特許第6617649号(P6617649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6617649被処理基板の載置位置の設定方法及び成膜システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6617649
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】被処理基板の載置位置の設定方法及び成膜システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20191202BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20191202BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20191202BHJP
   C23C 14/54 20060101ALI20191202BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20191202BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20191202BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20191202BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H01L21/68 F
   H01L21/68 A
   C23C14/50 K
   C23C14/54 Z
   C23C16/44 F
   C23C16/52
   H01L21/205
   H01L21/285 S
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-121850(P2016-121850)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-228579(P2017-228579A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】特許業務法人弥生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162008
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 宣明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰信
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−294752(JP,A)
【文献】 特表2010−505278(JP,A)
【文献】 特開2002−261146(JP,A)
【文献】 特開2009−038155(JP,A)
【文献】 特開2007−227953(JP,A)
【文献】 特開2007−173467(JP,A)
【文献】 特開2012−186226(JP,A)
【文献】 特開2002−118162(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0036274(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0144335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
C23C 14/50
C23C 14/54
C23C 16/44
C23C 16/52
H01L 21/205
H01L 21/285
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜装置の処理容器内に設けられた載置台に対し、基板搬送機構により搬送される被処理基板の載置位置を設定する方法において、
前記成膜装置は、前記載置台に載置されて成膜処理される被処理基板の周縁部に非成膜領域を形成するために、前記周縁部の上面側を覆うように配置されると共に、前記非成膜領域の内側に形成される成膜領域に対応した開口部を有する環状のマスクを備えることと、
前記マスクには、前記載置台に設定された第1位置に被処理基板を載置して成膜処理を行ったとき、前記非成膜領域が予め設定された幅寸法となる配置予定位置が設定されていることと、
前記第1位置から予め設定した方向へ、予め設定した距離だけずらして設定された前記載置台上の第2位置に、前記基板搬送機構によりテスト用の被処理基板を搬送する工程と、
前記第2位置に載置された前記テスト用の被処理基板に対して、前記マスクを用いて成膜処理を行う工程と、
成膜処理後の前記テスト用の被処理基板に形成された非成膜領域の幅寸法を測定する工程と、
前記第1位置に対する前記第2位置のずれの方向及び距離と、前記テスト用の被処理基板に形成された非成膜領域の幅寸法の測定結果とに基づき、前記マスクの実際の配置位置を特定する工程と、
前記マスクの実際の配置位置に基づき、前記非成膜領域が予め設定された幅寸法となるように、前記基板搬送機構により搬送される被処理基板の載置位置として、前記第1位置を補正する工程と、を含むことを特徴とする被処理基板の載置位置の設定方法。
【請求項2】
前記被処理基板は円形基板であり、前記マスクは円形の開口部を有し、
前記マスクの配置予定位置は、前記第1位置に載置された被処理基板の中心と、前記開口部の中心とが揃う位置に設定され、
前記載置位置は、前記実際の配置位置のマスクの開口部の中心と、当該載置位置に載置された被処理基板の中心とが揃う位置に設定されることを特徴とする請求項1に記載の被処理基板の載置位置の設定方法。
【請求項3】
前記被処理基板は円形基板であり、前記周縁部には被処理基板の方向を識別するための切り欠き部が形成され、前記第1位置に対する前記第2位置のずれ方向は、被処理基板の中心と前記切り欠き部が形成された領域とを結ぶ範囲を避けた向きに設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の被処理基板の載置位置の設定方法。
【請求項4】
前記被処理基板は円形基板であり、前記周縁部には被処理基板の方向を識別するための切り欠き部が形成され、前記第1位置に対する前記第2位置のずれ方向は、被処理基板の中心から見て前記切り欠き部が形成された方向に設定されることと、
前記非成膜領域の幅寸法を測定する工程にて、前記切り欠き部が形成されていないと仮定したとき、当該切り欠き部に対応する領域に形成される非成膜領域の幅寸法を推定することと、を特徴とする請求項1または2に記載の被処理基板の載置位置の設定方法。
【請求項5】
前記被処理基板は円形基板であり、前記マスクは円形の開口部を有し、
前記非成膜領域の幅寸法を測定する工程にて、前記第1位置に対する前記第2位置のずれ方向と前記非成膜領域とが交差する交差位置における幅寸法を測定することと、
前記マスクの実際の配置位置を特定する工程にて、前記交差位置における非成膜領域の幅寸法を利用して前記実際の配置位置の特定を行うことと、を特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の被処理基板の載置位置の設定方法。
【請求項6】
前記被処理基板は円形基板であり、前記マスクは円形の開口部を有し、
前記非成膜領域の幅寸法を測定する工程にて、当該被処理基板の周方向に沿った異なる位置における非成膜領域の幅寸法の測定を行って、非成膜領域の幅寸法が最大となる位置を特定することと、
前記マスクの実際の配置位置を特定する工程にて、前記非成膜領域の幅寸法が最大となる位置の特定結果を利用して前記実際の配置位置の特定を行うことと、を特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の被処理基板の載置位置の設定方法。
【請求項7】
前記第1位置に対する前記第2位置のずれの距離は、0.2mm以上であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の被処理基板の載置位置の設定方法。
【請求項8】
前記非成膜領域の幅寸法を測定する工程にて、当該非成膜領域を撮像して得られた画像データに基づいて前記幅寸法を特定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の被処理基板の載置位置の設定方法。
【請求項9】
前記非成膜領域の幅寸法を測定する工程にて、目視により前記幅寸法を測定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の被処理基板の載置位置の設定方法。
【請求項10】
処理容器内に載置台が設けられた成膜装置と、前記載置台に設定された載置位置に基板を搬送する基板搬送機構とを備えた成膜システムにおいて、
前記成膜装置は、前記載置台に載置されて成膜処理される被処理基板の周縁部に非成膜領域を形成するために、前記周縁部の上面側を覆うように配置されると共に、前記非成膜領域の内側に形成される成膜領域に対応した開口部を有する環状のマスクを備えることと、
前記マスクには、前記載置台に設定された第1位置に被処理基板を載置して成膜処理を行ったとき、前記非成膜領域が予め設定された幅寸法となる配置予定位置が設定されていることと、
前記第1位置から予め設定した方向へ、予め設定した距離だけずらして設定された前記載置台上の第2位置に、前記基板搬送機構によりテスト用の被処理基板を搬送するステップと、前記テスト用の被処理基板に対して、前記マスクを用いて成膜処理を行うステップと、前記成膜後のテスト用の被処理基板に形成された非成膜領域の幅寸法を測定するステップと、前記第1位置に対する前記第2位置のずれの方向及び距離と、前記テスト用の被処理基板に形成された非成膜領域の幅寸法の測定結果とに基づき、前記マスクの実際の配置位置を特定するステップと、前記マスクの実際の配置位置に基づき、前記非成膜領域が予め設定された幅寸法となるように、前記基板搬送機構により搬送される被処理基板の載置位置として、前記第1位置を補正するステップと、を実行するための制御信号を出力する制御部を備えたことと、を特徴とする成膜システム。
【請求項11】
前記成膜装置は、成膜処理の期間中に前記載置台を鉛直軸回りに回転させる回転駆動部を備え、前記マスクは前記載置台と共に回転するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の成膜システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置に設けられた載置台に被処理基板を載置する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造においては、被処理基板である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という)に対する種々の処理が行われる。例えばウエハの表面に成膜処理を行う場合には、成膜を実行する成膜装置や、当該成膜装置へのウエハの搬入出を実行する搬送機構などを備えた成膜システムが用いられる。
【0003】
成膜システムに設けられた搬送機構は、成膜装置内の予め設定された載置位置(例えば後述の載置台)へと正確にウエハを搬送できることが要求される。この点につき、例えば特許文献1には、成膜などを実施可能な処理ユニットの入口近傍に撮像素子を備えたCCD(Charge-Coupled Device)カメラを設け、支持アームに支持されたウエハをCCDカメラにより撮像した結果に基づいて当該ウエハの「位置ずれ情報」を把握し、支持アームによるウエハの搬送先を補正する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−306162号公報:段落0037〜0041、図2、3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで成膜装置においては、ウエハの裏面にまで膜が形成されることにより、搬送機構のエンドエフェクタが汚染されることを防止するため、ウエハの周縁部に非成膜領域(成膜が行われていない領域)を形成する場合がある。ウエハに非成膜領域を設ける場合には、当該非成膜領域の内側に成膜領域が形成される。
【0006】
しかしながら特許文献1には、ウエハの周縁部に非成膜領域を形成する技術は記載されていない。このため、CCDカメラによる撮像を行った結果に基づいてウエハの搬送先の補正を行ったにも係らず、ウエハの周縁部の正しい位置に非成膜領域が形成されない場合には、当該非成膜領域の位置ずれを補正する手段がない。
また成膜システムには、複数の成膜装置を用いて成膜を行うことにより、ウエハ上に多層膜を形成するものがある。このような場合に、各成膜装置において正確な位置に非成膜領域を形成することができないと、相互に成膜位置のずれた膜が積層されてしまい、良好な特性を持つ多層膜を形成できないおそれもある。
【0007】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、処理基板の正確な位置に成膜領域や非成膜領域を被形成することが可能な被処理基板の載置位置の決定方法、及び成膜システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の被処理基板の載置位置の設定方法は、成膜装置の処理容器内に設けられた載置台に対し、基板搬送機構により搬送される被処理基板の載置位置を設定する方法において、
前記成膜装置は、前記載置台に載置されて成膜処理される被処理基板の周縁部に非成膜領域を形成するために、前記周縁部の上面側を覆うように配置されると共に、前記非成膜領域の内側に形成される成膜領域に対応した開口部を有する環状のマスクを備えることと、
前記マスクには、前記載置台に設定された第1位置に被処理基板を載置して成膜処理を行ったとき、前記非成膜領域が予め設定された幅寸法となる配置予定位置が設定されていることと、
前記第1位置から予め設定した方向へ、予め設定した距離だけずらして設定された前記載置台上の第2位置に、前記基板搬送機構によりテスト用の被処理基板を搬送する工程と、
前記第2位置に載置された前記テスト用の被処理基板に対して、前記マスクを用いて成膜処理を行う工程と、
成膜処理後の前記テスト用の被処理基板に形成された非成膜領域の幅寸法を測定する工程と、
前記第1位置に対する前記第2位置のずれの方向及び距離と、前記テスト用の被処理基板に形成された非成膜領域の幅寸法の測定結果とに基づき、前記マスクの実際の配置位置を特定する工程と、
前記マスクの実際の配置位置に基づき、前記非成膜領域が予め設定された幅寸法となるように、前記基板搬送機構により搬送される被処理基板の載置位置として、前記第1位置を補正する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、マスクを利用して被処理基板に対する非成膜領域の形成を行う成膜装置に対し、テスト用の被処理基板の載置位置を意図的にずらして成膜を行うことにより、マスクの実際の配置位置を特定する。この結果、前記実際の配置位置に応じた被処理基板の載置位置を特定できるので、被処理基板上の正確な位置に成膜領域や非成膜領域を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】発明の実施の形態に係る成膜システムの平面図である。
図2】前記成膜システムに設けられている成膜装置の縦断側面図である。
図3】前記成膜装置に設けられている載置台の拡大縦断側面図である。
図4】前記成膜システムに設けられているアライナの側面図である。
図5】前記アライナの平面図である。
図6】成膜が行われたウエハの周縁部の拡大平面図である。
図7】ウエハに形成された成膜領域と非成膜領域とを識別する手法を示す説明図である。
図8】処理対象のウエハの載置位置を設定する手順を示す説明図である。
図9】マスクの開口部に対し、中心位置を揃えて載置されたウエハの平面図である。
図10】マスクの開口部に対し、中心位置がずれて載置されたウエハの平面図である。
図11】第1の手法に係るテスト用のウエハの配置を示す第1の平面図である。
図12】成膜処理後のテスト用のウエハを示す第1の平面図である。
図13】第1の手法に係るテスト用のウエハの配置を示す第2の平面図である。
図14】成膜処理後のテスト用のウエハを示す第2の平面図である。
図15】第2の手法に係るテスト用のウエハの配置を示す平面図である。
図16】成膜処理後のテスト用のウエハを示す第3の平面図である。
図17】第3の手法に係る成膜処理後のテスト用のウエハを示す平面図である。
図18】ウエハのノッチ形成領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態として、被処理基板であるウエハWに対して成膜処理を実行する成膜システム1の構成について図1図7を参照しながら説明する。
図1に示すように本例の成膜システム1は、大気圧雰囲気下でウエハWの搬送が行われるローダーモジュール11と、成膜処理前のウエハWの向きを揃えるアライナ12と、ウエハWの周囲の雰囲気を大気圧雰囲気と真空圧雰囲気とで切り替えるロードロックモジュールLL1、LL2と、真空圧雰囲気下でウエハWの搬送を行う真空搬送モジュールTM1〜TM4と、ウエハWに対する処理を実行するプロセスモジュールPM1〜PM8と、を備えている。
【0012】
ローダーモジュール11は、大気圧雰囲気の筐体内にローダー搬送機構111を配置した構成となっている。ローダー搬送機構111は、搬送ロボットとして構成され、多関節アームと、当該多関節アームの先端に取り付けられ、ウエハWの搬送を実行するエンドエフェクタと、前記多関節アームを駆動する駆動装置とを備える。
【0013】
ローダーモジュール11を構成する筐体の一側壁面には、複数枚、例えば25枚のウエハWを収容可能なFOUP(Front Open Unified Pod)を載置可能な複数の載置台112が、前記側壁面に沿って配置されている。各載置台112に載置されたFOUP110には、成膜処理前または処理後のウエハWが収容される。
ローダーモジュール11内のローダー搬送機構111は、載置台112上に配置された各FOUP110と、アライナ12と、ロードロックモジュールLL1、LL2との間でウエハWを搬送する。
【0014】
アライナ12は、FOUP110から取り出され、ロードロックモジュールLL1、LL2に搬入される前のウエハWの向きを揃えるプレアライメント(Pre-Alignment)を実行する。また、アライナ12は、成膜処理後のウエハWの周縁部の画像データを取得する機能も備えている。当該アライナ12の具体的な構成及び機能の詳細については、図4図7を参照しながら後述する。
【0015】
各ロードロックモジュールLL1、LL2は、減圧可能なチャンバを有し、ゲートバルブGVL1、GVL2を介して既述のローダーモジュール11に接続されている。前記チャンバには、その内部を大気圧雰囲気と真空圧雰囲気とに切り替えるための図示しない真空ポンプやリーク弁が接続されている。さらにこれらロードロックモジュールLL1、LL2は、各々、ゲートバルブGV11、GV12を介して共通の真空搬送モジュールTM1に接続されている。
【0016】
真空搬送モジュールTM1〜TM4は、互いにほぼ共通の構成を備えるので、真空搬送モジュールTM1に着目して説明する。図1に示すように、真空搬送モジュールTM1は、例えば平面形状が六角形のチャンバ内に搬送機構TR1を設けた構成となっている。真空搬送モジュールTM1のチャンバ内は、真空排気された状態となっており、チャンバ内に搬入されたウエハWは、真空圧雰囲気下で搬送される。
【0017】
搬送機構TR1は、搬送ロボットとして構成され、鉛直軸周りに回転自在、且つ、この鉛直軸から水平方向に離れた延伸位置と、当該鉛直軸に近い縮退位置との間を伸縮自在に構成された多関節アームと、当該多関節アームの先端に取り付けられ、ウエハWの搬送を実行するエンドエフェクタと、前記多関節アームを駆動する駆動装置とを備える。
【0018】
図1に示すように、上述の真空搬送モジュールTM1を含む真空搬送モジュールTM1〜TM4は、各々六角形のチャンバの一面をローダーモジュール11側へ向け、ローダーモジュール11から見て前後方向に一列に配置されている。
ローダーモジュール11に対して最も手前側の真空搬送モジュールTM1は、各々、ゲートバルブGV11、GV12を介してロードロックモジュールLL1、LL2に接続されている。さらに真空搬送モジュールTM1は、これらロードロックモジュールLL1、LL2との接続面と隣り合う、チャンバの側壁面に設けられたゲートバルブGV13、GV14を介してプロセスモジュールPM1、PM2に接続されている。
【0019】
さらにプロセスモジュールPM1、PM2は、各々、他のゲートバルブGV21、GV22を介して共通の真空搬送モジュールTM2に接続されている。
以下同様に、一列に配置されたプロセスモジュールTM2〜TM3には、ゲートバルブGV23、GV24、GV31〜GV34、GV41〜GV44を介してプロセスモジュールPM3〜PM8が接続されている(図1参照)。
【0020】
プロセスモジュールPM1〜PM8は、ウエハWを処理する処理装置を含んでいる。本例の成膜システム1においては、7台のプロセスモジュールPM1〜PM5、PM7〜PM8は、ウエハWの表面に金属膜を形成する成膜装置として構成され、1台のプロセスモジュールPM6は、金属膜が形成されたウエハWに対する熱処理を実行する熱処理装置として構成されている場合について説明する。
なお、プロセスモジュールPM1〜PM8のうちいずれを成膜装置とし、いずれを成膜装置とは異なる装置(例えば熱処理装置や、金属膜を酸化する酸化装置)とするかについては、ウエハWに対して実施する処理の内容から決定され、特段の限定はない。また、全てのプロセスモジュールPM1〜PM8を成膜装置としてもよいことは勿論である。
【0021】
次いで図2を参照しながら、プロセスモジュールPM1〜PM5、PM7〜PM8である成膜装置2の構成について説明する。本例の成膜装置2は、スパッタリングによりウエハWの表面に金属膜を形成するスパッタリング装置として構成されている。
【0022】
図2に示すように成膜装置2は、処理容器21と、この処理容器21内に設けられ成膜対象のウエハWが載置される載置台23と、載置台23上に載置されたウエハWへ向けて金属を放出するターゲット34とを備えている。
例えば処理容器21は、上面が開口した概略円筒形状の容器である本体部211と、この本体部211の開口を塞ぐ蓋体部212とを備える。本体部211の側壁面には、真空搬送モジュールTM1〜TM4と接続される既述のゲートバルブGV13〜GV14、GV21〜GV24、GV31〜GV34、GV41〜GV44が設けられる(図2中には符号「GV」を付して示してある)。また本体部211には、処理容器21内の真空排気を行う不図示の真空排気部が接続されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、載置台23は、その本体を成すベース部231と、載置台23に対してウエハWを固定するための静電チャック232とを備えている。
例えばベース部231は、ウエハWより大きな直径を有する概略円盤形状の部材により構成され、その上面に静電チャック232が配置される。例えば静電チャック232は、ウエハWより小径の概略略円盤形状のセラミクス層内に不図示のチャック電極を配置した構成となっている。静電チャック232内のチャック電極に対し、直流電源(不図示)から電力の給断を行うことにより、ウエハWの吸着保持、吸着解除を切り替えることができる。円盤形状のベース部231及び静電チャック232は、各円の中心位置を揃えて同心円状に配置されている。
【0024】
さらに載置台23の上面には、ターゲット34から放出された金属がベース部231の表面に沈着することを防止するためのシールド板234が配置されている。シールド板234は、その内側に静電チャック232を収容可能な開口が形成された円環形状の部材により構成されている。図3に示すようにシールド板234は、後述のマスク26の開口部262に向けてベース部231が露出することを防止するため、静電チャック232の周囲を囲むようにベース部231上に配置される。
【0025】
載置台23を構成するベース部231の下面側の中央部には、載置台23の円の中心を通る鉛直軸周りに、当該載置台23を回転させるための回転軸22が接続されている。回転軸22は、ベース部231との接続部から、鉛直下方側へ向けて伸びるように設けられ、処理容器21(本体部211)の底面を貫通して駆動部24に接続されている。回転軸22が本体部211を貫通する位置には、処理容器21の内部空間を気密に保持するためのシール機構が設けられている。
【0026】
駆動部24は、回転軸22を鉛直軸周りに回転させることにより、載置台23上に載置されたウエハWを回転させることができる。また、駆動部24は、処理容器21内に搬送機構TR1〜TR4のエンドエフェクタを進入させたとき、載置台23との間でウエハWの受け渡しが行われる受け渡し位置と、当該受け渡し位置の上方側に設定され、ウエハWに対する成膜処理が行われる成膜位置との間で載置台23を移動させるため、回転軸22を上下方向に昇降移動させる機能も備えている。
【0027】
さらに処理容器21内には、ウエハWの周縁部に非成膜領域(金属膜が形成されない領域)を形成するためのマスク26が配置されている。
マスク26は、金属膜が形成される領域に対応し、ウエハWの直径よりも直径の小さな円形の開口部262を有する円環形状の部材により構成されている。図3に示すようにマスク26の底面側の中央部には、静電チャック232やシールド板234、静電チャック232上のウエハWを収容可能な凹部263が形成されている。
【0028】
この凹部263の周囲には、円環状の突条部264が形成され、当該突条部264の底面には、周方向に沿って複数の挿入孔265が形成されている。一方、載置台23の上面には、前記複数の挿入孔265に対応する位置に複数のピン233が設けられている。これらのピン233をマスク26側の挿入孔265に嵌め込むことにより、マスク26が載置台23に固定される。なお、ピン233と挿入孔265の位置関係を反転させ、マスク26側に複数のピン233を設け、載置台23側にこれらのピン233を挿入するための挿入孔265を形成してもよい。
また、マスク26の外縁部261は、下方側に向けて突出している。
【0029】
さらに処理容器21内には、載置台23を受け渡し位置まで降下させ、搬送機構TR1〜TR4との間でウエハWの受け渡しを実行する際に、載置台23からマスク26を取り外すと共に、取り外されたマスク26を支持するマスク支持体28が設けられている。マスク支持体28は、載置台23上に載置されたマスク26の外周面を囲むように配置された円筒状の部材により構成されている。マスク支持体28の上端部には外周方向へ向けて広がるフランジ部282が設けられている。マスク支持体28は、このフランジ部282が本体部211の内壁面に固定された状態で処理容器21内に吊り下げられている。
【0030】
マスク支持体28は、載置台23の昇降移動に伴うマスク26の移動経路と干渉しないように、円筒の内部空間を上下方向に向けて配置されている。また、マスク支持体28の下端部には、前記円筒の内側へ向けて突出し、縦断面が鉤状に形成された支持部281が、マスク支持体28の周方向に沿って形成されている。支持部281は、既述の受け渡し位置の上方側に設けられているので、載置台23を受け渡し位置まで降下させたとき、下方側に向けて突出している外縁部261が、前記支持部281に係止されることによってマスク26が載置台23から取り外され、ウエハWが露出した状態となる。
【0031】
次いで、蓋体部212側に設けられている機器の構成について説明する。
例えば蓋体部212の中央部には、スパッタリング用のイオンの原料ガス(例えばアルゴンガス)を処理容器21の内部空間に供給するためのガス供給部29が設けられている。
【0032】
さらに蓋体部212には、ターゲット34を保持するホルダ30と、当該ホルダ30を蓋体部212に固定するためのホルダ支持部32とが設けられている。ホルダ支持部32は絶縁体により構成され、例えば金属製の蓋体部212から、同じく金属製のホルダ30を電気的に絶縁しつつ、蓋体部212に対してホルダ30を固定する。
【0033】
さらにホルダ30は、電源36に接続され、電源36からホルダ30に対して電力が供給されると、ホルダ30に保持されたターゲット34の近傍に電界が発生する。この電界により、ガス供給部29から供給されたガスが解離してイオンが生成し、このイオンがターゲット34に衝突することにより、ターゲット34から金属膜の原料となる金属原子などが放出される。ターゲット34から放出された金属が、マスク26の開口部262を介してウエハW上に堆積することにより、ウエハWの表面に金属膜が形成される。
【0034】
上述の構成を備えた成膜システム1において、マスク26が設計通りの配置予定位置に配置される場合、図9に示すようにマスク26の開口部262の円の中心C図9図18中に黒い丸印で示してある)と、載置台23の回転中心C図9図17中にバツ印で示してある)とは、互いに揃う位置に配置される。この状態下で、ウエハWの中心C図9図18中に十字印で示してある)が、載置台23の回転中心Cと揃うようにウエハWを配置することにより、ウエハWの周縁部に均一な幅寸法を持つ非成膜領域を形成することができる。
【0035】
ここでウエハWの周縁部の正確な位置に非成膜領域を形成するため、本例のマスク26は、既述のように載置台23(ベース部231)側に設けられた複数のピン233を利用した位置決めが行われる。一方で、受け渡し位置と成膜位置との間の載置台23の昇降動作に応じて、載置台23に対するマスク26の装着、取り外しを自在に行えるように、ピン233と挿入孔265との間には隙間(遊び)を設ける必要がある。この結果、前記隙間の範囲内で、マスク26が載置台23上の配置予定位置に対してずれて配置されてしまう場合がある。
また、例えばマスク26の製作時や成膜システム1への組み付け時において、マスク26に形成された開口部262の中心Cの位置や、載置台23の回転中心Cの位置が許容されている範囲内でずれることもある。
【0036】
一方で、半導体装置の形成領域をできるだけ広く確保する必要性から、非成膜領域の幅寸法は、できるだけ小さな値に抑えることが要求されている。例えば、非成膜領域の設計上の幅寸法が1.0mm以下の場合には、ピン233と挿入孔265との間の隙間の影響や、非成膜領域の形成に係る機器の製造時や組み付け時のずれの影響が組み合わさって、図10に模式的に示すようにウエハWの中心C(即ち載置台23の回転中心C)に対して、マスク26の開口部262の中心Cが許容量を超えてずれてしまう場合がある。この結果、ウエハWの周縁部に正しく非成膜領域が形成されず、成膜領域がウエハWの端部に到達してしまうと、ウエハWの裏面側にまで金属膜が形成され、当該裏面と接触する機器を汚染してしまうおそれがある。
なお図示の便宜上、図4図7図9図18においては、ウエハWの直径とマスク26の開口部262の直径との差や、ウエハWの直径と金属膜MLの直径との差(即ち、非成膜領域EAの幅寸法)を誇張して表示してある。
【0037】
特にマスク26は、載置台23などと比較して、比較的頻繁に成膜装置2から取り外されてクリーニングなどが行われるため、予め複数のマスク26を準備しておき、これらのマスク26を取り替えながら成膜システム1を稼働させる場合がある。このような場合には、ウエハWの中心Cに対する開口部262の中心Cのずれの方向や距離が、マスク26の取り替え操作毎に相違してしまうおそれもある。
【0038】
上述の課題に対応するため、本例の成膜システム1はウエハWに形成された非成膜領域EAの実際の幅寸法ΔTを測定するために、前記非成膜領域EAを撮像する撮像部521を備えている。本例の成膜システム1において、撮像部521は、プロセスモジュールPM1〜PM8にて処理されるウエハWの向きを揃える既述のアライナ12内に設けられている。
以下、図4図7を参照しながらアライナ12の構成、及びアライナ12に併設されている撮像部521について説明する。
【0039】
本例の成膜システム1においてアライナ12は、ウエハWの中心Cの位置、及び当該中心Cから見たノッチNC(ウエハWの結晶方向を識別するための切り欠き部)の方向を検出する機能を備える。当該検出結果に基づき、アライナ12にてウエハWの向き(ウエハWの中心Cから見たノッチNCの方向)の調整を行うと共に、ローダー搬送機構111による搬送先を調整することにより、ロードロックモジュールLL1、LL2内におけるウエハWの載置位置、及びウエハWの向きを揃えることができる。この結果、各搬送機構TR1〜TR4を介して搬送されるプロセスモジュールPM1〜PM8内におけるウエハWの載置位置と向きを揃えて処理を実行することができる。
【0040】
図1に示すように、本例の成膜システム1においてアライナ12は、ローダーモジュール11の側壁面に設けられた筐体内に配置されている。図4の側面図、及び図5の平面図に示すように、アライナ12は、ウエハWが載置される円盤状のアライニング台43と、ノッチ検出センサ51とを備えている。アライニング台43の下面側の中央部には、アライニング台43の円の中心を通る鉛直軸周りに、当該アライニング台43を回転させるための回転軸42が接続されている。回転軸42の下端部には駆動部41が設けられ、鉛直軸周りに回転軸42を回転させることにより、アライニング台43上に載置されたウエハWを回転させることができる。
【0041】
ノッチ検出センサ51は、アライニング台43に載置されたウエハWの周縁部を挟み、アライニング台43の径方向に向けてライン状に配置されたLEDなどからなる投光部511と、CCDセンサなどからなる512とが上下に対向するように配置された透過型センサとして構成されている。投光部511から出力された光の一部はアライニング台43に載置されたウエハWの周縁で遮られ、残りの光が受光部512に入射する。アライニング台43によりウエハWを一回転させると、ノッチNCが形成されている位置にて、受光部512が検出する光量が大幅に増加するので、ノッチNCの形成位置を把握することができる。アライナ12は、ノッチNCの形成位置を把握したら、ノッチNCが予め決められた方向を向くようにアライニング台43を回転させてウエハWの向きを調整する。
【0042】
さらにアライナ12は、投光部511から出力された光の一部を遮るウエハWの端部位置と、受光部512に入射する光の光量との対応関係を予め把握しておくことにより、ウエハWの端部位置の変位を把握することもできる。アライニング台43の回転中心とウエハWの中心Cとが一致している場合には、ノッチNCの形成領域を除き、受光部512にて検出される端部の位置は変化しない(基準位置)。そこで例えば、ノッチNCの位置の検出動作と並行して、ウエハWを一回転させる期間中の端部の位置の変位を検出し、前記基準位置からの変位が大きくなる向き、及びこのとき変位の幅を特定することにより、アライニング台43の回転中心に対するウエハWの中心Cのずれの方向及び距離を特定することができる。
【0043】
アライニング台43におけるウエハWの中心Cのずれの方向及び距離が把握されたら、ローダー搬送機構111がアライナ12からウエハWを受け取って、ロードロックモジュールLL1、LL2内の不図示の載置部に搬送する際に、前記ずれが相殺されるようにウエハWの搬送先をずらすことにより、前記載置部の正確な載置位置に、向きを揃えて各ウエハWを載置することができる。
【0044】
なお、図示の便宜上、図4、5には、金属膜MLが形成された成膜処理後のウエハWをアライニング台43上に載置した状態を示しているが、上述のプレアライメントが実施されるのは、成膜処理前のウエハWがFOUP110から取り出され、ロードロックモジュールLL1、LL2に搬送される前のタイミングである。従ってプレアライメント時のウエハWの表面には成膜システム1で成膜される金属膜MLは形成されていない。
【0045】
さらにアライナ12には、撮像部521が設けられている。図4、5に示すように、撮像部521は、アライニング台43上に載置された成膜処理後のウエハWの周縁部を撮像可能な視野VFを有している。本例の撮像部521に対しては、反射鏡522を介して光路変更された画像が入射する構成となっている。当該撮像部521により、既述の非成膜領域EAを含むウエハWの周縁部の画像データを取得することができる(図6)。例えば撮像部521は、CCDカメラにより構成される。
【0046】
図7(a)〜(c)は、図6に示す視野VF内におけるウエハWの表面(上面)の高さ位置、撮像部521により撮像された画像データの階調値、及び前記階調値の微分値を、ウエハWの半径方向に向けて設定した矢印Aに沿って示した分布図である。
図7(a)に示すように、金属膜MLが形成されたウエハWの表面は、平坦な金属膜MLが形成された成膜領域にて最も高く、金属膜MLの端部E1から非成膜領域EAにかけて次第に低くなる傾斜面が形成されている。またウエハWの端部には、ベベルと呼ばれる面取りされた領域が形成されており、このベベルの形成領域の内端部E2から外方へ向けてウエハWの表面が次第に低くなる傾斜面が形成されている。
【0047】
上述の高さ分布を有するウエハWの表面を撮像した画像データにおいては、金属膜MLと非成膜領域EAとの間の傾斜面、及びベベルの傾斜面にて暗部が形成され、当該暗部における画像データの階調値が小さくなる(図7(b))。したがって、矢印Aの方向に沿って前記階調値を微分した微分値は、金属膜MLと非成膜領域EAとの間の傾斜面の始点や終点、ベベルの内周端部に対応した位置でピーク値を有する(図7(c))。
【0048】
そこで、上記ピーク値が形成される位置に基づいて、金属膜MLと非成膜領域EAとの間の傾斜面の終点(金属膜MLの外周端部)及びベベルの始点(ベベルの内周端部)の位置を特定し、これらの位置間の距離を求めることにより非成膜領域EAの実際の幅寸法を算出することができる。金属膜MLの外周端部とベベルの内周端部との距離は、例えば、これらの端部に対応するピークが検出された位置間における画像データ中の画素数に基づいて算出することができる。
【0049】
さらに図1に示すように、成膜システム1は制御部7を備えている。制御部7は、不図示のCPU(Central Processing Unit)と記憶部とを備えたコンピュータからなり、この記憶部には成膜処理前のウエハWをFOUP110から取り出し、各プロセスモジュールPM1〜PM8に搬送して成膜処理や熱処理を行った後、FOUP110に戻す動作を実行させる制御信号を出力するためのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリカードなどの記憶媒体に格納され、そこから記憶部にインストールされる。
【0050】
次に、上述の構成を備える成膜システム1を用いてウエハWに対する成膜処理を行う動作について説明する。
成膜処理前のウエハWを収容したFOUP110が載置台112に載置され、ローダーモジュール11に設けられた不図示の開閉機構によりFOUP110のドアが取り外されると、ローダー搬送機構111がウエハWを1枚ずつ取り出してアライナ12へと搬送する。
【0051】
アライナ12においては、図4、5を用いて説明したプレアライメントがウエハWに対して実施され、しかる後、ローダー搬送機構111は、アライナ12から所定のロードロックモジュールLL1、LL2にウエハWを搬送する。本例ではロードロックモジュールLL1を成膜処理前のウエハWの搬入用に用い、ロードロックモジュールLL2を成膜処理後のウエハWの搬出用に用いる場合について説明する。
既述のプレアライメントにより、ウエハWのノッチNCの向きが所定の方向に揃えられ、またウエハWの中心Cの位置が把握されているので、ロードロックモジュールLL1内の載置部の正確な載置位置に、ノッチNCを予め設定された方向へ向けてウエハWを載置することができる。
【0052】
ロードロックモジュールLL1にウエハWが搬送されたら、ゲートバルブGVL1を閉じて内部を真空排気する。ロードロックモジュールLL1内が所定の真空圧雰囲気となったら、ゲートバルブGV11を開き、搬送機構TR1により真空搬送モジュールTM1内にウエハWを搬入した後、当該ゲートバルブGV1を閉じる。
しかる後、ゲートバルブGV13を開いてプロセスモジュールPM1にウエハWを搬入する。
【0053】
プロセスモジュールPM1において、成膜装置2は載置台23を受け渡し位置まで降下させて待機しており、不図示の昇降ピンを介して搬送機構TR1のエンドエフェクタから、載置台23へのウエハWの受け渡しが行われる。
載置台23にウエハWを受け渡したら、処理容器21内から搬送機構TR1を退避させると共に、ゲートバルブGV13を閉じる。
【0054】
一方、ウエハWが載置された載置台23は、受け渡し位置から処理位置へ向けて上昇移動する。この上昇移動の途中で支持部281に支持されたマスク26が、載置台23に受け渡され、載置台23側のピン233がマスク26側の挿入孔265に嵌め込まれることにより、マスク26が所定の配置位置に配置される。マスク26を受け取った載置台23が処理位置へ到達したら上昇動作を停止する。
【0055】
しかる後、ガス供給部29から処理容器21内にスパッタリング用のガスを供給すると共に、真空排気を行って処理容器21内の圧力を調節する。処理容器21内が所定の圧力となったら、載置台23を回転させると共に電源36からホルダ30に電力を印加する。
この結果、ガス供給部29から供給されたガスがイオン化し、イオンがターゲット34に衝突することにより、ターゲット34から金属膜の原料(例えば金属原子)が放出される。
【0056】
ターゲット34から放出された金属は、マスク26の開口部262を介してウエハWの表面に到達し、ウエハWの表面に堆積して金属膜MLを形成する。
上述の成膜処理を予め設定された時間だけ実行し、ウエハWの表面に所望の膜厚の金属膜MLが形成されたら、電源36からの電力供給、及びガス供給部29からのガスの供給を終了する。そして、載置台23の回転を停止した後、載置台23を処理位置から受け渡し位置まで降下させる。
【0057】
以上に説明したように、プロセスモジュールPM1の成膜装置2におけるウエハWの成膜処理が完了したら、当該プロセスモジュールPM1に接続された真空搬送モジュールTM2側へと当該ウエハWを取り出す。そして、この真空搬送モジュールTM2に接続されたプロセスモジュールPM3にウエハWを搬入し、成膜装置2により同様の動作を実行して、ウエハWの表面に、プロセスモジュールPM1とは異なる金属膜MLを成膜する処理を実行する。
【0058】
このように、プロセスモジュールP1→P3→P5→P7→P8の順にウエハWを搬送して膜処理を行うことで、種類の異なる(例えば異なる金属種の)金属膜MLが順次、積層される。本例では、プロセスモジュールP8における成膜処理を行った後、プロセスモジュールP6にて熱処理が行われる。一方、プロセスモジュールP4、P2における処理は行わず、これらのプロセスモジュールP4、P2を通ってウエハWがロードロックモジュールLL2へ搬送される。
【0059】
なお既述のように、本例の成膜システム1のプロセスモジュールPM1〜PM8に設ける成膜装置や熱処理装置、酸化装置の選択や設置台数は、ウエハW上に積層される膜の構成に合わせて適宜、変更することが可能である。そして、これらプロセスモジュールPM1〜PM8に対するウエハWの搬送経路についても、各成膜装置にて成膜される金属種や各種装置の配置位置と、ウエハW上に積層される膜の構成との対応関係に応じて、適宜、設定することができる。
【0060】
金属膜MLが積層された成膜処理後のウエハWが搬出用のロードロックモジュールLL2に搬入されたら、ゲートバルブGV12を閉じた後、ロードロックモジュールLL2内に清浄空気を導入して内部の圧力を大気圧まで上昇させる。そして、ゲートバルブGVL2を開き、ローダー搬送機構111によりロードロックモジュールLL2内のウエハWを取り出して元のFOUP110に搬送する。
以上に説明した動作がFOUP110内の各ウエハWに対して実行され、全ての成膜処理後のウエハWがFOUP110に収容されたら、取り外されていたドアがFOUP110に取り付けられ、次のプロセスへとFOUP110が搬送される。
【0061】
以上に説明した動作に基づき成膜処理を実行する成膜システム1は、既述のように、図4〜7を用いて説明した手法に基づき、ウエハWに形成された非成膜領域EAの実際の幅寸法ΔTを測定する撮像部521を備えている。本例の成膜システム1は、テスト用のウエハWを用いて前記幅寸法ΔTを測定した結果に基づき、マスク26の実際の配置位置を特定し、この実際の配置位置に基づき成膜装置2に搬送される製品用のウエハWに形成される非成膜領域EAの幅寸法ΔTが予め設定された設計値となるように、載置台23におけるウエハWの載置位置を補正する機能を備えている。
以下、図8及び図9〜17を参照しながら、ウエハWの載置位置を補正する手法について説明する。
【0062】
ここで図9を用いて説明したように、マスク26に対しては、載置台23に設定された所定の位置(以下、「第1位置」という)にウエハWを載置して成膜処理を行ったとき、予め設定された幅寸法ΔTの非成膜領域EAを形成することができる配置予定位置が設定されている。図9に示すように、本例における第1位置は、載置台23の回転中心Cに対して、ウエハの中心Cの位置が揃う位置に設定されている。また、マスク26の配置予定位置についても、載置台23の回転中心Cに対して、マスク26の開口部262の中心Cが揃う位置に設定されている。
【0063】
またここで、マスク26を用いて形成される非成膜領域EAの設計上の幅寸法が例えば1.0mm以下にまで狭くなると、配置予定位置に配置されるべきマスク26と、第1位置に載置されるウエハWとの位置関係が僅かにずれただけであっても、例えば金属膜MLの端部がウエハWのベベル側にまではみ出してしまうケースが発生しやすくなる。また、ずれが僅かである程、図7(a)〜(c)を用いて説明した、ウエハWの周縁部の画像データに基づく金属膜MLの外周端部とベベルの内周端部との識別が困難となってしまう。
【0064】
このような場合には、撮像部521を用いて非成膜領域EAの撮像を行ってもマスク26の実際の配置位置を特定することができない。そこで本例の成膜システム1は、非成膜領域EAの設計上の幅寸法が狭い場合であっても、撮像部521を利用してマスク26の実際の配置位置を特定することが可能な動作を実行することができる。
なお、非成膜領域EAの設計上の幅寸法が0.2mm未満の場合には、撮像部521を用いる場合の他、目視による測定でも金属膜MLの外周端部とベベルの内周端部とを識別することは困難なので、本技術は非成膜領域EAの幅寸法が0.2mm未満の場合により好適な技術である。なお本技術は、非成膜領域EAの幅寸法が0.2mm以上であるときを排除するものではない。
【0065】
ウエハWの載置位置の補正は、例えば成膜システム1の新規設置時や、成膜装置2にてマスク26の取り替えが行われた後のタイミングにて実施される。テスト用のウエハWとしては、例えば製品のウエハWと共通のものが用いられる。
【0066】
はじめに、載置位置の補正が行われる成膜装置2を備えたプロセスモジュールPM1〜PM5、PM7〜PM8に対し、搬送機構(ローダー搬送機構111及び搬送機構TR1〜TR4)により、テスト用のウエハWを搬送する。そして、マスク26の配置予定位置に対応した既述の第1位置からずらして設定された、載置台23上の第2位置に当該ウエハWを載置する(図8の工程PR1)。
【0067】
このとき、製品のウエハWに対して金属膜MLの積層を行う場合と同じ搬送経路を通って、載置位置の補正が行われるプロセスモジュールPM1〜PM5、PM7〜PM8へとテスト用のウエハWを搬送してもよい。製品のウエハWと同様の搬送経路を経由することにより、ロードロックモジュールLL1、LL2やプロセスモジュールPM1〜PM8を介したローダー搬送機構111や搬送機構TR1〜TR4間のウエハWの受け渡し時の位置ずれなど再現しつつ、テスト用のウエハWを成膜装置2に搬送することができる。
なお、どのような搬送経路を通っても、ウエハWが常に同じ位置(第1位置)に載置されるように、各搬送機構(ローダー搬送機構111や搬送機構TR1〜TR4)の調整が行われている場合には、製品のウエハWの搬送経路を経由せずに、最短の搬送経路を選択してテスト用のウエハWの搬送を行ってもよいことは勿論である。
【0068】
ここでテスト用のウエハWが載置される第2位置は、マスク26の配置予定位置に対応した第1位置から、予め設定した方向へ、予め設定した距離だけずらした位置に設定される。
第1位置に対して第2位置をずらす方向に特段の限定はない。但し、当該ずらし方向にノッチNCが形成されている場合には、図18を用いて説明する後述の手法などにより、ノッチNCが形成されていないと仮定したとき、このノッチNCに対応する領域に形成される非成膜領域EAの幅寸法を推定する演算が行われる。
【0069】
また、第1位置に対して第2位置をずらす距離は、ウエハWの側面がマスク26の突条部264やシールド板234などに接触しない範囲で、少なくとも非成膜領域EAの設計上の幅寸法と同じ距離、好ましくは前記設計上の幅寸法の2倍以上の距離(例えば非成膜領域EAの設計上の幅寸法が1.0mmの場合は、最低1.0mm、好ましくは2.0mm以上の距離)が設定される。
但し、既述のように金属膜MLの外周端部とベベルの内周端部との距離が0.2mm未満の場合にはこれらの端部の識別が困難となる。よって、非成膜領域EAの設計上の幅寸法が0.2mm未満の場合であっても前記端部が識別可能となるように、第1位置と第2位置との距離は、少なくとも0.2mm以上離れた位置に設定することが好ましい。
【0070】
さらに、ウエハWを第2位置に載置して成膜処理を行った結果、後段の非成膜領域EAの幅寸法の測定工程にて、依然として撮像部521を用いた金属膜MLの外周端部とベベルの内周端部との識別が困難な場合は、ずらす距離を大きくして再設定した第2位置に、新たなテスト用のウエハWを搬送してもよい。
【0071】
載置台23上に設定された第2位置に、テスト用のウエハWが載置されたら、載置台23を受け渡し位置から処理位置まで上昇させ、当該ウエハWの上方にマスク26を配置する。そして、先に説明した手順によりウエハWに対する金属膜MLに対する成膜処理を行う(工程PR2)。
【0072】
成膜処理が完了したら、成膜装置2からウエハWを取り出してアライナ12に搬送し、撮像部521により非成膜領域EAの幅寸法ΔTの測定を行う(工程PR3)。
次いで、成膜処理の際にテスト用のウエハWが載置された第2位置の第1位置に対するずれの方向及び距離と、前記非成膜領域EAの幅寸法ΔTの測定結果とに基づき、マスク26の実際の配置位置を特定する(工程PR4)。
【0073】
ここで、工程PR4にてマスク26の実際の配置位置を特定するにあたっては、複数種類の手法を例示することができるので、図11図17を参照しながらその具体例を説明する。
はじめに、図9を用いて説明した第1位置(載置台23の回転中心CとウエハWの中心Cとが揃う位置)にウエハWが載置されている状態にて、図10に示すようにマスク26の実際の配置位置が、その配置予定位置(開口部262の円の中心Cと載置台23の回転中心Cとが揃う位置)からずれた状態となっているとする。
なお図示の便宜上、図9図14図15図17には、マスク26の開口部262に対応する円のみを記載してある。
【0074】
この場合において第1の手法は、例えば図中に併記したX軸方向、Y軸方向の各々に向けて2種類の第2位置を設定し、これらの第2位置に異なるテスト用のウエハWを載置して成膜処理を行った結果に基づいてマスク26の実際の配置位置を特定する(図11図14)。ここで計算の便宜上、X軸、Y軸は、載置台23の回転中心Cを原点として、第1位置から見た第2位置への移動方向が正となるように設定されているものとする。
【0075】
図11は、図10の状態から、X軸の正方向へ向けてΔxだけ移動した位置に第2位置を設定してテスト用のウエハWを載置した状態を示している。この状態にて成膜処理を行うと、図12に示したように金属膜MLと非成膜領域EAとが形成されたウエハWが得られる。また、開口部262(図12中に一点鎖線で示してある。図14図16図17において同じ)の開口半径をrとしたとき、ターゲット34から放出された金属膜MLの原料は、マスク26の下方側にまで回り込んで金属膜MLとなる。このため、当該回り込み幅をΔtとしたとき、成膜処理後のウエハWの表面には、半径r+Δtの金属膜MLが成膜される。なお、成膜処理後のウエハWを示す図12図14図16図17図18において、グレーで塗り潰した領域は金属膜MLを示し、白抜きの領域は非成膜領域EAを示している。
【0076】
ここで本来マスク26は挿入孔265に載置台23側のピン233を挿入することにより、予め設定された配置予定位置に配置されるように構成されている。このような構成においても、マスク26の実際の配置位置が、配置予定位置からずれてしまうのは、ピン233と挿入孔265との間の隙間の影響や、製造時や組み付け時における影響などが組み合わさることなどにより、許容量を超えたずれが発生してしまうためと考えられる。
【0077】
このように、僅かなずれの要素が組み合わされてずれが顕在化する場合には、配置予定位置に対するマスク26の実際の配置位置のX軸方向へのずれ量Δx’は、開口部262の開口半径rに対して十分に小さい。従って、正方向へ伸びるX軸と、ウエハWに引いた開口部262(一点鎖線)との交点を点Mとしたとき、∠CMCの成す角φは十分に小さく、cosφ≒1とみなせる。このとき、ウエハWの中心Cから金属膜MLの端部EまでのX軸上の距離|CE|は、下記(1)式で表すことができる。
|CE|=rcosφ−(Δx−Δx’)+Δt
≒r−(Δx−Δx’)+Δt …(1)
【0078】
一方、ウエハWの半径がRのとき、第1位置に対する第2位置のずれ方向であるX軸と、非成膜領域EAとの交差位置における非成膜領域EAを撮像部521して得られた幅寸法をΔTとすると、距離|CE|は(2)式で表される。
|CE|=R−ΔT …(2)
【0079】
(1)、(2)式をX軸方向のずれ量Δx’について整理すると(3)式が得られる。
Δx’=Δx−{(r+Δt)−(R−ΔT)} …(3)
図10に示す第1位置に配置されたウエハWの中心Cとマスク26の実際の配置位置Cとの関係から、Δx’>0である場合は、第1位置のウエハWを正方向へ|Δx’|だけずらすことにより、マスク26の中心Cに対してX軸方向のずれを相殺することができる。またΔx’<0である場合には、ウエハWを負方向へ|Δx’|だけずらすことにより、同じくX軸方向のずれを相殺することができる。
【0080】
次いで図13は、図10の状態から、Y軸の正方向へ向けてΔyだけ移動した位置に第2位置を設定してテスト用のウエハWを載置した状態を示している。この状態にて成膜処理を行うと、図14に示したように金属膜MLと非成膜領域EAとが形成されたウエハWが得られる。
【0081】
ここで正方向へ伸びるY軸と、ウエハWに引いた開口部262(一点鎖線)との交点を点M’とすると、ウエハWの中心Cから金属膜MLの端部E’までのY軸上の距離を|CE’|は、図12に示す例と同様の考え方に基づき下記(4)、(5)式で表すことができる。
|CE’|=rcosφ−(Δy−Δy’)+Δt
≒r−(Δy−Δy’)+Δt …(4)
|CE’|=R−ΔT …(5)
【0082】
(4)、(5)式をY軸方向のずれ量Δy’について整理すると(6)式が得られる。
Δy’=Δy−{(r+Δt)−(R−ΔT)} …(6)
図10に示す第1位置に配置されたウエハWの中心Cとマスク26の実際の配置位置Cとの関係から、Δy’>0である場合は、第1位置のウエハWを正方向へ|Δy’|だけずらすことにより、マスク26の中心Cに対してY軸方向のずれを相殺することができる。またΔy’<0である場合には、ウエハWを負方向へ|Δy’|だけずらすことにより、同じくY軸方向のずれを相殺することができる。
【0083】
次いで第2の手法について説明する。図15は、図11に示すX軸の正方向への距離Δxの移動と、図13に示すY軸の正方向への距離Δyの移動とを組み合わせ、斜め方向へ移動させた位置に第2位置を設定してテスト用のウエハWを載置した状態を示している。この状態にて成膜処理を行うと、図16に示したように金属膜MLと非成膜領域EAとが形成されたウエハWが得られる。
【0084】
斜め方向へ移動した第1位置と第2位置との間の距離がLであり、ウエハWの中心Cから見て前記斜め方向(第1位置に対する第2位置のずれ方向)と非成膜領域EAとが交差する交差位置の幅寸法をΔTとすると、当該幅寸法のX軸方向成分ΔT、Y軸方向成分ΔTは、下記(7)、(8)式で表すことができる。
ΔT=ΔT・(Δx/L) …(7)
ΔT=ΔT・(Δy/L) …(8)
非成膜領域EAの幅寸法ΔTのX軸方向成分ΔT、Y軸方向成分ΔTが求められたら、各々の値を既述の(3)、(6)式に入力して第1位置の補正量Δx’、Δy’を求めることができる。
【0085】
また図17は第3の手法に係る説明図である。本例においては、予め設定した任意の方向に第2位置を設定する(図17は、図15と同様の方向及び距離だけ第2位置を移動させて成膜を行った場合を示している)。
図17に示す例において、ウエハWの中心CからウエハWの外周へ向けて引いた半径Rの外端pを、金属膜MLの外周とウエハWの外周との一方の交点pから、他方の交点pへ向けて移動させていく場合を考える。このとき外端pnは、図17に示すようにp…→p…→p…→p…→pと移動する。さらに、前記半径Rと金属膜MLの外周との交点qとする。pの移動に伴って交点qもq…→q…→q…→q…→qと移動する。
【0086】
ここで∠q=θとするとき、|C|=Rは、下記(9)式で表現できる。
=|C+|C−2|C||C|cosθ
=(r+Δt)+a−2a(r+Δt)cosθ …(9)
但し、|C|=a、θ≠0
【0087】
(9)式及び図17によると、θをゼロに近づけるほどRの値が小さくなり、マスク26の中心Cと、ウエハWの中心Cと、外端pとが一直線上に並んだとき(図17においてはp=pのとき)、Rの値が最小となる。また、前記半径上の外端pと交点qとの距離|p|=Rとすると、RはRの値が最小となる位置にて最大となる。このとき、Rは非成膜領域EAの幅寸法ΔTに他ならないので、非成膜領域EAの幅寸法ΔTが最大となる位置は、点C−C−pが一直線上に並ぶ位置である。
【0088】
以上に説明した関係を踏まえ、例えば図4に示すアライニング台43上に載置されたウエハWを回転させながら、ウエハWの周方向に沿った異なる位置の非成膜領域EAの幅寸法ΔTを連続的に測定し、当該幅寸法ΔTが最大となる位置(図17の外端p)を特定する。そして、この外端pからウエハWの半径方向に引いた直線と金属膜MLの外周との交点qを求めれば、当該交点qから前記半径方向へr+Δtだけ移動した位置にマスク26の実際の配置位置(開口部262の中心C)が存在していることを特定できる。マスク26の実際の配置位置が特定されたら、ウエハWの中心Cの位置が前記開口部262の中心Cの実際の配置位置と揃うように第1位置を補正すればよい。
【0089】
ここで図18は、テスト用のウエハWの中心Cから見て、図11、13、15に例示した第2位置のずらし方向にノッチNCが形成されている場合の例を示している。この場合には、ノッチNCが形成されていないと仮定したとき、当該ノッチNCに対応する領域に形成される非成膜領域EAの幅寸法ΔTを推定する演算が行われる。
以上、図11図17を用いてマスク26の実際の配置位置を特定する手法をいくつか例示したが、他の手法により、マスク26の実際の配置位置を特定してもよいことは勿論である。
【0090】
非成膜領域EAの幅寸法ΔTの推定法に特段の限定はないが、例えばウエハWの半径に対してノッチNCの幅が十分に小さく、ノッチNCと金属膜MLとの交点PN1、PN2を結ぶ直線をL1、ウエハWの中心Cと交点PN1、PN2とを結ぶ半径をRN1、RN2、ノッチNCの両端部を結ぶ直線をL2、直線L2と半径RN1、RN2との交点をQN1、QN2、第1位置から見た第2位置のずらし方向(図18に示す例では線分QN1−QN2の中点QN3の位置する方向)に引いた半径RN3、半径RN3と直線L1との交点をPN3とする。このとき、ノッチNCが形成されていないと仮定したときに当該領域に形成される非成膜領域EAの幅寸法ΔTは、線分QN3−PN3の長さとして近似することができる。
【0091】
また上述の近似に替えて、テスト用のウエハWのノッチNCが形成されていない領域の周方向に異なる2点を撮像部521により撮像し、これらの視野VF内に形成される金属膜MLの端部の曲線と直交する方向へ各々直線を引いて、これらの直線の交点から金属膜MLの中心の位置(即ち、マスク26の開口部262の中心Cの位置)を特定してもよい。当該Cの位置を中心として半径r+Δtの円の曲線を描くことにより、ノッチNCが形成されていないと仮定したとき、このノッチNCに対応する領域に形成される金属膜MLの外周端の曲線を推定することができる。また、ウエハWの中心から半径Rの円を描くことにより、ウエハWの外周端部が描く曲線についても同様に推定することができる。そして、第1位置から見た第2位置のずらし方向に引いた直線と、これら金属膜MLの外周端及びウエハWの外周端部が描く曲線との交点間の距離に基づき、より高い精度で非成膜領域EAの幅寸法ΔTを測定してもよい。
【0092】
ノッチNCが形成されていないと仮定したとき、当該ノッチNCに対応する領域に形成される非成膜領域EAの幅寸法ΔTが推定できたら、図9図17を用いて説明した第1〜第3の手法などを用いて、載置台23に載置されるウエハWの第1位置の補正量を算出することができる。
【0093】
上述の手法に替えて、第2位置のずれ方向は、テスト用のウエハWの中心とノッチNCが形成された領域とを結ぶ範囲を避けた向きに設定してもよい。
【0094】
図8の説明に戻ると、以上に例示した手法などによりマスク26の実際の配置位置が特定されたら、前記実際の配置位置における開口部262の中心Cと製品となるウエハWの中心Cとが揃うように、搬送機構TR1〜TR4による搬送先である第1位置を補正する(工程PR5)。
そして、載置位置の補正が必要な他のプロセスモジュールPM1〜PM5、PM7〜PM8に設けられた成膜装置2ついても同様に、図8に示す工程PR1〜PR5の動作を実施したら、製品のウエハWに対するウエハWの処理を開始する準備が完了する。
【0095】
本実施の形態に係る成膜システム1によれば、以下の効果がある。マスク26を利用してウエハWに対する非成膜領域EAの形成を行う成膜装置2に対し、テスト用のウエハWの載置位置(第2位置)を、実際の載置位置(第1位置)から意図的にずらして成膜を行うことにより、マスク26の実際の配置位置を特定する。このため、非成膜領域の幅寸法が狭い場合であっても、金属膜MLの外周端とウエハWのベベルの内周端との識別が容易となり、マスク26の実際の配置位置を確実に特定することが可能となる。この結果、マスク26の実際の配置位置に応じて製品のウエハWの載置位置(第1位置)を特定できるので、製品のウエハW上の正確な位置に金属膜MLや非成膜領域EAを形成することができる。
【0096】
ここで、図8に示す工程PR3において、非成膜領域EAの幅寸法ΔTの測定は、撮像部521を用いてウエハWの周縁部を撮像して得られた画像データに基づいて当該幅寸法ΔTを特定する手法を採用する場合に限定されない。例えば成膜処理後のテスト用のウエハWを成膜システム1から取り出し、ノギスなどを用いて目視により非成膜領域EAの幅寸法ΔTを測定してもよい。
【0097】
また、撮像部521は、アライナ12に設ける場合に限定されるものではなく、他の位置に設けてもよい。他の位置の例として、各プロセスモジュールPM1〜PM5、PM7〜PM8を構成する各成膜装置2の蓋体部212に撮像部521を設ける場合や、アライナ12とは反対側のローダーモジュール11の側壁に、図4に示したものと同様に鉛直軸の周りに回転自在な載置台を設け、当該載置台を用いて回転するウエハWの周縁部の画像データを取得する撮像部521を設ける場合を例示することができる。
【0098】
この他、成膜装置2はスパッタリング装置として構成する場合に限定されるものではない。例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜を行う成膜装置に対しても本発明は適用することができる。
そして成膜システム1の構成は、プロセスモジュールPM1〜PM6を介して複数の真空搬送モジュールTM1〜TM4を連結した、図1に示すタイプのものに限定されない。例えば1つの真空搬送モジュールTM1に対して複数のプロセスモジュールPM1〜PM3を並列に接続するクラスタツール型の成膜システム1に対しても本発明は適用することができる。
【0099】
さらには、被処理基板は円形のウエハWに限定されるものではなく、FPD(Flat Panel Display)用の矩形基板であってもよい。矩形基板に対して成膜を行う場合には、マスク26の開口部262の開口形状も矩形となる。
そして、円形のウエハWに形成される方向識別用の切り欠き部の構成は、くさび状のノッチNCに限定されるものではなく、例えばオリエンテーションフラットであってもよい。
【符号の説明】
【0100】
EA 非成膜領域
ML 金属膜
NC ノッチ
TR、TR1〜TR4
搬送機構
W ウエハ
1 成膜システム
2 成膜装置
23 載置台
26 マスク
262 開口部
521 撮像部
7 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18