【実施例】
【0047】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によってその範囲を限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「%」は「重量%」を表す。
【0048】
以下において採用した分析条件は下記の通りである。
・ガスクロマトグラフィー分析(GC分析)
装置:HP−6890(アジレント社製)
カラム:Inert Cap−1、長さ60m、内径0.25mm、膜厚1.5μm(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:40℃で10分間保持、次いで、20℃/分で昇温し、その後、40℃で10分間保持
インジェクション温度:200℃
キャリヤーガス:窒素
スプリット比:100/1
検出器:FID
【0049】
・ガスクロマトグラフィー質量分析
GC部分:HP−6890(アジレント社製)
カラム:Inert Cap−1、長さ60m、内径0.25mm、膜厚1.5μm(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:40℃で10分間保持、次いで、20℃/分で昇温し、その後、240℃で10分間保持
MS部分:5973 NETWORK(アジレント社製)
検出器 EI型(加速電圧:70eV)
【0050】
[製造例1]sec−ブチルメチルエーテルの製造
撹拌子を入れた容量500mLのナスフラスコに、2−ブタノール360mL、フレーク状水酸化カリウム(アルドリッチ社製、純度約90%)37.3gを入れ、全容を約2.5時間、50℃で撹拌した。水酸化カリウムが溶解し、均一溶液になったところで、加熱を一旦中止した。その均一溶液に、ヨードメタン84.4gを加え、ジムロート型コンデンサーを付した状態で、全容を50℃で3時間強撹拌した。反応混合物を室温(25℃、以下にて同じ。)まで冷却し、上澄み液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、ヨードメタンはほぼ消費され、目的物である2−メトキシブタンと、2−ブタノールの混合物が含まれていることがわかった。ナスフラスコ内の内容物をろ過することにより、ヨウ化カリウムをろ別した。ろ別したヨウ化カリウムを少量の水に溶解させ、上層の有機相を分離、先のろ液と混合し、ろ液混合物を得た。
得られたろ液混合物を蒸留釜に仕込み、KS型精留塔(東科精機社製、カラム長30cm、充填剤:ヘリパックNo.1)を使用して蒸留を行った。塔頂温度55〜56℃の留分を集め、共沸して留出してくる水を分液ロートで分離、得られた蒸留物をモレキュラーシーブス4Aで乾燥することにより、sec−ブチルメチルエーテルを38g得た(収率72%)。
GC−MS(EI−MS):m/z 73、59、41、29
【0051】
[製造例2]sec−ブチルエチルエーテルの製造
撹拌子を入れた容量500mLのナスフラスコに、2−ブタノール240mL、フレーク状水酸化カリウム(アルドリッチ社製、純度約90%)24.8gを入れ、全容を50℃で3時間撹拌した。水酸化カリウムが溶解し、均一の溶液になったところで、加熱を一旦中止した。その均一溶液に、臭化エチル43gを入れ、ジムロート型コンデンサーを付した状態で、70℃で4時間強撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、上澄み液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、臭化エチルはほぼ消費され、目的物である2−エトキシブタンと、2−ブタノールの混合物であった。ナスフラスコ内の内容物から臭化カリウムをろ別してろ液を得た。ろ別した臭化カリウムは少量の水に溶解させ、上層の有機相を分離、先のろ液と混合した(ろ液混合物)。
得られたろ液混合物を蒸留釜に仕込み、KS型精留塔(東科精機社製、カラム長30cm、充填剤:ヘリパックNo.1)を使って、蒸留を行った。塔頂温度68〜69℃の留分を集め、共沸して留出してくる水を分液ロートで分離、モレキュラーシーブス4Aで乾燥し、31gのsec−ブチルエチルエーテルを得た(収率51%)。
GC−MS(EI−MS):m/z 87、73、59、45
【0052】
[製造例3]2−ペンチルメチルエーテルの製造
ジムロート型コンデンサー、滴下ロート、撹拌子を付した容量500mLのナスフラスコに、2−ペンタノール300mL、水酸化カリウム(和光純薬工業社製、純度約85%)30gを入れ、全容を50℃で約2.5時間撹拌した。水酸化カリウムが溶解し、均一溶液になったところで、p−トルエンスルホン酸メチル81gを滴下ロートから約1時間かけて添加し、50℃で3時間強撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、内容物をビーカーに移し、水を加えることにより、生成したp−トルエンスルホン酸カリウムを溶解させた。ビーカー内の液を分液ロートに移し、水層を分離し、2−ペンチルメチルエーテルと2−ペンタノールの混合液を得た。
得られた混合液を蒸留釜に仕込み、KS型精留塔(東科精機社製、カラム長30cm、充填剤ヘリパックNo.1)を使用して蒸留を行った。塔頂温度74〜75℃の留分を集め、共沸して留出してくる水を分液ロートで分離、得られた蒸留物をモレキュラーシーブス4Aで乾燥し、2−ペンチルメチルエーテルを16g得た(収率37%)。
GC−MS(EI−MS):m/z 87、71、59、45
【0053】
[製造例4]フッ化アセチルの製造
攪拌機、滴下ロート及び捕集トラップを付した、容量500mLのガラス製反応器に、無水酢酸200mL、及び、二フッ化水素カリウム46.9gを入れ、全容を40℃に加温しながら撹拌した。そこへ、塩化アセチル47gを滴下ロートから40分間かけて滴下し、滴下終了後、15分ごとに反応器を10℃ずつ昇温させた。最終的に90℃まで加温し、20分間その温度に保持した後、反応を停止させた。その間、反応器から留出してくるフッ化アセチルは、氷水で冷却したガラストラップに捕集した。粗収量は47.6g(粗収率128%)であった。なお、本反応では、無水酢酸からもフッ化アセチルが生成するので、収率は100%を超える。
得られた粗フッ化アセチルを単蒸留して、塔頂温度20〜24℃の留分を集め、フッ化アセチルを42.4g得た(収率114%)。
【0054】
[製造例5]フッ化プロピオニルの製造
攪拌機、滴下ロート、及び捕集トラップを付した、容量500mLのガラス製反応器に、無水プロピオン酸200mL、及び二フッ化水素カリウム46.8gを入れ、全容を90℃に加温しながら撹拌した。そこへ、塩化プロピオニル55.5gを滴下ロートから1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに、15分間撹拌した。その後、15分ごとに反応器を10℃ずつ昇温し、110℃まで加熱した。全容を110℃で30分間撹拌した後、反応を停止させた。その間、反応器から留出してくるフッ化プロピオニルは、氷水で冷却したガラストラップに捕集した。粗収率は132%であった。なお、本反応では、無水プロピオン酸からもフッ化プロピオニルが生成するので、収率は100%を超える。
得られた粗フッ化プロピオニルを単蒸留して、塔頂温度42〜43℃の留分を集め、フッ化プロピオニルを46.8g得た(収率103%)。
【0055】
[触媒調製例1]
容量100mLのナスフラスコに、ポリビニルピロリドン(和光純薬工業社製、K25、重量平均分子量;35,000)を3g、塩化メチレンを30mL入れ、20℃で、ポリビニルピロリドンを塩化メチレンに溶解させた。その溶液に、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体(5.6g)を塩化メチレン(15mL)に溶解させた溶液を約10分かけて滴下した。この間、ポリマー(三フッ化ホウ素−PVP担持触媒)の析出が確認された。フラスコ内の内容物をさらに1時間撹拌した。その後、内容物を減圧濾過にてろ別し、塩化メチレン10mLで2回洗浄した。得られた固形分をデシケータ中、真空に減圧し、一晩乾燥させ、三フッ化ホウ素−PVP担持触媒(触媒1)を得た(三フッ化ホウ素担持濃度:9mmol/g)。
【0056】
[触媒調製例2]
触媒調製例1において、ポリビニルピロリドンの使用量を3gから4gに、三フッ化ホウ素テトラヒドラフラン錯体の使用量を5.6gから2.23gに変更したこと以外は、触媒調製例1に従って触媒を調製し、三フッ化ホウ素−PVP担持触媒(触媒2)を得た(三フッ化ホウ素担持濃度:4mmol/g)。
【0057】
[触媒調製例3]
容量100mLのナスフラスコに、ポリビニルピロリドン(和光純薬工業社製、K90、重量平均分子量;360,000)を3g、塩化メチレンを60mL入れ、20℃でポリビニルピロリドンを塩化メチレンに溶解させた。その溶液に、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体(5.6g)を塩化メチレン(15mL)に溶解させた溶液を約10分かけて滴下した。この間、ポリマーの析出が確認された。フラスコ内の内容物をさらに1時間撹拌した。その後、内容物を減圧濾過にてろ別し、塩化メチレン10mLで2回洗浄した。得られたガム状の固体をデシケータ中、真空に減圧し、一晩乾燥させ、三フッ化ホウ素−PVP担持触媒(触媒3)を得た(三フッ化ホウ素担持濃度:9mmol/g)。
【0058】
[実施例1]
撹拌子、ジムロート型コンデンサー(0℃の冷媒を循環)を付した容量50mLのガラス製反応器に、窒素雰囲気下、触媒調製例1で調製した触媒1を0.25g、及び、乾燥n−ヘキサン5mLを入れ、0℃に冷却した。そこへ、製造例1で合成したsec−ブチルメチルエーテル1.76g、製造例4で合成したフッ化アセチル1.86gを添加し、その後、20℃まで昇温し、内容物を3.5時間撹拌した。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、21.79面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.27面積%、6.49面積%、2.36面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された、2−アセトキシブタンは、0.43面積%生成したに過ぎなかった。なお、残りは溶媒のn−ヘキサン、酢酸メチルであった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0059】
[実施例2]
実施例1において、触媒1を、触媒調製例2で調製した触媒2に変更し、反応時間を3.5時間から7時間としたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、21.11面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.29面積%、6.81面積%、2.45面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンは、1.17面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0060】
[実施例3]
実施例1において、触媒1を、触媒調製例3で調製した触媒3に変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、21.72面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.23面積%、5.89面積%、0.96面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンは、1.05面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0061】
[実施例4]
実施例1において、製造例4で合成したフッ化アセチル1.86gを、製造例5で合成したプロピオニルフルオリド3.65gに変更し、反応時間を3.5時間から5時間としたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、17.46面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.29面積%、4.71面積%、1.65面積%生成していた。また、原料がプロピオニルオキシ化された2−プロピオニルオキシブタンは、1.13面積%生成したに過ぎなかった。なお、残りは溶媒のn−ヘキサン、プロピオン酸メチルであった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0062】
[実施例5]
実施例1において、n−ヘキサン5mLを、シクロヘキサン5mLに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、19.21面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.11面積%、6.34面積%、2.55面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンは0.98面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0063】
[実施例6]
実施例1において、n−ヘキサン5mLを、n−ヘプタン5mLに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン20.13面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.22面積%、6.01面積%、2.33面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンは、0.76面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0064】
[実施例7]
実施例1において、製造例1で合成したsec−ブチルメチルエーテル1.76gを、製造例2で合成したsec−ブチルエチルエーテル2.04gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルエチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、21.12面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ0.19面積%、3.88面積%、1.34面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンは、1.56面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0065】
[実施例8]
実施例1において、製造例1で合成したsec−ブチルメチルエーテル1.76gを、製造例3で合成した2−ペンチルメチルエーテル2.04gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ペンチルエチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロペンタン、16.72面積%、3−フルオロペンタン、4.64面積%と、異性体混合物であるペンテンが5.87面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシペンタンは、0.92面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0066】
[実施例9]
実施例1において、製造例1で合成したsec−ブチルメチルエーテル1.76gを、t−ブチルメチルエーテル(東京化成工業社製)1.76gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のt−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物であるt−ブチルフルオリド、23.34面積%と、イソブテン、2.12面積%が生成していた。また、原料がアセトキシ化されたアセトキシt−ブチルは、0.89面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0067】
[実施例10]
実施例1において、製造例1で合成したsec−ブチルメチルエーテル1.76gを、t−ブチルエチルエーテル(東京化成工業製)2.04gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のt−ブチルエチルエーテルはほぼ消失し、目的物であるt−ブチルフルオリド22.75面積%とイソブテン2.62面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化されたアセトキシt−ブチルは、0.85面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0068】
[実施例11]
バルブ、撹拌機を付した容量100mLのろ過器付ステンレス製オートクレーブに、触媒調製例1で調製した触媒1を1.5g充填し、系内を減圧後、窒素雰囲気下にした。そこへ、乾燥n−ヘキサン30mLを入れ、オートクレーブを0℃に冷却した。バルブからシリンジを介して、sec−ブチルメチルエーテル10.6g、次いで、フッ化アセチル11.2gを入れ、内容物を20℃で4時間撹拌した。撹拌を停止し、オートクレーブの底バルブを開け、乾燥窒素で微加圧しながら反応液を抜き出した。反応液は無色透明であり、ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン21.51面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.37面積%、5.46面積%、1.72面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンは、0.67%生成したに過ぎなかった。
【0069】
触媒1の残ったオートクレーブ内に、再度、乾燥n−ヘキサン30mLを入れ、オートクレーブを0℃に冷却した。バルブからシリンジを介して、sec−ブチルメチルエーテル10.6g、次いで、フッ化アセチル11.2gを入れ、内容物を20℃で4時間撹拌した。撹拌を停止し、オートクレーブの底バルブを開け、乾燥窒素で微加圧しながら反応液を抜き出した。反応液は無色透明であり、ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、2123面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.34面積%、5.32面積%、1.34面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンは、0.72面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。なお、表中、実施例11において、上段は1回目の反応結果、下段は触媒を再利用して行った2回目の反応結果を示す(以下にて同じ)。
【0070】
[実施例12]
バルブ、撹拌機を付した容量100mLのろ過器付ステンレス製オートクレーブに、触媒調製例3で調製した触媒3を1.5gを充填し、系内を減圧後、窒素雰囲気下にした。そこへ、乾燥シクロヘキサン30mLを入れ、オートクレーブを0℃に冷却した。バルブからシリンジを介して、sec−ブチルメチルエーテル10.6g、次いで、フッ化アセチル11.2gを入れ、内容物を20℃で3.5時間撹拌した。撹拌を停止し、オートクレーブの底バルブを開け、乾燥窒素で微加圧しながら反応液を抜き出した。反応液は無色透明であり、ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、21.09面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.28面積%、5.53面積%、1.32面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンは、0.66面積%生成したに過ぎなかった。
【0071】
触媒の残ったオートクレーブ内に、再度、乾燥シクロヘキサン30mLを入れ、オートクレーブを0℃に冷却した。バルブからシリンジを介して、sec−ブチルメチルエーテル10.6g、次いで、フッ化アセチル11.2gを入れ、内容物を20℃で4時間撹拌した。撹拌を停止し、オートクレーブの底バルブを開け、乾燥窒素で微加圧しながら反応液を抜き出した。反応液は無色透明であり、ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、21.23面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ、0.33面積%、5.37面積%、1.45面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンは、0.79面積%生成したに過ぎなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
【0072】
[比較例1]
実施例1において、溶媒のn−ヘキサンを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、反応器内にn−ヘキサン5mLを添加し、ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、目的物である2−フルオロブタン、12.32面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ0.44面積%、15.15面積%、4.34面積%生成し、原料のsec−ブチルメチルエーテルが、4.33面積%残存していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンが、5.24面積%生成していた。結果を下記表1にまとめて示す。
【0073】
[比較例2]
実施例1において、溶媒をn−ヘキサンからメチルエチルケトンに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後の溶液はオレンジ色に着色しており、さらに、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルが5.47面積%残存し、目的物である2−フルオロブタンが7.79面積%、構造不明の高沸点成分幾種が、合計で10.22面積%生成していた。結果を下記表1にまとめて示す。
【0074】
[比較例3]
実施例1において、溶媒をn−ヘキサンからトルエンに変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、原料のsec−ブチルメチルエーテルはほぼ消失し、目的物である2−フルオロブタン、12.63面積%と、1−ブテン、(E)−2−ブテン、及び(Z)−2−ブテンが、それぞれ0.45面積%、8.33面積%、2.23面積%生成していた。また、原料がアセトキシ化された2−アセトキシブタンが、1.12面積%生成し、さらに、トルエンが2−フルオロブタンと反応した高沸点成分が幾種か生成していた。結果を下記表1にまとめて示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1から、実施例1〜12では、副生成物の生成を抑えつつ、目的物であるフッ素化炭化水素(3)が有利に生成していることがわかる。
一方、溶媒を用いないで反応を行った比較例1では、原料が残存し、ブテン及び原料由来成分の2−アセトキシブタン等の副生成物の量が多くなることが分かった。
なお、比較例1の反応経過を観察したところ、触媒が均一に分散していないことがわかった。このことから、無溶媒であると、触媒が、目的物である2−フルオロブタンに、過度に偏って接触するため、副反応が起き、反応収率が低下するものと考えられる。
また、炭化水素系溶媒以外の溶媒を用いた比較例2、3でも、高沸点成分が生成する等、副生成物が多く生成し、実施例に比して目的物の生成が少なかった。
【0077】
また、実施例11の結果から、触媒は、反応終了後に反応液からろ別することにより、性能が低下することなく、繰り返し使用できることがわかった。
さらに、実施例12の結果から、触媒1よりも高分子量の触媒3であっても、同様に、反応液からろ別することにより、繰り返し使用できることがわかった。