされていない中空シリカ粒子と混合して使用することができる。前記中空シリカ粒子の表面をフッ素系化合物でコーティングすると、表面エネルギーをより低下させることができ、これによって、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物内で前記中空シリカ粒子がより均一に分布することができ、前記光硬化性コーティング組成物から得られるフィルムの耐久性や耐スクラッチ性をより高めることができる。
【0059】
前記中空シリカ粒子の表面にフッ素系化合物をコーティングする方法として、通常知られた粒子コーティング方法や重合方法などを大きな制限なく使用することができ、例えば、前記中空シリカ粒子およびフッ素系化合物を水と触媒の存在下でゾル−ゲル反応させて、加水分解および縮合反応により前記中空シリカ粒子の表面にフッ素系化合物を結合させることができる。
【0060】
そして、前記中空シリカ粒子は、所定の分散媒に分散したコロイド状に組成物に含まれる。前記中空シリカ粒子を含むコロイド状は、分散媒として有機溶媒を含むことができる。
【0061】
この時、前記中空シリカは、前記有機溶媒により容易に分散するために、表面に置換された所定の官能基を含むことができる。前記中空シリカ粒子の表面に置換可能な有機官能基の例が大きく限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ヒドロキシ基、アミン基、アリル基(allyl)、エポキシ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、アミン基、またはフッ素などが前記中空シリカの表面に置換されていてもよい。
【0062】
前記中空シリカ粒子のコロイド状における中空シリカ粒子の固形分含有量は、前記一実施形態の光硬化性コーティング組成物中の中空シリカの含有量範囲や前記光硬化性コーティング組成物の粘度などを考慮して決定され、例えば、前記コロイド状中の前記中空シリカ粒子の固形分含有量は、5重量%〜60重量%であってもよい。
【0063】
ここで、前記分散媒中の有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ガンマブチロラクトンなどのエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;またはこれらの混合物が含まれる。
【0064】
前記光硬化性コーティング組成物は、前記光重合性化合物100重量部に対して、前記中空シリカ粒子10〜320重量部、または50〜200重量部を含むことができる。前記中空粒子が過剰に添加される場合、バインダーの含有量の低下によってコーティング膜の耐スクラッチ性や耐摩耗性が低下することがある。
【0065】
前記光重合開始剤としては、光硬化性樹脂組成物に使用可能と知られた化合物であれば大きな制限なく使用可能であり、具体的には、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
【0066】
前記光重合性化合物100重量部に対して、前記光重合開始剤は、1〜100重量部の含有量で使用できる。前記光重合開始剤の量が小さすぎると、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化段階で未硬化されて残留する物質が発生することがある。前記光重合開始剤の量が多すぎると、未反応開始剤が不純物として残留したり、架橋密度が低くなって製造されるフィルムの機械的物性が低下したり、反射率が非常に高くなり得る。
【0067】
一方、前記光硬化性コーティング組成物は、有機溶媒をさらに含んでもよい。
前記有機溶媒の非制限的な例を挙げると、ケトン類、アルコール類、アセテート類、およびエーテル類、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0068】
このような有機溶媒の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、またはイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、またはt−ブタノールなどのアルコール類; エチルアセテート、i−プロピルアセテート、またはポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアセテート類;テトラヒドロフランまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0069】
前記有機溶媒は、前記光硬化性コーティング組成物に含まれる各成分を混合する時期に添加されたり、各成分が有機溶媒に分散または混合された状態で添加されることによって、前記光硬化性コーティング組成物に含まれる。前記光硬化性コーティング組成物中の有機溶媒の含有量が小さすぎると、前記光硬化性コーティング組成物の流れ性が低下し、最終的に製造されるフィルムに縞模様が生じるなどの不良が発生することがある。また、前記有機溶媒の過剰添加時、固形分含有量が低くなり、コーティングおよび成膜が十分でなくてフィルムの物性や表面特性が低下し、乾燥および硬化過程で不良が発生することがある。これによって、前記光硬化性コーティング組成物は、含まれる成分の全体固形分の濃度が1重量%〜50重量%、または2〜20重量%となるように有機溶媒を含むことができる。
【0070】
一方、発明の他の実施形態によれば、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化物を含む低屈折層が提供される。
【0071】
前述のように、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンを特定の含有量で含む光硬化性コーティング組成物から提供される低屈折層は、低い反射率および高い透光率を実現することができ、耐アルカリ性を向上させると同時に、優れた耐摩耗性または耐スクラッチ性を確保することができ、ディスプレイ装置または偏光板製造工程などに大きな制限なく容易に適用可能である。
【0072】
特に、前記実施形態の低屈折層は、アルカリに露出しても反射率または透光率などの外観特性や耐摩耗性または耐スクラッチ性などの機械的物性の低下が大きくないことから、外部表面保護のための追加的な保護フィルムやコーティング層の適用を省略可能で、生産工程を単純化し、生産費用を節減することができる。
【0073】
前記低屈折層が有する特性は、前述した実施形態の光硬化性コーティング組成物に特定の含有量で含まれる反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンによるものである。具体的には、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンは、表面に反応性官能基が存在し、前記低屈折層の機械的物性、例えば、耐スクラッチ性を高めることができ、従来知られたシリカ、アルミナ、ゼオライトなどの微細粒子を使用する場合とは異なり、前記低屈折層の耐アルカリ性を向上させることができる。
【0074】
具体的には、前記低屈折層が有する平均反射率や色などの外観特性や耐スクラッチ性は、アルカリに露出の際にもさほど大きくない変化率を示し、アルカリ露出による物理−化学的変化が相対的に小さいことが確認される。
【0075】
前記低屈折層は、光重合性化合物および反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane)の間の架橋重合体を含むバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に分散した無機微細粒子とを含むことができる。
【0076】
また、前述のように、前記低屈折層は、光反応性官能基を含むフッ素系化合物由来部分を含むことができる。前記光反応性官能基を含むフッ素系化合物が含まれることによって、前記低屈折層および反射防止フィルムは、より低い反射率および向上した透光率を有することができ、同時に、耐アルカリ性および耐スクラッチ性をより高めることができる。これによって、前記バインダー樹脂は、光重合性化合物、光反応性官能基を含むフッ素系化合物および反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane)の間の架橋重合体をさらに含むことができる。
【0077】
前記バインダー樹脂中、光重合性化合物由来部分に対する、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane)由来部分の重量比率が0.005〜0.25、または0.015〜0.19であってもよい。
【0078】
前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンに関する内容は、前記一実施形態の光硬化性コーティング組成物に関して前述した内容を全て含む。
【0079】
前記低屈折層は、前記光硬化性コーティング組成物を所定の基材上に塗布し、塗布された結果物を光硬化することにより得られる。前記基材の具体的な種類や厚さは大きく限定されるものではなく、低屈折層または反射防止フィルムの製造に使用されることが知られた基材を大きな制限なく使用することができる。
【0080】
前記光硬化性コーティング組成物を塗布するのに通常使用される方法および装置を格別の制限なく使用することができ、例えば、Meyer barなどのバーコーティング法、グラビアコーティング法、2roll reverseコーティング法、vacuum slot dieコーティング法、2rollコーティング法などを使用することができる。
【0081】
前記低屈折層は、1nm〜300nm、または50nm〜200nmの厚さを有することができる。これによって、前記所定の基材上に塗布される前記光硬化性コーティング組成物の厚さは、約1nm〜300nm、または50nm〜200nmであってよい。
【0082】
前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階では、200〜400nmの波長の紫外線または可視光線を照射することができ、照射時の露光量は、100〜4,000mJ/cm
2が好ましい。露光時間も特に限定されるものではなく、使用される露光装置、照射光線の波長、または露光量に応じて適切に変化させることができる。
【0083】
また、前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階では、窒素大気の条件を適用するために、窒素パージングなどを行うことができる。
【0084】
前記一実施形態の低屈折層は、2.5%以下、または1.5%以下、または1.3%以下の平均反射率を有することができる。
【0085】
一方、発明のさらに他の実施形態によれば、前記低屈折層;および前記低屈折層の一面上に形成されたハードコート層;を含む反射防止フィルムが提供される。
前記低屈折層に関する内容は、前述した実施形態で記述した事項を全て含む。
【0086】
一方、前記ハードコート層は、通常知られたハードコート層を大きな制限なく使用することができる。
【0087】
前記ハードコートフィルムの一例として、光硬化性樹脂、および重量平均分子量10,000以上の高分子量(共)重合体を含むバインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した有機または無機微粒子;を含むハードコートフィルムが挙げられる。
【0088】
前記高分子量(共)重合体は、セルロース系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、エポキシド系ポリマー、ナイロン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびポリオレフィン系ポリマーからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0089】
前記ハードコート層に含まれる光硬化型樹脂は、紫外線などの光が照射されると、重合反応を起こす光硬化型化合物の重合体であって、当業界における通常のものであってもよい。具体的には、前記光硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート、およびポリエーテルアクリレートからなる反応性アクリレートオリゴマーの群;およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチレンプロピルトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、トリメチルプロパンエトキシトリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、プロポキシル化グリセロトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、およびエチレングリコールジアクリレートからなる多官能性アクリレート単量体の群より選択される1種以上を含むことができる。
【0090】
前記有機または無機微粒子は、粒径が1〜10μmであってもよい。
前記有機または無機微粒子は、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシド樹脂、およびナイロン樹脂からなる有機微粒子であるか、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、および酸化亜鉛からなる無機微粒子であってもよい。
【0091】
前記ハードコートフィルムは、有機または無機微粒子、光硬化性樹脂、光開始剤、および重量平均分子量10,000以上の高分子量(共)重合体を含む防眩コーティング組成物から形成される。
【0092】
一方、前記ハードコートフィルムの他の例として、光硬化性樹脂のバインダー樹脂;および前記バインダー樹脂に分散した帯電防止剤を含むハードコートフィルムが挙げられる。
【0093】
前記ハードコート層に含まれる光硬化型樹脂は、紫外線などの光が照射されると、重合反応を起こす光硬化型化合物の重合体であって、当業界における通常のものであってもよい。ただし、好ましくは、前記光硬化型化合物は、多官能性(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーであってもよく、この時、(メタ)アクリレート系官能基の数は、2〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜7であるのが、ハードコート層の物性確保の側面で有利である。より好ましくは、前記光硬化型化合物は、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0094】
前記帯電防止剤は、4級アンモニウム塩化合物、導電性高分子、またはこれらの混合物であってもよい。ここで、前記4級アンモニウム塩化合物は、分子内に1個以上の4級アンモニウム塩基を有する化合物であってもよいし、低分子型または高分子型を制限なく使用することができる。また、前記導電性高分子としては、低分子型または高分子型を制限なく使用することができ、その種類は、本発明の属する技術分野における通常のものであってもよいので、特に制限されない。
【0095】
前記光硬化性樹脂のバインダー樹脂;および前記バインダー樹脂に分散した帯電防止剤を含むハードコートフィルムは、アルコキシシラン系オリゴマーおよび金属アルコキシド系オリゴマーからなる群より選択される1種以上の化合物をさらに含んでもよい。
【0096】
前記アルコキシシラン系化合物は、当業界における通常のものであってもよいが、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択される1種以上の化合物であってもよい。
【0097】
また、前記金属アルコキシド系オリゴマーは、金属アルコキシド系化合物および水を含む組成物のゾル−ゲル反応により製造することができる。前記ゾル−ゲル反応は、前述したアルコキシシラン系オリゴマーの製造方法に準じる方法で行うことができる。
【0098】
ただし、前記金属アルコキシド系化合物は、水と急激に反応し得るため、前記金属アルコキシド系化合物を有機溶媒に希釈した後、水をゆっくりドロッピングする方法で前記ゾル−ゲル反応を行うことができる。この時、反応効率などを勘案して、水に対する金属アルコキシド化合物のモル比(金属イオン基準)は、3〜170の範囲内で調節することが好ましい。
【0099】
ここで、前記金属アルコキシド系化合物は、チタンテトラ−イソプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、およびアルミニウムイソプロポキシドからなる群より選択される1種以上の化合物であってもよい。
【0100】
一方、前記反射防止フィルムは、前記ハードコート層の他の一面に結合された基材をさらに含んでもよい。前記基材は、光透過度が90%以上、かつ、ヘイズ1%以下の透明フィルムであってもよい。また、前記基材の素材は、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン重合体、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどであってもよい。さらに、前記基材フィルムの厚さは、生産性などを考慮して、10〜300μmであってもよい。ただし、本発明はこれに限定するものではない。