特許第6608128号(P6608128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6608128位置測定装置および動作クロック信号を点検する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608128
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】位置測定装置および動作クロック信号を点検する方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20191111BHJP
   G01D 5/249 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   G01D5/244 K
   G01D5/249 S
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-188599(P2014-188599)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2015-64355(P2015-64355A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2017年6月21日
(31)【優先権主張番号】10 2013 219 277.0
(32)【優先日】2013年9月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100153947
【弁理士】
【氏名又は名称】家成 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・ベアウリー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル・コブレル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・クロイツァー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・モーサマー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・シュピンドラー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヴァルター
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−517486(JP,A)
【文献】 特開2013−29511(JP,A)
【文献】 特開2009−271592(JP,A)
【文献】 特開2009−37617(JP,A)
【文献】 特開2011−91742(JP,A)
【文献】 特開2007−226551(JP,A)
【文献】 特開2009−58498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/38
G08C 13/00−25/04
H04L 7/00−7/10、12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出ユニット(20)、処理ユニット(30)、インターフェイスユニット(40)、およびクロック発生器(70)を含む位置測定装置(10)において、
‐位置検出ユニット(20)によってデジタル位置値が生成可能であり、
‐前記処理ユニット(30)が、前記インターフェイスユニット(40)によって後続電子装置(100)から前記処理ユニット(30)へ伝送可能なコマンドを処理するために構成されており、
‐前記インターフェイスユニット(40)が、少なくとも1つのインターフェイスライン(41)を介してインターフェイスプロトコルの規則にしたがって前記後続電子装置(100)と通信するために構成されており、インターフェイスプロトコルによって時間特性を決定されたインターフェイス信号が前記インターフェイスラインを介して伝送可能であり、
‐クロック発生器(70)が、前記位置検出ユニット(20)および前記処理ユニット(30)の関数のための時間軸としての役割を果たす動作クロック信号(CLK)を生成する測定装置において、
前記位置測定装置(10)に、さらに時間測定ユニット(80)が設けられており、時間測定ユニットで同様に前記動作クロック信号(CLK)が時間軸としての役割を果たし、少なくとも1つのインターフェイス信号が前記時間測定ユニットに供給され、少なくとも1つのインターフェイス信号の開始イベント(START)から停止イベント(STOP)までの時間間隔(Z)が前記時間測定ユニットによって測定可能であることを特徴とする位置測定装置(10)であって、
前記インターフェイス信号を介してデータフレームが伝送され、
開始イベントおよび停止イベントは、データフレームの、所定の信号エッジおよび/またはビット配列であり、
前記時間測定ユニット(80)がカウンタ(82)を含み、該カウンタ(82)に、計数信号として動作クロック信号(CLK)が供給され、
前記時間測定ユニット(80)が、データフレームから、開始イベント(START)および停止イベント(STOP)を検出することができる開始‐/停止ユニット(84)をさらに含む位置測定装置(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の位置測定装置(10)において、
測定された前記時間間隔(Z)が前記処理ユニット(30)に供給され、さらなる処理のために前記時間間隔(Z)が前記インターフェイスユニット(40)を介して前記処理ユニット(30)から前記後続電子装置(100)へ伝送可能である位置測定装置(10)。
【請求項3】
請求項1に記載の位置測定装置(10)において、
測定された前記時間間隔(Z)が前記処理ユニット(30)に供給され、該処理ユニット(30)が、前記時間間隔(Z)と参照値(REF)との比較により少なくとも1つの状態ビット(F,F1,F2)を生成可能な比較ユニット(32)を含み、前記状態ビット(F,F1,F2)が、前記インターフェイスユニット(40)を介して前記後続電子装置(100)へ伝送可能である位置測定装置(10)。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の位置測定装置(10)において、
前記カウンタ(82)が、開始イベント(START)と停止イベント(STOP)との間の時間にカウントすることにより時間間隔(Z)を検出するように構成されている位置測定装置(10)。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の位置測定装置(10)において、
前記処理ユニット(30)により、リターン信号(RES)を用いて前記カウンタ(82)を戻すことができる位置測定装置(10)。
【請求項6】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の位置測定装置(10)において、
前記カウンタ(82)が、連続的なカウンタ(82)として構成されており、前記時間測定ユニット(80)が、さらに計算ユニット(86)を含み、該計算ユニット(86)が、開始イベント(START)の発生時の計数値および停止イベント(STOP)の発生時の計数値から前記時間間隔(Z)を計算する位置測定装置(10)。
【請求項7】
位置検出ユニット(20)、処理ユニット(30)、インターフェイスユニット(40)、およびクロック発生器(70)を含む位置測定装置(10)の動作クロック信号(CLK)を点検する方法であって、
‐前記位置検出ユニット(20)によってデジタル位置値が生成可能であり、
‐前記処理ユニット(30)が、前記インターフェイスユニット(40)によって後続電子装置(100)から前記処理ユニット(30)へ伝送可能なコマンドを処理するために構成されており、
‐前記インターフェイスユニット(40)が、少なくとも1つのインターフェイスライン(41)を介してインターフェイスプロトコルの規則にしたがって前記後続電子装置(100)と通信するために構成されており、インターフェイスプロトコルによって時間特性を決定されたインターフェイス信号がインターフェイスラインを介して伝送可能であり、‐前記クロック発生器(70)が、前記位置検出ユニット(20)および前記処理ユニット(30)の関数のための時間軸としての役割を果たす動作クロック信号(CLK)を生成する方法において、
前記位置測定装置(10)に、さらに時間測定ユニット(80)を設け、時間測定ユニットで前記動作クロック信号(CLK)が同様に時間軸としての役割を果たし、前記時間測定ユニットに少なくとも1つのインターフェイス信号を供給し、前記時間測定ユニットにより少なくとも1つのインターフェイス信号の開始イベント(START)から停止イベント(停止)までの時間間隔(Z)を測定することを特徴とする方法であって、
前記インターフェイス信号を介してデータフレームが伝送され、
開始イベントおよび停止イベントは、データフレームの、所定の信号エッジおよび/またはビット配列であり、
前記時間測定ユニット(80)がカウンタ(82)を含み、該カウンタ(82)に、計数信号として動作クロック信号(CLK)を供給し、
前記時間測定ユニット(80)が、データフレームから、開始イベント(START)および停止イベント(STOP)を検出することができる開始‐/停止ユニット(84)をさらに含む
方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法において、
測定された前記時間間隔(Z)を前記処理ユニット(30)に供給し、該処理ユニット(30)が、さらなる処理のために前記インターフェイスユニット(40)を介して前記後続電子装置(100)に前記時間間隔(Z)を伝送する方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法において、
測定された前記時間間隔(Z)を前記処理ユニット(30)に供給し、該処理ユニット(30)が、前記時間間隔(Z)と参照値(REF)との比較により少なくとも1つの状態ビット(F,F1,F2)を生成する比較ユニット(32)を含み、前記インターフェイスユニット(40)を介して前記後続電子装置(100)に前記状態ビット(F,F1,F2)を伝送する方法。
【請求項10】
請求項7から9までのいずれか一項に記載の方法において、
前記カウンタ(82)が、開始イベント(START)と停止イベント(STOP)との間の時間にカウントすることにより時間間隔(Z)を検出する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記処理ユニット(30)により、リターン信号(RES)を用いて前記カウンタ(82)を戻すことができる方法。
【請求項12】
請求項7から9までのいずれか一項に記載の方法において、
前記カウンタ(82)が、連続的なカウンタ(82)として構成されており、前記時間測定ユニット(80)が、さらに計算ユニット(86)を含み、該計算ユニット(86)により、開始イベント(START)の発生時の計数値および停止イベント(STOP)の発生時の計数値から前記時間間隔(Z)を計算する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の位置測定装置、および請求項9に記載の位置測定装置の動作クロック信号を点検する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
位置測定装置の周知の使用分野は、数値制御式の機械工具である。機械工具では、工具または加工部品の押出をコントロールする閉ループ制御において後続電子装置、例えば数値制御部が制御回路のための目標値を計算するために必要とする位置実際値を検出するために位置測定装置を使用する。このために、回転センサまたは角度測定器が、例えば直接または間接にモータのシャフトに結合されており、長さ測定器は、例えば移動可能な工具担体に結合されている。
【0003】
現代の位置測定装置は、デジタル式の絶対的な測定値を生成する。この場合、位置値、および位置値の経時変化から導かれた測定値、例えば速度値または加速度値が問題となる。さらに、例えば温度センサまたは振動センサなど、位置測定装置の内部または外部に配置されたセンサの測定値を付加的に検出する位置測定装置が既知である。位置測定装置から後続電子装置への測定値の伝送は、デジタル式のデータ伝送インターフェイスによって行われる。デジタル式のデータ伝送インターフェイスを備えるこのような種類の位置測定装置の例として、欧州特許出願公開第0660209号明細書が挙げられる。位置測定装置と後続電子装置との間のデータ伝送を行う他のデジタル式のデータ伝送インターフェイスが国際公開第2009/149966号に開示されている。不可欠な機能、すなわち、位置信号の検出、デジタル位置値またはデジタル位置値から導かれる測定値への位置信号の処理、後続電子装置との通信を提供するために、手間のかかるアナログ式及びデジタル式の回路ブロックが不可欠である。
【0004】
位置測定装置の中央ユニットは、動作クロック信号を生成するクロック発生器であり、動作クロック信号は、例えばA/D変換器、状態機器、デジタル式のデータ伝送インターフェイス、または必要に応じて、中央処理ユニットの構成部材であるマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラなど、位置測定装置の多数の関数ブロックのための時間軸としての役割を果たす。機能故障により動作クロック信号の周波数が変化した場合、関数ブロックが仕様から外れた動作を行い、これによりさらに測定誤差、散発的な故障などが生じる場合もある。
【0005】
このようにして引き起こされるエラーの中には、特に誤差のある測定値をもたらすエラーの場合のように後続電子装置で検出することができないものもある。不都合な場合には、これにより、例えば機械工具によりまさに加工している加工部品が使用できなくなるか、または機械工具が故障してしまうこともある。材料の損傷の可能性よりもさらに悪いのは、操作員がけがをする危険性である。したがって、クロック発生器の適正な機能を保障することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0660209号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/149966号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、動作クロック信号の周波数が監視される位置測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の位置測定装置により解決される。このような位置測定装置の好ましい構成の詳細が請求項1に従属する請求項に記載されている。
【0009】
位置検出ユニット、処理ユニット、インターフェイスユニット、およびクロック発生器を含む位置測定装置が提案され、
‐位置検出ユニットによってデジタル位置値が生成可能であり、
‐処理ユニットが、インターフェイスユニットによって後続電子装置から処理ユニットへ伝送可能なコマンドを処理するために適切に構成されており、
‐インターフェイスユニットが、少なくとも1つのインターフェイスラインを介してインターフェイスプロトコルの規則にしたがって後続電子装置と通信するために適切に構成されており、インターフェイスプロトコルによって時間特性を決定されたインターフェイス信号がインターフェイスラインを介して伝送可能であり、
‐クロック発生器が、位置検出ユニットおよび処理ユニットの関数のための時間軸としての役割を果たす動作クロック信号を生成する。
【0010】
位置測定装置には、さらに時間測定ユニットが設けられており、時間測定ユニットでは同様に動作クロック信号が時間軸としての役割を果たし、時間測定ユニットには少なくとも1つのインターフェイス信号が供給され、少なくとも1つのインターフェイス信号の開始イベントから停止イベントまでの時間間隔が時間測定ユニットによって測定可能である。
【0011】
さらに本発明の課題は、位置測定装置の動作クロック信号を監視するための方法を示すことである。
【0012】
この課題は、請求項9に記載の方法により解決される。この方法の好ましい詳細が請求項9に従属する請求項に記載されている。
【0013】
位置測定装置の動作クロック信号を点検する方法が提案され、この場合、位置測定装置は、位置検出ユニット、処理ユニット、インターフェイスユニット、およびクロック発生器を含み、
‐位置検出ユニットによってデジタル位置値が生成可能であり、
‐処理ユニットが、インターフェイスユニットによって後続電子装置から処理ユニットへ伝送可能なコマンドを処理するために適切に構成されており、
‐インターフェイスユニットが、少なくとも1つのインターフェイスラインを介してインターフェイスプロトコルの規則にしたがって後続電子装置と通信するために適切に構成されており、インターフェイスプロトコルによって時間特性を決定されたインターフェイス信号がインターフェイスラインを介して伝送可能であり、
‐クロック発生器が、位置検出ユニットおよび処理ユニットの関数のための時間軸としての役割を果たす動作クロック信号を生成する方法が提案される。
【0014】
位置測定装置にはさらに時間測定ユニットが設けられており、時間測定ユニットでは同様に動作クロック信号が時間軸としての役割を果たし、時間測定ユニットには少なくとも1つのインターフェイス信号が供給される。動作クロック信号を点検するためには、少なくとも1つのインターフェイス信号の開始イベントから停止イベントまでの時間間隔が時間測定ユニットによって測定される。
【0015】
本発明の他の利点および詳細が以下の説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】本発明による位置測定装置の第1実施形態を示すブロック図である。
図1b】本発明による位置測定装置の別の実施形態を示すブロック図である。
図2a】測定したい時間間隔の第1実施例を示すコマンドサイクルの信号線図である。
図2b】測定したい時間間隔の第2実施例を示すコマンドサイクルの信号線図である。
図3a】後続電子装置への測定結果の伝送を示す第1信号線図である。
図3b】後続電子装置への測定結果の伝送を示す第2信号線図である。
図4a】時間測定ユニットの第1実施形態を示すブロック図である。
図4b】時間測定ユニットの第2実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1aは、本発明による位置測定装置10のブロック図を示す。位置測定装置10の中央関数ユニットは、位置検出ユニット20および処理ユニット30である。位置検出ユニット20は、デジタル位置値を生成するために適切に構成されている。このために、位置検出ユニット20は、例えば、測定目盛を備える基準器と、走査ユニットの走査信号からデジタル位置値を生成する信号処理電子装置を含む。基準器と走査ユニットとは既知のように互いに対して移動可能に配置されており、機械部材の互いに対する位置を測定するために機械部材に機械的に結合されている。位置測定装置10が、電動機の軸の角度位置を測定する回転センサである場合には、走査ユニット(もしくは回転センサのケーシング)は、例えばモータケーシングに取り付けられており、基準器に回動不能に結合された回転センサの軸は、測定したいモータ軸に軸継手を介して結合されている。
【0018】
位置検出ユニット20の基礎をなす物理学的な走査原理は、本発明にとって重要ではない。すなわち、走査原理は、光学的、磁気的、容量的、または誘導的なものであってもよい。走査ユニットの走査信号を位置値として処理するために必要不可欠な処理ステップに応じて、信号処理電子装置は、増幅、信号補正(ずれ、振幅、位相の補正)、補間、目盛間隔の計数、A/D変換などの処理ステップを実施する関数ユニットを含む。
【0019】
位置検出ユニット20における位置値の生成は、連続的(周期的)に、または処理ユニット30からの要求に応じてのみ行うことができる。位置検出ユニット20への適宜な制御信号の伝送、および処理ユニット30への位置値の伝送のためにはそれぞれ信号ライン21が設けられている。
【0020】
処理ユニット30では、出力データを得るために必要に応じて位置値がさらに処理される。このために、スケーリング、データフォーマットの変更、エラー補正などの方法ステップが必要となる場合もあり、これらの方法ステップは、処理ユニット30において純粋にデジタル式に行われる。しかしながら、出力データは位置値だけではなく、処理ユニット30で連続して生成された複数の位置値から計算される速度値または加速度値を含んでいてもよい。
【0021】
位置検出ユニット20および処理ユニット30におけるプロセスを同期させ、正確な時間パターンで経過させることができるように、位置測定装置10にはクロック発生器70が設けられており、このクロック発生器70は、時間軸としての役割を果たす動作クロック信号を生成する。動作クロック信号は、位置検出ユニット20および処理ユニット30に供給される。
【0022】
処理ユニット30には、後続電子装置100との通信を可能にするインターフェイスユニット40が配置されている。特にこのインターフェイスユニット40を介して後続電子装置100への出力データの伝送が行われる。インターフェイスユニット40と後続電子装置100との物理的結合は、少なくとも1つのインターフェイスライン41によって形成され、位置測定装置10とインターフェイスライン51との間には送信/受信ユニット50が配置されている。送信/受信ユニット50は、多くの場合には接地基準(シングルエンド)の信号として位置測定装置10に提供されている送信信号を、例えば汎用のRS485スタンダードに応じて差分信号に変換し、後続電子装置100から位置測定装置10に到着する差分信号から接地基準の信号を生成する。
【0023】
これに対して代替的に、インターフェイスユニット40と後続電子装置100との間のデータ伝送を光学式に行うこともできる。このような実施態様では、送信/受信ユニット50が、例えば、電子信号から光学信号への(またはその逆の)変換ユニットとして構成されており、この場合、インターフェイスケーブル51は光ファイバーである。
【0024】
位置測定装置10への電流/電圧供給は同様にインターフェイスケーブル51を介して行うことができ、インターフェイスケーブル51との接続のために、位置測定装置10にはプラグコネクタまたは接続端子が設けられていてもよいことを、完全を期すためにのみ述べておく。
【0025】
後続電子装置100と位置測定装置10との間の通信形式は、インターフェイスプロトコルで規定されている。この場合、いわゆる「質問‐応答‐パターン」が用いられることが多い。すなわち、後続電子装置100(親装置)は、位置測定装置10(従属装置)にコマンドを送信し、続いて必要に応じてデータを送信し、位置測定装置10はこのコマンドを処理し、必要に応じて要求されたデータを後続装置100に送信する。コマンドは、一般に、例えば処理ユニット30または処理ユニット30に付属のメモリユニット60のメモリセルにおける書込みまたは読取りを行う書込み‐および/または読取りコマンドであってもよい。位置測定を開始し、出力データとして位置値を後続電子装置100に伝送するために、特別な位置要求コマンドが設けられていてもよい。
【0026】
コマンドおよびデータは、データ伝送プロトコルの定義に応じて構成されたデータフレームの形式で伝送される。以下にデータフレームの典型的な構成を列挙する:
【0027】
開始配列(プレアンブル)
開始配列は、データフレームの伝送を開始し、コマンド/データが期待されることを従属装置(位置測定装置10)に知らせる役割を果たす。開始配列の最も簡単な形式は単一のビット(開始ビット)であり、より複雑な開始配列は、例えば、高論理レベル/低レベルの交互の配列を含んでいてもよく、これらの配列によりデータ伝送率を推論することができる。
【0028】
コマンド
コマンドは、例えば書込みアクセスまたは読取りアクセスなどのアクセスの形式を従属装置(位置測定装置10)に知らせる。コマンドは、所定の長さ、例えば8ビットを有していてもよい。
【0029】
受信データ
受信データは、親装置(後続電子装置100)から従属装置(位置測定装置10)に送信されるデータである。受信データは、読取りコマンドにおいてどのメモリアドレスからデータを読み取るべきかを示すアドレス、または書込みコマンドにおいて書き込みたいデータの送信先アドレスを示すアドレスを含んでいてもよい。
【0030】
送信データ
送信データは、(親装置(後続電子装置100)によりコマンド毎に要求され、従属装置(位置測定装置10)から親装置(後続電子装置100)へ伝送されるデータである。特に、送信データは、位置測定装置で検出された測定値、例えば位置値であってもよい。
【0031】
停止配列(ポストアンブル)
停止配列は、データフレームの伝送を終了する。停止配列は、単一のビット(停止ビット)からなっていてもよいが、例えば、データフレームのデータ内容から計算され、親装置(後続電子装置100)がデータ伝送におけるビットエラーを検出することを可能にするチェックサム(CRC)など、さらなるデータを含んでいてもよい。
【0032】
停止配列のチェックサムに加えて、または代替的に、受信および/または送信データがチェックサムを含んでいてもよい。
【0033】
データフレームの伝送は、インターフェイス・クロック信号によって決定された時間パターンにより行われる。この場合、インターフェイス・クロック信号は、冒頭に挙げた欧州特許出願公開第0660209号明細書に記載されているように、データフレームに並行して、別個のインターフェイス信号として伝送してもよいし、または国際公開第2009/149966号に開示されているように、データフレームを伝送するデータストリームの一部として伝送してもよい。後者の場合、それぞれ受信されたユニットのインターフェイス・クロック信号は、到着したデータストリームから分離され(クロック再利用)、データの読取り、および必要に応じて送信のためにも使用される。代替的には、送信ユニットにおいても受信ユニットにおいてもインターフェイス・クロック信号を生成することができる。この場合、受信ユニットにおけるデータ伝送の開始時に、到着するデータストリームと受信ユニットのインターフェイス・クロック信号との同期が行われる。
【0034】
以下に示すように、位置測定装置10の動作クロック信号の安定性のための基準である特性値を生成するために、インターフェイス・クロック信号によって決定されたデータ伝送の時間パターンをインターフェイスプロトコルと結び付けて使用することができる。
【0035】
冒頭で述べたように、動作クロック信号の周波数の変化により、位置測定装置10の機能が損なわれる場合もある。例えばクロック発生器70が故障した場合の動作クロック信号の完全な停止が、位置測定装置10の明白で、したがって容易に検出可能な機能故障を引き起こした場合、動作クロック信号の周波数の持続的、間欠的、または動的変化が、不均一なエラー状態をもたらすこともあり、このようなエラー状態は検出することが難しく、位置測定装置10を作動する機械の機能全体にネガティブな影響が及ぼされる。このようにして位置測定装置10の測定値、特に位置値が歪曲される恐れがあり、これにより駆動制御の質が低下する場合もある。位置測定装置10が、例えば機械工具で使用される場合、機械で加工される加工品の表面の質が低下することもあり、これについての明白な原因を突き止めることはできない。
【0036】
極端な場合には、誤った測定値により位置決めプロセスに影響が及ぼされ、機械が損傷されるか、または操作員が危険にさらされることにもなりかねない。
【0037】
本発明によれば、位置測定装置10には時間測定ユニット80が配置されており、時間測定ユニット80には、一方では動作クロック信号CLK、他方ではインターフェイスライン41の少なくとも1つのインターフェイス信号が供給される。時間測定ユニット80によって、少なくとも1つのインターフェイス信号におけるイベント、特に開始イベントおよび停止イベントによって決定された時間間隔を測定することができる。典型的な開始イベント/停止イベントは、例えば、所定の信号エッジまたは一義的なビット配列、または両方の組合せ、すなわち、例えば、一義的なビット配列に続く信号エッジである。
【0038】
時間測定ユニット80における時間間隔の測定は、絶対的または相対的に行うことができる。すなわち、絶対的な測定では、時間測定ユニット80は、測定を行った後に、自動的に、または処理ユニット30のリターン信号RESによって戻される。相対的な測定では、先行する測定の測定値がそれぞれ保持され、それぞれの新たな測定が行われた場合に新しい時間間隔が追加される。このようにして相対的な測定においては、新しい測定値が先行する測定値とは異なることが保証されているので、この実施態様は安全性に関する用途には特によく適している。
【0039】
時間測定ユニット80で測定された時間間隔Zは処理ユニット30に供給され、必要に応じて処理(スケーリング、データフォーマットの調整など)が行われた後にインターフェイスユニット40に伝送される。インターフェイスプロトコルのフレームでこの時間間隔Zをインターフェイスユニット40から後続電子装置100へ伝送することができる。
【0040】
図1bは、位置測定装置10の代替的な実施形態のブロック図を示す。図1aにおける実施形態に関連して既に説明した関数ブロックには同じ符号が付されている。この実施例では、さらに処理ユニット30は、測定された時間間隔Zが供給される比較ユニット32を含む。参照値REFとの比較により、比較ユニット32は、測定された時間間隔Zがどの程度正確に参照値REFと一致しているかを示す少なくとも1つの状態ビットを生成する。少なくとも1つの状態ビットは、測定された時間間隔Zが参照値REFから大きく外れており不正確であることを示すエラービットF1や、参照値REFからの時間間隔がまだ許容可能な程度に外れていることを知らせる警告ビットF2を含む。少なくとも1つの状態ビットF1,F2はインターフェイスユニット40に供給され、後続電子装置100に伝送される。
【0041】
参照値REFは、固定的に、または変更可能に比較ユニット32に保存されていてもよい。このために、固定的にプログラムされたメモリ(ROM,OTP)または変更可能なメモリ(EEPROM,RAM)が設けられている。後者は、例えば後続電子装置100によってインターフェイス接続を介してプログラミングすることができる。
【0042】
図2aおよび図2bは、それぞれのコマンドサイクルの信号線図を示す。これらの信号線図を用いて、時間測定ユニット80によって測定可能な時間間隔Zを定義する開始イベントおよび停止イベントについての実施例を説明する。
【0043】
位置測定装置10または位置測定装置10のインターフェイスユニット40と後続電子装置100との通信の基礎となるインターフェイスプロトコルの規則に応じて、開始配列(プレアンブル)によってコマンドサイクルが開始され、これにコマンド‐/データブロック210が続く。コマンド‐/データブロック210には、後続電子装置100から位置測定装置10へのコマンドおよび必要に応じて受信データ10と、位置測定装置10から後続電子装置100へ送信される送信データが含まれていてもよい。最後に、コマンドサイクルの終了を知らせる停止配列(ポストアンブル)220が続く。
【0044】
開始配列200は、同じ継続時間の論理高レベルおよび低レベルの規則的な配列により始まる。低‐/高レベルが交互に配列されたビットには、論理低‐、高‐、および低レベルがそれぞれ2ビットずつ続く。論理高レベルの1ビットが開始配列200の終了、ひいてはコマンド‐/データブロック210への移行を行う。
【0045】
停止配列220は論理低レベルの1ビットからなり、これに論理高レベルの1ビットが続く。
【0046】
コマンドサイクルの前後に、インターフェイス信号は継続的な論理高レベルを備える。
【0047】
図2aは、時間測定ユニット80により上記コマンドサイクル内に測定可能な時間間隔Zの第1実施例を示す。時間間隔Zの測定開始を表す開始イベントSTARTは、最初に生じた連続する2ビットの論理低レベルに続くインターフェイス信号の最初の信号立ち上がりエッジである。時間測定を終了する停止イベントSTOPは、2番目に生じた連続する2ビットの論理低レベルに続く最初の信号立ち上がりエッジである。
【0048】
図2bは、時間測定ユニット80によりコマンドサイクル内で測定可能な時間間隔Zの第2実施例を示す。時間間隔Zの測定開始を表す開始イベントSTARTは、図2aのスタートと同一であり、したがって、最初に生じた連続する2ビットの論理低レベルに続くインターフェイス信号の最初の信号立ち上がりエッジにより定義される。時間測定を終了する停止イベントSTOPは、コマンドサイクルの停止配列220において論理低レベルのビットと論理高レベルのビットとの間に生じる信号立ち上がりエッジである。
【0049】
図3aおよび図3bは、コマンドサイクルの概略的な信号線図を示す。この信号線図により、時間測定の結果を伝送する可能性を明確に説明する。コマンドサイクルは、それぞれ開始配列200、コマンド‐/データブロック210、および停止配列220を含み、コマンド‐/データブロック210は、コマンド212と、コマンド212に応じて位置測定装置10から後続電子装置199に送信される送信データ214とから構成されている。例えば、コマンド212は位置要求コマンドであり、したがって送信データ214は位置値Pを含む。さらに送信データ214は時間測定もしくはクロック監視の結果を含む。すなわち、図3aの場合には測定された時間間隔Zの値、図3bの場合には、測定された時間間隔Zと目標値との比較により処理ユニット30で形成された少なくとも1つの状態ビットFを含む。少なくとも1つの状態ビットFは、図1bの説明において既に述べたように、例えばエラービットF1や警告ビットF2であってもよい。したがって、図3aに示した信号線図は、図1aに基づいて説明した実施形態に対応しており、図3bの信号線図は、図1bに基づいて説明した実施形態に対応している。
【0050】
時間間隔Zもしくは少なくとも1つの状態ビットFは、先行するコマンドサイクルで測定/検出された値であってもよいことを明示的に指摘しておく。このことは、特にコマンドサイクルの遅い時点で生じる停止イベントSTOPが選択された場合についてあてはまる。なぜなら、この時点では場合によってはまだ最新の測定結果が得られていないからである。図2bの実施例では、停止イベントSTOPは送信データの伝送後に位置し、したがって、最新の測定結果を提供することはできない。
【0051】
図4aは、図1aに基づいて説明した実施例にしたがった時間測定ユニット80の可能な構成のブロック線図を示す。時間測定ユニット80は、カウンタ82、および開始‐/停止ユニット84を含む。カウンタ82には、計数信号として動作クロック信号CLKが供給される。したがって、動作クロック信号CLKは、カウンタ82のための時間軸としての役割を果たし、測定された時間間隔Zの幅を決定する。通常は、このようなカウンタ82は、計数信号の状態変化を数えるように構成されており、したがって、例えば係数信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、またはいずれのエッジにおいても係数ステップを実施する。インターフェイス信号は少なくとも1つのインターフェイスライン41で開始‐/停止ユニット84の入力部を形成し、インターフェイスライン41は、開始または停止イベントの発生に関して開始‐/停止ユニットにより監視される。開始イベントが発生した場合、開始‐/停止ユニット84は適宜な制御信号によりカウンタ82の計数プロセスを開始し、停止イベントが生じた場合には、開始‐/停止ユニット84はカウンタ82の計数プロセスを再び停止する。カウンタ82の出力は処理ユニット30に供給される。例えば絶対的な時間測定のために、処理ユニット30の随意のリターン信号RESによってカウンタ82が戻される。
【0052】
図4bは、図1bに基づいて説明した実施例に対応して時間測定ユニット80の可能な実施形態のブロック線図を示す。この図では、カウンタ82は、いわゆる「自由継続カウンタ」として作動される。これは、カウンタ82が動作クロック信号CLKのクロックで連続的にカウントすることを意味する。測定すべき時間間隔Zに相当する開始イベントと停止イベントとの間の計数差zを検出するために、カウンタ82の出力は計算ユニット86に供給され、計算ユニット86は、開始イベントの発生時にも停止イベントの発生時にも最新の計数値を受信し、これにより、計数差、ひいては求めていた時間間隔を計算する。開始イベントおよび停止イベントの発生は、開始‐/停止ユニット84によって計算ユニット86に通知される。計算ユニット86において、測定された時間間隔Zを先行する測定結果に加算することにより、この実施形態においても相対的な時間測定を実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 位置測定装置
20 位置検出ユニット
21 信号ライン
30 処理ユニット
32 比較ユニット
40 インターフェイスユニット
41 インターフェイスライン
50 送信/受信ユニット
51 インターフェイスケーブル
60 メモリユニット
70 クロック発生器
80 時間測定ユニット
82 カウンタ
84 開始‐停止ユニット
86 計算ユニット
100 後続電子装置
200 開始配列
210 コマンド‐/データブロック
212 コマンド
214 送信データ
220 停止配列
CLK クロック信号
RES リターン信号
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b