【文献】
Journal of Combinatorial Chemistry,2006年,Vol.8, No.5,p.639-642
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施例及び実験例よって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記実施例及び実験例は本発明を例示するためのものであって、これらだけに本発明の範囲が限定されるものではない。
【0032】
[製造例1:1−(2−メトキシエトキシ)−4−ビニルベンゼンの製造]
1)ヒドロキシスチレンの製造
500mlの丸底フラスコに水酸化ナトリウム0.275molを入れて無水エタノール 60mlを添加して溶解した後、アセトキシスチレン0.065molを投入し、常温で窒素雰囲気下で4時間撹拌した。以後、50mlの蒸留水を添加し、エチルアセテート30mlを投入して有機層を抽出し、有機層の抽出は3回繰り返した。抽出された有機層は、無水硫酸マグネシウムを入れて乾燥及びろ過し、残存する水分を取り除いた。以後、溶媒を減圧除去して黄色い固体のヒドロキシスチレン7.54g(収率96%)を得た。精製されたヒドロキシスチレンの
1H核磁気共鳴分光学的データは、以下のとおりである。
【0033】
1H−NMR(500MHz、CDCl
3)δ 7.31−7.29 (d、J=9.5、1H)、δ 6.80−6.78 (d、J=8.5、Ar−H、2H)、δ 6.68−6.62 (q、J=9.5、1H)、δ 5.62−5.58 (d、J=17.5、1H)、δ 5.13−5.11(d、J=11、1H)、δ4.75 (s、1H)。
【0034】
2)1−(2−メトキシエトキシ)−4−ビニルベンゼンの製造
500mlの丸底フラスコにヒドロキシスチレン0.058mmolを入れてアセトニトリル50mlを添加して溶解した後、ポタシウムt−ブトキシド0.071molを滴加して1時間還流した。以後、2−クロロエチルメチルエーテル0.076molをゆっくり滴加した後、窒素雰囲気下で6時間還流して反応させた。反応終了後、塩酸水溶液で中和した後、エチルアセテート/飽和塩基水溶液で有機層を抽出し、有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥及びろ過し、残存する水分を取り除いた。以後、溶媒を減圧除去して薄い茶色の液状である下記化学式(i)の表題化合物9.9g(95%)を得た。精製された1−(2−メトキシエトキシ)−4−ビニルベンゼンの
1H核磁気共鳴分光学的データは、以下のとおりである。
【0036】
1H−NMR(500MHz、CDCl
3)δ 7.33−7.31(d、J=9、Ar−H、2H)、δ 6.88−6.86 (d、J=8.5、Ar−H、2H)、δ 6.67−6.61(q、J=9.5、1H)、δ 5.61−5.57 (d、J=17.5、1H)、δ 5.12−5.10(d、J=11、1H)、δ4.10−4.08 (t、J=4.5、2H)、δ3.73−3.71(t、J=4.75、2H)、δ3.43 (s、3H)。
【0037】
[製造例2:1−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)−4−ビニルベンゼンの製造]
1)ヒドロキシスチレンの製造
500mlの丸底フラスコに水酸化ナトリウム0.275molを入れて無水エタノール60mlを添加して溶解した後、アセトキシスチレン0.065molを投入し、常温で窒素雰囲気下で4時間撹拌した。以後、50mlの蒸留水を添加し、エチルアセテート30mlを投入して有機層を抽出し、有機層の抽出は3回繰り返した。抽出された有機層は、無水硫酸マグネシウムを入れて乾燥及びろ過し、残存する水分を取り除いた。以後、溶媒を減圧除去して黄色い固体のヒドロキシスチレン7.54g(収率96%)を得た。精製されたヒドロキシスチレンの
1H核磁気共鳴分光学的データは、以下のとおりである。
【0038】
1H−NMR(500MHz、CDCl
3)δ 7.31−7.29 (d、J=9.5、1H)、δ 6.80−6.78 (d、J=8.5、Ar−H、2H)、δ 6.68−6.62 (q、J=9.5、1H)、δ 5.62−5.58 (d、J=17.5、1H)、δ 5.13−5.11(d、J=11、1H)、δ4.75 (s、1H)。
【0039】
2)1−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)−4−ビニルベンゼンの製造
500mlの丸底フラスコにヒドロキシスチレン0.058mmolを入れてアセトニトリル50mlを添加して溶解した後、ポタシウムt−ブトキシド0.071molを滴加した後、1時間還流させた。以後、1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタン0.076molをゆっくり滴加した後、窒素雰囲気下で6時間還流して反応させた。反応終了後、塩酸水溶液で中和した後、エチルアセテート/飽和塩基水溶液で有機層を抽出し、有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥及びろ過し、残存する水分を取り除いた。以後、溶媒を減圧除去して薄い茶色の液状である下記化学式(ii)の表題化合物10g(96%)を得た。精製された化学式(ii)の1−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)−4−ビニルベンゼンの
1H核磁気共鳴分光学的データは、以下のとおりである。
【0041】
1H−NMR(500MHz、CDCl
3)δ 7.33−7.32 (d、J=8.5、Ar−H、2H)、δ 6.88−6.86 (d、J=8.5、Ar−H、2H)、δ 6.68−6.62 (q、J=9.5、1H)、δ 5.62−5.58 (d、J=17.5、1H)、δ 5.13−5.10(d、J=11、1H)、δ4.15−4.13 (t、J=5、2H)、δ3.87−3.85 (t、J=5、2H)、δ3.73−3.71(t、J=4.7、2H)、δ3.59−3.57 (t、J=4.5、2H)、δ3.39 (s、3H)。
【0042】
[実施例1:変性スチレン重合体の製造]
100mlのシュレンクフラスコにスチレン28.8mmolと製造例2で製造されたスチレン系化合物1.4mmolを投入し、無水ノルマルヘキサン30mlを入れた後、反応器の内部温度を40℃に昇温した。反応器の内部温度が40℃に達した時、2.5Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.25ml(0.63mmol in ヘキサン)を反応器に投入して断熱昇温反応を進めた。20分ほど経過した後、メタノールを利用して重合反応を終了させ、変性スチレン重合体を製造した。
【0043】
[実施例2:変性スチレン重合体の製造]
製造例2で製造されたスチレン系化合物を2.9mmolで投入したことを除いては、上記実施例1と同じ方法によって変性スチレン重合体を製造した。
【0044】
[実施例3:変性スチレン重合体の製造]
製造例2で製造されたスチレン系化合物を4.3mmolで投入したことを除いては、上記実施例1と同じ方法によって変性スチレン重合体を製造した。
【0045】
[実施例4:変性スチレン−ブタジエン共重合体の製造]
2Lのガラス反応器にスチレン4.2g、1,3−ブタジエン 7.5g、及び製造例2で製造されたスチレン系化合物0.045gを投入し、無水ノルマルヘキサン50mlを入れた後、反応器の内部温度を40℃に昇温した。反応器の内部温度が40℃に達した時、2.5Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.20ml(0.5mmol in ヘキサン)を反応器に投入して断熱昇温反応を進めた。30分ほど経過した後、メタノールを利用して重合反応を終了させ、変性スチレン−ブタジエン共重合体を製造した。
【0046】
[実施例5:変性スチレン−ブタジエン共重合体の製造]
製造例2で製造されたスチレン系化合物を0.09g投入したことを除いては、上記実施例4と同じ方法によって変性スチレン−ブタジエン共重合体を製造した。
【0047】
[実施例6:変性スチレン−ブタジエン共重合体の製造]
製造例2で製造されたスチレン系化合物を0.18g投入したことを除いては、上記実施例4と同じ方法によって変性スチレン−ブタジエン共重合体を製造した。
【0048】
[実施例7:変性スチレン−ブタジエン共重合体の製造(scale−up)]
20Lのオートクレーブ反応器にスチレン270g、1,3−ブタジエン730g及び製造例1で製造されたスチレン系化合物4gを投入し、無水ノルマルヘキサン5kg及び極性添加剤としてDTP(2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン)0.75gを入れた後、反応器の内部温度を40℃に昇温した。反応器の内部温度が40℃に達した時、n−ブチリチウム34g(2.62wt% in ヘキサン、33% activation)を反応器に投入して断熱昇温反応を進めた。35分ほど経過した後、エタノールを利用して重合反応を終了さ、変性スチレン−ブタジエン共重合体を製造した。
【0049】
[実施例8:変性スチレン−ブタジエン共重合体の製造(scale−up)]
製造例1で製造されたスチレン系化合物の代りに製造例2で製造されたスチレン系化合物を使ったことを除いては、上記実施例7と同じ方法によって変性スチレン−ブタジエン共重合体を製造した。
【0050】
[比較例1:スチレン重合体の製造]
製造例2で製造されたスチレン系化合物を使わないことを除いて、上記実施例1と同じ方法によってスチレン重合体を製造した。
【0051】
[比較例2:スチレン−ブタジエン共重合体の製造]
製造例2で製造されたスチレン系化合物を使わないことを除いて、上記実施例4と同じ方法によってスチレン−ブタジエン共重合体を製造した。
【0052】
[比較例3:スチレン−ブタジエン共重合体の製造]
製造例2で製造されたスチレン系化合物を使用せずに、ジテトラヒドロフリルプロパン(ditetrahydrofurylpropane)0.045gをさらに使ったことを除いて、上記実施例4と同じ方法によってスチレン−ブタジエン共重合体を製造した。
【0053】
[比較例4:スチレン−ブタジエン共重合体の製造(scale−up)]
製造例1で製造されたスチレン系化合物を使わないことを除いて、上記実施例7と同じ方法によってスチレン−ブタジエン共重合体を製造した。
【0054】
<実験例1>
上記実施例1ないし8、及び比較例1ないし4で製造された各重合体の物性を比較分析するために、それぞれの成分分析、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、多分散指数(Mw/Mn)、最大ピーク分子量(Mp)とZ−平均分子量(Mz)を測定した。結果を下記表1ないし表3に示す。
【0055】
1)成分分析
上記成分分析は、NMRを用いてスチレンモノマー(St)及びビニル(vinyl)の含量を測定した。
【0056】
2)GPC(Gel permeation chromatograph)分析
上記重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び最大ピーク分子量(Mp)は、40℃温度の条件下でGPC分析を通じて測定し、多分散指数(PDI、Mw/Mn)は、測定された上記各重量平均分子量及び数平均分子量を用いて計算して得た。具体的に、上記GPCは、PLgel Olexis(Polymer Laboratories社)コラム二袋とPLgel mixed−C(Polymer Laboratories社)コラム一袋を組み合わせて使い、新たに入れ替ったコラムは、いずれもmixed bedタイプのコラムを使用し、分子量を計算した時、GPC基準物質(Standard material)はPS(polystyrene)を使って行った。
【0060】
上記表1ないし表3に示すように、本発明の一実施例による製造例1及び製造例2で製造された、各置換されたスチレン系化合物を利用して製造された実施例1ないし実施例8の変性重合体が比較例1ないし比較例4の重合体に比べて高分子量を表すことを確認した。
【0061】
具体的に、表1に示すように、製造例2で製造された置換されたスチレン系化合物を利用して製造された実施例1ないし実施例3の変性スチレン重合体が、置換されたスチレン系化合物を利用していない比較例1のスチレン重合体に比べて分子量が増加しており、上記置換されたスチレン系化合物の使用量を増加させるほど(実施例1<実施例2<実施例3)さらに大きく増加した。これは、重合体を重合する際に使われたスチレン単量体と、上記置換されたスチレン系化合物が容易に共重合を形成したことを示す結果である。また、上記の結果は、NMR測定結果でも確認することができた。具体的に、製造された変性スチレン重合体をNMR分析(500MHz、CDCl
3)した結果、ビニルピーク(δ 5.62−5.58、5.13−5.10)が全然見えなかったし、これは重合反応に参加しないスチレン系単量体及び置換されたスチレン系化合物が完全に除去されたことを示す結果である。
【0062】
また、表2に示すように、製造例2で製造された置換されたスチレン系化合物を利用して製造された実施例4ないし実施例6の変性スチレン−ブタジエン共重合体が、置換されたスチレン系化合物を利用していない比較例2及び比較例3のスチレン−ブタジエン共重合体に比べて分子量が増加しており、上記置換されたスチレン系化合物の使用量を増加させるほど(実施例4<実施例5<実施例6)さらに大きく増加した。また、実施例4の変性スチレン−ブタジエン共重合体と極性添加剤を使って製造された比較例3のスチレン−ブタジエン共重合体を比べた結果、上記実施例4の変性スチレン−ブタジエン共重合体は、極性添加剤を使わずに製造したにもかかわらず、極性添加剤を使って製造した比較例3のスチレン−ブタジエン共重合体と類似するスチレンとビニル(ブタジエンの1,2−付加重合の結果)の含量と類似な水準の微細構造を示した。これは、上記置換されたスチレン系化合物内にエチレングリコール基が存在することによって極性を帯びることになり、これによって極性添加剤を使用したものと類似な効果を奏することを示す結果である。
【0063】
同時に、表3に示すように、scale−upして重合を進めた結果からも、本発明による実施例7及び実施例8の変性スチレン−ブタジエン共重合体が比較例4のスチレン−ブタジエン共重合体に比べて分子量が増加しており、微細構造でビニル含量及びスチレン含量が増加したことを確認した。
【0064】
[発明を実施するための形態]
以下、本発明に対する理解を助けるために、本発明をより詳細に説明する。
【0065】
本明細書及び特許請求の範囲で使われた用語や単語は、通常的や辞典的な意味として限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づいて本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0066】
本発明は、変性重合体の変性に有用なスチレン系化合物を提供する。本発明の一実施例による上記スチレン系化合物は、下記化学式1で表されることであってもよい。
【0068】
上記化学式1で、Rは水素原子または炭素数1ないし20の炭化水素基であってもよく、nは1ないし11の整数であってもよい。
【0069】
上記化学式1で表されるスチレン系化合物は、重合体変性用変性単量体であってもよく、これを利用して変性された変性重合体の物性を変化させることができる官能基を提供することができる。
【0070】
具体的に、上記化学式1で表される置換されたスチレン系化合物は、変性単量体として使われることにより重合体主鎖に結合されてもよく、これによって官能性官能基を重合体の内へ高い収率で取り入れることができる。また、上記置換されたスチレン系化合物は、無機充填剤との相互作用によってゴム組成物の耐摩耗性及び加工性を向上させることができる向き充填剤親和性官能基を含んでもよい。上記無機充填剤親和性官能基は、具体的にエチレングリコール基であって、重合体に導入した後で無機充填剤表面の官能基、例えば、上記無機充填剤がシリカである場合、シリカ表面のシラノール基と縮合反応して重合体の耐摩耗性及び加工性を向上させることができる。また、上記置換されたスチレン系化合物は、エチレングリコール基を含んでいるので、重合体の重合反応に使われる極性溶媒としての役割をすることもできるので、極性溶媒の使用を減らすことができる。
【0071】
具体的に、上記化学式1でRは水素原子、炭素数1ないし20のアルキル基、炭素数3ないし20のシクロアルキル基、炭素数6ないし20のアリール基、炭素数7ないし20のアリールアルキル基、炭素数1ないし20のアルコキシ基、炭素数2ないし20のアルコキシアルキル基または炭素数7ないし20のフェノキシアルキル基であってもよい。
【0072】
より具体的に、上記化学式1でRは水素原子であってもよく、nは1ないし11の整数であってもよい。
【0073】
本発明による上記スチレン系化合物は、重合体変性用単量体として使われ、上記重合体に優れた粘弾性、引張特性及び加工性を与えることができる。
【0074】
ここで、上記重合体は、芳香族ビニル系単量体由来単位を含む重合体であってもよい。また、上記重合体は、共役ジエン系単量体由来単位及び芳香族ビニル系単量体由来単位を含む共重合体であってもよい。つまり、本発明の一実施例による上記重合体は、芳香族ビニル系単量体由来単位を含む単独重合体であるか、共役ジエン系単量体由来単位及び芳香族ビニル系単量体由来単位を含む共重合体であってもよい。
【0075】
本発明における用語「由来単位」は、ある物質に起因した成分、構造、またはその物質自体を現わすものであってもよい。
【0076】
また、本発明は、スチレン系化合物の製造方法を提供する。
【0077】
本発明の一実施例によるスチレン系化合物の製造方法は、下記化学式2で表される化合物と下記化学式3で表される化合物を反応させる段階を含んでもよい。
【0079】
上記化学式2で、Rは水素原子または炭素数1ないし20の炭化水素基であってもよく、
【0081】
上記化学式3で、R
1はハロゲン原子であってもよく、nは1ないし11の整数であってもよい。
【0082】
具体的に、上記化学式2で表される化合物は、ヒドロキシスチレン(o−、m−、p−hydroxyl styrene)であってもよく、上記化学式3で表される化合物は、2−クロロエチルメチルエーテルまたは1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタンであってもよい。
【0083】
上記化学式2及び化学式3で表される化合物は、化学量論的な量で使われるものであってもよく、具体的には、上記化学式3で表される化合物は、化学式2で表される化合物1mol対比1.1molないし2.5molの割合で使われてもよい。
【0084】
また、上記化学式2の化合物と化学式3の化合物の反応は、有機溶媒の中で行われてもよい。上記有機溶媒は特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)またはアセトニトリル(acetonitrile)が使われてもよい。
【0085】
また、上記化学式2の化合物と化学式3の化合物の反応は、非活性気体の雰囲気下で行われてもよい。上記非活性気体としては、窒素、アルゴンなどを挙げられる。
【0086】
また、上記化学式2の化合物と化学式3の化合物の反応は、70℃ないし90℃の温度範囲内で行われてもよい。反応時の温度が上記範囲を脱して、あまりにも低くなると反応が進められず、混合物の状態で存在する問題が発生する。
【0087】
一方、上記化学式2で表される化合物は、下記反応式1を通じて製造されるものであってもよい。
【0089】
上記反応式1で、Rは前述したものと同様であってもよい。
【0090】
具体的に、本発明の一実施例による上記化学式2で表される化合物は、上記反応式1に化学式(i)で表される化合物からアセテート基をヒドロキシ基に置換反応させることで製造されるものであってもよく、この時、上記置換反応は、常温の非活性気体の雰囲気下で行われてもよく、ここで非活性気体は前述したものと同様のものであってもよい。
【0091】
また、本発明は、下記化学式1で表されるスチレン系化合物由来官能基を含む変性重合体を提供する。
【0093】
上記化学式1で、Rは水素原子または炭素数1ないし20の炭化水素基であってもよく、nは1ないし11の整数であってもよい。
【0094】
本発明の一実施例による上記変性重合体は、後述する製造方法によって製造されるものであってもよく、上記変性重合体は、上記化学式1で表されるスチレン系化合物由来官能基を主鎖に含んでもよいし、これによって物性が改善される。
【0095】
具体的に、上記化学式1で表されるスチレン系化合物は、前述したものと同じであってもよい。
【0096】
別の例として、上記変性重合体は、一側端に変性剤由来官能基を含んでもよい。
【0097】
上記変性剤は、一例として、下記化学式4で表される化合物であってもよい。
【0099】
上記化学式4で、R
2及びR
3はそれぞれ独立に炭素数1ないし20のアルキル基であってもよく、R
4は下記化学式5ないし8からなる群から選択された1種の官能基であってもよく、eは1または2であり、fは0ないし2から選択された整数であり、e及びfが同時に2の場合はない。
【0104】
上記化学式5ないし8で、R
5、R
6、R
10、R
11、R
12、R
17及びR
18は、それぞれ独立に炭素数1ないし20の線形または分岐型のアルキレン基であってもよく、R
7、R
8、R
9、R
13、R
15、R
16、R
19及びR
20は、それぞれ独立に炭素数1ないし20のアルキル基またはアルキルシリル基であってもよく、R
14は炭素数1ないし20の3価の炭化水素基であってもよい。
【0105】
具体的な例として、上記化学式4で、R
2及びR
3はそれぞれ独立に炭素数1ないし10のアルキル基であってもよく、R
4は上記化学式5ないし8からなる群から選択された1種の官能基であってもよく、eは1または2であり、fは0ないし2から選択された整数であり、e及びfが同時に2ではないし、上記化学式5ないし8で、R
5、R
6、R
10、R
11、R
12、R
17及びR
18は、それぞれ独立に炭素数1ないし10の線形アルキレン基であってもよく、R
7、R
8、R
9、R
13、R
15、R
16、R
19及びR
20はそれぞれ独立に炭素数1ないし10のアルキル基またはアルキルシリル基であってもよく、R
14は炭素数1ないし10の3価の炭化水素基であってもよい。
【0106】
より具体的な例として、上記化学式4で表される化合物は、下記化学式9ないし13で表される化合物からなる群から選択された1種であってもよい。
【0112】
上記化学式9ないし13で、Meはメチル基で、Etはエチル基である。
【0113】
この場合、変性重合体の一側端に上記化学式4で表される化合物の変性剤由来官能基を含むことで、充填剤との相互作用に優れて、これによって、加工性、引張強度及び粘弾性の特性に優れた効果がある。
【0114】
一方、上記変性重合体は、単独重合体であるか、または共重合体であってもよく、上記変性重合体が単独重合体の場合、芳香族ビニル系単量体由来単位を含む変性重合体であってもよく、上記変性重合体が共重合体の場合、共役ジエン系単量体由来単位及び芳香族ビニル系単量体由来単位を含むものであってもよい。また、上記変性重合体が共重合体である場合、上記共重合体はランダム共重合体であってもよい。
【0115】
本発明における用語「ランダム共重合体(random copolymer)」は、共重合体をなす構成単位が無秩序に配列されたことを表す。
【0116】
上記共役ジエン系単量体は、特に制限されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2,3−ジメニル−1,3−ブタジエン、ピペリレン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、イソプレン及び2−フェニル−1,3−ブタジエンからなる群から選択された1種以上のものであってもよい。
【0117】
上記変性重合体が共重合体である場合、共役ジエン系単量体由来単位を60重量%以上、具体的には60重量%ないし90重量%、より具体的には60重量%ないし85重量%で含んでもよい。
【0118】
上記芳香族ビニル系単量体は、特に制限されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−(p−メチルフェニル)スチレン及び1−ビニル−5−ヘキシルナフタレンからなる群から選択された1種以上のものであってもよい。
【0119】
上記変性重合体が共重合体である場合、芳香族ビニル系単量体由来単位を40重量%以下、具体的には10重量%ないし40重量%、より具体的には15重量%ないし40重量%で含んでもよい。
【0120】
また、上記変性重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が1.0ないし3.0、具体的には1.0ないし2.5、より具体的には1.0ないし2.0であってもよい。上記変性重合体が上記の分子量分布を有する場合、これを含むゴム組成物の加工性が改善され、その結果、製造された成形品の機械的特性、低燃費特性及び耐摩耗性が向上される。
【0121】
上記変性重合体は、ビニル含量が5重量%以上、具体的には10重量%以上、より具体的には15重量%ないし70重量%であってもよい。もし、上記変性重合体が上記範囲のビニル含量を示す場合、ガラス遷移温度が適切な範囲で調節できて、タイヤに適用する時、走行抵抗及び制動力のような、タイヤに要求される物性を満足させるだけでなく、燃料消耗を減らす効果がある。
【0122】
ここで、上記ビニル含量は、ビニル基を有する単量体と芳香族ビニル系単量体からなる重合体100重量%に対して1,4−の添加ではなく、1,2−が添加された共役ジエン系単量体の含量を意味する。
【0123】
また、本発明は下記化学式1で表されるスチレン系化合物由来官能基を含む変性重合体の製造方法を提供する。
【0124】
本発明の一実施例による上記製造方法は、有機金属化合物を含む炭化水素溶媒の中で、単量体及び下記化学式1で表される置換されたスチレン系化合物を重合反応させる段階を含み、上記単量体が芳香族ビニル系単量体、または芳香族ビニル系単量体及び共役ジエン系単量体の組み合わせであることを特徴とする。
【0126】
上記化学式1で、Rは水素原子または炭素数1ないし20の炭化水素基であってもよく、nは1ないし11の整数であってもよい。
【0127】
別の例として、本発明による変性重合体の製造方法は、上記重合反応させる段階で製造された末端活性重合体を変性剤と反応させる段階を含んでもよい。
【0128】
上記変性剤は、下記化学式4で表される化合物であってもよい。
【0130】
上記化学式4で、各置換基に対する定義は前述したとおりである。
【0131】
上記重合反応は、重合体の主鎖に上記化学式1で表される置換されたスチレン系化合物由来官能基が導入された変性重合体を製造するための段階であって、炭化水素溶媒の中で有機金属化合物の存在下で単量体及び上記化学式1で表されるスチレン系化合物を重合することで行うことができるし、ここで上記単量体は、前述したように、芳香族ビニル系単量体であったり、または芳香族ビニル系単量体と共役ジエン系単量体の組み合わせのものであってもよい。
【0132】
上記共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル系単量体の具体的な種類は前述したとおりであり、各単量体の使用量は、変性重合体内の共役ジエン系単量体由来単位及び芳香族ビニル系単量体由来単位が、前述した範囲内に調節される範囲で適切に調節して使用してもよい。
【0133】
上記炭化水素溶媒は、特に制限されないが、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン及びキシレンからなる群から選択された1種以上のものであってもよい。
【0134】
上記有機金属化合物は、有機アルカリ金属化合物または有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機ルビジウム化合物及び有機セシウム化合物からなる群から選択された1種以上のものであってもよい。
【0135】
具体的に、上記有機金属化合物は、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、n−デシルリチウム、t−オクチルリチウム、フェニルリチウム、1−ナフチルリチウム、n−エイコシルリチウム、4−ブチルフェニルリチウム、4−トリルリチウム、シクロヘキシルリチウム、3,5−ジ−n−ヘプチルシクロヘキシルリチウム、4−シクロペンチルリチウム、ナフチルナトリウム、ナフチルカリウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、リチウムスルホネート、ナトリウムスルホネート、カリウムスルホネート、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムイソプロピルアミドからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0136】
上記有機金属化合物は、総単量体100gを基準にして0.01mmolないし10mmolで使用してもよい。具体的には、上記有機金属化合物は、総単量体100gを基準にして0.05mmolないし5mmol、より具体的には0.1mmolないし2mmol、さらに具体的には0.1mmolないし1mmolで使うものであってもよい。
【0137】
上記化学式1で表されるスチレン系化合物は、前述したもものと同じであってもよい。上記化学式1で表される置換されたスチレン系化合物は、単量体対比0.1重量%ないし15重量%で使用してもよい。具体的には、上記化学式1で表されるスチレン系化合物は、単量体対比0.5重量%ないし5重量%で使用してもよい。より具体的には、上記スチレン系化合物は、単量体の中で芳香族ビニル系単量体と比べて上記含量の割合で使われるものであってもよい。もし、上記スチレン系化合物を上記の割合の範囲となる量で使用する場合、最適性能の変性反応を行うことができ、高変性率の重合体を得ることができる。
【0138】
上記重合反応は、必要に応じて極性添加剤をさらに添加して行ってもよく、上記極性添加剤は、総単量体100gを基準にして0.001gないし5g、具体的には0.001gないし1g、より具体的には0.005gないし0.1gで添加してもよい。
【0139】
また、上記極性添加剤は、上記有機金属化合物を総1mmolを基準にして0.1mmolないし10mmol、具体的には0.2mmolないし5mmol、より具体的には0.5mmolないし3mmolで添加してもよい。
【0140】
上記極性添加剤は、塩、エーテル、アミンまたはこれらの混合物であってもよく、具体的には、テトラヒドロフラン、ジテトラヒドロフリルプロパン、ジエチルエーテル、シクロアマルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレンジメチルエーテル、エチレンジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、3次ブトキシエトキシエタンビス(3−ジメチルアミノ−エチル)エーテル、(ジメチルアミノ−エチル)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びテトラメチルエチレンジアミンからなる群から選択された1種以上のものであってもよい。より具体的には、ジテトラヒドロプロピルプロパン、トリエチルアミンまたはテトラメチルエチレンジアミンであってもよい。
【0141】
本発明の一実施例による製造方法は、上記の極性添加剤を使うことによって共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合させる場合、これらの反応速度の差を補ってくれることでランダム共重合体を容易に形成するように誘導することができる。
【0142】
上記重合反応は、アニオンの重合反応であってもよく、具体的には、アニオンによる成長反応によって活性部位を得るリビングアニオン重合であってもよい。
【0143】
また、上記重合は昇温重合(断熱昇温重合)、等温重合または定温重合(断熱重合)であってもよい。
【0144】
ここで、定温重合は有機金属化合物を投入した後、任意で熱を加えずに自体反応熱で重合させる段階を含む重合方法を示し、上記昇温重合は上記有機金属化合物を投入した後、任意で熱を加えて温度を増加させる重合方法を示し、上記等温重合は上記有機金属化合物を投入した後、熱を加えて熱を増加させたり熱を奪って重合物の温度を一定に維持する重合方法を示す。
【0145】
上記重合は、−20℃ないし200℃の温度範囲で行ってもよく、具体的には0℃ないし150℃、より具体的には10℃ないし120℃の温度範囲で行ってもよい。
【0146】
また、本発明の一実施例による上記変性重合体の製造方法は、回分式(バッチ式)または1種以上の反応器を含む連続式重合方法によって行ってもよい。
【0147】
本発明の一実施例による製造方法は、重合反応段階または変性反応段階の後で必要に応じて溶媒及び未反応単量体の回収及び乾燥のうち、1以上の段階をさらに含んでもよい。
【0148】
同時に、本発明は上記の変性重合体を含むゴム組成物を提供する。
【0149】
本発明の一実施例による上記ゴム組成物は、変性重合体を10重量%以上、具体的には10重量%ないし100重量%、より具体的には20重量%ないし90重量%で含んでもよい。もし、上記変性重合体の含量が10重量%未満の場合、結果的に上記ゴム組成物を利用して製造された成形品、例えばタイヤの耐摩耗性及び耐亀裂性などの改善効果が微々たるものである。
【0150】
また、上記ゴム組成物は、上記変性重合体の他に必要に応じて他のゴム成分をさらに含んでもよく、この時、上記ゴム成分はゴム組成物の総重量に対して90重量%以下の含量で含まれてもよい。具体的には、上記変性重合体100重量部に対して1重量部ないし900重量部で含まれてもよい。
【0151】
上記ゴム成分は、天然ゴムまたは合成ゴムであってもよく、例えば、上記ゴム成分はシス−1,4−ポリイソプレンを含む天然ゴム(NR);上記一般的な天然ゴムを変性または精製した、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱タンパク天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴムなどの変性天然ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリイソブチレン−コ−イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(スチレン−コ−イソプレン)、ポリ(スチレン−コ−イソプレン−コ−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−コ−ブタジエン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのような合成ゴムであってもよく、これらの中でいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使われてもよい。
【0152】
また、上記ゴム組成物は、変性重合体100重量部に対して0.1重量部ないし200重量部の充填剤を含んでもよく、具体的には10重量部ないし120重量部の充填剤を含んでもよい。上記充填剤はシリカ系充填剤であってもよく、上記シリカ系充填剤は特に制限されないが、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムまたはコロイドシリカなどであってもよい。より具体的には、上記充填剤は破壊特性の改良効果及びウェットグリップ性(wet grip)の両立効果が最も著しい湿式シリカであってもよい。また、本発明の一実施例による上記ゴム組成物は、必要に応じて、カーボンブラック系充填剤をさらに含んでもよい。
【0153】
一方、上記充填剤としてシリカが使われる場合、補強性及び低発熱性を改善するために、シランカップリング剤がともに使われてもよい。上記シランカップリング剤としては、具体的に、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、またはジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどを挙げられるし、これらの中でいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使われてもよい。より具体的には、補強性改善効果を考慮する時、上記シランカップリング剤は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドまたは3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドであってもよい。
【0154】
また、本発明による事実施例における上記ゴム組成物においては、ゴム成分として活性部位でシリカとの親和性が高い官能基が導入された変性重合体が使われているので、シランカップリング剤の配合量は通常の場合より低減されることがある。具体的に、上記シランカップリング剤は、シリカ100重量部に対して1重量部ないし20重量部で使われてもよい。上記範囲で使われる時、カップリング剤としての効果が充分に発揮されながらもゴム成分のゲル化を防ぐことができる。より具体的には、上記シランカップリング剤は、シリカ100重量部に対して5重量部ないし15重量部で使われてもよい。
【0155】
また、本発明による一実施例におけるゴム組成物は、硫黄架橋性であってもよく、これによって加硫剤をさらに含んでもよい。
【0156】
上記加硫剤は、具体的に硫黄粉末であってもよく、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部ないし10重量部で含まれてもよい。上記含量範囲で含まれる時、加硫ゴム組成物の必要な弾性率及び強度を確保することができ、同時に低燃費性を得ることができる。
【0157】
また、本発明による一実施例におけるゴム組成物は、上記成分の他、通常ゴム工業界で使われる各種添加剤、具体的には加硫促進剤、工程油、可塑剤、老化防止剤、スコッチ防止剤、亜鉛華(zinc white)、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂などをさらに含んでもよい。
【0158】
上記加硫促進剤は特に限定されないし、具体的には、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系化合物、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)などのグアニジン系化合物が使われてもよい。上記加硫促進剤は、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部ないし5重量部で含まれてもよい。
【0159】
また、上記工程油はゴム組成物内の軟化剤として作用するもので、具体的にはパラフィン系、ナフテン系、または芳香族系化合物であってもよく、より具体的には、引張強度及び耐摩耗性を考慮する時の芳香族系工程油が、ヒステリシス損失及び低温特性を考慮する時のナフテン系またはパラフィン系工程油が使われてもよい。上記工程油は、ゴム成分100重量部に対して100重量部以下の含量で含まれてもよく、上記含量で含まれる時、加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)の低下を防ぐことができる。
【0160】
また、上記老化防止剤としては、具体的に、N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、またはジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などを挙げられる。上記老化防止剤は、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部ないし6重量部で使われてもよい。
【0161】
本発明の一実施例によるゴム組成物は、上記配合処方によってバンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練機を使って混練することにより収得されてもよく、また、成形加工後の加硫工程によって低発熱性及び耐摩耗性に優れたゴム組成物が収得されてもよい。
【0162】
これによって、上記ゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダートレッド、サイドウォール、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビーズピーラー、チェイファー、またはビーズコーティングゴムなどのタイヤの各部材や、防塵ゴム、ベルトコンベヤー、ホースなどの各種工業用ゴム製品の製造に流用することができる。
【0163】
さらに、本発明は、上記ゴム組成物を利用して製造された成形品を提供する。上記成形品はタイヤまたはタイヤトレッドを含んでもよい。