特許第6613556号(P6613556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6613556導電性組成物、色素増感型太陽電池用電極およびその製造方法、並びに、色素増感型太陽電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6613556
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】導電性組成物、色素増感型太陽電池用電極およびその製造方法、並びに、色素増感型太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/20 20060101AFI20191125BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20191125BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20191125BHJP
   H01L 51/44 20060101ALN20191125BHJP
【FI】
   H01G9/20 111D
   H01G9/20 115A
   H01G9/20 311
   H01B1/22 A
   H01B5/14 A
   H01B5/14 B
   !H01L31/04 130
   !H01L31/04 112C
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-223687(P2014-223687)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-92154(P2016-92154A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】山合 碧
(72)【発明者】
【氏名】吉原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】児島 清茂
【審査官】 松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0260115(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/086174(WO,A1)
【文献】 特開2013−118128(JP,A)
【文献】 特開2008−177021(JP,A)
【文献】 特開2006−120665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/20
H01B 1/22
H01B 5/14
H01L 51/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粒子とカーボンナノチューブとを含んでなる導電性組成物であって、当該導電性組成物に含まれるカーボンナノチューブは、G/D比が2以上200以下および平均直径が0.1nm以上15nm以下を満たし、当該カーボンナノチューブには、長さが10μm以上1000μm以下のものが含まれており、前記金属粒子は、平均粒子径が0.1μm以上10μm以下のもの(但し、平均粒子径が0.1μmのものを除く。)のみからなり、前記カーボンナノチューブの含有量が、前記金属粒子100質量部当たり、0.01質量部以上10質量部以下である導電性組成物を用いて形成された集電配線を有する色素増感型太陽電池用電極。
【請求項2】
前記金属粒子が銀粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の色素増感型太陽電池用電極
【請求項3】
前記導電性組成物が、結着材樹脂を、前記金属粒子100質量部当たり、3質量部以上50質量部以下の割合で更に含有してなることを特徴とする、請求項1または2に記載の色素増感型太陽電池用電極
【請求項4】
前記導電性組成物が、体積抵抗率が1.0×10−6Ω・cm以上5.0×10−2Ω・cm以下である配線を形成することができるものである、請求項1〜の何れかに記載の色素増感型太陽電池用電極
【請求項5】
前記金属粒子は、平均粒子径が4μm以上10μm以下のもののみからなることを特徴とする、請求項1〜の何れかに記載の色素増感型太陽電池用電極
【請求項6】
前記集電配線を覆う配線保護層を更に有することを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の色素増感型太陽電池用電極。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の色素増感型太陽電池用電極の製造方法であって、
金属粒子とカーボンナノチューブとを含んでなる導電性組成物であって、当該導電性組成物に含まれるカーボンナノチューブは、G/D比が2以上200以下および平均直径が0.1nm以上15nm以下を満たし、当該カーボンナノチューブには、長さが10μm以上1000μm以下のものが含まれており、前記金属粒子は、平均粒子径が0.1μm以上10μm以下のもの(但し、平均粒子径が0.1μmのものを除く。)のみからなり、前記カーボンナノチューブの含有量が、前記金属粒子100質量部当たり、0.01質量部以上10質量部以下である導電性組成物を用いて集電配線を形成する工程を含むことを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
【請求項8】
光電極と、電解質層と、対向電極とを備え、
前記光電極および前記対向電極の少なくとも一方が、請求項1〜6の何れかに記載の色素増感型太陽電池用電極であることを特徴とする、色素増感型太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物、色素増感型太陽電池用電極、色素増感型太陽電池用電極の製造方法、および、色素増感型太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子として、太陽電池が注目されている。なかでも、色素増感型太陽電池は、シリコン型太陽電池等に比べて軽量化が期待でき、また、広い照度範囲で安定して発電できることや、大掛かりな設備を必要とすることなく、比較的安価な材料を用いて製造し得ることなどから、注目されている。
【0003】
ここで、色素増感型太陽電池は、通常、多孔質半導体微粒子層および増感色素層を備える光電極と、電解質層と、触媒層を備える対向電極とがこの順に並んでなる構造を有する。そして、色素増感型太陽電池では、光電極中の増感色素が光を受けて励起されると、増感色素の電子が取り出される。この電子は、光電極から出て、外部の回路を通って対向電極に移動し、さらに対向電極の触媒層を介して、電解質層に移動する。
【0004】
そして、このような色素増感型太陽電池の電極(光電極および/または対向電極)としては、集電配線を設けることにより電気抵抗を低減した電極が用いられている(例えば、特許文献1および2参照)。
具体的には、特許文献1では、色素増感型太陽電池の対向電極として、導電性薄膜と金属メッキ層との積層体よりなる集電配線を有する電極が用いられている。また、特許文献2では、色素増感型太陽電池の光電極として、導電性カーボンを含む材料によって形成された集電配線を有する電極が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−73415号公報
【特許文献2】特開2008−177021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、近年、色素増感型太陽電池には、フレキシブル化および光電変換効率の更なる向上が求められている。そのため、色素増感型太陽電池の電極には、更なる可とう性の向上および電気抵抗の低減が必要とされている。
【0007】
しかし、上記従来の電極では、集電配線の可とう性および電気抵抗に劣っており、その傾向は集電配線の線幅が細い場合に特に顕著であった。そのため、従来の電極には、集電配線の可とう性および電気抵抗について改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、細い線幅としても可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い配線を形成可能な導電性組成物、当該配線を集電配線とする色素増感型太陽電池用電極およびその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、光電変換効率に優れるフレキシブルな色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、所定の性状を有するカーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)と、金属粒子とを含む導電性ペーストを使用すれば、可とう性および導電性に優れる配線を形成できること、並びに、当該配線を集電配線として使用すれば、可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い色素増感型太陽電池用電極が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の導電性組成物は、金属粒子とカーボンナノチューブとを含んでなり、当該導電性組成物に含まれるカーボンナノチューブは、G/D比が2以上200以下および平均直径が0.1nm以上15nm以下を満たし、当該カーボンナノチューブには、長さが10μm以上1000μm以下のものが含まれていることを特徴とする。このように、所定の性状を有するCNTと金属粒子とを使用すれば、細い線幅としても可とう性および導電性に優れる配線を形成することができる。ここで、本発明では、導電性組成物に含まれるCNTが上記特定長さのものを含むことで、金属粒子表面上におけるネットワーク形成および金属粒子間におけるブリッジ形成に効果的に寄与し、配線の可とう性および導電性が向上するものと推定される。
なお、本発明において、「G/D比」とは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比を指す。また、本発明において、CNTの「平均直径」は、透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択したカーボンナノチューブ100本の直径(外径)を測定して求めることができる。CNTの「長さ」は、走査型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択したカーボンナノチューブの長さを測定して求めることができる。
【0011】
本発明の導電性組成物は、前記金属粒子が銀粒子であることが好ましい。金属粒子として銀粒子を使用すれば、導電性に優れる配線を低コストで形成することができるからである。
【0012】
また、本発明の導電性組成物は、前記カーボンナノチューブの含有量が、前記金属粒子100質量部当たり、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの含有量を上記範囲内とすれば、配線の可とう性および導電性を十分に向上させることができるからである。
【0013】
更に、本発明の導電性組成物は、結着材樹脂を、前記金属粒子100質量部当たり、3質量部以上50質量部以下の割合で更に含有してなることが好ましい。結着材樹脂を上記範囲内で更に含有すれば、配線の可とう性および導電性を十分に向上させることができるからである。
【0014】
そして、本発明の導電性組成物によれば、体積抵抗率が1.0×10-6Ω・cm以上5.0×10-2Ω・cm以下である配線を形成することができる。配線の体積抵抗率が上記範囲内であれば、例えば、当該配線を色素増感型太陽電池用電極の集電配線として用いることで、電極の電気抵抗を十分に低減し、色素増感型太陽電池の光電変換効率を十分に高めることができる。
なお、本発明において、集電配線の「体積抵抗率」は、導電率計を使用し、四端子法にて測定することができる。
【0015】
また、本発明の色素増感型太陽電池用電極は、本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線を有することを特徴とする。かかる集電配線を有することで、可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い電極が得られる。
【0016】
ここで、本発明の色素増感型太陽電池用電極は、前記集電配線を覆う配線保護層を更に有することが好ましい。配線保護層を形成すれば、電解質層等との接触により集電配線が劣化するのを抑制することができるからである。なお、配線保護層が樹脂素材よりなる場合には、配線表面に突出したカーボンナノチューブと樹脂とが複合層を形成することで、密着性向上が期待できる。
【0017】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の色素増感型太陽電池用電極の製造方法は、本発明の導電性組成物を用いて集電配線を形成する工程を含むことを特徴とする。このように、本発明の導電性組成物を用いて集電配線を形成すれば、可とう性および導電性に優れる集電配線を形成することができるので、可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い電極を効率よく製造することができる。
【0018】
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の色素増感型太陽電池は、光電極と、電解質層と、対向電極とを備え、前記光電極および前記対向電極の少なくとも一方が、上述した色素増感型太陽電池用電極の何れかであることを特徴とする。このように、上述した色素増感型太陽電池用電極を使用すれば、光電変換効率に優れるフレキシブルな色素増感型太陽電池が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、細い線幅としても可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い配線を形成可能な導電性組成物が得られる。
また、本発明によれば、可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い色素増感型太陽電池用電極が得られる。
本発明によれば、光電変換効率に優れるフレキシブルな色素増感型太陽電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の色素増感型太陽電池の一例の構造を模式的に示す図である。
図2図1に示す色素増感型太陽電池の光電極について、集電配線が形成されている部分の近傍の断面を示す図である。
図3図1に示す色素増感型太陽電池の対向電極について、集電配線が形成されている部分の近傍の断面を示す図である。
図4】実施例において光電極基板上に形成した集電配線および電流取り出し部の形状を示す図である。
図5】実施例において作製した色素増感型太陽電池素子の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の導電性組成物は、プリント配線などの配線形成に好適に用いられるものであり、細い線幅としても可とう性および導電性に優れる配線を形成可能であることから、フレキシブル配線形成用の導電性組成物として好適に用いられる。中でも、本発明の導電性組成物は、色素増感型太陽電池用電極のフレキシブル集電配線形成用の導電性組成物として、好適に用いられる。
【0022】
(導電性組成物)
本発明の導電性組成物は、金属粒子とカーボンナノチューブとを含んでなり、当該導電性組成物に含まれるカーボンナノチューブは、G/D比が2以上200以下であり、且つ、平均直径が0.1nm以上15nm以下である。更に、当該導電性組成物に含まれるカーボンナノチューブは、長さが10μm以上1000μm以下のものを含んでいる。
【0023】
<金属粒子>
ここで、前記金属粒子としては、特に限定されることなく、金、銀、銅、パラジウム、白金、ニッケル、並びに、これらの合金または複合金属等の粒子が使用できる。これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、上述した中でも、金属粒子としては銀粒子あるいは銅粒子を用いることが好ましく、特に銀粒子を用いることが好ましい。銀粒子は、安価であると共に、導電性に優れているからである。
【0024】
そして、導電性組成物を用いて得られる配線の導電性を更に向上させる観点からは、金属粒子の平均粒子径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、10μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましい。金属粒子の平均粒子径が小さ過ぎる場合、配線中で金属粒子が凝集して配線の導電性が低下する虞がある。一方、金属粒子の平均粒子径が大き過ぎる場合、配線が厚くなり、例えば色素増感型太陽電池用電極の配線形成に用いた場合には電極間距離が広がって変換効率の悪化を招く虞がある。また、配線中でCNTと金属粒子とが良好に絡み合うことができず、配線の導電性を十分に向上させることができない虞がある。
【0025】
<カーボンナノチューブ(CNT)>
また、上記金属粒子と共に導電性組成物を構成する複数本のCNTは、G/D比が2以上200以下および平均直径が0.1nm以上15nm以下を満たす必要があり、且つ、長さが10μm以上1000μm以下のCNTを一本以上含む必要がある。
CNTのG/D比が2未満の場合には、得られる配線の導電性を十分に向上させることができない。また、CNTのG/D比が200超の場合には、得られる配線の可とう性、特に耐屈曲性を十分に向上させることができず、配線を設けた電極等を屈曲させた際に配線の断線を十分に防止することができない。
また、CNTの平均直径が0.1nm未満の場合には、CNTの凝集により配線の均一性が低下し、配線の導電性および可とう性を十分に向上させることができない。また、CNTの平均直径が15nm超の場合には、配線の可とう性、特に耐屈曲性を十分に向上させることができず、配線を設けた電極等を屈曲させた際に配線の断線を十分に防止することができない。
更に、CNTが10μm以上1000μm以下の長さのものを含まない場合には、得られる配線の導電性および可とう性を十分に向上させることができない。なお、CNTは、長さが長いほど破断や切断などの損傷が発生し易いので、所望の効果をバランスよく得る観点から、CNTの長さの上限は1000μmであることが好ましい。
【0026】
そして、得られる配線の導電性および可とう性を十分に向上させる観点からは、CNTのG/D比は、3以上であることが好ましく、50以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
また、配線の導電性および可とう性を十分に向上させる観点からは、CNTの平均直径は、1.5nm以上であることが好ましく、10nm以下であることが好ましい。この平均直径は、透過型電子顕微鏡にて、視野面積の10%以上がカーボンナノチューブである視野中から無作為に選択した100本のカーボンナノチューブを観察し、カーボンナノチューブの直径を測定して求めることができる。なお、一つの視野中で100本の測定ができない場合は、他の視野からも測定し、合計で100本になるまで繰り返せばよい。このとき、カーボンナノチューブの両端が観察できなくても、視野中でカーボンナノチューブを部分的に観察できれば一本と数える。
本発明に使用するCNTは10μm以上1000μm以下の長さのものを含むが、かかる所定範囲の長さのCNTが100本中10本以上の割合で存在していることが好ましく、100本中20本以上の割合で存在していることがより好ましい。なお、長さが上記範囲に含まれるCNTの割合は、走査型電子顕微鏡にて、視野面積の10%以上がカーボンナノチューブである視野中から無作為に選択した100本のカーボンナノチューブを観察し、カーボンナノチューブの長さを測定して求めることができる。
【0027】
ここで、CNTとしては、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、配線の可とう性および導電性を更に向上させることができる。
【0028】
また、CNTは、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
【0029】
更に、CNTとしては、平均直径(Av)に対する、直径の標本標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満のカーボンナノチューブを用いることが好ましく、CNTの3σ/Avは、0.25超であることがより好ましく、0.50超であることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満のCNTを使用すれば、配線の可とう性および導電性を更に向上させることができる。
【0030】
また、CNTとしては、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した100本のカーボンナノチューブの直径を測定し、測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものを用いることが好ましい。
【0031】
更に、CNTとしては、平均長さが10μm以上1000μm以下のものを用いることが好ましい。破断や切断などの損傷の発生を防止しつつ、配線の導電性および可とう性を十分に向上させることができるからである。
【0032】
また、CNTの純度は、蛍光X線測定による純度が90%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。なお、「純度」とは、炭素純度であり、用いるCNT中の炭素の質量比率を意味し、蛍光X線を用いた元素分析結果から得ることができる。90%以上の純度のCNTを用いることで、得られる配線の導電性を十分に向上させることができる。
【0033】
また、CNTのBET比表面積は、未開口の状態で600m2/g以上であることが好ましく、800m2/g以上であることがより好ましく、2600m2/g以下であることが好ましく、1200m2/g以下であることがより好ましい。更に、CNTが主として開口したものにあっては、BET比表面積が1300m2/g以上であることが好ましい。CNTのBET比表面積が600m2/g以上であれば、得られる配線の導電性および可とう性を更に向上させることができるからである。また、CNTのBET比表面積が2600m2/g以下であれば、CNTの凝集を抑制して、均一で特性に優れる配線を形成することができるからである。
なお、カーボンナノチューブの「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
【0034】
更に、CNTは、後述のスーパーグロース法によれば、カーボンナノチューブ成長用の触媒層を表面に有する基材上に、基材に略垂直な方向に配向した集合体(CNT配向集合体)として得られるが、当該集合体としての、CNTの質量密度は、0.002g/cm3以上0.2g/cm3以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm3以下であれば、CNT同士の結びつきが弱くなるので、配線の形成時にCNTを均質に分散させることができる。また、質量密度が0.002g/cm3以上であれば、CNTの一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。
【0035】
更に、CNTは、複数の微小孔を有することが好ましい。CNTは、中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。CNTが上記のようなマイクロ孔を有することで、CNTの凝集が抑制され、CNTの分散性が高まり、CNTが高度に分散した配線を非常に効率的に得ることができる。なお、マイクロ孔容積は、例えば、CNTの調製方法および調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、CNTの液体窒素温度(77K)での窒素吸着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を使用して求めることができる。
【0036】
本発明で用いられるカーボンナノチューブの製造方法としては、特に限定されることなく、二酸化炭素の接触水素還元による方法、アーク放電法、化学的気相成長法(CVD法)、レーザー蒸発法、気相成長法、気相流動法、および、HiPCO法等が挙げられる。中でも、上述した性状を有するCNTは、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、CVD法によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガス(例えば、アセチレンを50体積%以上含むガス)を用いることにより、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
【0037】
本発明の導電性組成物において、上述のCNTの含有量は、金属粒子100質量部当たり、0.01質量部以上とすることが好ましく、0.05質量部以上とすることがより好ましく、また、10質量部以下とすることが好ましく、3質量部以下とすることがより好ましい。金属粒子100質量部当たりのCNTの含有量が少な過ぎる場合、得られる配線の可とう性および導電性を十分に向上させることができない虞がある。一方、金属粒子100質量部当たりのCNTの含有量が多過ぎる場合、CNT同士の凝集が起こりやすく、効果的な導電パスが形成できない虞がある。
【0038】
<結着材樹脂>
本発明の導電性組成物が任意に含有する結着材樹脂は、導電性組成物を用いて配線を形成した際に、配線を構成する成分同士、および、配線と、配線を形成する部材(支持体または導電層等)との結着性を向上させるものである。そして、結着材樹脂としては、特に限定されることなく、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ニトロセルロース樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、得られる配線の電気抵抗の増加を抑制する観点からは、導電性組成物中の結着材樹脂の含有量は、金属粒子100質量部当たり、50質量部以下とすることが好ましく、25質量部以下とすることがより好ましい。また、上述のCNTを使用することで優れた結着性および可とう性が得られるため、結着材樹脂は必ずしも用いる必要はないが、配線を構成する成分同士、および、配線と、配線を形成する部材との結着性を高めると共に、配線を設けた電極の可とう性を高める観点からは、導電性組成物中の結着材樹脂の含有量は、金属粒子100質量部当たり、3質量部以上とすることがより好ましい。
【0039】
<添加剤>
本発明の導電性組成物が任意に含有する添加剤としては、特に限定されることなく、接着性向上剤、濡れ性向上剤、分散剤、消泡剤、イオントラップ剤などの既知の添加剤が挙げられる。これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
<導電性組成物の調製方法>
本発明の導電性組成物は上記各成分を混合することにより得られるが、各成分を分散媒と混合することにより、導電性ペーストとして調製するのが好ましい。上記各成分の混合方法としては、特に限定されないが、例えば、カーボンナノチューブを予め分散媒に分散したCNT分散液と金属粒子とを混合する方法、CNTと金属粒子とを分散媒に添加し、直接混合する方法などが挙げられる。各成分を混合に供する順番に特に制限はない。本発明で用いられるCNTには長いものが含まれるが、CNT分散液を経由して混合すると、長いCNT同士の凝集を抑制し、安定して分散することができるため好ましい。導電性ペーストの固形分濃度は、通常、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、また、通常、99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0041】
前記混合は、公知の混合装置を使用して行うことができる。混合装置としては、例えば、超音波分散機やジェットミルなどの、キャビテーション効果が得られる混合装置や、ビーズミル、ボールミル、三本ロール等のロールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーおよびフィルミックスなどの、解砕効果が得られる混合装置などが挙げられる。
【0042】
また、前記分散媒としては、特に限定されることなく、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、ベンジルアルコール、テルピネオール(Terpineol)等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグライム、ブチルカルビトール等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸ジエチル、TXIB(1−イソプロピル−2,2−ジメチルトリメチレンジイソブチレート)、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシドおよびスルホン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,2−トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類等が挙げられる。これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
以上のようにして得られる本発明の導電性組成物は、通常、長さが10μm以上1000μm以下のCNTを含む。前記混合操作により、CNTに破断や切断などの損傷が発生しうるが、本発明の導電性組成物に用いるCNTは前記特性を有することから、そのような混合操作を経た後も前記範囲の長さを有するCNTが含まれ得る。そして、その結果、細い線幅としても可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い配線を形成可能である。本発明の導電性組成物には、長さが10μm以上1000μm以下のCNTが100本中10本以上の割合で存在していることが好ましく、100本中20本以上の割合で存在していることがより好ましい。
【0044】
<配線の体積抵抗率>
本発明の導電性組成物によれば、体積抵抗率が、好ましくは1.0×10-6Ω・cm以上5.0×10-2Ω・cm以下、より好ましくは3.0×10-6Ω・cm以上5.0×10-3Ω・cm以下の、電気抵抗の低い配線(すなわち、導電性の高い配線)を形成可能である。
【0045】
<配線のサイズ>
また、本発明の導電性組成物によれば、可とう性および導電性が良好な、線幅が、通常、10μm以上1cm以下の配線を形成可能である。線幅としては、好ましくは100μm以上5mm以下である。配線の厚みは、通常、1μm以上50μm以下、好ましくは5μm以上15μm以下である。配線の厚みは、膜厚計や段差計で測定することができる。
【0046】
<配線の可とう性>
本発明の導電性組成物を用いて得られる配線は、前述したような細い線幅においても、優れた可とう性を示す。具体的には、後述の実施例に記載の<折り曲げ後体積抵抗率変化>に従って試験を行った場合、R/R0が通常2.5以下、好ましくは1.5以下となる配線を形成可能である。R/R0の大きさが小さいほど、折り曲げによる配線の破断等が生じ難いと言え、配線の耐屈曲性が良好である、すなわち、可とう性に優れていることを示す。
【0047】
本発明の導電性組成物によれば、細い線幅としても可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い配線が得られる。また、導電性組成物を導電性ペーストの形態で用いることで、例えば、スクリーン印刷方式により低コストで細い線幅の配線を形成可能である。かかる特徴を有することから、本発明の導電性組成物は、各種電子部品の高密度化に非常に有用である。中でも、本発明の導電性組成物は、色素増感型太陽電池用電極の集電配線の形成に用いるのが好適である。本発明の導電性組成物を用いて得られる集電配線は、線幅が細いため入射光を遮ることがなく、しかも、可とう性に優れ、低電気抵抗であるため、得られる色素増感型太陽電池用電極は電気特性およびフレキシブル性に優れている。かかる電極を用いることで、内部抵抗が低く、光電変換効率に優れたフレキシブルな色素増感型太陽電池が得られる。本発明の導電性組成物は、フレキシブル配線形成用の導電性組成物として、中でも、色素増感型太陽電池用電極のフレキシブル集電配線形成用の導電性組成物として、好適に用いられる。
【0048】
(色素増感型太陽電池用電極)
本発明の色素増感型太陽電池用電極は、色素増感型太陽電池の光電極および/または対向電極として用いられるものであり、例えば本発明の色素増感型太陽電池用電極の製造方法を用いて製造することができる。
【0049】
本発明の色素増感型太陽電池用電極は、可とう性を有するフレキシブル電極であり、特に限定されることなく、支持体と、導電層を介して支持体上に形成された集電配線と、任意に集電配線を被覆する配線保護層と、電極を光電極として機能させるための多孔質半導体微粒子層および増感色素層、または、電極を対向電極として機能させるための触媒層と、を有している。そして、本発明の色素増感型太陽電池用電極は、集電配線が本発明の導電性組成物を用いて形成されていることを特徴とするものである。
【0050】
<支持体>
ここで、支持体としては、特に限定されることなく、可とう性を有するフレキシブル基材を用いることができる。具体的には、支持体としては、フレキシブルガラス基材や透明樹脂基材を用いることができ、特に透明樹脂基材を用いることが好ましい。透明樹脂基材の形成に用いる透明樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)等の合成樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】
<導電層>
また、導電層としては、インジウム−スズ酸化物(ITO)やインジウム−亜鉛酸化物(IZO)等の複合金属酸化物、カーボンナノチューブやグラフェン等の炭素材料、或いは、金属箔等の金属材料などからなる既知の導電膜を用いることができる。これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
<集電配線>
本発明の色素増感型太陽電池用電極の集電配線は、上述した導電性組成物を用いて形成することができる。そして、本発明の色素増感型太陽電池用電極の集電配線は、金属粒子と、上述のCNTとを含むことを必要とし、任意に、結着材樹脂や添加剤などを更に含有する。そして、この集電配線は、金属粒子と上記性状を有するCNTとを含んでいるので、可とう性および導電性に優れている。従って、この集電配線を使用すれば、可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い色素増感型太陽電池用電極が得られる。
なお、集電配線の配設形状は、例えば櫛型、格子状等の任意の形状とすることができる。
【0053】
<配線保護層>
配線保護層は、電解質層等との接触により集電配線が劣化するのを抑制するためのものである。そして、配線保護層を形成する材料としては、特に限定されることなく、例えば、モノマーやオリゴマーを光重合開始剤により硬化させる紫外線硬化型樹脂や、縮合反応や架橋反応により重合する熱硬化型樹脂などの硬化型樹脂が挙げられる。なお、紫外線硬化型樹脂としては、ウレタンアクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、アクリレート系樹脂などが挙げられる。また、熱硬化型樹脂としては、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
<多孔質半導体微粒子層>
光電極に設けられる多孔質半導体微粒子層は、半導体微粒子を含有する多孔質状の層である。多孔質状の層であることで、増感色素の吸着量が増え、変換効率が高い色素増感型太陽電池が得られやすくなる。
【0055】
なお、半導体微粒子としては、特に限定されることなく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物の粒子が挙げられる。これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、半導体微粒子の粒子径(一次粒子の平均粒子径)は、好ましくは2〜80nm、より好ましくは2〜60nmである。粒子径が小さいことで、抵抗を低下させることができる。
【0056】
<増感色素層>
光電極に設けられる増感色素層は、光によって励起されて多孔質半導体微粒子層に電子を渡し得る化合物(増感色素)が、多孔質半導体微粒子層の表面に吸着されてなる層である。
【0057】
そして、増感色素としては、特に限定されることなく、シアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、キサンテン色素、スクワリリウム色素、ポリメチン色素、クマリン色素、リボフラビン色素、ペリレン色素等の有機色素;鉄、銅、ルテニウム等の金属のフタロシアニン錯体やポルフィリン錯体等の金属錯体色素;等が挙げられる。これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
<触媒層>
対向電極に設けられる触媒層は、色素増感型太陽電池の電解質層における酸化還元反応を促進させるためのものである。そして、触媒層としては、特に限定されることなく、白金薄膜や、導電性ポリマーおよび/またはカーボンナノチューブなどの導電性カーボンを含む薄膜を用いることができる。
【0059】
(色素増感型太陽電池用電極の製造方法)
上述した色素増感型太陽電池用電極の製造に用いられる本発明の色素増感型太陽電池用電極の製造方法は、本発明の導電性組成物を用いて集電配線を形成する工程(集電配線形成工程)を含むことを特徴とする。そして、本発明の色素増感型太陽電池用電極の製造方法は、特に限定されることなく、支持体上に導電層を形成する導電層形成工程と、集電配線形成工程と、集電配線を被覆する配線保護層を形成する配線保護層形成工程と、多孔質半導体微粒子層および増感色素層を形成する機能層形成工程、或いは、触媒層を形成する触媒層形成工程と、を含む。
【0060】
<導電層形成工程>
ここで、導電層形成工程では、特に限定されることなく、スパッタリング法、真空蒸着法、ゾル・ゲル法などの既知の方法を用いて支持体等の表面上に導電層を形成することができる。
【0061】
<集電配線形成工程>
集電配線形成工程では、本発明の導電性組成物を導電性ペーストの形態で用いて集電配線を形成するのが好ましい。当該導電性ペーストは、金属粒子と、上述のCNTと、分散媒とを少なくとも含み、任意に、結着材樹脂や添加剤などを更に含有する。
【0062】
また、導電性組成物を用いた集電配線の形成は、特に限定されることなく、集電配線を形成する部材(支持体または導電層等)に対して導電性組成物を所望のパターンで塗布し、塗布した導電性組成物を乾燥させることにより行うことができる。ここで、導電性組成物の塗布は、例えば、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法、スプレー法、グラビア印刷法等を用いて行うことができる。また、導電性ペーストの乾燥は、特に限定されることなく、熱風乾燥法、真空乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等を用いて行うことができる。
なお、集電配線形成工程では、導電性組成物を乾燥して形成した配線に対し、任意に加熱硬化処理を施してもよい。
【0063】
<配線保護層形成工程>
配線保護層形成工程では、特に限定されることなく、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などの配線保護層形成材料を含むペーストを集電配線上に塗布し、塗布した配線保護層形成材料を紫外線照射または加熱などにより硬化させることにより、配線保護層を形成することができる。なお、ペーストの塗布は、例えば、スクリーン印刷法、ブレード塗布法、スプレー法、グラビア印刷法等を用いて行うことができる。
【0064】
<機能層形成工程>
機能層形成工程では、まず、プレス法、水熱分解法、泳動電着法、バインダーフリーコーティング法等の公知の方法により多孔質半導体微粒子層を形成する。その後、例えば、増感色素の溶液中に多孔質半導体微粒子層を浸漬する方法や、増感色素の溶液を多孔質半導体微粒子層上に塗布する方法等の公知の方法により、増感色素層を形成することができる。
【0065】
<触媒層形成工程>
触媒層形成工程では、特に限定されることなく、スパッタリング法、真空蒸着法、ゾル・ゲル法などの既知の方法を用いて触媒層を形成することができる。
【0066】
(色素増感型太陽電池)
本発明の色素増感型太陽電池は、光電極と、電解質層と、対向電極とを備え、光電極および対向電極の少なくとも一方が、本発明の色素増感型太陽電池用電極であることを特徴とする。そして、本発明の色素増感型太陽電池は、可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い色素増感型太陽電池用電極を用いているので、十分な可とう性を有すると共に、光電変換効率に優れている。
なお、光電極および対向電極のうち何れか一方のみを本発明の色素増感型太陽電池用電極とする場合には、他方の電極としては公知の光電極または対向電極を用いることができる。
【0067】
以下、一例として、光電極および対向電極の双方に本発明の色素増感型太陽電池用電極を用いた色素増感型太陽電池について、図面を参照して説明する。
【0068】
ここで、図1に示す色素増感型太陽電池は、光電極10、電解質層20、対向電極30がこの順に並んでなる構造を有する。また、色素増感型太陽電池は、光電極10と対向電極30とを接続する回路40を有している。なお、図1中、矢印は電子の動きを示している。
【0069】
<光電極>
光電極10は、光電極基板10aと、その光電極基板10a上に形成された集電配線10fおよび多孔質半導体微粒子層10bと、多孔質半導体微粒子層10bの表面に増感色素が吸着されて形成された増感色素層10cとを有する。
【0070】
ここで、光電極基板10aは、フレキシブル基材よりなる支持体10dと、支持体10dの一方の表面上に形成された導電層10eとを備えている。
また、導電層10eの表面(支持体10d側とは反対側の面)には、配線保護層10gで被覆された集電配線10fが格子状に形成されている。なお、集電配線10fは、金属粒子と、G/D比が2以上200以下であり、且つ、平均直径が0.1nm以上15nm以下であるCNTであって、長さが10μm以上1000μm以下のものを一本以上含むCNTと、を含んでいる。
更に、集電配線10fが形成されている部分の近傍の断面を図2に示すように、導電層10eの表面のうち、集電配線10fが形成されていない部分の表面、および、集電配線10fを被覆する配線保護層10gの表面には、多孔質半導体微粒子層10bと、この多孔質半導体微粒子層10bの表面に増感色素が吸着されて形成された増感色素層10cとが形成されている。
【0071】
<電解質層>
電解質層20は、光電極10と対向電極30とを分離するとともに、電荷移動を効率よく行わせるための層である。
電解質層20は、通常、支持電解質、酸化還元対(酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体の形で相互に変換しうる一対の化学種)、溶媒等を含有する。
【0072】
ここで、支持電解質としては、リチウムイオン、イミダゾリウムイオン、4級アンモニウムイオン等の陽イオンを含む塩が挙げられる。
【0073】
また、酸化還元対としては、酸化された増感色素を還元し得るものであれば、公知のものを用いることができる。具体的には、酸化還元対としては、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、コバルトイオン(III)−コバルトイオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク酸等が挙げられる。
【0074】
溶媒としては、色素増感型太陽電池の電解質層の形成用溶媒として公知のものを用いることができる。具体的には、溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、炭酸プロピレン等が挙げられる。
【0075】
なお、電解質層20は、その構成成分を含有する溶液(電解液)を光電極10上に塗布したり、光電極10と対向電極30とを有するセルを作製し、その隙間に電解液を注入したりすることで形成することができる。
【0076】
対向電極30は、支持体30aと、その支持体30a上に形成された集電配線30cと、支持体30aおよび集電配線30c上に形成された触媒層30bとを有する。
【0077】
ここで、支持体30aの表面には、配線保護層を有さない集電配線30cが格子状に形成されている。なお、集電配線30cは、金属粒子と、G/D比が2以上200以下であり、且つ、平均直径が0.1nm以上15nm以下であるCNTであって、長さが10μm以上1000μm以下のものを一本以上含むCNTと、を含んでいる。
また、集電配線30cが形成されている部分の近傍の断面を図3に示すように、支持体30aの表面のうち、集電配線30cが形成されていない部分の表面、および、集電配線30cの表面には、触媒層10bが形成されている。
【0078】
そして、図1に示す色素増感型太陽電池においては、次のようなサイクルが繰り返されることで、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。すなわち、(i)増感色素が光を受けて励起されると、増感色素の電子が取り出される。(ii)この電子は、導電層10eおよび集電配線10fを介して光電極10から出て、外部の回路40を通って対向電極30に移動し、集電配線30cおよび触媒層30bを介して電解質層20に移動する。(iii)電解質層20に含まれる酸化還元対(還元剤)により、酸化状態の増感色素が還元され、増感色素が再生され、再び光を吸収できる状態に戻る。
【0079】
以上、一例を用いて説明したが、本発明の色素増感型太陽電池および色素増感型太陽電池用電極の構成は、図1に示すものに限定されるものではない。また、本発明の色素増感型太陽電池は、太陽を光源とするものに限定されず、例えば屋内照明を光源とするものであってもよい。
【実施例】
【0080】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において使用したCNTの性状は以下の方法を使用して測定した。また、実施例および比較例において作製した色素増感型太陽電池用電極の体積抵抗率および可とう性、並びに、色素増感型太陽電池素子の変換効率は、以下の方法を使用して評価した。
【0081】
<G/D比>
顕微レーザラマン分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製Nicolet Almega XR)を使用し、原料であるCNTのラマンスペクトルを計測した。そして、得られたラマンスペクトルについて、1590cm-1近傍で観察されたGバンドピークの強度と、1340cm-1近傍で観察されたDバンドピークの強度とを求め、G/D比を算出した。
<平均直径および直径の標準偏差>
CNTの平均直径および直径の標準偏差は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、HF−3300)を使用し、無作為に選択したカーボンナノチューブ100本の直径を測定して求めた。
<長さ>
用いるカーボンナノチューブの長さは、電界放出形走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、SU−9000)を使用し、無作為に選択したカーボンナノチューブ100本について測定した。そして、長さが10μm以上1000μm以下のCNT(以下、「所定長さのCNT」という場合がある。)の有無を確認すると共に、平均長さを求めた。
また、導電性ペースト中のCNTの長さは、導電性ペーストを樹脂フィルム上に塗布し、乾燥した後、電界放出形走査型電子顕微鏡で測定した。そして、所定長さのCNTの有無を確認した。
<BET比表面積>
CNTのBET比表面積は、JIS Z8830に準拠し、BET比表面積測定装置((株)マウンテック製、HM model−1210)を用いて測定した。
<マイクロ孔容積>
CNTのマイクロ孔容積は、「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を使用して測定した。
<体積抵抗率>
導電性ペーストをスクリーン印刷により支持体(厚み0.3mmの樹脂フィルム基材)上に塗布し、150℃で15分間加熱乾燥することで5本の配線(幅:1mm、厚み:10μm、長さ:60mm)を形成した。この5本の配線それぞれの両端間の抵抗値を34410Aデジタルマルチメーター(アジレント・テクノロジー社製)により測定し、配線の膜厚から体積抵抗率を求め、その平均値を配線の体積抵抗率とした。そして、以下の基準に従って体積抵抗率を評価した。
A:体積抵抗率が5.0×10-4Ω・cm以下
B:体積抵抗率が5.0×10-4Ω・cm超5.0×10-2Ω・cm以下
C:体積抵抗率が5.0×10-2Ω・cm超
<折り曲げ後体積抵抗率変化>
導電性ペーストをスクリーン印刷により支持体(厚み0.3mmの樹脂フィルム基材)上に塗布し、150℃で15分間加熱乾燥することで5本の配線(幅:1mm、厚み:10μm、長さ:60mm)を形成した。そして、配線形成部の中心をサンプル中心として各配線形成部の周囲を10mm×80mmにカットして5つのサンプルを得た(なお、配線はサンプルの長辺と平行である)。各サンプルについて、支持体側の中央部に直径2mmの金属円柱をサンプルの短辺と並行になるよう固定し、この円柱に沿って、円柱の抱き角0°(サンプルが平面の状態)から、円柱の抱き角が180°(円柱を中心にしてサンプルを折り返した状態)となる範囲で、60回折り曲げ動作を行った。この折り曲げ前の配線の両端間の抵抗値と膜厚から換算される体積抵抗率の、5つのサンプルの平均値をR0、折り曲げ後の体積抵抗率の、5つのサンプルの平均値をRとしたときに、R/R0で表される体積抵抗率変化の割合を求めた。そして、以下の基準で折り曲げ後体積抵抗率変化を評価した。R/R0の大きさが小さいほど、折り曲げによる配線の破断等が生じ難く、配線および当該配線を用いてなる電極の耐屈曲性が良好である(即ち、可とう性に優れている)ことを示す。
A:R/Roが1.5以下
B:R/R0が1.5超2.5以下
C:R/R0が2.5超
<変換効率>
光源として、150Wキセノンランプ光源にAM1.5Gフィルタを装着した擬似太陽光照射装置(PEC−L11型、ペクセル・テクノロジーズ社製)を用いた。光量は、1sun(AM1.5G、100mW/cm2(JIS C8912のクラスA))に調整した。作製した色素増感型太陽電池素子をソースメータ(2400型ソースメータ、Keithley社製)に接続し、以下の電流電圧特性の測定を行なった。
1sunの光照射下、バイアス電圧を0Vから0.8Vまで0.01V単位で変化させながら出力電流を測定した。出力電流の測定は、各電圧ステップにおいて、電圧を変化させた後、0.05秒後から0.15秒後までの値を積算することで行った。バイアス電圧を、逆方向に0.8Vから0Vまで変化させる測定も行い、順方向と逆方向の測定の平均値を光電流とした。
上記の電流電圧特性の測定結果より、光電変換効率(%)を算出した。そして、以下の基準に従って変換効率を評価した。
A:光電変換効率が3%以上
B:光電変換効率が3%未満
【0082】
(合成例1)
国際公開第2006/011655号の記載に従って、スーパーグロース法によってSGCNT(CNT−1)を得た。
得られたCNT−1は、G/D比が8、窒素吸着によるBET比表面積が804m2/g、質量密度が0.03g/cm3、マイクロ孔容積が0.44mL/gであった。また、CNT−1は、平均直径(Av)が3.3nm、直径の標本標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)が1.9nm、(3σ/Av)が0.58であり、所定長さのCNTを100本中に65本含み、平均長さが100μmで、純度が99%であった。そして、CNT−1は、主に単層CNTにより構成されていた。
【0083】
(実施例1)
<導電性ペーストの調製>
ジエチレングリコールモノエチルエーテル500gに、合成例1で得たCNT−1を7.5g加え、粗分散液を得た。この粗分散液を、高圧ホモジナイザーで分散処理し、CNT分散液を得た。得られたCNT分散液67質量部に、平均粒子径4μmの銀粒子100質量部、結着材樹脂としてフェノール樹脂25質量部を加えた。
この組成物を混合し、三本ロールで分散させ、減圧濃縮してペースト中の固形分濃度が85質量%である導電性ペーストを得た。なお、導電性ペーストは所定長さのCNTを含んでいた。当該導電性ペーストを用いて配線を形成し、配線の体積抵抗率と折り曲げ後体積抵抗率変化を評価した。結果を表1に示す。
【0084】
<色素増感型太陽電池用光電極の作製>
[集電配線の形成]
インジウム−スズ酸化物(ITO)をスパッタ処理したポリエチレンナフタレートフィルム(ITO−PENフィルム、フィルム厚み200μm、ITO厚み200nm、シート抵抗15Ω/□)よりなる光電極基板上に、図4に示すパターンに従い、スクリーン印刷法により導電性ペーストを塗布し、150℃で15分間加熱乾燥して、互いに隣接する中心線の間隔が7mmである集電配線(幅:1mm、厚み8μm)と、電流取り出し部とを形成した。
なお、図4において、符号1は光電極基板を示し、符号3は多孔質半導体層を示し、符号6は電流取り出し部を示し、符号9は集電配線を示している。
[多孔質半導体層の作製]
基板に形成した集電配線をエポキシ系樹脂の保護層で被覆し、続いて多孔質半導体微粒子層を形成するための開口部(長さ:60mm、幅:5mm)以外の部位にマスクを形成した。
続いてバインダーフリーの酸化チタンペースト(PECC−C01−06、ペクセル・テクノロジーズ社製)を、スクリーン印刷法により、塗布厚み150μmとなるように塗布した。得られた塗膜を常温で10分間乾燥させた後、150℃の恒温層中でさらに5分間加熱乾燥して、多孔質半導体微粒子層(酸化チタン膜パターン)を短冊状(長さ:60mm、幅:5mm)に形成した。
[増感色素の吸着]
次に、多孔質半導体微粒子層に増感色素を吸着させた。色素溶液は下記の手順で調製した。ルテニウム錯体色素(N719、ソラロニクス社製)7.2mgを20mLのメスフラスコに入れた。tert−ブタノール10mLをメスフラスコに添加し、攪拌した。その後、アセトニトリル8mLを加え、メスフラスコに栓をした後、超音波洗浄器による振動により、60分間攪拌した。溶液を常温に保ちながら、アセトニトリルを加え、全量を20mLとした。
こうして調製したN719色素溶液(0.3mM)にマスクを剥離した多孔質半導体微粒子層を有する光電極基板を浸漬した。このとき、充分な色素吸着を行うため、色素溶液は、多孔質半導体微粒子層を有する光電極基板一枚当たり、2mL以上を目安とした。
色素溶液を40℃に保ちながら色素を吸着させた。2時間後、色素溶液から色素吸着済み多孔質半導体微粒子層を有する光電極基板を取り出し、アセトニトリル溶液にて洗浄して乾燥させ、光電極(負極)とした。
【0085】
<色素増感型太陽電池用対向電極の作製>
上記の酸化チタンペーストを白金ペーストに変え、色素溶液に浸漬する手順を除くこと以外は、光電極と同様の手順で電極作製を行い、ITO膜上に白金層(触媒層)と集電配線等とを形成し、対向電極(正極)を得た。
【0086】
<色素増感型太陽電池素子の作製>
対向電極の触媒層形成面を表とし、液状の光硬化型封止材を白金膜パターンの外周部分に塗布した。更に、白金層を形成した部分(白金膜パターン)に電解液を所定量塗布し、自動貼り合せ装置を用いて、図5に示すように電流取り出し部の位置を反対にした。そして、同じ形状の白金膜パターンと酸化チタン膜パターンとが対向するように重ね合わせ、減圧下でUV光の照射を行って、封止材を硬化させた。その後、貼り合わせ後の電流取り出し部に導電性銅箔テープを貼り、端子とした。そして、色素増感型太陽電池素子の変換効率を評価した。結果を表1に示す。
なお、図5において、符号1は基板(ポリエチレンナフタレートフィルム)を示し、符号2は透明導電膜(ITO膜)を示し、符号3は多孔質半導体層を示し、符号4は触媒層を示し、符号5は封止材を示し、符号6は電流取り出し部を示し、符号7は端子を示し、符号8は電解液(電解質層)を示す。
【0087】
(実施例2)
導電性ペーストの調製時に、結着材樹脂の量を10質量部とした以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0088】
(実施例3)
導電性ペーストの調製時に、結着材樹脂の量を55質量部とした以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0089】
(実施例4)
導電性ペーストの調製時に、CNT分散液の量を6.7質量部とし、組成物を混合する際に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを追加して固形分濃度を85質量%とし、減圧濃縮工程を省略した以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0090】
(実施例5)
導電性ペーストの調製時に、CNT−1に替えて、特開2013−018673号公報の記載に従って得られたCNT(CNT−2)を7.5g使用した以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。なお、導電性ペーストは所定長さのCNTを含んでいた。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
なお、CNT−2は、G/D比が70であった。また、CNT−2は、平均直径(Av)が2.8nmであり、所定長さのCNTを100本中に15本含み、純度が99%であった。
【0091】
(比較例1)
導電性ペーストの調製時に、CNT−1に替えて市販の多層CNT(CNT−3;バイエルマテリアルサイエンス社製、製品名:Baytubes)を7.5g使用した以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。なお、導電性ペーストは所定長さのCNTを含んでいた。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
なお、CNT−3は、G/D比が0.7であった。また、CNT−3は、平均直径(Av)が15nmであり、所定長さのCNTを100本中に5本含み、純度が95%であった。
【0092】
(比較例2)
導電性ペーストの調製時に、CNT−1に替えて市販の多層CNT(CNT−4;昭和電工社製、製品名:VGCF−H)を7.5g使用した以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。なお、導電性ペーストは所定長さのCNTを含んでいた。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
なお、CNT−4は、G/D比が5であった。また、CNT−4は、平均直径(Av)が150nmであり、所定長さのCNTを100本中に4本含み、純度が99%であった。
【0093】
(比較例3)
導電性ペーストの調製時に、CNT−1に替えて市販の単層CNT(CNT−5;カーボンナノテクノロジーズ社製、製品名:HiPCO)を7.5g使用した以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト、色素増感型太陽電池用対向電極、色素増感型太陽電池用光電極および色素増感型太陽電池素子を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
なお、CNT−5は、G/D比が7であった。また、CNT−5は、平均直径(Av)が1.1nmであり、所定長さのCNTを含まず、純度が85%であった。
【0094】
【表1】
【0095】
表1より、実施例1〜5では、比較例1〜3と比較し、可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い集電配線を有する電極が得られていることが分かる。また、実施例1〜5では、当該電極を使用することで、優れた光電変換効率とフレキシブル性とを有する色素増感型太陽電池が得られていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、可とう性に優れ、且つ、電気抵抗の低い色素増感型太陽電池用電極が得られる。
また、本発明によれば、光電変換効率に優れるフレキシブルな色素増感型太陽電池が得られる。
【符号の説明】
【0097】
10 光電極
30 対向電極
20 電解質層
10a 光電極基板
10b 多孔質半導体微粒子層
10c 増感色素層
10d 支持体
10e 導電層
10f 集電配線
10g 配線保護層
30a 支持体
30b 触媒層
30c 集電配線
40 回路
100 色素増感型太陽電池
図1
図2
図3
図4
図5