【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る除湿方法は、
互いに隣接して配置された被処理空気室及び再生空気室に吸着面が交互に進入可能なデシカントロータを用い、
前記被処理空気室を流れる被処理空気中の水蒸気を前記吸着面に吸着すると共に、前記再生空気室を流れる再生空気によって前記吸着面に吸着した水蒸気を脱離させる除湿方法であって、
前記被処理空気をデシカントロータの前記吸着面に接触させ、該被処理空気中の水蒸気を前記デシカントロータに吸着させる除湿ステップと、
前記除湿ステップで除湿された前記被処理空気をヒートポンプ装置の一部を構成するエアクーラで冷却する冷却ステップと、
前記冷却ステップで冷却された前記被処理空気を昇温媒体で昇温させて相対湿度を低下させる第1昇温ステップと、
前記第1昇温ステップで相対湿度が低下した前記被処理空気を空調室に供給する供給ステップと、
前記再生空気を前記ヒートポンプ装置の一部を構成するエアヒータで昇温して相対湿度を低下させる第2昇温ステップと、
前記第2昇温ステップで昇温された前記再生空気を前記吸着面に接触させ、該吸着面に吸着された水蒸気を前記吸着面から脱離させる脱離ステップと、
を含む。
【0008】
上記方法(1)によれば、上記第1昇温ステップで昇温媒体と被処理空気とを熱交換させ、被処理空気を昇温させ、これによって、相対湿度が低下した被処理空気を需要先である上記空調室に供給できる。上記第1昇温ステップはヒートポンプ装置の運転に影響を与えないため、ヒートポンプ装置のCOP(成績係数)を低下させることはない。
また、上記第1昇温ステップでは、被処理空気室に形成された被処理空気流をそのまま被処理空気室外に導いて昇温媒体と熱交換させることができるため、被処理空気流を形成するための送風機などを新たに設置する必要がない。そのため、コスト増及び動力増とならず、除湿装置の熱効率を低下させない。
以上から、簡易かつ低コストな手段で除湿装置全体としての熱効率を高く維持できる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、前記方法(1)において、
前記除湿ステップの前処理として前記被処理空気をプレクーラで予冷して該被処理空気の相対湿度を増加させる予冷ステップをさらに含む。
上記方法(2)によれば、上記除湿ステップの前段階で上記予冷ステップをもうけることで、デシカントロータに送る被処理空気の相対湿度を高めることができ、これによって、デシカントロータによる除湿効果を向上できる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、前記方法(1)又は(2)において、
前記昇温媒体が前記脱離ステップで前記デシカントロータから水蒸気を脱離させた後の前記再生空気の少なくとも一部である。
上記方法(3)によれば、上記エアヒータで昇温し、水蒸気脱離に利用した後の50〜60℃の再生空気を上記第1昇温ステップにおける昇温媒体として用いるので、新たに昇温媒体を用意する必要がなくなり、除湿装置全体の熱効率を低下させない運転が可能になる。
【0011】
(4)幾つかの実施形態では、前記方法(1)又は(2)において、
前記昇温媒体が外気又は前記空調室から排出された還気であり、
前記第1昇温ステップで前記被処理空気を昇温させた後の前記外気又は前記還気を、前記被処理空気として前記予冷ステップ又は前記除湿ステップから前記供給ステップまでの各ステップに供する。
上記方法(4)によれば、比較的高温の外気(例えば夏場の外気)又は還気を、上記第1昇温ステップで昇温媒体として利用することで、これらの保有熱を有効利用できる。また、上記第1昇温ステップに供され温度低下した外気又は還気を被処理空気として用いることで、上記除湿ステップの前処理としての予冷ステップでの冷却負荷を低減できる。
【0012】
(5)幾つかの実施形態では、前記方法(1)又は(2)において、
前記昇温媒体が外気又は前記被空調室から排出された還気であり、
前記第1昇温ステップで前記被処理空気を昇温させた後の前記外気又は前記還気を前記再生空気として前記第2昇温ステップ及び前記脱離ステップに供する。
上記方法(5)によれば、比較的高温の外気(例えば夏場の外気)又は比較的高温に維持された空調室からの還気を上記第1昇温ステップで昇温媒体として用いることで、外気又は還気が保有する熱量を利用できる。また、第1昇温ステップを行う昇温器を被処理空気室において被処理空気流の出口近傍に配置すれば、被処理空気路を構成する配管及び再生空気路を構成する配管を短縮でき低コスト化できると共に、これら配管を流れる空気の圧力損失を低減できる。
【0013】
(6)幾つかの実施形態では、前記方法(1)〜(5)の何れかにおいて、
前記空調室が乾燥室である。
上記方法(6)によれば、上記第1昇温ステップで昇温され相対湿度が低下した被処理空気を上記乾燥室で被乾燥物の乾燥用として用いることで、乾燥効果を向上できる。
【0014】
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る除湿装置は、
互いに隣接配置された被処理空気室及び再生空気室と、
前記被処理空気室に設けられ前記被処理空気室内に被処理空気流を形成する第1の送風機と、
前記再生空気室に設けられ前記再生室内に再生空気流を形成する第2の送風機と、
吸着面が前記被処理空気室及び前記再生空気室に跨るように配置されたデシカントロータと、
前記被処理空気室に設けられ前記デシカントロータで除湿された前記被処理空気流を冷却するためのエアクーラ、及び前記再生空気室に設けられ前記デシカントロータの上流で前記再生空気流を昇温するエアヒータを有するヒートポンプ装置と、
前記エアクーラによって冷却された前記被処理空気を昇温媒体と熱交換させるための昇温器と、を備える。
【0015】
上記構成(7)によれば、上記昇温器で昇温媒体と被処理空気とを熱交換させ、被処理空気を昇温させることで、相対湿度が低下した被処理空気を需要先に供給できる。上記昇温器における昇温媒体と被処理空気との熱交換は、ヒートポンプ装置の運転に影響を与えないため、ヒートポンプ装置のCOP(成績係数)を低下させることはない。
また、被処理空気室に形成された被処理空気流と再生空気室に形成された再生空気流をそのまま昇温器に導入すればよく、これによって、昇温器では被処理空気流及び再生空気流を形成するための送風機などを新たに設置する必要がない。従って、昇温器を設けるだけでよいため、コスト増及び動力増とならず、除湿装置の熱効率を低下させない。
以上から、簡易かつ低コストな手段で除湿装置全体としての熱効率を高く維持できる。
【0016】
(8)幾つかの実施形態では、前記構成(7)において、
前記被処理空気室に導入される前記被処理空気を予冷するプレクーラをさらに備える。
上記構成(8)によれば、また、上記プレクーラを設けることで、デシカントロータに送る被処理空気の相対湿度を高めることができ、これによって、デシカントロータによる除湿効果を向上できる。
【0017】
(9)幾つかの実施形態では、前記構成(7)又は(8)において、
前記再生室から排出された再生空気の少なくとも一部を前記昇温媒体として前記昇温器に送るための再生空気路を備える。
上記構成(9)によれば、上記エアヒータで昇温されデシカントロータの再生に供された後の50〜60℃の再生空気を上記昇温器に昇温媒体として供給するので、新たに昇温媒体を用意する必要がなくなり、これによって、除湿装置の熱効率を高く維持できる。50〜60℃の再生空気を利用するこの方式は、1年を通じてほとんど温度変化がないため、除湿装置を1年間稼働させる必要がある場合には有効である。
【0018】
(10)幾つかの実施形態では、前記構成(7)又は(8)において、
前記昇温媒体を前記昇温器に送るための昇温媒体路と、
前記昇温器で前記昇温媒体と熱交換された前記被処理空気の相対湿度を検出する相対湿度計と、
前記昇温媒体路に設けられた流量調整弁と、
前記流量調整弁の開度を制御して前記被処理空気の温度又は相対湿度の少なくとも一方を設定値に制御するための制御部と、
をさらに備える。
上記構成(10)によれば、需要先に供給する被処理空気の相対湿度を用途に応じて所望の相対湿度に制御できる。
【0019】
(11)幾つかの実施形態では、前記構成(10)において、
前記昇温媒体路が前記再生室から排出された再生空気の少なくとも一部を前記昇温媒体として前記昇温器に送るための再生空気路である。
上記構成(11)によれば、上記エアヒータで昇温されデシカントロータの再生に供された後の50〜60℃の再生空気を上記昇温器に昇温媒体として供給するので、新たに昇温媒体を用意する必要がなくなり、これによって、除湿装置の熱効率を高く維持できる。
また、需要先に供給する被処理空気の相対湿度を用途に応じて所望の相対湿度に制御できる。