特許第6607644号(P6607644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6607644硬化性シリコーン組成物、硬化性ホットメルトシリコーン、および光デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607644
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】硬化性シリコーン組成物、硬化性ホットメルトシリコーン、および光デバイス
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20191111BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20191111BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20191111BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20191111BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20191111BHJP
【FI】
   C08L83/07
   C08L83/05
   H01L23/30 F
   H01L33/56
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-546297(P2016-546297)
(86)(22)【出願日】2015年8月26日
(86)【国際出願番号】JP2015004292
(87)【国際公開番号】WO2016035285
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2018年8月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-177557(P2014-177557)
(32)【優先日】2014年9月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 春菜
(72)【発明者】
【氏名】吉武 誠
(72)【発明者】
【氏名】道源 涼太
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/173167(WO,A1)
【文献】 米国特許第3996195(US,A)
【文献】 国際公開第2007/099863(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/002918(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/07
C08L 83/05
H01L 23/29
H01L 23/31
H01L 33/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)e
(式中、R、R、Rは同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基であり、ただし、Rの40モル%以下、Rの30モル%以上、Rの10モル%以下がアルケニル基であり、R、R、Rの合計の30〜60モル%がフェニル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは0〜0.2の数であり、bは0.2〜0.5の数であり、cは0.3〜0.8の数であり、dは0〜0.5の数であり、eは0〜0.1の数であり、かつ、c+dが0.3〜0.8の数であり、a+b+c+dは1である。)
で表されるオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)
(式中、Rは同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基であり、ただし、全Rの10〜70モル%はフェニル基であり、全Rの少なくとも1個はアルケニル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜6アルキル基であり、fは0.01〜0.3の数であり、gは0.4〜0.99の数であり、hは0〜0.2の数であり、iは0〜0.2の数であり、jは0〜0.1の数であり、かつ、h+iは0〜0.2の数であり、f+g+h+iは1である。)
で表されるオルガノポリシロキサン 0〜150質量部、
(C)平均組成式:
SiO(4−k−l)/2
(式中、Rはフェニル基または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、ただし、全Rの10〜70モル%はフェニル基であり、kは1.0〜2.5の数であり、lは0.01〜0.9の数であり、かつ、k+lは1.5〜3.0の数である。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン{(A)成分と(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜2.0モルとなる量}、および
(D)ヒドロシリル化反応触媒 本組成物のヒドロシリル化反応を促進するのに十分な量
から少なくともなる硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
さらに、(E)反応抑制剤を(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して0.0001〜5質量部含有する、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
(A)平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)e
(式中、R、R、Rは同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基であり、ただし、Rの40モル%以下、Rの30モル%以上、Rの10モル%以下がアルケニル基であり、R、R、Rの合計の30〜60モル%がフェニル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは0〜0.2の数であり、bは0.2〜0.5の数であり、cは0〜0.8の数であり、dは0〜0.5の数であり、eは0〜0.1の数であり、かつ、c+dが0.3〜0.8の数であり、a+b+c+dは1である。)
で表されるオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)
(式中、Rは同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基であり、ただし、全Rの10〜70モル%はフェニル基であり、全Rの少なくとも1個はアルケニル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜6アルキル基であり、fは0.01〜0.3の数であり、gは0.4〜0.99の数であり、hは0〜0.2の数であり、iは0〜0.2の数であり、jは0〜0.1の数であり、かつ、h+iは0〜0.2の数であり、f+g+h+iは1である。)
で表されるオルガノポリシロキサン 0〜40質量部、
(C)平均組成式:
SiO(4−k−l)/2
(式中、Rはフェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、ただし、全Rの10〜70モル%はフェニル基であり、kは1.0〜2.5の数であり、lは0.01〜0.9の数であり、かつ、k+lは1.5〜3.0の数である。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン{(A)成分と(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜2.0モルとなる量}、および
(D)ヒドロシリル化反応触媒 本組成物のヒドロシリル化反応を促進するのに十分な量
から少なくともなる硬化性シリコーン組成物を、硬化物を形成しない程度にヒドロシリル化反応してなる、25℃で非流動性であり、100℃での溶融粘度が5,000Pa・s以下である硬化性ホットメルトシリコーン。
【請求項4】
硬化性シリコーン組成物が、さらに、(E)反応抑制剤を(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して0.0001〜5質量部含有する、請求項3に記載の硬化性ホットメルトシリコーン。
【請求項5】
シート状、粉体状、もしくはタブレット状である、請求項3または4に記載の硬化性ホットメルトシリコーン。
【請求項6】
請求項1または2に記載の硬化性シリコーン組成物もしくは請求項3または4に記載の硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物で光半導体素子が封止、保護、または被覆されてなる光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性シリコーン組成物、硬化性ホットメルトシリコーン、および光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性シリコーン組成物は、硬化して、優れた耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、耐候性、撥水性、透明性を有する硬化物を形成することから、幅広い産業分野で利用されている。特に、その硬化物は、他の有機材料と比較し変色しにくく、また、物理的物性の低下が小さいため、光学材料として適している。例えば、特許文献1には、アルケニル基含有シリコーンレジン、ケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサン、およびヒドロシリル化反応用触媒からなる、発光ダイオード(LED)素子用液状シリコーンレジン組成物が提案されている。
【0003】
一方、近年、新たな発光ダイオード(LED)の製造プロセスのために、室温で固体状もしくは半固体状の材料が提案されている。例えば、特許文献2には、アルケニル基含有シリコーンレジン、ケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサン、およびヒドロシリル化反応用触媒からなる、発光ダイオード(LED)用のシート状シリコーンレジン組成物が挙げられ、特許文献3には、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル化反応により生成される、溶媒可溶性のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、およびケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサン、およびヒドロシリル化反応用触媒からなる硬化性オルガノポリシロキサン組成物が挙げられ、特許文献4には、一分子中に少なくとも2個のアルケニルシリル基を有するオルガノポリシロキサン、一分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化反応用触媒、および反応抑制剤を含むシリコーンレジン用組成物を半硬化させてなるシリコーンレジンシートが挙げられる。
【0004】
しかしながら、これらの材料は、25℃において表面粘着性があり、また、ホットメルト性が十分でなく、実際の応用には不十分であるという課題がある。さらに、LEDパッケージの高輝度化に伴い、これらの材料には、さらなる耐熱性/耐光性が求められているが、不十分であるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−186168号公報
【特許文献2】特開2009−235368号公報
【特許文献3】特開2009−242627号公報
【特許文献4】特開2011−219597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、硬化して、耐熱性および耐光性に優れた硬化物を与える硬化性シリコーン組成物、および室温において非流動性で、表面粘着性が低く、加熱により容易に溶融する硬化性ホットメルトシリコーンを提供することにある。また、本発明の他の目的は、信頼性の高い光デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、
(A)平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)e
(式中、R、R、Rは同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基であり、ただし、Rの40モル%以下、Rの30モル%以上、Rの10モル%以下がアルケニル基であり、R、R、Rの合計の30〜60モル%がフェニル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは0〜0.2の数であり、bは0.2〜0.5の数であり、cは0.3〜0.8の数であり、dは0〜0.5の数であり、eは0〜0.1の数であり、かつ、c+dが0.3〜0.8の数であり、a+b+c+dは1である。)
で表されるオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)
(式中、Rは同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基であり、ただし、全Rの10〜70モル%はフェニル基であり、全Rの少なくとも1個はアルケニル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜6アルキル基であり、fは0.01〜0.3の数であり、gは0.4〜0.99の数であり、hは0〜0.2の数であり、iは0〜0.2の数であり、jは0〜0.1の数であり、かつ、h+iは0〜0.2の数であり、f+g+h+iは1である。)
で表されるオルガノポリシロキサン 0〜150質量部、
(C)平均組成式:
SiO(4−k−l)/2
(式中、Rはフェニル基または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、ただし、全Rの10〜70モル%はフェニル基であり、kは1.0〜2.5の数であり、lは0.01〜0.9の数であり、かつ、k+lは1.5〜3.0の数である。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン{(A)成分と(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜2.0モルとなる量}、および
(D)ヒドロシリル化反応触媒 本組成物のヒドロシリル化反応を促進するのに十分な量
から少なくともなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の硬化性ホットメルトシリコーンは、
(A)平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)e
(式中、R、R、Rは同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基であり、ただし、Rの40モル%以下、Rの30モル%以上、Rの10モル%以下がアルケニル基であり、R、R、Rの合計の30〜60モル%がフェニル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは0〜0.2の数であり、bは0.2〜0.5の数であり、cは0〜0.8の数であり、dは0〜0.5の数であり、eは0〜0.1の数であり、かつ、c+dが0.3〜0.8の数であり、a+b+c+dは1である。)
で表されるオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)
(式中、Rは同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基であり、ただし、全Rの10〜70モル%はフェニル基であり、全Rの少なくとも1個はアルケニル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜6アルキル基であり、fは0.01〜0.3の数であり、gは0.4〜0.99の数であり、hは0〜0.2の数であり、iは0〜0.2の数であり、jは0〜0.1の数であり、かつ、h+iは0〜0.2の数であり、f+g+h+iは1である。)
で表されるオルガノポリシロキサン 0〜40質量部、
(C)平均組成式:
SiO(4−k−l)/2
(式中、Rはフェニル基または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、ただし、全Rの10〜70モル%はフェニル基であり、kは1.0〜2.5の数であり、lは0.01〜0.9の数であり、かつ、k+lは1.5〜3.0の数である。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン{(A)成分と(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜2.0モルとなる量}、および
(D)ヒドロシリル化反応触媒 本組成物のヒドロシリル化反応を促進するのに十分な量
から少なくともなる硬化性シリコーン組成物を、硬化物を形成しない程度にヒドロシリル化反応してなる、25℃で非流動性であり、100℃での溶融粘度が5,000Pa・s以下であることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の光デバイスは、上記の硬化性シリコーン組成物または上記の硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物で光半導体素子が封止、保護、または被覆をされてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、硬化して、耐熱性および耐光性に優れた硬化物を与えるという特徴がある。また、本発明の硬化性ホットメルトシリコーンは、室温において非流動性で、表面粘着性が低く、加熱により容易に溶融するという特徴がある。さらに、本発明の光デバイスは、高寿命で信頼性に優れるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の製造方法により製造される光デバイスの一例を示す概略断面図
図2図1に示す光デバイスの概略斜透視視図
図3】本発明の製造方法により製造される他の光デバイスの一例を示す概略断面図
図4】本発明の製造方法により製造される他の光デバイスの一例を示す概略斜透視視図
図5】本発明の製造方法により製造される他の光デバイスの一例を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
はじめに、本発明の硬化性シリコーン組成物を詳細に説明する。
【0013】
(A)成分は、平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)e
で表されるオルガノポリシロキサンである。
【0014】
式中、R、R、Rは同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基である。このアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示され、好ましくは、メチル基である。また、このアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、好ましくは、ビニル基、アリル基である。
【0015】
なお、Rの40モル%以下、Rの30モル%以上、Rの10モル%以下がアルケニル基であり、R、R、Rの合計の30〜60モル%がフェニル基である。さらに、機械的強度が十分に高く、耐熱性および耐光性に優れた硬化物を得ることができることから、Rの35モル%以下、Rの35モル%以上、Rの5モル%以下がアルケニル基であり、R、R、Rの合計の35〜55モル%がフェニル基であることが好ましい。また、本組成物を用いて、室温において非流動性で、表面粘着性が低く、加熱により容易に溶融する硬化性ホットメルトシリコーンを調製しやすいことから、Rの10モル%以下、Rの45モル%以上、Rの10モル%以下がアルケニル基であり、R、R、Rの合計の35〜55モル%がフェニル基であることが好ましい。
【0016】
式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基である。このアルキル基としては、前記と同様のアルキル基が例示されるが、好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0017】
式中、aは0〜0.2の範囲内の数であり、bは0.2〜0.5の範囲内の数であり、cは0.3〜0.8の範囲内の数であり、dは0〜0.5の範囲内の数であり、eは0〜0.1の範囲内の数であり、かつ、c+dが0.3〜0.8の範囲内の数であり、a+b+c+dは1である。さらに、機械的強度が十分に高く、耐熱性および耐光性に優れた硬化物を得ることができることから、aは0〜0.10の範囲内の数であり、bは0.2〜0.4の範囲内の数であり、cは0.4〜0.8の範囲内の数であり、dは0〜0.3の範囲内の数であり、eは0〜0.05の範囲内の数であり、かつ、c+dが0.4〜0.8の範囲内の数であり、a+b+c+dは1であることが好ましい。また、本組成物を用いて、室温において非流動性で、表面粘着性が低く、加熱により容易に溶融する硬化性ホットメルトシリコーンを調製しやすいことから、aは0〜0.10の範囲内の数であり、bは0.2〜0.4の範囲内の数であり、cは0.5〜0.8の範囲内の数であり、dは0〜0.2の範囲内の数であり、eは0〜0.05の範囲内の数であり、かつ、c+dが0.5〜0.8の範囲内の数であり、a+b+c+dは1であることが好ましい。
【0018】
このような(A)成分としては、次のようなオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Me、Ph、Viはそれぞれメチル基、フェニル基、ビニル基を表す。
(ViMeSiO2/2)0.25(PhSiO3/2)0.75(HO1/2)0.02
(ViMeSiO2/2)0.30(PhSiO3/2)0.70(HO1/2)0.01
(MeSiO1/2)0.15(MeViSiO2/2)0.25(PhSiO3/2)0.60(HO1/2)0.04
(MeSiO1/2)0.15(MeViSiO2/2)0.25(PhSiO3/2)0.60(HO1/2)0.04
(MeSiO1/2)0.05(MeViSiO2/2)0.28(PhSiO3/2)0.67(HO1/2)0.04
(MeSiO1/2)0.02(MeViSiO2/2)0.28(PhSiO3/2)0.70(HO1/2)0.04
(MeViSiO1/2)0.03(MeViSiO2/2)0.27(PhSiO3/2)0.70(HO1/2)0.04
(MeSiO1/2)0.05(MeViSiO2/2)0.30(PhSiO3/2)0.45(SiO4/2)0.20(HO1/2)0.04
【0019】
(B)成分は、本組成物の粘度を調整し、得られる硬化物の硬さと機械的強度を調整するための任意成分であり、平均単位式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)
で表されるオルガノポリシロキサンである。
【0020】
式中、Rは、同じかまたは異なる、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、もしくは炭素原子数2〜6のアルケニル基である。このアルキル基としては、前記と同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。また、このアルケニル基としては、前記と同様のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基、アリル基である。なお、式中、全Rの10〜70モル%はフェニル基であるが、さらに、機械的強度が十分に高く、耐熱性および耐光性に優れた硬化物を得ることができ、また、本組成物を用いて、室温において非流動性で、表面粘着性が低く、加熱により容易に溶融する硬化性ホットメルトシリコーンを調製しやすいことから、全Rの20〜60モル%がフェニル基であることが好ましい。
【0021】
また、式中、Rは水素原子またはアルキル基である。このアルキル基としては、前記Rと同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0022】
また、式中、fは0.01〜0.3の範囲の数であり、gは0.4〜0.99範囲の数であり、hは0〜0.2の範囲の数であり、iは0〜0.2の範囲の数であり、jは0〜0.1の範囲の数であり、かつ、h+iは0〜0.2の範囲の数であり、f+g+h+iは1である。
【0023】
このような(B)成分としては、次のようなオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Me、Ph、Viはそれぞれメチル基、フェニル基、ビニル基を表す。
ViMeSiO(SiMePhO)18SiMeVi、すなわち、(ViMeSiO1/2)0.10(MePhSiO2/2)0.90
ViMeSiO(SiMeO)20(SiPhO)SiMeVi、すなわち、(ViMeSiO1/2)0.10(MeSiO2/2)0.50(PhSiO2/2)0.40
(ViMeSiO1/2)0.10(MePhSiO2/2)0.80(PhSiO3/2)0.10(HO1/2)0.02
(ViMeSiO1/2)0.20(MePhSiO2/2)0.70(SiO4/2)0.10(HO1/2)0.01
【0024】
本組成物において、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0〜150質量部の範囲内となる量であり、さらに、機械的強度が十分に高く、耐熱性および耐光性に優れた硬化物を得ることができることから、0〜120重量部の範囲内となる量、0〜100重量部の範囲内となる量、または0〜40重量部の範囲内となる量であることが好ましい。
【0025】
また、本組成物を用いて硬化性ホットメルトシリコーンを調製する場合には、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0〜40質量部の範囲内となる量であり、さらに、室温において非流動性で、表面粘着性が低く、加熱により容易に溶融する硬化性ホットメルトシリコーンを調製できることから、0〜30質量部の範囲内であることが好ましい。
【0026】
(C)成分は、(A)成分および(B)成分を架橋するための、平均組成式:
SiO(4−k−l)/2
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【0027】
式中、Rはフェニル基または炭素原子数1〜6のアルキル基である。このアルキル基としては、前記と同様のアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。なお、(B)成分中、全Rの10〜70モル%はフェニル基である。
【0028】
また、式中、kは1.0〜2.5の範囲内の数であり、lは0.01〜0.9の範囲内の数であり、かつ、k+lは1.5〜3.0の範囲内の数であり、さらに、機械的強度が十分に高く、耐熱性および耐光性に優れた硬化物を得ることができることから、kが1.2〜2.3の範囲内の数であり、lが0.1〜0.8の範囲内の数であり、かつ、k+lが2.0〜2.7の範囲内の数であることが好ましい。また、本組成物を用いて、室温において非流動性で、表面粘着性が低く、加熱により容易に溶融する硬化性ホットメルトシリコーンを調製しやすいことから、kが1.5〜2.2の範囲内の数であり、lが0.1〜0.8の範囲内の数であり、かつ、k+lが2.0〜2.7の範囲内の数であることが好ましい。
【0029】
このような(C)成分としては、次のようなオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Me、Phはそれぞれメチル基、フェニル基を表す。
PhSi(OSiMeH)、すなわち、Ph0.67Me1.330.67SiO0.67
MePhSi(OSiMeH)、すなわち、Ph0.33Me1.670.67SiO0.67
PhSi(OSiMeH)、すなわち、Ph0.25Me1.500.75SiO0.75
(HMeSiO1/2)0.6(PhSiO3/2)0.4、すなわち、Ph0.40Me1.200.60SiO0.90
【0030】
(C)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜2.0モルの範囲内となる量であり、さらに、機械的強度が十分に高く、かつ、耐熱性および耐光性に優れた硬化物を得ることができることから、0.5〜1.8モルの範囲内となる量であることが好ましい。また、本組成物を用いて、硬化性ホットメルトシリコーンを調製する場合には、(A)成分および(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.7〜1.5モルの範囲内となる量であることが好ましい。
【0031】
(D)成分は、本組成物のヒドロシリル化反応を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒である。このような(D)成分としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、本組成物の硬化を著しく促進できることから白金系触媒が好ましい。この白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体が例示され、特に、白金−アルケニルシロキサン錯体が好ましい。このアルケニルシロキサンとしては、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのメチル基の一部をエチル基、フェニル基等で置換したアルケニルシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのビニル基をアリル基、ヘキセニル基等で置換したアルケニルシロキサンが例示される。特に、この白金−アルケニルシロキサン錯体の安定性が良好であることから、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンであることが好ましい。
【0032】
(D)成分の添加量は、ヒドロシリル化反応を促進する量であり、具体的には、(A)〜(C)成分の合計量に対して、本成分中の金属原子が質量単位で0.01〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましく、さらには、0.01〜100ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特には、0.01〜50ppmの範囲内となる量であることが好ましい。これは、(D)成分の添加量が上記範囲の下限以上であると、本組成物のヒドロシリル化反応を十分に促進できるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる硬化物に着色等の問題を生じにくくなるからである。
【0033】
本組成物には、本組成物の硬化反応を調整するための任意の成分として、(E)反応抑制剤を含有してもよい。このような(E)成分としては、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾールが例示される。(E)成分の含有量は限定されないが、上記(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して0.0001〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
【0034】
さらに、本組成物には、光半導体素子からの発光波長を変換するために、蛍光体を含有してもよい。この蛍光体としては、例えば、発光ダイオード(LED)に広く利用されている、酸化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、酸硫化物系蛍光体等からなる黄色、赤色、緑色、および青色発光蛍光体が挙げられる。酸化物系蛍光体としては、セリウムイオンを包含するイットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系緑色〜黄色発光蛍光体、セリウムイオンを包含するテルビウム、アルミニウム、ガーネット系のTAG系黄色発光蛍光体、および、セリウムやユーロピウムイオンを包含するシリケート系緑色〜黄色発光蛍光体が例示される。酸窒化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するケイ素、アルミニウム、酸素、窒素系のサイアロン系赤色〜緑色発光蛍光体が例示される。窒化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するカルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、ケイ素、窒素系のカズン系赤色発光蛍光体が例示される。硫化物系蛍光体としては、銅イオンやアルミニウムイオンを包含するZnS系緑色発色蛍光体が例示される。酸硫化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するYS系赤色発光蛍光体が例示される。これらの蛍光体を2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0035】
また、本組成物には、その接着性を向上させるための接着付与剤を含有してもよい。この接着付与剤としては、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を一分子中に少なくとも1個有する有機ケイ素化合物が好ましい。このアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基が例示され、特に、メトキシ基が好ましい。また、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等のハロゲン置換もしくは非置換の一価炭化水素基;3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシシクロヘキシルアルキル基;3,4−エポキシブチル基、7,8−エポキシオクチル基等のエポキシアルキル基;3−メタクリロキシプロピル基等のアクリル基含有一価有機基;水素原子が例示される。この有機ケイ素化合物は本組成物中のアルケニル基またはケイ素原子結合水素原子と反応し得る基を有することが好ましく、具体的には、ケイ素原子結合水素原子またはアルケニル基を有することが好ましい。また、各種の基材に対して良好な接着性を付与できることから、この有機ケイ素化合物は一分子中に少なくとも1個のエポキシ基含有一価有機基を有するものであることが好ましい。このような有機ケイ素化合物としては、オルガノシラン化合物、オルガノシロキサンオリゴマー、アルキルシリケートが例示される。このオルガノシロキサンオリゴマーあるいはアルキルシリケートの分子構造としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、環状、網状が例示され、特に、直鎖状、分枝鎖状、網状であることが好ましい。このような有機ケイ素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物;一分子中にケイ素原子結合アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子、およびケイ素原子結合アルコキシ基をそれぞれ少なくとも1個ずつ有するシロキサン化合物、ケイ素原子結合アルコキシ基を少なくとも1個有するシラン化合物またはシロキサン化合物と一分子中にケイ素原子結合ヒドロキシ基とケイ素原子結合アルケニル基をそれぞれ少なくとも1個ずつ有するシロキサン化合物との混合物、メチルポリシリケート、エチルポリシリケート、エポキシ基含有エチルポリシリケートが例示される。この接着付与剤は低粘度液状であることが好ましく、その粘度は限定されないが、25℃において1〜500mPa・sの範囲内であることが好ましい。また、本組成物において、この接着付与剤の含有量は限定されないが、本組成物の合計100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0036】
また、本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、ケイ素原子結合水素原子を有さないシリコーン成分;シリカ、酸化チタン、ガラス、アルミナ、酸化亜鉛等の無機質充填剤;ポリメタクリレート樹脂等の有機樹脂微粉末;耐熱剤、染料、顔料、難燃性付与剤を含有してもよい。
【0037】
次に、本発明の硬化性ホットメルトシリコーンを詳細に説明する。
【0038】
本発明の硬化性ホットメルトシリコーンは、
上記(A)成分 100質量部、
上記(B)成分 0〜40質量部、
上記(C)成分{(A)成分と(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜2.0モルとなる量}、および
上記(D)成分(本組成物のヒドロシリル化反応を促進するのに十分な量)
から少なくともなる硬化性シリコーン組成物を、硬化物を形成しない程度にヒドロシリル化反応してなる、25℃で非流動性であり、100℃での溶融粘度が5,000Pa・s以下であることを特徴とする。
【0039】
本発明の硬化性ホットメルトシリコーンを調製するための硬化性シリコーン組成物において、(A)成分〜(D)成分およびその他任意の成分については上記のとおりである。
【0040】
本ホットメルトシリコーンにおいて、上記硬化性シリコーン組成物を、硬化物を形成しない程度にヒドロシリル化反応するとは、上記硬化性シリコーン組成物の硬化反応を途中で止めることを意味し、具体的には、上記硬化性シリコーン組成物中のアルケニル基またはケイ素結合水素原子のいずれか少ない方が50%〜90%を消費されるまで、すなわち反応の転化率が50%〜90%となるまでヒドロシリル化反応を進行させることが好ましい。この転化率は、例えば、示差走査型熱量計(DSC)を用いて、反応熱の差から求めることができる。
【0041】
本ホットメルトシリコーンは25℃において非流動性で、100℃の溶融粘度が5,000Pa・s以下、好ましくは、10〜3,500Pa・sの範囲内である。ここで、非流動性とは、無負荷の状態で流動しないことを意味し、例えば、JIS K 6863−1994「ホットメルト接着剤の軟化点試験方法」で規定されるホットメルト接着剤の環球法による軟化点試験方法で測定される軟化点未満での状態を示し、つまり、25℃において非流動性であるためには、軟化点が25℃よりも高い必要がある。25℃において非流動性であると、該温度での形状保持性が良好で、表面粘着性の低い硬化性ホットメルトシリコーンが得られるからである。また、100℃の溶融粘度が上記の範囲内であると、ホットメルト後、25℃に冷却した後の密着性が良好な硬化性ホットメルトシリコーンが得られる。また、本ホットメルトシリコーンの軟化点は25℃よりも高いが、50℃よりも低いことが好ましい。すなわち、本ホットメルトシリコーンは、50℃で2,000Pa・s以上の溶融粘度を有することが好ましく、さらに、50℃の溶融粘度が100℃の溶融粘度の2倍以上であることが好ましく、さらには、25倍以上であることが好ましい。これは、50℃の溶融粘度が上記の下限以上であり、50℃の溶融粘度が100℃の溶融粘度に対して、上記の下限以上であると、25℃において非流動性で、表面粘着性が低く、良好なホットメルト性を示すからである。
【0042】
本ホットメルトシリコーンはさまざまな形状に加工することができ、たとえば、厚さが5μm〜5mmのシート状、粉体状、もしくはタブレット状とすることができる。得られたさまざまな形状のホットメルトシリコーンを、ラミネーション、圧縮成形、トランスファー成形など、さまざまな方法で所望の形状の硬化物へと変換することができる。
【0043】
次に、本発明の光デバイスを説明する。
【0044】
本発明の光デバイスは、光半導体素子が上記の硬化性シリコーン組成物または上記の硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物により封止、保護、または被覆されていることを特徴とする。この光半導体素子としては、発光ダイオード素子が例示される。また、このような光デバイスとしては、発光ダイオード(LED)が例示される。
【0045】
本発明は凸状硬化物を備える光デバイスにも関する。図1乃至図4は、平坦な表面を有する基板1上にLED2を搭載しており、更に、凸状硬化物3を備える光デバイスを示す。なお、LED2と基板1上の図示を省略する電極とは図示を省略するワイヤ等で接続されている。
【0046】
図1及び図2に示す本発明の光デバイスは上記の硬化性シリコーン組成物を、LED2を被覆するように基板1上に滴下し、硬化させて、凸状硬化物3を形成することによって製造することができる。図1及び図2に示す本発明の光デバイスでは凸状硬化物3が半球状であるために、光の射出方向を制御したり、正面輝度が高くなり過ぎることを抑制することができ、優れた光学特性を発揮することができる。
【0047】
図3は、図1とは異なり、やや扁平なドーム状の凸状硬化物3を備える光デバイスを示す。なお、図1及び図2の場合と同様に、LED2と基板1上の図示を省略する電極とは図示を省略するワイヤ等で接続されている。図3に示す本発明の光デバイスでは凸状硬化物3がやや扁平であるために、光デバイスの厚みを抑制することができる。
【0048】
図4は、図1とは異なり、半円筒形状の凸状硬化物3を備える光デバイスを示す。なお、図1及び図2の場合と同様に、LED2と基板1上の図示を省略する電極とは図示を省略するワイヤ等で接続されている。図4に示す本発明の光デバイスでは凸状硬化物3が半円筒状であるために、凸状硬化物3を基板1上に比較的密に配置することができる。
【0049】
図1乃至図4に示す態様では、基板1表面に滴下された硬化性シリコーン組成物の広がりを防止するダム材(突部)を基板1の表面に形成する必要がない。したがって、平坦な表面を備える基板1であっても、半球状、半円筒形状、ドーム形状等の凸状硬化物3を容易に製造することができる。また、硬化性シリコーン組成物の広がりを防止するためのダム材が不要となるため、本発明の製造方法で得られる光デバイスは、ダイシングによりダム材を切断する必要がない。
【0050】
一方、図5は、図1乃至図4とは異なり、LED2の周囲に反射材4を有する光デバイスを示す。図5に示す本発明の光デバイスは、基板1上にLED2と反射材4を有し、更に、凸状硬化物3を備える。なお、LED2と基板1上の図示を省略する電極とは図示を省略するワイヤ等で接続されている。図5に示す本発明の光デバイスは上記の硬化性シリコーン組成物を、LED2を被覆するように反射材4の枠内に滴下し、硬化させて、凸状硬化物3を形成することによって製造することができる。従来、枠内を封止材で充填させた後に、レンズを接着させて図5に類似の光デバイスを製造することができるが、本発明の製造方法では、封止材の充填工程とレンズ形成工程を同時に実施することができるので、光デバイスの製造工程を簡略化できる。さらに、レンズと封止材を接着させる必要が無くなるため、レンズと封止材との間での光反射を解消することもできる。
【実施例】
【0051】
本発明の硬化性シリコーン組成物、硬化性ホットメルトシリコーン、および光デバイスを実施例と比較例により詳細に説明する。硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さ、着色度、および硬化性ホットメルトシリコーンの25℃における表面粘着性、50℃および100℃の溶融粘度、反応の転化率を次のようにして測定した。また、式中、Me、Ph、Viはそれぞれメチル基、フェニル基、ビニル基を表す。
【0052】
[硬化物の硬さ]
硬化性シリコーン組成物を180℃で1時間プレス成形することによりシート状の硬化物を作製した。このシート状硬化物の硬さをJIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定した。
【0053】
[硬化物の着色度]
硬化性シリコーン組成物を180℃で1時間保持して硬化させ、厚み2mmの試験体を作製した。この試験体の初期および180℃で240時間加熱した後の着色度を測定した。着色度は、分光測色計を用いて測定し、JIS Z 8729-1980「L表色系及びL表色系による物体色の表示方法」におけるL表色系で用いられるbの値を黄色方向への着色度の指標として用いた。
【0054】
[硬化性ホットメルトシリコーンの表面粘着性]
硬化性ホットメルトシリコーンの25℃における表面粘着性を指触により観察した。
【0055】
[硬化性ホットメルトシリコーンの溶融粘度]
硬化性ホットメルトシリコーンの50℃および100℃の溶融粘度を、ティー・エイ・インスツルメント社製のAR550レオメーターにより、直径20mm、コーン角2°のコーンプレートを用いて、せん断速度1/sで測定した。
【0056】
[反応の転化率]
硬化性ホットメルトシリコーンおよびその原料である硬化性シリコーン組成物について、セイコーインスツルメント社製示差走査熱量計(DSC)XDSC7000を用いてヒドロシシリル化反応の発熱量を測定し、下記の数式から硬化性ホットメルトシリコーンの反応転化率を求めた。
【数1】
X:硬化性シリコーン組成物を硬化させた際に測定された熱量。
Y:硬化性ホットメルトシリコーンを硬化させた際に測定された熱量。
【0057】
[光デバイスの信頼性試験]
光半導体素子を実装したセラミック基板上に、本発明の硬化性シリコーン組成物もしくは硬化性ホットメルトシリコーンを用いて、150℃で5分間圧縮成形し、ドーム状の硬化物を形成させた後、オーブン中で150℃、2時間後硬化させ、図1で示される光デバイスを作製した。
【0058】
この光デバイスを85%相対湿度下、85℃で700mAで通電発光させた。100時間後、取り出し、30mA発光させた時の光放射束(mW)を測定し、初期の光放射束の保持率を算出した。
【0059】
[実施例1]
平均単位式:
(ViMeSiO2/2)0.3(PhSiO3/2)0.7(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を7.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 62.1質量部、平均単位式::
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 10.0質量部、式:
PhSi(OSiMeH)
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.60質量%含有するオルガノポリシロキサン 27.9質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.0モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で1ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0060】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表1に示した。
【0061】
[実施例2]
平均単位式:
(MeSiO2/2)0.05(ViMeSiO2/2)0.28(PhSiO3/2)0.67(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を6.6質量%含有するオルガノポリシロキサン 67.1質量部、平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 10.0質量部、式:
PhMeSi(OSiMeH)
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.75質量%含有するオルガノポリシロキサン 22.9質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.00モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で1ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0062】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表1に示した。
【0063】
[実施例3]
平均単位式:
(MeSiO2/2)0.02(ViMeSiO2/2)0.28(PhSiO3/2)0.70(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を6.5質量%含有するオルガノポリシロキサン 50.2質量部、平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 10.0質量部、平均式:
MeHSiO(SiPhO)2.5SiMe
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.32質量%含有するオルガノポリシロキサン 9.9質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.00モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で5.5ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0064】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表1に示した。
【0065】
[実施例4]
平均単位式:
(MeSiO2/2)0.02(ViMeSiO2/2)0.28(PhSiO3/2)0.70(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を6.5質量%含有するオルガノポリシロキサン 56.2質量部、平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 10.0質量部、平均式:
MeHSiO(SiPhO)2.5SiMe
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.32質量%含有するオルガノポリシロキサン 3.8質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.00モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で5.5ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0066】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表1に示した。
【0067】
[実施例5]
平均単位式:
(MeSiO2/2)0.02(ViMeSiO2/2)0.28(PhSiO3/2)0.70(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を6.5質量%含有するオルガノポリシロキサン 67.3質量部、平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 10.0質量部、式:
PhSi(OSiMeH)
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.60質量%含有するオルガノポリシロキサン 22.7質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.00モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で5.5ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0068】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表1に示した。
【0069】
[実施例6]
平均単位式:
(MeSiO2/2)0.02(ViMeSiO2/2)0.28(PhSiO3/2)0.70(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を6.5質量%含有するオルガノポリシロキサン 70.6質量部、式:
PhSi(OSiMeH)
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.60質量%含有するオルガノポリシロキサン 29.4質量部(上記オルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.1モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で5.5ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0070】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表1に示した。
【0071】
[実施例7]
平均単位式:
(MeSiO2/2)0.02(ViMeSiO2/2)0.28(PhSiO3/2)0.70(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を6.5質量%含有するオルガノポリシロキサン 49.4質量部、平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 30.0質量部、式:
PhSi(OSiMeH)
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.60質量%含有するオルガノポリシロキサン 23.2質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.8モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で4.0ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0072】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さ、着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表1に示した。
【0073】
【表1】
【0074】
[実施例8]
実施例1で調製した硬化性シリコーン組成物を120℃で20分間加熱したところ、25℃において非流動性であり、表面粘着性が低い硬化性ホットメルトシリコーンが得られた。この硬化性ホットメルトシリコーンの50℃および100℃における溶融粘度は、それぞれ、8,060Pa・sおよび180Pa・sであり、反応転化率は65%であった。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを180℃で加熱したところ、一旦溶融した後、硬化し、5分以内にホットメルト性を持たない硬化物を与えた。
【0075】
この硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表2に示した。
【0076】
[実施例9]
実施例2で調製した硬化性シリコーン組成物を120℃で30分間加熱したところ、25℃において非流動性であり、表面粘着性が低い硬化性ホットメルトシリコーンが得られた。この硬化性シリコーンホットメルトの50℃および100℃における溶融粘度は、それぞれ、10,100Pa・sおよび100Pa・sであり、反応転化率は66%であった。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを180℃で加熱したところ、一旦溶融した後、硬化し、5分以内にホットメルト性を持たない硬化物を与えた。
【0077】
この硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表2に示した。
【0078】
[実施例10]
実施例3で調製した硬化性シリコーン組成物を120℃で20分間加熱したところ、25℃において非流動性であり、表面粘着性が低い硬化性ホットメルトシリコーンが得られた。この硬化性ホットメルトシリコーンの50℃および100℃における溶融粘度は、それぞれ、12,000Pa・sおよび3,050Pa・sであり、反応転化率は73%であった。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを180℃で加熱したところ、一旦溶融した後、硬化し、5分以内にホットメルト性を持たない硬化物を与えた。
【0079】
この硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表2に示した。
【0080】
[実施例11]
実施例4で調製した硬化性シリコーン組成物を120℃で10分間加熱したところ、25℃において非流動性であり、表面粘着性が低い硬化性ホットメルトシリコーンが得られた。この硬化性ホットメルトシリコーンの50℃および100℃における溶融粘度は、それぞれ、2,580Pa・sおよび27Pa・sであり、反応転化率は70%であった。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを180℃で加熱したところ、一旦溶融した後、硬化し、5分以内にホットメルト性を持たない硬化物を与えた。
【0081】
この硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表2に示した。
【0082】
[実施例12]
実施例5で調製した硬化性シリコーン組成物を120℃で10分間加熱したところ、25℃において非流動性であり、表面粘着性が低い硬化性ホットメルトシリコーンが得られた。この硬化性ホットメルトシリコーンの50℃および100℃における溶融粘度は、それぞれ、10,400Pa・sおよび152Pa・sであり、反応転化率は74%であった。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを180℃で加熱したところ、一旦溶融した後、硬化し、5分以内にホットメルト性を持たない硬化物を与えた。
【0083】
この硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表2に示した。
【0084】
[実施例13]
実施例6で調製した硬化性シリコーン組成物を120℃で10分間加熱したところ、25℃において非流動性であり、表面粘着性が低いホットメルト性シリコーンが得られた。この硬化性ホットメルトシリコーンの50℃および100℃における溶融粘度は、それぞれ、12,200Pa・sおよび158Pa・sであり、反応転化率は60%であった。この硬化性ホットメルトシリコーンを180℃で加熱したところ、一旦溶融した後、硬化し、5分以内にホットメルト性を持たない硬化物を与えた。
【0085】
この硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表2に示した。
【0086】
[実施例14]
実施例7で調製した硬化性シリコーン組成物を120℃で10分間加熱したところ、25℃において非流動性であり、表面粘着性が低い硬化性ホットメルトシリコーンが得られた。この硬化性ホットメルトシリコーンの50℃および100℃の溶融粘度は、それぞれ、12,700Pa・sおよび3,400Pa・sであり、反応転化率は58%であった。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを180℃で加熱したところ、一旦溶融した後、硬化し、5分以内にホットメルト性を持たない硬化物を与えた。
【0087】
この硬化性ホットメルトシリコーンの硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性ホットメルトシリコーンを用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表2に示した。
【0088】
【表2】
【0089】
[比較例1]
平均単位式:
(ViMeSiO2/2)0.25(PhSiO2/2)0.30(PhSiO3/2)0.45(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を4.9質量%含有するオルガノポリシロキサン 71.7質量部、平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 10.0質量部、式:
PhMeSi(OSiMeH)
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.75質量%含有するオルガノポリシロキサン 18.3質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.00モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で1ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0090】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表3に示した。
【0091】
[比較例2]
平均単位式:
(ViMeSiO2/2)0.10(MeSiO2/2)0.15(PhSiO3/2)0.75(HO1/2)0.03
で表される、ビニル基を4.9質量%含有するオルガノポリシロキサン 67.8質量部、平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 20.0質量部、式:
PhSi(OSiMeH)
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.60質量%含有するオルガノポリシロキサン 18.3質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.00モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で1ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0092】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表3に示した。
【0093】
[比較例3]
平均単位式:
(ViMeSiO2/2)0.10(MeSiO2/2)0.15(PhSiO3/2)0.75(HO1/2)0.03
で表される、ビニル基を4.9質量%含有するオルガノポリシロキサン 64.0質量部、平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 10.0質量部、式:
PhSi(OSiMeH)
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.60質量%含有するオルガノポリシロキサン 26.0質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1.26モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.00モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で1ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0094】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表3に示した。
【0095】
[比較例4]
平均単位式:
(ViMeSiO2/2)0.25(MeSiO2/2)0.20(PhSiO3/2)0.55(HO1/2)0.01
で表される、ビニル基を4.9質量%含有するオルガノポリシロキサン 76.0質量部、平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.10(PhMeSiO2/2)0.90(HO1/2)0.02
で表される、ビニル基を2.0質量%含有するオルガノポリシロキサン 24.0質量部、式:
PhSi(OSiMeH)
で表される、ケイ素原子結合水素原子を0.60質量%含有するオルガノポリシロキサン 27.0質量部(上記2種のオルガノポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.00モルとなる量)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液(本組成物に対して白金金属が質量単位で1ppmとなる量)、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール(本組成物に対して質量単位で100ppmとなる量)を混合して、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0096】
この硬化性シリコーン組成物の硬化物の硬さおよび着色度を測定した。また、この硬化性シリコーン組成物を用いて作製した光デバイスの信頼性試験を行った。これらの結果を表3に示した。
【0097】
[比較例5]
比較例2で調製した硬化性シリコーン組成物を120℃で5分間、10分間、および15分間加熱したところ、いずれの場合も硬化物が得られ、ホットメルト性を有していないことがわかった。
【0098】
[比較例6]
比較例4で調製した硬化性シリコーン組成物を120℃で5分間、10分間、および15分間加熱したところ、いずれの場合も硬化物が得られ、ホットメルト性を有していないことがわかった。
【0099】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、耐光性および耐熱性に優れた硬化物を与えるので、光デバイスをはじめ、耐久性が求められる用途に好適である。また、本発明のホットメルト性シリコーンは、25℃において非流動性で、表面粘着性が低く、加熱により容易に溶融した後、硬化し、前記硬化性シリコーン組成物から得られる硬化物と同等の耐光性および耐熱性に優れた硬化物を与えるので、耐熱性、耐光性が求められる半導体装置の封止材やホットメルト接着剤などに好適である。また、本発明の硬化性シリコーンホットメルトは、ホットメルト性に加えて、硬化性を有するので、耐久性が求められる上記の用途に好適である。また、本発明の光デバイスは、光半導体素子が耐光性および耐熱性に優れたシリコーン硬化物によって、封止、保護、あるいは被覆されているので、高い耐久性が求められる光デバイスに好適である。
【符号の説明】
【0101】
1 基板
2 LED
3 凸状硬化物
4 反射材
図1
図2
図3
図4
図5