(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非プロトン性極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
前記非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒からなる混合溶媒が、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒を、容積比で、(非プロトン性極性溶媒):(芳香族炭化水素溶媒)=1:3〜3:1の割合で含有するものである、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造中間体として有用な1,1−ジ置換ヒドラジン化合物を、安全、かつ低コストで収率よく製造する方法に関する。
【0002】
1,1−ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール等の1,1−ジ置換ヒドラジン化合物は、各種工業原料や、医薬、農薬などの製造中間体として有用である。
従来、1,1−ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法が記載されたものとしては、次のものが知られている。
(a)特許文献1には、「2−(1−メチルヒドラジノ)ベンゾチアゾールは、例えば、2−クロロベンゾチアゾールとメチルヒドラジンとの反応によって、又は、2−(N−メチルアミノ)ベンゾチアゾール等を、亜硝酸を用いてニトロソ体とし、次いで還元剤を用いて還元することによって得られる」と記載されている。
しかしながら、この文献には、製造方法の詳細や反応収率などは記載されていない。
【0003】
(b)また、特許文献2には、原料にヒドラジノベンゾチアゾールを用い、塩基として炭酸カリウム、炭酸セシウム、又はヘキサメチルジシラザンを用いた、多種の1,1−ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール(1,1−ジ置換体)の合成例が記載されている。
この文献に記載の製造方法に用いるヒドラジノベンゾチアゾールは、工業的に生産されており入手が容易であるため、工業的製造方法には有利な原料といえる。
しかしながら、この方法には、ヒドラジノベンゾチアゾールに直接置換基を導入しようとすると、競争反応が進行し、1,2−ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール(1,2−ジ置換体)が副生するため、収率よく目的物を得ることができないという問題があった。また、塩基として高価な炭酸セシウム等を大過剰用いる必要があるため、コスト面にも問題があった。さらに、記載されている合成方法は、分液処理後にカラム精製が必要であるため、目的物を工業的生産規模で製造することが困難なものであった。
【0004】
このように、従来の1,1−ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾールの製造方法は、高価な試薬を大量に用いて反応を行い、その後カラム精製により、副生成物である1,2−ジ置換体を除去する工程を含むものであって、工業的に実施するにはコスト面で大きな課題を有していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、入手容易なヒドラジノベンゾチアゾール等を原料とし、安価な試薬を用いて、1,1−ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール等の1,1−ジ置換ヒドラジン化合物を、安全、かつ、低コストで収率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒からなる混合溶媒中、特定量の、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される塩基の存在下、下記式(I)で表される化合物を、下記式(III)で表されるハロゲン化合物と反応させることにより、カラム精製や再結晶等の精製を要することなく、安全、かつ、低コストで収率よく、目的とする、下記式(II)で表される1,1−ジ置換ヒドラジン化合物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明によれば、(1)〜(11)の1,1−ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法が提供される。
(1)非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒からなる混合溶媒中、下記式(I)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−CH
2−、−CHR
1−、−CR
1R
2−、−NR
1−を表す。ここでR
1、R
2はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。
R
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、一置換アミノ基、二置換アミノ基又は、−C(=O)−O−R
3を表す。ここで、R
3は、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。複数のR
X同士は、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する任意のC−R
Xは窒素原子に置き換えられていてもよい。)で表されるヒドラジノ化合物を、該ヒドラジノ化合物に対し1.0〜3.0当量の、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される塩基の存在下、式(III):R−Hal(Halは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の有機基を表す。)で表される化合物と反応させることを特徴とする、下記式(II)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、X、R、R
Xは前記と同じ意味を表す。)で表される1,1−ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法。
【0013】
(2)反応終了後、反応液にプロトン性溶媒を添加して、1,1−ジ置換ヒドラジン化合物を結晶化させる工程を有することを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3)前記プロトン性溶媒が水である、(2)に記載の製造方法。
(4)前記式(I)で表される化合物が、式(I)中、R
xが水素原子の化合物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
【0014】
(5)前記式(I)で表される化合物が、式(I)中、Xが硫黄原子の化合物である、(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記式:R−Halで表される化合物が、式中、Rが、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基の化合物である、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)前記塩基が、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルコキシドである(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
【0015】
(8)前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はナトリウムメトキシドである(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)前記塩基を、前記ヒドラジノ化合物に対し1.0〜2.0当量用いる(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
【0016】
(10)前記非プロトン性極性溶媒が、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも一種である、(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)前記芳香族炭化水素溶媒が、トルエン、キシレン又はメシチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)前記非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒からなる混合溶媒が、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒を、容積比で、(非プロトン性極性溶媒):(芳香族炭化水素溶媒)=1:3〜3:1の割合で含有するものである、(1)〜(11)のいずれかに記載の製造方法。
なお、本明細書において、「置換基を有していてもよい」とは、「無置換又は置換基を有する」を意味する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の製造方法によれば、工業的に製造されており、入手が容易なヒドラジノベンゾチアゾール等を原料とし、安価な試薬だけを用いて、高い反応選択性で直接置換基を導入し、高収率で1,1−ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール等の1,1−ジ置換ヒドラジン化合物を製造することができる。
すなわち、本発明によれば、下記に示す1,2−ジ置換ヒドラジン化合物を副生することなく、高反応選択性で、高収率にて、目的とする化合物(II)(1,1−ジ置換ヒドラジン化合物)を得ることができる。
【0018】
【化3】
【0019】
本発明の製造方法は、カラム精製や再結晶等の精製工程を設ける必要がないため効率的である。また、再結晶の際に通常用いられる洗浄溶媒(ヘキサン等の炭化水素溶媒)を使用する必要がないため、安全性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記式(I)で表されるヒドラジノ化合物(以下、「ヒドラジノ化合物(I)」ということがある。)を、前記ヒドラジノ化合物に対し、1.0〜3.0当量の、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される塩基の存在下、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒の混合溶媒中、式(III):R−Halで表される化合物(以下、「化合物(III)」ということがある。)と反応させることを特徴とする、下記式(II)で表される1,1−ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法である。
【0022】
式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−CH
2−、−CHR
1−、−CR
1R
2−、又は、−NR
1−を表す。
ここでR
1、R
2はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。
【0023】
R
1、R
2の、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基の炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0024】
炭素数1〜10のアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;シクロプロピル基、シクロペンチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;水酸基;等が挙げられる。
【0025】
これらの中でも、本発明の効果がより得られやすいことから、Xは、酸素原子、硫黄原子、−CH
2−であるのが好ましく、酸素原子、硫黄原子であるのがより好ましく、硫黄原子であるのが特に好ましい。
【0026】
R
Xは、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜6のアルキルチオ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、アセチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルメチルアミノ基等のジ置換アミノ基;又は、−C(=O)−O−R
3を表す。ここで、R
3は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。
R
3の置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、R
1等の置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基として例示したのと同様のものが挙げられる。
【0027】
複数のR
X同士は、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する任意のC−R
Xは窒素原子に置き換えられていてもよい。下記に、C−R
Xが窒素原子に置き換えられた場合の、式(I)で表される化合物の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
【0029】
これらの中でも、R
Xは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であるのが好ましく、水素原子であるのが特に好ましい。
前記式(III)中、Halは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。なかでも、本発明の効果がより得られやすい観点から、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0030】
Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の有機基を表す。炭素数1〜12の有機基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜12のアルキル基;炭素数2〜12のアルケニル基;炭素数2〜12のアルキニル基;及び炭素数6〜12のアリール基等の炭化水素基;カルボキシル基、酸無水物基、アミド基等が挙げられる。なお、有機基の炭素原子数には、置換基の炭素原子は加えないものとする。
【0031】
炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基等が挙げられる。
炭素数2〜12のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブチニル基等が挙げられる。
炭素数2〜12のアルキニル基としては、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基等が挙げられ、炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
【0032】
前記炭化水素基の置換基としては、シアノ基;ニトロ基;水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等、t−ブトキシ基の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等の、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換された炭素数1〜6のアルコキシ基;フェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、アセチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;等が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基がより好ましい。
【0033】
本発明においては、塩基として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される塩基を用いる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
これらの中でも、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシドが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドが特に好ましい。
【0034】
これらの塩基の使用量は、通常1.0〜3.0当量であり、1.0〜2.0当量であるのが好ましい。前記塩基をこのような量で使用することにより、目的物を高収率で得ることができる。
【0035】
反応は、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒の混合溶媒(以下、単に「混合溶媒」ということがある。)中で行う。
前記非プロトン性極性溶媒は、プロトン供与性を有さない極性溶媒である。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル系溶媒;ジエチルスルホン、ジフェニルスルホン等のスルホン系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のウレア系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;等が挙げられる。これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
これらの中でも、非プロトン性極性溶媒としては、スルホキシド系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒を用いるのが好ましく、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドを用いるのがより好ましく、アセトニトリルを用いるのが特に好ましい。
【0037】
前記芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、トルエン、キシレン又はメシチレンを用いるのが好ましい。
【0038】
前記非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒の使用割合は、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒の容積比で、通常2:8〜8:2、好ましくは3:7〜7:3、より好ましくは4:6〜6:4である。
【0039】
本発明においては、反応溶媒として、このような混合溶媒を用いるため、後述するように、反応終了後に反応溶液から目的物を結晶化させるだけで、純度の高い目的物を高収率で得ることができる。そのため、カラム精製、再結晶等の精製工程を設ける必要がなく、工業的に有利な製造プロセスを提供することができる。
また、再結晶する必要がないことから、安全性に問題のあるヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒を用いての洗浄操作を行う必要がなく、安全性の高い製造プロセスを確保することができる。
【0040】
混合溶媒の使用量は特に制限されないが、前記化合物(I)1g当たり、通常、0.1〜50ml、好ましくは0.5〜20ml、より好ましくは1〜15mlである。
【0041】
化合物(I)と化合物(III)の使用割合は、化合物(I)と化合物(III)とのモル比で、通常、1:1〜1:2、好ましくは1:1〜1:1.3である。このような使用割合で反応を行うことにより、目的物を収率よく得ることができる。
【0042】
化合物(I)と化合物(III)との反応は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される塩基(以下、単に「塩基」ということがある。)の存在下、前記混合溶媒中で行われる。
具体的には、(α)化合物(I)を前記混合溶媒に溶解し、ここに、所定量の前記塩基と化合物(III)を添加し、全容を撹拌する方法、(β)化合物(III)を混合溶媒に溶解し、ここに、所定量の塩基と化合物(I)を添加し、全容を撹拌する方法、(γ)化合物(I)及び化合物(III)を混合溶媒に溶解し、ここに、所定量の塩基を添加し、全容を撹拌する方法等が挙げられ、(α)の方法が好ましい。
【0043】
(α)の方法においては、化合物(I)の混合溶媒溶液に、所定量の塩基及び化合物(III)を同時に添加してもよいし、化合物(I)の混合溶媒溶液に、所定量の塩基を添加した後、化合物(III)を添加してもよい。
また、塩基は、固体状態のものを反応液に添加してもよいし、塩基を混合溶媒に溶解(懸濁)させたものを反応液に添加してもよい。
さらに、化合物(III)は、そのまま反応液に添加してもよいし、化合物(III)を混合溶媒に溶解させたものを反応液に添加してもよい。
【0044】
反応温度は、通常、−10℃から用いる溶媒の沸点まで、好ましくは、40℃〜90℃である。反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から数時間である。
また、反応は、窒素気流中等の不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
【0045】
反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行うことによって、目的物を単離することができる。本発明においては、反応液にプロトン性溶媒を添加して、目的物を直接結晶化させる工程を有するのが好ましい。目的物を、精製することなく反応液から直接結晶化させることにより、容易に、高収率で高純度の目的物を得ることができる。
本発明においては、直接結晶化するだけで、高純度の目的物を得ることができるため、得られる結晶をさらにカラム精製や再結晶等の精製工程に付す必要がない。
【0046】
用いるプロトン性溶媒としては、目的とする1,1−ジ置換ヒドラジン化合物の貧溶媒であるプロトン性溶媒であれば、特に制限されない。例えば、水;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の一価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;メチルセロソルブ、ジメトキシプロパノール等のオキシアルコール化合物類;及び、これら2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。これらの中でも、水を用いるのが特に好ましい。
【0047】
目的とする化合物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
【0048】
本発明の製造方法によれば、入手容易な化合物(I)を原料とし、安価な試薬を用いて、高い反応選択性で、高収率で、安全に、目的とする1,1−ジ置換ヒドラジン化合物を製造することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。反応選択性、製品純度は、以下のようにして求めた。
(反応選択性)
反応選択性(%)は、下記式により求めた値である。
【0050】
【数1】
【0051】
(製品純度)
製品純度(%)は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分析した生成物中の1,1−ジ置換体の含有割合である。
【0052】
(実施例1)化合物1の合成
【0053】
【化6】
化合物1
【0054】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール15.00g(90.79mmol)及びアセトニトリル55.5g、トルエン55.5g、水酸化カリウム7.64g(136.19mmol)を加えて、全容を82℃に加熱還流した。そこへ、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を滴下し、滴下終了後、全容を82℃で2時間撹拌した。反応終了後、反応液に蒸留水37.5mlを加え、水層を除去した。有機層をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、濃縮液を60℃に加熱し、蒸留水60mlを加えてから、0℃まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶をろ取し、ろ過物をメタノール75.8mlと水15mlの混合溶媒で洗浄することにより、白色結晶として化合物1を19.27g得た。結果は下記表1にまとめた。
目的物の構造は
1H−NMRで同定した。
【0055】
1H−NMR(500MHz,CDCl
3,TMS,δppm):
7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)4.22(s,2H)、3.74(t,2H,J=7.5Hz)、1.69−1.76(m,2H)、1.29−1.42(m,6H)、0.89(t,3H,J=7.0Hz)。
【0056】
(実施例2)化合物1の合成
実施例1において、水酸化カリウム7.64g(136.19mmol)を水酸化ナトリウム7.26g(181.58mmol)に変更した以外、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物1を19.52g得た。結果は表1にまとめた。
【0057】
(実施例3)化合物1の合成
実施例1において、トルエン55.5gをキシレン55.5gに、水酸化カリウム7.64g(136.19mmol)を水酸化ナトリウム7.26g(181.58mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物1を19.06g得た。結果は表1にまとめた。
【0058】
(実施例4)化合物1の合成
実施例1において、トルエン55.5gをキシレン55.5gに変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物1を19.22g得た。結果は表1にまとめた。
【0059】
(実施例5)化合物2の合成
【0060】
【化7】
化合物2
【0061】
実施例1において、水酸化カリウム7.64g(136.19mmol)を水酸化ナトリウム7.26g(181.58mmol)に、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を1−ブロモヘプタン19.51g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物2を20.40g得た。結果は表1にまとめた。
目的物の構造は
1H−NMRで同定した。
【0062】
1H−NMR(500MHz,CDCl
3,TMS,δppm):
7.59(dd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz)、7.06−7.28(m,2H)、4.22(s,2H)、3.75(t,2H,J=7.0Hz)、1.29−1.38(m,10H)、0.88(t,3H,J=7.0Hz)。
【0063】
(実施例6)化合物2の合成
実施例1において、トルエン55.5gをキシレン55.5gに、水酸化カリウム7.64g(136.19mmol)を水酸化ナトリウム5.45g(136.19mmol)に、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を1−ブロモヘプタン19.51g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物2を20.33g得た。結果は表1にまとめた。
【0064】
(実施例7)化合物2の合成
実施例1において、トルエン55.5gをキシレン55.5gに、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を1−ブロモヘプタン19.51g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物2を20.04g得た。結果は表1にまとめた。
【0065】
(実施例8)化合物3の合成
【0066】
【化8】
化合物3
【0067】
実施例1において、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を1−ブロモドデカン27.15g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物3を24.32g得た。結果は表1にまとめた。
目的物の構造は
1H−NMRで同定した。
【0068】
1H−NMR(500MHz,CDCl
3,TMS,δppm):
7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、4.22(s,2H)、3.74(t,2H,J=7.5Hz)、1.73(tt,2H,J=7.5Hz,7.5Hz)、1.41−1.25(m,18H)、0.88(t,3H,J=7.0Hz)。
【0069】
(実施例9)化合物3の合成
実施例1において、トルエン55.5gをキシレン55.5gに、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を1−ブロモドデカン27.15g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物3を24.71g得た。結果は表1にまとめた。
【0070】
(実施例10)化合物4の合成
【0071】
【化9】
化合物4
【0072】
実施例1において、水酸化カリウム7.64g(136.19mmol)を水酸化ナトリウム7.26g(181.58mmol)に、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を2−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物4を18.88g得た。結果は表1にまとめた。
目的物の構造は
1H−NMRで同定した。
【0073】
1H−NMR(500MHz,CDCl
3,TMS,δppm):
7.59(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.52(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.24−7.30(m,1H)、7.05(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、3.97(s,2H)、1.47−1.74(m,3H)、1.20−1.41(m,7H)、0.89(t,3H,J=5.5Hz)。
【0074】
(実施例11)化合物5の合成
【0075】
【化10】
化合物5
【0076】
実施例1において、水酸化カリウム7.64g(136.19mmol)を水酸化ナトリウム7.26g(181.58mmol)に、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を(ブロモメチル)シクロヘキサン19.29g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物5を19.20g得た。結果は表1にまとめた。
目的物の構造は
1H−NMRで同定した。
【0077】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3,TMS,δppm):
7.58(d,1H,J=8.5Hz)、7.51(d,1H,J=8.1Hz)、7.26(dd,1H,J=7.0Hz,8.1Hz)、7.04(dd,1H,J=7.0Hz,8.1Hz)、4.24(s,2H)、3.59(d,2H,J=7.4Hz,)1.84−1.92(m,1H)、1.67−1.77(m,5H)、1.16−1.29(m,3H)、1.02−1.13(m,2H)。
【0078】
(実施例12)化合物5の合成
実施例1において、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を(ブロモメチル)シクロヘキサン19.29g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物5を19.74g得た。結果は表1にまとめた。
【0079】
(実施例13)化合物6の合成
【0080】
【化11】
化合物6
【0081】
実施例1において、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)をブチル2−クロロエチルエーテル19.73g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物6を19.71g得た。結果は表1にまとめた。
目的物の構造は
1H−NMRで同定した。
【0082】
1H−NMR(500MHz,CDCl
3,TMS,δppm):
7.61(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.50(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27−7.29(m,1H)、7.04−7.08(m,1H)、4.70(s,2H)、4.01(t,2H,J=5.0Hz)、3.82(t,2H,J=5.0Hz)、3.44(t,2H,J=7.0Hz)、1.52−1.57(m,2H)、1.31−1.39(m,2H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)。
【0083】
(実施例14)化合物7の合成
【0084】
【化12】
化合物7
【0085】
実施例1において、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を5−ブロモバレロニトリル17.65g(108.95mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物6を18.34g得た。結果は表1にまとめた。
目的物の構造は
1H−NMRで同定した。
【0086】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3,TMS,δppm):
7.60(d,1H,J=7.8Hz)、7.51(d,1H,J=8.1Hz)、7.28(dd,1H,J=7.3Hz,7.8Hz)、7.07(dd,1H,J=7.3Hz,7.8Hz)、4.23(s,2H)、3.81(t,2H,J=6.9Hz)、2.46(t,2H,J=7.1Hz,)1.88−1.95(m,2H)、1.71−1.79(m,2H)。
【0087】
(実施例15)化合物1の合成
実施例1において、水酸化カリウム7.64g(136.19mmol)をナトリウムメトキシド6.87g(127.11mmol)に、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を20.98g(127.11mmol)に、反応温度を82℃から60℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物1を18.14g得た。結果は表1にまとめた。
【0088】
(実施例16)化合物2の合成
実施例1において、水酸化カリウム7.64g(136.19mmol)をナトリウムメトキシド6.87g(127.11mmol)に、1−ブロモヘキサン17.98g(108.95mmol)を1−ブロモヘプタン22.77g(127.11mmol)に、反応温度を82℃から60℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、白色結晶として化合物2を19.20g得た。結果は表1にまとめた。
【0089】
(比較例1)化合物1の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール5.00g(30.26mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド40mlを加え、均一な溶液とした。この溶液に、炭酸カリウム20.91g(151.30mmol)、及び、1−ヨードヘキサン7.71g(36.35mmol)を加え、全容を25℃で2時間撹拌した。反応終了後、反応液に蒸留水50gを加え、水層を除去した。有機層をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、黄色固体を得た。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=75:25(体積比、以下にて同じ))により精製し、白色結晶として化合物1を5.25g得た。結果は表1にまとめた。
【0090】
(比較例2)化合物3の合成
比較例1において、炭酸カリウム20.91g(151.30mmol)を炭酸セシウム19.72g(60.52mmol)に、1−ヨードヘキサン7.71g(36.35mmol)を1−ヨードドデカン10.77g(36.35mmol)に変更した以外は、比較例1と同様にして反応を実施した。反応終了後、反応液に蒸留水50gを加え、水層を除去した。有機層をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、黄色固体を得た。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製し、白色結晶として化合物3を4.87g得た。結果は表1にまとめた。
【0091】
(比較例3)化合物4の合成
比較例1において、炭酸カリウム20.91g(151.30mmol)を水酸化カリウム2.55g(45.45mmol)に、1−ヨードヘキサン7.71g(36.35mmol)を2−ブロモヘキサン6.00g(36.35mmol)に変更した以外は、比較例1と同様にして反応を実施した。反応終了後、反応液に蒸留水50gを加え、水層を除去した。有機層をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、黄色固体を得た。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=93:7)により精製し、白色結晶として化合物4を4.03g得た。結果は表1にまとめた。
【0092】
(比較例4)化合物6の合成
比較例1において、炭酸カリウム20.91g(151.30mmol)を炭酸セシウム19.72g(60.52mmol)に、1−ヨードヘキサン7.71g(36.35mmol)をブチル2−クロロエチルエーテル4.97g(36.35mmol)に変更した以外は、比較例1と同様にして反応を実施した。反応終了後、反応液に蒸留水50gを加え、水層を除去した。有機層をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、黄色固体を得た。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製し、白色結晶として化合物6を4.26g得た。結果は表1にまとめた。
【0093】
(比較例5)化合物7の合成
比較例1において、1−ヨードヘキサン7.71g(36.35mmol)を5−ブロモバレロニトリル5.89g(36.35mmol)に変更した以外は、比較例1と同様にして反応を実施した。反応終了後、反応液に蒸留水50gを加え、水層を除去した。有機層をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、黄色固体を得た。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=60:40)により精製し、白色結晶として化合物7を3.41g得た。結果は表1にまとめた。
なお、表1中、*は、ハロゲン原子及び窒素原子との結合手である。
【0094】
【表1】
【0095】
表1から、実施例1〜16によれば、高い反応選択性、及び高収率で、製品純度の高い目的物が得られることが分かる。
一方、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒の混合溶媒を用いない場合は、塩基としてアルカリ金属水酸化物を用いても(比較例3)、反応選択性が低く、カラム精製を行った後においても、製品純度は実施例と比して低く、目的物の単離収率が低いものとなっている。