特許第6620164号(P6620164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6620164熱放射塗料コーティング層を含むバッテリーモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620164
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】熱放射塗料コーティング層を含むバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6551 20140101AFI20191202BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20191202BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20191202BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20191202BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20191202BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20191202BHJP
   H01M 10/654 20140101ALI20191202BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20191202BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20191202BHJP
   H01M 2/06 20060101ALN20191202BHJP
【FI】
   H01M10/6551
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/647
   H01M2/10 S
   H01M2/10 Y
   H01M10/48 P
   H01M10/654
   H01M10/651
   H01M2/20 A
   !H01M2/06 K
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-546652(P2017-546652)
(86)(22)【出願日】2016年1月28日
(65)【公表番号】特表2018-513523(P2018-513523A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】KR2016000929
(87)【国際公開番号】WO2016190521
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2017年9月4日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0073148
(32)【優先日】2015年5月26日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン−キ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン−ス・ハ
(72)【発明者】
【氏名】サン−イル・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ハ−ヌル・ユ
【審査官】 羽鳥 友哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−210582(JP,A)
【文献】 特開2010−057348(JP,A)
【文献】 特開2002−231192(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0236753(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/155700(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6551
H01M 10/48
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/651
H01M 10/654
H01M 2/10
H01M 2/20
H01M 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池が積層されている電池積層体と、
バッテリー管理システムとを含み、
バッテリーモジュール構成部品の少なくとも一部に放熱材料を含む熱放射塗料コーティング層を含み、
前記電池は、板型電池であって、一面または両面が隣接した電池に対面するように積層配列されて電池積層体を形成しており、
前記板型電池は、樹脂層と金属層を含むラミネートシートの電池ケースに電極組立体を収納した状態で、電池ケースの外周部を熱融着して密封した構造のパウチ型電池であって、前記パウチ型電池の熱融着された外周部が前記電池をそれぞれ固定して電池積層体を形成するカートリッジ同士の間に固定されており、
前記電池積層体は前記電池の電極リードがバスバーによって相互連結され、前記バッテリー管理システムはリレーを含む電圧検出部を含み、前記電池積層体とバッテリー管理システムとの間にシャント抵抗を含む電流センサをさらに含み、
前記熱放射塗料コーティング層は、前記電極リード、バスバー、リレー、シャント及びバッテリー管理システムの構成部品のうち少なくともいずれか1つに含まれ、かつ前記熱放射塗料コーティング層は、前記構成部品のうち電気配線部分に含まれており、前記電極リードにおいて他の構成部品と電気的連結が必要な部分には形成されていないことを特徴とするバッテリーモジュール。
【請求項2】
前記熱放射塗料コーティング層は、前記構成部品のうち、60℃以上の温度になる部分に含まれることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記熱放射塗料コーティング層は、熱放射率が0.9以上であることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記熱放射塗料コーティング層は、前記構成部品の熱を放射、伝導または拡散するため、前記放熱材料とポリマーとを混合した液状塗料を塗布して硬化させた層であることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記放熱材料は、炭素素材及び金属粒子から選択された1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記炭素素材は、グラファイト、グラフェン、炭素ナノチューブ及び炭素ナノ繊維から選択された1つ以上であることを特徴とする請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記金属粒子は、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、タングステン及び鉄からなる群より選択された1つ以上であることを特徴とする請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記熱放射塗料コーティング層は、0.1〜300μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記熱放射塗料コーティング層は、熱放射塗料を前記構成部品上に直接コーティングする方式、若しくは、シートまたはテープとして適用されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記熱放射塗料コーティング層が含まれることで、電気配線部分の温度が少なくとも15℃低下したことを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを単位モジュールとして含むことを特徴とするバッテリーパック。
【請求項12】
請求項11に記載のバッテリーパックを含む電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵装置のうちいずれか1つであることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び装置に関し、より詳しくは、熱蓄積を防止可能な構成が適用されたバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び装置に関する。
【0002】
本出願は、2015年5月26日出願の韓国特許出願第10−2015−0073148号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
無線モバイル機器のエネルギー源として充放電可能な二次電池が広く用いられている。また、二次電池は、化石燃料を使用する従来のガソリン自動車、ディーゼル自動車などの大気汚染などを解決するための方案として提示されている電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの動力源としても脚光を浴びている。
【0004】
自動車などの中大型装置には、高出力大容量の必要性から、多数の電池を電気的に連結したバッテリーモジュール及びそれを単位モジュールとして含む中大型バッテリーパックが使用される。このようなバッテリーモジュール及びバッテリーパックはなるべく小さく且つ軽く製造されることが望ましいため、高密集度で積層でき、容量対比重量が小さい角形電池、パウチ型電池などがバッテリーモジュールの単位電池として主に使用されている。特に、アルミニウムラミネートシートなどを外装部材として使用するパウチ型電池は軽く、製造コストが低く、且つ、変形が容易であるなどの利点から多くの関心を集めている。
【0005】
バッテリーモジュールを構成する電池からは充放電の過程で多量の熱が発生する。特に、高出力大容量のバッテリーモジュール及びバッテリーパックに広く使用されるパウチ型電池のアルミニウムラミネートシートは、熱伝導性の低い高分子物質で表面がコーティングされているため、電池全体の温度を効果的に下げることが困難である。充放電過程で発生したバッテリーモジュールの熱が効果的に除去できなければ、熱蓄積が起き、結果的にバッテリーモジュールの劣化を促進し、場合によっては発火または爆発につながる恐れがある。したがって、高出力大容量のバッテリーモジュール及びそれが装着されたバッテリーパックには、それに内装されている電池を冷却するための手段が必ず必要である。
【0006】
バッテリーモジュールは、一般に、多数の電池を高密集度で積層する方法で製造され、充放電時に発生する熱を除去できるように隣接した電池を一定間隔離隔して積層する。例えば、電池自体を、別途の部材なく、所定間隔離隔させながら順次積層するか、それとも、機械的剛性が低い電池の場合は、1つまたは2つ以上の組合せでカートリッジなどに収納し、該カートリッジを多数積層してバッテリーモジュールを構成することができる。積層された電池またはバッテリーモジュールの間には蓄積される熱を効果的に除去できるように、冷却水のような冷媒の流路が設けられるか、または、放熱板(ヒートシンク)や放熱シートも活用されている。
【0007】
このような従来の放熱構造は、層間熱伝導体の熱伝導や表面積拡張による対流効果増大など、空気との界面接触によって熱を冷やす方式が殆どであって、密閉された空間では熱放出効果が大幅に落ちるという問題がある。特に、従来の放熱板など熱を発散させるための装置は、伝導や対流現象を用いて熱を放出するものであって、このような効果を増大させるため、一般に熱伝導率が優れた金属材質からなる。しかし、熱伝達による方式は、熱を伝達する媒体の潜熱と熱伝達速度に影響を受けるため、限界がある。
【0008】
容量が増加するほど、高集積化による発熱量の増加のため、熱蓄積による問題が深刻になる。そこで、高出力大容量の電力を提供しながらも、簡単且つコンパクトな構造で製造でき、高い冷却効率性によって寿命特性と安全性に優れたバッテリーモジュールに対する必要性が高まっている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、多くの部材を使用せず、コンパクトな構造でも冷却効率性を向上できるバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、このようなバッテリーモジュールを単位モジュールとして含むバッテリーパック及びそのバッテリーパックを含む装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明によるバッテリーモジュールは、電池が積層されている電池積層体;及びバッテリー管理システムを含み、構成部品の少なくとも一部に放熱材料を含む熱放射塗料コーティング層を含む。
【0012】
一実施例において、前記電池積層体は前記電池の電極リードがバスバーによって相互連結され、前記バッテリー管理システムはリレーを含む電圧検出部を含み、前記電池積層体とバッテリー管理システムとの間にシャント抵抗を含む電流センサをさらに含み、前記熱放射塗料コーティング層は前記電極リード、バスバー、リレー、シャント及びバッテリー管理システムの構成部品のうち少なくともいずれか1つに含まれている。
【0013】
特に、前記熱放射塗料コーティング層は、前記構成部品のうち、前記熱放射塗料コーティング層がなければ60℃以上の温度になる部分に含まれることが望ましい。前記熱放射塗料コーティング層は、前記構成部品のうち電気配線部分に含まれ得る。前記熱放射塗料コーティング層は、熱放射率が0.9以上であることが望ましい。前記熱放射塗料コーティング層は、前記構成部品の熱を放射、伝導または拡散するため、前記放熱材料とポリマーとを混合した液状塗料を塗布して硬化させた層であり得る。
【0014】
前記放熱材料は、炭素素材及び金属粒子から選択された1つ以上であり得る。この場合、前記炭素素材は、グラファイト、グラフェン(graphene)、炭素ナノチューブ(CNT)及び炭素ナノ繊維から選択された1つ以上であり得、前記金属粒子はアルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)及び鉄(Fe)からなる群より選択された1つ以上であり得る。
【0015】
前記熱放射塗料コーティング層は、0.1〜300μmの厚さを有し得る。
【0016】
一具体例において、前記電池は、限定された空間で高い積層率を提供できるように、望ましくは板型電池であって、一面または両面が隣接した電池に対面するように積層配列されて電池積層体を形成することができる。特に、前記板型電池は、樹脂層と金属層を含むラミネートシートの電池ケースに電極組立体を収納した状態で、電池ケースの外周部を熱融着して密封した構造のパウチ型電池であり得る。この場合、前記パウチ型電池の熱融着された外周部は、前記電池をそれぞれ固定して電池積層体を形成するカートリッジ同士の間に固定され得る。
【0017】
具体的には、前記板型電池は、正極板、分離膜及び負極板で構成された電極組立体が電解液とともに電池ケースの内部に封じ込まれているパウチ型電池であって、全体的に幅対比厚さが薄い略直方体構造の板型である。このようなパウチ型電池は、一般に、パウチ型の電池ケースからなり、前記電池ケースは耐久性に優れた高分子樹脂からなる外部被覆層;水分、空気などに対して遮断性を発揮する金属素材からなる遮断層;及び熱融着可能な高分子樹脂からなる内部シーラント層が順次積層されているラミネートシート構造で構成されている。前記パウチ型電池において、電池ケースは多様な構造からなり得る。
【0018】
前記電池は、バッテリーモジュール及びバッテリーパックを構成するとき、高電圧及び高電流を提供できる二次電池であれば、特に制限されず、例えば、体積当りエネルギー貯蔵量が大きいリチウム二次電池であり得る。
【0019】
また、本発明は、前記バッテリーモジュールを単位モジュールとして含むバッテリーパックを提供する。
【0020】
前記バッテリーパックは、所望の出力及び容量に合わせて単位モジュールとして前記バッテリーモジュールを組み合わせて製造でき、装着効率性、構造的安定性などを考慮するとき、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電力貯蔵装置などの電源として望ましく使用できるが、適用範囲がこれらに限定されることはない。
【0021】
したがって、本発明は、前記バッテリーパックを電源として含む装置を提供し、前記装置は具体的に、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車または電力貯蔵装置であり得る。
【0022】
このような装置の構造及び製作方法は当業界で公知であるため、本明細書では詳しい説明を省略する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来のバッテリーモジュール冷却システムに、構造的変化なく、熱放射塗料を必要な部位にコーティング層の形態で適用することで、容易に冷却性能を改善することができる。輻射による冷却を通じてバッテリーモジュールの構成部品を効率的に冷却することで、電池に過度な電流が流れるか、または、高い外部温度、過充填などの影響でバッテリーモジュール構成部品の温度が高温になることを防止し、電池性能の低下、爆発のような現象を防止することができる。
【0024】
また、熱放射塗料は絶縁効果が高いため、バッテリーモジュール内の絶縁効果を高める付加的な効果を奏することができる。熱放射を通じた温度低下効果により、バッテリーモジュールの高熱蓄積を防止し、バッテリーモジュール全体の冷却を改善して電池の性能向上及び寿命延長を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明によるバッテリーモジュールを概略的に示した図である。
図2】本発明によるバッテリーモジュールにおいて、電池がパウチ型電池である場合の概略図である。
図3】本発明のような熱放射塗料を適用していない従来のバッテリーモジュールにおいて、電気配線部分の温度を時間毎に測定したグラフである。
図4】従来の電池の温度と本発明による電池の温度とを比べるための実験例の概略図及び写真である。
図5】従来の電池の温度と本発明による電池の温度とを比べるための実験例の概略図及び写真である。
図6図4及び図5に示された電池に対し、時間毎に温度を測定して比べた結果である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0027】
図1は、本発明によるバッテリーモジュールを概略的に示した図である。
【0028】
図1を参照すれば、本発明によるバッテリーモジュール100は、電池積層体30、電流センサ40、バッテリー管理システム(BMS)50などを含む。
【0029】
電池積層体30は、多数の電池10が積層されているものである。前記電池10は限定された空間で高い積層率を実現できるように、望ましくは板型電池であり、一面または両面が隣接した電池10に対面するように積層配列されて電池積層体30を形成することができる。
【0030】
電池10は、正極板、分離膜及び負極板で構成された電極組立体を含み、各電池10の正極板及び負極板から突出した多数の正極タブ及び負極タブに正極リード及び負極リードがそれぞれ電気的に接続されたものであり得る。
【0031】
前記正極板の材質はアルミニウムが主に用いられる。代案的に、前記正極板は、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、アルミニウム、ステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものを使用することができる。さらに、二次電池の化学的変化を引き起こさず、高い導電性を有する材質であれば、制限なく正極板として使用できる。
【0032】
前記正極板の一部領域には正極タブが備えられるが、正極タブは前記正極板が延びる形態でなり得る。代案的に、正極板の所定部位に導電性材質の部材を溶接などを通じて接合する形態で構成することもできる。また、正極材料を前記正極板の外周部の一部領域に塗布及び乾燥して正極タブを形成しても良い。
【0033】
前記正極板に対応する負極板には主に銅材質が用いられる。代案的に、負極板は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅、ステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものを使用でき、アルミニウム−カドミウム合金などを使用できる。
【0034】
前記負極板も一部領域に負極タブが備えられ、上述した正極タブと同様に、前記負極板から延びる形態で実現できることはもちろん、負極板の所定部位に導電性材質の部材を溶接などの方法で接合することもでき、負極材料を前記負極板の外周部の一部領域に塗布及び乾燥する方式などで形成しても良い。
【0035】
前記正極リードは前記正極板に備えられた正極タブに、負極リードは前記負極板に備えられた負極タブにそれぞれ電気的に接続される。望ましくは、前記正極リード及び前記負極リードはそれぞれ複数の正極タブ及び複数の負極タブと接合される。
【0036】
前記正極板及び前記負極板にはそれぞれ正極活物質及び負極活物質がコーティングされている。一例として、前記正極活物質はリチウム系列の活物質であって、代表的にはLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiFePO、またはLi1+zNi1−x−yCo(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1、0≦z≦1、MはAl、Sr、Mg、La、Mnなどの金属)などの金属酸化物が挙げられる。前記負極活物質は炭素系列の活物質であって、結晶質炭素、非晶質炭素、炭素複合体、炭素繊維などの炭素材料、リチウム金属、リチウム合金などが挙げられる。前記正極活物質及び負極活物質の種類と化学的組成は二次電池の種類によって変わり得るため、上述した具体的な例は一例示に過ぎないことを理解せねばならない。
【0037】
前記分離膜は、多孔性材質のものであれば特に制限がない。前記分離膜は多孔性高分子膜、例えば多孔性ポリオレフィン膜、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン−トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシメチルセルロース、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレート、不織布膜、多孔性ウェブ(web)構造を有する膜、またはこれらの混合体などからなり得る。前記分離膜の単面または両面には無機物粒子が結着されていても良い。
【0038】
前記無機物粒子は、5以上の高誘電率定数を有する無機物粒子が望ましく、10以上の誘電率定数を有し、密度が低い無機物粒子がより望ましい。これは電池内で移動するリチウムイオンを容易に伝達できるためである。5以上の高誘電率定数を有する無機物粒子の非制限的な例としては、Pb(Zr,Ti)O(PZT)、Pb1−xLaZr1−yTi(PLZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、BaTiO、HfO、SrTiO、TiO、Al、ZrO、SnO、CeO、MgO、CaO、ZnO、Yまたはこれらの混合体などが挙げられる。
【0039】
前記電池積層体30は、電池10同士の間に絶縁膜を介在しながら複数の電池10を単に積層した構造を有し得る。他の例として、前記電池積層体30は、絶縁膜の上部及び/または下部に電池10を適切な間隔で配列した後、絶縁膜を電池10とともに一方向に折り畳み、折り畳まれた絶縁膜同士の間に電池10が挟み込まれている積層/折畳み構造を有し得る。さらに他の例として、前記電池積層体30はパウチ型電池組立体であり得る。
【0040】
図2は、電池10がパウチ型である場合の概略図である。図2に示されたように、パウチ型電池10は、上述したような電極組立体1、及び前記電極組立体1を収容するパウチ型の電池ケース3からなる。全体的に幅対比厚さが薄い略直方体構造の板型である。
【0041】
パウチ型の電池ケース3は上部パウチ及び下部パウチを含み、これらによって形成された空間に電極組立体1が収容された後、上部パウチと下部パウチとの外周部に形成されたシーリング部が互いに接着される。電極組立体1とパウチ型電池ケース3とが結合される場合、外部端子または装置との電気的連結などのため、正極リード2aと負極リード2bの一部は外部に露出した形態で結合される。パウチ型電池ケース3は、前記電極組立体1と後続工程で内部に注入される電解液とからなる電池部分を保護し、電池の電気化学的性質に対する補完及び放熱性などを向上させるため、アルミニウム薄膜が介在された形態で構成される。前記電池と外部との絶縁性を確保するため、前記アルミニウム薄膜はポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂またはナイロン樹脂などの絶縁物質でコーティングされた絶縁層が外部に形成される。より具体的には、耐久性に優れた高分子樹脂からなる外部被覆層、水分、空気などに対して遮断性を発揮する金属素材からなる遮断層、及び熱融着可能な高分子樹脂からなる内部シーラント層が順次積層されているラミネートシート構造で構成されている。
【0042】
パウチ型電池ケース3において、正極リード2aと負極リード2bが突出する側がテラス(terrace)である。電池10は、バッテリーモジュール内で多様な形態の電気的直列/並列連結を有する電池積層体30の構造を通じて高い競争力を有し得る。パウチ型電池10の熱融着された外周部は、前記電池10をそれぞれ固定して電池積層体30を形成するカートリッジ同士の間に固定され得る。このとき、電池10は、電池のそれぞれの正極リード2aと負極リード2bとがバスバーに溶接されることで電気的に連結され得る。
【0043】
図1を再度参照すれば、バッテリー管理システム(BMS)50は二次電池関連分野において周知のものであって、1つのマスタバッテリー管理システム及び複数のスレーブバッテリー管理システムを含み得る。電流センサ40は、電池積層体30に流れる電流量を測定してバッテリー管理システム50に伝達する。一例として、前記電流センサ40は、ホール(hall)素子を用いて電流を測定し、測定された電流に対応するアナログ電流信号を出力するHall CT(Hall Current Transformer)、又は、電池の電流が流れる配線に抵抗を連結し、電池の電流に対応する電圧信号を生成するシャント抵抗であり得る。バッテリー管理システム50は電圧検出部60を含み得る。電圧検出部60はリレーを含み得る。
【0044】
本発明は、このようなバッテリーモジュール100の構成部品のうち、特に電気配線部分に放熱材料を含む熱放射塗料コーティング層を含み、具体的に本実施例の場合、電池10内の正極リード2aと負極リード2b、複数の電池10の正極リード2a同士及び負極リード2b同士を連結するバスバー、電流センサ40に含まれるシャント、電圧検出部60に含まれるリレー、バッテリー管理システム50を構成する他の部品のうち少なくともいずれか1つに熱放射塗料コーティング層を含む。
【0045】
図2に正極リード2a及び負極リード2bに含まれる熱放射塗料コーティング層20を代表的な例として示した。熱放射塗料コーティング層20は絶縁性であることが望ましいため、正極リード2a及び負極リード2bにおいて他の構成部品と電気的連結が必要な部分には形成されないことが良い。
【0046】
本発明の熱放射塗料コーティング層は、上述した構成部品のみに適用されるものではなく、電気配線を成す多様な回路部品及びバッテリーモジュールを構成する電気的な回路部品のうち少なくともいずれか1つに適用でき、特に熱放射塗料コーティング層がなければ60℃以上の温度になる部分、すなわち発熱部位に適用されることが望ましい。熱放射塗料コーティング層はバッテリーモジュール構成部品のうちどの箇所にも適用できるが、60℃以上の温度になる部分に適用すれば、工程やコストに対比した温度低下の効果が良い。
【0047】
前記熱放射塗料コーティング層は熱放射率が0.9以上であることが望ましい。熱放射率は0より大きければ良いが、適切な温度低下の効果を期待するためには、熱放射率が0.5以上、望ましくは0.9以上であることが良い。前記熱放射塗料コーティング層は、前記構成部品の熱を放射、伝導または拡散するため、放熱材料とポリマーとを混合した液状塗料を塗布して硬化させた層であり得る。
【0048】
前記放熱材料は、炭素素材及び金属粒子から選択された1つ以上であり得る。この場合、前記炭素素材はグラファイト、グラフェン、炭素ナノチューブ及び炭素ナノ繊維から選択された1つ以上であり、前記金属粒子はアルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)及び鉄(Fe)からなる群より選択された1つ以上であり得る。前記熱放射塗料コーティング層は0.1〜300μmの厚さを有し得る。
【0049】
本発明は、このようにバッテリーモジュール構成部品のうち高温(60℃以上)に晒される部位、特に電気配線部分に熱放射率の高い(0.9以上)熱放射塗料コーティング層を含ませることで、輻射による冷却で温度を下げる。
【0050】
熱放射塗料は、熱可塑性液状樹脂のようなポリマーを用いて発熱部位の熱を放射、伝導または拡散するため、放熱材料を混合した液状塗料形態の物質である。上述した炭素素材及び金属粒子を含むように熱放射塗料を製造し、それを塗布してコーティング層を形成すれば、高い熱拡散特性により水平及び垂直における放熱効果が優れる。そして、耐化学性、及び被着体との密着性を向上させるため、その他の成分をさらに含んで熱放射塗料を製造することができる。
【0051】
例えば、本発明によるバッテリーモジュールに含まれる熱放射塗料コーティング層は、次のような製造方法によって製造した熱放射塗料を、バッテリーモジュールの構成部品上に塗布して層を形成することで提供することができる。
【0052】
熱放射塗料の製造方法は、従来の熱放射塗料の製造方法を用いることができ、熱放射塗料の成分や具体的な製造条件は当業者が必要に応じて変えることができる。
【0053】
熱放射塗料、特に望ましい絶縁性熱放射塗料の製造方法は、次の段階を含むことができる。
a)ポリマーと放熱材料とを含む原料を用意する段階;及び
b)塗装特性(表面強度、耐酸性、耐候性など)及び付着性などを考慮して硬化剤、ラベリング剤、顔料、溶剤、離型剤、充填剤などを添加して撹拌する段階。
【0054】
このような熱放射塗料を本発明によるバッテリーモジュールの構成部品のうち少なくとも一部に塗布してコーティング層を形成する。塗布方式はスプレー方式とコンマコーティング(comma coating)方式が用いられ、熱放射塗料コーティング層の厚さは0.1〜300μmにすることができる。熱放射塗料コーティング層の厚さが0.1μm未満であれば、コーティングによる耐久性などの効果が低い恐れがある。また、熱放射塗料コーティング層の厚さが300μmを超えれば、硬化時間が長く、低価格化を図り難い。そして耐久性及び価格などを考慮して、熱放射塗料コーティング層の厚さは10〜30μmであることがより望ましい。
【0055】
もちろん、ブラッシュ、凹版印刷、ローラー、シルクスクリーン、スタンピング、インクジェットなどの多様な印刷方式、または定量吐出、スピンドルコーティング、含浸などの他の方式でコーティングしても良い。上記のような方式で直接コーティングする方式の外に、製品の適用個所及び適用方法によってシート又はテープの製品として開発することもできる。
【0056】
a)段階において、ポリマーはエナメルやウレタンのような樹脂類またはSBR、EPDMのようなゴムであり得る。ポリマーは接着性及び柔軟性を与えるバインダーの役割をする。ポリマーは、上述したものに限定されず、適用しようとする製品の特性に合わせて変形及び修正が行われ得る。
【0057】
a)段階において、放熱材料は炭素素材及び金属粒子から選択された1つ以上であり得る。放熱材料の種類、成分比、純度によって最終熱放射率が変わる。
【0058】
前記炭素素材は、グラファイト、グラフェン、炭素ナノチューブ及び炭素ナノ繊維から選択された1つ以上であり得る。このような炭素素材は、特に限定されないが、粒子の大きさ(直径又は長さ)が200μm以下、具体的には0.1nm〜200μmのものを使用できる。このような炭素素材は被着体と熱放射塗料コーティング層の表面と間を連結して熱伝達効果を向上させ、熱放射塗料コーティング層の形成とともに表面粗度が増加することで、伝熱面積も増加させる役割をする。特に、炭素ナノチューブは、低比重で熱放射塗料コーティング層内に位置して、熱量の吸収性を向上させるチューブ特性を与える。
【0059】
前記金属粒子は、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)及び鉄(Fe)からなる群より選択された1つ以上であり得る。このような金属粒子は、特に限定されないが、これも粒子の大きさ(直径又は長さ)が200μm以下、具体的には0.1nm〜200μmのものを使用できる。金属粒子も被着体と熱放射塗料コーティング層の表面と間を連結して熱伝達効果を向上させる役割をする。
【0060】
熱放射塗料は、バッテリーモジュールの熱蓄積が引き起らないように、バッテリーモジュールを構成する構成部品から生じた熱を迅速に吸収し、速かに外部へ放出しなければならない。すなわち、熱放射塗料は熱伝導度と熱拡散性はもちろん、外部への熱放出効率が高くなければならない。金属は、一般に、熱伝導度がどんなに優れた金属であっても、熱を保とうとする性質がある。そのため、金属は、加熱初期は熱が素早く伝達されて満遍なく広がってから、ある限界点を超えれば金属自体の熱が上昇する。すなわち、熱伝導度がどんなに優れた金属であっても、このような理由で、一定時間が過ぎれば外部への熱放出効率が低下する。
【0061】
アルミニウムと銅を挙げれば、銅がアルミニウムより熱伝導度が高い。そこで、放熱性のために銅のみを使用すれば、銅は熱伝導度が高いため、バッテリーモジュールの構成部品から熱を素早く吸収することができる。しかし、銅は熱を保とうとする性質があって、外部への熱放出効率(熱伝達効果)がアルミニウムより低い。また、アルミニウムは銅とは逆に、外部への熱放出効率は良いが、バッテリーモジュールの構成部品からの熱吸収能が銅より低い。
【0062】
したがって、放熱性を極大化するため、金属粒子は異なる2種以上の金属、例えばアルミニウムと銅とを複合して使用することで、熱伝導度(バッテリーモジュールの構成部品からの熱吸収能)と外部への熱放出効率(熱伝達効果)とを相互補完して、優れた放熱性を持たせることが望ましい。
【0063】
その外、放熱材料に、絶縁及び熱伝導性粉末として抵抗値が1×1012Ω以上、熱伝導度が50W/m・K以上、粉末粒子の大きさが30μm以下である無機材料成分もさらに含むことができる。例えば、窒化ホウ素、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、シリカ(silica)などが使用可能である。シリカは低比重、多孔性であって、主に熱放射塗料コーティング層の表面に位置し、伝熱面積を増大させるために使用される。ケイ酸アルミニウムは塗膜の耐食性と硬度の向上及び伝熱面積を増大させる役割をする。
【0064】
b)段階において、放熱材料及びポリマーを各種溶剤または水で状態を変化させ、形成されるコーティング層の厚さを調節することができる。溶剤の含量が少な過ぎれば、粘度が高くコーティング作業性が低下し、含量が多過ぎれば、硬化(乾燥)時間が長引いて望ましくない。溶剤は、トルエンやキシレンのような有機溶媒と極性炭化水素系であり得る。溶剤の比率と成分の比率によって、多様な物理的性質を有し得る。ユーザの工程特性に合わせて溶剤の比率を調節することで、厚さ及び熱放射率を調節することができる。
【0065】
その外、被着体にコーティングされて産業界で求められる物理的強度を維持可能な硬化後物質特性、熱放射、伝導または拡散特性の程度を調整できるように、多様な添加剤を使用することができる。放熱材料以外の他の構成成分は、限定されることなく、適用しようとする製品の特性に合わせて変更及び修正することができる。
【0066】
一般熱伝導性塗料の場合は、熱伝導度が平均0.87W/m・Kであるが、上述した熱放射塗料は5W/m・K以上の熱伝導度を有し、熱放射率が0.2以上になり、放熱材料の構成によっては熱放射率が0.5以上、望ましくは0.9以上になるように製造することもでき、冷却効果を極大化することができる。
【0067】
また、上述した熱放射塗料は、防水、電気絶縁、腐食防止及び放熱効果を一遍に解決でき、絶縁性を有する粒子を充填剤として付け加えれば、より優れた絶縁性及び放熱特性を有し得る効果を提供する。高い熱拡散特性により、水平及び垂直における放熱効果が優れた効果を提供する。耐化学性が優れ、被着体との優れた密着性を提供する。
【0068】
熱放射塗料コーティング層をバッテリーモジュール100の構成部品のそれぞれに形成した後、構成部品を組み立ててバッテリーモジュール100を構成することができる。または、バッテリーモジュール100をまず組み立てた後、電気配線部分に熱放射塗料コーティング層を形成することもできる。前者の場合には直接塗布のようなコーティング法が便利であって、後者の場合にはテープとして適用することが便利であろう。
【0069】
図3は、本発明のような熱放射塗料が適用されていない従来のバッテリーモジュールにおいて、電気配線部分の温度を時間毎に測定したグラフである。図3には、入力正極バスバー(B1+)、シャント、リレーの表面、出力正極バスバー(B2+)、負極バスバー(B−)、BMS表面の温度変化を時間毎に示した。
【0070】
プロファイルによって差はあるものの、図3に示されたように、バッテリーモジュール内の電気配線の温度は60℃以上に直ぐ上がり、これは電気配線自体の耐久性、信頼性に影響を及ぼす。さらに、バッテリーモジュール内の温度を上昇させ、電池温度の上昇につながるため、電池全体の性能低下と退化などを引き起こすことになる。
【0071】
図4及び図5は、従来の電池の温度と本発明による電池の温度とを比べるための実験例の概略図及び写真である。
【0072】
図4は従来の電池であり、図5は本発明による熱放射塗料コーティング層を含む電池である。図5の電池では、熱放射塗料をテラスに塗布して、熱放射塗料コーティング層20’を設けた。図4及び図5において、(a)は測定位置を示した電池の概略図であり、(b)は実際測定に使用された電池の写真である。
【0073】
図4及び図5のような電池に対し、時間毎の温度を測定して比べた結果が図6に示されている。
【0074】
実験条件:SOC50%、25℃で200A RMS電流を印加する。
【0075】
実験結果:熱放射塗料をテラスに塗布したとき(改善後)、塗布していない場合(改善前)に比べて15℃以上温度が低いことが確認できる。したがって、このような電池を含むバッテリーモジュールの温度は約15℃程度低下して、本発明による熱放射塗料コーティング層を含むバッテリーモジュールで熱放射による熱減少効果を期待できる。
【0076】
図6から分かるように、放熱材料を含む熱放射塗料コーティング層を適用する本発明の場合、放射エネルギーによる熱放出効率によって放熱効果が優れ、全般的に電池の温度を下げている。熱放射塗料コーティング層が含まれることで、電気配線部分の温度が少なくとも15℃低下する。実験条件によって効果の差はあるものの(発熱が多く目標対象の温度が高いほど、放熱効果が増大)、電池単位でテラス部位のみに塗布した場合にも効果があることが分かる。バッテリーモジュール単位で電極リード及びその他の電気配線部分に熱放射塗料を塗布する場合は、温度低下の効果が一層明らかになるだろう。
【0077】
二次電池から生じた熱を放出する多様な方法のうち、従来は伝導及び対流原理を用いて熱を除去し、輻射による熱冷却はあまり考慮されていなかった。本発明では輻射による冷却を用いるため、伝導及び対流で熱伝達するための別途の部品を必要としない。
【0078】
電池部品のうち電気が直接流れる電気配線、例えば電極タブ、電極リード、バスバー、シャント、リレー、BMSなどでは温度が80℃以上高くなることがあり、これを適正温度に下げる必要がある。従来は電池の広い面に対する冷却が主に行われたが、本発明では特に発熱が激しい電気配線部分に対する集中的な冷却を提案する。
【0079】
本発明によれば、従来のバッテリーモジュール冷却システムに、構造的な変化なく、必要な部位に熱放射塗料をコーティング層の形態で適用することで、容易に冷却性能を改善させることができる。バッテリーモジュールが高出力大容量の電力を提供しながらも、簡単且つコンパクトな構造で製造でき、高い冷却効率によって寿命特性と安全性に優れる。このようなバッテリーモジュールは、バッテリーパックを構成し、バッテリーパックはそれを使用する装置に装着されて、優れた電池性能を実現する。
【0080】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
1 電極組立体
2a 正極リード
2b 負極リード
3 電池ケース
10 電池
20 熱放射塗料コーティング層
30 電池積層体
40 電流センサ
50 バッテリー管理システム
60 電圧検出部
100 バッテリーモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6