特許第6615074号(P6615074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6615074切替タイミング調整方法、通信装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6615074
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】切替タイミング調整方法、通信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/10 20090101AFI20191125BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20191125BHJP
   H04W 76/20 20180101ALI20191125BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20191125BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20191125BHJP
【FI】
   H04W84/10 110
   H04W8/00 110
   H04W76/20
   H04W88/04
   H04W72/04 131
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-178931(P2016-178931)
(22)【出願日】2016年9月13日
(65)【公開番号】特開2018-46375(P2018-46375A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(72)【発明者】
【氏名】成松 宏美
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 達也
(72)【発明者】
【氏名】永徳 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】松川 尚司
(72)【発明者】
【氏名】片山 幸久
【審査官】 深津 始
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−131411(JP,A)
【文献】 特開2017−103664(JP,A)
【文献】 特開2017−108285(JP,A)
【文献】 成松宏美、ほか,複数プロトコルの時分割切替を特徴とするクラウド型アクセスポイントの検討,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2015年12月10日,第115巻、第369号,第7-12ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 −H04B 7/26
H04W 4/00 −H04W 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの通信デバイスが接続され当該通信デバイスに対し親機として動作する第1の動作モードと、前記第1の動作モードと同一または異なる通信デバイスが接続され当該通信デバイスに対し子機として動作する第2の動作モードとを備え、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを切り替える通信装置に用いられる切替タイミング調整方法であって、
前記第1の動作モードで動作している状態で、前記通信装置が、接続される通信デバイスの数と、前記通信デバイスが接続されるまでに要する接続要求時間とを監視し、
前記通信装置が、前記第1の動作モードが起動するごとに、その動作期間中に前記通信装置に接続された前記通信デバイスを特定するデバイスIDと、当該通信デバイスを接続するために要した前記接続要求時間とを対応付けて第1の管理テーブルに記憶し、
前記通信装置が、前記第1の動作モードが起動されるごとにその起動回ごとに、前記第1の動作モードが起動してから終了するまでの対応期間と、当該対応期間中に接続された通信デバイスのデバイスIDとを対応付けて第2の管理テーブルに記憶し、
前記通信装置が、前記第2の管理テーブルに記憶された通信デバイスのデバイスIDと、前記第1の管理テーブルに記憶された接続要求時間とに基づいて、前記第1の動作モードの対応時間として、接続を要求したすべての通信デバイスとの接続を完了するために要する最低の時間である最低要求時間を算出し、
前記通信装置が、前記算出された最低要求時間に基づいて、前記第1の動作モードの次回の起動に際し設定するための、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードへの切替時刻、または前記第2の動作モードから前記第1の動作モードへの切替時刻を調整し、
かつ前記最低要求時間を算出することは、前記第2の管理テーブルに基づいて、前記第1の動作モードの起動回n(nは整数)が2回目以上のとき、n−1回目とn回目とのデバイスIDを比較し、不一致である場合に、n回目において検出されなかったデバイスIDに対応する通信デバイスの接続要求時間を前記第1の管理テーブルから読み出し、当該接続要求時間と前記第2の管理テーブルに記憶されている前記n回目の対応時間とにより、前記第1の動作モードのn+1回目の起動に際し設定するための前記最低要求時間を算出する
ことを特徴とする切替タイミング調整方法。
【請求項2】
少なくとも1つの通信デバイスが接続され当該通信デバイスに対し親機として動作する第1の動作モードと、前記第1の動作モードと同一または異なる通信デバイスが接続され当該通信デバイスに対し子機として動作する第2の動作モードとを備え、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを切り替える通信装置であって、
前記第1の動作モードで動作している状態で、接続される通信デバイスの数と、前記通信デバイスが接続されるまでに要する接続要求時間とを監視する監視部と、
前記第1の動作モードが起動するごとに、その動作期間中に前記通信装置に接続された前記通信デバイスを特定するデバイスIDと、当該通信デバイスを接続するために要した前記接続要求時間とを対応付けて第1の管理テーブルに記憶する第1の記憶部と、
前記第1の動作モードが起動されるごとにその起動回ごとに、前記第1の動作モードが起動してから終了するまでの対応期間と、当該対応期間中に接続された通信デバイスのデバイスIDとを対応付けて第2の管理テーブルに記憶する第2の記憶部と、
前記第2の管理テーブルに記憶された通信デバイスのデバイスIDと、前記第1の管理テーブルに記憶された接続要求時間とに基づいて、前記第1の動作モードの対応時間として、接続を要求したすべての通信デバイスとの接続を完了するために要する最低の時間である最低要求時間を算出する算出部と、
前記最低要求時間に基づいて、前記第1の動作モードの次回の起動に際し設定するための、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードへの切替時刻、または前記第2の動作モードから前記第1の動作モードへの切替時刻を調整する調整部と
を具備し、
前記算出部は、前記第2の管理テーブルに基づいて、前記第1の動作モードの起動回n(nは整数)が2回目以上のとき、n−1回目とn回目とのデバイスIDを比較し、不一致である場合に、n回目において検出されなかったデバイスIDに対応する通信デバイスの接続要求時間を前記第1の管理テーブルから読み出し、当該接続要求時間と前記第2の管理テーブルに記憶されている前記n回目の対応時間とにより、前記第1の動作モードのn+1回目の起動に際し設定するための前記最低要求時間を算出する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
少なくとも1つの通信デバイスが接続され当該通信デバイスに対し親機として動作する第1の動作モードと、前記第1の動作モードと同一または異なる通信デバイスが接続され当該通信デバイスに対し子機として動作する第2の動作モードとを備え、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを切り替える通信装置を、
前記第1の動作モードで動作している状態で、接続される通信デバイスの数と、前記通信デバイスが接続されるまでに要する接続要求時間とを監視する監視部と、
前記第1の動作モードが起動するごとに、その動作期間中に前記通信装置に接続された前記通信デバイスを特定するデバイスIDと、当該通信デバイスを接続するために要した前記接続要求時間とを対応付けて第1の管理テーブルに記憶する第1の記憶部と、
前記第1の動作モードが起動されるごとにその起動回ごとに、前記第1の動作モードが起動してから終了するまでの対応期間と、当該対応期間中に接続された通信デバイスのデバイスIDとを対応付けて第2の管理テーブルに記憶する第2の記憶部と、
前記第2の管理テーブルに記憶された通信デバイスのデバイスIDと、前記第1の管理テーブルに記憶された接続要求時間とに基づいて、前記第1の動作モードの対応時間として、接続を要求したすべての通信デバイスとの接続を完了するために要する最低の時間である最低要求時間を算出する際に、前記第1の動作モードの起動回n(nは整数)が2回目以上のとき、n−1回目とn回目とのデバイスIDを比較し、不一致である場合に、n回目において検出されなかったデバイスIDに対応する通信デバイスの接続要求時間を前記第1の管理テーブルから読み出し、当該接続要求時間と前記第2の管理テーブルに記憶されている前記n回目の対応時間とにより、前記第1の動作モードのn+1回目の起動に際し設定するための前記最低要求時間を算出する算出部と、
前記最低要求時間に基づいて、前記第1の動作モードの次回の起動に際し設定するための、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードへの切替時刻、または前記第2の動作モードから前記第1の動作モードへの切替時刻を調整する調整部と
して動作させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、少なくとも1つの通信デバイスが接続される第1の動作モードと、第1の動作モードと同一または異なる通信デバイスが接続される第2の動作モードとを時間により切り替えて通信を行う通信装置と、この通信装置で使用される切替タイミング調整方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信装置の多機能化が進んでいる。例えば、指向性アンテナを有し、一定時間毎にデータの送信と指向性アンテナの切り替えを行う通信装置がある。この通信装置は、子機または親機として動作させることができる。
【0003】
具体的には、通信装置は、子機として機能することで、親機との無線通信を実現することができる。また、この通信装置は、親機として機能することで、他の子機、例えば、無線子機インタフェースを備えたゲーム機などから、当該通信装置を介して、インターネットに接続することを可能としている。
【0004】
ところで、上記指向性アンテナを利用するシステムでは、一定の周期でモードを切り替えており、切り替える毎に、起動停止・開始処理が行われる。例えば、Wi−Fi(登録商標)とテザリングモードを切り替えて対応させるアンテナにおいて、親機になる場合においても、当該親機に接続される通信デバイスはいったん接続を解除し、再度親機として立ち上がった際に、通信デバイスがそれを検知し、再度接続要求及び認証を行った後に、認証許可デバイスのみが接続できる。
一方、以上述べたシステムと関連する通信装置として、親機モードおよび子機モードを一定時間ごとに切り替えて通信デバイスと通信を行うものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2596983号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図3に示すように、通信装置100を切替時刻情報に基づき一定時間ごとに切り替える方法では、以下のような不具合が発生することになる。
(a1)親機モードに関して、最低確保時間を加味していないため、接続できない通信デバイスが発生する。特に、図3(a)中の親機モード対応期間T1で通信デバイス(デバイスd3)303が接続できなくなる。
(a2)親機モードに関して、図3(b)中の親機モード対応期間T2で1台の通信デバイス(デバイスd1)301しか接続されていないため、確保時間を他に割り当てられる可能性がある。
また、図5に示すように、通信装置100を切替時刻情報に基づき一定時間ごとに切り替える方法では、以下のような不具合が発生することになる。
デバイスA,Bはチャネル1対応期間(期間(1))に接続可能であり、デバイスCはチャネル2対応期間(期間(2))に接続可能である。ここで、通信装置100は、期間(1)−1で、デバイスAと通信できるが、デバイスBと通信できないとする。デバイスBは、同一のタイミングで通信を行うため、通信装置100と長期的に通信が行われないことがある。
【0007】
この発明の目的は、接続不可デバイスの削減を図り得る切替タイミング調整方法、通信装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにこの発明の一観点は、少なくとも1つの通信デバイスが接続され当該通信デバイスに対し親機として動作する第1の動作モードと、前記第1の動作モードと同一または異なる通信デバイスが接続され当該通信デバイスに対し子機として動作する第2の動作モードとを備え、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを切り替える通信装置に用いられる切替タイミング調整方法である。
【0009】
そして、前記第1の動作モードで動作している状態で、前記通信装置が、接続される通信デバイスの数と、前記通信デバイスが接続されるまでに要する接続要求時間とを監視し、前記通信装置が、前記第1の動作モードが起動するごとに、その動作期間中に前記通信装置に接続された前記通信デバイスを特定するデバイスIDと、当該通信デバイスを接続するために要した接続要求時間とを対応付けて第1の管理テーブルに記憶し、前記通信装置が、前記第1の動作モードが起動されるごとにその起動回ごとに、前記第1の動作モードが起動してから終了するまでの対応期間と、当該対応期間中に接続された通信デバイスのデバイスIDとを対応付けて第2の管理テーブルに記憶する。そして前記通信装置が、前記第2の管理テーブルに記憶された通信デバイスのデバイスIDと、前記第1の管理テーブルに記憶された接続要求時間とに基づいて、前記第1の動作モードの対応時間として、接続を要求したすべての通信デバイスとの接続を完了するために要する最低の時間である最低要求時間を算出し、前記通信装置が、前記最低要求時間に基づいて、前記第1の動作モードの次回の起動に際し設定するための、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードへの切替時刻、または前記第2の動作モードから前記第1の動作モードへの切替時刻を調整する。さらに、前記最低要求時間を算出する際に、前記第2の管理テーブルに基づいて、前記第1の動作モードの起動回n(nは整数)が2回目以上のとき、n−1回目とn回目とのデバイスIDを比較し、不一致である場合に、n回目において検出されなかったデバイスIDに対応する通信デバイスの接続要求時間を前記第1の管理テーブルから読み出し、当該接続要求時間と前記第2の管理テーブルに記憶されている前記n回目の対応時間とにより、前記第1の動作モードのn+1回目の起動に際し設定するための前記最低要求時間を算出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の一観点によれば、モード切替が行われた後、再度当該モードに戻した際に、接続不可となる通信デバイスの数を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施形態に係る通信装置の使用例を示す図。
図2】以前に使用されていた通信装置のブロック構成図。
図3】以前に使用されていた通信装置におけるモード切替方法を説明するために示す図。
図4】一実施形態におけるモード切替方法を説明するために示す図。
図5】以前に使用されていた通信装置における他のモード切替方法を説明するために示す図。
図6】一実施形態におけるモード切替方法の他の例を説明するために示す図。
図7】この発明の一実施形態に係る通信装置のブロック構成図。
図8】一実施形態における接続中の通信デバイスを特定するデバイスIDと、接続要求時間とを対応付けた管理テーブルの一例を示す図。
図9】一実施形態における親機モードの起動回数ごとに、親機モード対応期間(モード対応開始時間とモード対応終了時間)と、接続される通信デバイスのデバイスIDとを対応付けたリストの一例を示す図。
図10】一実施形態において、通信状態監視部のモード切替時刻調整動作を示すフローチャート。
図11】モード切替時刻が一定の場合の接続される通信デバイスが接続失敗する例を説明するために示すタイミング図。
図12】一実施形態において、モード切替時刻を可変に設定した場合の接続失敗した通信デバイスを救済する例を説明するために示すタイミング図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明に係る実施形態を説明するに先立ち、現状況について説明する。
図1は、以前の通信装置100の使用例を示す。通信装置100には、例えばアクセスポイントやテザリング機能付きのスマートフォン等が使用される。通信装置100は、移動体通信網を介した無線通信と、無線LANに準拠した無線通信とを実現可能に構成されている。通信装置100は、無線LANに準拠した無線通信では、子機モードと親機モードとの2つの動作モードによって動作可能である。
【0013】
子機モードで動作を行う通信装置100は、子機として、親機としてのアクセスポイント200と無線通信を行う。アクセスポイント200は、無線エリアを形成し、無線エリア内で通信装置100が具備するセンサ(図示せず)を用いて観測したデータを収集する。もしくは、アクセスポイント200は、無線エリアを形成し、無線エリア内で通信装置100を経由して複数の通信デバイス301〜30m(mは整数)と無線回線を介して情報交換をするものであっても良い。アクセスポイント200は、外部のインターネット(図示せず)やサーバ(図示せず)に接続される。また、通信装置100は、基地局(図示せず)を介して、移動体通信網を利用した無線通信によって、インターネットに接続することが可能である。
【0014】
親機モードで動作を行う通信装置100は、親機として、子機としての複数の通信デバイス301〜30mと無線通信を行う。ここで、通信装置100は、無線LANと移動体通信網とを介した通信の中継を行うことができる。従って、複数の通信デバイス301〜30mは、通信装置100を介して、インターネットもしくはサーバに接続することができる。
【0015】
図2は、上記通信装置100のブロック構成図である。
通信装置100は、通信制御部101と、切替制御部102と、入力インタフェース(IF)103とを備えている。通信制御部101は、指向性アンテナ(図示せず)を介して、自装置の電波到達範囲内(無線エリア内)に存在する通信デバイス301〜30mとの間で通信を行う。切替制御部102は、上位システム(図示せず)から入力IF103を介して供給される切替時刻情報に基づいて、自装置を子機モードと親機モードとに一定時間ごとに切り替えるように通信制御部101を制御する。
【0016】
ところで、図3に示すように、通信装置100を切替時刻情報に基づき一定時間ごとに切り替える方法では、以下のような不具合が発生することになる。
(a1)親機モードに関して、最低確保時間を加味していないため、接続できない通信デバイスが発生する。特に、図3(a)中の親機モード対応期間T1で通信デバイス(デバイスd3)303が接続できなくなる。
【0017】
(a2)親機モードに関して、図3(b)中の親機モード対応期間T2で1台の通信デバイス(デバイスd1)301しか接続されていないため、確保時間を他に割り当てられる可能性がある。
【0018】
そこで、本実施形態では、上記の不具合を解決するべく、図4(a)に示すように、各モード対応期間T3,T4で接続され得る通信デバイス(デバイスd1,d2,d3)301,302,303を観測し、分割された当該モード対応期間T3,T4に接続された通信デバイス(デバイスd1,d2,d3)301,302,303のデバイスIDを比較し、同時に接続されるデバイス数だけでなく、接続され得るデバイスIDからデバイス数を予測することで、図4(b)に示すように、当該モードに最低限必要な時間T5を決定し、決定された時間長に基づき、タイミングを調整する。
【0019】
また、図5に示すように、通信装置100を切替時刻情報に基づき一定時間ごとに切り替える方法では、以下のような不具合が発生することになる。
デバイスA,Bはチャネル1対応期間(期間(1))に接続可能であり、デバイスCはチャネル2対応期間(期間(2))に接続可能である。ここで、通信装置100は、期間(1)−1で、デバイスAと通信できるが、デバイスBと通信できないとする。デバイスBは、同一のタイミングで通信を行うため、通信装置100と長期的に通信が行われないことがある。
【0020】
そこで、本実施形態では、上記の不具合を解決するべく、図6に示すように、チャネル2(Wi−SUN(B))子対応期間(期間(2)−2)を可変に設定することにより、通信装置100はデバイスBと通信可能となる。
【0021】
上記の不具合を解決するべく、以下にこの発明の一実施形態について詳細に説明する。
(構成)
図7は、この発明の一実施形態に係る通信装置700の構成を示すブロック図である。この通信装置700は、無線LANに準拠した無線通信では、子機モードと親機モードとの2つの動作モードによって動作可能であり、親機モードの場合に、子機としての複数の通信デバイス301〜30mと無線通信を行う。
【0022】
通信装置700は、通信制御部701と、切替制御部702と、通信状態監視部703と、デバイス状態保持データベース(DB)704と、入力インタフェース705とを備えている。
【0023】
通信制御部701は、指向性アンテナ(図示せず)を介して、自装置の電波到達範囲内(無線エリア内)に存在する通信デバイス301〜30mとの間で通信を行う。切替制御部702は、上位システム(図示せず)から入力インタフェース705を介して供給される切替時刻情報に基づいて、自装置を子機モードと親機モードとに一定時間ごとに切り替えるように通信制御部701を制御する。
【0024】
通信状態監視部703は、例えばCPU、ROM、ハードディスク等から成り、接続完了時間算出部7031と、最低要求時間算出部7032と、調整制御部7033とを備える。接続完了時間算出部7031は、親機モードで動作するとき、接続される通信デバイス301〜30mの数と各通信デバイス301〜30mが接続されるまでに要する接続要求時間とを監視し、図8に示すように、接続中の通信デバイス301〜30mを特定するデバイスIDと、接続要求時間とを対応付けた管理テーブル7041を親機モードの起動毎にデバイス状態保持データベース704に記憶する。また、接続完了時間算出部7031は、図9に示すように、親機モードの起動回数ごとに、親機モード対応期間(モード対応開始時間とモード対応終了時間)と、接続される通信デバイス301〜30mのデバイスIDとを対応付けたリスト7042をデバイス状態保持データベース704に記憶する。
【0025】
最低要求時間算出部7032は、管理テーブル7041に基づいて、親機モードの最低要求時間を算出する。つまり、最低要求時間算出部7032は、親機モードの起動数n(nは整数)が2回目以上のとき、n−1回目以前とn回目とのデバイスIDを比較し、不一致である場合に、追加されたデバイスIDと当該デバイスIDに対応する通信デバイスが接続されるまでの接続要求時間により、最低要求時間を算出する。
【0026】
調整制御部7033は、算出した最低要求時間に基づいて、切替制御部702を制御して親機モードから子機モードへの切替時刻または子機モードから親機モードへの切替時刻を調整する。
【0027】
なお、通信状態監視部703に、接続完了時間算出部7031と、最低要求時間算出部7032と、調整制御部7033とが備えられる例について説明したが、接続完了時間算出部7031と、最低要求時間算出部7032と、調整制御部7033とが分けられていてもよい。
【0028】
(動作)
次に、上記構成における動作について説明する。
この発明の一実施形態では、以下の方法により親機モード(920IP)と子機モード(Wi−SUN(B))との切替時刻の調整を行う。
接続リストにある通信デバイス(デバイスB)302からの受信が所定の期間D内で発生していない場合に、通信装置700から通信デバイス302にデータ取得要求を送信する。前回の取得データがあれば、前回の値を保持しておき、値が変わっていたら、通信の無かった一定時間内のどこかで通信が行われていたと判断し、親機モードから子機モードへの切替時刻を子機モード対応期間分ずらす。
【0029】
図10は、上記通信状態監視部703の切替時刻調整動作を示すフローチャートである。
【0030】
通信状態監視部703は、接続中の通信デバイス301〜30mの数と各通信デバイス301〜30mが接続に来るまでの時間を監視し(ステップST10a)、デバイスxの接続が完了する毎に、以下の時間をデバイスIDと合わせてデバイス状態保持データベース704に保持する(ステップST10b)。
【数1】
はデバイスxと接続した時刻、tsnはn回目に当該モードに切り替わった時刻、tenはn回目に当該モードが終了した時刻を示す。
【数2】
は、n回目の当該モード対応期間を表す。
【0031】
通信状態監視部703は、上記デバイス状態保持データベース704に保持されている接続デバイスリスト(例えば図9)に基づいて、接続される通信デバイスの最大数Xを、例えば親機モードで最大限起動中に接続される通信デバイスの数を監視することにより把握し(ステップST10c)、当該親機モードの起動nが2回目以上のとき(YES)、n−1回目以前とn回目の接続デバイスIDのリストを比較する(ステップST10d)。そして、接続デバイスIDのリストに、n−1回目以前とn回目との間で不一致があれば(ステップST10e:YES)、通信状態監視部703はn回目において検出されなかったデバイスIDと当該デバイスが接続されるまでの時間R_Dxより、n+1回目に設定すべき最低要求時間P′を算出する(ステップST10f)。
例えば、図9に示すリストの場合には、1回目(n−1回目)において接続されたデバイスはD1,D2,D5であったのに対し、2回目(n回目)において接続されたデバイスはD1,D5のみでD2は接続されていない。そこで、2回目に検出されなかったデバイスのID=D2をもとに、図8に示したテーブルからデバイスD2の接続所要時間(AP起動から接続されるまでの時間)R_D2を読み出し、この接続所要時間R_D2を上記2回目の対応時間長Pに追加することで、3回目に設定すべき最低要求時間P′を算出する。つまり図9に示すP′=P+R_D2を計算する。
【0032】
以後、通信状態監視部703は、接続されるデバイスxの登録数がXになるまで、上記ステップST10aに移行し、観測を繰り返す。
【0033】
そして、通信状態監視部703は、モード対応期間を、デバイス数Xの過去の接続時間の最大値と決定し、切替タイミングの算出を行い(ステップST10g)、指定された時間にモード切替を制御する(ステップST10h)。
【0034】
(最低要求時間の算出方法)
n回目のモード対応期間をPとし、n+1回目のモード対応期間をP’とすると、P’は次式で表される。
【数3】
このとき、mを期限付きの過去Lの期間に接続された全デバイスIDのうち、n回目に接続されなかったデバイスIDのリストであるとする。
【0035】
期限付き過去とは、通常1時間以内の頻度である通信デバイス301〜30mに対して、5ヶ月前に接続されていたかを比較する必要はないため、見るべき過去の情報を制限する。
【0036】
通信デバイス301〜30mからのデータより推定したデータ送信頻度に基づき、Lを動的に変更する。例えば、メータリング装置である場合には、約30分に一度を一塊として、30分*cの期限を過去状態を参照する期限と設定する。Cは、固定値を用いてもよいし、時々で、ランダム変数にしても良い。
【0037】
P=P’とならない場合に、n+1回目で、接続されるデバイスIDの集合が、n回目の接続されるデバイスIDの集合と合致する場合、P’−Pの追加だけでは、効果が無いと判断し、n=n+1と更新後のn+1回目以降のP’をランダムに増減する。
【0038】
ランダムに増加させるf(x)は、例えば、μを(対応時間最大値max(P)と現在の対応時間Pとの差分/2)と設定することで、正規分布に従う乱数生成により決定する。乱数生成手段については、以下に限らないものとする。
【数4】
【0039】
全てのn回目のモード対応期間内で当該デバイスIDが接続要求されるとは限らないと判断し、ポーリングによる情報更新を行う。
【0040】
この場合、通信状態監視部703は、例えば通信デバイス302が接続もしくは1回目のデータ受信があってから所定時間経過してもデータ受信なしと判断した場合、通信デバイス302にデータ取得要求を送信して(ポーリング)、データを取得し、通信デバイス302のデータを過去に1回以上取得したことがあるか否かの判断を行う。なお、前回のデータ取得が無ければ、通信状態監視部703は、再度通信デバイス302にデータ取得要求を行い、値の変更の有無を確認する。
【0041】
一方、通信デバイス302のデータを過去に1回以上取得したことがある場合に、通信状態監視部703は取得データを前回取得時のデータと比較し、前回のデータと異なるか否かの判断を行う。
【0042】
ここで、前回のデータと異なる場合に、通信状態監視部703は子機モードへの切替時刻を子機モード対応期間T分遅らせる。なお、前回のデータと同じであれば、通信状態監視部703は当該通信デバイス302に対する確認(ポーリングによる確認)までの一定期間をさらに2倍に延長する。ここで、2倍にする理由としては、通信デバイスによって、送信周期が、分単位、時間単位、日単位等ばらばらであるためである。
【0043】
(一実施形態の使用例)
図11に示すように、通信装置700が親機モード(モード1)で動作しているとき、通信デバイス(dev1)301のユーザが、外部のインターネット(図示せず)への接続要求操作を行ったとする。
【0044】
すると、通信デバイス(dev1)301は、接続要求を通信装置700経由でアクセスポイント200へ送信する(S11a)。しかる後に、アクセスポイント200から接続許可(ACK)を受信すると(S11b)、通信デバイス301とアクセスポイント200との間には、通信装置700経由で通信リンクが形成され(S11c)、通信デバイス(dev1)301から外部のインターネット(図示せず)へのデータ送信が可能となる(S11d)。
【0045】
通信デバイス(dev2)302についても同様に、接続要求を通信装置700経由でアクセスポイント200へ送信する(S11e)。しかる後に、アクセスポイント200から接続許可(ACK)を受信すると(S11f)、通信デバイス302とアクセスポイント200との間には、通信装置700経由で通信リンクが形成される(S11g)。なお、通信装置700は、アクセスポイント200の内部に有していても良い。
【0046】
一方、通信デバイス(dev3)303については、通信装置700が親機モード(モード1)から子機モード(モード2)に切り替えられ、接続要求を通信装置700経由でアクセスポイント200へ送信しても、アクセスポイント200で接続要求が受信されなくなる(S11i)。なお、モード2に対応するデバイスからの接続要求については、アクセスポイント200で受信することができ(S11j)、接続許可を返送することができる(S11k)。
【0047】
そこで、上記実施形態では、通信装置700において、接続される通信デバイスの数と、通信デバイスが接続されるまでに要する接続要求時間とを監視し、接続デバイスIDと接続要求時間とを対応付けた管理テーブル7041を、親機モード(モード1)を起動する毎に、デバイス状態保持データベース704に記憶しておき、管理テーブル7041を参照して過去の接続状況から推定することで、接続デバイス数やデバイスの種別によらず、モード起動時間を可変に設定できるようにしている。
【0048】
そして、通信デバイス(dev3)303について、接続要求を通信装置700経由でアクセスポイント200へ送信する(S12a)。すると、アクセスポイント200から接続許可(ACK)を受信し(S12b)、通信デバイス303とアクセスポイント200との間には、通信装置700経由で通信リンクが形成され(S12c)、通信デバイス(dev3)303から外部のインターネット(図示せず)へのデータ送信が可能となる(S12d)。
これにより、接続失敗となる通信デバイス303との接続を確保することが可能となる。
【0049】
(その他の実施形態)
なお、接続中の通信デバイスを特定するデバイスIDと、算出された接続要求時間とを対応付けた管理テーブルと、親機モードの起動回数ごとに、親機モード対応期間(モード対応開始時間とモード対応終了時間)と、接続される通信デバイスのデバイスIDとを対応付けたリストをデバイス状態保持データベースに記憶する例について説明したが、デバイス状態保持データベース以外に保存するものであってもよい。
【0050】
また、通信装置が親機モードで動作しているときに、複数の通信デバイスを接続するために、親機モード対応期間を可変に設定する例について説明したが、子機モードで動作しているときも、同様に、複数の通信デバイスを接続するために、子機モード対応期間を可変に設定するものであってもよい。さらに、親機モード及び子機モード以外に、通信デバイスが接続される第1の動作モード、第1の動作モードと同じまたは異種の通信デバイスが接続される第2の動作モードを有する通信装置であっても、同様に実施できる。さらに、親機モード内での複数のモード切替を行う通信装置であっても、同様に実施できる。
【0051】
また、通信装置の構成及び種類、通信デバイスの種類、最低要求時間算出方法、切替時刻の調整方法等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0052】
上記通信装置で説明した個々の処理は、コンピュータプログラムによってソフトウェア処理することが可能である。この場合、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0053】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100,700…通信装置、101,701…通信制御部、702…切替制御部、703…通信状態監視部、102,405…切替制御部、103,705…入力インタフェース、200…アクセスポイント、301〜30m…通信デバイス、704…デバイス状態保持データベース、7031…接続完了時間算出部、7032…最低要求時間算出部、7033…調整制御部、7041…管理テーブル、7042…リスト。
図1
図2
図3
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図5
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図12