(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図6に従って第1実施形態を説明する。
図1(a)に示すように、配線基板10は、基板本体11を有している。基板本体11の下面には、配線層21と、ソルダーレジスト層22とが順に積層されている。また、基板本体11の上面には、配線層31と、ソルダーレジスト層32とが順に積層されている。
【0011】
基板本体11としては、例えば、コア基板、コア基板を有するコア付きビルドアップ基板、コア基板を有していないコアレス基板を用いることができる。基板本体11としてコアレス基板を採用する場合には、例えば、最上層の配線層31の側面及び下面が基板本体11の最上層の絶縁層に埋め込まれ、配線層31の上面が最上層の絶縁層から露出されていてもよい。
【0012】
配線層21,31の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。ソルダーレジスト層22,32の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などを主成分とする感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層22,32は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。
【0013】
配線層31は、基板本体11の上面に形成されている。この配線層31は、配線基板10の最上層の配線層である。配線層31は、基板本体11内の配線層や貫通電極を介して、配線層21と電気的に接続されている。
【0014】
ソルダーレジスト層(保護絶縁層)32は、配線層31の一部を被覆するように、基板本体11の上面に積層されている。なお、配線層31の上面からソルダーレジスト層32の上面32Aまでの厚さは、例えば、15〜25μm程度とすることができる。
【0015】
ソルダーレジスト層32には、配線層31の上面の一部を接続パッドP1として露出させるための複数の貫通孔32Xが形成されている。接続パッドP1は、半導体チップ60(
図2(a)参照)等の電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドである。
【0016】
図1(b)に示すように、貫通孔32Xは、深さ方向の中途に段差を有している。この貫通孔32Xは、ソルダーレジスト層32の上面32Aに形成された凹部33と、凹部33の底部に形成され、凹部33よりも平面形状が小さく形成された開口部34とが連通されて構成され、所謂お椀型に構成されている。
【0017】
凹部33は、ソルダーレジスト層32の上面32Aからソルダーレジスト層32の厚さ方向の中途位置まで形成されている。すなわち、凹部33は、その底面がソルダーレジスト層32の厚さ方向の中途に位置するように形成されている。この凹部33は、配線層31側から開口端(ソルダーレジスト層32の上面32A側)に向かって末広がり形状で形成されている。また、凹部33の内壁は、断面視凹型R形状に形成されている。すなわち、凹部33の内壁面は曲面に形成されている。例えば、凹部33の内壁面は、断面視において、ソルダーレジスト層32の上面32A側の上端から凹部33の底面側の下端まで曲線状(引弧線状)に形成されている。本例の凹部33の内壁面は、断面視において、開口端から配線層31に向かって略楕円弧状に凹むように形成されている。本例の凹部33は、例えば、断面視略半楕円状に形成されている。また、凹部33は、例えば、平面視略円形状に形成されている。
【0018】
開口部34は、凹部33の底部の一部に形成され、配線層31の上面の一部を露出するように形成されている。本例の開口部34の内壁面は、平面に形成されている。例えば、開口部34の内壁面は、断面視において、配線層31の上面に対して略垂直に延びるように形成されている。すなわち、本例の開口部34は、例えば、断面視略矩形状(ストレート形状)に形成されている。具体的には、開口部34の内壁面は、断面視において、凹部33の底面側の上端から配線層31の上面側の下端まで直線形状に形成されている。また、開口部34は、例えば凹部33と同様に、平面視略円形状に形成されている。但し、開口部34の開口端の開口径Φ2(直径)は、凹部33の開口端の開口径Φ1(直径)よりも小径に設定されている。凹部33の開口径Φ1は例えば40〜50μm程度とすることができ、開口部34の開口径Φ2は例えば15〜20μm程度とすることができる。また、凹部33の深さは例えば10〜15μm程度とすることができ、開口部34の深さは例えば5〜10μm程度とすることができる。また、開口部34の内壁面は、粗化面とすることができる。
【0019】
以上説明した凹部33の内壁面と開口部34の内壁面とによって段差が形成されている。そして、貫通孔32Xには、凹部33の内壁面の下端と開口部34の内壁面の上端との接続部に角部35が形成されている。
【0020】
貫通孔32Xの底部に露出する配線層31の上面、つまり接続パッドP1上には、必要に応じて、表面処理層36が形成されている。表面処理層36は、例えば、貫通孔32Xから露出する配線層31の上面全面を被覆するように形成されている。本例の表面処理層36は、その上面が角部35よりも下側に位置するように形成されている。すなわち、本例の表面処理層36の厚さは、開口部34の深さよりも薄く形成されている。
【0021】
表面処理層36の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。表面処理層36の他の例としては、Ni層/Pd層(Ni層とPd層をこの順番で積層した金属層)、Pd層/Au層(Pd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。ここで、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金(Ni−P、Ni−B、Ni−W、Ni−W−P等)からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金(Pd−P等)からなる金属層である。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)や、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき金属層)を用いることができる。また、貫通孔32Xに露出する配線層31の上面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して表面処理層36を形成するようにしてもよい。例えば、OSP処理を施した場合には、配線層31の上面に、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜による表面処理層36が形成される。
【0022】
接続パッドP1の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。接続パッドP1の平面形状は、例えば開口部34と同様に、直径が15〜40μm程度の円形状とすることができる。接続パッドP1のピッチは、例えば、30〜70μm程度とすることができる。また、表面処理層36において、Ni層の厚さは例えば0.01〜30μm程度、Pd層の厚さは例えば0.01〜1μm程度、Au層の厚さは例えば0.01〜1μm程度、OSP膜の厚さは例えば0.005〜0.5μm程度とすることができる。
【0023】
表面処理層36の上面には、はんだバンプ40が形成されている。はんだバンプ40は、例えば、表面処理層36の上面全面を被覆するように形成されている。はんだバンプ40は、例えば、凹部33の底部の一部を被覆し、貫通孔32Xの角部35に食い込むように形成されている。換言すると、角部35がはんだバンプ40に食い込むように形成されている。このとき、表面処理層36内の金属がはんだバンプ40内に拡散して表面処理層36が消失する場合がある。この場合には、はんだバンプ40は、配線層31の上面を被覆するように形成される。また、表面処理層36内の金属がはんだバンプ40内に拡散して表面処理層36の一部が消失する場合がある。この場合には、はんだバンプ40は、残った表面処理層36の上面を被覆するように形成される。なお、はんだバンプ40の材料としては、例えば、共晶はんだや鉛(Pb)フリーはんだ(Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系など)を用いることができる。また、はんだバンプ40のピッチは、接続パッドP1のピッチと同様に、例えば30〜50μm程度とすることができる。
【0024】
一方、
図1(a)に示すように、配線層21は、基板本体11の下面に形成されている。この配線層21は、配線基板10の最下層の配線層である。
ソルダーレジスト層22は、配線層21の一部を被覆するように、基板本体11の下面に積層されている。ソルダーレジスト層22には、配線層21の下面の一部を外部接続用パッドP2として露出させるための複数の貫通孔22Xが形成されている。外部接続用パッドP2には、配線基板10をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用される外部接続端子66(
図2(a)参照)が接続されるようになっている。
【0025】
本例の貫通孔22Xの内壁面は、断面視において、配線層21の下面に対して略垂直に延びるように形成されている。なお、貫通孔22Xの形状はこれに限らず、貫通孔22Xの内壁面を曲面に形成してもよいし、貫通孔22Xをテーパ状に形成してもよい。
【0026】
貫通孔22Xの底部に露出する配線層21の下面には、必要に応じて、表面処理層23が形成されている。表面処理層23の例としては、表面処理層36と同様に、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層、Ni層/Pd層、Pd層/Au層などを挙げることができる。また、表面処理層23として、例えば、OSP処理を施して形成したOSP膜を採用することもできる。OSP膜としては、例えば、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜を用いることができる。なお、配線層21の下面に表面処理層23が形成されている場合には、その表面処理層23が外部接続用パッドP2として機能する。
【0027】
本例では、表面処理層23上に外部接続端子66(
図2(a)参照)を設けるようにしたが、貫通孔22Xに露出する配線層21(又は、配線層21上に表面処理層23が形成されている場合には、その表面処理層23)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0028】
次に、
図2に従って、半導体装置50の構造について説明する。
図2(a)に示すように、半導体装置50は、配線基板10と、1つ又は複数(ここでは、1つ)の半導体チップ60と、アンダーフィル材65と、外部接続端子66とを有している。
【0029】
図2(b)に示すように、半導体チップ60は、その回路形成面(ここでは、下面)に、複数の接続端子61が形成されている。半導体チップ60は、配線基板10にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体チップ60は、接続端子61及びはんだバンプ40を介して、配線基板10の表面処理層36に電気的に接続されている。はんだバンプ40は、表面処理層36に接合されるとともに、接続端子61に接合されている。
【0030】
ここで、半導体チップ60としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体チップ60としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることもできる。なお、配線基板10に複数の半導体チップ60を搭載する場合には、ロジックチップとメモリチップとを組み合わせて配線基板10に搭載するようにしてもよい。
【0031】
接続端子61としては、例えば、金属ポストを用いることができる。この接続端子61は、半導体チップ60の回路形成面から下方に延びる柱状の接続端子である。本例の接続端子61は、例えば、円柱状に形成されている。接続端子61の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。なお、接続端子61としては、金属ポストの他に、例えば金バンプを用いることもできる。
【0032】
図2(a)に示すように、アンダーフィル材65は、配線基板10と半導体チップ60との隙間を充填するように設けられている。アンダーフィル材65の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0033】
外部接続端子66は、配線基板10の表面処理層23上に形成されている。この外部接続端子66は、例えば、図示しないマザーボード等の実装基板に設けられたパッドと電気的に接続される接続端子である。外部接続端子66としては、例えば、はんだボールやリードピンを用いることができる。本実施形態では、外部接続端子66として、はんだボールを用いている。
【0034】
なお、本実施形態において、配線層31は第1配線層の一例、ソルダーレジスト層32は保護絶縁層の一例、貫通孔32Xは第1貫通孔の一例である。
次に、配線基板10の製造方法について説明する。
【0035】
図3(a)に示す工程では、基板本体11の下面に配線層21が形成され、基板本体11の上面に配線層31が形成された構造体を準備する。
続いて、
図3(b)に示す工程では、配線層21の表面(下面及び側面)全面を被覆するソルダーレジスト層22を基板本体11の下面に積層し、配線層31の表面(上面及び側面)全面を被覆するソルダーレジスト層32を基板本体11の上面に積層する。これらソルダーレジスト層22,32は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートする、又は液状のソルダーレジストを塗布することにより形成することができる。なお、本実施形態では、ソルダーレジスト層22,32の材料として、ポジ型の感光性樹脂を用いる。
【0036】
次に、
図3(c)に示す工程では、フォトリソグラフィ法により、ソルダーレジスト層22の所要箇所に、配線層21の下面の一部を外部接続用パッドP2として露出する貫通孔22Xを形成する。また、フォトリソグラフィ法により、ソルダーレジスト層32の上面32Aのうち配線層31と平面視で重なる部分に凹部33を形成する。
【0037】
図4(a)に示すように、凹部33は、その底面がソルダーレジスト層32の厚さ方向の中途に位置するように形成されており、配線層31の上面に達するまでは形成されていない。そして、凹部33は、断面視略半楕円状に形成されている。このような凹部33は例えば以下のように形成することができる。
【0038】
まず、フォトマスク(図示略)を通じて、ポジ型の感光性樹脂層からなるソルダーレジスト層32に対して露光を行う。このフォトマスクは、凹部33に対応する開口部を有する。このとき、露光量(露光時間)やフォトマスクの開口部における光透過率などを調整することにより、配線層31と平面視で重なる部分のソルダーレジスト層32を厚さ方向の途中まで露光する。すなわち、本工程では、配線層31に到達するまで露光されないように、配線層31と平面視で重なる部分のソルダーレジスト層32に対して露光を行う。その後、ソルダーレジスト層32を現像する。この現像により、露光された部分のソルダーレジスト層32が除去され、未露光の部分のソルダーレジスト層32が残る。これにより、ソルダーレジスト層32の上面32Aに複数の凹部33が形成される。そして、本工程により、凹部33の内壁面が曲面となる。
【0039】
このとき、
図17に示した従来の配線基板のように、配線層101の上面まで露出する貫通孔102Xを形成すると、つまり配線層101に到達するまでソルダーレジスト層102を露光すると、貫通孔102Xの開口端の開口径Φ10が大径になってしまう。このため、貫通孔102Xを形成した場合には、狭ピッチ化に対応することが難しい。これに対し、本実施形態では、ソルダーレジスト層32の厚さの途中の位置に底面がある凹部33を形成するため、その凹部33の開口径を小径とすることができる。
【0040】
次に、
図4(b)に示す工程では、凹部33の底面に、凹部33と連通してソルダーレジスト層32を厚さ方向に貫通し、配線層31の上面の一部を接続パッドP1として露出する開口部34を形成する。本工程により、凹部33と開口部34とが連通してなる貫通孔32Xが形成される。本工程では、開口部34は、CO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。このレーザ加工法によれば、凹部33よりも小径の開口部34を容易に形成することができる。本工程では、レーザ加工法により開口部34を形成することで、開口部34の内壁面が略平面に形成される。また、レーザ加工法によって、開口部34の内壁面は粗化面に形成される。
【0041】
ところで、
図5(b)に示すように、従来の配線基板において、貫通孔102X(
図17参照)に代えて、テーパ状の貫通孔102Yをソルダーレジスト層102に形成することもできる。この貫通孔102Yは、例えば、レーザ加工法により形成することができる。レーザ加工法によれば、小径の貫通孔102Yを形成することが可能である。しかし、レーザ加工法はフォトリソグラフィ法に比べてアライメント精度が悪い。そして、貫通孔102Yが小径になると、図中右側に示すように、その貫通孔102Yが配線層101の受けパッドから外れるという問題が発生する。また、厚さが厚いソルダーレジスト層102に小径な貫通孔102Yを形成する場合には、レーザ光の焦点深度により、レーザスポット径が小さくなるに連れて加工が難しくなり、配線層101までレーザ光が届かず貫通孔102Yが形成されないという問題が発生する。
【0042】
これに対し、本実施形態では、フォトリソグラフィ法により、内壁面が曲面となる凹部33を形成した後に、レーザ加工法により、凹部33よりも小径の開口部34を凹部33の底部に形成するようにした。すなわち、貫通孔32Xの形成を、フォトリソグラフィ法とレーザ加工法との2段階で行うようにした。これにより、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、レーザ加工法によって形成される開口部34の深さを貫通孔102Yよりも浅くできる。このため、開口部34の上側の開口端の開口径Φ2を、貫通孔102Yの上側の開口端の開口径Φ11よりも小径に設定することができる。これによって、レーザ加工法のアライメント精度に起因して開口部34に位置ずれが生じても、その影響を小さくできる。すなわち、レーザ加工法のアライメント精度に起因して、開口部34が設計位置から位置ずれした場合であっても、その開口部34が配線層31の受けパッドから外れることを抑制することができる。この結果、本工程のレーザ加工(開口部34の形成)において、高いアライメント精度が必要なくなるため、貫通孔32X(開口部34)の更なる狭ピッチ化にも対応することができる。また、凹部33の形成により開口部34を形成するためのソルダーレジスト層32の厚さを薄くすることができるため、レーザ光が配線層31まで届かず貫通孔32Xが形成されないという問題の発生を抑制することができる。
【0043】
続いて、デスミア及びCuエッチング処理により、開口部34の底部に露出する配線層31の上面に付着した樹脂スミア(樹脂残渣)を除去する。
次いで、
図4(c)に示す工程では、開口部34の底部に露出する配線層31の上面に表面処理層36を形成する。例えば、表面処理層36がNi層/Pd層/Au層である場合には、配線層31の上面に、Ni層とPd層とAu層とをこの順番で積層して表面処理層36を形成する。これらNi層、Pd層、Au層は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。なお、本工程では、図示は省略するが、
図3(c)に示した貫通孔22Xの底部に露出する配線層21の下面に表面処理層23を形成する。
【0044】
次に、
図6(a)に示す工程では、表面処理層36上に、適宜フラックスを塗布した後に、球状のはんだボール42を搭載する。例えば、はんだボール42は、振込治具(図示略)の開口部を通してソルダーレジスト層32の各貫通孔32X内に振り込まれる。このとき、貫通孔32Xの上側の開口端(つまり、凹部33の開口端)が、レーザ加工法によって形成される貫通孔102Y(
図5(b)参照)よりも大径に形成されている。このため、貫通孔102Y内にはんだボール42を振り込む場合に比べて、貫通孔32X内に容易にはんだボール42を振り込むことができる。また、貫通孔32Xの内壁面が曲面に形成されている。これにより、貫通孔32Xの内壁面(曲面)に沿って球状のはんだボール42が振り込まれるため、凹部33がテーパ状に形成されている場合に比べて、はんだボール42の搭載性を向上させることができる。
【0045】
次に、
図6(b)に示す工程では、はんだボール42を搭載した配線基板10をリフロー処理して、表面処理層36上にはんだバンプ40を形成する。このリフロー処理前の貫通孔32Xにおいて、小径の開口部34が浅く形成され、さらに開口部34内には表面処理層36が形成されている。このため、貫通孔32X内に振り込まれたはんだボール42と表面処理層36の上面とを好適に接触させることができる。これにより、リフロー時に、はんだバンプ40中へのボイドの巻き込みを好適に抑制することができる。さらに、貫通孔32Xは、凹部33の内壁面と開口部34の内壁面とによって形成された段差を有している。このため、はんだボール42の下部が開口部34内に配置された状態で、はんだボール42を貫通孔32X内に好適に保持することができる。これにより、リフロー時に、はんだボール42が開口部34の外に移動しにくくなるため、表面処理層36上にはんだバンプ40が形成されない所謂ミッシングバンプの発生を抑制できる。
【0046】
その後、表面処理層36とはんだバンプ40との接合の際にフラックスを用いた場合は、洗浄により残存するフラックスを除去する。
以上説明した製造工程により、
図1に示した配線基板10を製造することができる。
【0047】
次に、
図6(c)に従って、半導体装置50の製造方法について説明する。
図6(c)に示す工程では、まず、回路形成面に形成された接続端子61を有する半導体チップ60を準備する。続いて、表面処理層36(はんだバンプ40)上に、半導体チップ60の接続端子61をフリップチップ接合する。例えば、表面処理層36と接続端子61とを位置合わせした後に、リフロー処理を行ってはんだバンプ40を溶融させ、このはんだバンプ40を接続端子61に接合させる。これにより、接続端子61がはんだバンプ40を介して表面処理層36に電気的に接続される。
【0048】
本工程において、はんだバンプ40の周囲には凹部33の凹型R形状の内壁面が配設されている。このため、半導体チップ60の搭載によって、はんだバンプ40が押し潰されて平面方向(配線基板10の積層方向と断面視で直交する方向)に広がっても、その広がりが凹部33の内壁面によって規制される。したがって、はんだバンプ40のピッチが狭ピッチになった場合であっても、隣接するはんだバンプ40が接触することを好適に抑制できる。このため、半導体チップ60と配線基板10との間の距離を縮めることができるようになる。これにより、配線基板10の反りやはんだバンプ40の高さばらつきが生じた場合であっても、はんだバンプ40と接続端子61が互いに離反して電気的な接続が行われない、所謂オープン不良が発生することを好適に抑制できる。
【0049】
その後、フリップチップ接合された半導体チップ60と配線基板10との間に、アンダーフィル材65(
図2(a)参照)を充填し、そのアンダーフィル材65を硬化する。また、
図2(a)に示した表面処理層23上に外部接続端子66を形成する。
【0050】
以上の製造工程により、
図2に示した半導体装置50を製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)配線層31の上面の一部を露出する貫通孔32Xを、ソルダーレジスト層32の上面32Aに形成され、内壁面が曲面に形成された凹部33と、凹部33の底部に形成され、凹部33よりも平面形状が小さく形成された開口部34とが連通されてなるように形成した。これにより、はんだボール42が振り込まれる側に、内壁面が曲面である凹部33を形成しつつも、その凹部33を浅く形成できる。このため、はんだボール42の搭載性を向上させつつも、凹部33を小径に形成することができる。この結果、凹部33(貫通孔32X)を狭ピッチに形成できるため、接続パッドP1(はんだバンプ40)の狭ピッチ化に容易に対応することができる。
【0051】
さらに、凹部33の底部に、配線層31の上面の一部を露出する開口部34を形成したため、開口部34の深さを貫通孔102Y(
図5(b)参照)よりも浅くできる。これにより、開口部34を小径に形成できるため、レーザ加工法のアライメント精度に起因して開口部34に位置ずれが生じた場合であっても、その開口部34が配線層31の受けパッドから外れることを好適に抑制することができる。また、凹部33の形成により開口部34を形成するためのソルダーレジスト層32の厚さを薄くすることができるため、レーザ光が配線層31まで届かず貫通孔32Xが形成されないという問題の発生を抑制することができる。
【0052】
(2)ところで、狭ピッチ化に対応するために、
図17に示したソルダーレジスト層102の厚さを薄くする方法も考えられる。しかし、ソルダーレジスト層102を薄くすると、貫通孔102Xが浅くなるため、はんだボールのリフロー時や半導体チップの接続の際に、貫通孔102X内ではんだを保持することができず、はんだが貫通孔102Xの外に流れ出し、隣接するはんだバンプ同士がショートするという問題が発生する。
【0053】
これに対し、本実施形態では、貫通孔32Xを2段形状とすることにより、ソルダーレジスト層32の厚さを薄くせずに貫通孔32Xの全体の深さを確保しつつも、貫通孔32Xの小径化に対応した。これにより、はんだボール42のリフロー時や半導体チップ60の接続の際に、貫通孔32X内にはんだを好適に保持することができ、はんだが貫通孔32Xの外に流れ出すことを好適に抑制できる。このため、隣接するはんだバンプ40がショートすることを好適に抑制することができ、絶縁信頼性を確保することができる。
【0054】
(3)ところで、
図17に示すように、フォトリソグラフィ法により、内壁面が曲面となる貫通孔102Xを形成した場合には、貫通孔102Xの下端が裾を引くような形状に形成される。このため、この場合には、配線層101に画定されたパッド101P上に樹脂残渣が残ってしまう。このように樹脂残渣の残ったパッド101P上に表面処理層(例えば、Ni層)を形成すると、樹脂残渣の存在に起因してNi層の膜質が低下する。例えば、Ni層にピンホールが発生する。このようなNi層の膜質の低下により、表面処理層とはんだバンプとの接合性が低下する。
【0055】
これに対し、配線基板10では、配線層31の上面の一部を露出する開口部34を、レーザ加工法により形成した。このため、開口部34の内壁面を、配線層31の上面に対して略垂直に延びるように形成することができる。これにより、接続パッドP1上に樹脂残渣が残ることを抑制できるため、表面処理層36の膜質を向上させることができる。この結果、表面処理層36とはんだバンプ40との接合性を向上させることができる。
【0056】
(4)開口部34から露出する配線層31の上面に表面処理層36を形成した。これにより、貫通孔32X内に振り込まれたはんだボール42と表面処理層36の上面とを好適に接触させることができる。このため、リフロー時に、はんだバンプ40中へのボイドの巻き込みを好適に抑制することができる。
【0057】
(5)表面処理層36の上面を、貫通孔32Xの角部35よりも下側に形成した。このため、凹部33の内壁面と開口部34の内壁面とによって形成された段差が外部に露出した状態の貫通孔32X内にはんだボール42が振り込まれる。これにより、リフロー時に、はんだボール42の移動が上記段差によって規制されるため、ミッシングバンプの発生を好適に抑制できる。
【0058】
(6)さらに、貫通孔32Xの角部35にはんだバンプ40が食い込むように形成されるため、はんだバンプ40の欠落を好適に抑制することができる。
(7)開口部34の内壁面を粗化面とすることにより、表面処理層36やはんだバンプ40との密着性を向上させることができる。
【0059】
(第2実施形態)
以下、
図7〜
図12に従って第2実施形態を説明する。先の
図1〜
図6に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0060】
図7(a)に示すように、配線基板10Aは、基板本体11を有している。基板本体11の下面には、配線層21と、ソルダーレジスト層22とが順に積層されている。また、基板本体11の上面には、配線層31,37と、ソルダーレジスト層32とが順に積層されている。なお、配線層31,37の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0061】
配線層31及び配線層37は、基板本体11の上面に形成された最上層の配線層である。これら配線層31及び配線層37は同一平面上に形成されている。また、配線層31と配線層37とは互いに離間して形成されている。配線層31,37は、例えば、基板本体11内の配線層や貫通電極を介して、配線層21と電気的に接続されている。
【0062】
配線層37は、例えば、グランド(GND)又は電源と接続される電源用のパッド37Pを有している。例えば、配線層37が配線基板10Aと接続される外部回路のグランド又は電源に接続されると、配線層37をグランドや電源の電位に固定することができる。一方、配線層31は、例えば、信号用のパッド31Pを有している。電源用のパッド37Pは、信号用のパッド31Pよりも平面形状が大きく形成されている。これらパッド31P,37Pは、半導体チップ60(
図9(a)参照)等の電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドでもある。
【0063】
図8に示すように、各パッド31P,37Pは、平面視略円形状に形成されている。複数のパッド31Pは、例えば、半導体チップ60が実装される実装領域の中央部分に形成されている。複数のパッド31Pは、例えば、平面視においてマトリクス状に配列されている。また、複数のパッド37Pは、例えば、複数のパッド31Pの周囲を囲むように形成されている。複数のパッド37Pは、例えば、平面視においてペリフェラル状に配列されている。ここで、パッド31Pの直径はパッド37Pの直径よりも小径に設定され、パッド31Pのピッチはパッド37Pのピッチよりも狭く設定されている。パッド31Pの直径は例えば15〜40μm程度とすることができ、パッド37Pの直径は例えば70〜150μm程度とすることができる。また、パッド31Pのピッチは例えば30〜70μm程度とすることができ、パッド37Pのピッチは例えば100〜200μm程度とすることができる。
【0064】
このように、
図7(a)に示した配線基板10Aでは、基板本体11の上面に、直径の異なるパッド31P,37Pが形成されている。すなわち、配線基板10Aでは、直径の異なるパッド31P,37Pが同一平面上に形成されている。
【0065】
ソルダーレジスト層32(保護絶縁層)は、配線層31の一部と配線層37の一部とを被覆するように、基板本体11の上面に積層されている。ソルダーレジスト層32には、配線層31に画定された信号用のパッド31Pを露出させるための貫通孔32Xと、配線層37に画定された電源用のパッド37Pを露出させるための貫通孔32Yが形成されている。
【0066】
図7(b)に示すように、貫通孔32Xは、パッド31P,37Pのうち小径のパッド31Pを露出するように形成されている。ソルダーレジスト層32の上面32Aに形成された凹部33と、凹部33の底部に形成され、凹部33よりも平面形状が小さく形成された開口部34とが連通されてなる。
【0067】
凹部33は、ソルダーレジスト層32の上面32Aからソルダーレジスト層32の厚さ方向の中途位置まで形成されている。すなわち、凹部33は、その底面がソルダーレジスト層32の厚さ方向の中途に位置するように形成されている。この凹部33は、配線層31側から開口端(ソルダーレジスト層32の上面32A側)に向かって末広がり形状で形成されている。また、凹部33の内壁は、断面視凹型R形状に形成されている。すなわち、凹部33の内壁面は曲面に形成されている。例えば、断面視において、凹部33の内壁面は、ソルダーレジスト層32の上面32A側の上端から凹部33の底面側の下端まで曲線状(引弧線状)に形成されている。本例の凹部33の内壁面は、断面視において、開口端から配線層31に向かって略楕円弧状に凹むように形成されている。本例の凹部33は、例えば、断面視略半楕円状に形成されている。また、凹部33は、例えば、平面視略円形状に形成されている。
【0068】
開口部34は、凹部33の底部の一部に形成され、配線層31の上面の一部を露出するように形成されている。本例の開口部34の内壁面は、平面に形成されている。例えば、開口部34の内壁面は、断面視において、配線層31の上面に対して略垂直に延びるように形成されている。すなわち、本例の開口部34は、例えば、断面視略矩形状(ストレート形状)に形成されている。具体的には、開口部34の内壁面は、断面視において、凹部33の底面側の上端から配線層31の上面側の下端まで直線形状に形成されている。また、開口部34は、例えば凹部33と同様に、平面視略円形状に形成されている。但し、開口部34の開口端の開口径Φ2(直径)は、凹部33の開口端の開口径Φ1(直径)よりも小径に設定されている。また、開口部34の内壁面は、粗化面とすることができる。
【0069】
以上説明した凹部33の内壁面と開口部34の内壁面とによって段差が形成されている。そして、貫通孔32Xには、凹部33の内壁面の下端と開口部34の内壁面の上端とが接続される部分に角部35が形成されている。
【0070】
貫通孔32Xの底部に露出する配線層31の上面、つまりパッド31P上には、必要に応じて、表面処理層38が形成されている。本例の表面処理層38は、その上面が角部35よりも上側に位置するように形成されている。表面処理層38は、例えば、凹部33の底部の一部を被覆し、貫通孔32Xの角部35を被覆するように形成されている。表面処理層38は、例えば、断面視略T字状に形成されている。詳述すると、表面処理層38は、開口部34を充填する基部38Aと、基部38Aの上面及び凹部33の底部に形成され、基部38Aよりも平面形状が大きく形成された先端部38Bとを有している。
【0071】
基部38Aは、開口部34と同様の形状に形成されている。基部38Aは、例えば、円柱状に形成されている。先端部38Bは、基部38Aの上面及び凹部33の底部から上方に突出するように形成され、凹部33の底部における内壁面の一部を被覆するように形成されている。先端部38Bは、例えば、平面視略円形状に形成されている。
【0072】
ここで、先端部38Bの直径は、基部38Aの直径よりも大径に設定されている。基部38Aの直径は例えば15〜20μm程度とすることができ、先端部38Bの直径は例えば17〜40μm程度とすることができる。また、基部38Aの厚さは例えば5〜10μm程度とすることができ、先端部38Bの厚さは例えば1〜10μm程度とすることができる。なお、先端部38Bの直径は、おおよそ、先端部38Bの厚さを2倍した長さと、基部38Aの直径とを足した長さとなる。
【0073】
表面処理層38としては、例えば、Ni層/Au層、Ni層/Pd層、Ni層/Pd層/Au層を用いることができる。すなわち、本例の表面処理層38は、Ni層を含む複数の金属層が積層された構造を有している。このとき、Ni層の厚さは、開口部34の深さよりも厚く設定されている。すなわち、基部38AはNi層のみによって構成され、先端部38Bの一部がNi層によって構成されている。
【0074】
貫通孔32Yは、パッド31P,37Pのうち大径のパッド37Pを露出するように形成されている。貫通孔32Yは、例えばパッド37Pと同様に、平面視略円形状に形成されている。貫通孔32Yは、凹部33よりも平面形状が大きく形成されている。例えば、貫通孔32Yの上側の開口端の開口径Φ3(直径)は、凹部33の開口端の開口径Φ1よりも大径に設定されている。貫通孔32Yの開口径Φ3は、例えば、70〜150μm程度とすることができる。また、貫通孔32Yは、例えば、貫通孔22X(
図7(a)参照)よりも平面形状が小さく形成されている。
【0075】
貫通孔32Yの内壁面には、その深さ方向の中途に段差(角部)が形成されていない。すなわち、貫通孔32Yの開口径は、その貫通孔32Yの開口端から底部(配線層31の上面)まで略同一の開口径に設定されている、又は貫通孔32Yの開口端から底部まで連続的に変化するように設定されている。本例の貫通孔32Yの内壁面は、平面に形成されている。例えば、貫通孔32Yの内壁面は、断面視において、配線層37の上面に対して略垂直に延びるように形成されている。具体的には、貫通孔32Yの内壁面は、断面視において、ソルダーレジスト層32の上面32A側の上端から配線層37の上面側の下端まで直線形状に形成されている。なお、貫通孔32Yの形状はこれに限らず、例えば、貫通孔32Yの内壁面を曲面に形成してもよいし、貫通孔32Yをテーパ状に形成してもよい。貫通孔32Yの内壁面を曲面とした場合には、例えば、貫通孔32Yの内壁面が、断面視において、ソルダーレジスト層32の上面32A側の上端から配線層37の上面側の下端まで曲線状に形成される。また、貫通孔32Yをテーパ状とした場合には、例えば、貫通孔32Yの内壁面が、断面視において、ソルダーレジスト層32の上面32A側の上端から配線層37の上面側の下端まで所定の傾きを持つ直線形状に形成される。
【0076】
貫通孔32Yの底部に露出する配線層37の上面、つまりパッド37P上には、必要に応じて、表面処理層39が形成されている。表面処理層39は、例えば、貫通孔32Yに露出する配線層37の上面全面を被覆するように形成されている。表面処理層39としては、例えば表面処理層38と同様に、Ni層/Au層、Ni層/Pd層、Ni層/Pd層/Au層を用いることができる。なお、配線層37の上面に表面処理層39が形成されている場合には、その表面処理層39が電源用のパッド37Pとして機能する。
【0077】
このように、配線基板10Aでは、同一平面上に直径が異なるパッド31P,37Pが形成されている。また、ソルダーレジスト層32には、開口径(開口幅)の異なる貫通孔32X,32Yが形成されている。そして、貫通孔32X,32Yのうち開口径の小さい貫通孔32Xが段差を有する形状に形成されている。すなわち、狭ピッチに形成される貫通孔32Xが、凹部33と開口部34とが連通された構造に形成されている。
【0078】
表面処理層38の上面には、はんだバンプ40が形成されている。はんだバンプ40は、例えば、表面処理層38の先端部38Bの表面(上面及び側面)全面を被覆するように形成されている。また、表面処理層39の上面には、はんだバンプ41が形成されている。はんだバンプ41は、例えば、表面処理層39の上面全面を被覆するように形成されている。このとき、表面処理層38,39内の金属がはんだバンプ40,41内に拡散して表面処理層38,39の一部が消失する場合がある。この場合には、はんだバンプ40は残った表面処理層38の上面を被覆するように形成され、はんだバンプ41は残った表面処理層39の上面を被覆するように形成される。なお、はんだバンプ40,41の材料としては、例えば、共晶はんだや鉛(Pb)フリーはんだ(Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系など)を用いることができる。
【0079】
はんだバンプ40のピッチは、はんだバンプ41のピッチよりも狭く設定されている。はんだバンプ40のピッチは例えば30〜70μm程度とすることができ、はんだバンプ41のピッチは例えば100〜200μm程度とすることができる。
【0080】
次に、
図9に従って、半導体装置50Aの構造について説明する。
図9(a)に示すように、半導体装置50Aは、配線基板10Aと、1つ又は複数(ここでは、1つ)の半導体チップ60と、アンダーフィル材65と、外部接続端子66とを有している。
【0081】
図9(b)に示すように、半導体チップ60は、その回路形成面(ここでは、下面)に、複数の接続端子61,62が形成されている。各接続端子61は、表面処理層38(パッド31P)の各々と対向する位置に設けられている。各接続端子62は、表面処理層39(パッド37P)の各々と対向する位置に設けられている。そして、半導体チップ60は、配線基板10Aにフリップチップ実装されている。詳述すると、半導体チップ60の接続端子61は、はんだバンプ40を介して表面処理層38と電気的に接続されている。また、半導体チップ60の接続端子62は、はんだバンプ41を介して表面処理層39と電気的に接続されている。
【0082】
接続端子61,62としては、例えば、金属ポストを用いることができる。この接続端子61,62は、半導体チップ60の回路形成面から下方に延びる柱状の接続端子である。本例の接続端子61,62は、例えば、円柱状に形成されている。接続端子62の直径は、例えば、接続端子61の直径よりも大径に設定されている。なお、接続端子61,62の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0083】
次に、配線基板10Aの製造方法について説明する。
図10(a)に示す工程では、基板本体11の下面に配線層21が形成され、基板本体11の上面に配線層31及び配線層37が形成された構造体を準備する。このとき、最上層の配線層31及び配線層37は、同一平面上に互いに離間して形成されている。
【0084】
続いて、
図10(b)に示す工程では、配線層21の表面(下面及び側面)全面を被覆するソルダーレジスト層22を基板本体11の下面に積層し、配線層31,37の表面(上面及び側面)全面を被覆するソルダーレジスト層32を基板本体11の上面に積層する。これらソルダーレジスト層22,32は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートする、又は液状のソルダーレジストを塗布することにより形成することができる。なお、本実施形態では、ソルダーレジスト層22,32の材料として、ポジ型の感光性樹脂を用いる。
【0085】
次に、
図10(c)に示す工程では、フォトリソグラフィ法により、ソルダーレジスト層22を厚さ方向に貫通して配線層21の下面の一部を外部接続用パッドP2として露出する貫通孔22Xを形成する。また、フォトリソグラフィ法により、ソルダーレジスト層32の上面32Aのうち配線層31と平面視で重なる部分に凹部33を形成するとともに、ソルダーレジスト層32を厚さ方向に貫通して配線層37の上面の一部をパッド37Pとして露出する貫通孔32Yを形成する。
【0086】
図11(a)に示すように、凹部33は、その底面がソルダーレジスト層32の厚さ方向の中途に位置するように形成されており、配線層31の上面に達するまでは形成されていない。そして、凹部33は、断面視略半楕円状に形成されている。一方で、貫通孔32Yは、配線層37上において、ソルダーレジスト層32を厚さ方向に貫通するように形成されている。このような凹部33及び貫通孔32Yは例えば以下のように形成することができる。
【0087】
まず、フォトマスク(図示略)を通じて、ポジ型の感光性樹脂層からなるソルダーレジスト層32に対して露光を行う。このフォトマスクは、凹部33に対応する開口部と貫通孔32Yに対応する開口部を有する。このとき、露光量(露光時間)やフォトマスクの2種類の開口部における光透過率などを調整することにより、配線層31と平面視で重なる部分のソルダーレジスト層32を厚さ方向の途中まで露光するとともに、配線層37上のソルダーレジスト層32を配線層37に到達するまで露光する。すなわち、本工程では、配線層31と平面視で重なる部分では、配線層31に到達するまで露光されないようにソルダーレジスト層32に対して露光が行われ、配線層37と平面視で重なる部分では、配線層37に到達するまでソルダーレジスト層32に対して露光が行われる。その後、ソルダーレジスト層32を現像する。この現像により、露光された部分のソルダーレジスト層32が除去され、未露光の部分のソルダーレジスト層32が残る。これにより、配線層31上に位置するソルダーレジスト層32の上面32Aに凹部33が形成されるとともに、配線層37の上面の一部をパッド37Pとして露出する貫通孔32Yが形成される。すなわち、貫通孔32Yは、フォトリソグラフィ法のみによって形成されている。さらに、本工程では、凹部33の内壁面が曲面となるように、フォトリソグラフィ法における条件(露光量や現像時間)が適宜調整されている。
【0088】
次に、
図11(b)に示す工程では、凹部33の底面に、凹部33と連通してソルダーレジスト層32を厚さ方向に貫通し、配線層31の上面の一部を露出する開口部34を形成する。本工程により、凹部33と開口部34とが連通してなり、配線層31の上面の一部をパッド31Pとして露出する貫通孔32Xが形成される。開口部34は、CO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。本工程では、レーザ加工法により開口部34を形成することで、開口部34の内壁面が略平面に形成される。また、レーザ加工法によって、開口部34の内壁面は粗化面に形成される。
【0089】
続いて、デスミア及びCuエッチング処理により、貫通孔32Xの底部に露出する配線層31の上面に付着した樹脂スミア(樹脂残渣)を除去する。
次いで、
図11(c)に示す工程では、貫通孔32Xの底部に露出する配線層31の上面全面に表面処理層38を形成するとともに、貫通孔32Yの底部に露出する配線層37の上面全面に表面処理層39を形成する。例えば、表面処理層38,39がNi層/Pd層/Au層である場合には、無電解めっき法により、配線層31,37の上面に、Ni層とPd層とAu層とをこの順番で積層して表面処理層38,39を形成する。これら表面処理層38,39は、例えば、略同じ厚さに形成される。
【0090】
なお、本工程では、図示は省略するが、
図10(c)に示した貫通孔22Xの底部に露出する配線層21の下面に表面処理層23を形成する。
次に、
図12(a)に示す工程では、表面処理層38,39上に、適宜フラックスを塗布した後に、球状のはんだボール42を搭載する。例えば、はんだボール42は、振込治具(図示略)の開口部を通してソルダーレジスト層32の各貫通孔32X内に振り込まれる。
【0091】
続いて、
図12(b)に示す工程では、はんだボール42を搭載した配線基板10Aをリフロー処理して、表面処理層38上にはんだバンプ40を形成するとともに、表面処理層39上にはんだバンプ41を形成する。このとき、表面処理層38が凹部33の底部を被覆するように形成されているため、貫通孔32X内に振り込まれたはんだボール42と表面処理層38の上面とを好適に接触させることができる。これにより、リフロー時に、はんだバンプ40中へのボイドの巻き込みを好適に抑制することができる。
【0092】
その後、はんだバンプ40,41の接合の際にフラックスを用いた場合は、洗浄により残存するフラックスを除去する。
以上説明した製造工程により、
図7に示した配線基板10Aを製造することができる。
【0093】
次に、
図12(c)に従って、半導体装置50Aの製造方法について説明する。
図12(c)に示す工程では、まず、回路形成面に形成された接続端子61,62を有する半導体チップ60を準備する。続いて、半導体チップ60を配線基板10Aにフリップチップ実装する。例えば、表面処理層38と接続端子61とを位置合わせし、表面処理層39と接続端子62とを位置合わせした後に、リフロー処理を行ってはんだバンプ40,41を溶融させる。これにより、はんだバンプ40が接続端子61に接合され、はんだバンプ41が接続端子62に接合される。本工程により、接続端子61がはんだバンプ40を介して表面処理層38に電気的に接続され、接続端子62がはんだバンプ41を介して表面処理層39に電気的に接続される。
【0094】
その後、フリップチップ接合された半導体チップ60と配線基板10Aとの間に、アンダーフィル材65(
図9(a)参照)を充填し、そのアンダーフィル材65を硬化する。また、
図9(a)に示した表面処理層23上に外部接続端子66を形成する。
【0095】
以上の製造工程により、
図9に示した半導体装置50Aを製造することができる。
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(3)、(7)の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
【0096】
(8)開口部34から露出する配線層31の上面に表面処理層38を形成した。この表面処理層38の上面を、貫通孔32Xの角部35よりも上側に形成した。これにより、貫通孔32X内に振り込まれたはんだボール42を、表面処理層38の上面に好適に接触させることができる。これにより、リフロー時に、はんだバンプ40中へのボイドの巻き込みを好適に抑制することができる。
【0097】
(9)表面処理層38を、開口部34を充填する基部38Aと、その基部38Aよりも大径に形成された先端部38Bとによって構成した。これにより、表面処理層38(先端部38B)とはんだバンプ40との接合面積を増大させることができる。このため、表面処理層38とはんだバンプ40との接合信頼性を向上させることができる。
【0098】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・
図13に示すように、上記第1実施形態の配線基板10において、貫通孔32Xの底部に露出する配線層31上に、基部38Aと先端部38Bとを有する表面処理層38を形成するようにしてもよい。
【0099】
・
図14に示すように、上記第2実施形態の配線基板10Aにおいて、貫通孔32Xの底部に露出する配線層31上に表面処理層36を形成するようにしてもよい。この表面処理層36は、その上面が貫通孔32Xの角部35よりも下側に位置するように形成される。この場合に、表面処理層39を、表面処理層36と略同じ厚さに形成するようにしてもよい。
【0100】
・上記各実施形態において、表面処理層36の形成された貫通孔32Xと、表面処理層38の形成された貫通孔32Xとが1つの配線基板10,10Aに混在していてもよい。
・
図15に示すように、上記各実施形態の貫通孔32Xにおいて、開口部34をテーパ状に形成してもよい。例えば、開口部34を、
図15において上側(ソルダーレジスト層32の上面32A側)から下側(配線層31側)に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成してもよい。
【0101】
・上記各実施形態では、貫通孔32Xの凹部33の内壁面を、断面視において、開口端から凹部33の内側に向かって略楕円弧状に凹むように形成した。これに限らず、例えば凹部33の内壁面を、断面視において、開口端から凹部33の内側に向かって円弧状や放物線状に凹むように形成してもよい。
【0102】
・
図16に示すように、はんだバンプ40を、凹部33を充填するように形成してもよい。本変形例のはんだバンプ40は、表面処理層36の上面に形成され、表面処理層36から露出する開口部34を充填するように形成されている。また、本変形例のはんだバンプ40は、ソルダーレジスト層32の上面32Aよりも上方に突出するように形成されている。
【0103】
なお、
図16では、表面処理層36上にはんだバンプ40を形成した例を示したが、表面処理層38上に、その表面処理層38から露出する凹部33を充填するはんだバンプ40を形成するようにしてもよい。
【0104】
・上記各実施形態では、表面処理層36,38,39上にはんだボール42を搭載し、そのはんだボール42を溶融してはんだバンプ40,41を形成した。これに限らず、例えば、はんだめっき法等を用いて、表面処理層36,38,39上にはんだバンプを形成するようにしてもよい。
【0105】
・上記各実施形態において、表面処理層36,38,39上にはんだバンプ40,41を形成した。これに限らず、例えば、表面処理層36,38,39上に金属ポストを形成するようにしてもよい。金属ポストは、例えば、無電解めっき法や電解めっき法により形成することができる。
【0106】
・上記各実施形態の配線基板10,10Aにおける表面処理層36,38,39を省略してもよい。
・上記各実施形態では、配線基板10,10Aの最外層となる保護絶縁層の一例としてソルダーレジスト層22,32を例示したが、各種の感光性を有する絶縁性樹脂から保護絶縁層を形成することができる。
【0107】
・上記各実施形態の配線基板10,10Aを、CSP(Chip Size Package)やSON(Small Out line Non-Lead Package)等のパッケージに用いられる配線基板に具体化してもよい。
【0108】
・上記各実施形態並びに各変形例は適宜組み合わせてもよい。