【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、第1端で真空ダイヤフラムベローズに(剛)接続された少なくとも1つの第1シールドと、第2端で真空ダイヤフラムベローズに(剛)接続された少なくとも1つの第2シールドとを備え、少なくとも1つの第1及び第2シールドが真空ダイヤフラムベローズを環状に囲み、少なくとも1つの第1及び第2シールドが真空ダイヤフラムベローズの長手方向で重なる、上記タイプの真空直線フィードスルーにより達成される。
【0007】
真空環境又は真空ダイヤフラムベローズの真空側への粒子の導入を減らすことができるのは、真空直線フィードスルーが、真空ダイヤフラムベローズの真空側に配置され且つ直線往復運動の許容又は可能行程毎に真空ダイヤフラムベローズの長手方向で相互に重なる少なくとも2つのシールドを有しており、真空ダイヤフラムベローズと真空環境との間を自由に見通せない場合である。
【0008】
少なくとも第1及び第2シールドが相互に重なる部分領域において、これらが真空ダイヤフラムベローズの長手方向に対して横方向に、特に径方向に相互に対してオフセットすることを理解されたい。隣接し合う第1及び第2シールド間には、例えば1mm未満の比較的小さな幅のギャップがこうして形成される。シールドは通常は剛性であり、すなわち、真空ダイヤフラムベローズの伸縮中に長さを変えない。
【0009】
真空直線フィードスルーが3つ以上の第1及び第2シールドを有する場合、重なりの部分領域で各シールド間に形成されたギャップにより粒子の迷路が形成される。係合し合う第1及び第2シールド対の数が多いほど、真空ダイヤフラムベローズから分離される粒子の抑制係数が大きくなる。
【0010】
真空ダイヤフラムベローズの真空側は、真空ダイヤフラムベローズに対して径方向内側に又は径方向外側に配置することができる。対応して、第1及び第2シールドは、真空ダイヤフラムベローズを径方向内側及び径方向外側で囲む。第1及び第2シールドと真空ダイヤフラムベローズの第1及び第2端との接続は、例えば、真空ダイヤフラムベローズ及び各シールド両方の各端が強固に固定(例えば溶接)される各ベース体、例えばベースプレートにより行うことができる。
【0011】
真空ダイヤフラムベローズの長手方向での第1シールドの長さ及び第2シールドの長さの両方が、真空ダイヤフラムベローズの完全伸張位置での長さよりも短く、すなわち、シールドは、真空ダイヤフラムベローズを長手方向でその全長に沿って囲まない。そうでなければ、シールドが剛性であることにより真空ダイヤフラムベローズの収縮が可能とならないので、こうする必要がある。
【0012】
2つのシールドの重なりに関しては、2つのシールドの長さの和が真空ダイヤフラムベローズの完全伸張位置での長さよりも大きい必要がある。第1及び第2シールドが重なる部分領域が大きいほど、粒子抑制が効果的になる。しかしながら、2つのシールドの長さを選択する際には、最大行程、すなわち第1端に固定されたコンポーネントを移動させる最大長さを考慮すべきである。真空ダイヤフラムベローズの全長に対するシールドの長さが大きいほど、真空直線フィードスルーで達成できる行程が小さくなる。
【0013】
有利な実施形態では、少なくとも1つの第1シールド及び少なくとも1つの第2シールドが永久磁性材料から形成される。本発明者らの認識によれば、少なくとも1つの第1シールド及び1つの第2シールドが磁性又は着磁性粒子を引き寄せる永久磁性材料でできている場合、この種の粒子が各シールドの永久磁性材料の表面に付着するので、粒子抑制を大幅に高めることができる。磁性粒子抑制の効率をさらに高めることができるのは、真空ダイヤフラムベローズ自体が着磁性又は磁性粒子を発生させる材料でできている場合である。したがって、真空ダイヤフラムベローズ自体を特に永久磁性材料又は適切な場合には常磁性材料、例えば適当な鋼(下記参照)から形成することができる。
【0014】
永久磁性材料から形成された第1シールド及び第2シールドは、例えば2つの径方向に隣接したシールドの形態とすることができ、特に径方向で真空ダイヤフラムベローズの直近に配置することができる。非永久磁性材料製のシールドの使用と比べて、永久磁性材料製のシールドの使用は、粒子抑制に関して同じ有効性を維持しつつシールドの数の、したがって設置空間の大幅な低減を可能にする。
【0015】
一発展形態では、永久磁性材料は、マルテンサイト鋼又はフェライト鋼を含む群から選択される。マルテンサイト鋼又はフェライト鋼は、易溶接性且つ耐食性であるべきである。部分的な磁性しかない鋼、例えば二相鋼は、島状オーステナイトを有するフェライト地を有するものであり、磁性粒子抑制にあまり適していない。
【0016】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの第1シールド及び少なくとも1つの第2シールドは常磁性材料から形成される。常磁性材料製の特に環状のシールドが、真空ダイヤフラムベローズの領域の真空側で発生した磁界を遮蔽することを可能にする。常磁性材料は、μ
r>1の透磁率を有する。
【0017】
常磁性材料は、ミューメタルであることが特に好ましい。ミューメタルは、例えば50000〜140000を超える高透磁率を有する軟磁性ニッケル鉄合金である。他の常磁性材料も磁気遮蔽に用いることができ、そのために最大限の透磁率を有するべきであることを理解されたい。
【0018】
さらに別の実施形態では、永久磁性材料製の少なくとも1つの第1及び第2シールドは、常磁性材料製の少なくとも1つの第1及び第2シールドと真空ダイヤフラムベローズとの間に配置される。このようにして、永久磁性材料製のシールドが発生した磁界は、常磁性材料製のシールドにより遮蔽することができ、シールド外の真空環境の領域に入らない。そこでの(付加的な)磁界の発生は通常は望ましくないので、これは好都合である。
【0019】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの第1シールド及び少なくとも1つの第2シールドは、真空ダイヤフラムベローズが発生した粒子用の接着コーティングを、真空ダイヤフラムベローズに面した表面及び/又は真空ダイヤフラムベローズに面しない表面に有する。接着コーティングは、非磁性又は非着磁性粒子を表面に付着させることもできる。接着コーティングの材料は、例えば真空対応アクリル系コーティングであり得る。
【0020】
粒子抑制の効率を高めるために、永久磁性材料製のシールドの表面及び常磁性材製のシールドの表面の両方に接着コーティングを設けることができる。ここでは、接着コーティングが付着粒子に高い付着力を受けさせ、これにより粒子の新たな離脱がさらに起こり難くなることを利用する。接着コーティングを、永久磁性材料製又は常磁性材料製でないシールドに施すこともできることを理解されたい。真空環境に面した(すなわち、真空ダイヤフラムベローズに面しない)表面の良好な洗浄を確保するために、第1及び第2シールドのうち真空環境に面した表面は、非常に低い粗さの研磨面を有することができるが、適切な場合にはこれに接着コーティングも施すことができる。
【0021】
さらに別の実施形態では、真空直線フィードスルーは、第1シールドと第1シールドに隣接して配置されることが好ましい第2シールドとの間に電界を発生させるよう設計された電圧発生デバイスを備える。相互間に電界を発生させる各シールドは、相互から電気的に絶縁されなければならない。第1及び第2シールドは、通常は導電性の真空ダイヤフラムベローズを介して相互に接続されているので、通常は真空ダイヤフラムベローズからこれらを電気的に絶縁する必要がある。相互間に電界を発生させるシールドのうちの2つが相互に電気的に絶縁されていれば、電圧発生デバイスを3つ以上の第1及び/又は第2シールド間に電界を発生させるよう設計することもできることを理解されたい。
【0022】
電界の電界線がシールドの表面に対して垂直な向きにあるので、電界は、相互間に電界が形成されるシールドの表面上の粒子の衝撃確率及び衝撃エネルギーを高める。第1及び第2シールド(単数又は複数)が相互に重なる空間又はギャップに位置する粒子は、電界によるそれらの分極又は適切な場合にはそれらの電荷に起因して、シールドの表面に向かってさらに加速される。
【0023】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの第1シールド及び少なくとも1つの第2シールドは、同心状に配置された(円)筒体として形成される。2つのシールドの同心配置の軸は、通常は真空ダイヤフラムベローズの長手方向軸である。真空ダイヤフラムベローズも、通常は(円)筒状の形状又は幾何学的形状を有する。真空ダイヤフラムベローズの幾何学的形状に適合した筒体の形態のシールドの設計により、真空直線フィードスルーが占める設置空間を小さく保つことができる。円筒状の幾何学的形状以外の幾何学的形状、例えば正方形又は矩形の幾何学的形状も、真空ダイヤフラムベローズ及びシールドに選択することができることを理解されたい。
【0024】
さらに別の実施形態では、アクチュエータデバイスは、真空ダイヤフラムベローズの長手方向の直線往復運動を案内するリニアガイドを含む。かかるリニアガイドは、真空ダイヤフラムベローズの、又はより正確には直線変位可能なコンポーネントが固定された真空ダイヤフラムベローズの第1端の精密な案内を可能にする。真空ダイヤフラムベローズの第1端に接続されたロッドを、特にリニアガイド内で案内することができる。ロッドを、したがって真空ダイヤフラムベローズの第1端を長手方向に変位させるために、アクチュエータデバイスの例えば電気アクチュエータが、例えばさらに別のコンポーネントを介してロッドに直接又は間接的に係合することができる。代替的に、往復運動を発生させるために、ロッドを固定したままで、ロッドが装着されたリニアガイドを真空ダイヤフラムベローズの長手方向に変位させることができる。
【0025】
リニアガイドは、真空ダイヤフラムベローズの長手方向軸に対して同心状に配置することができる。この場合、真空ダイヤフラムベローズから見て径方向外側が通常は真空側を形成する一方で、真空ダイヤフラムベローズの径方向内側が大気側を形成する。必ずしも大気圧が大気側に生じていなくてもよいが、大気側の圧力は通常は真空側の圧力よりも大幅に大きい、すなわち数オーダ大きいことを理解されたい。
【0026】
一実施形態では、リニアガイドは、真空ダイヤフラムベローズの長手方向軸に対して偏心して配置される。この場合、真空ダイヤフラムベローズを径方向に囲む領域が大気側を形成する一方で、真空ダイヤフラムベローズの径方向内側領域は真空側を形成する。これは特定の用途に有利であることが分かっている。
【0027】
本発明のさらに別の態様は、真空環境が形成された真空ハウジングと、上述のように設計された少なくとも1つの真空直線フィードスルーとを備え、真空ダイヤフラムベローズの第2端が真空ハウジングに装着又は固定される真空システムに関する。アクチュエータデバイス又はアクチュエータデバイスの少なくとも1つの駆動装置が、真空ハウジング内に発生する真空環境の外側に通常は配置される。真空ハウジング内で真空又は真空環境を発生させるために、真空システムは、通常は1つ又は複数の真空ポンプを有する。真空システムは原理上、内部で真空環境が形成されて、コンポーネントを所定の行程又は所定の距離に沿った直線運動で直線的に移動させる任意のデバイスとすることができる。
【0028】
有利な一実施形態では、真空システムは、EUVリソグラフィシステムとして設計される。この用途において、EUVリソグラフィシステムは、EUVリソグラフィ用の光学系、すなわちEUVリソグラフィの分野で用いることができる光学系を意味すると理解される。半導体コンポーネントの製造に役立つEUVリソグラフィ装置のほかに、光学系は、例えば、EUVリソグラフィ装置で用いられるフォトマスク(以下ではレチクルとも称される)の検査用の検査系又はEUVリソグラフィ装置若しくはその一部の測定、例えば投影系の測定に用いられる計測系であり得る。EUVリソグラフィシステムでは、光学素子のビーム経路の少なくとも一部を真空環境に配置する必要がある。真空システムは、真空環境を発生させる別のタイプの光学機構でもあり得ることを理解されたい。
【0029】
さらに別の実施形態では、真空システムは、真空直線フィードスルーの第1端に装着されたコンポーネントを備える。原理上、例えば真空環境での圧力、温度、又は他の変数を測定するために、多数の異なるコンポーネント、例えば測定デバイス又は測定プローブ等を真空ダイヤフラムベローズの第1端に装着することができる。特にEUVリソグラフィ装置の形態の真空システムにおいて、例えば少なくとも1つの真空直線フィードスルーを用いて、真空環境に配置された光学素子の光学面を洗浄する少なくとも1つの洗浄ヘッドを移動させることも可能である。適切な場合には、少なくとも1つの光学素子自体を真空環境内で移動させることもできる。
【0030】
本発明のさらに他の特徴及び利点は、本発明に必須の詳細を示す図面の図に基づいた本発明の例示的な実施形態の以下の説明から、また特許請求の範囲から得られる。個々の特徴は、本発明の一変形形態においてそれぞれ単独で又は任意の組み合わせで併せて実現することができる。
【0031】
例示的な実施形態を概略図に示し、以下の説明において説明する。