特許第6618208号(P6618208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6618208-接着剤組成物 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618208
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/00 20060101AFI20191202BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20191202BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20191202BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20191202BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   C09J123/00
   C09J11/06
   C09J11/04
   H05B33/04
   H05B33/10
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-549739(P2017-549739)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公表番号】特表2018-513891(P2018-513891A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】KR2016003008
(87)【国際公開番号】WO2016153297
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2017年9月22日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0040743
(32)【優先日】2015年3月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スプ・シム
(72)【発明者】
【氏名】セ・ウ・ヤン
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/062167(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/172388(WO,A1)
【文献】 特表2009−531516(JP,A)
【文献】 特開2008−106108(JP,A)
【文献】 特開2012−233035(JP,A)
【文献】 特開2008−208182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 − 201/10
C08K 3/00 − 13/08
C08L 1/00 − 101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つ以上の反応性官能基を有するオレフィン系樹脂、硬化性樹脂反応性希釈剤および無機フィラーを含み、
前記オレフィン系樹脂は、イソブチレン系単独重合体または共重合体であり、
前記硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂であり、かつアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアヌレート樹脂またはエポキシ樹脂であり、
前記無機フィラーのBET比表面積が35m/g〜500m/gの範囲内にあり、
下記の一般式1による揺変性指数(T)が1.35〜5の範囲内にある有機電子素子封止用、接着剤組成物:
[一般式1]
T=V0.5/V
前記一般式1で、V0.5は25℃の温度、0.5rpmの回転速度およびRV−7番スピンドルでブルックフィールド粘度計で測定した前記接着剤組成物の粘度であり、Vは25℃の温度、5rpmの回転速度およびRV−7番スピンドルでブルックフィールド粘度計で測定した前記接着剤組成物の粘度を表わす。
【請求項2】
25℃の温度、0.5rpmの回転速度およびRV−7番スピンドルでブルックフィールド粘度計で測定した粘度が100,000cPs〜1,000,000cPsの範囲内にある、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
無機フィラーはオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部で含まれる、請求項に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
オレフィン系樹脂は重量平均分子量が10万以下である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
反応性官能基は酸無水物基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、オキセタン基、シアネート基、フェノール基、ヒドラジド基またはアミド基を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
硬化性樹脂は硬化性官能基を一つ以上含む樹脂である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
硬化性樹脂はオレフィン系樹脂100重量部に対して10〜70重量部で含まれる、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
反応性希釈剤はオレフィン系樹脂100重量部に対して10〜100重量部で含まれる、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
反応性希釈剤は多官能性の活性エネルギー線重合性化合物を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
多官能性の活性エネルギー線重合性化合物は下記の化学式1を満足する、請求項に記載の接着剤組成物:
【化1】
前記化学式1で、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは2以上の整数であり、Xは炭素数3〜30の直鎖、分枝鎖または環状アルキル基またはアルケニル基から誘導された残基を表わす。
【請求項11】
開始剤または硬化剤を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項12】
水分吸着剤をさらに含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項13】
水分吸着剤はオレフィン系樹脂100重量部に対して5〜100重量部で含まれる、請求項12に記載の接着剤組成物。
【請求項14】
オレフィン系樹脂、硬化性樹脂および反応性希釈剤はそれぞれ40〜90重量部、5〜50重量部および1〜40重量部で含まれる、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項15】
基板;基板上に形成された有機電子素子;および前記基板の周縁部上に前記有機電子素子の側面を囲むように形成され、請求項1に記載された接着剤組成物を含む側面封止層を含む、有機電子装置。
【請求項16】
有機電子素子の前面をカバーする前面封止層をさらに含み、前記前面封止層および側面封止層は同一平面上に存在する、請求項15に記載の有機電子装置。
【請求項17】
上部に有機電子素子が形成された基板の周縁部上に、請求項1に記載された接着剤組成物を前記有機電子素子の側面を囲むように塗布する段階;前記接着剤組成物に光を照射する段階;および前記接着剤組成物に熱を加える段階を含む、有機電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2015年03月24日付韓国特許出願第10−2015−0040743号に基づいた優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
技術分野
【0002】
本出願は接着剤組成物、これを含む有機電子装置および前記有機電子装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
有機電子装置(OED;organic electronic device)は正孔および電子を利用して電荷の交流を発生する有機材料層を含む装置を意味し、その例としては、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッター(transmitter)および有機発光ダイオード(OLED;organic light emitting diode)などが挙げられる。
【0004】
前記有機電子装置のうち有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Didoe)は既存の光源に比べて、電力消費量が少なく、応答速度が速く、表示装置または照明の薄型化に有利である。また、OLEDは空間活用性が優秀であり、各種携帯用機器、モニター、ノートパソコンおよびTVにわたる多様な分野で適用されると期待されている。
【0005】
OLEDの商用化および用途拡大において、最も主要な問題点は耐久性問題である。OLEDに含まれた有機材料および金属電極などは水分などの外部的要因によって非常に容易に酸化される。したがって、OLEDを含む製品は環境的要因に非常に敏感である。したがって、OLEDなどのような有機電子装置に対する外部からの酸素または水分などの浸透を効果的に遮断するために多様な方法が提案されている。
【0006】
特許文献1は接着性カプセル化組成物フィルムおよび有機電界発光素子であって、PIB(polyisobutylene)を基盤とした粘着剤であり、加工性が悪く、高温高湿条件で信頼性が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2008−0088606号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は外部から有機電子装置に流入する水分または酸素を効果的に遮断できる封止構造の形成が可能であるため、有機電子装置の寿命を確保することができ、有機電子装置の封止構造を形成する工程で塗布が容易であるため、封止構造内部に気泡が流入したり塗布ノズルが詰まる問題を防止して工程性(作業性)を向上させることができる接着剤組成物およびこれを含む有機電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願は接着剤組成物に関するものである。前記接着剤組成物は例えば、OLEDなどのような有機電子装置を封止またはカプセル化することに適用される封止材であり得る。一つの例示において、本出願の接着剤組成物は有機電子素子の少なくとも一つの側面を封止またはカプセル化することに適用され得る。したがって、前記接着剤組成物がカプセル化に適用された後には有機電子装置の周縁部に存在することができる。
【0010】
本明細書で、用語「有機電子装置」は互いに対向する一対の電極の間に正孔および電子を利用して電荷の交流を発生する有機材料層を含む構造を有する物品または装置を意味し、その例としては、光電池装置、整流器、トランスミッターおよび有機発光ダイオード(OLED)などが挙げられるが、これに制限されるものではない。本出願の一つの例示において、前記有機電子装置はOLEDであり得る。
【0011】
例示的な有機電子素子封止用接着剤組成物は少なくとも一つ以上の反応性官能基を有するオレフィン系樹脂を含み、下記の一般式1による揺変性指数(T)が1.35〜5の範囲内にあり得る。本出願はオレフィン系樹脂を含む接着剤組成物の揺変性指数を制御することによって、水分遮断性能が優秀で目的とする封止構造形状を容易に具現可能な封止材を提供する。
【0012】
[一般式1]
T=V0.5/V
前記一般式1で、V0.5は25℃の温度、0.5rpmの回転速度およびRV−7番スピンドルでブルックフィールド(Brookfield)粘度計で測定した前記接着剤組成物の粘度であり、Vは25℃の温度、5rpmの回転速度およびRV−7番スピンドルでブルックフィールド(Brookfield)粘度計で測定した前記接着剤組成物の粘度を表わす。
【0013】
一つの例示において、本出願の接着剤組成物の揺変性指数は1.35〜5、1.36〜4.5、1.37〜4、1.38〜3.5または1.39〜3.3の範囲内にあり得る。本出願は、前記の通りに接着剤組成物の揺変性指数を制御することによって、オレフィン系樹脂を通じて優秀な水分遮断性能を有する封止構造を提供するとともに有機電子素子の封止工程で封止材内部への気泡の流入または前記組成物の塗布中のノズルの詰まりなどの問題が発生することを防止して工程性および生産性を向上させることができる。
【0014】
一つの例示において、前記接着剤組成物は25℃の温度、0.5rpmの回転速度およびRV−7番スピンドルでブルックフィールド粘度計で回転力(torque)により測定した粘度が100,000cPs〜1,000,000cPsの範囲内にあり得る。具体的には、本出願で粘度は、特に規定しない限り、Brookfield粘度計としてDV−II+Proを使用してRV−7番スピンドルで測定することができ、25℃の温度および0.5rpmの回転速度の条件でその範囲は100,000cPs〜1,000,000cPs、100,000cPs〜500,000cPsまたは100,000cPs〜460,000cPsであり得る。本出願は、組成物の常温粘度を100,000cPs以上に制御することによって、組成物内に存在する物質、例えば、水分吸着剤または無機フィラーなどが沈降することを防止することができ、前記組成物を所望の位置に塗布して封止構造を形成するにおいて目的とする形状の具現および維持が可能となり得る。
【0015】
前述した揺変性または粘度などの物性は接着剤組成物を構成する成分の種類、各成分間の含量、各成分間の架橋の程度などによって調節することができる。前記物性を満足する限り、組成物を構成する物質は特に制限されない。例示的な接着剤組成物は反応性官能基を一つ以上含むオレフィン系樹脂、硬化性樹脂および反応性希釈剤を含むことができる。本出願は透湿度が低いオレフィン系樹脂とともに硬化性樹脂および反応性希釈剤を共に使用することによって、優秀な水分遮断性能を具現して高温高湿で優秀な耐久信頼性を持って目的とする封止構造形状を容易に具現可能な封止材を提供することができる。
【0016】
一方、本明細書で「揺変性」とは、前記組成物が停止状態では流動性がないが振動させると流動性を有する性質を意味し得る。前記揺変性指数を測定する方法は特に限定されず、当業界公知の流変性測定機器を通じて測定することができ、例えば、Brookfield粘度計としてDV−II+Proを使用することができる。
【0017】
一つの例示において、前記接着剤組成物は無機フィラーをさらに含むことができる。前記無機フィラーは後述する水分吸着剤とは別途に、接着剤組成物の揺変性指数を制御するために含まれ得る。前述した通り、接着剤組成物は揺変性指数が特定範囲に制御されるべきであり、前記範囲内に揺変性指数を制御する方法は特に限定されないが、例えば、無機フィラーを適正含量含ませて具現することができる。本出願で使用できるフィラーの具体的な種類は特に制限されず、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナまたはタルクなどの一種または二種以上の混合を使用することができる。
【0018】
本出願ではまた、フィラーおよび有機バインダーとの結合効率を上げるために、前記フィラーとして有機物質で表面処理された製品を使用するか、さらにカップリング剤を添加して使用することができる。
【0019】
本出願の接着剤組成物は、オレフィン系樹脂100重量部に対して0.1重量部〜20重量部、0.5重量部〜18重量部、または1重量部〜15重量部の無機フィラーを含むことができる。本出願は無機フィラーの含量を前記範囲内に調節することによって、本出願で目的とする封止構造形状を容易に具現可能な封止材を提供することができる。
【0020】
また、前記無機フィラーのBET表面積は35〜500m/g、40〜400m/g、50〜300m/gまたは60〜200m/gの範囲内にあり得る。前記比表面積はBET法を使用して測定し、具体的にチューブに前記無機フィラー1gの試料を添加して−195℃で前処理なしにASAP2020(Micromeritics、アメリカ)を利用して測定することができる。同一サンプルに対して3回測定して平均値を得ることができる。本出願は無機フィラーの比表面積を前記範囲内に調節することによって、本出願で目的とする封止構造形状を容易に具現可能な封止材を提供することができる。
【0021】
本出願の接着剤組成物は前述した通り、反応性官能基を一つ以上含むオレフィン系樹脂を含むことができる。前記オレフィン系樹脂は透湿度が50g/m・day以下であり得る。
【0022】
本出願の接着剤組成物は有機電子装置を封止またはカプセル化することに適用されることを考慮する時、前記透湿度範囲を満足するオレフィン系樹脂を含むことによって、優秀な水分遮断性を提供することができる。本明細書で、「透湿度が50g/m・day以下である樹脂」とは、前記樹脂を100μm厚さの樹脂層で形成されたフィルム形態で製造された状態で前記フィルムの厚さ方向に対して測定した透湿度(Water Vapor Transmission Rate)が50g/m・day以下に測定される樹脂を意味し得る。前記透湿度は、100゜Fおよび100%の相対湿度下で測定され、50g/m・day以下、40g/m・day以下、30g/m・day以下、20g/m・day以下または10g/m・day以下であり得る。前記透湿度は低いほど優秀な水分遮断性を表わすものであるため、その下限は特に限定されないが、例えば、0g/m・dayまたは0.1g/m・dayであり得る。
【0023】
具体的には、本出願の例示的なオレフィン系樹脂は単量体の混合物から誘導されたオレフィン系樹脂を含み、混合物は少なくとも炭素数4〜7のイソオレフィン単量体成分またはマルチオレフィン単量体成分を有することができる。イソオレフィンは、例えば、全体単量体重量で70〜100重量%、または85〜99.5重量%の範囲で存在することができる。マルチオレフィン誘導成分は0.5〜30重量%、0.5〜15重量%、または0.5〜8重量%の範囲で存在することができる。
【0024】
イソオレフィンは、例えば、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ブテン、2−ブテン、メチルビニルエーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキセン、または4−メチル−1−ペンテンを挙げることができる。マルチオレフィンは炭素数4〜14であり得、例えば、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、またはピペリレンが例示され得る。他の重合可能な単量体例えばスチレンとジクロロスチレンも単独重合または共重合され得る。
【0025】
本出願でオレフィン系樹脂はイソブチレン系単独重合体または共重合体を含むことができる。前記で言及した通り、イソブチレン系オレフィン系樹脂または重合体はイソブチレンから70モル%以上の繰返し単位と一つ以上の他の重合可能な単位を含むオレフィン系樹脂または重合体を意味し得る。
【0026】
本出願で、オレフィン系樹脂はブチルゴムまたは分枝されたブチル型ゴムであり得る。例示的な、オレフィン系樹脂は不飽和ブチルゴム例えばオレフィンまたはイソオレフィンとマルチオレフィンの共重合体である。本発明の接着剤組成物に含まれるオレフィン系樹脂としてポリ(イソブチレン−コ−イソプレン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、天然ゴム、ブチルゴム、およびこれらの混合物を挙げることができる。本出願で有用なオレフィン系樹脂は本技術で公知された任意の適合した手段によって製造され得、本発明はここでオレフィン系樹脂を製造する方法によって限定されない。
【0027】
一つの例示において、前記オレフィン系樹脂は低分子量のポリイソブチレン樹脂であり得る。例えば、前記オレフィン系樹脂は重量平均分子量が10万以下であり、500以上または55,000以上で有り得る。本出願は前記範囲に、オレフィン系樹脂の重量平均分子量を制御することによって、塗布およびカプセル化工程に適合した接着剤組成物を具現することができる。接着剤組成物は液状の形態を有することができ、後述する有機電子装置の側面封止塗布に適切に適用され得る。
【0028】
前記オレフィン系樹脂に含まれる反応性官能基は極性官能基であり得る。また、前記反応性官能基は前述した硬化性樹脂と反応性を有することができる。前記反応性官能基の種類は特に制限されないが、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、オキセタン基、シアネート基、フェノール基、ヒドラジド基、またはアミド基であり得る。前記反応性官能基を有するオレフィン系樹脂の例示としては、琥珀酸無水物変性ポリイソブチレン、無水マレイン酸変性液状ポリイソブチレン、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン、エポキシ変性ポリイソプレン、ヒドロキシル基変性液状ポリイソプレンまたはアリル変性液状ポリイソプレンを含むことができる。本出願は前記のようなオレフィン系樹脂が後述する硬化性樹脂と架橋構造を形成し、本出願で目的とする水分遮断性、取り扱い性などの物性を有する接着剤組成物を具現することができる。
【0029】
本出願の具体例において、前記接着剤組成物は前記オレフィン系樹脂と反応できる硬化性樹脂を含むことができる。前記硬化性樹脂は熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂であり得る。硬化性樹脂は硬化性官能基を少なくとも一つ以上含む樹脂であり得る。本出願で使用できる硬化性樹脂の具体的な種類は特に制限されず、例えば、この分野で公知されている多様な硬化性樹脂を使用することができる。
【0030】
本明細書で、用語「熱硬化性樹脂」とは、適切な熱の印加または熟成(aging)工程を通じて硬化することができる樹脂を意味し、用語「光硬化性樹脂」は電磁波の照射によって硬化することができる樹脂を意味する。例えば、前記光硬化性樹脂は光陽イオン硬化性樹脂または光ラジカル硬化性樹脂であり得る。
【0031】
本出願で硬化性樹脂の具体的な種類は前述した特性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、硬化して接着特性を表わすことができるものとして、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミド基などのような熱硬化可能な官能基を一つ以上含むか、あるいはウレタン基、エポキシド(epoxide)基、環状エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基またはラクトン(lactone)基などのような電磁波の照射によって硬化可能な官能基を一つ以上含む樹脂が挙げられる。また、前記のような樹脂の具体的な種類には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアヌレート樹脂またはエポキシ樹脂などが含まれ得るが、これに制限されず、例えば、エポキシアクリレートまたはウレタンアクリレートなどを挙げることができる。
【0032】
一つの例示において、本出願では前記硬化性樹脂として、芳香族または脂肪族;または直鎖型または分枝鎖型のエポキシ樹脂を使用することができる。本発明の一具現例では2個以上の官能基を含有するものとして、エポキシ当量が180g/eq〜1,000g/eqであるエポキシ樹脂を使用することができる。前記範囲のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を使用し、硬化物の接着性能およびガラス転移温度などの特性を効果的に維持することができる。このようなエポキシ樹脂の例には、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変成トリフェノールメタンエポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂の一種または二種以上の混合が挙げられる。
【0033】
本出願においては、熱硬化性樹脂として分子構造内に環状構造を含むエポキシ樹脂を使用することができ、例えば、脂環式エポキシ樹脂を使用することができる。前記脂環式エポキシ樹脂はオレフィン系樹脂または反応性希釈剤と相溶性が優秀で、相分離なく硬化されて接着剤の均一な架橋を具現することができる。
【0034】
一つの例示において、前記硬化性樹脂はオレフィン系樹脂100重量部に対して10〜70重量部で含まれ得る。具体的には、前記硬化性樹脂はオレフィン系樹脂100重量部に対して10〜70重量部、15〜65重量部または20〜60重量部で含まれ得る。本出願は前記含量範囲に制御することによって、接着剤組成物が硬化した後耐熱性を確保させることができ、水分バリア性や耐久性および信頼性などが共に優秀な接着剤組成物を提供することができる。
【0035】
また、本出願の具体例において、前記接着剤組成物は硬化剤を含むことができる。硬化剤は熱硬化剤または光硬化剤であり得る。例えば、硬化剤は、硬化性樹脂または硬化性樹脂に含まれる官能基の種類によって適切な種類を選択および使用することができ、1種以上使用することができる。
【0036】
一つの例示において、硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としては、この分野で公知されているエポキシ樹脂の硬化剤として、例えば、アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、リン硬化剤または酸無水物硬化剤などの一種または二種以上を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0037】
一つの例示において、前記硬化剤としては、常温で固相であり、融点または分解温度が80℃以上であるイミダゾール化合物を使用することができる。このような化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールまたは1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが例示されるが、これに制限されるものではない、
【0038】
本出願の具体例において、前記硬化剤はイミダゾール−イソシアヌル酸付加物、アミン−エポキシ付加物、三フッ化ホウ素−アミン錯体またはカプセル化イミダゾールなどの潜在性熱硬化剤で有り得る。すなわち、本発明は前記接着剤組成物の硬化工程で光照射が先に進行されて初期流動性を制御することができ、前記硬化剤は光照射後本硬化段階で潜在性硬化剤として硬化性樹脂を硬化させることができる。
【0039】
硬化剤の含量は、組成物の組成、例えば、硬化性樹脂の種類や比率によって、選択することができる。例えば、硬化剤は、硬化性樹脂100重量部に対し、1重量部〜100重量部、1重量部〜90重量部または1重量部〜80重量部で含むことができる。前記重量比率は、硬化性樹脂または硬化性樹脂の官能基の種類および比率、または具現しようとする架橋密度などにより調節することができる。
【0040】
硬化性樹脂が活性エネルギー線の照射によって硬化することができる樹脂である場合、開始剤として、例えば、陽イオン光重合開始剤または光ラジカル開始剤を使用することができる。
【0041】
陽イオン光重合開始剤としては、オニウム塩(onium salt)または有機金属塩(organometallic salt)系列のイオン化陽イオン開始剤または有機シランまたは潜在性硫酸(latent sulfonic acid)系列や非イオン化陽イオン光重合開始剤を使用することができる。オニウム塩系列の開始剤としては、ジアリールヨードニウム塩(diaryliodonium salt)、トリアリールスルホニウム塩(triarylsulfonium salt)またはアリールジアゾニウム塩(aryldiazonium salt)などを例示することができ、有機金属塩系列の開始剤としては鉄アレーン(iron arene)などを例示することができ、有機シラン系列の開始剤としては、o−ニトリルベンジルトリアリールシリルエーテル(o−nitrobenzyl triaryl silyl ether)、トリアリールシリルパーオキサイド(triaryl silyl peroxide)またはアシルシラン(acyl silane)などを例示することができ、潜在性硫酸系列の開始剤としてはα−スルホニルオキシケトンまたはα−ヒドロキシメチルベンゾインスルホネートなどが例示されるが、これに制限されるものではない。
【0042】
本出願の具体例において、前記接着剤組成物は反応性希釈剤を含むことができる。また、前記反応性希釈剤は光硬化性化合物、具体的には、ラジカル光硬化性化合物を含むことができる。本明細書でラジカル光硬化性化合物の種類は、前述した硬化性樹脂とは相異することもある。本出願は接着剤組成物が前記反応性希釈剤を含むことによって、目的とする揺変性などの物性を満足させることができ、これによって目的とする封止構造形状を容易に具現可能な封止材を提供することができる。また、本出願の接着剤組成物は前記反応性希釈剤を含むことによって、無溶剤タイプの液状形態を有することができる。
【0043】
また、有機電子素子の側面をシーリングするにおいて、液状の接着剤組成物を塗布する工程を経ることになるが、従来は塗布後組成物の流動性が高いため、目的とするカプセル化形状を維持し難い問題があった。本出願は目的とする位置に塗布された接着剤組成物に光を照射して仮硬化を進行させることによって、流動性が制御された後本硬化を進行することができる。これにより、本出願は塗布された接着剤組成物を目的とするカプセル化形状に本硬化の前まで維持させることができる。すなわち、本出願は接着剤組成物が硬化性樹脂およびラジカル光硬化性化合物を共に含むことによって、二重硬化方式を導入することができ、これによって、接着剤組成物が塗布された後、高温での流動制御が可能である。
【0044】
前記ラジカル光硬化性化合物は、例えば、前述したオレフィン系樹脂および硬化性樹脂と相溶性が高く、特定架橋構造を形成できる多官能性の重合性化合物を含むことができる。また、一具体例において、前記架橋構造は熱の印加によって形成された架橋構造、活性エネルギー線の照射によって形成された架橋構造または常温でエイジング(aging)により形成された架橋構造であり得る。前記において、「活性エネルギー線」の範疇には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線およびガンマ線はもちろん、アルファ−粒子線(alpha−particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、ニュートロンビーム(neutron beam)または電子線(electron beam)のような粒子ビームなどが含まれ得、通常的には紫外線または電子線などであり得る。
【0045】
一具体例において、ラジカル光硬化性化合物は多官能性の活性エネルギー線重合性化合物であり得、前記多官能性の活性エネルギー線重合性化合物は、例えば、活性エネルギー線の照射による重合反応に参加できる官能基、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などのようなエチレン性不飽和二重結合を含む官能基、エポキシ基またはオキセタン基などの官能基を二つ以上含む化合物を意味し得る。一つの例示において、前記多官能性の活性エネルギー線重合性化合物は2官能以上の化合物であり得る。
【0046】
本出願の具体例において、多官能性の活性エネルギー線重合性化合物としては、例えば、多官能性アクリレート(MFA;Multifunctional acrylate)を使用することができる。
【0047】
本出願の具体例において、前記ラジカル光硬化性化合物は下記の化学式1を満足することができる。
【0048】
【化1】
前記化学式1で、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは2以上の整数であり、Xは炭素数3〜30の直鎖、分枝鎖または環状アルキル基またはアルケニル基から誘導された残基を表わす。前記において、Xが環状アルキル基またはアルケニル基から誘導された残基である場合、Xは例えば炭素数3〜30、炭素数4〜28、炭素数6〜28、炭素数8〜22、または炭素数12〜20の環状アルキル基またはアルケニル基から誘導された残基であり得る。また、Xが直鎖型アルキル基またはアルケニル基から誘導された残基である場合、Xは炭素数3〜30、炭素数4〜28炭素数6〜25、または炭素数8〜20の直鎖アルキル基またはアルケニル基から誘導された残基であり得る。また、Xが分枝鎖型アルキル基またはアルケニル基から誘導された残基である場合、Xは炭素数3〜30、炭素数4〜28、炭素数5〜25、または炭素数6〜20の分枝鎖アルキル基またはアルケニル基から誘導された残基であり得る。
【0049】
本明細書で用語「アルキル基またはアルケニル基から誘導された残基」とは、特定化合物の残基であって、アルキル基またはアルケニル基で構成されたものを意味し得る。一つの例示において、前記化学式1で、nが2である場合、前記Xはアルキレン基またはアルキリデン基であり得る。また、nが3以上である場合、Xはアルキル基またはアルケニル基の2以上の水素が脱離されて前記化学式1の(メタ)アクロイル基に結合されていることもある。nは2〜20であり得る。
【0050】
本明細書で用語「アルキル基」または「アルケニル基」とは、特に規定しない限り、炭素数1〜30、炭素数1〜25、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基またはアルケニル基を意味し得る。前記アルキル基またはアルケニル基は直鎖型、分枝鎖型または環状構造を有することができ、任意的に一つ以上の置換基によって置換することができる。
【0051】
本明細書で用語「アルキレン基」または「アルキリデン基」とは、特に規定しない限り、炭素数2〜30、炭素数、2〜25、炭素数、2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜10または炭素数2〜8のアルキレン基またはアルキルリデン基を意味し得る。前記アルキレン基またはアルキリデン基は直鎖型、分枝鎖型または環状構造を有することができ、任意的に一つ以上の置換基によって置換することができる。
【0052】
本明細書で用語「アルコキシ基」とは、特に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基を意味し得る。前記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖または環状であり得る。また、前記アルコキシ基は任意的に一つ以上の置換基によって置換することができる。
【0053】
一つの例示において、前記活性エネルギー線の照射によって重合され得る多官能性の活性エネルギー線重合性化合物はポリブタジエンジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオール(dodecanediol)ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)ジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物を含むことができる。
【0054】
前記反応性希釈剤はオレフィン系樹脂100重量部に対して10重量部〜100重量部、10重量部〜90重量部、13重量部〜80重量部、14重量部〜70重量部または14重量部〜65重量部で含まれ得る。本出願は前記反応性希釈剤の含量を100重量部以下に制御することによって組成物塗布に適合した粘度を持たせることができ、含量を10重量部以上に制御することによって本出願で目的とする揺変性指数を具現することができる。また、本出願は反応性希釈剤の含量を前記範囲に調節することによって、仮硬化時にカプセル化構造を維持できるほどの接着剤硬化物を提供することができる。
【0055】
一つの例示において、接着剤組成物は反応性希釈剤とともにラジカル開始剤を含むことができる。ラジカル開始剤は光ラジカル開始剤で有り得る。光開始剤の具体的な種類は硬化速度および黄変可能性などを考慮して適切に選択することができる。例えば、ベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系またはホスフィンオキシド系光開始剤などを使用することができ、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン(thioxanthone)、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]および2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドなどを使用することができる。
【0056】
光ラジカル開始剤の含量は、ラジカル光硬化性化合物の官能基の種類および比率、または具現しようとする架橋密度などにより変更され得る。例えば、前記光ラジカル開始剤は、反応性希釈剤100重量部に対し、0.1重量部〜80重量部または0.1重量部〜60重量部の割合で配合され得る。本発明は光ラジカル開始剤を前記含量範囲に制御することによって、接着剤組成物に適切な架橋構造を導入して、高温での流動制御を具現することができる。
【0057】
一つの例示において、本出願の接着剤組成物は反応性官能基を一つ以上含むオレフィン系樹脂40〜90重量部、硬化性樹脂5〜50重量部および反応性希釈剤1〜40重量部を含むことができる。さらに他の例示において、接着剤組成物は前記オレフィン系樹脂50〜80重量部、硬化性樹脂10〜40重量部および反応性希釈剤5〜30重量部を含むことができる。本出願は接着剤組成物の各成分の含量範囲を前記の通りに調節することによって、優秀な水分遮断性能を具現し、同時に高温高湿での優秀な耐久信頼性を有し、また、目的とする封止構造形状を容易に具現可能な封止材を提供することができる。
【0058】
本出願の接着剤組成物はまた、水分吸着剤を含むことができる。用語「水分吸着剤」は物理的または化学的反応などを通して、外部から流入する水分または湿気を吸着または除去できる成分を総称する意味で使用され得る。すなわち、水分反応性吸着剤または物理的吸着剤を意味し、その混合物も使用可能である。
【0059】
前記水分反応性吸着剤は樹脂組成物またはその硬化物の内部に流入した湿気、水分または酸素などと化学的に反応して水分または湿気を吸着する。前記物理的吸着剤は樹脂組成物またはその硬化物に浸透する水分または湿気の移動経路を長くしてその浸透を抑制することができ、樹脂組成物またはその硬化物のマトリックス構造および水分反応性吸着剤などとの相互作用を通じて水分および湿気に対する遮断性を最大化することができる。
【0060】
本出願で使用できる水分吸着剤の具体的な種類は特に制限されず、例えば、水分反応性吸着剤の場合、金属酸化物、金属塩または五酸化燐(P)などの一種または二種以上の混合物を挙げることができ、物理的吸着剤の場合、ゼオライト、ジルコニアまたはモンモリロナイトなどが挙げられる。
【0061】
前記において金属酸化物の具体的な例としては、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)または酸化マグネシウム(MgO)などが挙げられ、金属塩の例としては、硫酸リチウム(LiSO)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸コバルト(CoSO)、硫酸ガリウム(Ga(SO)、硫酸チタン(Ti(SO)または硫酸ニッケル(NiSO)などのような硫酸塩、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化イットリウム(YCl)、塩化銅(CuCl)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化タンタリウム(TaF)、フッ化ニオビウム(NbF)、臭化リチウム(LiBr)、臭化カルシウム(CaBR)、臭化セシウム(CeBR)、臭化セレニウム(SeBR)、臭化バナジウム(VBR)、臭化マグネシウム(MgBR)、ヨウ化バリウム(BaI)またはヨウ化マグネシウム(MgI)などのような金属ハロゲン化物;または過塩素酸バリウム(Ba(ClO)または過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO)などのような金属塩素酸塩などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0062】
本出願では前記金属酸化物などのような水分吸着剤を適切に加工した状態で組成物に配合することができる。例えば、水分吸着剤の粉砕工程が必要であり得、水分吸着剤の粉砕には、3ロールミル、ビーズミルまたはボールミルなどの工程が利用され得る。
【0063】
本出願の接着剤組成物は水分吸着剤を、オレフィン系樹脂100重量部に対し、5重量部〜100重量部、5〜90重量部、5重量部〜80重量部または10〜50重量部の量で含むことができる。本出願の接着剤組成物は、好ましくは、水分吸着剤の含量を5重量部以上に制御することによって、接着剤組成物またはその硬化物が優秀な水分および湿気遮断性を表わすようにすることができる。また、水分吸着剤の含量を100重量部以下に制御して、薄膜の封止構造を形成する場合、優秀な水分遮断特性を表わすようにすることができる。
【0064】
一つの例示において、前記接着剤組成物は常温、例えば、約25℃で液状であり得る。本出願の具体例において、接着剤組成物は無溶剤タイプの液状であり得る。前記接着剤組成物は有機電子素子を封止することに適用することができ、具体的には、有機電子素子の側面を封止することに適用することができる。本出願は接着剤組成物が常温で液状の形態を有することによって、有機電子素子の側面に組成物を塗布する方式で素子を封止することができる。
【0065】
本出願に係る接着剤組成物には前述した構成の他にも前述した発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、多様な添加剤が含まれ得る。例えば、樹脂組成物は消泡剤、カップリング剤、粘着付与剤、紫外線安定剤または酸化防止剤などを目的とする物性により適正範囲の含量で含むことができる。一つの例示において、接着剤組成物は消泡剤をさらに含むことができる。本出願は消泡剤を含むことによって、前述した接着剤組成物の塗布工程で、脱泡特性を具現し、信頼性ある封止構造を提供することができる。また、本出願で要求する接着剤組成物の物性を満足する限り、消泡剤の種類は特に限定されない。
【0066】
例示的な、接着剤組成物は光照射後に、粘度が700Pa・s〜5,000Pa・sであり得る。前記の粘度範囲内で、接着剤組成物は目的とする封止構造の形状を維持することができる。一つの例示において、前記接着剤組成物の粘度はUV−A領域帯の波長範囲を有する光を3J/cmの光量で接着剤組成物に照射した後で測定したものであり得る。また、前記接着剤組成物の粘度は25℃の温度、10%ストレインおよび1Hzの周波数条件でせん断応力により測定した粘度であり得る。一つの例示において、前記組成物の粘度は700Pa・s〜4,000Pa・s、800Pa・s〜3,000Pa・sまたは900Pa・s〜2,000Pa・sであり得る。
【0067】
本明細書で用語「UV−A領域」とは、315nm〜400nmの波長範囲を意味し得る。具体的には、本明細書でUV−A領域帯の波長範囲を有する光であるとすれば、315nm〜400nmの波長範囲のうちいずれか一つの波長を含む光を意味するか、315nm〜400nmの波長範囲のうち2以上の波長を含む光を意味し得る。
【0068】
本出願の具体例において、接着剤組成物は前記光を照射後、本硬化を進めることによって有機電子装置の封止構造を形成することができる。前記本硬化は熱または光を照射して進めることができる。封止構造形成においては、高温の本硬化温度にもかかわらずUV仮硬化された接着剤組成物が形状の変化なく本硬化がなされ得る物性が要求される。すなわち、高温で接着剤組成物が広がる現象などを防止する必要がある。一つの例示において、前記接着剤組成物は前述した通り、UV−A領域帯の波長範囲を有する光を3J/cmの光量で照射して仮硬化することができ、前記仮硬化された前記樹脂組成物は、80℃の温度、10%ストレインおよび1Hzの周波数条件でせん断応力による粘度が500Pa・s〜2,000Pa・sであり得る。前記粘度は例えば、500Pa・s〜1、800Pa・s、500Pa・s〜1、600Pa・sまたは600Pa・s〜1、500Pa・sであり得る。本出願の接着剤組成物は前記のような粘度範囲を満足することによって、有機電子装置の側面封止に効果的に適用され得る。
【0069】
本出願はまた、有機電子装置に関するものである。例示的な有機電子装置は図1に図示された通り、基板21;基板21上に形成された有機電子素子23;および前記基板21の周縁部上に前記有機電子素子23の側面を囲むように形成され、前述した接着剤組成物を含む側面封止層10を含むことができる。また、例示的な有機電子装置は有機電子素子23の前面をカバーする前面封止層11をさらに含むことができる。
【0070】
前記前面封止層および側面封止層は同一平面上に存在することができる。前記において、「同一」とは、実質的同一を意味し得る。例えば、前記同一平面で実質的同一とは、厚さ方向に±5μmまたは±1μmの誤差を有し得ることを意味する。前記前面封止層が素子の上部面を封止することができ、上部面だけでなく側面も共に封止することができる。側面封止層は素子の側面に形成できるが、有機電子素子の側面に直接接触しないこともある。例えば、前面封止層が素子の上部面および側面と直接接触するように封止され得る。すなわち、側面封止層は素子と接触せずに、有機電子装置の平面図において、基板の周縁部に位置することができる。
【0071】
本明細書で用語「周縁部」とは、周りの縁部分を意味する。すなわち、前記で基板の周縁部は基板の周りの縁部分を意味し得る。
【0072】
前記の側面封止層を構成する素材は特に限定されないが、前述した接着剤組成物を含むことができる。
【0073】
一方、前面封止層は封止樹脂を含むことができ、前記封止樹脂はアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリオキシアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂またはこれらの混合物などを挙げることができる。前面封止層を構成する成分は、前述した接着剤組成物と同一であるか異なり得る。ただし、前面封止層は素子と直接接触するという点で、前述した水分吸着剤を含まないか少量含むことができる。例えば、前面封止層は封止樹脂100重量部に対し、0〜20重量部で含まれ得る。
【0074】
一つの例示において、前記有機電子素子は基板上に形成された反射電極層、前記反射電極層上に形成されて少なくとも発光層を含む有機層および前記有機層上に形成される透明電極層を含むことができる。
【0075】
本出願で有機電子素子23は有機発光ダイオードであり得る。
【0076】
一つの例示において、本出願に係る有機電子装置は前面発光(top emission)型であり得るが、これに限定されず、背面発光(bottom emission)型にも適用され得る。
【0077】
前記有機電子装置は前述した前面封止層または側面封止層と有機電子素子の間に前記有機電子素子を保護する保護膜をさらに含むことができる。
【0078】
また、本出願は有機電子装置の製造方法に関するものである。
【0079】
一つの例示において、前記製造方法は上部に有機電子素子23が形成された基板21の周縁部上に前述した接着剤組成物を前記有機電子素子23の側面を囲むように塗布する段階を含むことができる。前記接着剤組成物を塗布する段階は前述した側面封止層10を形成する段階であり得る。
【0080】
具体的には、前記の側面封止層を形成する段階は前述した接着剤組成物を前記有機電子素子23の側面を囲むように塗布する段階を含むことができ、さらに前記接着剤組成物を仮硬化する段階および本硬化する段階を含むことができる。前記仮硬化する段階は光を照射することを含むことができ、本硬化する段階は光を照射することまたは熱を加えることを含むことができる。
【0081】
前記において、有機電子素子23が形成された基板21は、例えば、ガラスまたはフィルムのような基板21上に真空蒸着またはスパッタリングなどの方法で反射電極または透明電極を形成し、前記反射電極上に有機材料層を形成して製造され得る。前記有機材料層は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層および/または電子輸送層を含むことができる。引き続き、前記有機材料層上に第2電極をさらに形成する。第2電極は透明電極または反射電極であり得る。その後、前記基板21の周縁部上に前記有機電子素子23を側面カバーするように前述した側面封止層10を適用する。このとき、前記の側面封止層10を形成する方法は特に限定されず、前記基板21の側面に前述した接着剤組成物をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布などの工程を利用することができる。また、前記有機電子素子の23の前面を封止する前面封止層11を適用することができる。前記前面封止層11を形成する方法は当業界の公知の方法を適用することができ、例えば、液晶滴下注入(One Drop Fill)工程を利用することができる。
【0082】
また、本発明では有機電子装置を封止する前面または側面封止層に対して硬化工程を遂行することもできるが、このような硬化工程(本硬化)は例えば、加熱チャンバーまたはUVチャンバーで進行され得、好ましくは、両方で進行することもできる。本硬化時の条件は有機電子装置の安定性などを考慮して適切に選択することができる。
【0083】
一つの例示において、前述した接着剤組成物を塗布した後、前記組成物に光を照射して架橋を誘導することができる。前記光を照射することは、UV−A領域帯の波長範囲を有する光を0.3〜6J/cmの光量または0.5〜4J/cmの光量で照射することを含むことができる。前述した通り、光の照射を通じて仮硬化することによって基本となり得る封止構造の形状を具現することができる。
【0084】
一つの例示において、前記製造方法は光照射後に仮硬化された接着剤組成物を本硬化することを含むことができる。本硬化は40℃〜100℃の温度で1時間〜24時間、1時間〜20時間、1時間〜10時間または1時間〜5時間の間熱硬化することをさらに含むことができる。または本硬化はUV−A領域帯の波長範囲を有する光を0.3〜6J/cmの光量または0.5〜4J/cmの光量で照射することを含むことができ、前記熱を加える段階または光を照射する段階を通じて、接着剤組成物は本硬化が進行され得る。
【発明の効果】
【0085】
本出願は、外部から有機電子装置に流入する水分または酸素を効果的に遮断できる封止構造の形成が可能であるため、有機電子装置の寿命を確保することができ、有機電子装置の封止構造を形成する工程で塗布が容易であるため、封止構造内部に気泡が流入したり塗布ノズルが詰まる問題を防止して工程性を向上させることができる接着剤組成物およびこれを含む有機電子装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】本発明の一つの例示に係る有機電子装置を表わす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下本発明に従う実施例および本発明に従わない比較例を通じて本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【実施例】
【0088】
実施例1
常温でオレフィン系樹脂として酸無水物変性ポリイソブチレン樹脂(BASF社、Mn 1000g/mol、Glissopal SA)、硬化性樹脂として脂環式エポキシ樹脂(国道化学、ST−3000、エポキシ当量230g/eq、粘度3000cPs)およびエポキシアクリレート(Sartomer、CN110)、および反応性希釈剤としてポリブタジエンジメタクリレート(Sartomer、CN301)および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を70:10:10:6:4(GlissopalSA:ST−3000:CN110:CN301:HDDA)の重量比率で主成分として混合容器に投入した。ラジカル開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(Irgacure651、Ciba)を前記主成分100重量部に対して5重量部を前記容器に投入し、熱硬化剤としてイミダゾール系硬化剤(Shikoku、2P4MZ)を主成分100重量部に対して10重量部投入した。また、無機フィラーとしてFumedシリカ(Aerosil、Evonik、R805、粒子の大きさ10〜20nm、BET=150m/g)を前記主成分100重量部に対して1重量部の含量で前記容器に投入した。一方、水分吸着剤としてカルシウムオキサイド(CaO、Aldrich)を前記主成分100重量部に対して10重量部追加で容器に投入した。
【0089】
前記混合容器をPlanetary mixer(クラボウ、KK−250s)を利用して均一な組成物溶液を製造した。
【0090】
実施例2
常温でオレフィン系樹脂として酸無水物変性ポリイソブチレン樹脂(BASF社、Mn 1000g/mol、Glissopal SA)、硬化性樹脂として脂環式エポキシ樹脂(Daicel社、Celloxide 2021P、エポキシ当量130g/eq、粘度250cPs)およびエポキシアクリレート(Sartomer、CN110)、および反応性希釈剤としてポリブタジエンジメタクリレート(Sartomer、CN301)および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)をそれぞれ70:10:10:6:4(GlissopalSA:2021P:CN110:CN301:HDDA)の重量比率で主成分として混合容器に投入した。ラジカル開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(Irgacure651、Ciba)を前記主成分100重量部に対して5重量部を前記容器に投入し、光陽イオン開始剤(Sa−apro、CPI−101A)を主成分100重量部に対して10重量部投入した。また、無機フィラーとしてFumedシリカ(Aerosil、Evonik、R805、粒子の大きさ10〜20nm、BET=150m/g)を前記主成分100重量部に対して3重量部の含量で前記容器に投入した。一方、水分吸着剤としてカルシウムオキサイド(CaO、Aldrich)を前記主成分100重量部に対して10重量部追加で容器に投入した。
【0091】
前記混合容器をPlanetary mixer(クラボウ、KK−250s)を利用して均一な組成物溶液を製造した。
【0092】
実施例3
常温でオレフィン系樹脂として酸無水物変性ポリイソブチレン樹脂(Glissopal SA)、硬化性樹脂としてウレタンアクリレート(Sartomer、CN9013)およびエポキシアクリレート(Sartomer、CN110)、および反応性希釈剤としてポリブタジエンジメタクリレート(Sartomer、CN301)および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を60:15:15:5:5(Glissopal SA:CN9013:CN110:CN301:HDDA)の重量比率で主成分として混合容器に投入した。ラジカル開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(Irgacure651、Ciba)を前記主成分100重量部に対して5重量部を前記容器に投入した。また、無機フィラーとしてFumedシリカ(Aerosil、Evonik、R805、粒子の大きさ10〜20nm、BET=150m/g)を前記主成分100重量部に対して7重量部の含量で前記容器に投入した。一方、水分吸着剤としてカルシウムオキサイド(CaO、Aldrich)を前記主成分100重量部に対して10重量部追加で容器に投入した。
【0093】
前記混合容器をPlanetary mixer(クラボウ、KK−250s)を利用して均一な組成物溶液を製造した。
【0094】
比較例1
オレフィン系樹脂としてポリイソブチレン樹脂(BASF社B14)を用いたことを除いては、実施例1と同じ方法で接着剤組成物を製造した。
【0095】
比較例2
主成分として、オレフィン系樹脂である酸無水物変性ポリイソブチレン樹脂(Glissopal SA)、硬化性樹脂である脂環式エポキシ樹脂(国道化学、ST−3000)およびエポキシアクリレート(Sartomer、CN110)、および反応性希釈剤であるポリブタジエンジメタクリレート(Sartomer、CN301)および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を30:30:30:6:4(GlissopalSA:ST−3000:CN110:CN301:HDDA)の重量比率で混合容器に投入し、無機フィラーを前記主成分100重量部に対して3重量部の含量で前記容器に投入したことを除いては、実施例1と同じ方法で接着剤組成物を製造した。
【0096】
比較例3
無機フィラーとしてFumedシリカ(Aerosil、Evonik、RY50、BET=30m/g)を前記容器に投入したことを除いては、実施例1と同じ方法で接着剤組成物を製造した。
【0097】
比較例4
主成分として、オレフィン系樹脂である酸無水物変性ポリイソブチレン樹脂(Glissopal SA)、硬化性樹脂であるウレタンアクリレート(Sartomer、CN9013)およびエポキシアクリレート(Sartomer、CN110)、および反応性希釈剤であるポリブタジエンジメタクリレート(Sartomer、CN301)および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を60:10:10:5:15(GlissopalSA:CN9013:CN110:CN301:HDDA)の重量比率で混合容器に投入し、無機フィラーを前記主成分100重量部に対して3重量部の含量で前記容器に投入したことを除いては、実施例3のような方法で接着剤組成物を製造した。
【0098】
以下、実施例および比較例での物性を下記の方式で評価した。
【0099】
1.粘度および揺変性指数測定
実施例および比較例で製造した接着剤組成物の粘度をBrookfield社粘度計としてRDV−II+Proを使用して下記のように測定した。
【0100】
前記製造された接着剤組成物に対し、25℃の温度および0.5rpmの回転速度条件で測定した。具体的には、ブルックフィールド粘度計のRV−7番スピンドルで回転力(torque)により粘度V0.5を測定した。また、粘度Vは25℃の温度および5rpmの回転速度条件でブルックフィールド粘度系RV−7番スピンドルで回転力(torque)により測定した。
【0101】
前記で測定した粘度を通じて、下記の一般式1により揺変性指数(T)を算出した。
【0102】
[一般式1]
T=V0.5/V
【0103】
2.塗布特性
実施例または比較例で製造した接着剤組成物溶液を、0.7T Soda−LimeガラスにMusashi 200DS機器を利用して、150mm×150mm大きさの四角形となるように側面塗布して(needle number:#18、dispensing speed:10/mm/sec)塗布特性を観察した。塗布中に気泡の流入がなく、機器ノズルの詰まりがない場合をO、塗布中に気泡が流入したり塗布後本来の形状を失って広く広がる場合を△、塗布中に気泡が多量流入したりノズルが詰まって塗布が途切れる場合をXで表示した。
【0104】
3.沈降安定性
実施例および比較例の接着剤組成物の沈降安定性を下記のように評価した。前記製造された接着剤組成物を配合および脱泡させた後、シリンジ(syringe)に注入して25℃で3日間放置させた。その後、塗布を通じてシリンジの下の部分に無機フィラーが沈降したかを評価した。上層と下層に同じ量の無機フィラーが塗布され、ノズルの詰まりがない場合をO、塗布中にノズルが詰まり、下層対比上層が透明な場合、Xで表示した。
【0105】
4.耐熱性および耐湿性
実施例または比較例で製造した接着剤組成物溶液を、0.7T Soda−LimeガラスにMusashi 200DS機器を利用して、150mm×150mm大きさの四角形となるように側面塗布した。その後、同じガラスで合着してサンプルを製造し、前記接着剤組成物にUV−A領域帯の波長範囲を有する光(メタルハライドランプ)を3J/cmの光量で照射した後、100℃オーブンで3時間の間熱を加えた(実施例2および3と比較例4は5J/cmの光量で光を照射する)。その後、サンプルを85℃および85%相対湿度の恒温恒湿チャンバーで約1000時間の間維持した。
【0106】
耐熱性の測定は塗布領域内部および側面に変化が全くない場合をO、塗布領域内部に空き空間が発生した場合、Xで表示した。
耐湿性の測定は水分が浸透した領域の浮きが全くない場合をO、ガラスの水分浸透部位に浮きが発生した場合、Xで表示した。
【0107】
4.相溶性
実施例および比較例の接着剤組成物の相溶性を下記のように評価した。製造された接着剤組成物を容器に25℃で3日間放置した後相分離の有無を観察した。前記組成物で相分離が全く発生しなかった場合をO、部分的に相分離が発生した場合を△、二つの層に相分離が発生した場合、Xで表示した。
【0108】
【表1】
【符号の説明】
【0109】
1:接着剤
10:側面封止層
11:前面封止層
21:基板
22:カバー基板
23:有機電子素子

図1