特許第6619320号(P6619320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電信電話株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6619320-スケジューリング装置および方法 図000002
  • 特許6619320-スケジューリング装置および方法 図000003
  • 特許6619320-スケジューリング装置および方法 図000004
  • 特許6619320-スケジューリング装置および方法 図000005
  • 特許6619320-スケジューリング装置および方法 図000006
  • 特許6619320-スケジューリング装置および方法 図000007
  • 特許6619320-スケジューリング装置および方法 図000008
  • 特許6619320-スケジューリング装置および方法 図000009
  • 特許6619320-スケジューリング装置および方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619320
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】スケジューリング装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20090101AFI20191202BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20191202BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20191202BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H04W72/12 130
   H04W16/28 150
   H04W28/06 130
   H04J3/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-232758(P2016-232758)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-93277(P2018-93277A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年12月10日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、総務省、第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発〜超高密度マルチバンド・マルチアクセス多層セル構成による大容量化技術の研究開発〜、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】有川 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健
【審査官】 吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−192677(JP,A)
【文献】 特開2015−043506(JP,A)
【文献】 特表2016−521095(JP,A)
【文献】 特表2012−500522(JP,A)
【文献】 有川 勇輝 Yuki ARIKAWA,超高密度分散アンテナシステムにおける協調無線リソーススケジューラ構成技術の基礎検討 Basic Study on Coordinated Radio-resource Scheduler Architecture in Ultra-high-density Distributed Antenna Systems,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.115 No.472 IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2016年 3月,第115巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブフレームからなるダウンリンク期間と1つまたは複数のサブフレームからなるアップリンク期間とを時分割で切り替えるTDD(Time Division Duplex)方式に基づいて、複数のアンテナにより複数の無線端末と無線通信を行う無線ネットワークで用いられて、前記無線通信を行う前記アンテナと前記無線端末との組み合わせを示す複数の組合せパターンのうちから最適組合せパターンを探索して決定するスケジューリング装置であって、
前記アップリンク期間内に設定されている、前記アップリンク期間の一部または全部からなる処理拡張期間と同期して、前記処理拡張期間を示す処理制御信号を出力する処理制御部と、
前記ダウンリンク期間と前記処理制御信号が示す前記処理拡張期間からなる期間において、ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれで用いる前記最適組合せパターンを、ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれに先立って探索するスケジューリング処理部と
を備えることを特徴とするスケジューリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスケジューリング装置において、
前記スケジューリング処理部は、
前記最適組合せパターンの候補として、複数の前記組合せパターンを順次生成する組合せ生成部と、
生成された複数の前記組合せパターンに関する評価値を計算する組合せ評価部と、
生成された複数の前記組合せパターンのうちから、前記評価値が最大であるものを選択して前記最適組合せパターンとして保持して出力する最適組合せ保持部と
を含む探索処理部を備える
ことを特徴とするスケジューリング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスケジューリング装置において、
前記スケジューリング処理部は、すべての前記無線端末のうちから、前記組合せ生成部で生成する複数の前記組合せパターンで前記アンテナと組み合わせる前記無線端末を対象無線端末として選択する端末選択部をさらに備え、
前記スケジューリング処理部は、前記ダウンリンク期間には前記探索処理部により、前記ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれで用いる前記最適組合せパターンを探索するための探索処理を実行し、前記処理拡張期間には前記端末選択部により、前記探索処理のそれぞれにおける複数の前記組合せパターンの生成に用いる前記対象無線端末を選択するための端末選択処理を実行する
ことを特徴とするスケジューリング装置。
【請求項4】
複数のサブフレームからなるダウンリンク期間と1つまたは複数のサブフレームからなアップリンク期間とを時分割で切り替えるTDD(Time Division Duplex)方式に基づいて、複数のアンテナにより複数の無線端末と無線通信を行う無線ネットワークで用いられて、前記無線通信を行う前記アンテナと前記無線端末との組み合わせを示す複数の組合せパターンのうちから最適組合せパターンを探索して決定するスケジューリング方法であって、
処理制御部が、前記アップリンク期間内に設定されている、前記アップリンク期間の一部または全部からなる処理拡張期間と同期して、前記処理拡張期間を示す処理制御信号を出力する処理制御ステップと、
スケジューリング処理部が、前記ダウンリンク期間と前記処理制御信号が示す前記処理拡張期間からなる期間において、ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれで用いる前記最適組合せパターンを、ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれに先立って探索するスケジューリング処理ステップと
を備えることを特徴とするスケジューリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワーク制御技術に関し、特に無線ネットワーク内の各送信ポイントの動作内容(送信状態)を指定することにより、無線ネットワークが有する無線リソースの割り当てを行うためのスケジューリング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンの普及に伴って、通信速度の向上や利用帯域の増大など、無線ネットワークに対する社会的要請が大きくなっている。このような状況を背景として、LTE(Long Term Evolution)と呼ばれる次世代移動通信方式の無線インタフェース仕様を適用した無線ネットワークシステムが普及しつつある。このLTEでは、無線アクセス技術の1つとして、複数の送信ポイント(TP:基地局)が協調してユーザ端末(UE:ユーザ無線端末)と信号を送受信するCoMP(Coordinated Multi-point transmission/reception:セル間協調送受信)が採用されている(非特許文献1を参照)。
【0003】
CoMP技術は、周波数利用効率やセル端ユーザスループットを向上させる重要な技術の1つである。例えば、下り方向の通信(TPからUEへの送信)において、同時に複数の送信ポイントが同一周波数帯を用いて、各UEに送信することで無線リソースの利用効率を高めることができる。しかし、各送信ポイントが異なるUEに対して送信した場合、複数の送信ポイントから信号を受信可能なUEにとっては、他の送信ポイントからの信号が所望の受信信号の干渉となって、かえってスループットの低下を招く恐れがある。したがって、このような干渉を抑制しつつ通信速度を向上させるためにCoMPは必要不可欠な技術となっている。
【0004】
また、無線ネットワークにCoMPを適用するにあたって、システムスループットの最大化を目的とすると、受信状態のよいユーザへのリソース割り当てが優先されることでユーザ間の公平性に問題が生じるため、各UEのこれまでの平均レートを考慮したスケジューリングが望ましいとされている(非特許文献2を参照)。
【0005】
また、LTEの一種として、TDD(Time Division Duplex:時分割多重)方式を用いたTD-LTE(Time Division Long Term Evolution)方式がある。通常のLTEでは、上り(アップリンク)の通信と下り(ダウンリンク)の通信を同時に行うために、それぞれ異なる周波数帯を利用するのに対し、TD−LTEは、同じ周波数帯を周期的にアップリンクとダウンリンクを短時間で切替えながら時分割で通信を行う方式である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】田岡他,「LTE-AdvancedにおけるMIMOおよびセル間協調送受信技術」,NTT DOCOMO テクニカル・ジャーナル,Vol. 18,No. 2,pp.22-30,2010年7月,https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol18_2/vol18_2_022jp.pdf
【非特許文献2】T. Girici,C. Zhu,J. R. Agre,and A. Ephremides,"Proportional Fair Scheduling Algorithm in OFDMA-Based Wireless Systems with QoS Constraints",Journal of Communications and Networks,Vol.12,No.1,pp.30-42,February 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線ネットワークシステムにおいて、このようなスケジューリングを行う場合、スケジューリング装置は、評価値が最大となるTPとUEの組合せとして、TPごとの送信状態、すなわちTPごとに送信先となるUEあるいは送信停止を指定する情報を決定する。この組合せを決定するために、多数のTPとUEの組合せの評価値を計算し、評価値が最良の組合せを見つける処理を行い、スケジューリング周期内(例えば1ミリ秒の時間内)に組合せの決定を完了する必要がある。
【0008】
最適な組合せを取得する確実な方法は、可能性のあるすべての組合せの各々について評価値を計算し評価値が最大となる組合せを見つけ出す、つまり総当りで探索を行うことである。したがって、無線ネットワークに含まれるTP数やUE数の増加して規模が大きくなると、探索空間(可能性のある組合せ数)も広がることになる。このため、前述した従来技術では、無線ネットワークの規模が大きくなると、最適な組合せを見つけ出すまでの時間が長くなり、スケジューリング周期以内で最適な組合せを決定することができない、という問題があった。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、一定のスケジューリング周期内でスケジューリング処理を効率よく実行できるスケジューリング技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明にかかるスケジューリング装置は、複数のサブフレームからなるダウンリンク期間と1つまたは複数のサブフレームからなるアップリンク期間とを時分割で切り替えるTDD(Time Division Duplex)方式に基づいて、複数のアンテナにより複数の無線端末と無線通信を行う無線ネットワークで用いられて、前記無線通信を行う前記アンテナと前記無線端末との組み合わせを示す複数の組合せパターンのうちから最適組合せパターンを探索して決定するスケジューリング装置であって、前記アップリンク期間内に設定されている、前記アップリンク期間の一部または全部からなる処理拡張期間と同期して、前記処理拡張期間を示す処理制御信号を出力する処理制御部と、前記ダウンリンク期間と前記処理制御信号が示す前記処理拡張期間からなる期間において、ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれで用いる前記最適組合せパターンを、ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれに先立って探索するスケジューリング処理部とを備えている。
【0011】
また、本発明にかかる上記スケジューリング装置の一構成例は、前記スケジューリング処理部が、前記最適組合せパターンの候補として、複数の前記組合せパターンを順次生成する組合せ生成部と、生成された複数の前記組合せパターンに関する評価値を計算する組合せ評価部と、生成された複数の前記組合せパターンのうちから、前記評価値が最大であるものを選択して前記最適組合せパターンとして保持して出力する最適組合せ保持部とを含む探索処理部を備えている。
【0012】
また、本発明にかかる上記スケジューリング装置の一構成例は、前記スケジューリング処理部が、すべての前記無線端末のうちから、前記組合せ生成部で生成する複数の前記組合せパターンで前記アンテナと組み合わせる前記無線端末を対象無線端末として選択する端末選択部をさらに備え、前記スケジューリング処理部は、前記ダウンリンク期間には前記探索処理部により、前記ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれで用いる前記最適組合せパターンを探索するための探索処理を実行し、前記処理拡張期間には前記端末選択部により、前記探索処理のそれぞれにおける複数の前記組合せパターンの生成に用いる前記対象無線端末を選択するための端末選択処理を実行するようにしたものである。
【0013】
また、本発明にかかるスケジューリング方法は、複数のサブフレームからなるダウンリンク期間と1つまたは複数のサブフレームからなアップリンク期間とを時分割で切り替えるTDD(Time Division Duplex)方式に基づいて、複数のアンテナにより複数の無線端末と無線通信を行う無線ネットワークで用いられて、前記無線通信を行う前記アンテナと前記無線端末との組み合わせを示す複数の組合せパターンのうちから最適組合せパターンを探索して決定するスケジューリング方法であって、処理制御部が、前記アップリンク期間内に設定されている、前記アップリンク期間の一部または全部からなる処理拡張期間と同期して、前記処理拡張期間を示す処理制御信号を出力する処理制御ステップと、スケジューリング処理部が、前記ダウンリンク期間と前記処理制御信号が示す前記処理拡張期間からなる期間において、ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれで用いる前記最適組合せパターンを、ダウンリンク期間の複数のサブフレームのそれぞれに先立って探索するスケジューリング処理ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンテナから無線端末へのデータ送信が停止されるアップリンク期間の一部または全部が処理拡張期間として、最適組合せパターンの決定を行うためのスケジューリング処理に充当されることになる。このため、無線フレーム周期という限られた時間のうち、データ送信の停止に合わせてスケジューリング処理を停止していた時間を、最適組合せパターンの探索処理に有効活用することができ、アンテナと無線端末の最適な組合せの決定に使用できる時間を延長することが可能となる。
【0015】
したがって、一定のスケジューリング周期内でスケジューリング処理を効率よく実行することができ、より多くの組合せパターンを探索でき、より良い最適組合せパターンを見つけることが可能となる。これにより、システムスループットの向上が期待されるだけでなく、無線ネットワークに含まれるアンテナ数や無線端末数の増加による探索空間の拡大についても、既存の処理能力による対応範囲を拡張することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態にかかるスケジューリング装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態にかかるスケジューリング処理を示すタイミングチャートである。
図3】第1の実施の形態にかかる処理拡張制御処理を示すフローチャートである。
図4】第1の実施の形態にかかる探索処理を示すフローチャートである。
図5】探索処理時間とシステムスループットとの関係を示すグラフである。
図6】第2の実施の形態にかかるスケジューリング装置の構成を示すブロック図である。
図7】第2の実施の形態にかかるスケジューリング処理を示すタイミングチャートである。
図8】第2の実施の形態にかかるスケジューリング処理を示すフローチャートである。
図9】第2の実施の形態にかかる端末グループ分類処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるスケジューリング装置10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるスケジューリング装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
このスケジューリング装置10は、ダウンリンク期間とアップリンク期間とを時分割で切り替えるTDD(Time Division Duplex:時分割多重)方式に基づいて、複数のアンテナ(以下、TPという)により複数の無線端末(以下、UEという)と無線通信を行う無線ネットワークで用いられて、無線通信を行うTPとUEとの組み合わせを示す複数の組合せパターンのうちから最適組合せパターンを探索して決定する機能を有している。
【0019】
[発明の原理]
通常、各TPから送信するデータの送信先となるUEを決める際、TPとUEとの組合せパターンを候補として順次生成して、これら組合せパターンの評価値をそれぞれ計算する。この試行を、予め設定されている探索アルゴリズムに基づいて繰り返し実行し、探索期間(スケジューリング周期)が満了した時点で、それまでに得られた評価値が最大である組合せパターンを実際のデータ送信に用いる最適組合せパターンとして決定する。
【0020】
ここで、TTD方式では、TPからUEにデータ送信するダウンリンク期間と、UEからTPにデータ送信するアップリンク期間とが、無線フレーム内に時分割で設けられた複数のサブフレームに割り当てられる。図2は、第1の実施の形態にかかるスケジューリング処理を示すタイミングチャートである。この例では、周期TRFで繰り返される無線フレーム内に、時間長TSLを持つ10個のサブフレームが設けられている。無線フレームの先頭から2個目と3個目のサブフレームに、それぞれスペシャルサ・ブフレームとアップリンク・サブフレームが割り当てられており、その他のサブフレームには、ダウンリンク・サブフレームが割り当てられている。
【0021】
スペシャルサブフレームは、設定によりアップリンク・サブフレームまたはダウンリンク・サブフレームのいずれかに設定できるサブフレームである。したがって、スペシャルサブフレームをアップリンク・サブフレームとして設定した場合、先頭から2−3個目のサブフレームがアップリンク期間となり、その他の8個のサブフレームがダウンリンク期間となる。
【0022】
各ダウンリンク期間では、新たな最適組合せパターンに基づいて各UEに対してTPが割り当てられる。したがって、ダウンリンク期間に先立ってスケジューリング処理することにより、使用する最適組合せパターンを決定しておく必要がある。
図2(a)は、基本的な処理割当方式を示すタイミングチャートであり、各ダウンリンク期間における探索処理で、次のダウンリンク期間で用いる最適組合せパターンを探索する探索処理を実行する方式であり、アップリンク・サブフレームとダウンリンク・サブフレームとが異なる周波数で無線通信されるFDD(Frequency Division Duplex:周波数分割多重)方式にも適用可能である。したがって、アップリンク期間では探索処理を実行する必要がなく、スケジューリング処理は停止している。
【0023】
しかしながら、スケジューリング装置において、アップリンク期間ではスケジューリング処理を停止する必要はなく、スケジューリング処理を実行してもよい。本発明は、このような、TDD方式において時分割で到来するアップリンク期間に着目し、このアップリンク期間に、その一部または全部からなる処理拡張期間を予め設定し、この処理拡張期間でもスケジューリング処理を実行するようにしたものである。
【0024】
図2(b)は、第1の実施の形態にかかる処理期間拡張方式を示すタイミングチャートであり、ここでは、アップリンク期間のすべてに処理拡張時間が設定されている。
これにより、無線フレーム内に割り当てられた8個のダウンリンク期間のそれぞれで用いる最適組合せパターンは、8個分のサブフレーム期間で探索されるのではなく、10個分のサブフレーム期間を用いて探索できることになる。したがって、1つの最適組合せパターンの探索処理時間を延長することができ、図2の場合には、時間Ta(TSL)から時間Tbへ、1.25倍(=10/8)に延長できることになり、Ta(TSL)=1msの場合、Tb=1.25msとなる。なお、探索処理の実行タイミングは、利用できる期間に合わせて計算してもよく、予め設定されたものを用いてもよい。
【0025】
[スケジューリング装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるスケジューリング装置10の構成について詳細に説明する。
図1に示したスケジューリング装置10には、主な機能部として、処理制御部11とスケジューリング処理部12とが設けられている。また、スケジューリング処理部12には、主な処理部として探索処理部13が設けられており、この探索処理部13には、組合せ生成部14、組合せ評価部15、および最適組合せ保持部16が設けられている。これら機能部および処理部は、専用の回路で実現してもよく、予め登録されているプログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0026】
処理制御部11は、無線フレームのうち、アップリンク期間内に設定されている、アップリンク期間の一部または全部からなる処理拡張期間と同期して、処理拡張期間を示す処理制御信号CNTを出力することにより、スケジューリング処理部12で実行する各種処理の実行期間の拡張を指示する機能を有している。
この際、アップリンク期間およびダウンリンク期間を示すサブフレームのタイミングについては、例えば、無線ネットワークシステムにおいて主信号の処理を主に行う装置や処理ブロックなど、スケジューリング装置10の外部から取得すればよい。
【0027】
処理制御部11では、取得したサブフレームのタイミングと、予め設定されている処理拡張期間の時間位置とに基づいて、各時刻において、アップリンク期間に設定された処理拡張期間の到来を検出する。処理拡張期間の到来を検出した場合、処理制御信号CNTをスケジューリング処理部12に出力し、処理拡張期間の満了に応じて処理制御信号CNTの出力を停止する。
【0028】
なお、処理拡張期間の到来を検出する際、外部からのサブフレームのタイミングではなく、スケジューリング装置10の内部で生成した処理タイミングに基づき、処理拡張期間の到来を検出してもよい。例えば、アップリンク期間およびダウンリンク期間は、無線フレームに同期して一定周期で切替えられるため、スケジューリング処理の開始からの経過時間を装置内部で計時し、その計時結果に基づいて処理拡張期間の到来を検出することもできる。
【0029】
スケジューリング処理部12は、無線フレームのうちのダウンリンク期間と処理制御信号が示す処理拡張期間の両方において、ダウンリンク期間のそれぞれで用いる最適組合せパターンを、ダウンリンク期間のそれぞれに先立って探索する機能を有している。
【0030】
探索処理部13は、それぞれのダウンリンク期間に対応する探索期間においてパイプライン処理を実行することにより、予め設定されている探索アルゴリズムに基づいて、無線通信を行うTPとUEとの組み合わせを示す複数の組合せパターンのうちから最適組合せパターンを探索する機能を有している。
【0031】
組合せ生成部14は、UEとTPとの組み合わせを示す組合せパターンの候補を順次生成する機能を有している。組合せ生成部14では、組合せパターンの生成を開始した時点から所定の時間が経過した時点、または、所定の組合せパターン数の生成を終了した時点、で組合せパターンの生成を止めることもある。パターン組合せの生成方法は、一般に知られる探索アルゴリズムを用いる。例えば、全ての組合せを網羅的に生成する総当り法のほか、山登り法や貪欲法など、公知の組合せ最適化問題の近似解法を適用することができる。また、組合せパターンを生成する際は、TPが送信停止状態となる組合せも含めて生成する。
【0032】
組合せ評価部15は、組合せ生成部14で生成された組合せパターンごとに、UEとTPとの組み合わせに関する評価値を順次計算する機能を有している。評価値は、予め設定されている評価式に基づき計算される。評価式で用いるパラメータとしては、各TPの無線スループットの和、つまりシステム全体の無線スループットや、無線ネットワークシステムにおいて一般に用いられる、それぞれのTPとUEの組合せで送信を行う場合に得られるスループット値を、所定の期間積算した平均スループット値で除した値(Proportional Fairness、PFメトリック)を用いることもある。
【0033】
最適組合せ保持部16は、組合せ評価部15で計算された評価値が最大である組合せパターンを最適組合せパターンとして保持する機能を有している。具体的には、組合せ生成部14、組合せ評価部15、および最適組合せ保持部16が、パイプライン処理で連動して動作し、組合せ生成部14で新たな組合せパターンが生成されるごとに、組合せ評価部15が新たな組合せパターンの評価値を計算し、最適組合せ保持部16が、新たな組合せパターンの評価値がこれまで保持していた最適組合せパターンの評価値よりも大きい場合のみ、新たな組合せパターンとその評価値を最適組合せパターンとして保持する。
【0034】
なお、処理制御部11から出力された処理制御信号CNTに基づいて、処理拡張期間にスケジューリング処理部12によりスケジューリング処理を実行する場合、探索処理部13全体の処理動作を実行させることになる。一方、アップリンク期間において、処理制御信号CNTの出力が停止された場合、スケジューリング処理部12により、探索処理部13全体の処理動作を停止させてもよいが、最適組合せ保持部16の処理動作のみを、例えば最適組合せパターンの出力を停止して保持を継続するよう切り替え指示し、組合せ生成部14や組合せ評価部15に対して、処理動作を継続するよう明示的に指示してもよい。
【0035】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態にかかるスケジューリング装置10の動作について説明する。図3は、第1の実施の形態にかかる処理拡張制御処理を示すフローチャートである。図4は、第1の実施の形態にかかる探索処理を示すフローチャートである。
【0036】
[処理拡張制御処理]
まず、図3を参照して、本実施の形態にかかるスケジューリング装置10での処理拡張制御処理について説明する。スケジューリング装置10の処理制御部11は、常時、図3の処理拡張制御処理を実行している。
図3の処理拡張制御処理において、まず、処理制御部11は、外部から取得したサブフレームのタイミング、または内部での計時結果に基づいて、アップリンク期間の到来を確認する(ステップ100)。
【0037】
アップリンク期間の到来が検出された場合(ステップ100:YES)、処理制御部11は、予め設定されている処理拡張期間の設定に基づいて、処理拡張期間の到来を確認する(ステップ101)。
ここで、処理拡張期間の到来が検出された場合(ステップ101:YES)、処理制御部11は、処理拡張期間の到来を示す処理制御信号CNTを出力し(ステップ102)、ステップ100へ戻る。
【0038】
一方、処理拡張期間の到来が検出されなかった場合(ステップ101:NO)、処理制御部11は、処理拡張期間の到来を示す処理制御信号CNTの出力を停止し(ステップ103)、ステップ100へ戻る。
また、ステップ100において、アップリンク期間の到来が検出されなかった場合(ステップ100:NO)、処理制御部11は、処理拡張期間の到来を示す処理制御信号CNTの出力を停止し(ステップ103)、ステップ100へ戻る。
【0039】
[探索処理]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかるスケジューリング装置10でのスケジューリング処理について説明する。スケジューリング装置10のスケジューリング処理部12は、外部から取得したサブフレームのタイミングで示されるダウンリンク期間、および処理制御部11からの処理制御信号CNTで示される、アップリンク期間内の拡張処理期間において、探索処理部13により、図4の探索処理を実行する。
【0040】
まず、組合せ生成部14は、所定の探索アルゴリズムに従って、スケジューリング対象となるUEとTPとの組み合わせを示す新たな組合せパターンの候補を1つ生成する(ステップ110)。組合せパターンを生成する際は、各TPが送信停止状態となる組合せも含めて生成する。
続いて、組合せ評価部15は、組合せ生成部14で生成された新たな組合せパターンについて、対象UEとTPとの組み合わせに関する新たな評価値を計算する(ステップ111)。
【0041】
この後、最適組合せ保持部16は、組合せ評価部15が計算した新たな組合せパターンの新たな評価値を、これまで保持していた保持組合せパターンの保持評価値と比較する(ステップ112)。ここで、新たな評価値が、保持評価値よりも高くてこれまで生成した組合せパターンの最大値を示す場合(ステップ112:YES)、新たな組合せパターンと新たな評価値とを更新保持する(ステップ113)。
【0042】
次に、最適組合せ保持部16は、現在実行している探索処理の収束が確認された場合や、次のダウンリンク期間の到来に応じて、探索処理を終了するか否かを判定し(ステップ114)、終了しない場合には(ステップ114:NO)、ステップ110へ戻って、新たな組合せパターンの生成・評価を実行する。
なお、ステップ112において、新たな評価値が、保持評価値以下の場合(ステップ112:NO)、同様にしてステップ110へ戻って、新たな組合せパターンの生成・評価を開始する。
【0043】
一方、探索処理を終了した場合(ステップ114:YES)、最適組合せ保持部16は、それまでの探索処理で最終的に保持している保持組合せパターンを最適組合せパターンとして出力する(ステップ115)。これにより、この最適組合せパターンに基づいて、次のダウンリンク期間におけるUEとTPとの組み合わせが設定されることになる。
【0044】
図5は、探索処理時間とシステムスループットとの関係を示すグラフである。ここでは、TP数を32、UE数を256とした場合に、それぞれの探索処理時間におけるシステム全体の無線スループットをシミュレーションにより算出した結果が示されている。したがって、前述した図2(b)の例では、探索処理時間が1msから1.25msまで延長できるため、より多くの組合せパターンを探索して、より良い最適組合せパターンを見つけることができる。これにより、結果として約2%程度、システムスループットが向上することが分かる。
【0045】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、処理制御部11が、アップリンク期間内に設定されている、アップリンク期間の一部または全部からなる処理拡張期間と同期して、処理拡張期間を示す処理制御信号を出力し、スケジューリング処理部12が、ダウンリンク期間と処理制御信号が示す処理拡張期間の両方において、ダウンリンク期間のそれぞれで用いる最適組合せパターンを、ダウンリンク期間のそれぞれに先立って探索するようにしたものである。
【0046】
これにより、アンテナから無線端末へのデータ送信が停止されるアップリンク期間の一部または全部が処理拡張期間として、最適組合せパターンの決定を行うためのスケジューリング処理に充当されることになる。このため、無線フレーム周期という限られた時間のうち、データ送信の停止に合わせてスケジューリング処理を停止していた時間を、最適組合せパターンの探索処理に有効活用することができ、TPとUEの最適な組合せの決定に使用できる時間を延長することが可能となる。
【0047】
したがって、一定のスケジューリング周期内でスケジューリング処理を効率よく実行することができ、より多くの組合せパターンを探索でき、より良い最適組合せパターンを見つけることが可能となる。これにより、システムスループットの向上が期待されるだけでなく、無線ネットワークに含まれるアンテナ数や無線端末数の増加による探索空間の拡大についても、既存の処理能力による対応範囲を拡張することが可能となる。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、図6を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるスケジューリング装置10について説明する。図6は、第2の実施の形態にかかるスケジューリング装置の構成を示すブロック図である。
【0049】
通常、スケジューリング処理では、1回のダウンリンク期間ですべてのUEをいずれかのTPに割り当てる必要はない。これはダウンリンク期間が、例えば1ミリ秒などの極めて短い周期で繰り返し到来するため、あるダウンリンク期間において任意のUEがいずれのTPに割り当てられなかったとしても、後続するダウンリンク期間で割り当てれば、データ送信に関して大きな影響はないからである。
【0050】
一方、組合せパターン数は、組合せパターンで割り当てるUEの数に応じて、大きく変化する。例えば、UEおよびTPの数をそれぞれXおよびYとした場合、UEとTPのすべての組み合わせを網羅するには、(X+1)Y個の組合せパターンが必要となる。なお、この試算では、TPに対していずれのUEも割り当てない場合の数も考慮されている。
【0051】
本実施の形態は、このようなダウンリンク期間とTPに対するUEの割り当てとの関係に着目し、すべてのUEのうちから、次のダウンリンク期間で送信対象とする複数の対象UEを、ダウンリンク期間ごとに選択するようにしたものである。
また、第1の実施の形態で着目したアップリング期間の処理拡張期間において、端末選択を実行し、ダウンリンク期間に探索処理を実行するようにしたものである。
【0052】
具体的には、図6に示すように、スケジューリング処理部12に、すべてのUEのうちから、組合せ生成部14で生成する組合せパターンでTPと組み合わせるUEを対象UEとして選択する端末選択部17を設け、スケジューリング処理部12が、ダウンリンク期間には探索処理部13により、ダウンリンク期間のそれぞれで用いる最適組合せパターンを探索するための探索処理を実行し、処理拡張期間には端末選択部17により、探索処理のそれぞれにおける組合せパターンの生成に用いる対象UEを選択するための端末選択処理を実行するようにしたものである。
【0053】
端末選択部17における対象UEの選択方法としては、すべてのUEを複数の端末グループに分類し、これら端末グループのうちからダウンリンク期間ごとにいずれかの端末グループを順次選択し、選択した端末グループに含まれるUEを対象UEとして選択する方法がある。
図7は、第2の実施の形態にかかるスケジューリング処理を示すタイミングチャートである。図2(b)と比較して、アップリンク期間の処理拡張期間には、端末選択処理が割り当てられており、探索処理は図2(a)と同様にダウンリンク期間で実行される。なお、探索処理の実行タイミングは、利用できる期間に合わせて計算してもよく、予め設定されたものを用いてもよい。
【0054】
ここでは、端末選択部17での端末選択処理により、例えば1つの無線フレームで1回更新されるチャネル情報に基づいて、UEが2つの端末グループGa,Gbに分類され、そのうちGaに属するUEが、処理拡張期間に後続する4つの探索処理で対象UEとして用いられ、Gbに属するUEが、さらにその後に続く4つの探索処理で対象UEとして用いられている。チャネル情報CHは、各UEで定期的に計測されて通知される、あるいは定期的に推定される、それぞれのUEにおける周囲のTPからの無線電波の受信強度を示すデータである。
【0055】
なお、図7では、チャネル情報に基づいて各UEを端末グループに分類する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各UEの送信データ量など、他のデータに基づいて各UEを端末グループに分類してもよい。また、端末グループ数は、図7のように2つに限定されるものではなく、3つ以上の端末グループに分類してもよい。
【0056】
また、端末グループに対するダウンリンク期間の割り当てについては、各端末グループに対して等しく割り当ててもよく、端末グループに属するUE数やこれらUEの送信データ量に基づいて割り当ててもよい。例えば、図7の例では、端末グループGaに分類されたUEの数が4個のダウンリンク期間で送信可能なUE数の上限より少ない場合、Gaに割当てるダウンリンク期間数を減らし、端末グループGbに割当てるダウンリンク期間数を増やすようにしてもよい。
【0057】
[端末グループ分け(チャネル情報の類似性)]
次に、端末選択部17におけるUEの端末グループ分けについて詳細に説明する。
まず、UEのチャネル情報に基づき端末グループ分けを行う場合について説明する。
チャネル情報は、各UEで定期的に計測されて通知される、あるいは定期的に推定される、それぞれのUEにおける周囲のTPからの無線電波の受信強度を示すデータである。
【0058】
ここで、異なるUEに関するチャネル情報が、同じTPからの無線電波について同様の受信強度を示す場合、これらUEの存在位置が近いと考えられる。したがって、これらUEに対して同一ダウンリンク期間で送信データを送信する場合、これらUEが同一TPに割り当てられる可能性が高く、このような場合には当該TPに対するトラヒックの集中が発生するとともに、電波干渉による通信障害が発生する可能性も高くなる。
【0059】
このため、本実施の形態において、端末選択部17が、各UEを分類する際、UEのうち、TPに関する電波状態を示すチャネル情報の類似性が低いUE同士を、同一の端末グループに分類するようにしてもよい。これにより、存在位置が近いUEは異なるグループに分類されるため、これらUEが異なる組合せパターンに含まれることになる。したがって、同一ダウンリンク期間でこれらUEが同一TPに割り当てられる可能性を回避されて、TPに対するトラヒックの集中や、電波干渉による通信障害の発生を抑止でき、良好な無線サービスを提供することが可能となる。
【0060】
[端末グループ分け(チャネル情報の変動量)]
一方、UEで得られる受信強度の単位時間あたりの変動量は、UEの移動速度に大きく影響される。これは、UEの移動速度が大きいほど、TPとの距離の変化が大きいため、TPから送信された無線電波の変化も多くなるからである。
したがって、チャネル情報の変動量が大きい場合、チャネル情報が得られた時点から短い時間でUEの無線環境が変わる可能性が高く、チャネル情報の精度が劣化しやすい。一方、チャネル情報の変動量が小さい場合、チャネル情報が得られた時点からある程度時間が経過してもUEの無線環境が変わる可能性が低く、チャネル情報の精度は劣化しにくい。
【0061】
このため、本実施の形態において、端末選択部17が、各UEを分類する際、TPに関する電波状態を示すチャネル情報の時間的な変動量の大小に基づいて、UEを端末グループに分類し、これら端末グループのうち変動量の大きい端末グループから順に選択するようにしてもよい。これにより、チャネル情報の精度が劣化しやすいUEから先に選択されて組合せパターンが生成され、直後のダウンリンク期間から優先してこれらUEにTPが割り当てられることになる。したがって、チャネル情報の精度の劣化により発生する、UEとTPとの割り当て誤差を最小限に抑制でき、これによる送信エラーを低減して、良好な無線サービスを提供することが可能となる。
【0062】
[端末グループ分け(データ送信量)]
また、UEから送信すべき送信データ量が大きい場合、これら送信データの送信を完了するまでの所要時間が比較的長くなるため、送信完了までにUEの無線環境が変わる可能性が高く、チャネル情報の精度が劣化しやすい。一方、送信データ量が小さい場合、これら送信データの送信を完了するまでの所要時間が比較的短くなるため、送信完了までにUEの無線環境が変わる可能性が低く、チャネル情報の精度は劣化しにくい。
【0063】
このため、本実施の形態において、端末選択部17が、各UEを分類する際、それぞれのUEの送信データ量の大小に基づいて、UEを端末グループに分類し、これら端末グループのうち送信データ量の大きい端末グループから順に選択するようにしてもよい。これにより、チャネル情報の精度が劣化しやすいUEから先に選択されて組合せパターンが生成され、直後のダウンリンク期間から優先してこれらUEにTPが割り当てられることになる。したがって、チャネル情報の精度の劣化により発生する、UEとTPとの割り当て誤差を最小限に抑制でき、これによる送信エラーを低減して、良好な無線サービスを提供することが可能となる。
【0064】
これらUEのグループ分けについては、それぞれ単独で適用してもよく、これらを組み合わせて適用してもよい。例えば、チャネル情報の変動量が高くて送信データ量も大きいUEを第1の端末グループに分類し、その他を第2の端末グループに分類し、第1の端末グループに属するUEから順にTPを割り当るようにしてもよい。これにより、無線環境が変わる可能性が高いUEを優先して対象UEとして選択でき、全体として良好な無線サービスを提供することが可能となる。
【0065】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図8および図9を参照して、本実施の形態にかかるスケジューリング装置10の動作について説明する。図8は、第2の実施の形態にかかるスケジューリング処理を示すフローチャートである。図9は、第2の実施の形態にかかる端末グループ分類処理を示すフローチャートである。
【0066】
[スケジューリング処理]
まず、図8を参照して、本実施の形態にかかるスケジューリング処理について説明する。
スケジューリング処理部12は、処理制御部11からの処理制御信号CNTに基づいて、アップリンク期間内の処理拡張期間において、端末選択部17により、後述する図9の対象UE選択処理を実行することにより、スケジューリング対象となるすべてのUEを複数の端末グループに分類する(ステップ200)。
【0067】
次に、スケジューリング処理部12は、ダウンリンク期間ごとに、探索処理部13により、端末選択部17で分類された端末グループに基づく探索処理を実行する。
まず、組合せ生成部14は、端末グループのうちから、任意の端末グループ、例えばチャネル情報の変動量が大きいものから順に、あるいは送信データ量が大きいものから順に1つ選択し(ステップ201)、選択された端末グループに属するUEの端末IDのリストを、対応するダウンリンク期間で送信対象とする対象UEの組合せ生成条件として端末選択部17から取得する(ステップ202)。
【0068】
続いて、組合せ生成部14は、所定の探索アルゴリズムに従って、組合せ生成条件で指定された対象UEとTPとの組み合わせを示す新たな組合せパターンの候補を1つ生成する(ステップ203)。組合せパターンを生成する際は、各TPが送信停止状態となる組合せも含めて生成する。
次に、組合せ評価部15は、組合せ生成部14で生成された新たな組合せパターンについて、対象UEとTPとの組み合わせに関する新たな評価値を計算する(ステップ204)。
【0069】
この後、最適組合せ保持部16は、組合せ評価部15が計算した新たな組合せパターンの新たな評価値を、これまで保持していた保持組合せパターンの保持評価値と比較する(ステップ205)。ここで、新たな評価値が、保持評価値よりも高くてこれまで生成した組合せパターンの最大値を示す場合(ステップ205:YES)、新たな組合せパターンと新たな評価値とを更新保持する(ステップ206)。
【0070】
次に、最適組合せ保持部16は、現在実行している探索処理の収束が確認された場合や、次のダウンリンク期間の到来に応じて、探索処理を終了するか否かを判定し(ステップ207)、終了しない場合には(ステップ207:NO)、ステップ203へ戻って、新たな組合せパターンの生成・評価を実行する。
なお、ステップ205において、新たな評価値が、保持評価値以下の場合(ステップ205:NO)、同様にしてステップ203へ戻って、新たな組合せパターンの生成・評価を開始する。
【0071】
一方、探索処理を終了した場合(ステップ207:YES)、最適組合せ保持部16は、それまでの探索処理で最終的に保持している保持組合せパターンを最適組合せパターンとして出力する(ステップ208)。これにより、この最適組合せパターンに基づいて、次のダウンリンク期間におけるUEとTPとの組み合わせが設定されることになる。
【0072】
この後、探索処理部13は、一連のダウンリンク期間が終了してアップリング期間が到来するか確認し(ステップ209)、一連のダウンリンク期間が終了していない場合には(ステップ209:NO)、ステップ201に戻って、新たなダウンリンク期間に対する探索処理を開始する。
また、一連のダウンリンク期間が終了した場合には(ステップ209:YES)、ステップ200に戻って、新たなチャネル情報に基づく端末グループの分類処理を開始する。
【0073】
[端末グループ分類処理]
次に、図9を参照して、本実施の形態にかかる端末グループ分類処理について説明する。端末選択部17は、図8のステップ200において、図9に示す端末グループ分類処理を実行する。ここでは、各UEのチャネル情報と送信データ量とに基づいて、これらUEを2つの端末グループGa,Gbに分類する場合を例として説明する。このうちGaはGbより優先して先にTPを割り当てるUEのグループである。
【0074】
図9の端末グループ分類処理において、まず、端末選択部17は、スケジューリング対象となる全UEに関するチャネル情報を取得し(ステップ210)、前回取得したチャネル情報からの変動量をUEごとに計算する(ステップ211)。
次に、端末選択部17は、例えばフレームバッファ(図示せず)に蓄積されているUE宛データに関するデータ量を取得することにより、各UEが次のダウンリンク期間に送信すべき送信データ量(最大値)を取得する(ステップ212)。
【0075】
この後、端末選択部17は、各UEから未分類のUEを1つ選択し(ステップ220)、ステップ211で得られた選択UEの変動量と予め設定されている変動量しきい値とを比較する(ステップ221)。ここで、選択UEのチャネル変動量が変動量しきい値を上回っている場合(ステップ221:YES)、端末選択部17は、ステップ212で得られた選択UEの送信データ量と予め設定されている送信量しきい値とを比較する(ステップ222)。
【0076】
ここで、選択UEの送信データ量が送信量しきい値を上回っている場合(ステップ222:YES)、端末選択部17は、選択UEを端末グループGaに分類する(ステップ223)。
一方、ステップ211において、選択UEの変動量が変動量しきい値以下である場合(ステップ221:NO)、および、ステップ222において、選択UEの送信データ量が送信しきい値以下の場合(ステップ222:NO)、端末選択部17は、選択UEを端末グループGbに分類する(ステップ224)。
【0077】
この後、端末選択部17は、すべてのUEの分類が終了したか確認し(ステップ225)、未分類のUEが存在する場合には(ステップ225:NO)、ステップ220へ戻って新たなUEの分類処理を開始する。
一方、すべてのUEについて分類終了した場合には(ステップ225:YES)、一連の端末グループ分類処理を終了する。
【0078】
なお、図9のステップ212で計算する任意のUEの変動量については、当該UEと各TPからの無線電波の受信強度の変動量の平均値を用いてもよく、当該UEにとって受信強度が最良のTPのみに関する変動量を用いてもよい。
また、図9の例では、チャネル情報と送信データ量とを用いてUEを分類する例を示したが、UEの分類の例はこれに限定されない。例えば、チャネル情報とその変動量のみを用いて複数の端末グループに分類することもある。また、送信データ量のみを用いてUEを分類することもある。
【0079】
また、チャネル情報の類似性が低いUEを同一端末グループに分類してもよい。この際、まず、各UEで受信感度が最良であるTPに基づき、各UEをTPグループに分類し、同一TPグループのUEが選択されないよう、UEをそれぞれ選択して端末グループを生成するようにしてもよい。これにより、チャネル情報の類似性が低いUE同士を、同一端末グループに分類することができる。
【0080】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、端末選択部17が、探索処理ごとに、UEの一部を、対応するダウンリンク期間で送信対象とする対象UEとして選択するようにしたものである。より具体的には、端末選択部17が、UEを複数の端末グループに分類し、これら端末グループのうちから探索処理ごとにいずれかの端末グループを選択し、選択した端末グループに含まれるUEを対象UEとして選択するようにしたものである。また、端末選択部17は、アップリング期間の処理拡張期間において端末選択処理を実行し、探索処理部13が、ダウンリンク期間に探索処理を実行するようにしたものである。
【0081】
これにより、1つの組合せパターンで用いられるUE数を削減できるため、最適組合せパターンの探索処理において、候補として用いる組合せパターン数が大幅に削減される。したがって、組合せパターンの評価値を計算する処理に要する時間、さらには最適組合せパターンに到達するまでに要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
また、端末選択部17による端末選択処理が、元々探索処理が停止されているアップリンク期間に実行されるため、端末選択処理の追加しても探索処理時間が短縮されることはない。このため、最適パターンの十分な探索を実行することができる。
【0082】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0083】
10…スケジューリング装置、11…処理制御部、12…スケジューリング処理部、13…探索処理部、14…組合せ生成部、15…組合せ評価部、16…最適組合せ保持部、17…端末選択部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9