【課題を解決するための手段】
【0022】
このような目的を達成するための、本発明による二次電池用電極製造装置は、
二次電池用電極合剤スラリーを供給するスラリー供給部と、
互いに対向する第1面および第2面が開放された中空状構造からなっており、前記スラリー供給部から供給された電極合剤スラリーが中空部位に注入される電極合剤層形成モールド(mold)と、
前記電極合剤層形成モールドの中空部位に注入された電極合剤スラリーを乾燥する乾燥部と、
前記電極合剤スラリーを加圧することによって電極合剤層シートを形成するプレス(press)と、
上面が前記電極合剤層形成モールドの開放された第1面と対面することによって、前記電極合剤層形成モールドを支持するモールド支持部とを含む構造であってもよい。
【0023】
したがって、前記電極合剤層形成モールドによって別途に製造された電極合剤層シートをカッティングされた電極集電体に付着するので、高いコーティング量の電極合剤層をより容易に形成することができ、前記電極合剤を集電体シート上に直接コーティングする場合に比べて、電極合剤層と集電体との接着力を向上させることができて、構造的安定性を向上させ、電極合剤層の亀裂を防止することで、製品の不良率を低下させて、工程に対する信頼性を向上させることができる。
【0024】
一具体例において、前記電極合剤スラリーは、電極合剤層形成モールドの開放された第2面に注入される構造であってもよい。
【0025】
より具体的には、前記電極合剤層形成モールドは、互いに対向する第1面および第2面が開放された中空状構造からなっており、前記第1面がモールド支持部の上面と対面している構造であってもよい。
【0026】
したがって、前記電極合剤層形成モールドは、第2面のみが開放された状態を維持するので、前記電極合剤層形成モールドの第2面に注入された電極合剤スラリーは、第1面を通して外部に流出しない。
【0027】
また、前記電極合剤層形成モールドは、中空部位の形状が平面状に円形、楕円形、三角形、四角形または多角形からなる構造であってもよいが、これに限定されるものではなく、前記電極合剤層形成モールドの作製に過度に多い時間および費用がかからないと同時に、前記二次電池用電極製造装置によって製造される電極が適用される電池セルおよびデバイスの多様な形状に応じて適切に選択できる構造であれば、その形状が大きく制限されるわけではない。
【0028】
一方、前記電極合剤層形成モールドは、所望の形状および大きさの中空構造を有する構造に成形できる素材であれば、その種類が大きく制限されるわけではなく、詳細には、金属、または耐熱性高分子樹脂、または高分子複合体からなってもよい。
【0029】
この場合に、前記耐熱性プラスチックまたは高分子複合体の融点は、摂氏130度〜400度であってもよい。
【0030】
より具体的には、前記電極合剤層形成モールドに注入される電極合剤スラリーは、高温の液状形態で注入され、これにより、前記電極合剤層形成モールドを形成する耐熱性プラスチックまたは高分子複合体は、摂氏130度〜400度の融点を有することによって、前記高温を有する電極合剤スラリーの温度範囲で耐熱性を発揮し、電極合剤層シートの形成過程で、安定的に、電極合剤スラリーを支持することができる。
【0031】
一具体例において、前記乾燥部は、電極合剤層形成モールドの中空部位に注入された電極合剤スラリーを効果的に乾燥できる構造であれば、その種類が大きく制限されるわけではなく、詳細には、前記乾燥部は、高温の熱風または光源によって電極合剤スラリーを乾燥させる構造であってもよい。
【0032】
この場合に、前記熱風または光源の温度は、電極合剤スラリーの特性に変化を起こさないと同時に、前記電極合剤スラリーを効果的に乾燥させられる範囲で、前記電極合剤スラリーの注入量、温度などの条件に応じて適切に調節可能である。
【0033】
また、前記プレスは、電極合剤層形成モールドの開放された第2面を介して、乾燥した電極合剤スラリーを加圧する構造であってもよい。
【0034】
先に説明したのと同様に、前記電極合剤層形成モールドは、開放された第1面および第2面のうち、前記第1面がモールド支持部に対面している状態であるので、前記プレスは、電極合剤スラリーが注入された電極合剤層形成モールドの開放された第2面を介して、乾燥した電極合剤スラリーを加圧することによって、所望のエネルギー密度および/または空隙率を有する電極合剤層シートを形成することができる。
【0035】
この時、前記プレスは、電極合剤スラリーと対面する部位の外面形状が電極合剤層形成モールドの開放された第2面の内面と同一で、電極合剤層形成モールドの内部に導入されながら、乾燥した電極合剤スラリーを加圧する構造であってもよい。
【0036】
言い換えると、前記プレスは、電極合剤層形成モールドの第2面を介して電極合剤スラリーを加圧するので、前記電極合剤スラリーと対面するプレスの部位の外面形状は、電極合剤層形成モールドの開放された第2面の内面と同一の構造であってもよいし、これにより、前記プレスは、電極合剤層形成モールドの第2面を介して、前記電極合剤層形成モールドの内面、つまり、中空部位に導入されながら、乾燥した電極合剤スラリーを加圧および成形することができる。
【0037】
一方、前記電極合剤層シートは、プレスの後、電極合剤層形成モールドおよびモールド支持部から分離される構造であってもよい。
【0038】
つまり、前記電極合剤層シートは、集電体を含んでいないので、前記電極合剤層シートは、プレスによる形成終了後に、集電体上に付加できるように、前記電極合剤層形成モールドおよびモールド支持部から分離される構造であってもよい。
【0039】
この時、前記電極合剤層形成モールドの第1面を支持するモールド支持部の上面には、完成した電極合剤層シートがより容易に分離できるように、所定の分離剤が付加されている構造であってもよい。
【0040】
一具体例において、前記二次電池用電極製造装置は、集電体シートを切り取って電極集電体を製造する集電体カッティング部をさらに含む構造であってもよい。
【0041】
より具体的には、前記電極合剤層シートは、集電体または集電体シート上で形成される場合、高いコーティング量の電極合剤スラリーに対するプレスの高い圧力によって、前記集電体または集電体シートが損傷および変形し得る。
【0042】
さらに、前記集電体シートは、1つの連続的なシートで連結しているので、前記電極合剤シートを付着させる過程で、印加される張力によって損傷および変形し得る。
【0043】
したがって、本発明による二次電池用電極製造装置は、前記集電体シートを切り取って電極集電体を別途に製造する集電体カッティング部をさらに含むことによって、前記集電体シート上に電極合剤シートを付加する場合に発生し得る問題点を予防することができる。
【0044】
この場合に、前記電極集電体の互いに対向する一面および他面の面積は、平面状に電極合剤層シートの面積に対して相対的に大きな大きさからなっており、前記電極合剤層シートは、電極集電体の一面および他面の中央部位に付着する構造であってもよい。
【0045】
より具体的には、前記電極集電体は、互いに同一の極性を有する電極合剤層シートの間に位置し、これにより、前記電極合剤層シートが相対的に大きな面積で有する電極集電体の一面および他面の中央部位に付着した後、前記電極集電体の残りの部位が除去されることによって、前記電極合剤層シートと同一の面積を有するように構成することができる。
【0046】
これにより、前記電極合剤層シートの付着する電極集電体の一面および他面の面積は、電極合剤層シートの面積に対して110%〜130%の大きさであってもよい。
【0047】
万一、前記電極合剤層シートの付着する電極集電体の一面および他面の面積が電極合剤層シートの面積に対して110%未満の場合には、電極合剤層シートが、電極集電体の一面および他面で、中央部位に合わせて付着しにくいことがあり、これにより、前記電極の製造にかかる時間が遅延することがある。
【0048】
これとは逆に、前記電極合剤層シートの付着する電極集電体の一面および他面の面積が電極合剤層シートの面積に対して130%を超える場合には、前記電極合剤層シートの付着過程で、電極集電体に印加される張力によって、前記電極集電体が損傷および変形し得、先に説明したのと同様に、前記電極集電体の除去される残りの部位が過度に大きくなるので、電極の製造費用を増加させる要因として作用し得る。
【0049】
一方、前記電極合剤層シートは、電極集電体に損傷または変形を誘発しないと同時に、前記電極集電体に対する電極合剤層シートの所望する接着力を発揮できる方法であれば、その付着方法乃至構造が大きく制限されるわけではなく、詳細には、前記電極合剤層シートは、バインダーによって電極集電体の一面および他面に付着する構造であってもよい。
【0050】
また、前記電極集電体は、少なくとも一側の外周辺方向に形成された電極タブを含む構造であってもよいし、前記電極集電体は、電極合剤層シートが付着した後に、前記電極合剤層シートの付着した部位および電極タブ部位を除いた残りの部位が除去される構造であってもよい。
【0051】
したがって、これによって製造される電極は、電極合剤層が形成されない無地部であって、電極タブを含むと同時に、前記電極タブを除いた電極集電体と電極合剤層シートが同一の面積を有する構造で製造される。
【0052】
また、本発明は、前記二次電池用電極製造装置を用いた二次電池用電極の製造方法を提供するが、前記製造方法は、
a)モールド支持部の上面に電極合剤層形成モールドの開放された第1面が対面するように位置させる過程と、
b)電極合剤層形成モールドの中空部位に電極合剤スラリーを注入する過程と、
c)前記電極合剤層形成モールドの中空部位に注入された電極合剤スラリーを乾燥する過程と、
d)前記乾燥した電極合剤スラリーを圧縮することによって、電極合剤層シートを形成する過程と、
e)前記電極合剤層シートを電極合剤層形成モールドおよびモールド支持部から分離する過程と、
f)集電体シートを切り取って電極集電体を製造する過程と、
g)前記電極集電体の互いに対向する一面および他面の中央部位に電極合剤層シートを付着させる過程と、
h)前記電極集電体で、電極合剤層シートの付着した部位および電極タブ部位を除いた残りの部位を除去して最終電極を製造する過程とを含むことができる。
【0053】
つまり、前記二次電池用電極の製造方法は、電極合剤層形成モールドを用いて、高いコーティング量を有する電極合剤層シートとこれに対応する電極集電体を別途に製造し、前記電極合剤層シートと電極集電体とを付着させることによって、電極を製造することができる。
【0054】
したがって、前記二次電池用電極の製造方法は、高いコーティング量の電極合剤層をより容易に形成することができ、前記電極の構造的安定性を向上させ、電極合剤層の亀裂を防止することで、製品の不良率を低下させて、工程に対する信頼性を向上させることができる。
【0055】
一方、本発明は、前記方法を用いて製造される二次電池用電極を提供するが、前記電極は、正極または負極であってもよい。
【0056】
つまり、本発明は、高いコーティング量を有する電極であれば、前記電極の極性に関係なく、正極および負極ともに適用可能である。
【0057】
本発明はまた、前記電極を含む電池セルおよび前記電池セルを含むデバイスを提供するが、前記電池セルおよびデバイスは、当業界で公知であるので、本明細書ではそれに関する具体的な説明を省略する。