特許第6614159号(P6614159)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6614159ディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614159
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】ディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/03 20060101AFI20191125BHJP
   C08L 9/10 20060101ALI20191125BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20191125BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20191125BHJP
   B29C 41/14 20060101ALN20191125BHJP
   C08J 5/02 20060101ALN20191125BHJP
【FI】
   C08J3/03
   C08L9/10
   C08K3/22
   C08K3/06
   !B29C41/14
   !C08J5/02
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-562382(P2016-562382)
(86)(22)【出願日】2015年11月20日
(86)【国際出願番号】JP2015082671
(87)【国際公開番号】WO2016088576
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年10月16日
(31)【優先権主張番号】特願2014-245506(P2014-245506)
(32)【優先日】2014年12月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 良幸
【審査官】 鶴 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/181714(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/129547(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/099501(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/098008(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/03
C08K 3/06
C08K 3/22
C08L 9/10
B29C 41/14
C08J 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al含有量とTi含有量の合計量が500ppm以下であり、且つ消泡剤含有量が80ppm以下であるディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス。
【請求項2】
前記Al含有量と前記Ti含有量の合計量が200ppm以下である請求項1記載のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス。
【請求項3】
電導度が0.6mS/cm〜2.0mS/cmである請求項1または2に記載のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス。
【請求項4】
前記合成ポリイソプレンに含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合が、全イソプレン単位に対して90重量%以上である請求項1〜3の何れかに記載のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス。
【請求項5】
前記合成ポリイソプレンに含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合が、全イソプレン単位に対して95重量%以上である請求項1〜3の何れかに記載のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス。
【請求項6】
請求項1〜の何れかに記載のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、硫黄系加硫剤および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物。
【請求項7】
請求項に記載のディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形体に関する。さらに詳しくは、ポンプでの移送やタンクなどでの撹拌などの機械的なせん断力に対して凝集物の発生が少なく、ディップ成形体製造時にハジキが発生しないディップ成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天然ゴムのラテックスを含有するディップ成形用組成物をディップ成形して、乳首、風船、手袋、バルーン、サック等の人体と接触して使用されるディップ成形体が得られることが知られている。しかしながら、天然ゴムのラテックスは、人体にアレルギー症状を引き起こすような蛋白質を含有するため、生体粘膜又は臓器と直接接触するディップ成形体としては問題がある場合があった。そのため、天然ゴムの替わりに合成ポリイソプレンを用いる検討がされてきている。
【0003】
例えば、特許文献1においては合成ポリイソプレンを含むディップ成形用組成物として、強度に優れたディップ成形体を与えるディップ成形用組成物が開示されている。しかしながら、合成ポリイソプレンを用いて得られるディップ成形体を手袋等にした場合の要求特性は厳しくなり、強度だけでなく、さらなる改善が求められていた。
【0004】
合成ポリイソプレンラテックスは、機械的なせん断力に弱く、ポンプでの移送時に凝集物が発生する等の問題があった。凝集物は、ポンプ移送時の配管を詰まらせる以外にも、ディップ成形体の表面に付着すると外観不良やピンホールの原因になるので、頻繁に除去することが必要になっていた。配管のクリーニングや不良率アップはコストアップにも繋がるため、機械的なせん断力に強い合成ポリイソプレンラテックスが求められていた。機械的せん断力に強くする方法としては、特許文献1のように界面活性剤を増量する方法があるが、泡がピンホールの原因になるため、消泡剤を多量に添加する必要があった。
【0005】
また、合成ポリイソプレンラテックスは、合成ポリイソプレンを溶剤に溶解し、それを界面活性剤と一緒に乳化し、更に脱溶媒する方法で製造されることが知られている。この方法では、脱溶媒時に界面活性剤が発泡するため消泡剤を添加するのが一般的であり、操業時間を短縮するため多量の消泡剤を使用していた。
【0006】
このように、界面活性剤を多量に使用する場合には消泡剤を多量に使用することが必要になる。そのため、ディップ成形体の表面に消泡剤によるハジキが発生し、不良率が高くなっていた。
【0007】
更に、本発明者の検討によれば、チーグラー系重合触媒等に由来するTi,Alの存在下では、メカニズムは定かではないが、消泡剤が多く添加された合成ポリイソプレンラテックスは機械的なせん断力で凝集物が発生し易くなる傾向があることがわかった。このため、できるだけ消泡剤の使用量を減らす必要があるが、上記の理由により消泡剤を減らすことは困難であった。
【0008】
このような状況のため、機械的なせん断力に対して高い安定性を持ち、ハジキのないディップ成形体を提供できる合成ポリイソプレンラテックスが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2013/099501号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、機械的なせん断力に対して高い安定性を持ち、ハジキがないディップ成形体を与えるディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、このディップ成形用合成ポリイソプレンラテックスを用いたディップ成形用組成物およびディップ成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、Al含有量とTi含有量の合計量が500ppm以下であり、且つ消泡剤含有量を500ppm以下にしたディップ成形用合成ポリイソプレンラテックスが、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明によれば、
(1) Al含有量とTi含有量の合計量が500ppm以下であり、且つ消泡剤含有量が500ppm以下であるディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、
(2) 前記Al含有量と前記Ti含有量の合計量が200ppm以下である(1)記載のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、
(3) 前記消泡剤含有量が80ppm以下である(1)または(2)に記載のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、
(4) 前記合成ポリイソプレンに含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合が、全イソプレン単位に対して90重量%以上である(1)〜(3)の何れかに記載のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、
(5) (1)〜(4)の何れかに記載のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、硫黄系加硫剤および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物、
(6) (5)に記載のディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形体
が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機械的なせん断力に対して高い安定性を持ち、ハジキがないディップ成形体を与えるディップ成形用合成ポリイソプレンラテックス、このディップ成形用合成ポリイソプレンラテックスを用いたディップ成形用組成物およびディップ成形体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックスについて説明する。本発明のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックスは、Al含有量とTi含有量の合計量が500ppm以下であり、且つ消泡剤含有量が500ppm以下である。
【0015】
(合成ポリイソプレンラテックス)
本発明のディップ成形用合成ポリイソプレンラテックスは、イソプレンを重合して得られる合成ポリイソプレンのラテックスである。
【0016】
合成ポリイソプレンは、イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合したものであってもよい。合成ポリイソプレンのイソプレン単位の含有量は、柔軟で、引張強さに優れるディップ成形体が得られ易いことから、全単量体単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは100重量%(イソプレンの単独重合体)である。
【0017】
イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン等のイソプレン以外の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;スチレン、アルキルスチレンなどのビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等の架橋性単量体;が挙げられる。なお、これらのイソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
【0018】
合成ポリイソプレン中のイソプレン単位としては、イソプレンの結合状態により、シス結合単位、トランス結合単位、1,2−ビニル結合単位、3,4−ビニル結合単位の4種類が存在する。
【0019】
そして、ディップ成形体の引張強さ向上の観点から、合成ポリイソプレンに含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合は、全イソプレン単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
【0020】
合成ポリイソプレンの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算で、10,000〜5,000,000、好ましくは500,000〜5,000,000、特に好ましくは800,000〜3,000,000である。合成ポリイソプレンの重量平均分子量が小さ過ぎると、ディップ成形体の引張強さが低下する傾向があり、逆に大き過ぎると、合成ポリイソプレンのラテックスが製造し難くなる傾向がある。
【0021】
また、合成ポリイソプレンのポリマームーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は、50〜80、好ましくは60〜80、特に好ましくは70〜80である。
【0022】
また、合成ポリイソプレンラテックス中のラテックス粒子(合成ポリイソプレン粒子)の体積平均粒子径は、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜3μm、特に好ましくは0.5〜2μmである。この体積平均粒子径が小さすぎると、ラテックス粘度が高くなりすぎて取り扱い難くなる場合があり、逆に大きすぎると、合成ポリイソプレンラテックスを貯蔵した際に、ラテックス表面に皮膜が生成する場合がある。
【0023】
合成ポリイソプレンラテックスの電導度は、0.6mS/cm〜2.0mS/cmであることが好ましい。電導度が小さすぎると、乳化時や濃縮時に凝集物が多量に発生する場合がある。また、電導度が大きすぎると、脱溶剤時に発泡が激しくなったり、ディップ成形用組成物を移送する際や配合時に泡立ちが激しく、手袋にピンホールなどの欠陥を残す場合がある。
なお、電導度は、METTLER TOLEDO社製導電率計(商品名:SG78−FK2)を使用し、測定温度25℃で測定した値である。
【0024】
合成ポリイソプレンラテックスの脂環族炭化水素溶媒の含有量は500重量ppm以下であることが好ましい。また、脂環族炭化水素溶媒としてはシクロヘキサンが好ましい。脂環族炭化水素溶媒の含有量が多すぎると、ディップ成形用組成物の臭気がきつくなる傾向がある。
【0025】
ここで、上記脂環族炭化水素溶媒は、合成ポリイソプレンラテックスを製造する際に、後述する、合成ポリイソプレンを溶解または微分散するための有機溶媒である。
【0026】
なお、脂環族炭化水素溶媒の含有量の測定は、ガスクロマトグラフィー法など、一般的に使用可能な測定方法で測定することができる。
【0027】
合成ポリイソプレンラテックスの製造方法としては、例えば、(1)有機溶媒に溶解または微分散した合成ポリイソプレンの溶液または微細懸濁液を、界面活性剤の存在下に、水中で乳化し、必要により有機溶媒を除去して、合成ポリイソプレンラテックスを製造する方法、(2)イソプレン単独または、イソプレンと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との混合物を、乳化重合もしくは懸濁重合して、直接、合成ポリイソプレンラテックスを製造する方法、が挙げられるが、イソプレン単位中のシス結合単位の割合が高い合成ポリイソプレンを用いることができ、引張強さに優れるディップ成形体が得られる点から、上記(1)の製造方法が好ましい。
【0028】
合成ポリイソプレンは、従来公知の方法、例えばトリアルキルアルミニウム−四塩化チタンからなるチーグラー系重合触媒やn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム重合触媒を用いて、不活性重合溶媒中で、イソプレンを溶液重合して得ることができる。これらの中でも、イソプレン単位中のシス結合単位の含有割合を高める観点から、本発明においては、チーグラー系重合触媒を用いることが好ましい。そして、得られた合成ポリイソプレンの重合体溶液を、そのまま用いても良いが、該重合体溶液から固形の合成ポリイソプレンを取り出した後、その固形の合成ポリイソプレンを有機溶媒に溶解して用いることもできる。
【0029】
この際、ポリイソプレンを合成した後に、重合体溶液中に残った重合触媒の残渣などの不純物を取り除いてもよい。また、重合中または重合後の溶液に、後述する老化防止剤を添加してもよい。
また、市販の固形の合成ポリイソプレンを用いてもよい。
【0030】
上記(1)の製造方法で用いる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒;等を挙げることができる。これらのうち、芳香族炭化水素溶媒および脂環族炭化水素溶媒が好ましく、シクロヘキサンおよびトルエンが特に好ましい。
【0031】
なお、有機溶媒の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは2,000重量部以下、より好ましくは20〜1,500重量部である。
【0032】
上記(1)の製造方法で用いる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性界面活性剤;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノレン酸、ロジン酸の如き脂肪酸のナトリウムまたはカリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性の界面活性剤;等が挙げられるが、アニオン性界面活性剤が好適であり、ロジン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。なお、これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
界面活性剤の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは0.5〜30重量部である。この量が少なすぎると、ラテックスの安定性が劣る傾向にあり、逆に多すぎると、発泡しやすくなり、ディップ成形時に問題が起きる可能性がある。
【0034】
上記(1)の製造方法で使用する水の量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは50〜5,000重量部、より好ましくは100〜3,000重量部である。
【0035】
使用する水の種類としては、硬水、軟水、イオン交換水、蒸留水、ゼオライトウォーターなどが挙げられる。また、メタノールなどのアルコールに代表される極性溶媒を水と併用してもよい。
【0036】
合成ポリイソプレンの有機溶媒溶液または微細懸濁液を、界面活性剤の存在下、水中で乳化する装置は、一般に乳化機又は分散機として市販されているものであれば特に限定されず使用できる。そして、界面活性剤の添加方法は、特に限定されず、予め水および/または合成ポリイソプレンの有機溶媒溶液または微細懸濁液に添加しても、乳化操作を行っている最中に、乳化液に添加してもよく、一括添加しても、分割添加してもよい。
【0037】
乳化装置としては、例えば、商品名:ホモジナイザー(IKA社製)、商品名:ポリトロン(キネマティカ社製)、商品名:TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機;商品名:TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、商品名:コロイドミル(神鋼パンテック社製)、商品名:スラッシャー(日本コークス工業社製)、商品名:トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、商品名:キャビトロン(ユーロテック社製)、商品名:マイルダー(太平洋機工社製)、商品名:ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機;商品名:マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、商品名:ナノマイザー(ナノマイザー社製)、商品名:APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機;膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機;商品名:バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機;商品名:超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機;等が挙げられる。なお、乳化装置による乳化操作の条件は、特に限定されず、所望の分散状態になるように、処理温度、処理時間などを適宜選定すれば良い。
【0038】
上記(1)の方法においては、乳化操作を経て得られた乳化物から、有機溶媒を除去して、合成ポリイソプレンラテックスを得ることが好ましい。乳化物から有機溶媒を除去する方法は、特に限定されず、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法を採用することができる。
【0039】
この有機溶媒の除去操作において、界面活性剤に起因する発泡を抑制するため、消泡剤を用いる。消泡剤としては、ミネラルオイル系消泡剤、シリコーン系消泡剤、ポリマー系消泡剤などが挙げられる。これらの中でもシリコーンオイル等のシリコーン系消泡剤を好ましく用いることができる。消泡剤の使用量は、界面活性剤の使用量にもよるが、合成ポリイソプレン100重量部に対して好ましくは100〜2000ppmとなる量である。この量が多すぎると、得られるディップ成形体の表面にハジキが発生しやすくなる。
【0040】
また、有機溶媒を除去した後、必要に応じ、合成ポリイソプレンラテックスの固形分濃度を上げるために、減圧蒸留、常圧蒸留、遠心分離、膜濃縮等の方法で濃縮操作を施してもよい。
【0041】
合成ポリイソプレンラテックスの固形分濃度は、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜70重量%である。固形分濃度が低すぎると、ディップ成形用組成物の固形分濃度が低くなるためディップ成形体の膜厚が薄くなり破れ易くなる。逆に高すぎると、合成ポリイソプレンラテックスの粘度が高くなり、配管での移送や調合タンク内での撹拌が難しくなる。
【0042】
また、合成ポリイソプレンラテックスには、ラテックスの分野で通常配合される、pH調整剤、防腐剤、架橋剤、キレート化剤、酸素捕捉剤、分散剤、老化防止剤等の添加剤を配合しても良い。
【0043】
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;アンモニア;トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン化合物;等が挙げられるが、アルカリ金属の水酸化物またはアンモニアが好ましい。
【0044】
本発明においては、合成ポリイソプレンからAl,Tiの除去操作を行う。除去操作を行う方法は、特に限定されないが、合成ポリイソプレンを強アルカリで洗浄する方法が好ましい。強アルカリとしては、10%以上のNaOH水溶液が好ましい。
【0045】
このようにして得られる合成ポリイソプレンラテックス中のAl含有量及びTi含有量の合計量は500ppm以下、好ましくは200ppm以下、消泡剤の含有量は500ppm以下、好ましくは80ppm以下である。なお、Al含有量及びTi含有量の合計量及び消泡剤の含有量は、重量基準で表した割合(ppm)である。この量を上記の範囲にすることによりラテックスの機械的安定性、前加硫する時間の短縮ひいては特定の熟成期間におけるディップ成形体の引張強さが向上する傾向がある。
【0046】
(ディップ成形用組成物)
本発明のディップ成形用組成物は、上述の合成ポリイソプレンラテックス、加硫剤及び加硫促進剤を含有してなる。
【0047】
(加硫剤)
加硫剤としては、例えば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N'−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物、2−(4'−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の硫黄含有化合物等を用いることができる。なかでも、硫黄が好ましく使用できる。これらの加硫剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
加硫剤の使用量は、特に限定されないが、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜3重量部である。この量を上記の範囲にすることによりディップ成形体の引張強さが向上する傾向がある。
【0049】
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4′−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニリル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3−ビス(2−ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられるが、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。これらの加硫促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
加硫促進剤の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部であり、更に好ましくは0.1〜2重量部である。この量を上記の範囲にすることによりディップ成形体の引張強さ及び破断直前の伸びが向上する。
【0051】
(その他の成分)
(酸化亜鉛)
本発明のディップ成形用組成物は、さらに酸化亜鉛を含有することが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、特に限定されないが、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜2重量部である。この量を上記の範囲にすることによりディップ成形体の引張強さが向上するとともに、合成ポリイソプレン粒子の安定性が向上し、凝集物の発生を抑えることができる。
【0052】
(分散剤)
本発明のディップ成形用組成物は、分散剤を必要に応じて含有してもよく、分散剤としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノレン酸及びロジン酸などの脂肪酸のナトリウムまたはカリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤等が挙げられるが、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。なお、これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
分散剤の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部であり、更に好ましくは0.05〜3重量部である。この量を上記の範囲にすることによりディップ成形用組成物の配合安定性が向上するとともに、泡立ちを防ぎ、ピンホールの発生を防ぐことができる。
【0054】
(配合剤)
本発明のディップ成形用組成物には、さらに、老化防止剤;カーボンブラック、シリカ、タルク等の補強剤;炭酸カルシウム、クレー等の充填剤;紫外線吸収剤;可塑剤;等の配合剤を必要に応じて配合することができる。
【0055】
老化防止剤としては、2,6−ジ−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、2,2'−メチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、などの硫黄原子を含有しないフェノール系老化防止剤;2,2'−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどのチオビスフェノール系老化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジホスファイトなどの亜燐酸エステル系老化防止剤;チオジプロピオン酸ジラウリルなどの硫黄エステル系老化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4'―(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物などのアミン系老化防止剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系老化防止剤;2,5−ジ−(t−アミル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン系老化防止剤;などが挙げられる。これらの老化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。
【0056】
老化防止剤の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。この量を上記の範囲にすることにより合成ポリイソプレンの劣化を抑制するとともに、ディップ成形体の引張強さが向上する。
【0057】
ディップ成形用組成物の調製方法は、特に限定されない。当該調製方法としては、ボールミル、ニーダー、ディスパー等の分散機を用いて、合成ポリイソプレンのラテックスに、加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、上記の分散剤および必要に応じて配合される老化防止剤などのその他の配合剤を混合する方法や、予め上記の分散機を用いて、合成ポリイソプレンのラテックス以外の所望の配合成分の水性分散液を調製した後、該水性分散液を合成ポリイソプレンのラテックスに混合する方法などが挙げられる。また、合成ポリイソプレンのラテックスに前記の分散剤を予め混合した後、加硫剤、加硫促進剤、および老化防止剤などのその他の配合剤、を添加することもできる。
ディップ成形用組成物のpHは7以上であることが好ましく、pH8〜12の範囲であることがより好ましい。
【0058】
ディップ成形用組成物の固形分濃度は、例えば、15〜65重量%の範囲である。本発明のディップ成形用組成物は、ディップ成形に供する前に、熟成(前加硫ともいう。)させることが好ましい。
【0059】
前加硫する時間は、特に限定されず、前加硫温度にも依存するが、好適な引張強さを有するディップ成形体が得られる観点から、好ましくは1〜14日間であり、更に好ましくは1〜7日間である。
前加硫温度は、好ましくは20〜40℃である。前加硫温度を上記の範囲にすることにより、保存期間と生産速度が両立される。
【0060】
前加硫した後、ディップ成形に供されるまで、好適な引張強さを有するディップ成形体が得られる観点から、好ましくは10〜25℃で貯蔵することが好ましい。
【0061】
(ディップ成形体)
本発明のディップ成形体は、本発明のディップ成形用組成物をディップ成形して得られる。
【0062】
ディップ成形は、ディップ成形用組成物に型を浸漬し、型の表面に当該組成物を沈着させ、次に型を当該組成物から引き上げ、型の表面に沈着した当該組成物を乾燥させる方法である。ディップ成形用組成物に浸漬される前の型を予熱させてもよい。型をディップ成形用組成物に浸漬する前又は型をディップ成形用組成物から引き上げた後、必要に応じて凝固剤を使用できる。凝固剤の使用方法の具体例は、ディップ成形用組成物に浸漬する前の型を凝固剤溶液に浸漬して型に凝固剤を付着させる方法(アノード凝着浸漬法)、ディップ成形用組成物を沈着させた型を凝固剤溶液に浸漬する方法(ティーグ凝着浸漬法)である。
厚みムラの少ないディップ成形体が得られる点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
【0063】
凝固剤の具体例は、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのハロゲン化金属;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などの硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛など酢酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;などの水溶性多価金属塩である。なかでも、カルシウム塩が好ましく、硝酸カルシウムがより好ましい。これらの水溶性多価金属塩は、単独または2種以上組み合わせて用いることができ、好ましくは水溶液の状態で使用する。この水溶液は、さらにメチルアルコール、エチルアルコールなどの水溶性有機溶媒やノニオン性界面活性剤を含有し得る。凝固剤の濃度は、水溶性多価金属塩の種類によっても異なるが、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは8〜30重量%である。
型をディップ成形用組成物から引き上げた後、例えば、加熱して型上に形成された沈着物を乾燥させる。乾燥条件は適宜選択する。
次いで、加熱して、型上に形成された沈着物を加硫する。
【0064】
加硫時の加熱条件は、特に限定されないが、好ましくは60〜150℃、より好ましくは100〜130℃の加熱温度で、好ましくは10〜120分の加熱時間である。
加熱の方法は、特に限定されないが、オーブンの中で温風で加熱する方法、赤外線を照射して加熱する方法などである。
【0065】
ディップ成形用組成物を沈着させた型を加熱する前あるいは加熱した後に、水溶性不純物(例えば、余剰の界面活性剤、凝固剤)を除去するために、好ましくは型を水または温水で洗浄する。
【0066】
加硫後のディップ成形体は、型から脱着される。脱着方法の具体例は、手で型から剥がす方法、水圧又は圧縮空気圧力により剥がす方法である。形成途中のディップ成形体が脱着に対する十分な強度を有していれば、途中工程で脱着し、引き続き、その後の処理を継続してもよい。
【0067】
ディップ成形体が手袋である場合、ディップ成形体同士の接触面における密着を防止し、着脱の際の滑りをよくするために、タルク、炭酸カルシウムなどの無機微粒子又は澱粉粒子などの有機微粒子を手袋表面に散布したり、微粒子を含有するエラストマー層を手袋表面に形成したり、手袋の表面層を塩素化したりしてもよい。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の「%」および「部」は、特に断りのない限り、重量基準である。
実施例及び比較例において以下のように各物性の測定及び評価を行った。
【0069】
(重量平均分子量)
実施例及び比較例で得られた合成ポリイソプレンラテックスを固形分濃度で0.1重量%となるように、テトラヒドロフランに溶解した。この溶液をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析し、合成ポリイソプレンの標準ポリスチレン換算の重量平均分子量として算出した。
【0070】
(シス結合単位量)
実施例及び比較例で得られた合成ポリイソプレンラテックスにメタノールを添加し、凝固した。得られた凝固物を乾燥した後、1H−NMR分析して、合成ポリイソプレン中の全イソプレン単位に対するシス結合単位の割合を示した。
【0071】
(Al含有量)
ICP-AES(SISナノテクノロジー社製)を使用して、内標準検量線法を用いて下記の手順により測定した。
(1)白金るつぼに試料を秤量した。空試験用の白金るつぼも用意した。
(2)ヒーター上で徐々に加熱した。(空試験用白金るつぼについても同様の操作を行った。)
(3)煙が出なくなったらバーナーで強熱後、蓋をして550℃の電気炉中で灰化した。
(4)放冷後、硝酸と超純水を添加した。
(5)加温後、ポリ容器に移して定容した。
(6)適宜希釈して、ICP-AESで測定した。
【0072】
(Ti含有量)
ICP-AES(SISナノテクノロジー社製)を使用して、内標準検量線法を用いて下記の手順により測定した。
(1)試料をメスフラスコに秤量した。空試験用のメスフラスコを用意した。
(2)硫酸、硝酸で湿式分解した。(空試験用メスフラスコについても同様の操作を行った。)
(3)定容後、適宜希釈してICP-AESで測定した。
【0073】
(Al含有量とTi含有量の合計量)
上記にて測定したAl含有量及びTi含有量の合計量を求め、Al含有量とTi含有量の合計量とした。
【0074】
(消泡剤含有量)
・検量線の作成
消泡剤を乾燥後、四塩化炭素に溶解し、ここから所定量を採取しTMS不含重クロロホルム1mLに溶解し、検量線用の標準試料とした。これを用いてH−NMR測定を行い、検量線を作成した。
・含有量測定
(1)ラテックスを凍結乾燥後、アセトンでソックスレー抽出した。
(2)抽出分をTMS不含重クロロホルム1mLに溶解後、H−NMR測定を行い、検量線に基づき含有量を求めた。
【0075】
(機械的安定性試験)
ASTMD1417-10の「Determination of Mechanical Stability」に記載の方法に従い、試験を行った。なお、使用するステンレススチールディスクは、ASTMD1076-19の「Mechanical Stability」に記載の直径が20.83±0.03mmのステンレススチールディスクを使用した。
【0076】
(ディップ時のハジキ発生有無)
実施例および比較例において得られたディップ成形体の表面におけるハジキの発生状況を目視にて判断した。
【0077】
(ディップ成形体の引張強さ及び破断直前の伸び)
ディップ成形体の引張強さは、ASTM D412に基づいて測定した。
ディップ成形フィルムをダンベル(SDMK-100C:ダンベル社製)で打ち抜き、引張強度測定用試験片を作製した。当該試験片をテンシロン万能試験機(商品名「RTG−1210」、A&D(株)製)で引張速度500mm/minで引っ張り、破断直前の引張強さ(単位:MPa)、破断直前の伸び(単位:%)を測定した。
【0078】
(実施例1)
重量平均分子量が1,300,000の合成ポリイソプレン(商品名「IR2200L」、日本ゼオン(株)製、イソプレンの単独重合体、シス結合単位量98%)を高速式粉砕機(形式:SH−016、(株)プラコー)で粉砕し、3cm以下の小片にした。この小片を、撹拌しているクエン酸のメタノール溶液中(クエン酸25%)に投入し、3時間毎にクエン酸のメタノール溶液を取り換えながら12時間洗浄した。その後、小片を20%NaOH水溶液で洗浄し、更に蒸留水で十分に洗浄を実施した。洗浄後の小片を真空乾燥機内で乾燥させた。
【0079】
この合成ポリイソプレン100部を、シクロヘキサン(和光純薬工業(株)製)1150部に溶解し、合成ポリイソプレンのシクロヘキサン溶液(b1)を得た。次に、ロジン酸ナトリウム(商品名「ロンヂスN−18」、荒川化学(株)社製)1重量%およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名「ネオペレックスG−15」、花王 (株)製)0.5重量%を含有してなる、合成ポリイソプレンを含まない界面活性剤水溶液(a1)1245部を調整した。
【0080】
そして、上記合成ポリイソプレンのシクロヘキサン溶液(b1)の全量、および、上記界面活性剤水溶液(a1)の全量を、SUS304製の容器に入れて攪拌混合し、続いてホモジナイザー(商品名「マイルダーMDN−303V」、太平洋機工(株)製)によって乳化分散処理を施し、乳化混合液(c1)を得た。
【0081】
次に、消泡剤(商品名「SM5515」:東レ・ダウコーニング社製)を合成ポリイソプレン100部に対して400ppmになるように添加し、溶剤除去用タンク内で上記乳化混合液(c1)から、シクロヘキサンを留去して、合成ポリイソプレンラテックス(e1)を得た。そして、200メッシュステンレス製金網を用い、合成ポリイソプレンラテックス(e1)中の凝集物を除去した。
【0082】
次に、凝集物を除去後の合成ポリイソプレンラテックス(e1)に対し、密閉ディスク型連続遠心分離機(アルファ・ラバル社製SGR509)により、9000G、通液流量1600L/hrの条件で遠心分離した。その結果、固形分濃度61%、Al含有量50ppm、Ti含有量80ppm(即ち、Al含有量とTi含有量の合計量130ppm)、消泡剤含有量30ppmの実施例1の合成ポリイソプレンラテックスを得た。当該遠心分離機のボウルを開け、ディスクを開放すると、凝集物はほとんど見られなかった。
また、得られた合成ポリイソプレンラテックスの機械的なせん断力に対する抵抗力(機械的安定性試験)を測定した。結果を表1に示す。
【0083】
(ディップ成形用組成物)
上記の合成ポリイソプレンラテックスを攪拌しながら、合成ポリイソプレン100部に対して、固形分換算で1部になるように濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを添加した。そして、得られた混合物を攪拌しながら、混合物中の合成ポリイソプレン100部に対して、固形分換算で、酸化亜鉛1.5部、硫黄1.5部、老化防止剤(商品名:Wingstay L、グッドイヤー社製)2部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.3部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛0.7部となるように、各配合剤の水分散液を添加した後、水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを10.5に調整したディップ成形用組成物を得た。
その後、得られたディップ成形用組成物を、30℃に調整された恒温水槽で48時間熟成した。
【0084】
(ディップ成形体)
市販のセラミック製手型(株式会社 シンコー社製)を洗浄し、70℃のオーブン内で予備加熱した後、18重量%の硝酸カルシウムおよび0.05重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名:エマルゲン109P、花王(株)製)からなる凝固剤水溶液に5秒間浸漬し、取り出した。次いで、凝固剤で被覆された手型を70℃のオーブン内で30分以上乾燥した。
【0085】
その後、凝固剤で被覆された手型をオーブンから取り出し、ディップ成形用組成物に10秒間浸漬した。その後、室温で10分間風乾してから、この手型を60℃の温水中に5分間浸漬した。その後、フィルム状の合成ポリイソプレンで被覆された手型を130℃のオーブン内に置き30分間加硫を行った。
【0086】
加硫されたフィルムで被覆された手型を室温まで冷却し、ハジキの有無を目視で確認した後、タルクを散布してから手型から剥離した。得られたディップ成形体の引張強さ及び破断直前の伸びの測定結果を表1に示す。
【0087】
(実施例2)
重量平均分子量が1,300,000の合成ポリイソプレン(商品名「IR2200L」、日本ゼオン(株)製、イソプレンの単独重合体、シス結合単位量98%)を高速式粉砕機(形式:SH−016、(株)プラコー)で粉砕し、3cm以下の小片にした。この小片のクエン酸のメタノール溶液での洗浄時間を6時間で中止した以外は実施例1と同様にして、ディップ成形体を製造し同様に評価を行った。その結果を表1に示す。
【0088】
(実施例3)
溶剤除去前の消泡剤の使用量を合成ポリイソプレン100部に対して1500ppmとなる量に増やした以外は、実施例1と同様にして合成ポリイソプレンラテックスを得た。この遠心分離後の合成ポリイソプレンラテックスの消泡剤含有量は100ppmであった。このラテックスを使用して実施例1と同様にディップ成形体を製造し評価を行った。その結果を表1に示す。
【0089】
(比較例1)
重量平均分子量が1,300,000の合成ポリイソプレン(商品名「IR2200L」、日本ゼオン(株)製、イソプレンの単独重合体、シス結合単位量98%)を高速式粉砕機(形式:SH−016、(株)プラコー)で粉砕し、3cm以下の小片にした。この合成ポリイソプレン100部を洗浄せずにシクロヘキサン(和光純薬工業(株)製)1150部に溶解し、合成ポリイソプレンのシクロヘキサン溶液(b1)を得た。次に、ロジン酸ナトリウム(商品名「ロンヂスN−18」、荒川化学(株)社製)1重量%およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名「ネオペレックスG−15」、花王(株)製)0.5重量%を含有してなる、合成ポリイソプレンを含まない界面活性剤水溶液(a1)1245部を調整した。
【0090】
そして、上記合成ポリイソプレンのシクロヘキサン溶液(b1)の全量、および、上記界面活性剤水溶液(a1)の全量を、SUS304製の容器に入れて攪拌混合し、続いてホモジナイザー(商品名「マイルダーMDN−303V」、太平洋機工(株)製)によって乳化分散処理を施し、乳化混合液(c1)を得た。
【0091】
次に、消泡剤(商品名「SM5515」:東レ・ダウコーニング社製)を合成ポリイソプレン100部に対して400ppmになるように添加し、溶剤除去用タンク内で上記乳化混合液(c1)から、シクロヘキサンを留去して、合成ポリイソプレンラテックス(e1)を得た。
【0092】
その後、密閉ディスク型連続遠心分離機を使用せずに、エバポレーターを使用して、80℃で濃縮して固形分濃度61%、Al含有量150ppm、Ti含有量380ppm、消泡剤含有量30ppmの合成ポリイソプレンラテックスを得た。このラテックスを使用して、実施例1と同様にディップ成形体を製造し評価を行った。その結果を表1に示す。
【0093】
(比較例2)
実施例1と同様にして合成ポリイソプレンラテックスを得た後、この遠心分離後の合成ポリイソプレンラテックスに消泡剤含有量(合計)が800ppmになるように消泡剤(商品名「SM5515」:東レ・ダウコーニング社製)を追添加した。これを実施例1と同様にして、ディップ成形体を製造し同様に評価を行った。その結果を表1に示す。
【0094】
(比較例3)
比較例1と同様にして、合成ポリイソプレンラテックスを得た後、このエバポレーター濃縮後の合成ポリイソプレンラテックスに消泡剤含有量(合計)が800ppmになるように消泡剤(商品名「SM5515」:東レ・ダウコーニング社製)を追添加した。これを実施例1と同様にして、ディップ成形体を製造し評価を行った。その結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
実施例1〜3では、いずれも機械的安定性が高く、ディップ成形体にハジキが見られなかった。更に、ディップ成形体の引張強度と破断時伸びが高いものが得られた。
【0097】
一方、Al含有量とTi含有量の合計量が500ppm以上である比較例1においては、ラテックスの機械的安定性が低いものであった。このラテックスを用いて作製したディップ成形体の引張強度及び破断時伸びは、低いものであった。
【0098】
また、消泡剤含有量が多い比較例2では、ラテックスの機械的安定性が低いものであった。このラテックスを用いて作製したディップ成形体においては表面にハジキが多数発生し、外観の悪い上に、このディップ成形体の引張強度と破断時伸びは、低いものであった。
【0099】
更に、Al含有量とTi含有量の合計量が500ppm以上であり、且つ、消泡剤含有量が500ppm以上である比較例3では、機械的安定性試験での凝集物の発生が最も多かった。また、このラテックスを用いて作製したディップ成形体の表面におけるハジキも多かった。また、このディップ成形体は、実施例及び比較例の中で引張強度が最も低かった。