特許第6616341号(P6616341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6616341表示パネルドライバの設定方法及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616341
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】表示パネルドライバの設定方法及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20191125BHJP
【FI】
   G09G3/20 631M
   G09G3/20 631V
   G09G3/20 612P
   G09G3/20 621F
   G09G3/20 623R
   G09G3/20 633Q
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-18518(P2017-18518)
(22)【出願日】2017年2月3日
(62)【分割の表示】特願2012-236861(P2012-236861)の分割
【原出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2017-76154(P2017-76154A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2017年2月3日
【審判番号】不服2018-13528(P2018-13528/J1)
【審判請求日】2018年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕則
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 敦史
【合議体】
【審判長】 小林 紀史
【審判官】 櫻井 健太
【審判官】 濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−38346(JP,A)
【文献】 特開2006−251772(JP,A)
【文献】 特開2003−216113(JP,A)
【文献】 特開2009−32714(JP,A)
【文献】 特開2010−127829(JP,A)
【文献】 特許第6088202(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に応じた画像を表示する表示パネルを駆動する複数の表示パネルドライバを、メモリに格納された設定データに基づいて仕様に合わせた設定とする表示パネルドライバの設定方法であって、
前記表示パネルドライバ各々の内の1の表示パネルドライバが、前記メモリから前記設定データの読み出しを要求する読出命令及び前記メモリに対して前記設定データの書き込みを要求する書込命令のうちの一方を示すメモリアクセス信号を前記メモリ、及び前記1の表示パネルドライバを除く他の表示パネルドライバに供給すると共に、前記メモリアクセス信号が前記読出命令を示す場合に前記メモリから第1ライン上に読み出された前記設定データを取り込んで当該設定データに基づく設定を行うステップと、
前記他の表示パネルドライバが、前記1の表示パネルドライバから供給された前記メモリアクセス信号が前記読出命令を示す場合、前記1の表示パネルドライバによる前記設定データの取り込み動作と同時に前記第1ライン上から前記設定データを取り込んで当該設定データに基づく設定を行うステップと、を有することを特徴とする表示パネルドライバの設定方法。
【請求項2】
前記設定を、電源立上後の所定期間に実施することを特徴とする請求項1に記載の表示パネルのドライバの設定方法。
【請求項3】
前記設定を、電源立上後、定期的に実施することを特徴とする請求項1に記載の表示パネルのドライバの設定方法。
【請求項4】
前記メモリ、前記1の表示パネルドライバ及び前記他の表示パネルドライバは前記第1ラインに夫々接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の表示パネルドライバの設定方法。
【請求項5】
前記メモリ、前記1の表示パネルドライバ及び前記他の表示パネルドライバは、更に前記第1ラインとは異なる第2ラインに夫々接続されており、
前記1の表示パネルドライバは、前記メモリアクセス信号を前記第2ラインによって前記メモリ及び前記他の表示パネルドライバに供給することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1に記載の表示パネルドライバの設定方法。
【請求項6】
映像信号に応じた画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルを駆動する第1表示パネルドライバ及び第2表示パネルドライバと、設定データが記憶されているメモリと、を有する表示装置であって、
前記第1表示パネルドライバは、前記メモリから前記設定データの読み出しを要求する読出命令、及び前記メモリに対して前記設定データの書き込みを要求する書込命令のうちの一方を示すメモリアクセス信号を第1双方向端子を介して出力する第1回路と、前記メモリアクセス信号が前記読出命令を示す場合に取込イネーブル信号を生成する第1取込制御回路と、前記メモリから読み出された前記設定データを入力端子を介して受けこれを前記取込イネーブル信号に応じて取り込む第1レジスタと、を有し、
前記第2表示パネルドライバは、前記第1双方向端子を介して出力され第2双方向端子に入力された前記メモリアクセス信号が前記読出命令を示す場合に取込イネーブル信号を生成する第2取込制御回路と、前記メモリから読み出された前記設定データを入力端子を介して受けこれを前記取込イネーブル信号に応じて、前記第1表示パネルドライバの前記第1レジスタによる前記設定データの取り込み動作と同時に取り込む第2レジスタと、を有し、
前記メモリの出力端子が第1ラインによって前記第1及び第2表示パネルドライバの前記入力端子に接続されており、前記第1及び第2表示パネルドライバ各々の前記第1及び第2双方向端子及び前記メモリが第2ラインによって接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記第1回路は、前記メモリアクセス信号を生成するメモリ制御回路であることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記メモリ制御回路は、外部供給されたマスタスレイブ指定信号がマスタ側を示す場合には前記メモリアクセス信号を双方向端子を介して出力する一方、前記マスタスレイブ指定信号がスレイブ側を示す場合には前記メモリアクセス信号を生成することなく前記双方向端子を入力状態に設定することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2表示パネルドライバは更に前記メモリ制御回路を有し、前記第1表示パネルドライバにはマスタ側を示す前記マスタスレイブ指定信号が外部供給されて前記メモリ制御回路が前記メモリアクセス信号を前記第1双方向端子を介して出力し、前記第2表示パネルドライバにはスレイブ側を示す前記マスタスレイブ指定信号が外部供給されて前記メモリ制御回路が前記メモリアクセス信号を生成することなく前記第2双方向端子を入力状態に設定することを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1表示パネルドライバにおいて前記メモリ制御回路が前記書込命令を示す前記メモリアクセス信号を生成した場合に前記第1取込制御回路が前記取込イネーブル信号の生成を停止し、前記第2表示パネルドライバにおいて前記第2双方向端子を介して外部から入力された前記メモリアクセス信号が前記書込命令を示す場合に前記第2取込制御回路が前記取込イネーブル信号の生成を停止することを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1表示パネルドライバの前記メモリ制御回路は、電源投入後の所定のタイミングで前記メモリアクセス信号の生成を行うことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じて複数の表示パネルドライバで表示パネルを駆動する際の表示パネルドライバの設定方法、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示パネルには、映像信号に応じた階調電圧を表示パネルに形成されている複数のソースラインに供給する複数のソースドライバが設けられている。
【0003】
この際、表示パネルの駆動方法に対応させて各ソースドライバの駆動方法が決定することから、ソースドライバ等の機能の動作タイミング等を制御するタイミングコントーラを別に設けることが一般的である。
【0004】
そこで、これら表示パネル及び複数のソースドライバからなるシステムの仕様に合わせてタイミングコントローラに設定すべきシステムインタフェース情報が記憶されているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を搭載した表示パネルが提案されている(例えば、特許文献1の図1参照)。
【0005】
当該タイミングコントローラ及びEEPROM間の通信は、1対1の関係であれば直接通信用の経路を設けることで対応可能となる。そこで、ソースドライバとタイミングコントローラを一体形成する集積回路が開発されつつある(特許文献2参照)。かかる集積回路では、タイミングコントローラを内蔵したソースドライバ毎にEEPROMからの設定が必要であり、夫々のソースドライバとEEPROM間で専用線を用意して通信を行うか、又は共通の通信線を用いてタイミングを異ならせて設定することが必要となる。
【0006】
そこで、各ソースドライバとEEPROM間の通信を簡略化させる方式として、ソースドライバ間で通信させる技術も考案されている(特許文献3の図1参照)。
【0007】
この表示パネルでは、ソースドライバ6各々の内の1つのソースドライバ6aだけが上記EEPROM21に接続されており、このソースドライバ6aが基点となって、EEPROM21から読み出されたシステムインタフェース情報を取り込む。そして、ソースドライバ6aは、かかるシステムインタフェース情報に基づいて自身の設定を行いつつ、このシステムインタフェース情報を、第1のITO(Indium Tin Oxide) 配線パターン12を介してカスケード接続されている他のソースドライバ6に中継供給する。この際、他のソースドライバ6は、第1のITO配線パターン12を介して供給されたシステムインタフェース情報に基づいて自身の設定を行いつつ、このシステムインタフェース情報を第2のITO配線パターン12を介してカスケード接続されている更に他のソースドライバ6に中継供給する。かかる構成により、EEPROM21から読み出されたシステムインタフェース情報は、基点となるソースドライバ6aを介して他のソースドライバ6にも供給され、このソースドライバ6内でもシステムインタフェース情報に基づく設定が為される。
【0008】
このように、上記した表示パネルでは、EEPROMから読み出した設定用情報を一旦、基点となるソースドライバに取り込み、これをカスケード接続された配線を介して他のソースドライバに中継供給するようにしている。従って、直列にカスケード接続されているソースドライバの段数が多くなるほど、全てのソースドライバに設定用の情報が供給されるまでに費やされる時間が長くなる。よって、設定処理を開始させてから実際の表示動作に移行するまでの待機時間が長くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−079077号公報
【特許文献2】特開2010−190932号公報
【特許文献3】特開2009−32714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる問題を解消すべく為されたものであり、複数の表示パネルドライバに対して迅速に、仕様に合わせた設定を行うことが可能な表示パネルドライバの設定方法、及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る表示パネルドライバの設定方法は、映像信号に応じた画像を表示する表示パネルを駆動する複数の表示パネルドライバを、メモリに格納された設定データに基づいて仕様に合わせた設定とする表示パネルドライバの設定方法であって、前記表示パネルドライバ各々の内の1の表示パネルドライバが、前記メモリから前記設定データの読み出しを要求する読出命令及び前記メモリに対して前記設定データの書き込みを要求する書込命令のうちの一方を示すメモリアクセス信号を前記メモリ、及び前記1の表示パネルドライバを除く他の表示パネルドライバに供給すると共に、前記メモリアクセス信号が前記読出命令を示す場合に前記メモリから第1ライン上に読み出された前記設定データを取り込んで当該設定データに基づく設定を行うステップと、前記他の表示パネルドライバが、前記1の表示パネルドライバから供給された前記メモリアクセス信号が前記読出命令を示す場合、前記1の表示パネルドライバによる前記設定データの取り込み動作と同時に前記第1ライン上から前記設定データを取り込んで当該設定データに基づく設定を行うステップと、を有する。
【0013】
本発明に係る表示装置は、映像信号に応じた画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルを駆動する第1表示パネルドライバ及び第2表示パネルドライバと、設定データが記憶されているメモリと、を有する表示装置であって、前記第1表示パネルドライバは、前記メモリから前記設定データの読み出しを要求する読出命令、及び前記メモリに対して前記設定データの書き込みを要求する書込命令のうちの一方を示すメモリアクセス信号を第1双方向端子を介して出力する第1回路と、前記メモリアクセス信号が前記読出命令を示す場合に取込イネーブル信号を生成する第1取込制御回路と、前記メモリから読み出された前記設定データを入力端子を介して受けこれを前記取込イネーブル信号に応じて取り込む第1レジスタと、を有し、前記第2表示パネルドライバは、前記第1双方向端子を介して出力され第2双方向端子に入力された前記メモリアクセス信号が前記読出命令を示す場合に取込イネーブル信号を生成する第2取込制御回路と、前記メモリから読み出された前記設定データを入力端子を介して受けこれを前記取込イネーブル信号に応じて、前記第1表示パネルドライバの前記第1レジスタによる前記設定データの取り込み動作と同時に取り込む第2レジスタと、を有し、前記メモリの出力端子が第1ラインによって前記第1及び第2表示パネルドライバの前記入力端子に接続されており、前記第1及び第2表示パネルドライバ各々の前記第1及び第2双方向端子及び前記メモリが第2ラインによって接続されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、表示パネルを駆動する複数の表示パネルドライバを仕様に合わせた状態に設定するにあたり、その設定内容を示す設定データをメモリに格納しておく。そして、複数の表示パネルドライバの内の1の表示パネルドライバが、上記設定データが読み出し状態となったことを示すメモリアクセス信号を上記メモリと共に他の表示パネルドライバに供給する。かかるメモリアクセス信号に応じて、メモリは、設定データを第1ライン上に読み出す。この際、上記1の表示パネルドライバは、この第1ライン上に読み出された設定データを取り込んで当該設定データに基づく設定を行う。一方、他の表示パネルドライバは、上記1の表示パネルドライバから供給されたメモリアクセス信号に応じて、上記第1ライン上から設定データを取り込んで当該設定データに基づく設定を行う。
【0015】
かかる構成によれば、上記1の表示パネルドライバから発せられたメモリアクセス信号に応じて、上記メモリから第1ライン上に設定データが読み出されると共に、この第1ライン上に読み出された設定データが、上記1の表示パネルドライバ及び他の表示パネルドライバに同時に取り込まれる。従って、メモリから読み出された設定データを、カスケード配線を介して複数の表示パネルドライバの各々に順に中継させて行くものに比して、迅速に設定動作を終了させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明に係る表示パネルドライバとしてのソースドライバ13A、13Bの内部構成を示すブロック図である。
図3】ラッチ番号昇順で画素データの取り込みを行う場合におけるソースドライバ13の内部動作の一例を示すタイムチャートである。
図4】ラッチ番号降順で画素データの取り込みを行う場合におけるソースドライバ13の内部動作の一例を示すタイムチャートである。
図5】設定データ取得制御部130の内部構成を示すブロック図である。
図6】設定データメモリ14からの設定データの取り込み動作を示すタイムチャートである。
図7】ソースドライバ13A、13B及び設定データメモリ14の接続形態を示す図である。
図8】設定データメモリ14に対する設定データの書き込み動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に係る表示パネルドライバを含む表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、かかる表示装置は、表示パネル10、駆動制御部11、走査ドライバ12、ソースドライバ13A、13B及び設定データメモリ14を含む。ソースドライバ13A内には駆動制御部11A及び駆動部15Aが内蔵されており、ソースドライバ13B内には、駆動制御部11B及び駆動部15Bが内蔵されている。尚、図1に示す一例では、走査ドライバ12をソースドライバ13A及び13Bとは別に設けるようにしているが、ソースドライバ13A又は13B内に走査ドライバ12を内蔵させるようにしても良い。
【0019】
表示パネル10は、プラズマディスプレイパネル、液晶パネル、有機ELパネル等からなる2次元画像表示用の表示パネルである。表示パネル10には、夫々が2次元画面の水平方向に伸張するn本(nは2以上の整数)の走査ラインC〜Cと、夫々が2次元画面の垂直方向に伸張する2m本(mは1以上の整数)のソースラインS〜S2mとが設けられており、走査ライン及びソースラインの各交叉部の領域(破線に囲まれた領域)に画素を担う表示セルが形成されている。
【0020】
駆動制御部11A及び11Bは、入力映像信号に応じて走査ラインC〜C各々に走査パルスを順次印加させるべき走査制御信号を生成し、これを走査ドライバ12に供給する。走査ドライバ12は、かかる走査制御信号に応じたタイミングで走査パルスを生成し、これを表示パネル10の走査ラインC〜C各々に順次択一的に印加する。
【0021】
また、駆動制御部11A及び11Bは、入力映像信号に同期したスキャンクロック信号SCLK及びスタートパルス信号ST(後述する)等の各種制御信号を生成してソースドライバ13A及び13B内の駆動部15A及び15Bに供給する。更に、駆動制御部11A及び11Bは、かかる入力映像信号に基づき各画素毎の輝度レベルを表す画素データPDを生成し、これを1表示ライン分(2m個)ずつ、シリアル形態にて駆動部15A及び15Bの各々に供給する。すなわち、駆動制御部11Aは、入力映像信号に基づき1表示ラインの前半に対応した画素データPDの系列からなる画素データPD、PD、PD、・・・、PDを生成し、順次駆動部15Aに供給する。また、駆動制御部11Bは、入力映像信号に基づき1表示ラインの後半に対応した画素データPDの系列からなる画素データPDm+1、PDm+2、PDm+3、・・・、PD2mを生成し、順次駆動部15Bに供給する。
【0022】
尚、夫々が表示パネルドライバとしてのソースドライバ13A及び13Bは、互いに同一の内部構成を有し、夫々異なる半導体ICチップに構築されている。
【0023】
ソースドライバ13Aの駆動部15Aは、上記した画素データPD〜PD2mの内のPD〜PDの各々を順次取り込むm個のラッチ(後述する)を有する。駆動部15Aは、各ラッチに取り込まれた画素データPD〜PDの各々が示す輝度レベルに対応した階調電圧をピーク値とする駆動パルスGP〜GPを生成し、夫々を出力端子D〜Dを介してチップ外部に出力する。ソースドライバ13Aの出力端子D〜Dは、表示パネル10のソースラインS〜Sに夫々接続されている。よって、ソースドライバ13Aにおいて生成された上記駆動パルスGP〜GPは、出力端子D〜Dを介してソースラインS〜Sに印加される。
【0024】
ソースドライバ13Bの駆動部15Bは、上記した画素データPD〜PD2mの内のPDm+1〜PD2mの各々を順次取り込むm個のラッチ(後述する)を有する。駆動部15Bは、各ラッチに取り込まれた画素データPDm+1〜PD2mの各々が示す輝度レベルに対応した階調電圧をピーク値とする駆動パルスGPm+1〜GP2mを生成し、夫々を出力端子D〜Dを介してチップ外部に出力する。ソースドライバ13Bの出力端子D〜Dは、表示パネル10のソースラインSm+1〜S2mに夫々接続されている。よって、ソースドライバ13Bにおいて生成された上記駆動パルスGPm+1〜GP2mは、出力端子D〜Dを介してソースラインSm+1〜S2mに印加される。
【0025】
設定データメモリ14は、例えばEEPROMの如き不揮発性メモリであり、ソースドライバ13A及び13Bの設定、つまりシステムの仕様に合わせた動作を指定する為の設定データとして、先頭ラッチ指定データDL、後尾ラッチ指定データDL及びスキャン方向指定データDSCNが予め記憶されている。尚、先頭ラッチ指定データDLとは、ソースドライバ13A及び13Bに搭載されているデータラッチ部内において、表示ラインの先頭の画素データPDの取り込みを担うべきラッチの番号を示すデータである。また、後尾ラッチ指定データDLとは、かかるデータラッチ部内において、表示ラインの最後尾の画素データPDの取り込みを担うべきラッチの番号を示すデータである。また、スキャン方向指定データDSCNとは、このデータラッチ部内において画素データ片の取り込み対象となるラッチを、ラッチ番号昇順及びラッチ番号降順の内のいずれのスキャン方向で順次択一的に選択して行くのかを指定するデータである。例えば、データラッチ部内においてラッチ番号の昇順に画素データ片を各ラッチに取り込ませる場合には論理レベル0、ラッチ番号の降順に画素データ片を各ラッチに取り込ませる場合には論理レベル1のスキャン方向指定データDSCNを、設定データメモリ14に記憶させておく。
【0026】
設定データメモリ14は、ソースドライバ13A及び13B各々に対応した先頭ラッチ指定データDL、後尾ラッチ指定データDL及びスキャン方向指定データDSCNを、ソースドライバ13Aから供給されたメモリアクセス信号BDAO(後述する)に応じてシリアル形態にて読み出す。この際、設定データメモリ14は、これらDL、DL及びDSCNをシリアル形態で表す設定データ信号BDAIをソースドライバ13A及び13Bに供給する。また、設定データメモリ14は、ソースドライバ13Aから供給されたメモリアクセス信号BDAOに応じて、設定すべき先頭ラッチ指定データDL、後尾ラッチ指定データDL及びスキャン方向指定データDSCN各々の書き込みを行う。
【0027】
図2は、ソースドライバ13A及び13Bの内部構成を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、ソースドライバ13A及び13Bの各々は、設定データ取得制御部130、ラッチ選択カウンタ131、ラッチイネーブル生成部132、データラッチ部133及び駆動パルス出力部134を含む。
【0029】
設定データ取得制御部130は、設定データメモリ14から読み出された設定データ信号BDAIを、ソースドライバ(13A、13B)に設けられている入力端子T1を介して取り込んで保持する。そして、設定データ取得制御部130は、設定データ信号BDAIから、先頭ラッチ指定データDL、後尾ラッチ指定データDL及びスキャン方向指定データDSCNを抽出して読み出し、これらをラッチ選択カウンタ131に供給する。
【0030】
また、設定データ取得制御部130は、ソースドライバ(13A、13B)に設けられている入力端子T0を介して外部から供給されたマスタスレイブ指定信号MSCがマスタ側を示す場合には、電源投入後の所定のタイミングに応じて、設定データメモリ14をアクセスする為のメモリアクセス信号BDAO(後述する)を生成し、これをソースドライバ(13A、13B)に設けられている双方向端子T2を介してチップ外部に出力する。一方、マスタスレイブ指定信号MSCがスレイブ側を示す場合には、設定データ取得制御部130は、メモリアクセス信号BDAOを双方向端子T2を介してチップ外部から取り込む。
【0031】
更に、設定データ取得制御部130は、マスタスレイブ指定信号MSCがマスタ側を示す場合には、電源投入後の所定のタイミングに応じてチップセレクト信号BRST及びクロック信号BCK(後述する)を生成し、これらをソースドライバ(13A、13B)に設けられている双方向端子T3及びT4を介してチップ外部に出力する。一方、かかるマスタスレイブ指定信号MSCがスレイブ側を示す場合には、設定データ取得制御部130は、これらBRST及びBCKを、上記した双方向端子T3及びT4を介してチップ外部から取り込む。
【0032】
ラッチ選択カウンタ131は、アップダウンカウンタ1311及び比較器1312からなる。
【0033】
アップダウンカウンタ1311は、駆動制御部11から供給されたスタートパルス信号STに応じて、先頭ラッチ指定データDLにて示されるラッチ番号をカウント初期値として取り込む。ここで、アップダウンカウンタ1311は、スキャン方向指定データDSCNがラッチ番号の昇順を示す場合にはアップカウンタとして動作し、上記カウント初期値からその値を、スキャンクロック信号SCLKのパルス毎にアップカウントして行く。一方、アップダウンカウンタ1311は、スキャン方向指定データDSCNがラッチ番号の降順を示す場合にはダウンカウンタとして動作し、上記カウント初期値からその値を、スキャンクロック信号SCLKのパルス毎にダウンカウントして行く。この際、アップダウンカウンタ1311は、現在のカウント値をラッチ選択値LSとして比較器1312に供給する。比較器1312は、後尾ラッチ指定データDLにて示されるラッチ番号の値と、ラッチ選択値LSとが等しい場合に限り、カウント値をゼロにリセットさせるリセット信号RSを生成しこれをアップダウンカウンタ1311に供給する。かかるリセット信号RSに応じて、アップダウンカウンタ1311は、現在のカウント値をゼロにリセットしてそのカウント動作を停止する。
【0034】
このように、アップダウンカウンタ1311は、先ず、スタートパルス信号STに応じて、先頭ラッチ指定データDLにて示されるラッチ番号をカウント初期値として取り込む。そして、アップダウンカウンタ1311は、そのカウント初期値を、スキャン方向指定データDSCNに従ってアップカウント又はダウンカウントして得られたカウント値をラッチ選択値LSとして次段のラッチイネーブル生成部132に供給するのである。
【0035】
ラッチイネーブル生成部132は、ラッチ選択値LSに基づき、ラッチイネーブル信号E〜Eの内の1つだけをラッチイネーブルを示す論理レベル1、その他をラッチディスエーブルを示す論理レベル0としたラッチイネーブル信号E〜Eを生成するデコーダからなる。
【0036】
例えば、ラッチイネーブル生成部132は、ラッチ選択値LSがラッチ番号"1"を示す場合には、ラッチイネーブル信号E〜Eの内のEだけを論理レベル1、その他は全て論理レベル0となるラッチイネーブル信号E〜Eを生成する。また、ラッチ選択値LSがラッチ番号"2"を示す場合には、ラッチイネーブル生成部132は、ラッチイネーブル信号E〜Eの内のEだけを論理レベル1、その他は全て論理レベル0となるラッチイネーブル信号E〜Eを生成する。また、ラッチ選択値LSがラッチ番号"3"を示す場合には、ラッチイネーブル生成部132は、ラッチイネーブル信号E〜Eの内のEだけを論理レベル1、その他は全て論理レベル0となるラッチイネーブル信号E〜Eを生成する。また、ラッチ選択値LSがラッチ番号"m"を示す場合には、ラッチイネーブル生成部132は、ラッチイネーブル信号E〜Eの内のEだけを論理レベル1、その他は全て論理レベル0となるラッチイネーブル信号E〜Eを生成する。
【0037】
ラッチイネーブル生成部132は、上記したラッチイネーブル信号E〜Eをデータラッチ部133に供給する。
【0038】
データラッチ部133は、ラッチ番号"1"〜"m"が割り当てられているm個のラッチ133〜133からなり、夫々のイネーブル端子ENに、上記したラッチイネーブル信号E〜Eが夫々供給されている。また、ラッチ133〜133各々のデータ入力端子Iには上記した画素データPDが共通に供給されおり、且つラッチ133〜133各々のクロック入力端子には上記したスキャンクロック信号SCLKが共通に供給されている。この際、ラッチ133〜133の内で、そのイネーブル端子ENに論理レベル1のラッチイネーブル信号Eが供給された1つのラッチ133のみがスキャンクロック信号SCLKに応じて画素データPDを取り込み、これを保持する。
【0039】
かかる構成により、ラッチ133〜133は、駆動制御部11から供給された画素データPDを、ラッチイネーブル生成部132から供給されたラッチイネーブル信号E〜Eに応じて個別に取り込んでこれを保持する。そして、ラッチ133〜133は、夫々に保持された画素データを画素データPPD〜PPDとして駆動パルス出力部134に供給する。
【0040】
駆動パルス出力部134は、画素データPPD〜PPDの各々を個別に、その画素データPPDにて示される輝度レベルに対応したピーク電圧を有する駆動パルスGPに変換し、各画素データPPD〜PPDに対応した駆動パルスGP〜GPの各々を、出力端子D〜Dを介して出力する。
【0041】
以下に、上記したラッチ選択カウンタ131、ラッチイネーブル生成部132、データラッチ部133の動作について説明する。
【0042】
先ず、出力端子D〜D各々に対応したラッチ133〜133に対して、ラッチ番号の昇順、つまり、ラッチ133、133、133、・・・、133m−1、133の順に画素データを取り込ませる場合には、以下の如き先頭ラッチ指定データDL、後尾ラッチ指定データDL及びスキャン方向指定データDSCNを設定データメモリ14に予め書き込んでおく。
【0043】
DL:"1"
DL:"m"
SCN:"0"
すなわち、表示ラインの先頭の画素データ片の取り込みを担うラッチのラッチ番号"1"を示す先頭ラッチ指定データDL、表示ラインの最後尾の画素データ片の取り込みを担うラッチのラッチ番号"m"を示す後尾ラッチ指定データDLを、設定データメモリ14に書き込んでおく。更に、ラッチ番号の昇順に画素データ片の取り込みを行うことを示す論理レベル0のスキャン方向指定データDSCNを設定データメモリ14に書き込んでおく。
【0044】
これにより、アップダウンカウンタ1311は、図3に示す如く、スタートパルス信号STに応じて、カウント初期値として先頭ラッチ指定データDLにて示される値"1"を取り込み、その値をラッチ選択値LSとしてラッチイネーブル生成部132に供給する。ラッチイネーブル生成部132は、このラッチ選択値LSにて示される値"1"に応じて、図3に示すように、先ず、論理レベル1のラッチイネーブル信号Eをラッチ133に供給する。この際、ラッチ133は、画素データPDの値を取り込み、これを画素データPPDとして出力する。ここで、スキャン方向指定データDSCNが"0"であることから、アップダウンカウンタ1311はアップカウンタとして動作する。従って、スキャンクロック信号SCLKの立ち上がりエッジ毎に、アップダウンカウンタ1311のカウント値、つまりラッチ選択値LSが図3に示すように"1"ずつ増加して行く。これにより、ラッチイネーブル生成部132は、ラッチ選択値LSの値に応じて、図3に示す如く、順次択一的に論理レベル1となるラッチイネーブル信号E、E、・・・、Em−1、Eをラッチ133、133、133、・・・、133m−1、133に供給する。この際、ラッチ133〜133の各々は、図3に示す如く夫々に供給されたラッチイネーブル信号E〜Eのタイミングで画素データPDの値を順に取り込み、夫々を画素データPPD〜PPDとして出力する。ここで、アップダウンカウンタ1311のカウント値が、後尾ラッチ指定データDLにて示される値"m"と等しくなると、比較器1312によってリセット信号RSが生成され、アップダウンカウンタ1311のカウント値、つまりラッチ選択値LSが"0"にリセットされる。従って、論理レベル1のラッチイネーブル信号Eがラッチ133に供給された以降、論理レベル1のラッチイネーブル信号Em+1〜Eの生成は為されず、それ故、ラッチ133m+1〜133の取り込み動作も為されない。
【0045】
一方、上記したラッチ133〜133に対して、ラッチ番号の降順、つまり、ラッチ133、133m−1、・・・、133、133、133の順に画素データを取り込ませる場合には、以下の如き先頭ラッチ指定データDL、後尾ラッチ指定データDL及びスキャン方向指定データDSCNを設定データメモリ14に予め書き込んでおく。
【0046】
DL:"m"
DL:"1"
SCN:"1"
すなわち、表示ラインの先頭の画素データ片の取り込みを担うラッチのラッチ番号"m"を示す先頭ラッチ指定データDL、表示ラインの最後尾の画素データ片の取り込みを担うラッチのラッチ番号"1"を示す後尾ラッチ指定データDLを、設定データメモリ14に書き込んでおく。更に、ラッチ番号の降順に画素データ片の取り込みを行うことを示す論理レベル1のスキャン方向指定データDSCNを設定データメモリ14に書き込んでおく。
【0047】
これにより、アップダウンカウンタ1311は、図4に示す如く、スタートパルス信号STに応じて、カウント初期値として先頭ラッチ指定データDLにて示される値"m"を取り込み、その値をラッチ選択値LSとしてラッチイネーブル生成部132に供給する。ラッチイネーブル生成部132は、このラッチ選択値LSにて示される値"m"に応じて、図4に示すように、先ず、論理レベル1のラッチイネーブル信号Eをラッチ133に供給する。この際、ラッチ133は、画素データPDの値を取り込み、これを画素データPPDとして出力する。ここで、スキャン方向指定データDSCNが"1"であることから、アップダウンカウンタ1311はダウンカウンタとして動作する。従って、スキャンクロック信号SCLKの立ち上がりエッジ毎に、アップダウンカウンタ1311のカウント値、つまりラッチ選択値LSが図4に示すように"1"ずつ減少して行く。これにより、ラッチイネーブル生成部132は、ラッチ選択値LSの値に応じて、図4に示す如く、順次択一的に論理レベル1となるラッチイネーブル信号E、Em−1、・・・、E、Eを、ラッチ133、133m−1、・・・、133、133に供給する。この際、133m−1〜133の各々は、図4に示す如く夫々に供給されたラッチイネーブル信号Em−1〜Eのタイミングで画素データPDの値を順に取り込み、夫々を画素データPPDm−1〜PPDとして出力する。ここで、アップダウンカウンタ1311のカウント値が、後尾ラッチ指定データDLにて示される値"1"と等しくなると、比較器1312によってリセット信号RSが生成され、アップダウンカウンタ1311のカウント値、つまりラッチ選択値LSが"0"にリセットされる。
【0048】
このように、データラッチ部133は、設定データメモリ14に記憶されている設定データ(DL、DL、DSCN)によって設定された画素データのスキャン方向に沿って、先頭ラッチから後尾ラッチに向けて順次画素データPDの取込を行う。
【0049】
次に、設定データ取得制御部130による、設定データメモリ14からの設定データ(DL、DL及びDSCN)の取り込み動作について説明する。
【0050】
図5は、設定データ取得制御部130の内部構成を示すブロック図である。
【0051】
図5に示すように、設定データ取得制御部130は、チップセレクト生成回路1301、クロック生成回路1302、取込制御回路1303、データレジスタ1304及びメモリ制御回路1305を含む。
【0052】
チップセレクト生成回路1301は、マスタスレイブ指定信号MSCがマスタ側を示す論理レベル1である場合には、電源投入後の所定のタイミング、つまり図6に示す如き設定開始のタイミングに応じて期間IPの間だけ論理レベル0の状態となるチップセレクト信号BRSTを生成し、これをラインLa及び双方向端子T4を介してチップ外部に出力する。更に、チップセレクト生成回路1301は、かかるチップセレクト信号BRSTを、ラインLaを介してクロック生成回路1302、取込制御回路1303、及びメモリ制御回路1305の各々にも供給する。尚、チップセレクト生成回路1301は、マスタスレイブ指定信号MSCがスレイブ側を示す論理レベル0である場合には、上記したチップセレクト信号BRSTの生成動作を行わず、この間、ラインLa及び双方向端子T4を入力端子として動作させる状態に設定する。
【0053】
クロック生成回路1302は、マスタスレイブ指定信号MSCがマスタ側を示す論理レベル1である場合に限り、ラインLaを介して供給されたチップセレクト信号BRSTが論理レベル0の状態にある間に亘り、図6に示す如き32個分のクロックパルスを含むクロック信号BCKを生成し、これをラインLb及び双方向端子T3を介してチップ外部に出力する。更に、クロック生成回路1302は、かかるクロック信号BCKを、ラインLbを介して取込制御回路1303、データレジスタ1304及びメモリ制御回路1305の各々にも供給する。尚、クロック生成回路1302は、マスタスレイブ指定信号MSCがスレイブ側を示す論理レベル0である場合には、上記クロック信号BCKの生成動作は行わず、この間、ラインLb及び双方向端子T3を入力端子として動作させる状態に設定する。
【0054】
取込制御回路1303は、チップセレクト信号BRSTが論理レベル1から論理レベル0の状態に遷移すると、先ず、メモリアクセス信号BDAO中に含まれるオペレーションコードC〜C(後述する)が読出命令を示すか否かを判定する。ここで、取込制御回路1303は、オペレーションコードが読出命令を示す場合にだけ、図6に示す如く、クロック信号BCKによるクロックパルス数が24個に到ったタイミングで論理レベル0から論理レベル1の状態に遷移し、且つ8クロックパルス分の周期だけその状態を維持する取込イネーブル信号ENをデータレジスタ1304に供給する。一方、上記オペレーションコードC〜Cが読出命令を示していないと判定された場合、取込制御回路1303は、論理レベル0の状態を維持する取込イネーブル信号ENをデータレジスタ1304に供給する。ただし、チップセレクト信号BRSTが論理レベル1から論理レベル0の状態に遷移した場合の動作として、読出命令であると固定して使用する場合には、メモリアクセス信号BDAOを入力しない状態でチップセレクト信号BRSTの論理レベル0の状態を検知することで、取込イネーブル信号ENを生成させることも可能である。
【0055】
データレジスタ1304は、取込イネーブル信号ENが論理レベル1の状態にある間に亘り、設定データメモリ14から読み出されたシリアル形態の設定データ信号BDAIを入力端子T1及びラインL1を介して受け、これをクロック信号BCKに同期させて順次取り込む。そして、データレジスタ1304は、取り込んだ設定データ信号BDAIに含まれる先頭ラッチ指定データDL、後尾ラッチ指定データDL及びスキャン方向指定データDSCNを、ラッチ選択カウンタ131に供給する。なお、前述した如き電源投入後の所定のタイミング、つまり設定データメモリ14に格納されている設定データ(DL、DL、DSCN)をデータレジスタ1304へ反映させる設定動作の実行機会は、例えば、電源立ち上げ後の所定期間内での少なくとも1回である。また、電源立ち上げ後、かかる設定動作を定期的(例えば1秒に一度)に繰り返し実行するようにしても良い。尚、いずれの設定動作においても、電源立ち上げ後の電源が安定状態に到った後に実施するのが望ましい。
【0056】
メモリ制御回路1305は、マスタスレイブ指定信号MSCがマスタ側を示す論理レベル1である場合に、チップセレクト信号BRSTが論理レベル1から論理レベル0の状態に遷移すると、図6に示すように、先ず、読出命令を8ビットシリアルで表すオペレーションコードC〜Cを含むメモリアクセス信号BDAOをラインL2上に送出する。引き続き、メモリ制御回路1305は、設定データ(DL、DL、DSCN)が記憶されている設定データメモリ14内の番地を16ビットシリアルで表すアドレスデータA〜A16を含むメモリアクセス信号BDAOをラインL2上に送出する。メモリ制御回路1305は、かかるメモリアクセス信号BDAOをラインL2を介して取込制御回路1303に供給しつつ、これを双方向端子T2を介してチップ外部に出力する。尚、メモリ制御回路1305は、マスタスレイブ指定信号MSCがスレイブ側を示す論理レベル0である場合には、メモリアクセス信号BDAOの送出動作を行わず、この間、ラインL2及び双方向端子T2を入力端子として動作させる状態に設定する。
【0057】
図7は、ソースドライバ13A及び13B各々内に設けられている設定データ取得制御部130を抜粋して、設定データ取得制御部130各々と設定データメモリ14との接続形態を示す図である。
【0058】
図7に示す一例では、ソースドライバ13Aの設定データ取得制御部130としての130aには、マスタ側を示す論理レベル1のマスタスレイブ指定信号MSCが供給されており、ソースドライバ13Bの設定データ取得制御部130としての130bには、スレイブ側を示す論理レベル0のマスタスレイブ指定信号MSCが供給されている。すなわち、ソースドライバ13Aが設定データ取り込みの為のマスタドライバ、ソースドライバ13Bがスレイブドライバとなる。これにより、設定データ取得制御部130a及び130bの内の130aのチップセレクト生成回路1301、クロック生成回路1302及びメモリ制御回路1305が上述した如き動作を実行する一方、130bのチップセレクト生成回路1301、クロック生成回路1302及びメモリ制御回路1305は動作停止状態となる。
【0059】
また、図7に示すように、ソースドライバ13A及び13B各々における、設定データ信号BDAIの入力を担う入力端子T1は共にラインLL1によって設定データメモリ14のシリアル出力端子SOに接続されている。また、ソースドライバ13A及び13B各々における、上記したメモリアクセス信号BDAOの入出力を担う双方向端子T2は共にラインLL2によって設定データメモリ14のシリアル入力端子SIに接続されている。また、ソースドライバ13A及び13B各々における、上記したクロック信号BCKの入出力を担う双方向端子T3は共にラインLL3によって設定データメモリ14のクロック端子CKに接続されている。更に、ソースドライバ13A及び13B各々における、チップセレクト信号BRSTの入出力を担う双方向端子T4は共にラインLL4によって設定データメモリ14のチップセレクト端子CSに接続されている。
【0060】
ここで、設定データメモリ14のデータをデータレジスタ1304へ反映させる処理を開始するにあたり、ソースドライバ13Aの設定データ取得制御部130aが、図6に示す如きチップセレクト信号BRST及びクロック信号BCKを、ソースドライバ13Bの設定データ取得制御部130b及び設定データメモリ14に供給する。更に、設定データ取得制御部130aは、図6に示す如き、読出命令を示すオペレーションコードC〜C及びアドレスデータA〜A16を含むメモリアクセス信号BDAOを、ソースドライバ13Bの設定データ取得制御部130b及び設定データメモリ14に供給する。これにより、設定データメモリ14は、アドレスデータA〜A16によって示される番地に記憶されている設定データ(DL、DL、DSCN)を読み出す。そして、設定データメモリ14は、かかる設定データ(DL、DL、DSCN)をシリアル形態で表す図6に示す如きデータDA〜DAからなる設定データ信号BDAIを、ソースドライバ13A及び13Bの設定データ取得制御部130a及び130bに供給する。
【0061】
尚、この間、設定データ取得制御部130aで生成されたチップセレクト信号BRSTは、自身の取込制御回路1303に供給されると共に、ソースドライバ13Bの双方向端子T4及びラインLaを介して設定データ取得制御部130bの取込制御回路1303に供給される。更に、設定データ取得制御部130aが生成したクロック信号BCKは、自身の取込制御回路1303に供給されると共に、ソースドライバ13Bの双方向端子T3を介して設定データ取得制御部130bの取込制御回路1303に供給される。
【0062】
これにより、設定データ取得制御部130a及び130b各々の取込制御回路1303は、図6に示す如き論理レベル1の取込イネーブル信号ENをデータレジスタ1304に供給する。かかる取込イネーブル信号ENに応じて、設定データ取得制御部130a及び130b各々のデータレジスタ1304は、図6に示す如く設定データメモリ14から読み出された設定データ信号BDAIを取り込んでこれを記憶する。すなわち、設定データ信号BDAIによって表される先頭ラッチ指定データDL、後尾ラッチ指定データDL及びスキャン方向指定データDSCNが、設定データ取得制御部130a及び130b各々のデータレジスタ1304に同時に取り込まれるのである。
【0063】
従って、設定データメモリ14に格納されている設定データ(DL、DL、DSCN)がソースドライバ13A及び13B各々のデータレジスタ1304に同時に保持され、かかる設定データに従った設定が為される。この際、電源投入後の最初の設定は、初期設定としての設定データがデータレジスタ1304に取り込まれる。
【0064】
尚、設定データ取得制御部130aのメモリ制御回路1305は、上述した如き、設定データメモリ14から設定データ(DL、DL、DSCN)を読み出すべき読出制御の他に、設定データメモリ14に対して設定データを書き込ませるべき書込制御を行うことも可能である。
【0065】
ここで、設定データを設定データメモリ14に書き込む場合、設定データ取得制御部130aのチップセレクト生成回路1301及びクロック生成回路1302は、図8に示す如きチップセレクト信号BRST及びクロック信号BCKを生成し、これらを設定データ取得制御部130b及び設定データメモリ14に供給する。更に、設定データ取得制御部130aのメモリ制御回路1305は、図8に示す如き、書込命令を示すオペレーションコードC〜C、書込番地を示すアドレスデータA〜A16、書込用の設定データ(DL、DL、DSCN)を表すデータDB〜DBを含むメモリアクセス信号BDAOを、設定データメモリ14及びソースドライバ13Bに供給する。かかるメモリアクセス信号BDAOに応じて、設定データメモリ14は、上記したアドレスデータA〜A16に示される番地に、書込用の設定デーダ(DL、DL、DSCN)を表すデータDB〜DBを書き込む。
【0066】
この際、かかるメモリアクセス信号BDAOは、ラインL2を介して設定データ取得制御部130aの取込制御回路1303に供給されると共に、双方向端子T2を介して設定データ取得制御部130bの取込制御回路1303にも供給される。よって、取込制御回路1303は、図8に示す如きチップセレクト信号BRST及びクロック信号BCKが供給されているものの、メモリアクセス信号BDAOに含まれるオペレーションコードC〜Cが書込命令であることから、書込ディスエーブルを示す論理レベル0の取込イネーブル信号ENをデータレジスタ1304に供給する。これにより、設定データメモリ14に対するデータ書込時において、設定データ取得制御部130a及び130b各々のデータレジスタ1304が、誤ってデータの取り込みを行ってしまうという誤動作が防止される。ただし、設定データをスレイブドライバへ即座に反映させたい場合などは、設定データ取得制御部130bの取込制御回路1303が、読出と書込双方で取込イネーブル信号ENを論理レベル1の状態に遷移させることも可能である。
【0067】
尚、上記実施例では、表示パネル10に形成されている複数のソースラインSを2つのライン群(S〜S、Sm+1〜S2m)に分け、各ライン群を2つのソースドライバ(13A、13B)で駆動するようにしているが、ソースドライバ13の数は2つに限定されるものではなく、3つ以上であっても構わない。この際、t個(tは2以上の整数)のソースドライバの内の1つをマスタドライバ、他のソースドライバを全てスレイブドライバに設定すべく、夫々に対応したマスタスレイブ指定信号MSCを予め各ソースドライバに供給しておく。
【0068】
要するに、本発明に係る表示パネルドライバの設定方法は、複数の表示パネルドライバ(13A、13B)を仕様に合わせた状態に設定するにあたり、その仕様に基づく設定データ(DL、DL、DSCN)をメモリ(14)に記憶しておく。この際、複数の表示パネルドライバの内の1の表示パネルドライバ(13A)は、この設定データが読み出し状態となったことを示す第1信号(メモリアクセス信号BDAO又はチップセレクト信号BRST)を、メモリと共に他の表示パネルドライバ(13B)に供給する。かかる第1信号(BDAO、BRST)に応じて、メモリは、設定データを第1ライン(LL1)に読み出す。この際、上記1の表示パネルドライバ(13A)は、この第1ライン上に読み出された設定データを取り込み(1303、1304)、当該設定データに基づく設定を行う。一方、他の表示パネルドライバ(13B)は、上記1の表示パネルドライバ(13A)から供給された第1信号(BDAO、BRST)に応じて、第1ライン上から設定データを取り込み(1303、1304)、当該設定データに基づく設定を行う。
【0069】
また、本発明に係る表示パネルドライバは、メモリ(14)に記憶されている設定データ(DL、DL、DSCN)が読み出し状態となったことを示す第1信号(BDAO、BRST)を、双方向端子(T2)を介して出力するメモリ制御回路(1305)と、この第1信号又は双方向端子(T2)を介して外部から入力された第1信号に応じて取込イネーブル信号(EN)を生成する取込制御回路(1303)と、メモリ(14)から読み出された設定データを上記取込イネーブル信号に応じて取り込むレジスタ(1304)と、を有する。
【0070】
また、本発明に係る表示装置は、映像信号に応じた画像を表示する表示パネル(10)と、表示パネルを駆動する複数の表示パネルドライバ(13A、13B)と、設定データ(DL、DL、DSCN)が記憶されているメモリ(14)と、を有する。尚、表示パネルドライバの各々は、上記したメモリ制御回路(1305)と、取込制御回路(1303)と、レジスタ(1304)と、を有する。この際、メモリ(14)の出力端子(SO)が第1ライン(LL1)によって表示パネルドライバ各々の入力端子(T1)に接続されており、表示パネルドライバ各々の双方向端子(T2)及びメモリが第2ライン(LL2)によって接続されている。
【0071】
よって、上記構成によれば、1の表示パネルドライバ(13A)から発せられた第1信号(BDAO、BRST)に応じて、メモリ(14)から設定データ(DL、DL、DSCN)が第1ライン(LL1)に読み出されると共に、上記1の表示パネルドライバ(13A)及び他の表示パネルドライバ(13B)が、この第1ライン上に読み出された設定データを同時に取り込むことになる。
【0072】
従って、本発明によれば、メモリから読み出された設定データを、カスケード配線を介して直列に接続されている表示パネルドライバ各々に順に中継供給するものに比して、迅速に設定動作を終了させることが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
13A、13B ソースドライバ
14 設定データメモリ
130 設定データ取得制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8