【実施例】
【0024】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0025】
以下の5つの系で試験を実施した。
(試験1)
乳タンパク質に砂糖を添加した系で、甘味度/タンパク質含有量を変動させることによる甘味及びタンパク臭の変化度合いを試験した(表1)。
(試験2)
乳タンパク質にスクラロースを添加した系で、甘味度/タンパク質含有量を変動させることによる甘味及びタンパク臭の変化度合いを試験した(表2)。
(試験3)
乳タンパク質に砂糖及びスクラロースを添加した系で、食塩の添加によりナトリウム量を変動させることによる塩味、収斂味及びミルク感の変化度合いを確認した(表3)。
(試験4)
乳糖をラクターゼの添加により分解し、甘味度を制御した系で、甘味度/タンパク質含有量を変動させることによるタンパク臭及びミルク感の変化度合いを確認した(表4)。
(試験5)
乳糖をラクターゼの添加により分解し、甘味度を制御した系で、タンパク質含有量を変動させることによるタンパク臭及びミルク感の変化度合いを確認した(表5)。
【0026】
<乳飲料の調整方法>
(実施例1)
脱脂粉乳、MPC480(フォンテラジャパン株式会社製)、乳清パウダーBC(雪印メグミルク株式会社製)、砂糖、スクラロース(三栄源・エフ・エフ・アイ株式会社製)、食塩、無塩バター、水を表1に記載の配合量添加し、20kgの調整乳を作製した。これを70℃に加温し、ホモゲナイザーで15MPaの圧力で均質化し、130℃2秒間のプレート殺菌処理を実施することにより、本発明の乳飲料15kgを得た。
【0027】
(実施例2〜19、比較例1〜8)
実施例1の乳飲料の調整方法を基準とし、表1〜3の記載に沿ってそれぞれの添加量を変更して、乳飲料を調整した。
【0028】
(実施例20〜30、比較例9〜10)
実施例1の乳飲料の調整方法を基準とし、表4〜5の記載に沿ってそれぞれの添加量を変更して、20kgの調整乳を作製した。調整乳は10℃まで冷却後、乳糖分解酵素(ラクターゼ)を20g添加し、10℃で24時間酵素反応を行い、乳糖分解率が90%以上となるようにした。これを70℃に加温し、ホモゲナイザーで15MPaの圧力で均質化し、130℃2秒間のプレート殺菌処理を実施することにより、本発明の乳飲料15kgを得た。
【0029】
表1〜5の配合に基づいて調整された実施例及び比較例サンプルの成分を、原料の成分と配合量から算出した。また、実施例及び比較例サンプルの甘味度を、サンプル中の各甘味源の甘味度と濃度から、算出した。結果を表1〜5に示し、原料の成分を表6に示した。
【0030】
<評価>
実施例1〜30及び比較例1〜10の各乳飲料を用いて、官能評価を実施した。結果を表1〜5に示した。
【0031】
<評価手法>
冷蔵庫に保管して品温を8℃にした各乳飲料を、官能評価専用パネル5名に飲用してもらい、甘味、タンパク臭、塩味、収斂味及びミルク感について適宜官能評価した。各項目について、以下の評価基準に従い評価した。
【0032】
<評価基準>
以下の評価を適宜採用することにより、実施例及び比較例を実施した。
<甘味>
1:全くない
2:ややある
3:通常の牛乳と同等程度
4:やや強い
5:強い
【0033】
<塩味>
1:全くない
2:ややある
3:通常の牛乳と同等程度
4:やや強い
5:強い
【0034】
<タンパク臭>
1:非常にタンパク臭が強い
2:通常の牛乳よりもタンパク臭が強い
3:通常の牛乳よりもややタンパク臭を感じる
4:通常の牛乳と同等程度
5:通常の牛乳よりもタンパク臭が感じられない
【0035】
<収斂味>
1:非常に収斂味が強い
2:通常の牛乳よりも収斂味が強い
3:通常の牛乳よりもやや収斂味を感じる
4:通常の牛乳と同等程度
5:通常の牛乳よりも収斂味が感じられない
【0036】
<ミルク感>
1:通常の牛乳よりもかなり劣る
2:通常の牛乳よりもやや劣る
3:通常の牛乳と同等程度
4:通常の牛乳よりもある
5:通常の牛乳よりもかなりある
【0037】
<総合評価>
1.甘味度/タンパク質含有量を変動させることによる甘味及びタンパク臭の変化度合いを試験した試験1、2(表1、表2)については次のように総合評価した。
×:甘味の評価結果が1あるいは5、またはタンパク臭の評価結果に1が含まれる場合
○:甘味の評価結果が2〜4であり、かつ、タンパク臭の評価結果が2〜5となる場合
2.ナトリウム量を変動させることによる塩味及び収斂味、ミルク感の変化度合いを確認した試験3(表3)については次のように総合評価した。
×:塩味の評価結果が1あるいは5、または収斂味の評価結果に1が含まれる場合
◎:ミルク感の評価結果が5〜4となる場合
○:ミルク感の評価結果が4〜3となる場合
△:ミルク感の評価結果が3〜2となる場合
3.甘味度/タンパク質含有量を変動させることによるタンパク臭、ミルク感の変化度合いを確認した試験4、5(表4、表5)については次のように総合評価した。
◎:ミルク感の評価結果が5〜4となる場合
○:ミルク感の評価結果が4〜3となる場合
△:ミルク感の評価結果が3〜2となる場合
×:ミルク感の評価結果が2以下となる場合
【0038】
【表1】
【0039】
試験1においては、乳タンパク質に砂糖を添加した系で、甘味度/タンパク質含有量を変動させることによる甘味及びタンパク臭の変化度合いを試験した。その結果、表1に示されるように、甘味度/タンパク質含有量を0.30以上0.80以下に調整された実施例1〜6の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパク質含有量でありながらも、タンパク臭が抑えられ、甘味が通常の牛乳と同等であることが確認できた。
【0040】
【表2】
【0041】
試験2においては、乳タンパク質にスクラロースを添加した系で、甘味度/タンパク質含有量を変動させることによる甘味及びタンパク臭の変化度合いを試験した。その結果、表2に示されるように、甘味度/タンパク質含有量を0.30以上0.80以下に調整された実施例7〜12の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパク質含有量でありながらも、タンパク臭が抑えられ、甘味が通常の牛乳と同等であることが確認できた。
【0042】
【表3】
【0043】
試験3においては、乳タンパク質に砂糖及びスクラロースを添加した系で、食塩の添加によりナトリウム量を変動させることによる塩味、収斂味及びミルク感の変化度合いを確認した。その結果、表3に示されるように、ナトリウム量を30mg/100g以上70mg/100g以下に調整された実施例13〜19の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパク質含有量でありながらも、収斂味が抑えられ、ミルク感が通常の牛乳と同等であることが確認できた。
【0044】
【表4】
【0045】
試験4においては、乳糖をラクターゼの添加により分解し、甘味度を制御した系で、甘味度/タンパク質含有量を変動させることによるタンパク臭及びミルク感の変化度合いを確認した。その結果、表4に示されるように、甘味度/タンパク質含有量を0.30以上0.80以下に調整された実施例20〜27の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパク質含有量でありながらも、タンパク臭が抑えられ、ミルク感が通常の牛乳と同等であることが確認できた。
【0046】
【表5】
【0047】
試験5においては、乳糖をラクターゼの添加により分解し、甘味度を制御した系で、タンパク質含有量を変動させることによるタンパク臭及びミルク感の変化度合いを確認した。その結果、表5に示されるようにタンパク質量を3.3重量%超5.5重量%未満に調整された実施例28〜30の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパク質含有量でありながらも、タンパク臭が抑えられ、ミルク感が通常の牛乳と同等であることが確認できた。
【0048】
【表6】
【0049】
表6は各原料の成分を示したものである。
表1〜5に示されるように、タンパク質を3.3重量%超5.5重量%未満含有し、カロリーが50kcal/100g以下であり、かつ、甘味度/タンパク質含有量が0.30以上0.80以下である乳飲料、さらにナトリウムを30mg/100g以上70mg/100g以下含有する乳飲料とすることで、低カロリーでありながら、タンパク質が強化されても、風味が良好である乳飲料を提供することが可能となることが確認できた。