(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹凸部における凹部の平面形状は直径0.02mm以上0.060mm以下の円、又は、直径0.02mm以上0.060mm以下の外接円に接する多角形である請求項2に記載の半導体装置。
前記端子部において、前記段差面及び前記段差面よりも前記他方の端面側の側面の一部が前記封止樹脂に被覆されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体装置。
一方の面上に形成された柱状の突起部と、前記突起部の周囲の一方の面上に形成された凹凸部と、他方の面の前記突起部及び前記凹凸部と重複する領域に形成された金属膜と、を有するリードフレームを用意する工程と、
前記リードフレームの一方の面上に、前記突起部と電気的に接続して半導体チップを搭載する工程と、
前記リードフレームの一方の面上に、前記突起部及び前記半導体チップを被覆する封止樹脂を形成する工程と、
前記金属膜をマスクとして、前記リードフレームの他方の面側から前記リードフレームをエッチングし、一方の端面側が前記封止樹脂に被覆され、他方の端面側が前記封止樹脂から突出した柱状の接続端子を形成する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体装置の構造]
まず、第1の実施の形態に係る半導体装置の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する図であり、
図1(a)は平面図、
図1(b)は
図1(a)のA−A線に沿う断面図、
図1(c)は
図1(b)のBの部分拡大断面図、
図1(d)は
図1(b)のBの部分拡大平面図である。但し、
図1(a)では、便宜上、金属線30及び樹脂部40の図示は省略されている。又、
図1(d)では、便宜上、樹脂部40の図示は省略されている。
【0011】
図1を参照するに、半導体装置1は、大略すると、リードフレーム10と、半導体チップ20と、金属線30(ボンディングワイヤ)と、樹脂部40とを有する。
【0012】
なお、本実施の形態では、便宜上、半導体装置1の半導体チップ20側を上側又は一方の側、リードフレーム10側を下側又は他方の側とする。又、各部位の半導体チップ20側の面を一方の面又は上面、リードフレーム10側の面を他方の面又は下面とする。但し、半導体装置1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物をリードフレーム10の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をリードフレーム10の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0013】
半導体装置1において、リードフレーム10は、半導体チップ20が搭載されるダイパッド11(チップ搭載部)と、複数のリード12(端子部)とを備えている。リードフレーム10の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金、42アロイ(FeとNiとの合金)等を用いることができる。
【0014】
ダイパッド11の上面(半導体チップ20が搭載されている領域を除く)は樹脂部40に被覆され、側面と下面とは樹脂部40から露出している。ダイパッド11の下面には、金属膜13が形成されている。金属膜13としては、例えば、Ag膜、Au膜、Ni/Au膜(Ni膜とAu膜をこの順番で積膜した金属膜)、Ni/Pd/Au膜(Ni膜とPd膜とAu膜をこの順番で積膜した金属膜)等を用いることができる。
【0015】
リード12はダイパッド11と電気的に独立しており、平面視において、ダイパッド11の周囲に所定のピッチで複数個設けられている。但し、リード12は必ずしもダイパッド11の周囲に2列に設ける必要はなく、1列でも3列以上でもよい。又、ダイパッド11の両側のみに設けてもよい。
【0016】
リード12は略円柱状に形成されており、リード12には、側面の上面(一方の端面)側よりも下面(他方の端面)側が外周側に拡幅した段差部12xが設けられている。段差部12xは、平面形状が略円環状の段差面12dを有する。つまり、リード12の側面に、リード12の上面側に向いた段差面12dが形成されている。なお、段差部12xは、段差面12dを含む段差面12dの近傍を示している。
【0017】
リード12の上面の直径(面積)より、リード12の下面の直径(面積)の方が大きい。リード12の上面の直径は、例えば、0.2〜0.25mm程度とすることができる。段差面12dの幅(円環の幅)は、例えば、50〜75μm程度とすることができる。
【0018】
リード12の上面には金属膜14が形成され、リード12の下面には金属膜15が形成されている。金属膜15は、リード12の上面及び段差面12dと平面視で重複する位置を含むように形成されている。金属膜15の下面は、ダイパッド11の下面に形成された金属膜13の下面と略面一とすることができる。金属膜14及び15としては、例えば、Ag膜、Au膜、Ni/Au膜(Ni膜とAu膜をこの順番で積膜した金属膜)、Ni/Pd/Au膜(Ni膜とPd膜とAu膜をこの順番で積膜した金属膜)等を用いることができる。なお、ダイパッド11の下面に形成された金属膜13と、リード12の上下面に形成された金属膜14及び15とは、便宜上別符号としているが、同一工程で同一材料から形成することができる。
【0019】
半導体チップ20は、ダイパッド11上にフェイスアップ状態で搭載されている。半導体チップ20は、例えば、ダイアタッチフィルム等の接着材17を介してダイパッド11上に搭載(ダイボンディング)することができる。接着材17として、ダイアタッチフィルム等のフィルム状の接着材に代えて、ペースト状の接着材を用いてもよい。半導体チップ20の上面側に形成された各電極端子は、金線や銅線等である金属線30を介して、リード12の上面に形成された金属膜14と電気的に接続(ワイヤボンディング)されている。
【0020】
樹脂部40は、リードフレーム10の一部、半導体チップ20、及び金属線30を被覆する封止樹脂である。すなわち、樹脂部40は、ダイパッド11及びリード12の一部を露出するように半導体チップ20等を封止している。リード12の上面側は樹脂部40に被覆され、下面側は樹脂部40から突出している。リード12の樹脂部40から突出する部分(段差面12dよりも下側の部分)は、外部接続端子となる。なお、段差面12dは、樹脂部40に被覆されている。樹脂部40としては、例えば、エポキシ樹脂にフィラーを含有させた所謂モールド樹脂等を用いることができる。
【0021】
図1(c)及び
図1(d)に示すように、リード12の段差面12d(樹脂部40と接している面)には、高密度凹凸部18が設けられている。なお、高密度凹凸部18が設けられている領域は、
図1(a)では梨地模様、
図1(b)では太線で模式的に示している。
【0022】
高密度凹凸部18は、例えば、平面形状が略円形の微小な凹部(ディンプル)が縦横に高密度に配列された部分である。高密度凹凸部18は、例えば、面心格子等、格子状に配列することができる。
【0023】
凹部の直径は、0.020〜0.060mmとすることが好ましく、0.020〜0.040mmとすることが更に好ましい。凹部のピッチは、0.040〜0.080mmとすることが好ましい。凹部の深さは、リードフレーム10の板厚の35〜70%程度とすることが好ましく、例えば、0.010〜0.050mm程度とすることができる。
【0024】
但し、高密度凹凸部18において、凹部の平面形状は略円形でなくてもよく、例えば、六角形等の多角形としてもよい。この場合には、多角形の外接円の直径は、0.020〜0.060mmとすることが好ましく、0.020〜0.040mmとすることが更に好ましい。多角形の外接円のピッチは、0.040〜0.080mmとすることが好ましい。
【0025】
なお、本願において、高密度凹凸部とは、凹凸部における凹部の平面形状が直径0.02mm以上0.060mm以下の円、又は、直径0.02mm以上0.060mm以下の外接円に接する多角形であって、凹凸部のSレシオが1.7以上であるものを指す。ここで、Sレシオとは、
図2に示すように、表面積がS
0の平坦面に凹凸部を形成し、凹凸部の表面積がSであった場合の、S
0とSとの比率である。つまり、Sレシオ=S/S
0である。
【0026】
凹部の直径や多角形の外接円の直径が0.020mmより小さい場合や、0.06mmよりも大きい場合、Sレシオを増加させることが困難であり、樹脂部40との密着性が向上しない。
【0027】
このように、リード12に段差部12xを設け、更に、段差部12xの段差面12dに高密度凹凸部18を設けることにより、リード12と樹脂部40と接する部分の表面積が増加する。そのため、アンカー効果が生じ、リード12と樹脂部40との密着性を向上することができる。その結果、リード12が樹脂部40から脱落するおそれを低減することができる。
【0028】
又、従来のような円柱状や角柱状のリードでは、リードの側面と樹脂部との界面から水分が侵入し、樹脂部内に達する場合があった。半導体装置の樹脂部内(樹脂部とリードフレームとの界面)に水分が侵入すると、半導体装置を実装基板へ実装する際のリフロー工程等で、樹脂部内の水分が急激に膨張及び気化し、樹脂部にクラック等が発生する問題(所謂ポップコーン現象)が生じる。ポップコーン現象が生じると、半導体装置は破壊される。
【0029】
半導体装置1では、リード12に段差部12xを設け、更に、段差部12xの段差面12dに高密度凹凸部18を設けている。そのため、水分が流入する経路を実質的に長くすることが可能となり、リード12の側面と樹脂部40との界面から水分が侵入して樹脂部40内に達するおそれを低減できる。その結果、ポップコーン現象の発生を防止できる。
【0030】
[第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図3〜
図9は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。
【0031】
まず、
図3に示す工程では、所定形状の金属製の板材10Bを準備する。板材10Bは、最終的に破線で示す切断ラインに沿って切断されて個片化領域C毎に個片化され、複数のリードフレーム10(
図1参照)となる部材である。板材10Bの材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金、42アロイ等を用いることができる。板材10Bの厚さは、例えば、100〜200μm程度とすることができる。なお、
図3(a)は平面図、
図3(b)は
図3(a)のA−A線に沿う断面図である。
図3(a)の平面図において、便宜上、
図3(b)の断面図に対応するハッチングを施している。
【0032】
次に、
図4に示す工程では、板材10Bの上面に感光性のレジスト300を形成し、板材10Bの下面に感光性のレジスト310を形成する。そして、レジスト300を露光及び現像し、所定の位置に開口部300x及び300yを形成する。
【0033】
開口部300xは、板材10Bにダイパッド11となる部分及びリード12のとなる部分を形成するための開口部である。又、開口部300yは、段差部12xを形成するための開口部であり、例えば、多数の円形の開口が縦横に配列されたものである。円形の開口の直径は、0.020〜0.040mmとすることができる。円形の開口のピッチは、例えば、0.040〜0.080mm程度とすることができる。
【0034】
なお、
図4は、
図3の個片化領域Cの1つを示したものであり、
図4(a)は平面図、
図4(b)は
図4(a)のA−A線に沿う断面図、
図4(c)は
図4(b)のBの部分拡大断面図、
図4(d)は
図4(b)のBの部分拡大平面図である。又、
図4(a)及び
図4(d)において、便宜上、
図4(b)の断面図に対応するハッチングを施している。又、段差部12x形成用の開口部300yが設けられている領域は、
図4(a)では梨地模様、
図4(b)では太線で模式的に示している。以降の
図5及び
図6についても同様である。
【0035】
次に、
図5に示す工程では、レジスト300及び310をエッチングマスクとして板材10Bをエッチング(例えば、ウェットエッチング)する。開口部300xが形成されている部分では、板材10Bがハーフエッチングされ、板材10Bのダイパッド11となる部分等が薄型化されると共に、板材10Bの上面側にリード12となる柱状の突起部12Tが形成され、リードフレーム10Sとなる。例えば、ダイパッド11となる部分等が、エッチング前の板材10Bの厚さの70%程度の厚さに薄型化されるようにエッチングすることができる。なお、本実施の形態では、突起部12Tは円柱状であるが、四角柱や六角柱等の角柱状としてもよい(後述の変形例参照)。
【0036】
又、開口部300yが形成されている部分では、各円形開口の周囲(レジスト300が形成されている部分)では、エッチング初期にはエッチング液の侵入が制限されるため、板材10Bが部分的にエッチングされない。その後、エッチング中期から末期にかけて周囲からエッチング液が侵入し開口部300yの全面にわたって腐食される。その結果、各円形開口の周囲は、各円形開口内に比べてエッチング深さが浅くなるため、各円形開口内が各円形開口の周囲に比べて窪んで平面形状が円形の凹部となり、高密度凹凸部18が形成されると共に、薄型化される。
【0037】
開口部300yにおいて、開口の平面形状や大きさ、ピッチを変えることにより、様々な形状や深さの凹部を有する高密度凹凸部18を形成することができる。又、開口部300yにおいて、開口の平面形状や大きさ、ピッチを変えることにより、エッチング量が変わるため、任意の厚さに薄型化できる。本実施の形態では、開口部300yが形成されている部分が、開口部300xが形成されている部分と同程度に薄型化されるように、開口の平面形状や大きさ、ピッチを設定している。そのため、高密度凹凸部18の凹部の最深部とダイパッド11となる部分の上面とが略同一高さとなる。なお、
図5(c)では、高密度凹凸部18の各凹部の断面を矩形状に示しているが、実際には、凹部底面が下方に向かって湾曲した、曲面状の断面に形成される。
【0038】
次に、
図6に示す工程では、
図5に示すレジスト300及び310を除去する。次に、
図7(a)に示す工程では、突起部12Tの上面及び側面を含むリードフレーム10Sの上面に感光性のレジスト320を形成し、リードフレーム10Sの下面に感光性のレジスト330を形成する。そして、レジスト320及び330を露光及び現像し、開口部320x、330x、及び330yを形成する。開口部320xは、突起部12Tの上面を露出するように形成する。又、開口部330xは、ダイパッド11となる部分を露出するように形成する。
【0039】
又、開口部330yは、突起部12Tの上面及び高密度凹凸部18の形成領域と平面視で重複するリードフレーム10Sの下面を露出するように形成する。つまり、高密度凹凸部18の形成領域が円環状であって、外径がφ
1であれば、開口部330yとして直径がφ
1の円形の開口部を形成する。但し、高密度凹凸部18の形成領域の外径と開口部330yの直径とは完全に一致しなくてもよく、例えば、開口部330yは高密度凹凸部18の円環の一部分のみを露出するように形成してもよい。又、開口部330yは高密度凹凸部18の円環よりも大きくてもよい(この場合は、第3の実施の形態で示す)。
【0040】
次に、
図7(b)に示す工程では、開口部320x内に露出する突起部12Tの上面に金属膜14を、開口部330x内に露出するダイパッド11となる領域のリードフレーム10Sの下面に金属膜13を形成する。又、開口部330y内に露出するリード12となる部分のリードフレーム10Sの下面に金属膜15を形成する。金属膜15は、突起部12Tの上面及び高密度凹凸部18の形成領域と平面視で重複するリードフレーム10Sの下面を被覆するように形成される。
【0041】
金属膜13、14、及び15としては、例えば、Ag膜、Au膜、Ni/Au膜(Ni膜とAu膜をこの順番で積膜した金属膜)、Ni/Pd/Au膜(Ni膜とPd膜とAu膜をこの順番で積膜した金属膜)等を用いることができる。金属膜13、14、及び15は、例えば、リードフレーム10Sを給電経路とする電解めっき法により形成できる。
【0042】
次に、
図7(c)に示す工程では、
図7(b)に示すレジスト320及び330を除去する。これにより、
図8に示す平面形状のリードフレーム10Sが完成する。
【0043】
図8に示すリードフレーム10Sは、金属製の板材にリードフレーム10となる複数の個片化領域Cが行列状に配置された構造である。個片化領域Cの上面には、外部接続端子となる突起部12T及び半導体チップが搭載されるチップ搭載領域を備えている。個片化領域Cの上面の突起部12Tに囲まれた領域が、チップ搭載領域である。又、個片化領域Cの上面の各突起部12Tの周囲には高密度凹凸部18が形成されている。高密度凹凸部18が形成された領域を含む個片化領域Cの上面は、樹脂部40による被覆領域である。
【0044】
引き続き半導体装置1を作製する工程について説明する。まず、
図9(a)に示す工程では、各個片化領域Cのダイパッド11となる部分上に半導体チップ20をフェイスアップ状態で搭載する。半導体チップ20は、例えば、ダイアタッチフィルム等の接着材17を介してダイパッド11となる部分上に搭載(ダイボンディング)することができる。この場合、所定の温度に加熱してダイアタッチフィルムを硬化させる。接着材17として、ダイアタッチフィルム等のフィルム状の接着材に代えて、ペースト状の接着材を用いてもよい。そして、半導体チップ20の上面側に形成された電極端子を、金線や銅線等である金属線30を介して、金属膜14と電気的に接続する。金属線30は、例えば、ワイヤボンディング法により、半導体チップ20の電極端子及び金属膜14と接続できる。
【0045】
次に、
図9(b)に示す工程では、リードフレーム10S、半導体チップ20、及び金属線30を封止する樹脂部40を形成する。樹脂部40としては、例えば、エポキシ樹脂にフィラーを含有させた所謂モールド樹脂等を用いることができる。樹脂部40は、例えば、トランスファーモールド法やコンプレッションモールド法等により形成できる。
【0046】
次に、
図9(c)に示す工程では、リードフレーム10Sを下面側からエッチング(例えば、ウェットエッチング)する。この時、金属膜13及び15(Ni/Pd/Auめっき膜等)に対してリードフレーム10S(Cu等)を選択的に除去できるエッチング液を選択することにより、金属膜13及び15がエッチングマスクとして機能する。そのため、金属膜13及び15が形成されていない部分のリードフレーム10Sのみがエッチングされ、ダイパッド11と複数のリード12が独立すると共に樹脂部40の下面から突出し、リードフレーム10が形成される(エッチバック工程)。
【0047】
その後、
図9(c)に示す構造体を切断ラインに沿って切断し、個片化領域C毎に個片化することにより、複数の半導体装置1(
図1参照)が完成する。切断は、例えば、スライサー等により実行できる。
【0048】
なお、半導体装置1を1つの製品として出荷してもよいし、
図8に示した個片化前のリードフレーム10Sを1つの製品として出荷してもよい。この場合には、個片化前のリードフレーム10Sを製品として入手した者が
図9に示す各工程を実行し、複数の半導体装置1を作製することができる。
【0049】
このように、リードフレーム10Sの製造工程では、板材をエッチングして突起部12T等を形成する際に用いるエッチングマスクに高密度凹凸部18を形成するための所定のパターンを作製する。これにより、突起部12T等を形成する工程と同一工程で高密度凹凸部18を形成できるため、製造工程を効率化することが可能となり、製造コストを低減できる。
【0050】
又、1つのエッチングマスクで突起部12T等及び高密度凹凸部18を同時に形成できるため、これら各部の位置ずれが原理的に発生しない。従って、突起部12T等の所望の位置に、高密度凹凸部18を形成することができる。
【0051】
なお、従来のように、突起部12T等を形成するエッチングとは別に、表面を粗化するためのエッチングを行う方法では、製造工程が複雑化してコスト上昇に繋がると共に、粗化する領域の位置精度が悪くなる。
【0052】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは段差面の位置が異なる例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0053】
図10は、第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する図であり、
図10(a)は平面図、
図10(b)は
図10(a)のA−A線に沿う断面図、
図10(c)は
図10(b)のBの部分拡大断面図、
図10(d)は
図10(b)のBの部分拡大平面図である。但し、
図10(a)では、便宜上、金属線30及び樹脂部40の図示は省略されている。又、
図10(d)では、便宜上、樹脂部40の図示は省略されている。
【0054】
第1の実施の形態に係る半導体装置1(
図1参照)では、段差面12dとダイパッド11の上面とが略面一であり、高密度凹凸部18の凹部の最深部とダイパッド11の上面とが略同一高さであった。第2の実施の形態に係る半導体装置2では、段差面12dはダイパッド11の上面よりも上側に位置しており、段差面12d及び段差面12dより下面側のリード12の側面の一部が樹脂部40で被覆されている。
【0055】
このように、段差面12dをダイパッド11の上面よりも上側に配置することにより、
図9(c)に示したエッチバック工程でリード12と樹脂部40との間に隙間が生じることを防止できる。その結果、水分が流入する経路を実質的に更に長くすることが可能となり、リード12の側面と樹脂部40との界面から水分が侵入して樹脂部40内に達するおそれを更に低減できる。
【0056】
段差面12dをダイパッド11の上面よりも上側に位置させることは、第1の実施の形態の
図5に示す工程において、開口部300yの各開口の大きさを小さくするか、ピッチを狭くするか、或いはその両方を行うことにより実現できる。すなわち、
図11に示すように、レジスト300及び310をエッチングマスクとして板材10Bをエッチングすると、段差面12dをダイパッド11となる部分の上面よりも上側に位置させることができる。
図11では、突起部12Tには、突起部12Tの側面の板材10Bの上面に近い側が板材10Bの上面から遠い側よりも外周側に拡幅した段差部12xが形成され、段差部12xの段差面12dに高密度凹凸部18が形成される。段差面12d及び拡幅した段差部12xの側面の一部は、樹脂部40による被覆領域となる。
【0057】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、リードが2つの段差面を備える例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0058】
図12は、第3の実施の形態に係る半導体装置を例示する図であり、
図12(a)は平面図、
図12(b)は
図12(a)のA−A線に沿う断面図、
図12(c)は
図12(b)のBの部分拡大断面図、
図12(d)は
図12(b)のBの部分拡大平面図である。但し、
図12(a)では、便宜上、金属線30及び樹脂部40の図示は省略されている。又、
図12(d)では、便宜上、樹脂部40の図示は省略されている。
【0059】
第3の実施の形態に係る半導体装置3は、リード12の段差部12yに2つの段差面12d及び12eが設けられている点が、第2の実施の形態に係る半導体装置2と相違する。段差面12dがダイパッド11の上面よりも上側に位置している点は半導体装置2と同様である。
【0060】
段差部12yは、段差面12dの外周側に段差面12e(第2の段差面)を備えた階段状に形成されており、段差面12d及び12eは樹脂部40に被覆されている。より詳しくは、段差面12eは、平面視において、段差面12dの外側に略円環状に設けられており、段差面12eの幅(円環の幅)は、例えば、50〜75μm程度とすることができる。段差面12eは、断面視において、段差面12dよりも下側に設けられており、段差面12eとダイパッド11の上面とは略面一である。段差面12eには高密度凹凸部18は形成されていない。但し、段差面12eに高密度凹凸部18を形成することも可能である。
【0061】
このように、リード12の側面に、階段状の段差部12yを設けることにより、第2の実施の形態に係る半導体装置2と同様に、
図9(c)に示したエッチバック工程でリード12と樹脂部40との間に隙間が生じることを防止できる。又、階段状の段差部12yにより、水分が流入する経路を実質的に更に長くすることが可能となり、リード12の側面と樹脂部40との界面から水分が侵入しても、水分が樹脂部40内に達するおそれを更に低減できる。
【0062】
段差面12d及び12eを備えた階段状の段差部12yを形成することは、第2の実施の形態の
図11に示す工程を実行後、レジスト300及び310を除去し、
図13(a)に示す工程を実行すればよい。
【0063】
図13(a)に示す工程では、第1の実施の形態の
図7(a)に示す工程と同様に、レジスト320及び330を形成し、レジスト320及び330に開口部320x、330x、及び330yを形成する。但し、段差面12d(高密度凹凸部18の形成領域)が円環状であって、外径がφ
1であれば、開口部330yとして、段差面12dの円環と中心が略同一で、段差面12dの円環の外径φ
1よりも直径φ
2が大きな開口部を形成する。
【0064】
次に、
図7(b)及び
図7(c)と同様の工程を実行することで、
図13(b)に示すように、リードフレーム10Sの下面の開口部330yが設けられていた位置に、直径がφ
2の金属膜15が形成される。
【0065】
次に、
図9(a)〜
図9(c)と同様の工程を実行することで、
図13(c)に示すように、金属膜15をエッチングマスクとしてエッチバックが行われるので、段差面12eが、平面視において、段差面12dの外側に略円環状に設けられる。これにより、段差面12d及び12eを備えた階段状の段差部12yが形成される。
【0066】
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、ダイパッドの半導体チップを搭載する面に高密度凹凸部を形成する例を示す。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0067】
図14は、第4の実施の形態に係る半導体装置を例示する図であり、
図14(a)は平面図、
図14(b)は
図14(a)のA−A線に沿う断面図、
図14(c)は
図14(b)のBの部分拡大断面図、
図14(d)は
図14(b)のBの部分拡大平面図である。但し、
図14(a)では、便宜上、金属線30及び樹脂部40の図示は省略されている。又、
図14(d)では、便宜上、樹脂部40の図示は省略されている。
【0068】
図14を参照するに、第4の実施の形態に係る半導体装置4は、ダイパッド11の上面に高密度凹凸部18が設けられている点が、第1の実施の形態に係る半導体装置1(
図1参照)と相違する。
【0069】
このように、ダイパッド11の上面に高密度凹凸部18を設けることにより、第1の実施の形態の効果に加え、ダイパッド11の上面と樹脂部40との密着性を向上できるという効果を奏する。又、水分が流入する経路を実質的に長くすることが可能となり、ダイパッド11の上面と樹脂部40との界面から水分が侵入して樹脂部40内に達するおそれを低減できる。又、ダイパッド11の上面に高密度凹凸部18を設けることにより、ダイパッド11の上面に接着材(図示せず)によりダイボンディングされた半導体チップ20の接合強度を、接着材のアンカー効果により向上できる。
【0070】
ダイパッド11の上面に高密度凹凸部18を形成するには、第1の実施の形態の
図4に示す工程に代えて
図15に示す工程を実行すればよい。
図15に示す工程では、
図4に示す工程とは異なり、ダイパッド11となる部分の板材10B上に開口部300yが形成されたレジスト300を配している。次に、
図5に示す工程と同様の工程を実行することで、突起部12Tの周囲の板材10B上に高密度凹凸部18が形成されると共に、ダイパッド11となる部分の板材10B上(チップ搭載領域)に高密度凹凸部18が形成される。以降の工程は、第1の実施の形態と同様である。
【0071】
なお、
図15に示す工程において、ダイパッド11となる部分の板材10B上に形成された開口部300yにおいて、開口の平面形状や大きさ、ピッチを変えることにより、ダイパッド11の上面に、平坦なハーフエッチング面を形成することも可能である。つまり、ダイパッド11の上面に高密度凹凸部18を形成することなく、ハーフエッチングを行うことができる。例えば、ダイパッド11となる部分の板材10B上に形成された開口部300yを、市松模様(チェッカー)状のレジストパターンとすることで、平面が平坦なハーフエッチング面を形成できる。この場合、製造工程は異なるが、
図1に示す半導体装置1と同一の構造の半導体装置を形成できる。
【0072】
〈変形例〉
ここでは、各実施の形態の変形例を示す。各変形例は、上記の何れの実施の形態に適用しても構わない。
【0073】
図16は、変形例1に係る半導体装置を例示する図である。
図16に示す半導体装置1Aは、リード12が四角柱である。このように、各実施の形態に係る半導体装置において、リード12の形状は円柱状に限らず、四角柱や六角柱等の角柱状としてもよい。なお、
図16のA−A線に沿う断面図は、
図1(b)と同様である。
【0074】
図17は、変形例2に係る半導体装置を例示する図である。
図17に示す半導体装置1Bは、ダイパッドを備えていない。このように、各実施の形態に係る半導体装置は、ダイパッドを備えていなくてもよい。
【0075】
半導体装置1Bを作製するには、例えば、第1の実施の形態の
図7(c)の工程において、リード12の形成部分のみに金属膜14及び15を設け、金属膜13を設けなければよい。その後、
図18に示すように、
図9と同様の工程を実行することで、ダイパッドを備えていない半導体装置1Bを作製できる。
図18(c)に示す工程では、樹脂部40から半導体チップ20の下面(接着材17の下面)が露出する。
【0076】
図19は、変形例3に係る半導体装置を例示する図である。
図19に示す半導体装置1Cでは、ダイパッド11の上面と上面側側面とが樹脂部40に被覆され、ダイパッド11の上面に高密度凹凸部18が形成されている。なお、
図19(b)は、
図19(a)のB部の部分拡大断面図である。
【0077】
半導体装置1Cを作製するには、例えば、第2の実施の形態の
図11の工程において、板材10Bのダイパッド11となる部分の上面に、開口部300yを有するレジスト300を設け、エッチングすればよい。これにより、
図20に示すように、ダイパッド11となる部分の上面に高密度凹凸部18が形成されると共に、ダイパッド11となる部分の上面が段差面12dと同程度の高さにエッチングされる。なお、
図20(b)は、
図20(a)のB部の部分拡大断面図である。
【0078】
図21は、変形例4に係る半導体装置を例示する図である。
図21に示す半導体装置1Dでは、ダイパッド11の上面と上面側側面とが樹脂部40に被覆され、ダイパッド11の側面に段差面11dが形成され、段差面11dに高密度凹凸部18が形成されている。なお、
図21(b)は、
図21(a)のB部の部分拡大断面図である。
【0079】
半導体装置1Dを作製するには、例えば、第2の実施の形態の
図11の工程において、板材10Bのダイパッド11となる部分の上面に、周囲に開口部300yを有するレジスト300を設け、エッチングすればよい。これにより、
図22に示すように、ダイパッド11となる部分の上面の周囲がエッチングされて段差面12dと同程度の高さの段差面11dが形成される。又、段差面11dに高密度凹凸部18が形成される。
【0080】
図23は、変形例5に係る半導体装置を例示する図である。
図23に示す半導体装置1Eは、ダイパッドを有していなく、リード12のみを有している。そして、半導体チップ20がフェイスダウンで、バンプ50を介してリード12の上面上の金属膜14と接続(フリップチップ接続)されている。この場合、半導体装置1Eの薄型化や半導体チップ20の放熱性向上のため、半導体チップ20の背面(
図23では上側)を樹脂部40から露出させることができる。但し、半導体チップ20の背面を樹脂部40で被覆してもよい。
【0081】
半導体装置1Eを作製するには、例えば、
図24に示すように、第2の実施の形態の
図11の工程と同様に、リード12のみを形成するレジスト300を設け、エッチングすればよい。その後、レジスト300を除去し、
図18(a)と同様に、リード12の形成部分に金属膜14及び15を設け、金属膜13を設けないようにし、半導体チップ20をフェイスダウンで金属膜14上にフリップチップ実装する。そして、
図18(b)及び
図18(c)と同様の工程を実行し、リード12のみを有する半導体装置1Eを得ることができる。
【0082】
図25は、変形例6に係る半導体装置を例示する図である。
図25に示す半導体装置1Fは、
図24においてダイパッド11に相当する位置にリード11gを有し、リード11gの上面に金属膜14が形成され、金属膜14がバンプ50を介して半導体チップ20とが接続されている。この場合、リード11gは、グランドや電源系のリードとして使用することができる。又、リード11gでは、リード12の段差面12dとほぼ同じ高さに段差面11dが形成され、段差面11dには高密度凹凸部18が形成されている。
【0083】
図26は、変形例7に係る半導体装置を例示する図である。
図26に示す半導体装置1Gでは、リード12の上面に高密度凹凸部18が形成され、高密度凹凸部18の凹凸表面に沿って金属膜14が形成されている。
【0084】
半導体装置1Gを作製するには、例えば、第1の実施の形態の
図5の工程に代えて、
図27に示すように、突起部12Tを形成するレジスト300全体に開口部300yを設けてエッチングすればよい。なお、
図27(b)は、
図27(a)のB部の部分拡大断面図である。
【0085】
図28は、変形例8に係る半導体装置を例示する図である。
図28に示す半導体装置1Hは、
図23に示す半導体装置1Eにおいて、リード12の上面全体に高密度凹凸部18を設けたものである。
図26に示す半導体装置1Gと同様に、リード12の上面に高密度凹凸部18が形成され、高密度凹凸部18の凹凸表面に沿って金属膜14が形成されている。
【0086】
半導体装置1Hを作製するには、例えば、
図29に示すように、突起部12Tを形成するレジスト300全体に開口部300yを設けてエッチングすればよい。その後、レジスト300を除去し、
図18(a)と同様に、リード12の形成部分に金属膜14及び15を設け、金属膜13を設けないようにし、半導体チップ20をフェイスダウンで金属膜14上にバンプ50を介してフリップチップ実装する。そして、
図18(b)及び
図18(c)と同様の工程を実行し、リード12のみを有する半導体装置1Hを得ることができる。
【0087】
〈実施例1〉
まず、
図30に示す試験用サンプルを作製した。具体的には、銅からなる平坦な金属板であるリードフレーム材100の上面に、凹部の平面形状が直径0.02mm以上0.060mm以下の円である凹凸部を形成した。そして、凹凸部の表面にめっきを施さないで、凹凸部上に表1に示す作製条件で樹脂カップ140を形成した。なお、6種類のSレシオにおいて、各々6個の試験用サンプルを作製し、6回測定を行った。但し、Sレシオ=1は、凹凸部を形成しない試験用サンプル(比較例:従来品)である。又、Sレシオを求める際の表面積の測定は、3次元測定レーザ顕微鏡(オリンパス社製 LEXT OLS4100)を用いて行った。
【0089】
なお、表1に示すように、試験用サンプルに、熱履歴として、窒素雰囲気中で175℃1時間、その後大気中で230℃10分の熱を加えている。熱履歴は、リードフレームから半導体装置に至る製造工程中で、半導体チップ等を樹脂部で封止する前に行われる、半導体チップ搭載工程(ダイアタッチ工程)、及びワイヤボンディング工程での加熱を想定したものである。
【0090】
すなわち、これらの工程での加熱により、少なからずリードフレームが酸化し、樹脂部とリードフレームとの密着力に影響がある。そのため、本試験でも、試験用サンプルのリードフレーム材100に対し実際のダイアタッチ工程、及びワイヤボンディング工程の加熱に相当する熱履歴を加えた後、樹脂カップ140を形成している。これにより、信頼度の高い試験結果が得られる。
【0091】
次に、SEMI標準規格G69−0996により規定される手順に従って、カップシェア試験を実施した。具体的には、各試験用サンプルの樹脂カップ140にゲージ(図示せず)を押し付けて
図30(b)の矢印方向に移動させ、せん断強さを測定した。試験は、室温(約25℃)において、ゲージの高さ20μm、速度200μm/秒で行った。
【0092】
結果を
図31に示す。
図31より、比較例に係る試験用サンプル(Sレシオ=1)では、せん断強さが平均値で13[Kgf]程度であるのに対し、Sレシオが1.8以上の試験用サンプルでは、せん断強さが平均値で17[Kgf]以上となった。つまり、Sレシオが1.8以上で、リードフレームと樹脂との密着性が従来品より大幅に向上することがわかった。なお、Sレシオが2.5程度になると、せん断強さの上昇が飽和するが、これはリードフレームと樹脂との界面が剥がれる前に、樹脂の一部が剥がれてしまう(破壊してしまう)ためである。
【0093】
〈実施例2〉
銅からなるリードフレーム材100の上面に実施例1と同様の凹凸部を形成し、凹凸部の表面に銀めっきを施し、銀めっきを施した凹凸部上に樹脂カップ140を形成した以外は実施例1と同様にしてカップシェア試験を実施した。なお、銀めっき膜の厚さは約6μmとした。
【0094】
結果を
図32に示す。
図32より、比較例に係る試験用サンプル(Sレシオ=1)では、せん断強さが平均値で13[Kgf]程度であるのに対し、Sレシオが1.7以上の試験用サンプルでは、せん断強さが平均値で17[Kgf]以上となった。つまり、Sレシオが1.7以上で、リードフレーム上に形成した銀めっき膜と樹脂との密着性が従来品より大幅に向上することがわかった。
【0095】
〈実施例3〉
銅からなるリードフレーム材100の上面に実施例1と同様の凹凸部を形成し、凹凸部の表面にNi/Pd/Auめっきを施し、Ni/Pd/Auめっきを施した凹凸部上に樹脂カップ140を形成した以外は実施例1と同様にしてカップシェア試験を実施した。
【0096】
なお、Ni/Pd/Auめっきとは、リードフレーム材100の上面にニッケルめっき膜、パラジウムめっき膜、及び金めっき膜をこの順番で積層したものである。本実施例では、ニッケルめっき膜の厚さは約0.8μm、パラジウムめっき膜の厚さは約0.03μm、金めっき膜の厚さは約0.006μmとした。
【0097】
結果を
図33に示す。
図33より、比較例に係る試験用サンプル(Sレシオ=1)では、せん断強さが平均値で6[Kgf]程度であるのに対し、Sレシオが1.8以上の試験用サンプルでは、せん断強さが平均値で17[Kgf]以上となった。つまり、Sレシオが1.8以上で、リードフレーム上に形成したNi/Pd/Auめっき膜と樹脂との密着性が大幅に向上することがわかった。
【0098】
〈実施例のまとめ〉
銅からなるリードフレームの上面に、凹部の平面形状が直径0.02mm以上0.060mm以下の円であって、Sレシオが1.7以上の凹凸部、すなわち高密度凹凸部を形成することにより、樹脂部と接する部分の表面積が増加する。そのため、アンカー効果が生じ、リードフレームと樹脂部との密着性を向上することができる。
【0099】
又、高密度凹凸部は、銀めっきやNi/Pd/Auめっきを施した後も一定以上のSレシオを維持できるため、めっき後の表面に樹脂部を形成した場合にも、リードフレームと樹脂部との密着性を向上することができる。
【0100】
又、Sレシオは1.7〜2.5程度が好適に使用できる範囲であり、密着力向上効果や密着力向上の飽和を鑑みると、Sレシオの更に好適な範囲は1.8〜2.0程度である。
【0101】
なお、凹凸部における凹部の平面形状が直径0.02mm以上0.060mm以下の外接円に接する多角形である場合にも、同様の効果が確認されている。
【0102】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0103】
例えば、各実施の形態は、必要に応じて組み合わせてもよい。
【0104】
以上の各実施の形態及び変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 柱状の端子部を備えたリードフレームと、
前記リードフレームに搭載された半導体チップと、
前記リードフレーム及び前記半導体チップを被覆する封止樹脂と、を有し、
前記端子部の一方の端面側は前記封止樹脂に被覆され、他方の端面側は前記封止樹脂から突出し、
前記一方の端面に、凹凸部が形成されている半導体装置。
(付記2) 板材の一方の面に端子となる柱状の突起部を備え、
前記板材の一方の面の前記突起部の周囲に、前記一方の面が突出した段差面が形成され、
前記突起部及び前記段差面が形成された領域は、封止樹脂による被覆領域であるリードフレーム。
(付記3) 板材の一方の面に端子となる柱状の突起部を備え、
前記突起部の上端面に、凹凸部が形成され、
前記突起部が形成された領域は、封止樹脂による被覆領域であるリードフレーム。