特許第6617587号(P6617587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6617587-焼鉱搬送用のコンベア 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6617587
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】焼鉱搬送用のコンベア
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/26 20060101AFI20191202BHJP
   B05C 13/00 20060101ALI20191202BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   C22B1/26
   B05C13/00
   B05C11/10
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-17228(P2016-17228)
(22)【出願日】2016年2月1日
(65)【公開番号】特開2017-137520(P2017-137520A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】寺田 尚人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘志
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 智洋
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 宣幸
【審査官】 荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−526275(JP,A)
【文献】 特開2001−220625(JP,A)
【文献】 特開2003−166788(JP,A)
【文献】 特開昭50−033117(JP,A)
【文献】 特開昭60−251232(JP,A)
【文献】 特開2014−214360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00− 1/26
B05C 11/00−11/10
B05C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼鉱を載置可能な開口部を有しない底板を備える焼鉱収容部が搬送方向に連続して複数配置されてなる焼鉱収容手段と、
前記焼鉱収容手段を搬送可能な周回路からなる焼鉱収容部移動手段と、
冷却水を噴霧可能な焼鉱収容部冷却手段と、を備え、
前記焼鉱収容部冷却手段が、前記周回路における焼鉱投入地点を始点とし焼鉱排出地点を終点とする区間内において、前記焼鉱収容部の底板の外表面に対して冷却水を下方から直接散布することができる位置に設置されているスプレーノズルを含んでなる装置である焼鉱搬送用のコンベア。
【請求項2】
前記焼鉱収容部が箱状部材である請求項1に記載のコンベア
【請求項3】
前記周回路の下方空間における前記スプレーノズルが設置されている位置よりも下流側で且つ前記焼鉱排出地点よりも上流側の位置に、前記焼鉱収容部の底板の外表面温度を測定するための温度計が設置されている請求項1又は2に記載のコンベア。
【請求項4】
前記焼鉱収容部冷却手段は、前記スプレーノズルに冷却水を供給する供給配管が制御弁を有し、
前記温度計によって測定された温度情報を前記制御弁にフィードバックすることにより、前記供給配管からの散水量を調整する機能を備える請求項に記載のコンベア。
【請求項5】
複数の前記スプレーノズルが前記周回路の移動方向に対して直交する方向に沿って直列に配置されている請求項1からのいずれかに記載のコンベア。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の焼鉱搬送用のコンベアの運転方法であって、
前記焼鉱収容部の底板の外表面温度が一定の管理基準温度となるように、前記冷却水の散布量を増減させる、コンベアの運転方法。
【請求項7】
前記管理基準温度が300℃以上400℃以下である請求項に記載のコンベアの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼鉱搬送用のコンベアに関する。詳しくは、高温の焼鉱を載置可能な底板を有する複数の焼鉱収容部が連結されてなる焼鉱搬送用のコンベア、及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼製錬等で発生する鉄鋼ダストの処理方法として、還元焙焼により鉄鋼ダスト中に含まれる亜鉛等の有価金属を回収するプロセスが広く実施されている。このような有価金属の回収プロセスにおいては、ロータリーキルン等の大型の回転炉で鉄鋼ダストを還元焙焼する工程を経ることが一般的である。この方法により鉄鋼ダスト中に含まれる亜鉛が、還元焙焼用のロータリーキルン内において還元揮発されて、粗酸化亜鉛ダストとして回収される。回収された粗酸化亜鉛は、湿式処理を施すことによってハロゲン類等の不純物を除去し、乾燥加熱用のロータリーキルンで熱処理することにより酸化亜鉛焼鉱になる。ここでロータリーキルンから排出された酸化亜鉛焼鉱は、焼鉱搬送用のコンベアによって、次工程である、製品ホッパーやストックヤード等へと搬送される。
【0003】
上記プロセスにおいて、ロータリーキルン等から排出される酸化亜鉛焼鉱は、その排出時における温度が通常900℃〜1200程度の高温に達しており、上記の焼鉱搬送用のコンベアへの投入時においても、尚、600℃〜700℃程度の高温状態を保持している。従って、このような高温の酸化亜鉛焼鉱が連続的に投入される焼鉱搬送用のコンベアの焼鉱収容部は、操業期間中、恒常的に高温の酸化亜鉛焼鉱との接触が繰り返される。そして、そのような過酷な熱環境下での稼働は、焼鉱収容部に過度の加熱に起因する劣化や損傷を引き起こす。
【0004】
高温搬送物からの加熱による搬送装置の劣化や損傷を和らげるための対応手段として、コンベアのケーシングをジャケット構造にして、当該ジャケット内に冷却水を通水することで搬送装置全体を冷却する構造が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の搬送装置の構造においては、冷却水を供給するための設備、或いは、冷却水を循環使用するための熱交換器等の設備が複雑となるため、又、構造上、水漏れトラブルのリスクも高く、設備設置にかかるコスト、保守運用のためのランニングコストともに、多大となるという問題があった。
【0006】
上記の加熱による劣化や損傷を和らげるための、よりシンプルな対応策として、例えば焼鉱を収容する収容バケット部への注水による冷却方法も考えられる(特許文献2参照)。特許文献2には、最適角度に調整したスプレー散水により高温の処理物を冷却する方法が開示されている。
【0007】
しかし、高温の処理物への散水は、製造工程において様々な不都合を生じさせる場合が多い。例えば、微量の塩化物やフッ化物といったハロゲン化物を含有する酸化亜鉛焼鉱に水を噴霧すると、その蒸気によってケーシング、リンクチェーン、車輪やレール等の搬送装置の各部が腐食し易くなる。又、酸化亜鉛焼鉱に不要な水分が付着したままストック容器まで搬送されると、ホッパーやビンに棚張りが発生し、下部からの酸化亜鉛焼鉱の抜出しが困難になる等の不都合も発生する。その一方で、特許文献2に記載の冷却方法では、コンベアそのものを熱損傷から守るための冷却については何ら検討の跡がなく、高温の搬送物の温度を低減させうるものではあるかもしれないが、焼鉱に不要な水分を付着させずにコンベア自体の温度を下げうる方法ではないことが明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−311689号公報
【特許文献2】特開2011−184801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高温の焼鉱を搬送する焼鉱搬送用のコンベアであって、高温に曝される焼鉱収容部を、その稼働を中断することなく必要十分な温度にまで冷却することができる冷却手段を備えることによって、耐久性と実操業時における稼働率とを向上させた焼鉱搬送用のコンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、焼鉱搬送用のコンベアに、焼鉱収容部の底板に対して冷却水を当該底板の下方から直接散布することが可能なスプレーノズルを、搬送路中の特定位置に設置することによって、高温に曝される焼鉱収容部の底板を、搬送を中断することなく効果的に冷却することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
【0011】
(1) 金属製の底板を備える焼鉱収容部が搬送方向に連続して複数配置されてなる焼鉱収容手段と、前記焼鉱収容手段を搬送可能な周回路からなる焼鉱収容部移動手段と、冷却水を噴霧可能な焼鉱収容部冷却手段と、を備え、前記焼鉱収容部冷却手段が、前記周回路における焼鉱投入地点を始点とし焼鉱排出地点を終点とする区間内において、前記焼鉱収容部の底板の外表面に対して冷却水を下方から直接散布することができる位置に設置されているスプレーノズルを含んでなる装置である焼鉱搬送用のコンベア。
【0012】
(1)の発明によれば、搬送物(焼鉱)の冠水による様々な悪影響を回避しながら、コンベアの稼働を中断することなくコンベアを適切に冷却することができる。これにより、過度の加熱に起因するコンベアの耐久性を向上させ、実操業時における保守作業の頻度を下げて、このコンベアを含む全体プロセスの稼働率を向上させることができる。
【0013】
(2) 前記周回路の下方空間における前記スプレーノズルが設置されている位置よりも下流側で且つ前記焼鉱排出地点よりも上流側の位置に、前記焼鉱収容部の底板の外表面温度を測定するための温度計が設置されている(1)に記載のコンベア。
【0014】
(2)の発明によれば、操業中に焼鉱収容部の底板の外表面温度を随時正確に把握することができる。これにより、温度管理の精度が向上し、より効率的なコンベアの冷却が可能となる。
【0015】
(3) 前記焼鉱収容部冷却手段は、前記スプレーノズルに冷却水を供給する供給配管が制御弁を有し、前記温度計によって測定された温度情報を前記制御弁にフィードバックすることにより、前記供給配管からの散水量を調整する機能を備える(2)に記載のコンベア。
【0016】
(3)の発明によれば、操業中、常にリアルタイムで正確な温度管理を行うことが可能であり、(1)又は(2)の発明によるコンベアの耐久性向上の効果を更に引き上げることができる。
【0017】
(4) 複数の前記スプレーノズルが前記周回路の移動方向に対して直交する方向に沿って直列に配置されている(1)から(3)のいずれかに記載のコンベア。
【0018】
(4)の発明によれば、より少ないスプレーノズルの設置数及びより少ない散水量で、(1)から(3)のいずれかの発明の効果を享受することができる。
【0019】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の焼鉱搬送用のコンベアの運転方法であって、前記焼鉱収容部の底板の外表面温度が一定の管理基準温度となるように、前記冷却水の散布量を増減させる、コンベアの運転方法。
【0020】
(5)の発明によれば、搬送物(焼鉱)の冠水による様々な悪影響を回避しながら、コンベアの稼働を中断することなくコンベアを適切に冷却することができる。これにより、過度の加熱に起因するコンベアの耐久性を向上させ、実操業時における保守作業の頻度を下げて、このコンベアを含む全体プロセスの稼働率を向上させることができる。
【0021】
(6) 前記管理基準温度が300℃以上400℃以下である(5)に記載のコンベアの運転方法。
(6)の発明によれば、例えば、焼鉱収容部が一般的なステンレス製等である場合に、(5)の発明の効果をより高い確度で享受することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高温の焼鉱を搬送する焼鉱搬送用のコンベアであって、高温に曝される焼鉱収容部を、その稼働を中断することなく必要十分な温度にまで冷却することができる冷却手段を備えることによって、耐久性と実操業時における稼働率とを向上させた焼鉱搬送用のコンベアを提供することができる。尚、本発明は、一般的に、高温の焼鉱を搬送する上部解放型で底板を有する金属製コンベアに適用できるが、特に、鉄鋼製錬等で発生する鉄鋼ダストからの亜鉛回収プロセスにおける、酸化亜鉛焼鉱の製造工程に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の焼鉱搬送用のコンベアの全体構成を示す模式図である。
図2図1のA−A線における断面図であり、本発明の焼鉱搬送用のコンベアの焼鉱収容部冷却手段の設置態様及び冷却水の散布態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<焼鉱搬送用のコンベア>
[全体構成]
本発明の焼鉱搬送用のコンベアは、例えば、還元焙焼により鉄鋼ダスト中に含まれる亜鉛等の有価金属を回収するプロセスにおける乾燥加熱用のロータリーキルン等から排出される高温の焼鉱を、次工程へ搬送するために用いる搬送装置として好ましく用いることができるコンベアである。
【0025】
図1に示す通り、本発明の実施形態の一つである焼鉱搬送用のコンベア1は、搬送方向Pに沿って連続して配置される複数の焼鉱収容部121と、これら複数の焼鉱収容部121によって構成される焼鉱収容手段12と、搬送方向に同時に移動可能な周回路である焼鉱収容部移動手段13とを備える。そして、コンベア1には、焼鉱収容部移動手段13の経路上における所定空間内に、図1及び図2に示す通り、焼鉱収容部121の底板の外表面122Bに対して冷却水を下方から直接散布することができる位置に、焼鉱収容部冷却手段2を構成するスプレーノズル21が設置されている。
【0026】
コンベア1は、回転駆動部131を回転させると、焼鉱収容部121を連接するチェーン等の収容部連接手段(図示せず)がP方向に移動し、それに伴って焼鉱収容部121の搬送が開始される。搬送速度の一例を挙げれば1〜10m/分である。焼鉱搬送用のコンベア1を用いたプロセスにおいては、焼鉱搬送用のコンベア1をこのような状態で稼働させながら、高温の焼鉱6が、コンベア1の投入口4から、移動中の焼鉱収容部121に連続的又は間欠的に投入される。焼鉱収容部121に収容された焼鉱6は、P方向に向けて搬送され、焼鉱収容部移動手段13がその移動方向を反転させる終端部で焼鉱収容部121が回転する際に、下方に落下し、搬出口5から搬出される。
【0027】
本明細書においては、焼鉱収容部移動手段13の周回路上における焼鉱6の投入地点(図1に示す位置a)を、「焼鉱投入地点」と言うものとする。又、同周回路上における焼鉱6の排出地点(図1に示す位置b)を「焼鉱排出地点」と言うものとする。コンベア1には、焼鉱投入地点aを始点とし焼鉱排出地点bを終点とする区間内の下方にスプレーノズル21が設置されている。尚、ここで上記の「下方」とは、図1に示す通り、周回路上において、焼鉱収容部121の内表面122A、即ち焼鉱6の収容面が上方を向いている区間における、焼鉱収容部121の直下の方向のことを言うものとする。
【0028】
[焼鉱収容部移動手段]
焼鉱収容部移動手段13は、連続して設置される複数の焼鉱収容部121からなる焼鉱収容手段を搬送するための周回移動手段である。本発明の焼鉱搬送用のコンベアにおいて特段の構造に限定されるものではないが、例えば、始端部及び終端部に配置される2箇所の回転駆動部131と、回転駆動部131を渡り架ける外周の搬送用チェーン(図示せず)とから構成されている構造のものを、その好ましい一例として挙げることができる。
【0029】
そして、複数の焼鉱収容部121からなる焼鉱収容手段12を搬送用チェーンの上に連続的に配置することにより、複数の焼鉱収容部121が、搬送面の始端から、搬送面の終端へ向けて搬送され、その後、終端で右側の回転駆動部131に沿って搬送面に対して180度反転し、そのまま始端側に移動し、そこで再度180度反転して循環する焼鉱収容部移動手段13を構成することができる。
【0030】
[焼鉱収容手段]
焼鉱搬送用のコンベア1における焼鉱収容手段12は、高温の焼鉱を収容可能な焼鉱収容部121が、搬送方向に連続して複数配置されることによって構成される。焼鉱収容部121は、搬出対象に応じて必要とされる耐熱性を備えた金属製の板状部材又は箱状部材であればよいが、例えば、SUS310S等からなるステンレス製等の耐熱性の高い板材により形成された収容部を有する箱状部材であることが好ましい。
【0031】
焼鉱収容部121の形状は、ロータリーキルン等から排出され連続的に投入される所定量の焼鉱を収容可能な形状及び容量を有するものであれば、特段の形状及び容量に限定されない。例えば、容器型(バケットコンベア)、皿板型(パンコンベア又はエプロンコンベア)等、搬送対象とする焼鉱等の性状、用途に応じて、適宜選択することができる。
【0032】
尚、上記の各の焼鉱収容部121は、いずれも底板を有するが、各収容部の底板どうしが重なった部分、或いは、上辺部の鍔どうしが重なった部分を有する構造であることが多く、その重なった部分が特に熱損傷しやすいという問題があった。特に、スプロケット等によるコンベアの転向部や逆転部では、一旦、重なり部分の隙間が広がり、そのときに搬送物質が零れて、容器どうしが重なる隙間部分に付着した後、重なる隙間部分が閉じるという経過をたどり、上記重なり部分の隙間に搬送物質が噛み込むため、適切な冷却を行わない限り、より損傷が進行しやすいという問題があった。
【0033】
[焼鉱収容部冷却手段]
焼鉱搬送用のコンベア1は、焼鉱収容部冷却手段2として、焼鉱収容部121の底板の外表面122Bに、下方から冷却水を直接散布することが可能なスプレーノズル21を含んで構成される。スプレーノズル21として、例えば、従来の普及品である円錐スプレーノズル等を用いることができる。
【0034】
スプレーノズル21の設置位置については、上述の通り、コンベア1における焼鉱投入地点aを始点とし焼鉱排出地点bを終点とする区間内の下方であればよい。但し、この区間内であって、焼鉱投入地点aの直後の範囲であることが更に望ましい。
【0035】
スプレーノズル21の設置個数についても特段限定されないが、例えば、一つの配置地点に複数のスプレーノズル21を設置する場合、図2に示すように、複数のスプレーノズル21の散水範囲が互いに重ならないことが好ましく、焼鉱収容部121の底板の外表面122Bに均一に散水できる配置であることが好ましい。複数のスプレーノズルの配置について、より具体的には、複数のスプレーノズル21が周回路の搬送方向Pに対して直交する方向に沿って、上記の均一な散水が可能となる間隔で直列に配置されていることがより好ましい。このような配置によれば、P方向へ移動する焼鉱収容部121の底板の外表面122Bへの散水を最も効率的に行うことができる。
【0036】
焼鉱収容部冷却手段2は、スプレーノズル21に冷却用の水を供給する供給配管22に適宜散水量の調整を行うことができる制御弁23(23A、23B)を備えることが好ましい。又、この制御弁23の稼働は、温度測定手段3から、温度情報伝達路25を通じてフィードバックされる温度情報に基づき制御部24(24A、24B)が発する信号によって制御されながら稼働する態様であることが好ましい。
【0037】
[温度測定手段]
焼鉱搬送用のコンベア1においては、焼鉱収容部移動手段13の周回路上の空間であってスプレーノズル21が設置されている位置よりも下流側で、好ましくは、スプレーノズル21の設置位置の近傍に、温度測定手段3として、赤外線式温度計等の非接触式の温度計31を含む装置が設置されていることが好ましい。温度計31は必ずしも常設されているものに限らないが、常設されていることによって、測定された温度を焼鉱搬送用のコンベア1の運転の制御情報として、恒常的に焼鉱収容部冷却手段にフィードバックできる構成を更に備えていることが好ましい。尚、距離による減衰の影響を極力排して焼鉱収容部121の温度を測定するために、温度計31の設置位置は、焼鉱収容部121の搬送経路上の搬送方向に沿った中央線上であって、焼鉱収容部121との衝突による温度計31の破損が起こることを避けられる範囲で、可能な限り焼鉱収容部121の底板の外表面122Bに近づけた位置とすることが好ましい。このような位置に非接触式の温度計31を配置することにより、焼鉱収容部121の底板の外表面122Bの実際の正確な温度と、温度計31によって測定された測定値としての温度との差分を最小化することができる。実用上は、この差分を測定値に織り込んで計算することにより、温度計31による実測値から、121の底板の外表面122Bの実際の温度を、実用上問題のない精度で正確に把握することができる。
【0038】
<焼鉱搬送用のコンベアの運転方法>
焼鉱搬送用のコンベア1は、スプレーノズル21によって焼鉱収容部121の底板の外表面122Bに散布された冷却水により、焼鉱収容部121の過度の温度上昇を回避しながら運転する。具体的には、焼鉱収容部121の底板の外表面122Bの温度が一定の管理基準温度を超えた場合には、冷却水の散布量を増やし、前記温度が一定の管理基準温度を下回った場合には、冷却水の散布量を減らすことによって、このような温度管理が可能である。上記の管理基準温度は300℃以上400℃以下の範囲内であることが好ましい。例えば、ステンレス等の鉄系の合金材料は、約500℃を超えると急激に強度、例えば引っ張り強度が低下するが、管理基準温度を上記範囲で設定することにより、焼鉱収容部121の温度が500℃に近づき、それにより熱損傷が発生し易くなるというリスクを回避することができる。
【0039】
焼鉱収容部121の底板の外表面122Bの温度が300℃未満となると、散水した冷却水が充分に蒸発せず、下方の空間を逆方向に進行するコンベアの各部を不要に濡らして腐食を進行させる場合があり、又、上記下方側の焼鉱収容部121内部を濡らして、焼鉱の好ましくない居付きの発生の原因ともなりえる。又、そのような焼鉱収容部121内部の不要な冷却水の付着は、再び、焼鉱が投入されたときにハロゲンを含有する水蒸気を発生させてコンベア1各部の腐食を進行させる場合がある。一方、底板の外表面122Bの温度が400℃を超えてしまうと、冷却効果が不十分となり、コンベア各部の熱損傷を充分に回避できにくくなる。
【0040】
このような冷却水の噴霧量の制御により、焼鉱6の焼鉱収容部121の内部への好ましくない付着による弊害を回避しながら、焼鉱収容部121を十分に冷却して、焼鉱搬送用のコンベア1の耐久性と実操業における稼働率を向上させることができる。
【0041】
<第2のコンベアを更に備える実施形態>
本発明の焼鉱搬送用のコンベアは、図1に示すように第2のコンベア1Bが更に第1のコンベア1Aに連接されているものであってもよい。この場合、図1に示すように、第2のコンベア1Bにも第一のコンベア1Aと同様にスプレーノズル21、及びそれを含んで構成される焼鉱収容部冷却手段を設置してもよい。この場合、それぞれのコンベアの管理温度は個別に最適化することもできる。例えば、ステンレス等の鉄系の合金材料は、約500℃を超えると急激に強度、例えば引っ張り強度が低下するが、これが一般的な炭素鋼では、約350℃を超えると急激に強度が低下する。従って、例えば、第2のコンベア1Bを一般的な炭素鋼で作製し、コンベア1Aの底板の下面の表面温度を300〜400℃、第2のコンベア1Bのコンベア容器の底板の下面の表面温度を300〜350℃に調節することもできる。
【実施例】
【0042】
鉄鋼ダストからの亜鉛回収プロセスを実施可能な酸化亜鉛焼鉱の既存の製造設備において、焼鉱を搬送するコンベアにおける、スプレーノズルを含む冷却手段による冷却効果及びそれによる熱損傷抑制の効果の差異を検証するための試験操業を行った。乾燥加熱用ロータリーキルンからコンベアに排出される酸化亜鉛焼鉱の温度は900〜1200℃、排出量は160〜200t/日であった。
【0043】
(比較例)
上記条件の下で、試験操業を継続し、焼鉱の搬送し続けたところ、エプロンコンベアを構成するリンクチェーンの摩耗と変形、車輪の摩耗、容器の摩耗、変形、穴明きが、3月経過後から確認されるようになり、6月後には、焼鉱収容部及び焼鉱収容部移動部の交換を余儀無くされる程度の損傷が生じた。この時、コンベア容器の底板の裏側の温度は500〜600℃の範囲の高温となっていた。
【0044】
(実施例)
比較例と同一の構成で、但し、図1及び図2に示すようにスプレーノズルを含む冷却手段を追加的に設置した第1のコンベアについて、比較例と同条件で試験操業を行った。散水量は、コンベアの底板の温度が350℃を超える都度、6〜7L/分に設定して行い、同温度が320℃まで低下した場合には、散水を一時的に中断する制御を繰り返した。6月経過後に至るまで、焼鉱収容部の交換に結びつくような熱損傷は発生せず、ごく微細な摩耗や変形が見られたのみであった。この時、コンベア容器の底板の裏側の温度は300〜400℃の範囲の温度となっていた。
【0045】
以上より、本発明の焼鉱搬送用のコンベアによれば、焼鉱への不要な水分の付着を回避しながら、且つ、稼働を中断することなく、高温に曝される焼鉱収容部等を必要十分な温度にまで冷却することができて、これにより、コンベアの耐久性と実操業時における稼働率とを向上させうることが確認された。
【符号の説明】
【0046】
1 コンベア
12 焼鉱収容手段
121 焼鉱収容部
13 焼鉱収容部移動手段
131 回転駆動部
2 焼鉱収容部冷却手段
21 スプレーノズル
22 供給配管
23 制御弁
24 制御部
25 温度情報伝達路
3 温度測定手段
31 温度計
4 投入口
5 搬出口
6 焼鉱
図1
図2