特許第6620078号(P6620078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620078
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20191202BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H05H1/46 L
   H01L21/302 101C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-172382(P2016-172382)
(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-41531(P2018-41531A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2018年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 真
(72)【発明者】
【氏名】横川 賢悦
(72)【発明者】
【氏名】川口 忠義
(72)【発明者】
【氏名】一野 貴雅
【審査官】 大門 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−120564(JP,A)
【文献】 特開2000−323298(JP,A)
【文献】 特開2015−146428(JP,A)
【文献】 特開2016−072138(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0173314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H05H 1/00
H01L21/3065
C23C16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料がプラズマ処理される処理室と、前記処理室の上方を気密に封止する誘導窓と、前記誘導窓の上方に配置され誘導磁場を形成する誘導アンテナと、前記誘導アンテナに高周波電力を供給する高周波電源と、前記高周波電源から高周波電力を供給され前記誘導窓と前記誘導アンテナとの間に配置されたファラデーシールドとを備えるプラズマ処理装置において、
前記ファラデーシールドに流れる電流をモニタするモニタ手段と前記モニタされた電流の値を制御し前記誘導アンテナに接続された可変コンデンサと前記モニタされた電流の値が最小となるように前記可変コンデンサを制御する制御部をさらに備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記可変コンデンサは、2つであり、
前記誘導アンテナは、前記可変コンデンサの一方が接続された第一の誘導アンテナと前記可変コンデンサの他方が接続された第二の誘導アンテナを具備することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記ファラデーシールドに印加される高周波電圧を制御する可変コンデンサと前記誘導アンテナの終端との間に前記可変コンデンサが配置されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導結合型プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造装置では、誘導結合型プラズマ源を用いたエッチング装置やChemical Vapor Deposition(CVD)装置が広く利用されている。これらの誘導結合型プラズマ処理装置は,真空容器の外側に数ターンの誘導アンテナを配置し,当該誘導アンテナに高周波電流を流すことにより真空容器内に誘導電場を形成してプラズマを生成する。
【0003】
また,誘導結合プラズマ処理装置の中には、特許文献1に開示されているようにアンテナと真空容器の間にファラデーシールドを設置し,このファラデーシールドに印加する電圧を調整することで真空容器内の内壁状態を制御する誘導結合型プラズマ処理装置がある。
【0004】
しかし,高密度のプラズマを生成するためには、誘導アンテナに数アンペア 以上の電流を流す必要があり,数kV以上の高電圧が誘導アンテナに沿って不均一に発生する。また,この誘導アンテナとプラズマの間には浮遊容量が存在するため,この浮遊容量を介してコイルを流れる電流がプラズマに流入出することによりアンテナ内の電流が一定値ではなくなり,プラズマの周方向の均一性が悪化する,つまりプラズマが偏芯分布になることが知られている。
【0005】
プラズマの偏芯分布の改善法としては,アンテナと真空容器の間にファラデーシールドを設置した装置においては,ファラデーシールドに電気的にリング状導体を設置しリング状導体の形状を最適化することで,プラズマの偏芯分布を抑制する方法が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−323298号公報
【特許文献2】特開2011−103346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし,プラズマの偏芯分布は、プラズマ密度,圧力,プロセスガス種,ファラデーシールドへの印加電圧等のプロセス条件によって変化することがわかった。そのため,特許文献2に開示されたファラデーシールドにリング状導体を設置する方法では、プロセス条件に対応した最適な形状のリング状導体への付け替えが必要であり,量産への適用が困難である。
【0008】
このようなことから本発明は、誘導結合型プラズマ処理装置において、プラズマの偏芯分布を改善できるプラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、試料がプラズマ処理される処理室と、前記処理室の上方を気密に封止する誘導窓と、前記誘導窓の上方に配置され誘導磁場を形成する誘導アンテナと、前記誘導アンテナに高周波電力を供給する高周波電源と、前記高周波電源から高周波電力を供給され前記誘導窓と前記誘導アンテナとの間に配置されたファラデーシールドとを備えるプラズマ処理装置において、前記ファラデーシールドに流れる電流をモニタするモニタ手段と前記モニタされた電流の値を制御し前記誘導アンテナに接続された可変コンデンサと前記モニタされた電流の値が最小となるように前記可変コンデンサを制御する制御部をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により誘導結合型プラズマ処理装置において、プラズマの偏芯分布を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一の実施例に係る誘導結合型プラズマ処理装置の概略断面図である。
図2】第四の可変コンデンサの静電容量とプラズマ表面の磁場強度の偏芯率との関係を示す図である。
図3】第四の可変コンデンサの静電容量と電流計001に流れる電流値との関係を示す図である。
図4】第二の実施例に係る誘導結合型プラズマ処理装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。最初に本発明の第一の実施例から説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施例に係る誘導結合型プラズマ処理装置の概略断面図である。真空容器 101は,アルミナ等の絶縁材料からなる誘導窓102を備え,内部に試料である被処理ウェハを載置するための試料台である電極103を備えている。また,真空容器内の静磁場分布を制御するため,真空容器 101の外側に第一の静磁場コイル104と,第二の静磁場コイル105と,ヨーク106を配置している。真空容器101の上方を気密に封止する誘導窓102の外側には、2ターンのコイル状の誘導アンテナ107が配置され、誘導窓102と誘導アンテナ107の間にはファラデーシールド108が配置されている。
【0014】
誘導アンテナ107とファラデーシールド108は,第一の可変コンデンサ109と,第二の可変コンデンサ110と,第三の可変コンデンサ111と,第四の可変コンデンサ112と,第一のインダクタンス113と,第二のインダクタンス114を介して第一の高周波電源115と電気的に接続されている。ここで,第一の可変コンデンサ109と第二の可変コンデンサ110と第一のインダクタンス113は、プラズマとのインピーダンス整合をとるための整合回路であり,必要に応じてコンデンサやインダクタンスの数を増減することができる。
【0015】
また,第三の可変コンデンサ111と第二のインダクタンス114との直列共振回路は、ファラデーシールド108と並列に接続されており,第三の可変コンデンサ 111の静電容量を変更することによりファラデーシールド108の印加電圧を制御することが可能である。加えて第四の可変コンデンサ112は、誘導アンテナ107と直列に接続されており,第四の可変コンデンサ112の静電容量を変更することにより誘導アンテナ内での電流分布を制御でき,第四の可変コンデンサの静電容量を最適化することによりプラズマの偏芯分布を抑制することができる。尚、図1に示した誘導アンテナ107のターン数を2ターンにしたが,特にそのターン数は問わない。
【0016】
真空容器101内には、ガス供給器116からガスバルブ117を通して所定の流量のプロセスガスが供給され,排気機構118で排気速度を調整することによって,真空容器内を所定の圧力に維持することができる。ガス供給器116から供給されたプロセスガスは、誘導アンテナ107とファラデーシールド108に印加された高周波電力によってプラズマ化され,プラズマ002が生成,維持される。この際,第一の静磁場コイル104と第二の静磁場コイル105を用いて静磁場の分布を変更することができ,プラズマ002の密度分布を任意のプラズマ密度分布状態に制御することができる。
【0017】
第一の高周波電源115から供給する高周波電力の周波数は,例えば、13.56 MHzや27.12 MHzや2 MHz等の周波数を用い,第一の可変コンデンサ109と第二の可変コンデンサ110の静電容量を調整することにより高周波電力の反射を抑制し,インピーダンス整合を取ることができる。また,プラズマ002中に存在するイオンを被処理ウェハに引き込むため,電極103には、バイアス電源119より,100 kHzから13.56 MHzの高周波電力を印加することも可能である。図1には記載していないが、この際,電極103とバイアス電源119の間に配置された整合回路により,インピーダンス整合をとることができる。
【0018】
ファラデーシールド108は,縦縞状のスリットを有する金属導体で構成されており,誘電窓102を覆うように配置されている。ファラデーシールドへ印加される高周波電圧は、第三の可変コンデンサ111により制御することができ,これにより誘電窓102の内壁を最適な状態に保つことができる。
【0019】
以上、上述した誘導結合型プラズマ処理装置を用いたプラズマ処理に係る制御は、制御部120にて行われる。
【0020】
本実施例によるプラズマ処理装置では、ファラデーシールドに流れる電流を測定するための電流計001がファラデーシールド108上部に配置されたシャフト上に配置されており,誘導アンテナ107の終端と直列共振回路との間に配置された第四の可変コンデンサ112によりファラデーシールド108に流れる電流値を制御できる。ここで電流計001はクランプメータ等の回路に直接接続せずに電流をモニタできるものが望ましいが,電流を計測できればその手段は特に問わない。
【0021】
また、第四の可変コンデンサ112よりファラデーシールド108に流入する電流値が最小となるように制御部120により第四の可変コンデンサを制御することによって,誘導アンテナに流れる電流の周方向の不均一性を抑制することができる。このことによって、プラズマの偏芯分布を抑制した最適なプラズマ分布によりウェハを処理することを可能とする。
【0022】
一方、本実施例のようにファラデーシールド108に流入する電流を最小としない場合,プロセス条件を変更する毎に可変コンデンサの静電容量の最適化が必要であり,プラズマの偏芯分布を抑制できる最適な静電容量を決定するため,別途,可変コンデンサの異なる静電容量で何枚もウェハを処理する等の事前評価が必要であった。しかし,本実施例のようにファラデーシールド108へ流入する電流を最小とすることにより、プロセス条件を変更したとしても事前評価が必要なく,プラズマの偏芯分布を抑制した最適なプラズマ分布によりウェハを処理することができる。
【0023】
次にファラデーシールド108に流れる電流値が最小になるように第四の可変コンデンサ112の静電容量を制御することによりアンテナに流れる高周波電流の周方向の不均一性を抑制できる。ファラデーシールド108に流れる電流値が最小になるように第四の可変コンデンサ112の静電容量を制御する技術的意義について以下、説明する。
【0024】
第四の可変コンデンサ112とプラズマ表面における磁場強度の周方向の偏芯率(不均一性)について図2を参照しながら説明する。図2は、図1に示したプラズマ処理装置体系における三次元電磁界計算結果を元に第四の可変コンデンサ112の静電容量の値によるプラズマ表面における磁場強度の周方向の偏芯率(不均一性)を算出した結果である。図2の計算ではプラズマ002を抵抗率 1.0×10-6 Ω・cmの均一な導体で近似してプラズマ表面の磁場強度分布を計算し,その磁場強度から周方向の偏芯率を算出した。また、図3に等価回路計算を元にファラデーシールドに流れる電流,つまり電流計001に流れる電流を計算した結果を示す。
【0025】
尚、図2における偏芯率は,2ターンの誘導アンテナの中心部(半径R)直下のプラズマ表面の磁場強度分布より,式(1)を用いて算出しており,この偏芯率が小さい方が誘導アンテナ内に流れる電流の分布の変化が小さく,偏芯分布の少ないプラズマが生成できることを意味する。また,式(1)において,H(Max)は、半径Rのプラズマ表面の磁場強度の最大値を示し,H(Min)は、半径Rのプラズマ表面の磁場強度の最小値を示している。
【0026】
【数1】
【0027】
また,図2及び図3における計算は,第三の可変コンデンサ111と第二のインダクタンス114が直列共振条件を満たす条件,つまりファラデーシールドに印加される電圧を0 Vにする条件を用い、第一の高周波電源115より周波数 13.56 MHZの1000 Wで出力した場合として計算した。
【0028】
図3の結果より,第四の可変コンデンサ112の静電容量が100 pFの場合,電流計101に流れる電流値が最小になる。これは誘導アンテナと直列に接続されたコンデンサの静電容量を最適値にすることで,誘導アンテナからファラデーシールドへ流入出する電流が最小になるためである。また,図2及び図3の比較より,第四の可変コンデンサ112の静電容量が100 pFの場合,プラズマ表面の磁場強度の偏芯率と電流計001に流れる電流値の両者が最小になり,プラズマ表面の磁場強度の偏芯率と電流計001に流れる電流値の値に相関があることがわかる。この相関から電流計001に流れる電流値を最小にするとプラズマ表面の磁場強度の偏芯率が最小になると言える。言い換えるとファラデーシールド108に流れる電流値を最小とすることによりプラズマ表面の磁場強度の偏芯率を最小にできる。


このようなことからファラデーシールドに流れる電流値を電流計001により計測し,電流計001の値が最小となるように第四の可変コンデンサ112の静電容量を制御することによって誘導アンテナ107に流れる高周波電流の周方向の不均一性を抑制できる。
【0029】
尚、図2のプラズマ表面における磁場強度の偏芯分布は,第一の高周波電源115から出力される電力,真空容器101内の圧力,ガス供給器116から供給されるガス種,第一の静磁場コイル104 および第二の静磁場コイル105から発生する磁場,第三の可変コンデンサ111の設定値によっても変化し,第四の可変コンデンサ112の最適値もプロセス条件によって変化することが実験的に確認されている。このことは,図2及び図3に示す計算は、プラズマを抵抗率 1.0×10-6 Ω・cmの均一な導体と仮定したが,プロセス条件によってこの抵抗率が変化するためである。しかし,前述したようにファラデーシールドに流れる電流値を電流計001で計測し,計測された電流値が最小となるように第四の可変コンデンサ112の静電容量を制御することによって誘導アンテナに流れる高周波電流の周方向の不均一性を抑制できる。
【0030】
また、図2および図3の計算では,第三の可変コンデンサ111と第二のインダクタンス114が直列共振条件を満たす条件,つまりファラデーシールドに印加される高周波電圧を0 Vにする条件を用いて計算を行ったが,第三の可変コンデンサ111の静電容量を変えた場合,ファラデーシールドに電圧が印加されプラズマ002からも誘導窓102を経由してファラデーシールド108に電流が流れる。このため,第四の可変コンデンサを最適値にしても電流計001に流れる電流は0 Aより大きくなる。しかし,電流計001の電流値を最小値にすることによって誘導アンテナ107からファラデーシールド108に流れる電流を最小とすることができ,誘導アンテナ107に流れる高周波電流の周方向の不均一性を抑制することができる。次に本発明の第二の実施例について図5を参照しながら説明する。
【実施例2】
【0031】
図4は、本実施例に係る誘導結合型プラズマ処理装置の概略断面図を示す。尚,図4に示した構成の中で図1の符号と同じ符号の構成は、図1の同符号の構成と同じ機能を有する。真空容器 101は,アルミナ等の絶縁材料からなる誘導窓102により上方を気密に封止されており、内部に被処理ウェハを載置するための電極103を備える。また,真空容器内の磁場分布を制御するため,真空容器 101の外側に第一の静磁場コイル 104と第二の静磁場コイル105とヨーク106が配置されている。
【0032】
誘導窓102の外側には、2ターンのコイル状の第一の誘導アンテナ201と第二の誘導アンテナ202が配置されている。また,誘導窓102と、第一の誘導アンテナ201と第二の誘導アンテナ202と、の間にはファラデーシールド108が配置されている。さらに第一の誘導アンテナ201とファラデーシールド108は,第一の可変コンデンサ109と第二の可変コンデンサ110と第三の可変コンデンサ111と第四の可変コンデンサ112と第一のインダクタンス113と第二のインダクタンス114を介して第一の高周波電源203と電気的に接続されている。ここで,第一の可変コンデンサ109と第二の可変コンデンサ110と第一のインダクタンス113は、プラズマとのインピーダンス整合をとるための整合回路であり,必要に応じてコンデンサやインダクタンスの数を増減することができる。
【0033】
また,第三の可変コンデンサ111と第二のインダクタンス114からなる直列共振回路は、ファラデーシールド108と並列に接続されており,第三の可変コンデンサ 111の静電容量を変更することによりファラデーシールド108に印加される高周波電圧を制御することが可能である。加えて第四の可変コンデンサ112は、第一の誘導アンテナ201と直列に接続されており,第四の可変コンデンサ112の静電容量を変更することにより第一の誘導アンテナ201内での電流分布を制御でき,第四の可変コンデンサの静電容量を最適化することによって第一の誘導アンテナ201によって生成されるプラズマの偏芯分布を改善することができる。
【0034】
第二の誘導アンテナ202は、第五の可変コンデンサ204と第六の可変コンデンサ205と第三のインダクタンス206を介して第二の高周波電源207と電気的に接続されている。ここで第五の可変コンデンサ204と第六の可変コンデンサ205と第三のインダクタンス206は、プラズマとのインピーダンス整合をとるための整合回路であり,必要に応じてコンデンサやインダクタンスの数を増減することができる。また,第七の可変コンデンサ208は、第二の誘導アンテナ202と直列に接続されており,第七の可変コンデンサ208の静電容量を変更することにより第二の誘導アンテナ202内での電流分布を制御できる。
【0035】
また、第七の可変コンデンサの静電容量を最適値にすることにより第二の誘導アンテナ202によって生成されるプラズマの偏芯分布を抑制することができる。尚,本実施例では、第一の誘導アンテナ201と第二の誘導アンテナ202のターン数を2ターンとしたが,特にそのターン数はいくつでも良い。
【0036】
真空容器101内には、ガス供給器116からガスバルブ117を通して所定の流量のプロセスガスが供給され,排気機構118により排気速度を調整することによって真空容器内を所定の圧力に維持することができる。ガス供給器116から供給されたプロセスガスは、第一の誘導アンテナ201と第二の誘導アンテナ202とファラデーシールド108に印加された高周波電力によってプラズマ002が生成されて維持される。
【0037】
第一の誘導アンテナ201と第二の誘導アンテナ202は、位相制御回路209を介して接続されており,位相制御回路209によって第一の高周波電源203と第二の高周波電源207から出力される高周波電力の位相を調整することができる。特に第一の誘導アンテナ201と第二の誘導アンテナ202のそれぞれのコイルの巻き方が同方向のときは逆位相にし,第一の誘導アンテナ201と第二の誘導アンテナ202のそれぞれのコイルの巻き方が逆方向のときは同位相にすることが望ましい。
【0038】
このように第一の高周波電源203の出力電力と第二の高周波電源207の出力電力を制御することによりプラズマ002の密度分布を制御することができる。加えて,本実施例では第一の静磁場コイル104と第二の静磁場コイル105を用いて静磁場の分布を制御することができ,静磁場分布によってもプラズマ002の密度分布を任意の密度分布状態に制御することができる。第一の高周波電源203および第二の高周波電源207から供給される高周波電力の周波数は,例えば13.56 MHz、27.12 MHz、2 MHz等の高周波を用い,第一の可変コンデンサ109と第二の可変コンデンサ110の容量を調整することにより高周波電力の反射を抑制し,インピーダンス整合を取ることができる。
【0039】
また,プラズマ002中に存在するイオンを被処理ウェハに引き込むため,電極103には、バイアス電源119より100 kHzから13.56 MHzの範囲内の周波数の高周波電力を供給することも可能である。この際,電極103とバイアス電源119の間に配置された整合器(図示せず)によりインピーダンス整合をとることができる。
【0040】
ファラデーシールド108は,縦縞状のスリットを有する金属導体で構成されており,誘電窓102を覆うように配置されている。ファラデーシールドへ印加される高周波電圧は、第三の可変コンデンサ111により制御することができ,これにより誘電窓102の内壁を最適な状態に保つことができる。
【0041】
以上、上述した誘導結合型プラズマ処理装置を用いたプラズマ処理に係る制御は、制御部210にて行われる。
【0042】
また、本実施例の誘導結合型プラズマ処理装置では、ファラデーシールドに流れる電流を測定するための電流計 001がファラデーシールド108の上部に配置されたシャフト上に配置されている。制御部210は、ファラデーシールドに流れる電流値が最小となるように第一の誘導アンテナ201の終端に配置された第四の可変コンデンサ112の静電容量と第二の誘導アンテナ202の終端に配置された第七の可変コンデンサ208の静電容量を制御する。
【0043】
尚、第四の可変コンデンサ112および第七の可変コンデンサ208の静電容量を制御することによりファラデーシールドに流れる電流を最小にできる理由は、実施例1の図3に示すように誘導アンテナと直列に接続されたコンデンサの静電容量を最適値にすることで,誘導アンテナからファラデーシールドへ流入出する電流が最小になるからである。
【0044】
また,実施例1で図3図2の比較から説明したように,ファラデーシールドに流れる電流が最小値となったときに,プラズマ表面磁場強度の偏芯率も最小になる。そのため,ファラデーシールドに流れる電流を電流計101で計測し,電流計101の値が最小になるように第四の可変コンデンサ112および第七の可変コンデンサ208を制御することで、第一の誘導アンテナ201及び第二の誘導アンテナ202に流れる電流の周方向の不均一性を抑制することができる。また,このことによりプラズマの偏芯分布を抑制した最適なプラズマ分布によってウェハを処理することができる。
【0045】
一方、本実施例のようにファラデーシールド108に流入する電流を最小としない場合,プロセス条件を変更する毎に可変コンデンサの静電容量の最適化が必要であり,プラズマの偏芯分布を抑制できる最適な静電容量を決定するためには,別途,異なる静電容量で何枚もウェハを処理する等の事前評価が必要であった。しかし,本実施例の場合、プロセス条件を変更した場合でも事前の評価が必要なく,プラズマの偏芯分布を抑制した最適なプラズマ分布でウェハを処理することができる。
【0046】
以上、実施例1及び2で説明したように本発明によりファラデーシールドに流れる電流を電流計で計測し,その計測された電流の値が最小となるように誘導アンテナの終端に配置された可変コンデンサの静電容量を制御することによってプラズマの偏芯分布を抑制した最適なプラズマ分布でウェハを処理することができる。尚、ファラデーシールドに流れる電流を最小とすることにおける「最小」とは、最小値のような一点の値だけでなく、最小値から所定の範囲内に含まれる値を指す。
【0047】
また、実施例1及び2で説明した例では、モニタされたファラデーシールドに流れる電流を最小となるように可変コンデンサを制御する例であったが、ファラデーシールドに流れる電流をモニタする手段を有し、このモニタされた電流を制御することを本発明としても良い。また、この発明の効果は、以下の通りである。
【0048】
プラズマエッチングを用いてウェハ表面に所定のパターンを形成する実プロセスにおいて,プロセスガスの排気方向やウェハ表面の温度分布等によっても,ウェハ表面に形成されたパターンの加工深さや加工寸法がウェハの周方向で不均一になる場合がある。この場合は,プロセスガスの排気方向やウェハ表面の温度分布等によって生じた偏芯分布を補正するように電流計001の電流値を基にプラズマ分布を故意に偏芯させることによりウェハ全面に均一なパターンを形成することができる。
【0049】
さらに実施例1及び2において、静磁場コイルを備えるプラズマ処理装置を用いて説明したが、本発明としては静磁場コイルが無くても実施例1及び2において説明した効果と同等の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0050】
001…電流計,101…真空容器,102…誘導窓,103…電極,104…第一の静磁場コイル,105…第二の静磁場コイル,106…ヨーク,107…誘導アンテナ,108…ファラデーシールド,109…第一の可変コンデンサ,110…第二の可変コンデンサ,111…第三の可変コンデンサ,112…第四の可変コンデンサ,113…第一のインダクタンス,114…第二のインダクタンス,115…第一の高周波電源,116…ガス供給器,117…ガスバルブ,118…排気機構,119…バイアス電源,120…制御部,201…第一の誘導アンテナ,202…第二の誘導アンテナ,203…第一の高周波電源,204…第五の可変コンデンサ,205…第六の可変コンデンサ,206…第三のインダクタンス,207…第二の高周波電源,208…第七の可変コンデンサ,209…位相制御回路,210…制御部
図1
図2
図3
図4