特許第6619718号(P6619718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6619718基板のめっきに使用される酸化銅粉体、該酸化銅粉体を用いて基板をめっきする方法、該酸化銅粉体を用いてめっき液を管理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619718
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】基板のめっきに使用される酸化銅粉体、該酸化銅粉体を用いて基板をめっきする方法、該酸化銅粉体を用いてめっき液を管理する方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 3/02 20060101AFI20191202BHJP
   C25D 21/14 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   C01G3/02
   C25D21/14 F
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-202545(P2016-202545)
(22)【出願日】2016年10月14日
(65)【公開番号】特開2018-62453(P2018-62453A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2018年10月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】下山 正
(72)【発明者】
【氏名】藤方 淳平
(72)【発明者】
【氏名】西浦 文敏
(72)【発明者】
【氏名】岸 貴士
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−299974(JP,A)
【文献】 特開2007−051362(JP,A)
【文献】 特開2005−029892(JP,A)
【文献】 特開2002−068743(JP,A)
【文献】 特開2008−143737(JP,A)
【文献】 特開昭63−011518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 3/02
C25D 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の電解めっき用の添加剤を含む酸性のめっき液に供給される電解めっき用酸化銅粉体であって、
銅と、
ナトリウムを含む複数の不純物とを含み、
前記ナトリウムの濃度は20ppm以下であることを特徴とする電解めっき用酸化銅粉体。
【請求項2】
前記複数の不純物の濃度の合計は50ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電解めっき用酸化銅粉体。
【請求項3】
前記複数の不純物は、濃度10ppm未満の鉄、濃度20ppm未満のナトリウム、濃度5ppm未満のカルシウム、濃度20ppm未満の亜鉛、濃度5ppm未満のニッケル、濃度5ppm未満のクロム、濃度5ppm未満のヒ素、濃度5ppm未満の鉛、濃度10ppm未満の塩素、および濃度5ppm未満の銀であることを特徴とする請求項2に記載の電解めっき用酸化銅粉体。
【請求項4】
前記電解めっき用酸化銅粉体の粒径は、10マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の電解めっき用酸化銅粉体。
【請求項5】
半導体基板を添加剤を含む酸性のめっき液を用いて電解めっきする方法であって、
電解めっき用酸化銅粉体を前記めっき液に供給し、
前記めっき液中に浸漬された不溶解アノードと基板との間に電圧を印加することで前記基板をめっきする工程を含み、
前記電解めっき用酸化銅粉体は、銅と、ナトリウムを含む複数の不純物とを含み、前記ナトリウムの濃度は20ppm以下であることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記複数の不純物の濃度の合計は50ppm以下であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
不溶解アノードを備えた電解めっき装置に使用される半導体基板の電解めっき用の添加剤を含む酸性のめっき液を管理する方法であって、
めっき槽に保持された前記めっき液中の銅イオン濃度が所定の管理範囲内に維持されるように、電解めっき用酸化銅粉体を前記めっき液に供給する工程を含み、
前記電解めっき用酸化銅粉体は、銅と、ナトリウムを含む不純物とを含み、前記ナトリウムの濃度は20ppm以下であることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記複数の不純物の濃度の合計は50ppm以下であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電解めっき用酸化銅粉体を前記めっき液に供給する工程は、前記めっき液を前記めっき槽とめっき液タンクとの間で循環させながら、前記めっき液タンク内の前記めっき液に前記電解めっき用酸化銅粉体を供給し、該電解めっき用酸化銅粉体を前記めっき液中に溶解させる工程であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき液に投入される酸化銅粉体に関し、特に不溶解アノードを用いた基板のめっきに使用される酸化銅粉体に関するものである。また、本発明は、該酸化銅粉体を用いて基板をめっきする方法、および該酸化銅粉体を用いてめっき液を管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高速化、及び低消費電力化の進行に伴い、半導体装置内の配線パターンの微細化が進行しており、この配線パターンの微細化に伴って、配線に用いられる材料は従来のアルミニウム及びアルミニウム合金から銅及び銅合金へと移り変わってきている。銅の抵抗率は、1.67μΩcmとアルミニウム(2.65μΩcm)よりも約37%低い。このため、銅配線は、アルミニウム配線に比べて、電力の消費を抑えることが可能であるのみならず、同等の配線抵抗でもより微細化が可能である。さらに銅配線は、低抵抗化により信号遅延も抑えることができる。
【0003】
半導体基板の表面に設けられた配線用溝、ホール、レジスト開口部への銅の埋込みは、PVDやCVD等に比べて高速で成膜できる電解めっきで行うのが一般的となってきている。この電解めっきでは、めっき液の存在下で基板とアノードとの間に電圧を印加することによって、基板に予め形成された抵抗の低いシード層(給電層)上に銅膜を堆積させる。シード層は、PVD等によって形成された銅薄膜(銅シード層)からなるのが一般的であるが、配線の微細化に伴い、より薄いシード層が求められている。このため、一般に50nm程度であったシード層の膜厚は、今後10〜20nm以下になることが予想される。
【0004】
また、半導体デバイスやプリント配線の分野において、凹部の底部から優先的に金属を析出させる、いわゆるボトムアップめっきは電解めっき技術で行われるようになってきた。さらに、近時、半導体を用いた回路システムへの小型化の要求を満たすため、半導体回路がそのチップサイズに近いパッケージに実装されることもある。こうしたパッケージへの実装を実現する方法の一つとして、ウェハレベルパッケージ(WLP、あるいはWL−CSP)と呼ばれるパッケージ手法が提案されてきている(例えば、特開2012−60100号公報の背景技術の記載、および、古河電工時報 平成19年1月号「ウェハレベルチップサイズパッケージの開発」を参照)。
【0005】
一般に、このウェハレベルパッケージには、ファン・イン技術(WLCSP(Wafer Level Chip Scale Package)ともいう)とファン・アウト技術がある。ファン・インWLPは、チップサイズと同等な領域において、外部電極(外部端子)を設ける技術である。他方、ファン・アウトWLP(FPWLP、Fan Out Wafer-Level-Packaging)においては、例えば、複数のチップが埋め込まれた絶縁樹脂で形成された基板上において、再配線及び外部電極を形成するなど、チップサイズよりも大きな領域において、外部端子を設ける技術である。こうした、ウェハ上の再配線及び絶縁層等の形成にあたっては、電解めっき技術が使用されることがあり、上記のファン・アウトWLPにも適用することが想定されている。こうした、微細化の要求が高いファン・アウトWLP技術等に電解めっき技術を適用するためには、めっき液の管理等の面で、より高度な技術が要求されることになる。
【0006】
出願人は、いわゆるボトムアップめっきを行うため、ボトムアップめっきを阻害する電解液成分の生成を防ぎつつウェハなどの基板にめっきを行う方法であって、添加剤を含む硫酸銅めっき液に不溶解アノードおよび基板を接触させ、基板と不溶解アノードとの間にめっき電源によって所定のめっき電圧を印加して基板をめっきするめっき技術(特許文献1参照)を提案した。
【0007】
他方で、上記のように、不溶解性アノードを用いためっき装置では、目的の金属イオンの補充は、粉末状の金属塩を循環槽内に投入するか、または別槽で金属片を溶解させて補充するといった方法を採用することが想定される。ここで、粉末状の金属塩をめっき液中に補充すると、めっき液中に微粒子が増加し、この増加した微粒子がめっき処理後の基板の表面に欠陥を生じさせる原因となることが懸念されることから、出願人は、不溶解アノードを用いためっき装置において、めっき液の各成分の濃度を長時間に亘って一定に保つ技術を提案している(特許文献2)。この技術によれば、めっき液を回収しながら循環させて再使用することで、めっき液の使用量を極力少なく抑え、また不溶解性アノードを使用することで、アノードの交換を不要となして、アノードの保守・管理を容易とし、また、めっき液を循環させて再使用することに伴って変化するめっき液成分の濃度を、めっき液に含まれる成分をめっき液よりも高い濃度で含む補給液をめっき液に補給して一定範囲内に維持するようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016−074975号公報
【特許文献2】特開2007−051362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
不溶解アノードを用いて基板を銅でめっきすると、めっき液中の銅イオンが減少する。したがって、めっき液供給装置には、めっき液中の銅イオンの濃度を調整することが必要とされる。めっき液に銅を補給する1つの方法として挙げられるのは、酸化銅粉体をめっき液に添加することである。しかしながら、酸化銅粉体には僅かながら不純物が含まれており、たとえ、特許文献2のように液を管理している場合であっても、供給される銅とともに不純物もめっき液中に添加される。めっき液中の不純物の濃度が高いと、めっきによって基板に堆積する銅膜の質が低下してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、めっきによって形成される銅膜の質の低下を防止することができる溶解性の酸化銅粉体を提供することを目的とする。また、本発明は、該酸化銅粉体を用いて基板をめっきする方法、および該酸化銅粉体を用いてめっき液を管理する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、酸化銅粉体に含まれる不純物のうち、高濃度のナトリウム(Na)が、基板上に形成される銅膜の質を低下させることを実験により見出した。この原因としては、ナトリウムがめっき液中の添加剤(抑制剤、促進剤、レベラーなど)に悪影響を与えることが考えられる。溶解性アノードを用いた基板のめっきでは、上記の問題は起こらない。これは溶解性アノードにはナトリウムが含まれていないためと考えられる。これに対し、不溶解アノードを用いた基板のめっきは、めっき液への酸化銅粉体の定期的な投入が不可欠である。
【0012】
そこで、本発明の一態様は、半導体基板の電解めっき用の添加剤を含む酸性のめっき液に供給される電解めっき用酸化銅粉体であって、銅と、ナトリウムを含む複数の不純物とを含み、前記ナトリウムの濃度は20ppm以下であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数の不純物の濃度の合計は50ppm以下であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数の不純物は、濃度10ppm未満の鉄、濃度20ppm未満のナトリウム、濃度5ppm未満のカルシウム、濃度20ppm未満の亜鉛、濃度5ppm未満のニッケル、濃度5ppm未満のクロム、濃度5ppm未満のヒ素、濃度5ppm未満の鉛、濃度10ppm未満の塩素、および濃度5ppm未満の銀であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記電解めっき用酸化銅粉体の粒径は、10マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲にあることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様は、半導体基板を添加剤を含む酸性のめっき液を用いて電解めっきする方法であって、電解めっき用酸化銅粉体を前記めっき液に供給し、前記めっき液中に浸漬された不溶解アノードと基板との間に電圧を印加することで前記基板をめっきする工程を含み、前記電解めっき用酸化銅粉体は、銅と、ナトリウムを含む複数の不純物とを含み、前記ナトリウムの濃度は20ppm以下であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数の不純物の濃度の合計は50ppm以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様は、不溶解アノードを備えた電解めっき装置に使用される半導体基板の電解めっき用の添加剤を含む酸性のめっき液を管理する方法であって、めっき槽に保持された前記めっき液中の銅イオン濃度が所定の管理範囲内に維持されるように、電解めっき用酸化銅粉体を前記めっき液に供給する工程を含み、前記電解めっき用酸化銅粉体は、銅と、ナトリウムを含む不純物とを含み、前記ナトリウムの濃度は20ppm以下であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数の不純物の濃度の合計は50ppm以下であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記電解めっき用酸化銅粉体を前記めっき液に供給する工程は、前記めっき液を前記めっき槽とめっき液タンクとの間で循環させながら、前記めっき液タンク内の前記めっき液に前記電解めっき用酸化銅粉体を供給し、該電解めっき用酸化銅粉体を前記めっき液中に溶解させる工程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウェハなどの基板に堆積する銅膜の質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】めっきシステムの一実施形態を示す模式図である。
図2】複数の基板のめっき中におけるめっき液中の銅イオン濃度およびナトリウム濃度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、めっきシステムの一実施形態を示す模式図である。めっきシステムは、クリーンルーム内に設置されためっき装置1と、階下室に設置されためっき液供給装置20とを備えている。本実施形態では、めっき装置1は、ウェハなどの基板に銅を電解めっきするための電解めっきユニットであり、めっき液供給装置20は、めっき装置1で使用されるめっき液に、酸化銅粉体を供給するためのめっき液供給ユニットである。
【0018】
本実施形態における酸化銅粉体の平均粒径は、10マイクロメートルから200マイクロメートルの範囲であり、好ましくは20マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲であり、より好ましくは30マイクロメートルから50マイクロメートルの範囲とする。平均粒径を小さくしすぎると、粉じんとなって飛散しやすくなるおそれがある。逆に、平均粒径を大きくしすぎると、めっき液への溶解性が悪くなるおそれもある。
【0019】
めっき装置1は、4つのめっき槽2を有している。各めっき槽2は、内槽5と外槽6を備えている。内槽5内には、アノードホルダー9に保持された不溶解アノード8が配置されている。さらに、めっき槽2の中において、不溶解アノード8の周囲には、中性膜(不図示)が配置されている。内槽5はめっき液で満たされており、めっき液は内槽5を越流して外槽6に流れ込むようになっている。なお、内槽5には、例えばPVC、PPまたはPTFEなどの樹脂、またはSUSやチタンをフッ素樹脂などで被覆され、かつ、板厚が一定の厚みを有する矩形板状部材から構成された攪拌パドル(図示せず)が設けられている。この攪拌パドルは、基板Wと平行に往復運動してめっき液を攪拌するものであり、これにより、十分な銅イオンおよび添加剤を基板Wの表面に均一に供給することができる。
【0020】
ウェハなどの基板Wは、基板ホルダー11に保持され、基板ホルダー11とともにめっき槽2の内槽5内のめっき液中に浸漬される。また、被めっき対象物である基板Wとしては、半導体基板、プリント配線板等を用いることができる。ここで、例えば基板Wとして半導体基板を用いた場合、半導体基板は、平坦または実質的に平坦である(なお、本件明細書では、溝、管、レジストパターンなどを有する基板について、実質的に平坦とみなす)。こうした平坦な被めっき物に対してめっきする場合には、成膜されるめっき膜の面内均一性を考慮しつつ、かつ、成膜される膜質が低下しないようにしながら、めっき条件を経時的に制御することが必要となる。
【0021】
不溶解アノード8はアノードホルダー9を介してめっき電源15の正極に電気的に接続され、基板ホルダー11に保持された基板Wは、基板ホルダー11を介してめっき電源15の負極に電気的に接続される。めっき液に浸漬された不溶解アノード8と基板Wとの間に、めっき電源15によって電圧を印加すると、めっき槽2内に収容されためっき液中で電気化学的な反応が起こり、基板Wの表面上に銅が析出する。このようにして、基板Wの表面が銅でめっきされる。めっき装置1は、4つよりも少ない、または4つよりも多いめっき槽2を備えてもよい。
【0022】
めっき装置1は、基板Wのめっき処理を制御するめっき制御部17を備えている。このめっき制御部17は、基板Wを流れた電流の累積値から、めっき槽2内のめっき液に含まれる銅イオンの濃度を算定する機能を有している。基板Wがめっきされるにつれて、めっき液中の銅が消費される。銅の消費量は基板Wを流れた電流の累積値に比例する。したがって、めっき制御部17は、電流の累積値から、それぞれのめっき槽2におけるめっき液中の銅イオン濃度を算定することができる。
【0023】
めっき液供給装置20は、酸化銅粉体を収容した粉体容器21が搬入される密閉チャンバー24と、粉体容器21から供給された酸化銅粉体を貯留するホッパー27と、ホッパー27の下部開口に連通するフィーダー30と、フィーダー30に連結されたモータ31と、フィーダー30の出口に連結され、酸化銅粉体をめっき液に溶解させるめっき液タンク35と、モータ31の動作を制御する動作制御部32を備えている。フィーダー30はモータ31によって駆動される。
【0024】
酸化銅粉体が粉体容器21内に保持された状態で、粉体容器21は密閉チャンバー24内に搬入される。粉体容器21は、ホッパー27の投入口26に連結される。密閉チャンバー24内で粉体容器21のバルブ(図示せず)を開くと、酸化銅粉体がホッパー27に供給され、ホッパー27内に貯留される。酸化銅粉体の拡散を防止するために、密閉チャンバー24内には負圧が形成されている。
【0025】
めっき液としては、硫酸、硫酸銅及びハロゲンイオンの他に、添加剤として、SPS(ビス(3−スルホプロピル)ジスルファイド)からなるめっき促進剤、PEG(ポリエチレングリコール)などからなる抑制剤、及びPEI(ポリエチレンイミン)などからなるレベラ(平滑化剤)の有機添加物を含んだ、酸性の硫酸銅めっき液が使用される。ハロゲンイオンとしては、好ましくは、塩化物イオンが用いられる。
【0026】
めっき装置1とめっき液供給装置20は、めっき液供給管36およびめっき液戻り管37によって接続されている。より具体的には、めっき液供給管36は、めっき液タンク35からめっき槽2の内槽5の底部まで延びている。めっき液供給管36は4つの分岐管36aに分岐しており、4つの分岐管36aは4つのめっき槽2の内槽5の底部にそれぞれ接続されている。4つの分岐管36aには、それぞれ、流量計38および流量調節弁39が設けられており、流量計38および流量調節弁39はめっき制御部17に接続されている。めっき制御部17は、流量計38により測定されためっき液の流量に基づいて、流量調節弁39の開度を制御するように構成されている。従って、4つの分岐管36aを介してそれぞれのめっき槽2に供給されるめっき液の流量は、各めっき槽2の上流側に設けられた各流量調節弁39によって制御され、これらの流量がほぼ同じとなるようにされる。めっき液戻り管37は、めっき槽2の外槽6の底部からめっき液タンク35まで延びている。めっき液戻り管37は、4つのめっき槽2の外槽6の底部にそれぞれ接続された4つの排出管37aを有している。
【0027】
めっき液供給管36には、めっき液を移送するためのポンプ40と、ポンプ40の下流側に配置されたフィルタ41が設けられている。めっき装置1で使用されためっき液は、めっき液戻り管37を通じてめっき液供給装置20に送られ、めっき液供給装置20で酸化銅粉体が添加されためっき液は、めっき液供給管36を通じてめっき装置1に送られる。ポンプ40は、めっき液をめっき装置1とめっき液供給装置20との間で常時循環させてもよく、または予め定められた量のめっき液を間欠的にめっき装置1からめっき液供給装置20に送り、酸化銅粉体が添加されためっき液をめっき液供給装置20からめっき装置1に間欠的に戻すようにしてもよい。
【0028】
さらに、純水(DIW)をめっき液中に補充するため、純水供給ライン42がめっき液タンク35に接続されている。この純水供給ライン42には、めっき装置1を停止した時等に純水供給を停止するための開閉バルブ43(通常は開とされている)、純水の流量を測定するための流量計44、純水の流量を調節するための流量調節弁47が配置されている。この流量計44および流量調節弁47は、めっき制御部17に接続されている。めっき液中の銅イオン濃度が予め定められた管理範囲の上限値を超えてしまった場合には、めっき液を希釈するため、めっき制御部17は、流量調節弁47の開度を制御して純水をめっき液タンク35に供給するように構成されている。
【0029】
めっき制御部17は、めっき液供給装置20の動作制御部32に接続されている。めっき液中の銅イオン濃度が予め定められた管理範囲の下限値にまで低下すると、めっき制御部17は、補給要求値を示す信号をめっき液供給装置20の動作制御部32に送るように構成されている。この信号を受け、めっき液供給装置20は、酸化銅粉体の添加量が補給要求値に達するまで酸化銅粉体をめっき液に添加する。より具体的には、動作制御部32はモータ31に指令を与えて、モータ31によりフィーダー30を駆動させる。ホッパー27内の酸化銅粉体はフィーダー30によってめっき液タンク35に送られる。
【0030】
めっき液タンク35は、攪拌機85と、攪拌機85が配置された攪拌槽91を備えている。攪拌機85は、攪拌槽91の内部に配置された攪拌翼86と、攪拌翼86に連結されたモータ87とを備えている。モータ87は、攪拌翼86を回転させることによって、酸化銅粉体をめっき液に溶解させることができる。攪拌機85の動作は、上述した動作制御部32によって制御される。
【0031】
本実施形態では、めっき制御部17および動作制御部32は、別々の装置として構成されているが、一実施形態では、めっき制御部17および動作制御部32は1つの制御部として構成されてもよい。この場合、制御部は、プログラムに従って動作するコンピュータでもよい。このプログラムは、非一時的な記憶媒体に格納されてもよい。
【0032】
めっき装置1は、めっき液中の銅イオン濃度を測定する濃度測定器18aを備えてもよい。濃度測定器18aは、めっき液戻り管37の4つの排出管37aにそれぞれ取り付けられている。濃度測定器18aによって得られた銅イオン濃度の測定値は、めっき制御部17に送られる。めっき制御部17は、電流の累積値から算定しためっき液中の銅イオン濃度を上記管理範囲の下限値と比較してもよいし、または濃度測定器18aによって測定された銅イオン濃度を上記管理範囲の下限値と比較してもよい。めっき制御部17は、電流の累積値から算定しためっき液中の銅イオン濃度(すなわち銅イオン濃度の算定値)と、濃度測定器18aによって測定された銅イオン濃度(すなわち銅イオン濃度の測定値)との比較に基づいて、銅イオン濃度の算定値を較正してもよい。例えば、めっき制御部17は、銅イオン濃度の測定値を銅イオン濃度の算定値で割り算することにより補正係数を決定し、この補正係数を銅イオン濃度の算定値に掛け算することで、銅イオン濃度の算定値を較正してもよい。補正係数は、定期的に更新することが好ましい。
【0033】
また、めっき液供給管36に分岐管36bを設け、この分岐管36bに濃度測定器18bを設けてめっき液中の銅イオン濃度をモニタリングすることや、この分岐管36bに分析装置(例えば、CVS装置や比色計など)を設けて銅イオンだけでなく各種化学成分の溶存濃度を定量分析し、監視するようにすることもできる。このように構成すれば、それぞれのめっき槽2にめっき液が供給される前にめっき液供給管36にあるめっき液中の化学成分、例えば不純物の濃度を分析できるため、溶存不純物がめっき性能に対して影響することを防止し、より精度のよいめっき処理をより確実に行うことができる。濃度測定器18a,18bのうちのいずれか一方のみを設けてもよい。
【0034】
上記のような構成により、本実施形態に係るめっきシステムでは、めっき液中に含まれる銅イオン濃度をめっき槽2間で実質的に同じとしつつ、銅のめっき液への補給が行われる。なお、複数のめっき槽2同士が不図示の液循環経路で連通されてもよく、めっき液中の成分濃度が実質的に同じとされていてもよい。
【0035】
不溶解アノード8を用いためっき装置1においては、複数の基板Wをめっきするにつれて、めっき液中の銅イオン濃度が徐々に低下する。そこで、めっき槽2に保持されているめっき液中の銅イオン濃度が所定の管理範囲内に維持されるように、酸化銅粉体がめっき液に定期的に供給される。この酸化銅粉体は、めっき液のための銅イオン源として機能する。
【0036】
しかしながら、酸化銅粉体には、その製造工程に起因して、ナトリウムなどの微量な不純物が含まれている。これら不純物は、酸化銅粉体がめっき液中に投入されるたびに、めっき液中に蓄積される。不純物の濃度がある程度高くなると、めっき槽2内の基板Wに形成される銅膜の質が低下する。例えば、銅膜の表面が粗くなったり、銅膜に不純物が取り込まれてしまい、銅膜の物性が変化する。こうした、銅膜の質の低下を避けるために、本実施形態では、めっき液に添加される酸化銅粉体に含まれる複数の不純物の濃度の合計は、50ppm以下とされる。
【0037】
本発明者は、酸化銅粉体に含まれる不純物のうち、高濃度のナトリウム(Na)が、基板上に形成される銅膜の質を低下させることを実験により見出した。この原因としては、ナトリウムがめっき液中の添加剤(抑制剤、促進剤、レベラーなど)に悪影響を与えることが考えられる。溶解性アノードを用いた基板のめっきでは、上記の問題は起こらない。これは溶解性アノードにはナトリウムが含まれていないためと考えられる。これに対し、不溶解アノードを用いた基板のめっきは、めっき液への酸化銅粉体の定期的な投入が不可欠である。
【0038】
本発明者は、20ppm以下の濃度のナトリウム(Na)を含む酸化銅粉体を用いると、1ターンに相当する量の銅を複数の基板にめっきした後でも、銅膜の質が低下しないことを実験を通じて見出した。1ターンとは、建浴した時点から、めっきシステム内に存在する全てのめっき液中に含まれる銅が基板のめっきによって消費された時点までの期間をいう。1ターンに相当する銅量は、建浴した時点でめっきシステム内に存在する全てのめっき液中に含まれる銅の総量である。この「ターン」は、メタルターンオーバーともいう。
【0039】
本実施形態では、濃度20ppm以下のナトリウム(Na)を含む酸化銅粉体が使用される。一実施形態では、酸化銅粉体中の銅(Cu)の濃度は、70重量%以上である。酸化銅粉体に含まれる、許容される不純物は、濃度10ppm未満のFe(鉄)、濃度20ppm未満のNa(ナトリウム)、濃度5ppm未満のCa(カルシウム)、濃度20ppm未満のZn(亜鉛)、濃度5ppm未満のNi(ニッケル)、濃度5ppm未満のCr(クロム)、濃度5ppm未満のAs(ヒ素)、濃度5ppm未満のPb(鉛)、濃度10ppm未満のCl(塩素)、および濃度5ppm未満のAg(銀)である。
【0040】
酸化銅粉体中の不純物の分析方法としては、例えば、固体試料のままで分析が可能な電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)や蛍光X線分析装置(XRF)や、粉体を水に一旦溶解させたうえで分析する誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)を用いることができる。
【0041】
図2は、複数の基板のめっき中におけるめっき液中の銅イオン濃度およびナトリウム濃度の変化を示すグラフである。縦軸は濃度を表し、横軸はめっき液1L当たりの電解量、すなわちアンペア・アワー/リットルを表す。図2に示す記号ULは、めっき液中の銅イオン濃度の管理範囲の上限値であり、記号LLは管理範囲の下限値である。複数の基板をめっきするにつれて、めっき液中の銅イオン濃度は徐々に低下する。銅イオン濃度が管理範囲の下限値LLまで低下すると、酸化銅粉体がめっき液に補充される。補充すべき酸化銅粉体の量は、めっき制御部17によって算定される。
【0042】
酸化銅粉体をめっき液中に定期的に供給する本実施形態では、次の建浴が行われるまでに1.5ターンに相当する量の銅が消費されるように酸化銅粉体をめっき液に供給することが望ましい。
【0043】
酸化銅粉体がめっき液に投入されるたびに、ナトリウムなどの不純物がめっき液中に蓄積される。本実施形態によれば、酸化銅粉体に含まれるナトリウムの濃度は20ppm以下であるので、次に建浴されるまでに、酸化銅粉体がめっき液に複数回供給された場合でも、めっき液中のナトリウム濃度は、予め定められたナトリウム濃度上限値L1には達しない。さらに、酸化銅粉体に含まれる不純物(ナトリウムを含む)の濃度の合計は50ppm以下であるので、めっき液中の不純物の濃度も、予め定められた不純物濃度上限値L2には達しない。言い換えれば、所望の電解量(めっき量)に達するまで複数の基板をめっきした時に、めっき液中のナトリウムの濃度および不純物全体の濃度の合計がそれぞれの上限値L1,L2未満となるように、酸化銅粉体内に含まれるナトリウムの濃度および不純物(ナトリウムを含む)の全体の濃度の合計が決定される。酸化銅粉体に含まれるナトリウムの濃度、およびナトリウムを含む複数の不純物の濃度は、公知の技術を用いて制御可能である。例えば、めっき用の酸化銅粉体を製造するにあたり、次のようにすることが考えられる。硫酸銅の水溶液と、NHの炭酸塩の水溶液とを混合して加熱しながら反応させて塩基性炭酸銅を生成させ、次いで、塩基性炭酸銅を還元雰囲気とはならない雰囲気下で200℃〜700℃程度に加熱して熱分解することにより易溶解性の酸化銅を生成させ、さらに、易溶解性の酸化銅を水洗するにあたり、水洗時間を調整したり、水洗の撹拌強度を調整することで、酸化銅粉体に含まれるナトリウムの濃度、およびナトリウムを含む複数の不純物の濃度を制御する。
【0044】
本実施形態では、20ppm以下の濃度のナトリウムを含有する酸化銅粉体を用いることにより、めっき槽2に保持されているめっき液中の銅イオン濃度は管理範囲内に収まり、かつ1〜1.5ターンでのめっき液中のナトリウムの濃度を低く維持できる。したがって、めっきによって基板に形成された銅膜の質の低下を防止できる。
【0045】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 めっき装置
2 めっき槽
5 内槽
6 外槽
8 不溶解アノード
9 アノードホルダー
11 基板ホルダー
15 めっき電源
17 めっき制御部
18a,18b 濃度測定器
20 めっき液供給装置
21 粉体容器
24 密閉チャンバー
26 投入口
27 ホッパー
30 フィーダー
31 モータ
32 動作制御部
35 めっき液タンク
36 めっき液供給管
36a,36b 分岐管
37 めっき液戻り管
37a 排出管
38 流量計
39 流量調節弁
40 ポンプ
41 フィルタ
42 純水供給ライン
43 開閉バルブ
44 流量計
47 流量調節弁
85 攪拌機
86 攪拌翼
87 モータ
91 攪拌槽
W 基板
図1
図2