(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの無線端末の普及に伴って、通信速度の向上や利用帯域の増大など、無線ネットワークに対する社会的要請が大きくなっている。このような状況を背景として、LTE(Long Term Evolution)と呼ばれる次世代移動通信方式の無線インタフェース仕様を適用した無線ネットワークシステムが普及しつつある。LTEでは、無線アクセス技術の1つとして、複数の送信ポイント(TP)が協調してユーザ無線端末(UE)と信号を送受信するCoMP(Coordinated Multi-point transmission/reception:セル間協調送受信)が採用されている(非特許文献1参照)。なお、一般に、1つの基地局に複数の送信ポイントが存在する。
【0003】
CoMP技術は、周波数利用効率やセル端ユーザスループットを向上させる重要な技術の1つである。例えば、送信ポイントからユーザ無線端末への送信である下り方向の通信において、同時に複数の送信ポイントが同一周波数帯を用い、各ユーザ無線端末に送信することで無線リソースの利用効率を高めることができる。
【0004】
しかし、送信ポイントが異なるユーザ無線端末に対して送信した場合、複数の送信ポイントから信号を受信可能なユーザ無線端末にとっては、他の送信ポイントからの信号が所望の受信信号の干渉となって、かえってスループットの低下を招く恐れがある。したがって、このような干渉を抑制しつつ通信速度を向上させるためにCoMPは必要不可欠な技術となっている。
【0005】
また、無線ネットワークにCoMPを適用するにあたって、システムスループットの最大化を目的とすると、受信状態のよいユーザ(ユーザ無線端末)へのリソース割り当てが優先されることでユーザ間の公平性に問題が生じるため、各ユーザ無線端末のこれまでの平均レートを考慮したスケジューリングが望ましいとされている(非特許文献2を参照)。
【0006】
無線ネットワークシステムにおいて、このようなスケジューリングを行う場合、スケジューリング装置は、評価値が最大となる送信ポイントとユーザ無線端末との組み合わせとして、送信ポイント毎の送信状態、すなわち送信ポイント毎に送信先となるユーザ無線端末あるいは送信停止を指定する情報を決定する。この組み合わせを決定するために、多数の送信ポイントとユーザ無線端末との組み合わせの評価値を計算し、評価値が最良の組み合わせを見つける処理を行い、スケジューリング周期内(例えば1ミリ秒の時間内)に組み合わせの決定を完了する必要がある。
【0007】
最適な組み合わせを取得する確実な方法は、可能性のある全ての組み合わせの各々について評価値を計算し評価値が最大となる組み合わせを見つけ出す、つまり総当たりで探索を行うことである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0018】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1におけるスケジューリング装置の構成を示す構成図である。このスケジューリング装置は、探索ドメイン数決定部101、探索ドメイン決定部102、所属ユーザ決定部103、組み合わせ生成部104、評価値算出部105、および保持部106を備える。このスケジューリング装置は、複数の送信ポイントを有する無線ネットワークに対して、これら送信ポイントと各ユーザ無線端末との間で無線通信を行うための無線リソースを割り当てる際に用いる最適組み合わせパターンを、送信ポイントと当該送信ポイントの送信状態との組み合わせパターンのうちから探索する。
【0019】
探索ドメイン数決定部101は、スケジューリングの対象となるユーザ無線端末の数をもとに複数のユーザ無線端末を分割して所属させる探索ドメインの数を決定する。ユーザ無線端末の数が少ない場合は、探索ドメインの数を少なくし、ユーザ無線端末の数が多い場合は、探索ドメインの数を多くする。例えば、ユーザ無線端末の数が1〜10の範囲であれば、探索ドメインの数は1つとする。また、ユーザ無線端末の数が11〜20の範囲であれば、探索ドメインの数は2つとする。
【0020】
探索ドメイン決定部102は、探索ドメイン数決定部101が決定した数の探索ドメインを設定する。例えば、探索ドメイン数決定部101が探索ドメイン数を3とした場合、探索ドメイン決定部102は、ドメイン1、ドメイン2、ドメイン3を探索ドメインとして設定する。
【0021】
また、探索ドメイン決定部102は、設定した各探索ドメインに所属する送信ポイントを、設定されている送信ポイント数の範囲で、物理的な距離が近いもの同士が同一の探索ドメインに所属される状態に決定する。探索ドメイン決定部102は、各探索ドメインに、送信ポイントを識別する識別子を対応づけることで所属状態とする。
【0022】
例えば、対象となるN個の送信ポイントの中から、任意の送信ポイントを1つ選択し(送信ポイントA)、選択した送信ポイントAからの物理的な距離が最も近い送信ポイントBを、同じ探索ドメインに所属する2つ目の送信ポイントとして選択する。次に、同じ探索ドメインに所属させる3つ目の送信ポイントを選択するときは、既に所属することが決まった2つの送信ポイントA,送信ポイントBからの距離の和が最小になる送信ポイントCを選択する。このように、既に探索ドメインに所属している送信ポイントとの距離の和が最小になる送信ポイントの選択を、各探索ドメインに所属する送信ポイントの数に達するまで繰り返すことで、各探索ドメインに所属する送信ポイントを決定すればよい。
【0023】
なお、上述では「物理的な距離」に基づいて、各探索ドメインに所属する送信ポイントを決定したが、決定に用いる指標は「物理的な距離」に限らない。例えば、「無線的な距離」を指標にして、各探索ドメインに所属する送信ポイントを決定してもよい。無線的な距離とは、各送信ポイント間の電波強度などの無線状態を測定し、測定した無線状態の相関である。無線状態の相関の高い送信ポイント同士は無線的な距離が近く、一方、無線状態の相関の低い送信ポイント同士は無線的な距離が遠い。
【0024】
具体的には、互いに無線の電波状態の相関が高い送信ポイント同士が同じ探索ドメインに所属できるように、無線状態の相関が高いものを順次選択する。物理的な距離は近いが送信ポイント間に遮蔽物があり、送信ポイント同士の電波干渉がない場合に同一探索ドメインに所属することがなくなる。一方、物理的な距離は比較的遠いが送信ポイント同士の電波干渉がある場合に同一探索ドメインに所属させることができる。これにより、複数の送信ポイント同士が協調した無線送信を効果的に行えるようになる。
【0025】
所属ユーザ決定部103は、ユーザ無線端末が接続可能な送信ポイントの情報をもとに、探索ドメイン決定部102が決定した探索ドメインに所属する送信ポイントに対応させて各探索ドメインに所属するユーザ無線端末を決定する。所属ユーザ決定部103は、各探索ドメインに、ユーザ無線端末を識別する識別子を対応づけることで所属状態とする。
【0026】
各ユーザ無線端末は、いずれか1つの探索ドメインにのみ所属させる。各ユーザ無線端末より通知されている接続可能な1つ以上の送信ポイントの情報をもとに所属させる探索ポイントを決定する。例えば、複数の送信ポイントとの接続ができるユーザ無線端末は、最も受信電力が高く受信環境のよい送信ポイントを含む探索ドメインに所属させる。最も高い受信電力値の送信ポイントが複数存在し、所属することができる探索ドメインが複数存在する場合は、接続できる送信ポイントの候補が最も多くなる探索ドメインに所属させる。なお、所属させる探索ドメインの決め方は、受信電力の最も高い送信ポイントを含む探索ドメインとする必要はなく、例えば、接続できる送信ポイントの候補が最も多くなる探索ドメインに所属させるようにしてもよい。
【0027】
組み合わせ生成部104は、探索ドメイン決定部102が設定した探索ドメイン毎に、探索ドメイン決定部102が決定した所属する送信ポイントと、所属ユーザ決定部103が決定した所属するユーザ無線端末との組み合わせを生成する。組み合わせ生成部104は、設定されている組み合わせ最大数を、組み合わせ数の最大値として組み合わせを生成する。例えば、1回のスケジューリング周期内に生成できる組み合わせの数が10000であれば、探索ドメイン数で除した値が組み合わせ最大数として設定される。組み合わせ生成部104は、送信ポイントを識別する識別子とユーザ無線端末を識別する識別子との組み合わせを生成する。
【0028】
例えば、総当たりで組み合わせを生成していき、生成した組み合わせ数が最大値に達したら組み合わせ生成を終了する。また、組み合わせの生成においては、各送信ポイントが送信停止状態している組み合わせも含めて生成する。なお、組み合わせの生成は、総当たりに限るものではなく、例えば、一般に知られる組み合わせ最適化問題の近似解法(例えば、山登り法)を適用してもよい。このように、各探索ドメインの組み合わせの生成において、組み合わせ最適化問題の近似解法を適用することで、少ない評価値の計算を行う組み合わせの数で、よりよい評価値が得られるようになるという効果がある。
【0029】
評価値算出部105は、組み合わせ生成部104が生成した組み合わせの各々について設定に基づいて評価値を算出する。評価値算出部105は、設定されている評価値計算式に基づき評価値を計算する。
【0030】
一般に、無線ネットワークシステムでは、当該の基地局とユーザ無線端末の組み合わせで送信を行う場合に得られるスループット値を、所定の期間積算した平均スループット値で除した値(Proportional Fairness)が、評価指標として用いられている。各探索ドメインに送信ポイントが複数ある場合は、探索ドメインの全体の評価指標を求めるために、各送信ポイントについて求めた「Proportional Fairness」の値を合算し、合算した値を評価指標として用いればよい。また、既に割り当ての決まった探索ドメインの評価値も加味する場合、無線ネットワークシステム全体の評価指標を求めるために、各送信ポイントについて求めた「Proportional Fairness」の値を合算し、合算した値を評価指標として用いればよい。
【0031】
保持部106は、評価値算出部105が算出した評価値が最も高い組み合わせを保持する。保持部106は、計算された評価値がこれまで保持していた組み合わせの評価値よりも大きい場合は、保持する組み合わせを新たに計算された評価値で更新する。また、保持部106は、計算された評価値がこれまで保持していた組み合わせの評価値よりも小さい場合は、更新しない。この比較および更新を、探索ドメイン毎に行い、生成する組み合わせの数の上限に達した時点で得られる最適な組み合わせを、当該の探索ドメインの組み合わせとして保持し、全体の組み合わせを更新する。
【0032】
ここで、従来では、送信ポイント(識別情報)とユーザ無線端末(識別情報)との全ての組み合わせについて評価値を算出していた。これに対し、実施の形態1によれば、探索ドメイン数決定部101、探索ドメイン決定部102、所属ユーザ決定部103を備え、スケジューリングの対象となる送信ポイントおよびユーザ無線端末を探索ドメイン毎に分割し、探索ドメイン毎に組み合わせを生成して評価を行うようにした。この結果、実施の形態1によれば、従来に比較して、より少ない評価値の計算回数で、評価値が最大となる組み合わせが求められ、最適な組み合わせの特定に要する処理時間を大幅に短縮できるようになる。
【0033】
本発明の概要について、
図2を用いて説明する。
図2では、送信ポイントの数を9とし、ユーザ無線端末の数を9とし、探索ドメインの数を3とした場合を例にしている。まず、9つの送信ポイントA,B,C,D,E,F,G,J,Iを3つの探索ドメイン1,2,3に分割する。
【0034】
図2の(a)に示すように、探索ドメイン#1に送信ポイントA、B、Cを所属させ、端末1、端末2、端末3を所属させる。
図2の(b)に示すように、探索ドメイン#2に送信ポイントD、E、Fを所属させ、端末4、端末5、端末6を所属させる。また、
図2の(c)に示すように、探索ドメイン#3に送信ポイントG、H、Iを所属させ、端末7、端末8、端末9を所属させる。
【0035】
このように、構成した各探索ドメインについて、評価値を計算する。探索ドメイン#1では、送信ポイントAと端末1、送信ポイントBと端末3、送信ポイントCは送信停止のこの組み合わせが最も評価値が高く計算され、探索ドメイン#1の結果は、上記の組み合わせとする。同様に、探索ドメイン#2、#3についても組み合わせを決定する(図中「*」参照)。このように各探索ドメインにおいて得られた送信ポイントとユーザ無線端末(送信停止を含む)との組み合わせを、
図2の(d)に示すように合体させて全体の組み合わせの結果とする。
【0036】
次に、本発明の実施の形態1におけるスケジューリング装置の動作例について、
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
まず、ステップS201で、探索ドメイン数決定部101が、スケジューリングの対象となるユーザ無線端末の数をもとに複数のユーザ無線端末を分割して所属させる探索ドメインの数を決定する。ユーザ無線端末の数が少ない場合は、探索ドメインの数を少なくし、ユーザ無線端末の数が多い場合は、探索ドメインの数を多くする。次に、ステップS202で、探索ドメイン決定部102が、探索ドメイン数決定部101が決定した数の探索ドメインを設定する。
【0038】
次に、ステップS203で、所属ユーザ決定部103が、ユーザ無線端末が接続可能な送信ポイントの情報をもとに、探索ドメイン決定部102が決定した探索ドメインに所属する送信ポイントに対応させて各探索ドメインに所属するユーザ無線端末を決定する。
【0039】
次に、ステップS204で、組み合わせ生成部104が、探索ドメイン決定部102が設定した探索ドメイン毎に、探索ドメイン決定部102が決定した所属する送信ポイントと、所属ユーザ決定部103が決定した所属するユーザ無線端末との組み合わせを生成する。設定されている組み合わせ最大数を、組み合わせ数の最大値として組み合わせを生成する。
【0040】
次に、ステップS205で、評価値算出部105が、組み合わせ生成部104が生成した組み合わせの各々について、設定されている評価値計算式に基づいて評価値を算出する。
【0041】
次に、ステップS206で、保持部106が、計算された評価値(計算値)がこれまで保持していた組み合わせの評価値より大きいか小さいかを判断する。計算値がこれまで保持していた組み合わせの評価値よりも大きい場合(ステップS206のy)、ステップS207で、保持部106は、保持していた組み合わせを新たに計算された評価値で更新する。一方、計算値が計算された評価値がこれまで保持していた組み合わせの評価値よりも小さい場合(ステップS206のn)、ステップS208に移行する。上述したステップS204〜ステップS207を、探索ドメイン毎に行い、生成する組み合わせの数の上限に達した時点で得られる最適な組み合わせを、当該の探索ドメインの組み合わせとして保持し、全体の組み合わせを更新して終了する(ステップS208)。
【0042】
上述したように、実施の形態1によれば、スケジューリングの対象である複数の送信ポイントを複数の探索ドメインに分割し、各探索ドメインに所属する送信ポイントとユーザ無線端末について、組み合わせの生成と評価を行い最適な組み合わせを探索するようにした。また、ユーザ無線端末の数に応じて、探索ドメインの数を決定しているので、ユーザ無線端末の数が多く、取り得る組み合わせの数が多い場合にも、各探索ドメインに所属する送信ポイントの数とユーザ無線端末の数を少なくできる。
【0043】
例えば、送信ポイント数が32、ユーザ無線端末が256の場合、可能性のある全ての組み合わせについて評価値を計算して評価を行う従来では、
図4の(a)に点線で示すように、10
76程度になる。これに対し、実施の形態1によれば、
図4の(b)に実線で示すように、探索ドメイン数の増加と共に組み合わせ数が減少する。これらの結果、より少ない評価値の計算回数で、評価値が最大となる組み合わせが求められ、最適な組み合わせの特定に要する処理時間を大幅に短縮できるようになる。
【0044】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図5は、本発明の実施の形態2におけるスケジューリング装置の構成を示す構成図である。このスケジューリング装置は、探索ドメイン数決定部101、探索ドメイン決定部102、所属ユーザ決定部103、組み合わせ生成部104、評価値算出部105、および保持部106を備える。
【0045】
上述した構成は、前述した実施の形態1と同様である。実施の形態2では、新たに、組み合わせ数計算部107を備える。
【0046】
組み合わせ数計算部107は、各探索ドメインに所属する送信ポイントの数と、各探索ドメインに所属するユーザ無線端末の数とから、各探索ドメインで取り得る組み合わせの総数を計算し、組み合わせ生成部104で用いる組み合わせ最大数とする。
【0047】
例えば、ある探索ドメインの送信ポイントの数が3、ユーザ無線端末の数が12であり、全てのユーザ無線端末が全ての送信ポイントと接続可能である場合、当該探索ドメインの組み合わせの総数は、(12+1)^3=2197である。このように、各探索ドメインにおける組み合わせの総数を計算する。スケジューリング周期内に生成して評価値の計算を行うことができる組み合わせの数は予め決まっているため、探索ドメインの数および各探索ドメインにおける組み合わせの総数に応じて、各探索ドメインにて生成する組み合わせの数を決める。
【0048】
ここで、組み合わせの総数が多い探索ドメインに対しては、生成する組み合わせ数を多く割り当て、組み合わせの総数が少ない探索ドメインに対しては、生成する組み合わせ数を少なく割り当てる。例えば、スケジューリング周期内に生成できる組み合わせの数が10000であり、第1探索ドメインと第2探索ドメインとの2つが設定されている場合を考える。
【0049】
第1探索ドメインの組み合わせの総数が10000であり、第2探索ドメインの組み合わせの総数が30000である場合、第1探索ドメインの組み合わせ数は、10000×(10000÷(10000+30000))=2500と決定し、第2探索ドメインの組み合わせ数は、10000×(30000÷(10000+30000))=7500と決定する。このように、組み合わせ数計算部107は、探索ドメインの数と、各探索ドメインの組み合わせの総数と、に応じて、探索ドメインで生成する組み合わせ数を決める。
【0050】
なお、上記では、各探索ドメインに対して、総数に比例するように、探索ドメインにおける組み合わせの数を決定する例を示したが、これに限るものではない。例えば、各探索ドメインの組み合わせの総数の累乗に基づいて決定してもよい。
【0051】
前述同様に、スケジューリング周期内に生成可能な組み合わせの数が10000であり、第1探索ドメインにおける組み合わせの総数が10000(10^4)、第2探索ドメインの組み合わせの総数が100000(10^5)である場合、第1探索ドメインにおける組み合わせ数は、10000×(4÷(4+5))=4444と決定し、第2探索ドメインの組み合わせ数は、10000×(5÷(4+5))=5555と決定する。このように、探索ドメインの数、および各探索ドメインの組み合わせの総数の累乗に応じ、各々の探索ドメインで生成する組み合わせ数を決定してもよい。
【0052】
また、例えば、各探索ドメインに対して、組み合わせの数を等分で割り当て、残りを各探索ドメインの組み合わせの総数に応じて決定してもよい。前述同様に、スケジューリング周期内に生成できる組み合わせの数が10000通りであり、第1探索ドメインの組み合わせの総数が10000、第2探索ドメインの組み合わせの総数が30000であり、等分で割り当てる組み合わせの数が2000とした場合を考える。
【0053】
第1探索ドメインにおける組み合わせの数は、2000+6000×(10000÷(10000+30000))=3500と決定し、第2探索ドメインにおける組み合わせの数は、2000+6000×(30000÷(10000+30000))=6500と決定する。このように、ある組み合わせ数は等分で割り当てた上で、残りの組み合わせ数を探索ドメインの数および各探索ドメインの組み合わせの総数に応じ、各々の探索ドメインで生成する組み合わせ数を決定してもよい。
【0054】
上記の方法に限らず、組み合わせの数の決定は、各探索ドメインの組み合わせの総数の大小関係に対応されればよい。
【0055】
実施の形態2によれば、探索ドメイン数決定部101、探索ドメイン決定部102、所属ユーザ決定部103を備え、スケジューリングの対象となる送信ポイントおよびユーザ無線端末を探索ドメイン毎に分割し、探索ドメイン毎に組み合わせを生成して評価を行うようにした。この結果、実施の形態2によれば、従来に比較して、より少ない評価値の計算回数で、評価値が最大となる組み合わせが求められ、最適な組み合わせの特定に要する処理時間を大幅に短縮できるようになる。
【0056】
加えて、実施の形態2によれば、組み合わせ数計算部107を備えるようにしたので、組み合わせの総数が多い探索ドメインについても、評価値の高い組み合わせが得られるようになる。
【0057】
次に、本発明の実施の形態2におけるスケジューリング装置の動作例について、
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
まず、ステップS301で、探索ドメイン数決定部101が、スケジューリングの対象となるユーザ無線端末の数をもとに複数のユーザ無線端末を分割して所属させる探索ドメインの数を決定する。ユーザ無線端末の数が少ない場合は、探索ドメインの数を少なくし、ユーザ無線端末の数が多い場合は、探索ドメインの数を多くする。次に、ステップS302で、探索ドメイン決定部102が、探索ドメイン数決定部101が決定した数の探索ドメインを設定する。
【0059】
次に、ステップS303で、所属ユーザ決定部103が、ユーザ無線端末が接続可能な送信ポイントの情報をもとに、探索ドメイン決定部102が決定した探索ドメインに所属する送信ポイントに対応させて各探索ドメインに所属するユーザ無線端末を決定する。
【0060】
次に、ステップS304で、組み合わせ数計算部107が、各探索ドメインに所属する送信ポイントの数と、各探索ドメインに所属するユーザ無線端末の数とから、各探索ドメインで取り得る組み合わせの総数を計算し、組み合わせ生成部104で用いる組み合わせ最大数とする。
【0061】
次に、ステップS305で、組み合わせ生成部104が、探索ドメイン決定部102が設定した探索ドメイン毎に、探索ドメイン決定部102が決定した所属する送信ポイントと、所属ユーザ決定部103が決定した所属するユーザ無線端末との組み合わせを生成する。組み合わせ数計算部107により計算されて設定された組み合わせ最大数を、組み合わせ数の最大値として組み合わせを生成する。
【0062】
次に、ステップS306で、評価値算出部105が、組み合わせ生成部104が生成した組み合わせの各々について、設定されている評価値計算式に基づいて評価値を算出する。
【0063】
次に、ステップS307で、保持部106が、計算された評価値(計算値)がこれまで保持していた組み合わせの評価値より大きいか小さいかを判断する。計算値がこれまで保持していた組み合わせの評価値よりも大きい場合(ステップS307のy)、ステップS308で、保持部106は、保持していた組み合わせを新たに計算された評価値で更新する。一方、計算値が計算された評価値がこれまで保持していた組み合わせの評価値よりも小さい場合(ステップS307のn)、ステップS309に移行する。上述したステップS305〜ステップS308を、探索ドメイン毎に行い、生成する組み合わせの数の上限に達した時点で得られる最適な組み合わせを、当該の探索ドメインの組み合わせとして保持し、全体の組み合わせを更新して終了する(ステップS309)。
【0064】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図7は、本発明の実施の形態3におけるスケジューリング装置の構成を示す構成図である。このスケジューリング装置は、探索ドメイン数決定部101、探索ドメイン決定部102、所属ユーザ決定部103、組み合わせ生成部104、評価値算出部105、保持部106、組み合わせ数計算部107を備える。
【0065】
上述した構成は、前述した実施の形態2と同様である。実施の形態3では、新たに、所属送信ポイント変更部108を備える。
【0066】
所属送信ポイント変更部108は、探索ドメイン毎に、所属するユーザ無線端末と所属する送信ポイントとの取り得る組み合わせ総数が組み合わせ最大数となるまで所属する送信ポイントの数を、探索ドメイン決定部102が決定した探索ドメインに追加する。所属送信ポイント変更部108は、物理的な距離または無線的な距離が近いもの同士が同一の探索ドメインに所属される状態となるように、上述した追加を行う。
【0067】
実施の形態3によれば、探索ドメイン数決定部101、探索ドメイン決定部102、所属ユーザ決定部103を備え、スケジューリングの対象となる送信ポイントおよびユーザ無線端末を探索ドメイン毎に分割し、探索ドメイン毎に組み合わせを生成して評価を行うようにした。この結果、実施の形態3によれば、従来に比較して、より少ない評価値の計算回数で、評価値が最大となる組み合わせが求められ、最適な組み合わせの特定に要する処理時間を大幅に短縮できるようになる。
【0068】
また、実施の形態3によれば、組み合わせ数計算部107を備えるので、組み合わせの総数が多い探索ドメインについても、評価値の高い組み合わせが得られるようになる。
【0069】
加えて、実施の形態3によれば、所属送信ポイント変更部108を備えるので、可能な限り探索ドメインの規模を大きくでき、送信ポイント同士が協調したスケジューリングの効果を得やすくなり、評価値の高い組み合わせを得られるようになる。
【0070】
次に、本発明の実施の形態3におけるスケジューリング装置の動作例について、
図8のフローチャートを用いて説明する。
【0071】
まず、ステップS401で、探索ドメイン数決定部101が、スケジューリングの対象となるユーザ無線端末の数をもとに複数のユーザ無線端末を分割して所属させる探索ドメインの数を決定する。ユーザ無線端末の数が少ない場合は、探索ドメインの数を少なくし、ユーザ無線端末の数が多い場合は、探索ドメインの数を多くする。次に、ステップS402で、探索ドメイン決定部102が、探索ドメイン数決定部101が決定した数の探索ドメインを設定する。
【0072】
次に、ステップS403で、所属ユーザ決定部103が、ユーザ無線端末が接続可能な送信ポイントの情報をもとに、探索ドメイン決定部102が決定した探索ドメインに所属する送信ポイントに対応させて各探索ドメインに所属するユーザ無線端末を決定する。
【0073】
次に、ステップS404で、組み合わせ数計算部107が、各探索ドメインに所属する送信ポイントの数と、各探索ドメインに所属するユーザ無線端末の数とから、各探索ドメインで取り得る組み合わせの総数を計算し、組み合わせ生成部104で用いる組み合わせ最大数とする。
【0074】
次に、ステップS405で、所属送信ポイント変更部108が、探索ドメインに所属するユーザ無線端末と所属する送信ポイントとの取り得る組み合わせ総数が、組み合わせ最大数となっているかどうかを判断する。取り得る組み合わせ総数が、組み合わせ最大数となっていない場合(ステップ405のn)、ステップS406で、所属送信ポイント変更部108は、探索ドメイン決定部102が決定した探索ドメインに、総数が組み合わせ最大数となるまで所属する送信ポイントの数を追加する。所属送信ポイント変更部108は、物理的な距離または無線的な距離が近いもの同士が同一の探索ドメインに所属される状態となるように、上述した追加を行う。
【0075】
次に、ステップS406で、組み合わせ生成部104が、探索ドメイン決定部102が設定した探索ドメイン毎に、探索ドメイン決定部102が決定し、かつ所属送信ポイント変更部108により追加された所属する送信ポイントと、所属ユーザ決定部103が決定した所属するユーザ無線端末との組み合わせを生成する。組み合わせ数計算部107により計算されて設定された組み合わせ最大数を、組み合わせ数の最大値として組み合わせを生成する。
【0076】
次に、ステップS407で、評価値算出部105が、組み合わせ生成部104が生成した組み合わせの各々について、設定されている評価値計算式に基づいて評価値を算出する。
【0077】
次に、ステップS409で、保持部106が、計算された評価値(計算値)がこれまで保持していた組み合わせの評価値より大きいか小さいかを判断する。計算値がこれまで保持していた組み合わせの評価値よりも大きい場合(ステップS409のy)、ステップS410で、保持部106は、保持していた組み合わせを新たに計算された評価値で更新する。一方、計算値が計算された評価値がこれまで保持していた組み合わせの評価値よりも小さい場合(ステップS409のn)、ステップS411に移行する。上述したステップS406〜ステップS410を、探索ドメイン毎に行い、生成する組み合わせの数の上限に達した時点で得られる最適な組み合わせを、当該の探索ドメインの組み合わせとして保持し、全体の組み合わせを更新して終了する(ステップS411)。
【0078】
以上に説明したように、本発明によれば、スケジューリングの対象である複数の送信ポイントを複数の探索ドメインに分割し、各探索ドメインに所属する送信ポイントとユーザ無線端末について、組み合わせの生成と評価を行い最適な組み合わせを探索するようにした。また、ユーザ無線端末の数に応じて、探索ドメインの数を決定しているので、ユーザ無線端末の数が多く、取り得る組み合わせの数が多い場合にも、各探索ドメインに所属する送信ポイントの数とユーザ無線端末の数を少なくできる。この結果、本発明によれば、送信ポイントとユーザ無線端末との最適な組み合わせがより迅速に特定できる。
【0079】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。