(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材フィルム上に前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを有する積層フィルムを延伸することにより前記基材フィルム上に積層された前記延伸フィルムを得る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<延伸フィルムの製造方法>
本発明に係る延伸フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、ポリビニルアルコール系樹脂を「PVA系樹脂」ともいう。)を延伸する延伸工程を実施して得られるフィルムである。本発明に係る延伸フィルムは、基材フィルムによって支持された状態(基材フィルム上に積層された状態)で存在するフィルムであってもよいし、基材フィルムによって支持されることなくそれ単独で存在するフィルムであってもよい。前者の場合、基材フィルムとその上に形成されたPVA系樹脂フィルム(PVA系樹脂層)とを含む積層フィルムを上記延伸工程に供することにより、基材フィルムによって支持された延伸フィルムが得られる(第1実施形態)。後者の場合、単独のPVA系樹脂フィルムを上記延伸工程に供することにより単独の延伸フィルムが得られる(第2実施形態)。
【0022】
以下では、基材フィルムによって支持された延伸フィルムを製造する第1実施形態について主に説明する。
図1を参照して、第1実施形態に係る延伸フィルムの製造方法は、下記工程:
基材フィルムの少なくとも一方の面にPVA系樹脂を含有する塗工液を塗工した後、乾燥させることによりPVA系樹脂フィルムを形成して積層フィルムを得るPVA系樹脂フィルム形成工程S10、及び
積層フィルムを延伸して、基材フィルム及び延伸フィルムを含む延伸積層フィルムを得る延伸工程S20
をこの順で含む方法であってよい。
【0023】
以下、各工程について説明する。なお、PVA系樹脂フィルム形成工程S10において、基材フィルムの両面にPVA系樹脂フィルムを形成してもよいが、以下では主に片面に形成する場合について説明する。
【0024】
(1)PVA系樹脂フィルム形成工程S10
図2を参照して本工程は、基材フィルム30の少なくとも一方の面にPVA系樹脂フィルム6を形成して積層フィルム100を得る工程である。PVA系樹脂層6は、PVA系樹脂を含有する塗工液を基材フィルム30の片面又は両面に塗工し、塗工層を乾燥させることにより形成することができる。このような塗工によりPVA系樹脂フィルム6を形成する方法は、薄膜のPVA系樹脂フィルム6、ひいては薄膜の偏光フィルムを得やすい点で有利である。
【0025】
基材フィルム30は熱可塑性樹脂から構成することができ、中でも透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂から構成することが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;及びこれらの混合物、共重合物を含む。
【0026】
基材フィルム30は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる1つの樹脂層からなる単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂層を複数積層した多層構造であってもよい。基材フィルム30は、後述する延伸工程S20において、PVA系樹脂フィルムを延伸するのに好適な延伸温度で延伸できるような樹脂で構成されることが好ましい。
【0027】
基材フィルム30は、添加剤を含有することができる。添加剤の具体例は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤を含む。
【0028】
基材フィルム30の厚みは通常、強度や取扱性等の点から1〜500μmであり、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは5〜150μmである。
【0029】
基材フィルム30に塗工する塗工液は、PVA系樹脂及び水を含有するPVA系樹脂の水溶液であることが好ましい。この水溶液は、必要に応じて、水以外の溶剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。水以外の溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、多価アルコール(グリセリン等)に代表されるアルコールのような、水に相溶性のある有機溶剤を挙げることができる。
【0030】
PVA系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」などについても同様である。
【0031】
PVA系樹脂のケン化度は、80.0〜100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0〜99.5モル%の範囲であり、より好ましくは94.0〜99.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、延伸フィルムから得られる偏光フィルムの耐水性が低下しやすい。ケン化度が99.5モル%を超えるPVA系樹脂を使用した場合、後述する偏光フィルムの製造方法における染色工程での染色速度が遅くなり、生産性が低下するとともに十分な偏光性能を有する偏光フィルムが得られにくいことがある。
【0032】
ケン化度とは、PVA系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:−OCOCH
3)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
【0033】
PVA系樹脂は、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールであってもよい。例えば、PVA系樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸;不飽和カルボン酸のアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。変性の割合は30モル%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましい。30モル%を超える変性を行った場合には、延伸フィルムに二色性色素が吸着されにくくなり、十分な偏光性能を有する偏光フィルムが得られにくい傾向がある。
【0034】
PVA系樹脂の平均重合度は、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは1500〜8000であり、さらに好ましくは2000〜5000である。PVA系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。
【0035】
上記塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、ワイヤーバーコーティング法;リバースコーティング、グラビアコーティングのようなロールコーティング法;ダイコート法;カンマコート法;リップコート法;スピンコーティング法;スクリーンコーティング法;ファウンテンコーティング法;ディッピング法;スプレー法等の方法から適宜選択することができる。塗工層は、基材フィルム30の一方の面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
【0036】
塗工層の乾燥温度及び乾燥時間は塗工液に含まれる溶媒の種類に応じて設定される。乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
【0037】
積層フィルム100におけるPVA系樹脂フィルム6の厚みは、好ましくは3〜100μmであり、より好ましくは5〜50μmであり、さらに好ましくは5〜30μmである。この範囲内の厚みを有するPVA系樹脂フィルム6であれば、後述する延伸工程S20及び染色工程を経て、二色性色素の染色性が良好で偏光性能に優れ、かつ十分に薄い(例えば厚み10μm以下の)偏光フィルムを得ることができる。
【0038】
塗工液の塗工に先立ち、基材フィルム30とPVA系樹脂フィルム6との密着性を向上させるために、少なくとも塗工層が形成される側の基材フィルム30の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム(火炎)処理等を施してもよい。また同様の理由で、基材フィルム30上にプライマー層等を介して塗工層を形成してもよい。
【0039】
プライマー層は、プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30の表面に塗工した後、乾燥させることにより形成することができる。この塗工液は、基材フィルム30とPVA系樹脂フィルム6との両方にある程度強い密着力を発揮する成分を含み、通常は、このような密着力を付与する樹脂成分と溶媒とを含む。樹脂成分としては、好ましくは透明性、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑樹脂が用いられ、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。中でも、良好な密着力を与えるポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。より好ましくは、ポリビニルアルコール樹脂である。溶媒としては通常、上記樹脂成分を溶解できる一般的な有機溶媒や水系溶媒が用いられるが、水を溶媒とする塗工液からプライマー層を形成することが好ましい。
【0040】
プライマー層の強度を上げるために、プライマー層形成用塗工液に架橋剤を添加してもよい。架橋剤の具体例は、エポキシ系、イソシアネート系、ジアルデヒド系、金属系(例えば、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物)、高分子系の架橋剤を含む。プライマー層を形成する樹脂成分としてポリビニルアルコール系樹脂を使用する場合は、ポリアミドエポキシ樹脂、メチロール化メラミン樹脂、ジアルデヒド系架橋剤、金属キレート化合物系架橋剤等が好適に用いられる。
【0041】
プライマー層の厚みは、0.05〜1μm程度であることが好ましく、0.1〜0.4μmであることがより好ましい。0.05μmより薄くなると、基材フィルム30とPVA系樹脂フィルム6との密着力向上の効果が小さい。
【0042】
プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、上記PVA系樹脂フィルム形成用の塗工液と同様であることができる。プライマー層形成用塗工液からなる塗工層の乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
【0043】
(2)延伸工程S20
図3を参照して本工程は、基材フィルム30及びPVA系樹脂フィルム6を含む積層フィルム100を延伸して、延伸された基材フィルム31及びPVA系樹脂からなる延伸フィルム7を含む延伸積層フィルム200を得る工程である。
【0044】
延伸工程S20は、下記工程:
同じTD延伸倍率での比較において、MD収縮倍率がPVA系樹脂フィルムを自由端横延伸する場合におけるMD収縮倍率よりも大きくなるようにTDへの延伸とMDへの収縮とを同時に行う第1延伸処理工程S20−1、及び
MD収縮倍率が0.17以上低下するようにTDへの延伸とMDへの収縮を同時に行う第2延伸処理工程S20−2
をこの順に含む。
【0045】
第1延伸処理工程S20−1及び第2延伸処理工程S20−2をこの順に含む延伸処理方法によれば、TD延伸倍率が高く、TDの軸配向性にも優れるポリビニルアルコール系樹脂からなる延伸フィルム7を安定して製造することができる。この延伸フィルム7を原料フィルムとして製造される偏光フィルムは、TDを遅相軸(吸収軸)方向とする偏光フィルムであり、また、良好な光学性能(偏光性能等)を示すことができる。
【0046】
図4は、本発明に係る延伸工程S20の延伸パターンの例を示すグラフであり、具体例として2種類の延伸パターンX及びYを示している。グラフの横軸は、TDの延伸倍率A(TD延伸倍率、単位:倍)である。延伸工程S20に供されるPVA系樹脂フィルム6のTD延伸倍率Aを1とするとき、TD延伸倍率Aは、延伸工程S20において1を超える値を採り得る。TD延伸倍率Aは、下記式:
TD延伸倍率A〔倍〕=(延伸されたPVA系樹脂フィルム6のTD長さ)/(延伸工程に供されるPVA系樹脂フィルム6のTD長さ)
で表される。「TD長さ」は、PVA系樹脂フィルム6の幅と同義である。「延伸されたPVA系樹脂フィルム6」とは、必ずしも延伸工程S20終了時のPVA系樹脂フィルム6(すなわち、延伸フィルム7)のみを指すものではなく、延伸工程S20途中の延伸されたPVA系樹脂フィルム6をも指している。
【0047】
図4に示されるグラフの縦軸は、MDの収縮倍率B(MD収縮倍率、単位:倍)である。延伸工程S20に供されるPVA系樹脂フィルム6のMD収縮倍率Bを1とするとき、MD収縮倍率Bは、延伸工程S20において1未満の値を採り得る。MD収縮倍率Bは、下記式:
MD収縮倍率B〔倍〕=(収縮したPVA系樹脂フィルム6のMD長さ)/(延伸工程に供されるPVA系樹脂フィルム6のMD長さ)
で表される。「MD長さ」は、PVA系樹脂フィルム6の長さと同義である。「収縮したPVA系樹脂フィルム6」とは、必ずしも延伸工程S20終了時のPVA系樹脂フィルム6(すなわち、延伸フィルム7)のみを指すものではなく、延伸工程S20途中の収縮したPVA系樹脂フィルム6をも指している。
【0048】
図4の延伸パターンX及びYで例示されるとおり、本発明において延伸工程S20は、第1延伸処理工程S20−1及び第2延伸処理工程S20−2をこの順に含む。第1延伸処理工程S20−1及び第2延伸処理工程S20−2で実施する延伸処理はいずれも、グラフ線が傾きを有していることからも明らかなとおり、TDへの延伸(横延伸)とMDへの収縮(縦収縮)とを同時に行う同時二軸延伸処理である。延伸パターンXでは、第1延伸処理工程S20−1と第2延伸処理工程S20−2との間に、横延伸のみを行う第3の延伸処理工程が介在している。延伸パターンXのように、第1延伸処理工程S20−1と第2延伸処理工程S20−2とは非連続であってもよい。延伸パターンYでは、このような第3の延伸処理工程は介在せず、第1延伸処理工程S20−1に引き続いて第2延伸処理工程S20−2が行われる。
【0049】
第1延伸処理工程S20−1では、同じTD延伸倍率Aでの比較において、MD収縮倍率BがPVA系樹脂フィルムを自由端横延伸する場合におけるMD収縮倍率よりも大きくなるように同時二軸延伸処理を行う。第1延伸処理工程S20−1は、その全工程にわたって上記条件を満足することが好ましい。「PVA系樹脂フィルムを自由端横延伸する場合」とは、
図4における延伸パターンZを意味しており、MDへ自由に収縮させながら横延伸(TD延伸)を行う場合の延伸パターンである。この基準となる延伸パターンZは、実際に延伸工程S20に供されるPVA系樹脂フィルム6(基材フィルムに支持されている場合には積層フィルム100)と同じフィルムを用いて実測することができる。
【0050】
第2延伸処理工程S20−2に先立って上記条件を満足する第1延伸処理工程S20−1を実施することにより、フィルムの破断等の不具合を伴うことなくTDへの高延伸倍率が可能となり、また、TDへの軸配向性に優れた延伸フィルム7が得られやすくなる。また、上記条件を満足するように、延伸工程S20の初期段階において横延伸とともに適度に縦収縮させることで、得られる延伸フィルム7にシワ等の外観不良が生じることを抑制できる。
【0051】
第1延伸処理工程S20−1終了時のTD延伸倍率Aは、PVA系樹脂フィルム6(基材フィルムに支持されている場合には積層フィルム100)の弾性領域を超えることが望ましいことから、好ましくは1.5〜4.8倍であり、より好ましくは1.8〜4.5倍である。また、第1延伸処理工程S20−1終了時のMD収縮倍率Bは、自由端横延伸の場合、この領域でほとんどの収縮が生じるが、第2延伸処理工程S20−2である程度以上MD収縮させることが望ましいことから、好ましくは0.6〜0.97倍であり、より好ましくは0.65〜0.85倍である。
【0052】
一方、第2延伸処理工程S20−2は、ある程度以上MD収縮させながら同時二軸延伸処理を行う工程であり、具体的には、MD収縮倍率Bが0.17以上低下するように同時二軸延伸処理を行う工程である。ここでいうMD収縮倍率Bの低下量は、第2延伸処理工程S20−2開始時におけるMD収縮倍率〔倍〕と当該工程終了時におけるMD収縮倍率〔B〕との差である。第2延伸処理工程S20−2におけるMD収縮倍率Bの低下量は、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.25以上である。
【0053】
第1延伸処理工程S20−1の後に上記条件を満足する第2延伸処理工程S20−2を実施することにより、フィルムの破断等の不具合を伴うことなくTDへの高延伸倍率が可能となり、また、TDへの軸配向性に優れた延伸フィルム7が得られやすくなる。第2延伸処理工程S20−2におけるMD収縮倍率Bの低下量があまりに大きいと、得られる延伸フィルム7にシワ等の外観不良が生じやすくなることから、MD収縮倍率Bの低下量は、好ましくは0.45以下であり、より好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.35以下である。
【0054】
第2延伸処理工程S20−2開始時のTD延伸倍率Aは、PVA系樹脂フィルム6(基材フィルムに支持されている場合には積層フィルム100)の下降伏点を超える領域で行うことが望ましいことから、好ましくは4.0倍以上であり、より好ましくは4.3倍以上である。第2延伸処理工程S20−2開始時のTD延伸倍率Aは、通常5倍未満である。また、第2延伸処理工程S20−2開始時のMD収縮倍率Bは、当該工程で十分に収縮させることが望ましいことから、好ましくは0.6〜0.97倍であり、より好ましくは0.65〜0.85倍である。
【0055】
第1延伸処理工程S20−1及び第2延伸処理工程S20−2においてはそれぞれ工程の開始時から終了時まで、通常は、一定の速度でTD延伸及びMD収縮がなされる(MD収縮倍率変化量/TD延伸倍率変化量の比が一定である)が、わずかな速度変動を伴っていてもよい。上述のように、第1延伸処理工程S20−1と第2延伸処理工程S20−2とは連続していてもよく、この場合、第1延伸処理工程S20−1終了時のTD延伸倍率A及びMD収縮倍率Bは、それぞれ第2延伸処理工程S20−2開始時のTD延伸倍率A及びMD収縮倍率Bと同じである。なお、延伸工程S20の開始時から終了時まで一貫してMD収縮倍率変化量/TD延伸倍率変化量の比が一定である場合、第1延伸処理工程S20−1又は第2延伸処理工程S20−2のいずれか一方のみを含むとみなし、第1延伸処理工程S20−1及び第2延伸処理工程S20−2をこの順に含むという条件を満足しないものとする。
【0056】
上述のように、第1延伸処理工程S20−1と第2延伸処理工程S20−2との間に第3(さらには、第4、第5、・・・)の延伸処理工程が介在していてもよい。この場合、第3の延伸処理工程は、同時二軸延伸処理であってもよいし、横延伸、縦収縮等の他の延伸処理であってもよいが、少なくとも、そのMD収縮倍率変化量/TD延伸倍率変化量の比は、第1延伸処理工程S20−1及び第2延伸処理工程S20−2のそれとは異なる。
【0057】
延伸工程S20は、第1延伸処理工程S20−1の前に、横延伸、縦収縮等の他の延伸処理工程を含んでいてもよい。ただし、TD延伸時にMD収縮を十分に生じさせ延伸フィルム7の配向性を向上させる観点からは、延伸処理工程S20において第1延伸処理工程S20−1を最初に実施することが好ましい。この場合、第1延伸処理工程S20−1に供されるフィルムは未延伸のPVA系樹脂フィルム6(基材フィルムに支持されている場合には積層フィルム100)である。
【0058】
延伸工程S20は、第2延伸処理工程S20−2の後に、横延伸、縦収縮等の他の延伸処理工程を含んでいてもよい。ただし、下降伏点を超えた後は横延伸の応力が増大するため、延伸処理工程S20において第2延伸処理工程S20−2を最後に実施することが好ましい。この場合、この第2延伸処理工程S20−2の実施によりTD延伸倍率A及びMD収縮倍率Bが所望値(下記A
f及びB
f)となるまでPVA系樹脂フィルム6を同時二軸延伸して、最終的なTD延伸倍率A
f及び最終的なMD収縮倍率B
fを有する延伸フィルム7が得られることとなる。
【0059】
延伸工程S20での一連の延伸処理によって得られる延伸フィルム7における上記最終的なTD延伸倍率A
fは、5倍以上であることが好ましく、5.3倍以上であることがより好ましい。本発明に従う延伸方法によれば、フィルムの破断やシワ発生等の不具合を生じることなく、5倍以上のTD延伸倍率A
fを達成することができる。最終的なTD延伸倍率A
fは、通常10倍以下であり、好ましくは7倍以下である。10倍を超えるTD延伸は、延伸フィルムの厚みにもよるが、フィルム破断を伴いやすい。
【0060】
延伸フィルム7における上記最終的なMD収縮倍率B
fは、0.2〜0.8倍であることが好ましく、0.35〜0.7倍であることがより好ましい。MD収縮倍率B
fがこの範囲内であると、TDへの高延伸倍率が容易となり、また、TDへの軸配向性が良好となる。
【0061】
第1延伸処理工程S20−1及び第2延伸処理工程S20−2で実施するTDへの延伸(横延伸)とMDへの収縮(縦収縮)とを同時に行う同時二軸延伸処理には、公知のテンター式延伸装置を用いることができる。
図5は、テンター式延伸装置の内部構成の一例を模式的に示す平面図である。
図5に示されるように、テンター式延伸装置は、走行するフィルム(PVA系樹脂フィルム6)の幅方向両端部を走行方向(機械流れ方向)に配列された複数のクリップ50で把持し、延伸ゾーンにおいてクリップ50をフィルムとともに走行させながら幅方向のクリップ間隔を広げることによってフィルムを幅方向に延伸するとともに、走行方向のクリップ間隔を狭めることによってフィルムを走行方向に収縮させる。より具体的には、延伸ゾーン手前での幅方向のクリップ間隔D
1よりも延伸ゾーンから出た直後の幅方向のクリップ間隔D
2を大きくすることによりTD延伸を施すことができる。また、延伸ゾーン手前での走行方向のクリップ間隔G
1よりも延伸ゾーンから出た直後の走行方向のクリップ間隔G
2を小さくすることによりMD収縮を施すことができる。これらのクリップ間隔の調整により同時二軸延伸処理の延伸パターンを制御することができる。
【0062】
同時二軸延伸処理工程を含む延伸工程S20における延伸温度は、基材フィルム30によって支持されたPVA系樹脂フィルム6、すなわち積層フィルム100を延伸工程S20に供する場合、PVA系樹脂フィルム6及び基材フィルム30全体が延伸可能な程度に流動性を示す温度以上に設定され、好ましくは基材フィルム30の相転移温度(融点又はガラス転移温度)の−30℃から+30℃の範囲であり、より好ましくは−30℃から+5℃の範囲であり、さらに好ましくは−25℃から+0℃の範囲である。基材フィルム30が複数の樹脂層からなる場合、上記相転移温度は該複数の樹脂層が示す相転移温度のうち、最も高い相転移温度を意味する。
【0063】
延伸温度を相転移温度の−30℃より低くすると、5倍以上の高倍率延伸が達成されにくいか、又は、基材フィルム30の流動性が低すぎて延伸処理が困難になる傾向にある。延伸温度が相転移温度の+30℃を超えると、基材フィルム30の流動性が大きすぎて延伸が困難になる傾向にある。積層フィルム100を延伸工程S20に供する場合、5倍以上の高延伸倍率をより達成しやすいことから、延伸温度は上記範囲内であって、さらに好ましくは120℃以上である。また延伸温度は、通常230℃以下である。
【0064】
延伸処理におけるフィルムの加熱方法としては、ゾーン加熱法(例えば、熱風を吹き込み所定の温度に調整した加熱炉のような延伸ゾーン内で加熱する方法。);ヒーター加熱法(赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等をフィルムの上下に設置し輻射熱で加熱する方法)等がある。
【0065】
延伸工程S20に先立ち、延伸工程S20に供されるフィルムを予熱する予熱処理工程を設けてもよい。予熱方法としては、延伸処理における加熱方法と同様の方法を用いることができる。予熱温度は、延伸温度の−50℃から±0℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−40℃から−10℃の範囲であることがより好ましい。
【0066】
また、延伸工程S20における延伸処理の後に、熱固定処理工程を設けてもよい。熱固定処理は、延伸フィルム7の端部をクリップにより把持した状態で緊張状態を維持しながら、PVAの結晶化温度以上で熱処理を行う処理である。この熱固定処理によって延伸フィルム7の結晶化が促進される。熱固定処理の温度は、延伸温度の−0℃〜−80℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−0℃〜−50℃の範囲であることがより好ましい。
【0067】
延伸工程S20を経て得られる延伸フィルム7の厚みは、例えば30μm以下、さらには20μm以下であることができるが、偏光フィルム、ひいては偏光板の薄型化の観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは7μm以下である。延伸フィルム7の厚みは、通常2μm以上である。
【0068】
以上、基材フィルム30に支持されたPVA系樹脂フィルム6から、基材フィルム31に支持された延伸フィルム7を製造する方法(第1実施形態)を例に挙げて、本発明に係る延伸フィルムの製造方法について説明したが、基材フィルム30に支持されることなく単独で存在するPVA系樹脂フィルムに対しても、上と同様に所定の延伸工程を施すことにより、フィルムの破断やシワの発生等の不具合を伴うことなくTDの延伸倍率及び軸配向性が高い延伸フィルム7を得ることができる(第2実施形態)。単独で存在するPVA系樹脂フィルム6を延伸工程S20に供する場合、同時二軸延伸処理工程を含む延伸工程S20における延伸温度は、好ましくは150℃以上である。また延伸温度は、通常230℃以下である。第2実施形態においても、予熱処理工程及び/又は熱固定処理工程を設けることができる。
【0069】
上記PVA系樹脂フィルム形成工程S10(基材フィルムを用いる場合)及び延伸工程S20は、長尺の基材フィルム30(基材フィルムを用いる場合)や長尺のPVA系樹脂フィルム6(基材フィルムを用いない場合)を連続的に搬送しながら、連続的に実施することができる。この場合、得られる延伸フィルム7も長尺であり、通常は、巻き取り装置で巻き取って延伸フィルム7のロール体とされる。あるいは、連続的に製造される長尺の延伸フィルム7を巻き取ることなく、偏光フィルム化工程(染色工程)に供してもよい。長尺物である延伸フィルムの長さは、通常100m以上であり、好ましくは1000m以上である。また延伸フィルムの長さは、通常10000m以下である。
【0070】
本発明に係る延伸フィルム7は、上記延伸工程S20を経て得られるものであるため、TDに高い一軸配向性を有する。波長590nmにおけるフィルム面内のフィルム幅方向の屈折率をn
x、フィルム面内でフィルム幅方向に直交する方向の屈折率をn
yとするとき、本発明に係る延伸フィルム7は、下記式:
複屈折ΔP=n
x−n
y
で表される複屈折ΔPが0.031以上、さらには0.032以上であり得、通常0.04以下である。なお、延伸フィルム7が基材フィルム31に支持されたものとして得られる場合、延伸フィルム7の複屈折ΔPは、基材フィルム31を剥離除去して得られる単独の延伸フィルム7を測定サンプルとして測定される。
【0071】
<偏光フィルム及び偏光板の製造方法>
本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、上記本発明に係る延伸フィルムの製造方法によって得られる延伸フィルムを原料フィルムとして偏光フィルムを製造するものである。この製造方法によれば、TDを遅相軸(吸収軸)方向とし、良好な光学性能を示す偏光フィルムを得ることができる。
【0072】
原料フィルムとしての延伸フィルムは、基材フィルム31に支持された延伸フィルム7(すなわち延伸積層フィルム200)であってもよいし、基材フィルム30に支持されない単独の延伸フィルム7であってもよい。
【0073】
延伸積層フィルム200から基材フィルムに支持された偏光フィルムを製造する方法を例に挙げると、この製造方法は、
図6を参照して、下記工程:
延伸積層フィルムの延伸フィルムを二色性色素で染色して偏光フィルム(偏光子層)を形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程S30
を含む方法であることができる。偏光性積層フィルムは、基材フィルムとその上に積層された偏光フィルムとを有する積層フィルム(すなわち基材フィルムに支持された偏光フィルム)である。
【0074】
図6を参照して、偏光性積層フィルムを下記工程:
偏光性積層フィルムの偏光フィルム上に第1保護フィルムを貼合して保護フィルム付偏光性積層フィルムを得る第1貼合工程S40
に供すれば、保護フィルム付偏光性積層フィルムを得ることができる。
【0075】
図6を参照して、保護フィルム付偏光性積層フィルムを下記工程:
保護フィルム付偏光性積層フィルムから基材フィルムを剥離除去して片面保護フィルム付偏光板を得る剥離工程S50
に供すれば、片面保護フィルム付偏光板を得ることができ、これをさらに下記工程:
片面保護フィルム付偏光板の偏光フィルム面に第2保護フィルムを貼合する第2貼合工程S60
に供すれば、両面保護フィルム付偏光板を得ることができる。
【0076】
なお、本明細書においては、偏光フィルムを含み、かつ基材フィルムを含まないフィルム積層体を「偏光板」という。
【0077】
(1)染色工程S30
図7を参照して本工程は、延伸積層フィルム200の延伸フィルム7を二色性色素で染色してこれを吸着配向させ、偏光フィルム(偏光子層)5とする工程である。本工程を経て基材フィルム31の片面又は両面に偏光フィルム5が積層された偏光性積層フィルム300が得られる。
【0078】
二色性色素としては、具体的にはヨウ素又は二色性有機染料が挙げられる。二色性有機染料の具体例は、例えば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックを含む。二色性色素は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
染色工程S30は通常、二色性色素を含有する液(染色浴)に延伸積層フィルム200を浸漬することにより行うことができる。染色浴としては、上記二色性色素を溶媒に溶解した溶液を使用できる。染色溶液の溶媒としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されてもよい。染色浴における二色性色素の濃度は、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜7重量%であることがより好ましい。
【0080】
二色性色素としてヨウ素を使用する場合、染色効率を向上できることから、ヨウ素を含有する染色浴にヨウ化物をさらに添加することが好ましい。ヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。染色浴におけるヨウ化物の濃度は、好ましくは0.01〜20重量%である。ヨウ化物の中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムとの割合は重量比で、好ましくは1:5〜1:100であり、より好ましくは1:6〜1:80である。染色浴の温度は、好ましくは10〜60℃であり、より好ましくは20〜40℃である。
【0081】
染色工程S30は、染色処理に引き続いて実施される架橋処理工程を含むことができる。架橋処理は、架橋剤を含有する液(架橋浴)に染色された延伸フィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂のようなホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。架橋剤は1種のみを使用してもよいし2種以上を併用してもよい。架橋浴としては、架橋剤を溶媒に溶解した溶液を使用できる。溶媒としては、水が使用できるが、水と相溶性のある有機溶媒をさらに含んでもよい。架橋浴における架橋剤の濃度は、好ましくは1〜20重量%であり、より好ましくは6〜15重量%である。
【0082】
架橋浴はヨウ化物をさらに含むことができる。ヨウ化物の添加により、偏光フィルム5の面内における偏光特性をより均一化させることができる。ヨウ化物の具体例は上記と同様である。架橋浴におけるヨウ化物の濃度は、好ましくは0.05〜15重量%であり、より好ましくは0.4〜8重量%である。架橋浴の温度は、好ましくは10〜90℃である。
【0083】
なお架橋処理は、架橋剤を染色浴中に配合することにより、染色処理と同時に行うこともできる。また、組成の異なる2種以上の架橋浴を用いて、架橋浴に浸漬する処理を2回以上行ってもよい。
【0084】
染色工程S30の後、洗浄工程及び乾燥工程を行うことが好ましい。洗浄工程は通常、水洗浄工程を含む。水洗浄処理は、イオン交換水、蒸留水のような純水に染色処理後の又は架橋処理後のフィルムを浸漬することにより行うことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4〜20℃である。洗浄工程は、水洗浄工程とヨウ化物溶液による洗浄工程との組み合わせであってもよい。洗浄工程の後に行われる乾燥工程としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥等の任意の適切な方法を採用し得る。例えば加熱乾燥の場合、乾燥温度は通常20〜95℃である。
【0085】
偏光性積層フィルム300が有する偏光フィルム5の厚みは、例えば30μm以下、さらには20μm以下であることができるが、偏光板の薄型化の観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは7μm以下である。偏光フィルム5の厚みは、通常2μm以上である。
【0086】
(2)第1貼合工程S40
図8を参照して本工程は、偏光性積層フィルム300の偏光フィルム5上、すなわち、偏光フィルム5の基材フィルム31側とは反対側の面に第1接着剤層15を介して第1保護フィルム10を貼合することで保護フィルム付偏光性積層フィルム400を得る工程である。
【0087】
なお、偏光性積層フィルム300が基材フィルム31の両面に偏光フィルム5を有する場合は通常、両面の偏光フィルム5上にそれぞれ第1保護フィルム10が貼合される。この場合、これらの第1保護フィルム10は同種の保護フィルムであってもよいし、異種の保護フィルムであってもよい。
【0088】
第1接着剤層15を形成する接着剤は、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤(好ましくは紫外線硬化性接着剤)や、ポリビニルアルコール系樹脂のような接着剤成分を水に溶解又は分散させた水系接着剤であることができる。
【0089】
活性エネルギー線硬化性接着剤としては、良好な接着性を示すことから、カチオン重合性の硬化性化合物及び/又はラジカル重合性の硬化性化合物を含む活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を好ましく用いることができる。活性エネルギー線硬化性接着剤は、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤及び/又はラジカル重合開始剤をさらに含むことができる。
【0090】
カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物(分子内に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有する化合物)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。
【0091】
活性エネルギー線硬化性接着剤は、必要に応じて、カチオン重合促進剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、溶剤等の添加剤を含有することができる。
【0092】
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて第1保護フィルム10を貼合する場合、第1接着剤層15となる活性エネルギー線硬化性接着剤を介して第1保護フィルム10を偏光フィルム5上に積層した後、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線を照射して接着剤層を硬化させる。中でも紫外線が好適であり、この場合の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等を用いることができる。水系接着剤を用いる場合は、水系接着剤を介して第1保護フィルム10を偏光フィルム5上に積層した後、加熱乾燥させればよい。
【0093】
偏光フィルム5に第1保護フィルム10を貼合するにあたり、第1保護フィルム10及び/又は偏光フィルム5の貼合面には、偏光フィルム5との接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理のような表面処理(易接着処理)を行うことができ、中でも、プラズマ処理、コロナ処理又はケン化処理を行うことが好ましい。
【0094】
第1保護フィルム10は、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなるフィルムであることができる。
【0095】
第1保護フィルム10は、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。
【0096】
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体のほか、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
【0097】
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
【0098】
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものを用いることもできる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース:TAC)が特に好ましい。
【0099】
ポリエステル系樹脂はエステル結合を有する、上記セルロースエステル系樹脂以外の樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としてはジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしてはジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0100】
ポリエステル系樹脂の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートを含む。
【0101】
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなる。ポリカーボネート系樹脂は、ポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、共重合ポリカーボネート等であってもよい。
【0102】
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C
1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
【0103】
なお、以上に示した各熱可塑性樹脂についての説明は、基材フィルム30を構成する熱可塑性樹脂についても適用できる。
【0104】
第1保護フィルム10における偏光フィルム5とは反対側の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を形成することもできる。また第1保護フィルム10は、滑剤、可塑剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤のような添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
【0105】
第1保護フィルム10の厚みは、偏光板の薄型化の観点から、好ましくは90μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。第1保護フィルム10の厚みは、強度及び取扱性の観点から、通常5μm以上である。
【0106】
(3)剥離工程S50
図9を参照して本工程は、保護フィルム付偏光性積層フィルム400から基材フィルム31を剥離除去して片面保護フィルム付偏光板1を得る工程である。偏光性積層フィルム300が基材フィルム31の両面に偏光フィルム5を有し、これら両方の偏光フィルム5に第1保護フィルム10を貼合した場合には、この剥離工程S50により、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の片面保護フィルム付偏光板1が得られる。
【0107】
基材フィルム31を剥離除去する方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われるセパレータ(剥離フィルム)の剥離工程と同様の方法で剥離できる。基材フィルム31は、第1貼合工程S40の後、そのまますぐ剥離してもよいし、第1貼合工程S40の後、一度ロール状に巻き取り、その後の工程で巻き出しながら剥離してもよい。
【0108】
(4)第2貼合工程S60
図10を参照して本工程は、片面保護フィルム付偏光板1の偏光フィルム5上、すなわち第1貼合工程S40にて貼合した第1保護フィルム10とは反対側の面に、さらに第2接着剤層25を介して第2保護フィルム20を貼合し、両面保護フィルム付偏光板2を得る工程である。第2接着剤層25を介した第2保護フィルム20の貼合は、第1保護フィルム10の貼合と同様にして行うことができる。第2保護フィルム20及び第2接着剤層25の構成や材質については、それぞれ第1保護フィルム10及び第1接着剤層15についての記載が引用される。
【0109】
以上、基材フィルムに支持された延伸フィルム(延伸積層フィルム)を用いて偏光フィルム(偏光性積層フィルム、保護フィルム付偏光性積層フィルム)、さらには偏光板を製造する方法について説明したが、基材フィルムに支持されない単独の延伸フィルムを用いる場合にも、染色処理を施すことにより同様にして偏光フィルムを製造することができる。また、この偏光フィルムの片面又は両面に、同様にして接着剤層を介して保護フィルムを貼合することにより、片面保護フィルム付偏光板又は両面保護フィルム付偏光板を製造することができる。
【0110】
図9に示される片面保護フィルム付偏光板1における偏光フィルム5上、又は
図10に示される両面保護フィルム付偏光板2における第1保護フィルム10若しくは第2保護フィルム20上に、偏光板を他の部材(例えば液晶表示装置に適用する場合における液晶セル)に貼合するための粘着剤層を積層してもよい。粘着剤層を形成する粘着剤は通常、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等をベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる。さらに微粒子を含有させて光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。粘着剤層の厚みは通常、1〜40μmであり、好ましくは3〜25μmである。
【0111】
片面保護フィルム付偏光板1及び両面保護フィルム付偏光板2は、その第1及び/又は第2保護フィルム10,20や偏光フィルム5上に積層される他の光学層をさらに含むことができる。他の光学層としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルム等が挙げられる。
【0112】
TDに一軸配向した延伸フィルムを用いることによりTDを吸収軸方向とする偏光フィルム及び偏光板を提供することができる。かかる偏光板を液晶パネルを構成する一対の偏光板の一方として用いれば、当該一対の偏光板を、これらのMDを90°ずらすことなくそのまま液晶セルに貼合することができる。すなわち、当該一対の偏光板を、これらのMDが平行となるように液晶セルに貼合するロール・トゥ・パネル貼合が可能となり、当該一対の偏光板の吸収軸は互いに直交することになる。また、TDを吸収軸方向とする長尺の偏光板によれば、輝度向上フィルム(反射型偏光板)との貼合を行う際、ロール・トゥ・ロール貼合が可能となる。
【実施例】
【0113】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。以下の例において、延伸フィルムの複屈折ΔP、延伸工程時のフィルムの破断性、延伸フィルムの外観品質、偏光フィルムの視感度補正単体透過率Ty及び視感度補正偏光度Pyは、次の測定方法、評価方法に従った。
【0114】
〔a〕延伸フィルムの複屈折ΔPの測定
延伸積層フィルムから基材フィルムを剥離除去して得られる延伸フィルムをサンプルとして、王子計測機器株式会社製の位相差測定装置「KOBRA−WR」を用いて、上記式に基づく波長590nmにおける複屈折ΔPを測定した。結果を表1に示す。
【0115】
〔b〕延伸工程時のフィルムの破断性の評価
下記の評価基準に従って、積層フィルムを延伸する際のフィルムの破断性を評価した。結果を表1に示す。
【0116】
A:フィルム破断がない、
B:積層フィルム10mあたりのフィルム破断回数が1回である、
C:積層フィルム10mあたりのフィルム破断回数が2回以上である。
【0117】
〔c〕延伸フィルムの外観品質の評価
得られた延伸積層フィルムが有する延伸フィルムを目視観察し、下記の評価基準に従って外観品質を評価した。結果を表1に示す。
【0118】
A:シワの発生がない、
B:わずかにシワが認められる、
C:シワが多く認められる。
【0119】
〔d〕偏光フィルムの視感度補正単体透過率Ty及び視感度補正偏光度Pyの測定
偏光性積層フィルムをサンプルとして、吸光光度計(日本分光(株)製の「V7100」)を用いて、視感度補正単体透過率Ty及び視感度補正偏光度Pyを測定した。測定にあたっては、偏光フィルム側に入射光が照射されるように偏光性積層フィルムサンプルをセットした。結果を表1に示す。
【0120】
<実施例1>
(1)プライマー層形成工程
PVA粉末(日本合成化学工業(株)製の「Z−200」、平均重合度1100、ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のPVA水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業(株)製の「スミレーズレジン650」)をPVA粉末6重量部に対して5重量部の割合で混合して、プライマー層形成用塗工液を得た。
【0121】
次に、基材フィルムとして厚み90μmの未延伸のポリプロピレン(PP)フィルム(融点:163℃)を用意し、その片面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に小径グラビアコーターを用いて上記プライマー層形成用塗工液を塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
【0122】
(2)積層フィルムの作製(PVA系樹脂フィルム形成工程)
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製の「PVA124」、平均重合度2400、ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製し、これをPVA系樹脂フィルム形成用塗工液とした。上記(1)で作製したプライマー層を有する基材フィルムのプライマー層表面にダイコーターを用いて上記PVA系樹脂フィルム形成用塗工液を塗工した後、70℃で4分間乾燥させることにより、プライマー層上にPVA系樹脂フィルムを形成して、長尺の積層フィルムを得た。PVA系樹脂フィルム(PVA系樹脂層)の厚みは9μmであった。
【0123】
(3)延伸フィルムの作製(延伸工程)
上記(2)で作製した長尺の積層フィルムに対し、これを連続的に巻き出しながら、
図11に示される延伸パターンに従って、TDへの延伸(横延伸)とMDへの収縮(縦収縮)とを同時に行う同時二軸延伸処理である第1延伸処理工程及び第2延伸処理工程を含む延伸処理を、テンター式延伸装置を用いて連続的に実施し、長尺の延伸積層フィルムを得た。延伸処理は160℃で行った(以下の比較例においても同じ。)。延伸パターンは、クリップ間隔の調整により制御した。延伸積層フィルムにおける最終的なTD延伸倍率A
f及び最終的なMD収縮倍率B
fは、それぞれ5.5倍、0.5倍とした(以下の比較例においても同じ。)。延伸積層フィルムにおける延伸フィルム(PVA系樹脂層)の厚みは約3μmであった。延伸工程においてフィルムの破断は起こらず、長さ100m超の延伸積層フィルムを得ることができた。
【0124】
(4)偏光性積層フィルムの作製(染色工程)
上記(3)で作製した延伸積層フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色水溶液(水100重量部あたりヨウ素を0.4重量部、ヨウ化カリウムを5.0重量部含む。)に約70秒間浸漬してPVAフィルムの染色処理を行った後、10℃の純水で余分な染色水溶液を洗い流した。
【0125】
次いで、ホウ酸を含む78℃の第1架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を10.4重量部含む。)に120秒間浸漬し、次いで、ホウ酸及びヨウ化カリウムを含む70℃の第2架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を5.0重量部、ヨウ化カリウムを12.0重量部含む。)に60秒間浸漬して架橋処理を行った。その後、10℃の純水に約10秒浸漬し、最後に80℃で300秒間乾燥させることにより、偏光フィルムを含む偏光性積層フィルムを得た。偏光フィルムのTy及びPyは、それぞれ41.5%、>99.99%であった。
【0126】
<実施例2>
延伸工程における延伸パターンを
図11に示されるとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、延伸積層フィルムを得た。延伸積層フィルムにおける延伸フィルム(PVA系樹脂層)の厚み約3μmであった。また、得られた延伸積層フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルムを含む偏光性積層フィルムを得た。この際、染色水溶液への浸漬時間を調整することにより偏光フィルムのTyを41.5%とした。偏光フィルムのPyは、>99.99%であった。
【0127】
<比較例1〜4>
延伸工程における延伸パターンを
図11に示されるとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、延伸積層フィルムを得た。延伸積層フィルムにおける延伸フィルム(PVA系樹脂層)の厚みはいずれも約3μmであった。また、得られた延伸積層フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルムを含む偏光性積層フィルムを得た。この際、染色水溶液への浸漬時間を調整することにより偏光フィルムのTyを41.5%とした(ただし、比較例4においてTy及びPyは測定していない。)。比較例3では、延伸工程においてフィルムの破断は起こらず、長さ100m超の延伸積層フィルムを得ることができたが、比較例1、2及び4ではフィルム破断が生じ、得られた延伸積層フィルムの長さはそれぞれ、10m程度、10m未満、10m未満であった。
【0128】
【表1】