特許第6617214号(P6617214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6617214
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】プラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20191202BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20191202BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20191202BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20191202BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20191202BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
   H01L21/205
   H01L21/31 C
   H01L21/68 R
   H05B3/00 370
   H05H1/46 C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-21153(P2019-21153)
(22)【出願日】2019年2月8日
(62)【分割の表示】特願2018-2310(P2018-2310)の分割
【原出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2019-110312(P2019-110312A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】楠本 広則
(72)【発明者】
【氏名】大本 豊
(72)【発明者】
【氏名】中本 和則
(72)【発明者】
【氏名】永井 宏治
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−225941(JP,A)
【文献】 特開2008−177285(JP,A)
【文献】 特開2003−051433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/683
H05B 3/00
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内部の処理室内に配置された試料台上にウエハを載置して前記処理室内に形成したプラズマを用いて前記ウエハを処理するプラズマ処理方法であって、
前記試料台が、円筒形状を有し、その内部に中心から外周側へ向かう径方向および前記中心周りの周方向について分けられた複数の領域内に配置された複数のヒータを備え、
前記中心から同じ半径上の前記周方向の複数の領域内に配置された前記複数のヒータが直流電源に対して直列に配置されて回路を構成するものであって、
前記直流電源から前記回路に供給される電力を一定となるように調節して当該回路の直列に配置された前記複数のヒータの各々に流れる電流の量を調節して前記複数のヒータ各々の発熱量を調節しつつ前記ウエハを処理するプラズマ処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理方法であって、
前記直列に配置された複数のヒータの各々並列に接続されて前記回路を構成する調節器の動作を調節して当該並列に接続された前記各々のヒータに流れる電流を調節しこれらのヒータ各々の発熱量を調節するプラズマ処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプラズマ処理方法であって、
前記調節器は前記試料台の内部またはその直下方に配置され、前記回路が前記ヒータの各々および前記調節器と前記直流電源との間であって前記真空容器の外部に配置されたフィルターを備えたプラズマ処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載のプラズマ処理方法であって、
前記ウエハの処理中に前記試料台内部に配置された導体製の電極に電気的に接続された高周波電源から高周波電力が供給されて前記ウエハの上方にバイアス電位が形成されるものであって、前記調節器の前記高周波電力に対するインピーダンスが前記回路の前記ヒータと前記直流電源との間のインピーダンスより著しく小さくされたプラズマ処理方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のプラズマ処理方法であって、
前記試料台の径方向について分けられた複数の領域の各々に配置された前記複数のヒータの各々の組に電気的に接続された複数の直流電源の各々から前記複数のヒータの組の各々が構成する前記回路の各々に供給される電力を一定となるように調節してこれら複数のヒータ各々の発熱量を調節して前記ウエハを処理するプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器内の処理室内に配置されたウエハをこの処理室内に発生させたプラズマを用いて処理するプラズマ処理方法に係り、特に、当該処理室内に配置されウエハが載せられる試料台の温度を調節しつつ処理するプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなプラズマ処理装置においては、従来より、半導体ウエハ等の基板状の試料の表面に形成された膜が複数積層されている所謂多層膜をエッチング処理する時間を短縮するために、上下に隣り合う膜を同一の処理室内部で且つこれらの膜の各々の処理の間に処理室外にウエハを取り出すことなく処理することが考えられてきた。また、このような装置では、より微細な加工を高い精度で行うことが求められており、これを実現する為には、処理対象の膜をエッチング等の加工処理した結果の形状のウエハの面方向(径方向、周方向)について均一性を高くすることが必要となる。このため処理対象の膜の処理中に、ウエハがその上面に配置された載置面上にウエハが載せられた試料台ひいてはウエハの温度を当該処理に適切な値となるように調節することが行われてきた。
【0003】
このような温度の調節する技術としては、たとえば特許文献1に開示されるように、ウエハが載せられる面を構成する試料載置台の上部をセラミック製の円板状の部材及びこれに接続されて下方に配置された加熱器を配置し、加熱器の発熱量を調節して、セラミック製の円板及びその上面に載せられるウエハの温度を加工するのに適したものにするものが知られている。特に、特許文献1では、円板形状のセラミック基板の表面または内部に抵抗発熱体が形成されてなるセラミックヒータであって、前述セラミック基板の外周部分には、円周方向に分割された少なくとも2以上の回路からなる抵抗発熱体が形成されるとともに、外周部分に配置された上記抵抗発熱体も内側に、別の回路からなる抵抗発熱体が形成されているものが開示されている。
【0004】
この従来技術において、抵抗発熱体であるヒータには金属や耐熱性の樹脂内に導電性材料や半導体材料を混入して形成した材料が用いられ、試料台の内部に配置された貫通孔の内部に配置されたコネクタにより電力が供給される。また、試料台の中心側と外周側との2つの領域の各々にヒータが配置されて、これらに異なる大きさの電力が供給されるようにヒータ各々が異なるコネクタを介して電源と接続されている。上記従来技術は、このような構成により、試料台及びその上方に載せられるウエハの温度を中心側部分と外周側部分とで発熱量を独立して所望の値にすることで、ウエハの中心から外周に向かう(円板形状のウエハの半径)方向に変化する温度の値の分布を得られるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−231421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術においては、以下の点について十分に考慮されておらず問題が生じていた。
【0007】
すなわち、近年は、半導体デバイスの加工寸法の微細化と高精度化との要求に対して、半導体デバイスの製造工程におけるウエハの周方向、特にウエハの最外周縁部分における温度の不均一による膜の処理結果のウエハの面方向についての加工結果のばらつきが増大していることが問題となっている。特に、ウエハ径の更なる大型化に伴って、ウエハ外周長が長くなることにより試料台の載置面上にウエハが載せられた状態で載置面の外周縁より外側にオーバーハングして試料台とは接しておらず試料台による温度調節が不十分となるウエハの外周縁部(エッジゾーン)は、相対的に高い温度で処理がされる場合にウエハ周方向についてその冷却(熱伝達)のばらつき或いはプラズマからの入熱量のばらつきにより外周部の周方向への温度のばらつきが大きくなることが問題となっていた。
【0008】
このような問題に対して、上記ヒータを周方向に複数に分割された領域毎に配置して、各々の領域内のヒータを、上記従来技術の径方向に分割された領域毎に配置された複数のヒータの発熱量の制御と同様に、周方向の複数領域の各々内に配置された複数ヒータに供給される電流を制御することで、入熱量や熱伝達量のばらつき、ウエハの温度のばらつきを補正することが考えられる。しかしながら、このような構成においては、処理室内に形成したプラズマを用いてウエハを処理する際に試料台に高周波電力によるバイアス電位を形成する場合に、給電線の静電容量の増加によって高周波電力の漏洩量が増加してしまい、ウエハのエッチング速度(処理レート)が不均一となってしまったり、半導体デバイスとなる膜構造へ静電ダメージが発生してしまい歩留まりが低下してしまったりという問題が生起することについて、上記従来技術では考慮されていなかった。
【0009】
本発明の目的は、処理対象のウエハの周方向の温度のばらつきを低減して高い精度の処理を実現するプラズマ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、真空容器内部の処理室内に配置された試料台上にウエハを載置して前記処理室内に形成したプラズマを用いて前記ウエハを処理するプラズマ処理方法であって、前記試料台が、円筒形状を有し、その内部に中心から外周側へ向かう径方向および前記中心周りの周方向について分けられた複数の領域内に配置された複数のヒータを備え、前記中心から同じ半径上の前記周方向の複数の領域内に配置された前記複数のヒータが直流電源に対して直列に配置されて回路を構成するものであって、前記直流電源から前記回路に供給される電力を一定となるように調節して当該回路の直列に配置された前記複数のヒータの各々に流れる電流の量を調節して前記複数のヒータ各々の発熱量を調節しつつ前記ウエハを処理することにより達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
図2図1に示す実施例の試料台の構成を拡大して示す縦断面図である。
図3図1に示す実施例の試料台の構成を拡大して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を用いながら本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例を図1乃至3を用いて説明する。図1は、本発明の実施例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。本実施例のプラズマ処理装置は、マイクロ波によるECR(Electron Cyclotron Resonance)を用いてプラズマ(マイクロ波ECRプラズマ)を形成するエッチング処理装置を示している。
【0014】
プラズマ処理装置100は、大きく分けて、内部に円筒形状のプラズマ処理用の処理室103を有する真空容器101とその上方に配置された電界および磁界の供給手段を備えたプラズマ形成部、および真空容器101の下方に配置され処理室103内からのガスや粒子を排気する真空ポンプを有し処理室103内部を減圧された所定の真空度の圧力に調節する排気部とを備えている。さらに、プラズマ処理装置100はこれを構成する部分各々の動作を検知した結果を受信し当該動作を調節するための指令信号を発信するコントローラ112を含む制御部を有している。
【0015】
真空容器101の上部は円形の開口部を有しこの開口は円板形状の例えば石英製の誘電体窓114により覆われて、真空容器101の開口を構成する上端部と誘電体窓114の外周縁部との間でシール部材が挟まれて処理室103内と外部の大気圧の雰囲気との間が気密に封止される。誘電体窓114の下側の処理室内にはプラズマ処理に用いられるエッチング用のガスが通流する複数の貫通孔を備えた誘電体製(例えば石英製)の円形のシャワープレート115が配置されている。
【0016】
シャワープレート115と誘電体窓114との間にはこれらに挟まれた空間によりガスの供給路が形成され、ガス源とこれからのガスの流量、速度を調節する調節器とを備えたガス供給装置(図示省略)が連結されている。シャワープレート115の下面は処理室の天井面を構成し、円筒形の処理室103内でその上下方向の軸同士を一致させて配置された円筒または円板形を有した試料台107の円形の上面と対向して配置されている。
【0017】
真空容器101下方には排気部が真空容器101下面と連結されて配置され、これを構成するターボ分子ポンプ等の真空排気装置102は、試料台107の下方の処理室103の下部に配置された開口である真空排気口を介して処理室103内部と連通されている。また、図示していないが、真空排気装置102と真空排気口との間には複数枚の板形状を有し真空排気口を横切る方向に延在する軸の周りに回転するフラップを有し、当該フラップの回転によって真空排気口の開口の度合、例えば開口の面積が増減されて当該排気口から流出する処理室103内部からのガスや粒子の流量や速度が増減する。本実施例では、コントローラ112からの指令信号に応じて上記開口の度合の増減とシャワープレート115の複数の貫通孔からの処理用ガスの供給の流量、速度の増減とが調節され、これらのバランスにより処理室103内部の圧力が所望の範囲内に調節される。
【0018】
真空容器101の上方に配置されたプラズマ形成部は、誘電体窓114の上方でこれと連結されて配置された断面が円形および矩形を有する導波管105を備えている。導波管105の一方の端部である下端部は下方の処理室103または誘電体窓114に対して開放された開口を有し、上端部である他端部にはマイクロ波の電界を発振するマグネトロン104が配置されている。マイクロ波の周波数は特に限定されないが、本実施例では2.45GHzが使用される。
【0019】
導波管105の断面が矩形である部分は、図上左右方向である水平方向にその軸が延在する管路であり、片方の端部のマグネトロン104で発信されて形成されたマイクロ波の電界は水平方向に伝播して軸に沿ってもう片方の端部に向けて進行する。断面が矩形部はもう片方の端部において中心の軸が上下方向に延びる断面が円形の円筒部と連結され、マイクロ波の電界は円筒部内部を伝播して下方の誘電体窓114あるいは処理室103内部に向けて進行する。
【0020】
真空容器101の外周部には、処理室103内部に磁界を供給する磁場発生コイル113が処理室103の上方および側方の周囲を囲み配置されている。磁場発生コイル113の磁場強度は、マグネトロン104で発振された2.45GHzの電界に合わせて処理室103内に効率的にプラズマを形成できるように調節されている。
【0021】
導波管105の円筒部の下端部は、その径が円筒部より大きくされて処理室103の径に合わせられた円筒形の拡大導波管部106の上部に接続されている。円筒部を伝播して拡大導波管部106内に進入した電界はその内部で所定の電界モードで共振された後、当該モードの電界が誘電体窓114及びシャワープレート115を透過して処理室103内部のシャワープレート115および試料台107上部の載置面との間に形成されたプラズマ形成用の空間内に導入される。
【0022】
処理室103に導入されたマイクロ波の電界は、磁場発生コイル113による磁場との相互作用よって、シャワープレート115を介して処理室103に供給されたエッチング用ガスを励起して処理室103にプラズマを生成させる。処理室103内のシャワープレート115の下方に処理室103を形成するよう間隔をあけて配置された試料台107は、その上面を構成し溶射によって形成された誘電体材料の皮膜(図示省略)が試料台107の基材の上部に配置され、この皮膜が処理対象の基板であるウエハ116の円形の載置面を構成する。
【0023】
試料台107の金属製の基材には、マッチング回路117を介して高周波電力を印加してウエハ116上方にバイアス電位を形成するためバイアス電源108が電気的に接続されている。本実施例では、バイアス電源108から供給される高周波バイアス電力は、数百Hz〜50MHz程度の範囲、より好ましくは400Hz〜40MHzの範囲の周波数を有している。尚、バイアス電源108はアースと電気的に接続されて接地されている。
【0024】
バイアス電源108が印加される基材は試料台107内部に配置された電極であって、円板または円筒形状を有している。その下面とバイアス電源108との間を電気的に接続して電力が供給される給電経路上にマッチング回路117が試料台107の真空容器101の外側に配置されている。後述のようにバイアス電源108およびマッチング回路117は、制御装置112と通信手段を解して通信可能に接続され、制御装置112からの指令信号を受信してその動作を指令信号に応じて調節されると共にその動作の状態を検知した結果の信号を制御装置112に送信する。
【0025】
図示を省略しているが、上記誘電体製の皮膜内にはタングステン等の金属の導電体材料から構成された膜状の静電吸着用の電極が配置されている。静電吸着用の電極には高周波フィルター回路(図示省略)を介して静電吸着用直流電源110が電気的に接続されて、ウエハ116が皮膜上に載せられた状態でこの電源からの電力が電極に供給されて皮膜およびウエハ116内に形成された電荷の分極により生じる静電気力を用いてウエハ116が皮膜上面に吸着されて試料台107上に保持される。
【0026】
皮膜の内部において静電吸着用の電極の下方には、膜状のヒータ電極が複数個配置されている。これらのヒータ電極はヒータ電極用直流電源109と接続されている。なお、ヒータ電極用直流電源109は、この場合、試料台107内に設けられるヒータ電極の個数と同じ数が配置されて各々対応するものに電気的に接続されている。
【0027】
ヒータ電極はこれに直流電力を供給するヒータ用直流電源109との間にの給電用の経路上に、バイアス電源108からの高周波電力がヒータ電極に印加されて発熱量に所期のものからずれてしまう等の悪影響を抑制するためにフィルター118が配置されている。本実施例では、フィルター118は真空容器101または処理室103の外側に配置されており、高周波電力に対するインピーダンスを高くされている。
【0028】
金属製の基材の内部であって皮膜の下方には、内部を後述する温調器(温度調整器)111により所定の範囲の温度にされた熱交換媒体(本実施例では基本的に基材を冷却するので冷媒)が通流する冷媒流路(図示省略)が、円板または円筒形の基材の中心の周りにら旋あるいは同心の多重の円弧状に配置されている。冷媒流路はその入口および出口が温調器111と連結された冷媒管と基材の下面で接続されている。
【0029】
このような構成のプラズマ処理装置100において、処理対象のウエハ116は、真空容器101の側壁と連結され内部が処理室103と同じ程度の真空度まで減圧された搬送容器から上記真空容器101の側壁上に配置された開口であるゲート(図示せず)を通してロボットアーム等の搬送手段に載せられて処理室103内に搬送され、試料台107上でこれに受け渡され皮膜上に載せられる。ゲートは、搬送容器内部に配置され上下方向に移動するゲートバルブにより開口が開放および気密に閉塞される。
【0030】
ウエハ116が試料台107に受け渡されるとロボットアームは処理室103から搬送容器内に退出してゲートバルブによりゲートが気密に閉塞される。この後、皮膜内の静電吸着用の電極に電力が印加されてウエハ116が皮膜上に静電吸着されて保持されると、処理室103内は処理用のガスが導入されるとともに内部の圧力が処理に適した所定の値に調節され、
処理室内に電界および磁界が供給された結果処理ガスが励起されてプラズマが形成される。
【0031】
試料台107の基材内部の電極、或いは基材に高周波電力がバイアス電源108から供給された結果、ウエハ116上方にプラズマとの間に所定の電位差を有するバイアス電位が形成されてウエハ116上の膜構造のプラズマを用いた処理、本実施例ではエッチング処理が開始される、特に、プラズマ中の荷電粒子がバイアス電位とプラズマの電位との間の電位差に応じてウエハ116の表面に誘引され衝突することで、ウエハ116上の膜構造の処理対象の膜の異方性処理が促進される。
【0032】
処理時間やプラズマの発光、ウエハ116または試料台の電位等の検出結果から所定の処理が終了したことがコントローラ112を含む制御部により検出されると、バイアス電源108からのバイアス用の高周波電力が停止され、さらいプラズマが消火されて処理が終了する。ウエハ116の静電吸着用直流電源109からの電力が停止または複数の静電吸着用電極への極性を逆にして電荷を中和させる除電の工程が行われた後、図示しないプッシャピン等の持ち上げ用の手段によりウエハ116が試料台107上方に持ち上げられる。
【0033】
ゲートバルブが開放されてゲートを通してロボットアームがそのアームを伸張させて処理室103内に進入してウエハ116をその先端部のハンド等保持部に受け取った後、アームを収縮させてウエハ116を処理室103外に搬出する。この後、ゲートを開放したままロボットアームは別の処理が終了していない別のウエハ116を処理室103内に搬入することもある。処理室103内でのウエハ116の処理が終了したと制御部が判定すると、別のウエハ116が搬入されるまで、ゲートバルブはゲートを気密に閉塞した状態を維持するように制御部が指令する。
【0034】
図2及び図3によりに試料台107の詳細構造を示す。図2は、図1に示す実施例の試料台の構成を拡大して示す縦断面図である。図3は、図1に示す実施例の試料台の構成を拡大して示す横断面図である。特に図3は、試料台107の基材上面を被覆する皮膜を、上下方向についてその内部のヒータ電極の高さの位置での水平方向の断面を模式的に示している。
【0035】
本実施例において、バイアス電源108が電気的に接続された試料台107の基材210上面にはこれを覆う誘電体製の皮膜である誘電体膜211が配置されている。ウエハ116がその上に載せられて吸着保持される誘電体膜211の上面の下方には複数の静電吸着用電極201が配置されている。さらに、誘電体膜211内の静電吸着用電極201の下方には温度調整用の内側ヒータ202、中間ヒータ203、外側ヒータ204が配置されている。
【0036】
内側ヒータ202、中間ヒータ203、外側ヒータ203は、後述のように、円形またはこれと見倣せる程度に近似した形状を有するウエハ116の形状に合わせて円形または略円形の上面を有する誘電体膜211の円形の中央部とこれを囲んでリング上に配置された外周側部とこれらの間の中間部との各々の領域内に配置されている。内側ヒータ202、中間ヒータ203、外側ヒータ203各々は、個々用のヒータ用直流電源109と電気的に接続されて電力が供給されており、各々と電気的に接続された給電用に内側ヒータケーブル205、中間ヒータケーブル206、外側ヒータケーブル207が金属製の円板形状を有した基材210の下面から下方に引き出されている。
【0037】
また、本実施例においては、外周側部の領域内に配置された外側ヒータ204は、ウエハ116の載置面を構成する円形の中心について同じ半径位置、同じ周方向の角度、同じ長さの円弧状に分けられた複数の領域であるアークの各々の内部に円弧状抵抗体が配置され、これら複数の抵抗体の隣接するもの同士を抵抗の小さい導体で直列に接続する接続部(図3上破線で図示)を有した構成を備えている。接続部の長さ或いは周方向についての角度は、円弧状の領域と比べて遥かに小さいものであり、実質的に外側ヒータ204は複数の円弧状抵抗体により構成されていると見倣せる。
【0038】
また、図2には図示されていないが、複数の円弧状抵抗体と同数の電流制御素子208の各々が対応する円弧状抵抗体の円弧の両端に電流制御素子ケーブル209により電気的に接続されている。すなわち、電流制御素子208の各々が対応する円弧状抵抗体と並列に接続されて電気回路を構成している。なお、図2では、電流制御素子は208a,208b,208cの3個が示されているが、本実施例においては、外周側部のアークは4個のほぼ90度と見倣せる角度と位置とを占めて配置され、図3に示すように実際には電流制御素子208dを有している。
【0039】
図3に示すように、本実施例の試料台107の上面を構成する載置面は、その上方から見て、円形の載置面の中心を含む円形の中央部302とその外周側でこれを囲んで配置されたリング形状を有した中間部303、外周側部304を有している。これら中央部302、中間部303、外周側部304の領域に対応する誘電体膜211の内部に各々がリング形状に配置された内側ヒータ202、中間ヒータ203、外側ヒータ204が配置されている。
【0040】
誘電体膜211内部に配置された内側ヒータ202、中間ヒータ203、外側ヒータ204の各々において、配置される膜状の抵抗体は、各々において複数の同じ半径位置、同じ角度、同じ長さの円弧状抵抗体から構成されている。さらに、内側ヒータ202、中間ヒータ203、外側ヒータ204の各々において、より外周側のヒータの円弧状抵抗体の数の方がより中央側のヒータのものより多く配置されている。つまり、依り中央側のヒータでの円弧状抵抗体が占める周方向の角度はより外周側のヒータでのものより大きくなっている。
【0041】
なお、内側ヒータ202、中間ヒータ203、外側ヒータ204の各々は、各々に電気的に接続されたヒータ用直流電源109から各々制御部により指令された所定の値の電力が供給される。なお、本実施例では、内側ヒータ202は試料台107載置面の中心を含む円形の抵抗体である内側中央部ヒータ202aと、これを囲み前記中心に対して2つの同じ半径位置、同じ周方向角度、同じ長さの円弧状抵抗対である内側外周部ヒータ202bとを備えている。これら内側中央部ヒータ202aと内側外周部ヒータ202bとは、同じヒータ用直流電源109からの電力が供給される。
【0042】
本実施例では、内側ヒータ202、中間ヒータ203、外側ヒータ204の各々は、各々を構成する何れか一つの抵抗体に電気的に接続されたコネクタを給電口として備え、給電口とは別の抵抗体に接続されたコネクタを送電口として備えている。本実施例の円弧状抵抗体は、単一の円弧をなす膜状のヒータとして示されているが、給電口から送電口まで周方向に折り返して複数の異なる半径位置を占めて中央部、中間部、外周側部の領域を被覆するように配置しても良い。
【0043】
内側ヒータ202、中間ヒータ203各々の抵抗体にも電流制御素子208が並列に接続されており、各々のヒータに電気的に接続されたヒータ用直流電源109との間で電気回路を構成している。さらに、各電流制御素子208は、制御部112を構成する演算装置、記憶装置、入出力装置を含む制御装置301により、その動作による電流量の調節が制御される。本実施例の制御装置301は、真空容器101外部に配置されている。
【0044】
このように、本実施例では、中央部、中間部、外周側部の各々で各抵抗体に供給される電流の量が、これに並列に接続された電流制御素子208の動作により適切な値の範囲内に調節されることで、円弧状抵抗体の発熱量が所望の範囲となるように調節される。このことにより、載置面の中心の周方向について載置面である誘電体膜211の上面の温度の値の増減を適切なものに調節できる。
【0045】
各々の電流制御素子208はこれに並列に接続される各々の円弧状抵抗体に流れる電流の値、量を調節する模のであれば良く、並列に接続された経路の抵抗値あるいはインピーダンスの調節、電流の遮断、オン/オフを行う素子や機器が適宜組み合わせて接続されたものでも良い。本実施例では、4つの電流制御素子208a,208b,208c,208dの何れもがダイオードを備えて構成された素子である。4つの円弧状抵抗体に対応する並列の回路を構成する素子や機器は全て同じ素子で構成されている必要はなく求められる仕様に応じて適宜選択されることができる。
【0046】
さらに、中央部/中間部/外周側部の各々の領域の下方の基材210内部でその基材210上面と冷媒流路との間に配置した温度センサからの出力に基づいて発熱量を調節することにより、中心から外周に向かう半径方向について中央部/中間部/外周側部の各々の領域毎に温度が独立して調節されると共に、周方向についてもアーク毎に異なる温度の値となるように分布を実現できる。このことにより、載せられたウエハ116の周方向の温度或いは加工結果のばらつきを低減して歩留まりを向上させることができる。
【0047】
上記の通り、本実施例のエッチング処理中に、内側ヒータ202、中間ヒータ203、外側ヒータ204の各々を用いて、ウエハ載置面の中央部、中間部、外周側部の温度が円弧状の領域(アーク)毎に所望の値となるように調節される。なお、本実施例は、基材210内部に配置された冷媒流路には処理に先立って温調器111により所定の温度にされた冷媒が供給されており、処理開始時には基材211は処理中に生じる発熱を考慮した温度にされている。
【0048】
この状態で、試料台107の載置面上にウエハ116が配置され、静電吸着用直流電源110からの電力供給により、ウエハ116が試料台107上に吸着保持される。このとき、図示を省略した伝熱ガス供給装置からHe等の伝熱ガスが試料台内部を貫通してウエハと試料台との間に供給され、試料台とウエハとの間の熱伝達が促進されている。
【0049】
ここで、以下に、外側ヒータ204の温度制御について説明する。同様の温度の調節の構成は内側ヒータ202および中間ヒータ203について本実施例は備えている。外側ヒータ204は、4つアークが周方向に各々ほぼ90度となる角度範囲を占めるように配置され、ヒータのパターンを構成する円弧状抵抗体の一端部と他端部とに接続するケーブルの途中に電流をバイパスさせるコネクタを配置する。一つの円弧状抵抗体のコネクタの間にはこれらと電気的に接続された電流制御素子208が配置される。
【0050】
1つのコネクタに供給された電流は複数に分かれて並列に接続された円弧状抵抗体と電流制御素子208とに流れる。外側ヒータ204は複数の円弧状抵抗体に対応して複数のアークに分けられ、それぞれ領域において各々の円弧状抵抗体に流れる電流の値が電流制御素子208の動作に応じて調節される。すなわち、各電流制御素子208はこれに流れる電流量を可変に増減することにより、これと並列に接続されている円弧状抵抗体に通流する電流の量を可変に増減させる。これらの電流制御素子208の動作は、電流制御素子208内の抵抗値或いはインピーダンス値を制御装置301の演算装置が算出し、当該値となるように入出力装置から各々の電流制御素子208に動作指令を発信することにより調節される。
【0051】
本実施例では、誘電体膜211の各ヒータ領域に対応してこれの上方から見た投影面内である直下方の試料台107の基材210内部に配置された温度センサ(図示省略)からの出力に基づいて制御装置301で検出された値を用いて、ヒータ各々へ供給する電力の設定が制御装置301によって行なわれる。この際、外側ヒータ204に接続されたヒータ用直流電源109は定電力となるような制御が行なわれる。
【0052】
外側ヒータ204の各々の円弧状抵抗体の各々に並列に接続されて配置されたバイパスライン上の電流制御素子208a,208b,208c,208dには、制御装置301において処理前に予めレシピ条件毎に算出されて設定された、各々が何パーセントの電流をパイパスさせるかというバイパス比に応じた動作の指令信号が送られる。例えば、電流制御素子208aには40%のバイパス電流が流れるように指示し、電流制御素子208bには30%、208cには15%、208dには15%というように、ヒータ用直流電源109の電力が一定になるように等しい値のバイパス電流の指示が成される。これにより、温度検出は1箇所でも、この場合、円周4分割された任意のアークの温度を任意のものとなるように調整できる。
【0053】
内側ヒータ202、中間ヒータ203についても、同様の構成を備えることで試料台107の中心から外周側へ向かう半径方向の複数の領域の各々において、周方向の温度分布を所望のものにすることができ、より広い範囲での温度制御が可能となる。このように本実施例では、試料台107の誘電体膜211の載置面は径方向に分割された複数の領域はヒータが並列に接続されたものとなり、周方向に分割された領域では直列に接続されたものとなる。
【0054】
上記説明した実施例によれば、試料台の円形の載置面を構成する誘電体の膜あるいは板部材の内部において、その同じ半径方向の位置または半径の所定の範囲において周方向に配置されたヒータは、周方向に複数分割された領域毎に直列回路で構成されている。上記実施例では給電線は従来の技術と同等のものが用いられている。
【0055】
さらに、ヒータの分割された各々の領域に配置された各々の部分に印加する電力を調節するバイパス回路が各ヒータと電気的に並列に接続されている。このような構成により、ヒータの各領域の部分は直列に接続されて単一の電源からの電流が供給されると共に領域の部分毎に発熱量を異なる値に調節される。このことにより、試料台の載置面で周方向に異なる発熱量を実現でき、これら発熱量を検出したウエハまたは試料台の温度に基づいて調節することで、ウエハ、試料台の周方向の温度のばらつきを低減して、ウエハのプラズマによる処理の精度が向上する。
【0056】
また、バイパス回路を構成して各アークに対応して誘電体膜211内部に配置された円弧状抵抗体と並列に接続された調節器およびこれと円弧状抵抗体とを電気的に接続するケーブルは、本実施例の試料台107の内部または処理室内に配置されている。具体的には、本実施例の試料台107はその基材210の下方の内部に大気圧にされた空間を有し、この空間の内部に上記調節器とケーブルの一部とが配置されている。一方、電気的に直列に接続された複数の円弧状抵抗体を有する外周ヒータ204およびバイパス回路が構成する回路とこれに直流電力を供給するヒータ用直流電源109との間に配置される高周波電力を取り除く或いは低減するフィルター118は、試料台107の外部または処理室外部に配置される。
【0057】
この構成において、高周波バイアス用電力に対する直列に接続されたヒータの回路とヒータ用直流電源109との間の給電経路上のインピーダンスは、上記高周波電力に対するバイパス回路または各々の調節器のインピーダンスよりも著しく大きくなり、バイパス回路あるいは調節器の動作によるヒータ経供給される電力量の調節に対しても、外周ヒータ204へ供給される電力量が大きく変動したり高周波電力による悪影響が顕在化することが低減される。これによりバイパスケーブル長が抑えられ、この結果、給電線の静電容量の増加によるバイアス電流の漏えい増加を抑制でき、ウエハレートが不均一になったり、デバイスへの静電ダメージが発生したりすることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0058】
100…プラズマ処理装置
101…真空容器
102…真空排気装置
103…処理室
104…電波源
105…導波管
106…拡大導波管部
107…試料台
108…バイアス電源
109…ヒータ用直流電源
110…静電吸着用直流電源
111…温調器
112…コントローラ
113…磁場発生コイル
114…誘電体窓
115…シャワープレート
116…ウエハ
117…マッチング回路
118…フィルター
201…静電吸着用電極
202…内側ヒータ
203…中間ヒータ
204…外側ヒータ
205…内側ヒータケーブル
206…中間ヒータケーブル
207…外側ヒータケーブル
208…電流制御素子
209…電流制御素子ケーブル
210…基材
211…誘電体膜
301…制御装置
図1
図2
図3