(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主面の中央部において、矩形平面状の第1素子形成領域が第1方向にn個配設され、かつ、前記第1素子形成領域に対して第1方向と交差する第2方向に隣接して前記第1素子形成領域と同一形状の第2素子形成領域が第1方向にn+m個配設された基板と、
前記第1素子形成領域上及び前記第2素子形成領域上に各々複数形成された突起電極と、
前記主面の周辺部において、当該周辺部と境界をなす前記第1素子形成領域の第1辺と、当該第1辺に1角を介して隣接し、当該周辺部と境界をなす前記第2素子形成領域の第2辺とにより確定される三角形に重複して複数形成されたダミー突起電極と、
前記第1素子形成領域及び前記第2素子形成領域において、前記突起電極下に当該突起電極に電気的に接続された複数の外部電極パッドと、
前記周辺部において、前記ダミー突起電極下に当該ダミー突起電極に接続された複数のダミー電極パッドと、
を備え、
前記周辺部において、前記三角形に重複しない領域に配設された前記ダミー電極パッドには、前記ダミー突起電極が接続されていない
半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法ついて、図面を参照して説明する。なお、すべての実施の形態において、実質的に同等の機能を有する構成要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
[第1実施の形態]
図1〜
図18を用いて、本発明の第1実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明する。ここで、第1実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法は、本発明をウェーハレベル チップサイズ パッケージ構造を有する半導体装置及びその製造方法に適用した例を説明するものである。
【0013】
(半導体装置の構成)
図1〜
図3に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置10は、基板としての半導体ウェーハ12を備えている。本実施の形態では、半導体ウェーハ12にシリコン単結晶ウェーハが使用されている。
図2に示されるように、半導体ウェーハ12は平面視において円形状に形成されている。そして、半導体ウェーハ12の周縁の一部(
図2下側)には、製造や搬送の際に位置決めとして使用されるオリエンテーションフラット12Cが形成されている。半導体ウェーハ12は、後述するバックグラインド処理前では例えば600μm〜650μmの厚さに設定されている。バックグラインド処理後では、半導体ウェーハ12は、200μm以下、好ましくは150μm以下の厚さに薄くされている。
【0014】
半導体ウェーハ12の主面12Aの中央部14には、繰返しパターンの基本となる同一の矩形平面状を有する素子形成領域20が、第1方向及び第1方向と交差する第2方向に複数個配設されている。素子形成領域20には、図示省略の論理回路及び記憶回路の少なくとも1つを含む集積回路が搭載されている。また、集積回路は、スイッチング素子、抵抗、容量及び配線を含んで構築されている。複数の素子形成領域20は、半導体ウェーハ12をダイシング処理(ダイシング加工)により切断してチップ化された半導体装置10として形成されるか、又は半導体ウェーハ12のままウェーハレベルの半導体装置10として形成される。ここで、第1方向は、
図2及び
図3に示されるX方向であり、例えば行方向である。また、第2方向は、X方向に対して直交するY方向であり、例えば列方向である。
【0015】
図2に示されるように、半導体ウェーハ12の中央部14の最上段となる第1段目には、第1素子形成領域として、第1方向にn個の素子形成領域20(1,1)〜素子形成領域20(1,n)が配設されている。ここで、「n」は、ゼロを除く自然数であり、この数に限定されるものではないが、本実施の形態では「6」に設定されている。この第1素子形成領域に対して第2方向に隣接する次段となる第2段目には、第2素子形成領域として、n+m個の素子形成領域20(2,1)〜素子形成領域20(2,n+m)が第1方向に配設されている。ここで、「m」は、ゼロを除く自然数であり、本実施の形態では「2」に設定されている。「m」の値が「2」、「4」等の偶数の場合、素子形成領域20(1,1)〜素子形成領域20(1,n)の第1方向の配列ピッチに対して、素子形成領域20(2,1)〜素子形成領域20(2,n+m)の同一方向の配列ピッチは同一となる。「m」の値が「1」、「3」等の奇数の場合、配列ピッチは2分の1ずれる。
【0016】
第2素子形成領域に対して第2方向に隣接する第3段目には、n+m+o個の素子形成領域20(3,1)〜素子形成領域20(3,n+m+o)が第1方向に配設されている。ここで、「o」は、ゼロを除く自然数であり、本実施の形態では「2」に設定されている。第3素子形成領域に対して第2方向に隣接する第4段目には、n+m+o+p個の素子形成領域20(4,1)〜素子形成領域20(4,n+m+o+p)が配設されている。ここで、「p」は、ゼロを除く自然数であり、本実施の形態では「2」に設定されている。
【0017】
第1段目の素子形成領域20と第2段目の素子形成領域20との配列関係は、次段において第1方向にm個かo個の素子形成領域20が増えるだけなので、第2段目の素子形成領域20と第3段目の素子形成領域20との配列関係と同一である。また、第2段目の素子形成領域20と第3段目の素子形成領域20との配列関係は、次段において第1方向にo個かp個の素子形成領域20が増えるだけなので、第3段目の素子形成領域20と第4段目の素子形成領域20との配列関係と同一である。従って、第2段目の素子形成領域20と第3段目の素子形成領域20との配列関係並びに第3段目の素子形成領域20と第4段目の素子形成領域20との配列関係は、第1段目の素子形成領域20と第2段目の素子形成領域20との配列関係と同一である。つまり、上段の素子形成領域20は第1素子形成領域として、下段の素子形成領域は第2素子形成領域と見なすことができる。
【0018】
第4段目の素子形成領域20に対して、第2方向に隣接する第5段目〜第9段目には、n+m+o+p個の素子形成領域20(5,1)〜素子形成領域20(5,n+m+o+p)乃至n+m+o+p個の素子形成領域20(9,1)〜素子形成領域20(9,n+m+o+p)が配設されている。第5段目〜第9段目の素子形成領域20の第1方向の配列数は、第4段目の素子形成領域20の第1方向の配列数と同一に設定されている。
【0019】
第9段目の素子形成領域20に対して、第2方向に隣接する第10段目には、n+m+o個の素子形成領域20(10,1)〜素子形成領域20(10,n+m+o)が配設されている。第10段目の素子形成領域20に対して、第2方向に隣接する第11段目には、n+m個の素子形成領域20(11,1)〜素子形成領域20(11,n+m)が配設されている。そして、第11段目の素子形成領域20に対して、第2方向に隣接する最終段となる第12段目には、n個の素子形成領域20(12,1)〜素子形成領域20(12,n)が配設されている。第9段目の素子形成領域20〜第12段目の素子形成領域20の配列関係は、第1段目の素子形成領域20〜第4段目の素子形成領域20の配列関係に対して、第2方向とは逆方向において(
図2の下方から上方へ向かって)同一である。
【0020】
このように構成される半導体装置10では、円形状の半導体ウェーハ12の主面12Aに矩形状の素子形成領域20を多く配列させることができる。従って、半導体ウェーハ12の主面12Aを有効に利用することができる。
【0021】
図1に示されるように、半導体ウェーハ12の主面12A上であって、各々の素子形成領域20には、集積回路上に層間絶縁層30を介して複数の電極32が配設されている。電極32は、所謂、ボンディングパッドであり、図示省略の集積回路に配線を介して電気的に接続されている。電極32は例えばアルミニウム(Al)合金層を主体に形成されている。電極32上には表面保護層34及び層間絶縁層36を介して再配線38が配設されている。再配線38は、符号省略の接続孔(
図5の符号36H参照)を通して電極32に電気的に接続されている。また、本実施の形態では、再配線38は、
図7に示されるように、最下層の下地金属層38A、中間層の酸化防止層38B、最上層の金属層38Cのそれぞれを順次積層した複合膜として形成されている。下地金属層38Aとして、例えばチタン(Ti)層が使用されている。酸化防止層38Bとして、例えば銅(Cu)層又はCu合金層が使用されている。そして、金属層38Cとして、例えばCu層又はCu合金層が使用されている。ここで、材料としてのCuの比抵抗値はAlの比抵抗値よりも低い。
【0022】
図1に戻って、半導体ウェーハ12の主面12A上の全域には、再配線38上を覆う封止樹脂層40が形成されている。封止樹脂層40には、再配線38上においてこの再配線38に電気的に接続され、かつ、最終配線層としての柱状の外部電極パッド42が埋設されている。外部電極パッド42は、例えばCu層又はCu合金層により形成されている。
【0023】
そして、外部電極パッド42上には、この外部電極パッド42に電気的に接続された突起電極(バンプ電極)44が、外部電極パッド42毎に複数形成されている。ここで、本実施の形態に係る半導体装置10では、各々の素子形成領域20はボール状の突起電極44を配列したボールグリッドアレイ(Ball Grid Array)パッケージとして形成されている。
図3に示されるように、突起電極44は第1方向及び第2方向に規則的に配列されている。突起電極44直下には外部電極パッド42が設けられているので、外部電極パッド42は突起電極44の配列と同様に第1方向及び第2方向に規則的に配列されている。このような規則的な突起電極44及び外部電極パッド42の配列は、電極32からの再配線38の引き回しによりレイアウトされている。本実施の形態では、突起電極44として半田バンプ電極が使用されている。なお、突起電極44としては、Cuバンプ電極やスタッド状のバンプ電極が使用可能である。
【0024】
図1及び
図3に示されるように、半導体ウェーハ12の主面12Aの周辺部16には、ダミー突起電極44Dが複数配設されている。
図3に示されるように、ダミー突起電極44Dは、周辺部16において、周辺部16と境界をなす素子形成領域20(1,n)の第1辺(右辺)20Aと、第1辺20Aに1角20Cを介して隣接し、周辺部16と境界をなす素子形成領域20(2,n+m)の第2辺(上辺)20Bとにより確定される三角形60に重複して配設されている。三角形60は、理解を助けるために、便宜上、ハッチングを付して描かれている。本実施の形態の三角形60は、素子形成領域20が正方形とされ、第1辺20A及び第2辺20Bの長さが等しく設定され、かつ、1角20Cの内角が90度とされているので、直角二等辺三角形とされている。ここで、「重複」とは、平面視において、ダミー突起電極44Dが三角形60の輪郭内に内包される場合及びダミー突起電極44Dの一部が三角形60の斜辺20Dに重合う場合を含む意味で使用されている。
【0025】
図1に示されるように、ダミー突起電極44Dは、素子形成領域20の突起電極44に対して同一構造、かつ、同一材料により形成されている。ダミー突起電極44Dの配列間隔は、突起電極44の配列間隔と同一に設定されている。後述の半導体装置10の製造方法において説明するが、ダミー突起電極44Dは突起電極44の製造工程と同一製造工程により形成されている(
図12参照)。また、ダミー突起電極44D直下には、ダミー電極パッド42D及びダミー再配線38Dが設けられている。ダミー電極パッド42Dは、外部電極パッド42に対して同一構造、同一材料、かつ、同一製造工程により形成されている(
図10参照)。同様に、ダミー再配線38Dは、再配線38に対して同一構造、同一材料、かつ、同一製造工程により形成されている(
図6〜
図8参照)。
【0026】
本実施の形態では、
図3に示されるように、周辺部16において三角形60の外側領域には、ダミー電極パッド42Dが配設され、このダミー電極パッド42Dの表面は露出されているものの、ダミー突起電極44Dは形成されていない。これは、電気的な意味での構成要素として不必要なダミー突起電極44Dの配設数を削減することにより、ダミー突起電極44Dを効率良く配設し、製品コスト並びに製造コストを削減する狙いである。
【0027】
図3に戻って、ダミー突起電極44Dは、周辺部16において、周辺部16と境界をなす素子形成領域20(2,n+m)の第1辺(右辺)20Aと、第1辺20Aに1角20Cを介して隣接し、周辺部16と境界をなす素子形成領域20(3,n+m+o)の第2辺(上辺)20Bとにより確定される三角形60にも重複して配設されている。図示が省略されているが、ダミー突起電極44Dは、周辺部16において、周辺部16と境界をなす素子形成領域20(3,n+m+o)の第1辺(右辺)20Aと、第1辺20Aに1角20Cを介して隣接し、周辺部16と境界をなす素子形成領域20(4,n+m+o+p)の第2辺(上辺)20Bとによって形成される三角形60にも重複して配設されている。
【0028】
詳細な図示は省略するが、
図2に示されるように、ダミー突起電極44Dは、周辺部16において素子形成領域20(1,1)〜素子形成領域20(4,1)、素子形成領域20(9,1)〜素子形成領域20(12,1)の各々により形成される三角形60と重複して配設されている。同様に、ダミー突起電極44Dは、周辺部16において、素子形成領域20(9,n+m+o+p)〜素子形成領域20(12,n)の各々により形成される三角形60にも重複して配設されている。
【0029】
なお、例えば第1段目の素子形成領域20の配列ピッチと第2段目の素子形成領域20の配列ピッチとが第1方向に半ピッチずれている場合(「m」が奇数の場合)、三角形60は、第1辺20Aの長さに対して第2辺20Bの長さが半分となる直角三角形とされる。そして、この三角形60に重複して周辺部16に複数のダミー突起電極44Dが配設される。また、素子形成領域20が長方形平面状とされる場合にも、同様に、ダミー突起電極44Dが配設される。
【0030】
(半導体装置の製造方法)
本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法は以下の通りである。まず最初に、例えば600μm〜650μmの厚さを有する半導体ウェーハ12が準備される(
図4参照)。半導体ウェーハ12の主面12Aにおいて、中央部14には、図示省略の矩形平面状の素子形成領域20が第1方向及び第2方向に規則的に複数形成されている。次に、主面12A上であって、中央部14及び周辺部16を含む全域に層間絶縁層30が形成される。層間絶縁層30は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のいずれかの単層膜、又は双方の複合膜により形成されている。
【0031】
図4に示されるように、中央部14の素子形成領域20において、電極32及び図示省略の配線が形成される。電極32は、例えばスパッタリング法により形成され、Al合金層を主体に形成される。また、電極32は、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてパターンニングされる。引き続き、主面12A上の全域において、電極32を覆う表面保護層34、層間絶縁層36が順次形成される。表面保護層34は、例えばプラズマ化学的気相析出(CVD)法により形成され、シリコン窒化膜により形成される。また、層間絶縁膜36は、例えばスピンコート法により形成され、感光性樹脂膜により形成される。
図5に示されるように、電極32上の層間絶縁層36が選択的に取除かれ、電極32の表面が露出された接続孔36Hが形成される。接続孔36Hの形成には、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術が使用される。
【0032】
図6に示されるように、層間絶縁層36上の全域に、下地金属層38A、酸化防止層38Bのそれぞれが順次積層される。下地金属層38Aと酸化防止層38Bとは、例えばスパッタリング法を用いて形成される。下地金属層38Aは、接続孔36Hを通して電極32に電気的に接続される。
【0033】
引き続き、酸化防止層38B上に再配線38のパターンを有するマスク46が形成される(
図7参照)。マスク46として例えばレジスト膜が使用され、レジスト膜はフォトリソグラフィ技術により形成される。ここで、マスク46の符号省略の開口パターンは、素子形成領域20上に形成されると共に、周辺部16の前述の三角形60と重複する領域(ダミー再配線38Dの形成領域)にも形成される。酸化防止層38Bを電極とする電気めっき法が使用され、
図7に示されるように、マスク46から露出された酸化防止層38B上に金属層38Cが形成される。金属層38Cが形成されると、素子形成領域20において、下地金属層38A、酸化防止層38B及び金属層38Cを積層した再配線38が形成される。さらに、再配線38の製造工程と同一製造工程により、再配線38と同一構造を有するダミー再配線38Dが形成される。この後、
図8に示されるように、マスク46が除去される。なお、この製造工程の段階において、複数の再配線38間、複数のダミー再配線38D間、及び再配線38とダミー再配線38Dとの間は、下地金属層38A及び酸化防止層38Bを通じて電気的に接続された状態にある。
【0034】
引き続き、主面12A上の全域において、再配線38及びダミー再配線38Dを覆うマスク48が形成される(
図9参照)。マスク48には、突起電極44の形成領域となる再配線38上及びダミー再配線38D上に貫通された開口部48Hが形成される。マスク48として例えばレジスト膜が使用され、レジスト膜はフォトリソグラフィ技術により形成される。再配線38(具体的には金属層38C)を電極とする電気めっき法が使用され、
図9に示されるように、マスク48の開口部48Hから露出された再配線38上に柱状の外部電極パッド42が形成される。この外部電極パッド42の製造工程と同一製造工程において、マスク48の開口部48Hから露出されたダミー再配線38D上に柱状のダミー電極パッド42Dが形成される。この後、
図10に示されるように、マスク48が除去される。
【0035】
次に、主面12A上の全域において、外部電極パッド42上及びダミー電極パッド42D上を覆い、これらの膜厚よりも厚い膜厚の封止樹脂層40が形成される(
図11参照)。封止樹脂層40は、外部電極パッド42よりも下層の再配線38、電極32及び集積回路を保護する。
図11に示されるように、封止樹脂層40において表面から厚さの一部が除去され、外部電極パッド42及びダミー電極パッド42Dの表面が露出される。封止樹脂層40の除去には、例えばグラインダーを用いた研削加工やケミカルメカニカルポリッシング(CMP)法が使用される。これにより、封止樹脂層40に埋設された外部電極パッド42及びダミー電極パッド42Dが同一製造工程により形成される。
【0036】
図12に示されるように、素子形成領域20において外部電極パッド42上にこの外部電極パッド42に電気的に接続された突起電極44が形成される。この突起電極44の製造工程と同一製造工程おいて、周辺部16の
図3に示される三角形60に重複してダミー電極パッド42D上にこのダミー電極パッド42Dに接続されたダミー突起電極44Dが形成される。なお、本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法では、周辺部16の三角形60と重複しない領域のダミー電極パッド42Dは表面を露出させているものの、このダミー電極パッド42D上にはダミー突起電極44Dは形成されない。
【0037】
図13に示されるように、半導体ウェーハ12の主面12A上の全域に突起電極44及びダミー突起電極44Dを覆うバックグラインド用保護テープ50が貼付けられる。保護テープ50は、半導体ウェーハ12の裏面12B(
図1参照)にバックグラインド処理を施して半導体ウェーハ12の厚さを薄く加工するときに、突起電極44及びそれよりも下層の外部電極パッド42、再配線38、電極32、集積回路等を保護する。詳細な断面構造は省略するが、本実施の形態では、保護テープ50は、基材となるテープ状の樹脂製フィルムと、この樹脂製フィルムの突起電極44側の表面に形成された紫外線(UV)硬化型の接着層とを有する2層構造とされている。ここで、保護テープ50の樹脂製フィルムとしては、紫外線を透過する機能を有する、例えば180μm〜220μmの厚さを有するポリオレフィン樹脂フィルムを実用的に使用することができる。また、接着層としては、例えば110μm〜150μmの厚さを有するアクリル樹脂層を実用的に使用することができる。
【0038】
次に、
図15に示されるように、半導体ウェーハ12を反転させ、保護テープ50が貼付けられた状態において、バックグラインドホイール52を用いて半導体ウェーハ12の裏面12Bにバックグラインド処理が行われる。これにより、裏面12Bが研削され、半導体ウェーハ12の厚さが本実施の形態では200μm以下、好ましくは150μm程度に薄くされる。
【0039】
ここで、バックグラインド処理では、半導体ウェーハ12の裏面12Bにバックグラインドホイール52の研削砥石54が接触し、半導体ウェーハ12に対して相対的に研削砥石54が回転する。これにより、裏面12Bが研削され、半導体ウェーハ12の厚さが薄くされる。このとき、
図2、
図3、
図15及び
図16に示されるように、半導体ウェーハ12の裏面12Bには、半導体ウェーハ12の回転方向へ突出して、半導体ウェーハ12の中心から周縁へ円弧状に描かれる多数の研削痕(ソーマーク)12Dが形成される。
図2、
図3及び
図16は、主面12A側から見た半導体ウェーハ12を示しているが、便宜的に、裏面12Bに形成された研削痕12Dを投影して主面12Aに描いている。また、
図2、
図3では、理解を容易にするため
図16に示される研削痕(ソーマーク)12Dの1本を示している。
【0040】
本発明者は、鋭意研究により以下の事実を見出した。
図17に示される比較例に係る半導体装置では、半導体ウェーハ12の主面12Aの中央部14と周辺部16との境界(例えば
図3に示す第1辺20Aに相当する)を境として、中央部14には突起電極44が連続的に配置され、周辺部16には突起電極44が配置されていない。境界は、中央部14の最も周辺部16側に配置された素子形成領域20と周辺部16との境でもあり、かつ、最も外側のダイシングラインでもある。境界に沿って配列された最も周辺部16側の複数の突起電極44の位置と、境界に沿って延在する研削痕12Dとが半導体ウェーハ12の厚さ方向に一致する
図3及び
図16に示す領域A1〜A4では、半導体ウェーハ12に割れ、欠け等の損傷が発生し易い。これは、
図17に示されるように、バックグラインド処理において、研削砥石54から受ける負荷Fによる保護テープ50の厚さ方向の伸縮量が、突起電極44の有無により異なるためである。つまり、突起電極44が配置された中央部14に対して、突起電極44が配置されていない周辺部16での保護テープ50の厚さ方向の伸縮量が大きくなる。このため、負荷Fによる半導体ウェーハ12の周辺部16の撓み量が中央部14の撓み量に比べて大きく、この撓み量の違いにより境界部分に応力が集中する。
【0041】
そこで、本実施の形態に係る半導体装置10及びその製造方法では、
図2、
図3、
図13、
図15及び
図16に示されるように、素子形成領域20に境界となる第1辺20Aを介して隣接する周辺部16にダミー突起電極44Dが形成されている。特に、本実施の形態では、例えば素子形成領域20(1,n)の第1辺20Aと第2方向に隣接し第1方向に所定配列ピッチ分ずれた素子形成領域20(2,n+m)の第2辺20Bとによって形成される三角形60に重複してダミー突起電極44Dが形成されている。
【0042】
図15に示されるように、研削痕12Dと重なる領域において、素子形成領域20の突起電極44に連続して周辺部16にダミー突起電極44Dが形成され、かつ、配列される。つまり、研削砥石54から受ける負荷Fによる保護テープ50の厚さ方向の伸縮量が、素子形成領域20と周辺部16とで等しくなり、半導体ウェーハ12の周辺部16の撓み量(剛性)が小さくなるので、境界部分の応力の発生を抑制することができる。このため、半導体ウェーハ12の主面12Aの周辺部16において、割れ、欠け等の損傷が生じない。
【0043】
図18に、バックグラインド処理後の半導体ウェーハ12の厚さと半導体ウェーハ12の周辺部16の割れ、欠け等の損傷の発生率との関係が示されている。横軸は半導体ウェーハ12のバックグラインド処理後の厚さ[μm]である。縦軸は半導体ウェーハ12の周辺部16に生じた損傷発生率[%]である。
図18に示されるように、バックグラインド処理後の半導体ウェーハ12の厚さが200μmから損傷発生率が急激に増加する。厚さが200μmのときの損傷発生率は0.6%〜0.7%である。そして、厚さが150μmになると、損傷発生率は20%近くに達する。このため、本実施の形態に係る基板の製造方法は、バックグラインド処理により、半導体ウェーハ12の厚さが200μm以下とされる場合、特に150μm以下とされる場合に有効である。
【0044】
製造方法に戻って、再び半導体ウェーハ12を反転させて、保護テープ50に紫外線が照射され、保護テープ50の接着層の接着力が低下される。そして、
図14に示されるように、半導体ウェーハ12の主面12Aから保護テープ50が剥離される。これら一連の製造工程が終了すると、
図1に示される薄型化された半導体ウェーハ12により構築される半導体装置10が完成する。
【0045】
この後、半導体装置10はウェーハレベル チップサイズ パッケージ構造を有する半導体装置として使用される。また、図示並びに説明は省略するが、この後、半導体装置10にダイシング処理が行われ、素子形成領域20毎にダイシングされてチップ状の半導体装置が完成する。
【0046】
(本実施の形態の作用及び効果)
本実施の形態に係る半導体装置10は、
図1〜
図3に示されるように、半導体ウェーハ12の主面12Aの周辺部16において、複数のダミー突起電極44Dを備える。詳しく説明すると、ダミー突起電極44Dは、
図2及び
図3に便宜的に描いて示す三角形60に重複して配設される。三角形60の1つは、周辺部16と境界をなす素子形成領域20(1,n)の第1辺20Aと、第1辺20Aに1角20Cを介して隣接し、周辺部16と境界をなす素子形成領域20(2,n+m)の第2辺20Bとにより確定される。そして、同様に、素子形成領域20(n+m)〜素子形成領域20(4,n+m+o+p)及び素子形成領域20(9,n+m+o+p)〜素子形成領域20(12,n)により確定される三角形60にも重複してダミー突起電極44Dが配設される。さらに、素子形成領域20(1,1)〜素子形成領域20(4,1)及び素子形成領域20(9,1)〜素子形成領域20(12,1)により確定される三角形60にもダミー突起電極44Dが配設される。
【0047】
ここで、
図15及び
図16に示されるように、ダミー突起電極44Dは、バックグラインド処理において半導体ウェーハ12の裏面12Bに形成される研削痕12Dの延在方向に沿った周辺部16に少なくとも配設される。素子形成領域20の突起電極44に対して周辺部16にダミー突起電極44Dが配設されるので、バックグラインドホイール52から受ける負荷Fに対して保護テープ50の伸縮率が素子形成領域20及び周辺部16の双方で等しくなる。このため、バックグラインド処理において、半導体ウェーハ12の周辺部16の撓み量を減少させることができるので、半導体ウェーハ12の中央部14と周辺部16との境界部分に生じる応力を減少させることができる。一方、半導体ウェーハ12の周辺部16に補強のための支持部材を別途貼付ける必要がないので、支持部材の貼付の際の突起電極44との接触の要因を無くすことができる。これにより、バックグラインド処理における半導体ウェーハ12の周辺部16の割れ、欠け等の損傷を防止し、かつ、突起電極44の損傷を防止することができる、本実施の形態に係る半導体装置10を提供することができる。
【0048】
なお、本実施の形態に係る半導体装置10には、その製造方法において、以下の段階の中間生成物としての構造が含まれる。
図12に示される半導体ウェーハ12の周辺部16にダミー突起電極44Dが形成された段階、
図13に示される保護テープ50が貼付けられた段階、
図15に示すバックグラインド処理が行われた段階、
図14に示す保護テープ50が剥離された段階。加えて、
図1に示される保護テープ50が剥離された後の段階。ここで、バックグラインド処理後の中間生成物としての半導体装置10には、半導体ウェーハ12の裏面12Bに、
図15及び
図16に示される研削痕12Dが形成されている。
【0049】
また、本実施の形態に係る半導体装置10では、
図1に示されるように、周辺部16のダミー突起電極44D下にこのダミー突起電極44Dに接続されたダミー電極パッド42Dが配設される。ダミー電極パッド42Dは、突起電極44下の外部電極パッド42と同一構造により形成される。ここで、ダミー電極パッド42Dとダミー突起電極44Dとの接着力は、例えば封止樹脂層40とダミー突起電極44Dとの接着力よりも強い。このため、ダミー突起電極44Dを強固に固定することができる。例えば、
図14に示される保護テープ50を剥離する工程において、ダミー突起電極44Dの脱落を防止することができる。
【0050】
さらに、本実施の形態に係る半導体装置10では、
図3に示されるように、半導体ウェーハ12の主面12Aの周辺部16において、三角形60に重複してダミー突起電極44Dが配設される。これにより、半導体ウェーハ12の周辺部16の損傷を防止しつつ、突起電極材料の消費を抑制することができるので、ダミー突起電極44Dを効率良く配設し、製品コストを削減することができる。なお、半導体装置10の製造方法としては、製造コストを削減することができる。
【0051】
そして、本実施の形態に係る半導体装置10では、
図3に示されるように、半導体ウェーハ12の主面12Aの周辺部16において、三角形60に重複してダミー突起電極44Dが配設される。このため、境界に沿って配列された最も周辺部16側の複数の突起電極44の位置と、境界に沿って延在する研削痕12Dとが半導体ウェーハ12の厚さ方向に一致する領域A1〜A4を素子形成領域20の配列毎に検討する必要が無くなる。これにより、切削痕12Dと突起電極44とが一致しても半導体ウェーハ12の周辺部16の損傷を防止することができ、かつ、ダミー突起電極44Dの配置を検討する際の設計工数を削減することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る半導体装置10では、
図3に示されるように、半導体ウェーハ12の主面12Aの周辺部16において、三角形60に重複しない領域にダミー電極パッド42Dが配設される。このため、ダミー電極パッド42Dの配設形態を変更することなく、三角形60に重複して簡易にダミー突起電極44Dを配設することができる。例えば、本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法では、
図9に示されるダミー電極パッド42Dを形成するマスク48のパターンを変更する必要が無くなる。
【0053】
さらに、本実施の形態に係る半導体装置10では、
図1に示されるように、素子形成領域20に配設された突起電極44は、素子形成領域20の集積回路、具体的には素子に電気的に接続される。一方、周辺部16に配設されたダミー突起電極44Dは素子に電気的に接続されていない。このため、ダミー突起電極44Dには電気的な機能を持たせる必要がないので、比較的自由にダミー突起電極44Dを配設することができる。
【0054】
また、本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法では、
図12に示されるように、周辺部16にダミー突起電極44Dを形成する工程が、素子形成領域20上に突起電極44を形成する工程と同一製造工程とされている。このため、別々に形成する場合に比べて、半導体装置10の製造工程数を削減することができる。これにより、半導体装置10の製造方法では、半導体ウェーハ12の裏面12Bの研削による半導体ウェーハ12の周辺部16の割れや欠けの損傷を防止しつつ、製造工程数を減少させることができ、半導体ウェーハ12の薄型化を実現することができる。
【0055】
さらに、本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法では、
図8及び
図9に示されるように、ダミー再配線38D、ダミー電極パッド42Dのそれぞれを形成する工程が、再配線38、外部電極パッド42のそれぞれを形成する工程と同一製造工程とされている。これにより、半導体装置10の製造工程数を更に削減することができる。
【0056】
[第2実施の形態]
図19を用いて、本発明の第2実施の形態に係る半導体装置10及びその製造方法を説明する。
【0057】
図19に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置10では、半導体ウェーハ12の主面12Aの周辺部16において、便宜的に示される三角形60と重複しない領域にダミー電極パッド42Dが配設されていない。この領域では、封止樹脂層40(
図1参照)の表面が露出されている。なお、本実施の形態では、ダミー電極パッド42D下のダミー再配線38D(
図1参照)は、配設されていても、配設されていなくてもよい。ダミー電極パッド42D以外の構成は、第1実施の形態に係る半導体装置10及びその製造方法の構成と同一とされている。
【0058】
(本実施の形態の作用及び効果)
本実施の形態に係る半導体装置10及びその製造方法では、前述の第1実施の形態に係る半導体装置10及びその製造方法により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る半導体装置10及びその製造方法では、ダミー電極パッド42Dの電極材料を削減することができるので、製品コスト並びに製造コストを更に削減することができる。
【0060】
[その他の実施の形態]
本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、基板として半導体ウェーハが使用されているが、本発明は、基板として化合物半導体基板、樹脂基板、ガラス基板等を使用してもよい。