特許第6611377号(P6611377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6611377電極合剤層形成モールドを含む二次電池用電極製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611377
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】電極合剤層形成モールドを含む二次電池用電極製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20191118BHJP
   B05C 5/02 20060101ALN20191118BHJP
   B05C 9/14 20060101ALN20191118BHJP
【FI】
   H01M4/04 A
   !B05C5/02
   !B05C9/14
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-565915(P2017-565915)
(86)(22)【出願日】2016年7月21日
(65)【公表番号】特表2018-519635(P2018-519635A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】KR2016007934
(87)【国際公開番号】WO2017039148
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2017年12月19日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0122688
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】イ ミュンキ
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−218385(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/031889(WO,A1)
【文献】 特開2003−045416(JP,A)
【文献】 特開2013−073685(JP,A)
【文献】 特開昭63−298964(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0147742(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0118588(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
B05C 5/02
B05C 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池用電極合剤スラリーを供給するスラリー供給部と、
互いに対向する第1面および第2面が開放された中空状構造からなっており、前記スラリー供給部から供給された電極合剤スラリーが中空部位に注入される電極合剤層形成モールド(mold)と、
前記電極合剤層形成モールドの中空部位に注入された電極合剤スラリーを乾燥する乾燥部と、
前記電極合剤スラリーを加圧することによって電極合剤層シートを形成するプレス(press)と、
上面が前記電極合剤層形成モールドの開放された第1面と対面することによって、前記電極合剤層形成モールドを支持するモールド支持部とを含み、
前記電極合剤層シートは、プレスの後、前記電極合剤層形成モールドおよび前記モールド支持部から分離されることを特徴とする、二次電池用電極製造装置。
【請求項2】
前記電極合剤スラリーは、電極合剤層形成モールドの開放された第2面に注入されることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項3】
前記電極合剤層形成モールドは、中空部位の形状が平面状に円形、楕円形、三角形、四角形または多角形からなることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項4】
前記電極合剤層形成モールドは、金属、または耐熱性高分子樹脂、または高分子複合体からなることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項5】
前記耐熱性高分子樹脂または高分子複合体の融点は、摂氏130度〜400度であることを特徴とする請求項4に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項6】
前記乾燥部は、高温の熱風または光源によって電極合剤スラリーを乾燥させることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項7】
前記プレスは、電極合剤層形成モールドの開放された第2面を介して、乾燥した電極合剤スラリーを加圧することを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項8】
前記プレスは、電極合剤スラリーと対面する部位の外面形状が電極合剤層形成モールドの開放された第2面の内面と同一で、電極合剤層形成モールドの内部に導入されながら、乾燥した電極合剤スラリーを加圧することを特徴とする請求項7に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項9】
前記二次電池用電極製造装置は、集電体シートを切り取って電極集電体を製造する集電体カッティング部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項10】
前記電極集電体の互いに対向する一面および他面の面積は、平面状に電極合剤層シートの面積に対して相対的に大きな大きさからなっており、前記電極合剤層シートは、電極集電体の一面および他面の中央部位に付着することを特徴とする請求項9に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項11】
前記電極合剤層シートの付着する電極集電体の一面および他面の面積は、電極合剤層シートの面積に対して110%〜130%の大きさであることを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項12】
前記電極合剤層シートは、バインダーによって電極集電体の一面および他面に付着することを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項13】
前記電極集電体は、少なくとも一側の外周辺方向に形成された電極タブを含むことを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項14】
前記電極集電体は、電極合剤層シートが付着した後に、前記電極合剤層シートの付着した部位および電極タブ部位を除いた残りの部位が除去されることを特徴とする請求項10に記載の二次電池用電極製造装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の二次電池用電極製造装置を用いた二次電池用電極の製造方法であって、
a)モールド支持部の上面に電極合剤層形成モールドの開放された第1面が対面するように位置させる過程と、
b)電極合剤層形成モールドの中空部位に電極合剤スラリーを注入する過程と、
c)前記電極合剤層形成モールドの中空部位に注入された電極合剤スラリーを乾燥する過程と、
d)前記乾燥した電極合剤スラリーを圧縮することによって、電極合剤層シートを形成する過程と、
e)前記電極合剤層シートを電極合剤層形成モールドおよびモールド支持部から分離する過程と、
f)集電体シートを切り取って電極集電体を製造する過程と、
g)前記電極集電体の互いに対向する一面および他面の中央部位に電極合剤層シートを付着させる過程と、
h)前記電極集電体で、電極合剤層シートの付着した部位および電極タブ部位を除いた残りの部位を除去して最終電極を製造する過程とを含むことを特徴とする二次電池用電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極合剤層形成モールドを含む二次電池用電極製造装置に関する。
本出願は、2015年8月31日付の韓国特許出願第10−2015−0122688号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0002】
最近、化石燃料の枯渇によるエネルギー源の値上がり、環境汚染の関心が増幅し、環境に優しい代替エネルギー源に対する要求が未来生活のための必須不可欠の要因となっている。そこで、原子力、太陽光、風力、潮力など多様な電力生産技術に対する研究が続いており、このように生産されたエネルギーをより効率的に使用するための電力貯蔵装置も大きな関心が続いている。
【0003】
特に、モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するに伴ってエネルギー源としての電池の需要が急激に増加しており、それによって多様な要求に応えられる電池に対する多くの研究が行われている。
【0004】
代表的に、電池の形状の面では、薄い厚さで携帯電話などのような製品に適用可能な角型二次電池とパウチ型二次電池に対する需要が高く、材料の面では、高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性などの利点を有するリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのようなリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0005】
また、二次電池は、正極、負極、および正極と負極との間に介在する分離膜が積層された構造の電極アセンブリがどのような構造からなっているかによって分類されたりするが、代表的には、長いシート状の正極と負極を分離膜が介在した状態で巻取った構造のゼリーロール型(巻取型)電極アセンブリ、所定大きさの単位に切り取った多数の正極と負極を分離膜を介在させた状態で順次に積層したスタック型(積層型)電極アセンブリなどが挙げられ、最近は、前記ゼリーロール型電極アセンブリおよびスタック型電極アセンブリの抱える問題点を解決するために、前記ゼリーロール型とスタック型の混合形態である一歩進んだ構造の電極アセンブリであって、所定単位の正極と負極を分離膜を介在させた状態で積層した単位セルを分離フィルム上に位置させた状態で順次に巻取った構造のスタック/フォールディング型電極アセンブリが開発された。
【0006】
また、二次電池は、電池ケースの形状によって、電極アセンブリが円筒形または角形の金属缶に内装されている円筒型電池および角型電池と、電極アセンブリがアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内装されているパウチ型電池とに分類される。
【0007】
特に、最近は、スタック型またはスタック/フォールディング型電極アセンブリをアルミニウムラミネートシートのパウチ型電池ケースに内蔵した構造のパウチ型電池が、低い製造費、小さい重量、容易な形態変形などを理由に、多くの関心を集めており、また、その使用量が次第に増加している。
【0008】
一般に、このような二次電池の電極は、電極集電体上に電極活物質、導電剤、バインダーなどが混合された電極合剤を塗布した後、乾燥およびプレス(press)して製造される。
【0009】
図1には、従来の電極シート製造装置の構造を概略的に示す模式図が示されている。
【0010】
図1を参照すれば、電極シート製造装置100は、移送部130と、電極合剤スラリーをコーティングするスロットダイ110と、乾燥部121、122とを含んでいる。
【0011】
電極用集電体シート140は、ロール141形態に巻かれており、前記ロール141の対向側端部に位置する移送部130によって移送される。
移送部130は、2つのローラ131、132から構成されており、2つのローラ131、132が相互反対方向に回転(101、102)することによって、集電体シート140が移送部130方向に移送(103)される。
【0012】
スロットダイ110は、万年筆でインクがペン先から出るのと同じく、スロットダイ110の両側に分かれた端部の隙であるスロット111にコーティング液が排出されるようにしてスロットダイ110自体が動くか、集電体シート140が動きながら、集電体シート140上に電極合剤スラリーを塗布する。このようなスロットダイ110を用いたコーティング方法は、維持補修および生産性の側面でその他のコーティング方法に比べて優れているため、今のところ、二次電池の電極の集電体シート140に電極合剤スラリーを塗布すること以外に、平板ディスプレイ装置のパネル製造などにも幅広く使用されている。
【0013】
電極合剤スラリーが塗布された集電体シート140は、乾燥部121、122に移送(103)される。
【0014】
乾燥部121、122は、高温の熱風または光源によって電極合剤スラリーがコーティングされた集電体シート140の一面および他面を乾燥させるようになっている。
【0015】
このように製造された電極シートは、所望の大きさに切り取られ成形されて、電極アセンブリを構成するための電極を完成させる。
【0016】
しかし、このような電極シート製造装置100は、乾燥部121、122が一定の長さを有する部位で電極シートを乾燥するため、集電体シート140に対する電極合剤スラリーのコーティング量が高くなるほど、前記コーティング部位に亀裂が発生し得て、前記電極合剤スラリーのコーティング量を増加させることによって、電極の容量を増加させるのに限界がある。
【0017】
また、前記電極合剤スラリーは、液状に集電体シート140上に塗布されるので、前記電極合剤スラリーの粘度が一定水準に及ばない場合、集電体140の単位面積あたりに所望する程度の高いコーティング量で電極合剤スラリーを塗布できない場合が発生する。
【0018】
さらに、前記電極シートは、電極合剤スラリーのコーティングが完了し、所望の大きさに切り取られ成形される前に、ロール(roll)形態に巻取られることから、電極合剤スラリーを高いコーティング量で塗布しても、前記巻取過程で高いコーティング量で塗布された電極合剤スラリーが、集電体シート140との物理的特性の差によって、集電体シート140から脱離し得る問題点がある。
【0019】
したがって、このような問題点を根本的に解決できる技術に対する必要性が高いのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記の従来技術の問題点と過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0021】
本出願の発明者らは、深い研究と多様な実験を繰り返した末に、後で説明するように、電極合剤スラリーが注入されて成形される電極合剤層形成モールド(mold)を含むように構成することによって、前記電極合剤層形成モールドによって別途に製造された電極合剤層シートをカッティングされた電極集電体に付着するので、高いコーティング量の電極合剤層をより容易に形成することができ、前記電極合剤を集電体シート上に直接コーティングする場合に比べて、電極合剤層と集電体との接着力を向上させることができて、構造的安定性を向上させ、電極合剤層の亀裂を防止することで、製品の不良率を低下させて、工程に対する信頼性を向上させることができることを確認して、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このような目的を達成するための、本発明による二次電池用電極製造装置は、
二次電池用電極合剤スラリーを供給するスラリー供給部と、
互いに対向する第1面および第2面が開放された中空状構造からなっており、前記スラリー供給部から供給された電極合剤スラリーが中空部位に注入される電極合剤層形成モールド(mold)と、
前記電極合剤層形成モールドの中空部位に注入された電極合剤スラリーを乾燥する乾燥部と、
前記電極合剤スラリーを加圧することによって電極合剤層シートを形成するプレス(press)と、
上面が前記電極合剤層形成モールドの開放された第1面と対面することによって、前記電極合剤層形成モールドを支持するモールド支持部とを含む構造であってもよい。
【0023】
したがって、前記電極合剤層形成モールドによって別途に製造された電極合剤層シートをカッティングされた電極集電体に付着するので、高いコーティング量の電極合剤層をより容易に形成することができ、前記電極合剤を集電体シート上に直接コーティングする場合に比べて、電極合剤層と集電体との接着力を向上させることができて、構造的安定性を向上させ、電極合剤層の亀裂を防止することで、製品の不良率を低下させて、工程に対する信頼性を向上させることができる。
【0024】
一具体例において、前記電極合剤スラリーは、電極合剤層形成モールドの開放された第2面に注入される構造であってもよい。
【0025】
より具体的には、前記電極合剤層形成モールドは、互いに対向する第1面および第2面が開放された中空状構造からなっており、前記第1面がモールド支持部の上面と対面している構造であってもよい。
【0026】
したがって、前記電極合剤層形成モールドは、第2面のみが開放された状態を維持するので、前記電極合剤層形成モールドの第2面に注入された電極合剤スラリーは、第1面を通して外部に流出しない。
【0027】
また、前記電極合剤層形成モールドは、中空部位の形状が平面状に円形、楕円形、三角形、四角形または多角形からなる構造であってもよいが、これに限定されるものではなく、前記電極合剤層形成モールドの作製に過度に多い時間および費用がかからないと同時に、前記二次電池用電極製造装置によって製造される電極が適用される電池セルおよびデバイスの多様な形状に応じて適切に選択できる構造であれば、その形状が大きく制限されるわけではない。
【0028】
一方、前記電極合剤層形成モールドは、所望の形状および大きさの中空構造を有する構造に成形できる素材であれば、その種類が大きく制限されるわけではなく、詳細には、金属、または耐熱性高分子樹脂、または高分子複合体からなってもよい。
【0029】
この場合に、前記耐熱性プラスチックまたは高分子複合体の融点は、摂氏130度〜400度であってもよい。
【0030】
より具体的には、前記電極合剤層形成モールドに注入される電極合剤スラリーは、高温の液状形態で注入され、これにより、前記電極合剤層形成モールドを形成する耐熱性プラスチックまたは高分子複合体は、摂氏130度〜400度の融点を有することによって、前記高温を有する電極合剤スラリーの温度範囲で耐熱性を発揮し、電極合剤層シートの形成過程で、安定的に、電極合剤スラリーを支持することができる。
【0031】
一具体例において、前記乾燥部は、電極合剤層形成モールドの中空部位に注入された電極合剤スラリーを効果的に乾燥できる構造であれば、その種類が大きく制限されるわけではなく、詳細には、前記乾燥部は、高温の熱風または光源によって電極合剤スラリーを乾燥させる構造であってもよい。
【0032】
この場合に、前記熱風または光源の温度は、電極合剤スラリーの特性に変化を起こさないと同時に、前記電極合剤スラリーを効果的に乾燥させられる範囲で、前記電極合剤スラリーの注入量、温度などの条件に応じて適切に調節可能である。
【0033】
また、前記プレスは、電極合剤層形成モールドの開放された第2面を介して、乾燥した電極合剤スラリーを加圧する構造であってもよい。
【0034】
先に説明したのと同様に、前記電極合剤層形成モールドは、開放された第1面および第2面のうち、前記第1面がモールド支持部に対面している状態であるので、前記プレスは、電極合剤スラリーが注入された電極合剤層形成モールドの開放された第2面を介して、乾燥した電極合剤スラリーを加圧することによって、所望のエネルギー密度および/または空隙率を有する電極合剤層シートを形成することができる。
【0035】
この時、前記プレスは、電極合剤スラリーと対面する部位の外面形状が電極合剤層形成モールドの開放された第2面の内面と同一で、電極合剤層形成モールドの内部に導入されながら、乾燥した電極合剤スラリーを加圧する構造であってもよい。
【0036】
言い換えると、前記プレスは、電極合剤層形成モールドの第2面を介して電極合剤スラリーを加圧するので、前記電極合剤スラリーと対面するプレスの部位の外面形状は、電極合剤層形成モールドの開放された第2面の内面と同一の構造であってもよいし、これにより、前記プレスは、電極合剤層形成モールドの第2面を介して、前記電極合剤層形成モールドの内面、つまり、中空部位に導入されながら、乾燥した電極合剤スラリーを加圧および成形することができる。
【0037】
一方、前記電極合剤層シートは、プレスの後、電極合剤層形成モールドおよびモールド支持部から分離される構造であってもよい。
【0038】
つまり、前記電極合剤層シートは、集電体を含んでいないので、前記電極合剤層シートは、プレスによる形成終了後に、集電体上に付加できるように、前記電極合剤層形成モールドおよびモールド支持部から分離される構造であってもよい。
【0039】
この時、前記電極合剤層形成モールドの第1面を支持するモールド支持部の上面には、完成した電極合剤層シートがより容易に分離できるように、所定の分離剤が付加されている構造であってもよい。
【0040】
一具体例において、前記二次電池用電極製造装置は、集電体シートを切り取って電極集電体を製造する集電体カッティング部をさらに含む構造であってもよい。
【0041】
より具体的には、前記電極合剤層シートは、集電体または集電体シート上で形成される場合、高いコーティング量の電極合剤スラリーに対するプレスの高い圧力によって、前記集電体または集電体シートが損傷および変形し得る。
【0042】
さらに、前記集電体シートは、1つの連続的なシートで連結しているので、前記電極合剤シートを付着させる過程で、印加される張力によって損傷および変形し得る。
【0043】
したがって、本発明による二次電池用電極製造装置は、前記集電体シートを切り取って電極集電体を別途に製造する集電体カッティング部をさらに含むことによって、前記集電体シート上に電極合剤シートを付加する場合に発生し得る問題点を予防することができる。
【0044】
この場合に、前記電極集電体の互いに対向する一面および他面の面積は、平面状に電極合剤層シートの面積に対して相対的に大きな大きさからなっており、前記電極合剤層シートは、電極集電体の一面および他面の中央部位に付着する構造であってもよい。
【0045】
より具体的には、前記電極集電体は、互いに同一の極性を有する電極合剤層シートの間に位置し、これにより、前記電極合剤層シートが相対的に大きな面積で有する電極集電体の一面および他面の中央部位に付着した後、前記電極集電体の残りの部位が除去されることによって、前記電極合剤層シートと同一の面積を有するように構成することができる。
【0046】
これにより、前記電極合剤層シートの付着する電極集電体の一面および他面の面積は、電極合剤層シートの面積に対して110%〜130%の大きさであってもよい。
【0047】
万一、前記電極合剤層シートの付着する電極集電体の一面および他面の面積が電極合剤層シートの面積に対して110%未満の場合には、電極合剤層シートが、電極集電体の一面および他面で、中央部位に合わせて付着しにくいことがあり、これにより、前記電極の製造にかかる時間が遅延することがある。
【0048】
これとは逆に、前記電極合剤層シートの付着する電極集電体の一面および他面の面積が電極合剤層シートの面積に対して130%を超える場合には、前記電極合剤層シートの付着過程で、電極集電体に印加される張力によって、前記電極集電体が損傷および変形し得、先に説明したのと同様に、前記電極集電体の除去される残りの部位が過度に大きくなるので、電極の製造費用を増加させる要因として作用し得る。
【0049】
一方、前記電極合剤層シートは、電極集電体に損傷または変形を誘発しないと同時に、前記電極集電体に対する電極合剤層シートの所望する接着力を発揮できる方法であれば、その付着方法乃至構造が大きく制限されるわけではなく、詳細には、前記電極合剤層シートは、バインダーによって電極集電体の一面および他面に付着する構造であってもよい。
【0050】
また、前記電極集電体は、少なくとも一側の外周辺方向に形成された電極タブを含む構造であってもよいし、前記電極集電体は、電極合剤層シートが付着した後に、前記電極合剤層シートの付着した部位および電極タブ部位を除いた残りの部位が除去される構造であってもよい。
【0051】
したがって、これによって製造される電極は、電極合剤層が形成されない無地部であって、電極タブを含むと同時に、前記電極タブを除いた電極集電体と電極合剤層シートが同一の面積を有する構造で製造される。
【0052】
また、本発明は、前記二次電池用電極製造装置を用いた二次電池用電極の製造方法を提供するが、前記製造方法は、
a)モールド支持部の上面に電極合剤層形成モールドの開放された第1面が対面するように位置させる過程と、
b)電極合剤層形成モールドの中空部位に電極合剤スラリーを注入する過程と、
c)前記電極合剤層形成モールドの中空部位に注入された電極合剤スラリーを乾燥する過程と、
d)前記乾燥した電極合剤スラリーを圧縮することによって、電極合剤層シートを形成する過程と、
e)前記電極合剤層シートを電極合剤層形成モールドおよびモールド支持部から分離する過程と、
f)集電体シートを切り取って電極集電体を製造する過程と、
g)前記電極集電体の互いに対向する一面および他面の中央部位に電極合剤層シートを付着させる過程と、
h)前記電極集電体で、電極合剤層シートの付着した部位および電極タブ部位を除いた残りの部位を除去して最終電極を製造する過程とを含むことができる。
【0053】
つまり、前記二次電池用電極の製造方法は、電極合剤層形成モールドを用いて、高いコーティング量を有する電極合剤層シートとこれに対応する電極集電体を別途に製造し、前記電極合剤層シートと電極集電体とを付着させることによって、電極を製造することができる。
【0054】
したがって、前記二次電池用電極の製造方法は、高いコーティング量の電極合剤層をより容易に形成することができ、前記電極の構造的安定性を向上させ、電極合剤層の亀裂を防止することで、製品の不良率を低下させて、工程に対する信頼性を向上させることができる。
【0055】
一方、本発明は、前記方法を用いて製造される二次電池用電極を提供するが、前記電極は、正極または負極であってもよい。
【0056】
つまり、本発明は、高いコーティング量を有する電極であれば、前記電極の極性に関係なく、正極および負極ともに適用可能である。
【0057】
本発明はまた、前記電極を含む電池セルおよび前記電池セルを含むデバイスを提供するが、前記電池セルおよびデバイスは、当業界で公知であるので、本明細書ではそれに関する具体的な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】従来の電極シート製造装置の構造を概略的に示す模式図である。
図2】本発明の一実施例による二次電池用電極製造装置の構造を概略的に示す模式図である。
図3図2の電極合剤層形成モールドおよびモールド支持部の構造を概略的に示す模式図である。
図4図2の二次電池用電極製造装置によって製造された電極合剤層シートが電極集電体に付着する過程を概略的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施例による図面を参照して本発明をさらに詳述するが、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0060】
図2には、本発明の一実施例による二次電池用電極製造装置の構造を概略的に示す模式図が示されている。
【0061】
図2を参照すれば、二次電池用電極製造装置200は、スラリー供給部230と、電極合剤層形成モールド210と、乾燥部240と、プレス250と、モールド支持部220と、集電体カッティング部260とを含んでいる。
【0062】
二次電池用電極合剤スラリーは、電極合剤層形成モールド210の第1面がモールド支持部220の上面に対面した状態で、スラリー供給部230から電極合剤層形成モールド210の中空部位に注入される。
【0063】
電極合剤層形成モールド210の中空部位に注入された電極合剤スラリーは、電極合剤層形成モールド210とモールド支持部220の各上部および下部に位置する乾燥部240によって乾燥し、乾燥した電極合剤スラリーは、プレス250によって加圧されることによって、電極合剤層シート271を形成する。
製造された電極合剤層シート271は、電極合剤層形成モールド210およびモールド支持部220から分離される。
【0064】
集電体カッティング部260は、長いシート形状からなる集電体シート280を切り取ることによって、電極集電体290を製造する。
【0065】
電極集電体290上には製造された電極合剤層シート271が付着することによって、二次電池用電極を形成する。
【0066】
したがって、本願発明による二次電池用電極製造装置は、高いコーティング量を含む電極合剤層シートとこれに対応する電極集電体をそれぞれ別途に製造して、前記電極集電体上に製造された電極合剤層シートを付着させることによって、高いコーティング量を含む二次電池用電極をより容易に製造することができる。
【0067】
図3には、図2の電極合剤層形成モールドおよびモールド支持部の構造を概略的に示す模式図が示されている。
【0068】
図3を参照すれば、電極合剤層形成モールド210は、互いに対向する第1面215と第2面216が開放された中空状構造からなっており、4つの側壁211、212、213、214によって中空部位を形成している。
【0069】
モールド支持部220は、電極合剤層形成モールド210の開放された第1面215と対面する上面方向に4つの側壁221、222、223、224が上向き突出している。
【0070】
モールド支持部220の側壁221、222、223、224は、電極合剤層形成モールド210の側壁211、212、213、214の外周面の下部部位を取り囲む形態であって、モールド支持部220の側壁221、222、223、224の高さ220aは、電極合剤層形成モールド210の側壁211、212、213、214の高さ210aに比べて小さい構造からなっている。
【0071】
したがって、モールド支持部220に対面した電極合剤層形成モールド210は、第1面215がモールド支持部220の上面によって安定的に閉鎖された状態を維持すると同時に、プレスによって電極合剤スラリーを加圧する過程で、電極合剤層形成モールド210の流動を安定的に防止することができる。
【0072】
また、前記構造により、電極合剤層形成モールド210は、作業者または作業道具乃至装備によってモールド支持部220から容易に離脱可能であり、これにより、電極合剤スラリーを加圧することによって形成された電極合剤層シートは、電極合剤層形成モールド210およびモールド支持部220からより容易に分離される。
【0073】
図4には、図2の二次電池用電極製造装置によって製造された電極合剤層シートが電極集電体に付着する過程を概略的に示す模式図が示されている。
【0074】
図4を参照すれば、電極合剤層シート271、272は、バインダーによって電極集電体290の上面および下面にそれぞれ付着する。
【0075】
電極集電体290は、一側の外周辺方向に形成された電極タブ291を含んでおり、平面状に電極合剤層シート271、272の面積に比べて大きい面積に形成されている。
【0076】
電極合剤層シート271、272は、電極集電体290の電極タブ291が形成された外周辺方向に密着した状態で、電極集電体290の上面および下面の中央部位292に付着する。
【0077】
電極合剤層シート271、272が付着した後には、前記電極合剤層シート271、272の付着した電極集電体290の中央部位292および電極タブ291部位を除いた残りの部位293が除去されることによって、最終的な二次電池用電極が製造される。
【0078】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用および変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本発明による二次電池用電極製造装置は、電極合剤スラリーが注入されて成形される電極合剤層形成モールド(mold)を含むように構成されることによって、前記電極合剤層形成モールドによって別途に製造された電極合剤層シートをカッティングされた電極集電体に付着するので、高いコーティング量の電極合剤層をより容易に形成することができ、前記電極合剤を集電体シート上に直接コーティングする場合に比べて、電極合剤層と集電体との接着力を向上させることができて、構造的安定性を向上させ、電極合剤層の亀裂を防止することで、製品の不良率を低下させて、工程に対する信頼性を向上させることができる効果がある。
図1
図2
図3
図4