(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態による粉体流量計が組み込まれる粉体供給機構の要部を示す図である。
図1において、矢印方向は粉体の流れの主方向を表す。
図1に示す粉体供給機構は、粉体供給装置10と、粉体流量計20とを有する。
【0012】
粉体供給装置10は、例えばスクリュフィーダやベルトコンベアなどの公知の供給手段で構成され、粉体を搬送路に供給する。粉体流量計20は、粉体供給装置10の下流側に設けられ、搬送路を移動する粉体の流量を測定する。測定する流量は、例えば質量流量である。粉体流量計20よりも下流側には、粉体を処理する粉体処理部が設けられる。粉体処理部としては、例えば、溶解炉、燃焼炉、化学反応槽等が挙げられる。粉体処理部へ定量的に粉体を供給するために、粉体流量計20の測定結果に基づいて粉体供給装置10が制御される。
【0013】
尚、本実施形態の粉体流量計20が組み込まれる装置や、粉体の種類は特に限定されない。
【0014】
粉体流量計20は、搬送路を移動する粉体の流量を測定する。粉体の流れの主方向は
図1では上下方向であって、粉体は重力などによって落下する。尚、粉体の流れの主方向は水平方向でもよく、粉体はポンプなどによって圧送されてもよい。粉体流量計20は、例えば抵抗体30と、衝撃力伝達部材40と、検出器50とを有する。
【0015】
抵抗体30は、搬送路の途中に設けられ、搬送路を移動する粉体から衝撃を受ける。抵抗体30の大きさは粉体の流れの断面の大きさよりも大きくてもよく、抵抗体30は抵抗体30を上流側から下流側に貫通する通路を有する。この通路を、粉体や気流が通過する。抵抗体30の詳細については後述する。
【0016】
衝撃力伝達部材40は、抵抗体30に作用する粉体の衝撃力を、抵抗体30から検出器50に伝達する。検出器50が抵抗体30から離れた場所に設置されるため、検出器50への粉体の衝突が回避でき、検出器50の破損などが抑制できる。
【0017】
衝撃力伝達部材40は、一端が衝撃力伝達部材支持部70によって固定され、他端が抵抗体30に作用する粉体の衝撃力によって移動する。例えば、衝撃力伝達部材40は、衝撃力伝達部材支持部70によって固定される端部を中心に移動する。抵抗体30に作用する粉体の衝撃力が大きいほど、衝撃力伝達部材40の移動量が大きい。
【0018】
検出器50は、抵抗体30に作用する粉体の衝撃力を検出する。粉体の衝撃力は粉体の流量を表し、粉体の流量が多いほど粉体の衝撃力が大きい。粉体の衝撃力と粉体の流量との関係は予め試験などにより求められ、求められた関係に基づいて粉体の衝撃力から粉体の流量への換算がなされる。検出器50には、歪ゲージ式、静電容量式、磁歪式など種々のものが使用できる。
【0019】
検出器50は、例えば一端を検出器支持部60に接続され、他端を衝撃力伝達部材40に接続されており、衝撃力伝達部材40の移動量を検出することにより、抵抗体30に作用する粉体の衝撃力を検出する。
【0020】
尚、本実施形態の粉体流量計20は、衝撃力伝達部材40を有するが、有しなくてもよい。抵抗体30と検出器50とが直結されてもよい。
【0021】
図2は、第1例による抵抗体の断面図である。
図2において、粉体の流れの主方向は上下方向である。
図3は、第1例による抵抗体の上面図である。
図2および
図3に示す抵抗体30Aは、格子状に形成されており、2本の横梁31Aと、2本の横梁31Aに架け渡された6本の縦梁32Aとを有する。各横梁31Aは、上流側から衝突する粉体を受ける垂直面311Aを有する。垂直面311Aは、粉体の流れの主方向に対し垂直な面である。横梁31Aの本数は特に限定されない。同様に、各縦梁32Aは、上流側から衝突する粉体を受ける垂直面321Aを有する。垂直面321Aは、粉体の流れの主方向に対し垂直な面である。縦梁32Aの本数は特に限定されない。
【0022】
抵抗体30Aは、抵抗体30Aを上流側から下流側に貫通する通路33Aを有する。通路33Aは、格子の隙間である。通路33Aを、粉体や気流が通過する。よって、抵抗体30Aの上流側または抵抗体30Aの下流側において気圧が変動したとき、気流が抵抗体30Aの通路33Aを通過することで、抵抗体30Aに作用する風圧の変動が抑制でき、粉体流量の測定誤差が低減できる。
【0023】
図4は、第2例による抵抗体の断面図である。
図4において、粉体の流れの主方向は上下方向である。
図5は、第2例による抵抗体の上面図である。
図4および
図5に示す抵抗体30Bは、ルーバー状に形成されており、2本の横梁31Bと、2本の横梁に架け渡された8本の縦梁32Bとを有する。各横梁31Bは、上流側から衝突する粉体を受ける垂直面311Bを有する。垂直面311Bは、粉体の流れの主方向に対し垂直な面である。横梁31Bの本数は特に限定されない。一方、各縦梁32Bは、上流側から衝突する粉体を側方に流す傾斜面321Bを有する。傾斜面321Bは、下流側に向かうにつれ側方に突き出す面である。縦梁32Bの本数は特に限定されない。
【0024】
抵抗体30Bは、抵抗体30Bを上流側から下流側に貫通する通路33Bを有する。通路33Bを、粉体や気流が通過する。よって、抵抗体30Bの上流側または抵抗体30Bの下流側において気圧が変動したとき、気流が抵抗体30Bの通路33Bを通過することで、抵抗体30Bに作用する風圧の変動が抑制でき、粉体流量の測定誤差が低減できる。
【0025】
抵抗体30Bは、上流側から衝突する粉体を側方に流す傾斜面321Bを有する。傾斜面321Bに衝突した粉体が傾斜面321Bを転がり落ち、傾斜面321Bにおける粉体の堆積が抑制できる。
【0026】
尚、傾斜面321Bは、
図4では平面であるが、曲面であってもよく、下流側に向かうにつれ側方(
図4において左側方または右側方)に突き出す面であればよい。また、傾斜面321Bは、
図4では縦梁32Bのみに形成されるが、横梁31Bのみに形成されてもよく、縦梁32Bと横梁31Bの両方に形成されてもよい。粉体の堆積が抑制できればよい。
【0027】
図5に示すように粉体の流れの主方向から見て、通路33Bは傾斜面321Bによって隙間なく塞がれている。抵抗体30Bを通過する粉体のうち、抵抗体30Bに衝突する粉体の割合が多く、粉体流量の測定精度が向上できる。
【0028】
図6は、第3例による抵抗体の断面図である。
図6において、粉体の流れの主方向は上下方向である。
図7は、第3例による抵抗体の上面図である。
図6および
図7に示す抵抗体30Cは、ルーバー状に形成されており、2本の横梁31Cと、2本の横梁に架け渡された8本の縦梁32Cとを有する。各横梁31Cは、上流側から衝突する粉体を受ける垂直面311Cを有する。垂直面311Cは、粉体の流れの主方向に対し垂直な面である。横梁31Cの本数は特に限定されない。一方、各縦梁32Cは、上流側から衝突する粉体を側方に流す傾斜面321Cを有する。傾斜面321Cは、下流側に向かうにつれ側方に突き出す面である。縦梁32Cの本数は特に限定されない。
【0029】
8本の縦梁32Cのうち、第1側方(
図6において左側方)側の4本の縦梁32C−1は、それぞれ、上流側から衝突する粉体を第1側方に流す傾斜面321C−1を有する。また、8本の縦梁32Cのうち、第2側方(
図6において右側方)側の4本の縦梁32C−2は、それぞれ、上流側から衝突する粉体を第2側方に流す傾斜面321C−2を有する。第1側方と第2側方とは反対向きである。
【0030】
抵抗体30Cは、抵抗体30Cを上流側から下流側に貫通する通路33Cを有する。通路33Cを、粉体や気流が通過する。よって、抵抗体30Cの上流側または抵抗体30Cの下流側において気圧が変動したとき、気流が抵抗体30Cの通路33Cを通過することで、抵抗体30Cに作用する風圧の変動が抑制でき、粉体流量の測定誤差が低減できる。
【0031】
抵抗体30Cは、上流側から衝突する粉体を側方に流す傾斜面321Cを有する。傾斜面321Cに衝突した粉体が傾斜面321Cを転がり落ち、傾斜面321Cにおける粉体の堆積が抑制できる。
【0032】
尚、傾斜面321Cは、
図6では平面であるが、曲面であってもよく、下流側に向かうにつれ側方(
図6において左側方または右側方)に突き出す面であればよい。また、傾斜面321Cは、
図6では縦梁32Cのみに形成されるが、横梁31Cのみに形成されてもよく、縦梁32Cと横梁31Cの両方に形成されてもよい。粉体の堆積が抑制できればよい。
【0033】
抵抗体30Cは、上流側から衝突する粉体を第1側方に流す傾斜面321C−1と、上流側から衝突する粉体を第2側方に流す傾斜面321C−2とを有する。傾斜面321C−1に作用する衝撃力の水平方向分力と、傾斜面321C−2に作用する衝撃力の水平方向分力とを減殺できる。
【0034】
上流側から衝突する粉体を第1側方に流す傾斜面321C−1と、上流側から衝突する粉体を第2側方に流す傾斜面321C−2とが対称配置される。傾斜面321C−1に作用する衝撃力の水平方向分力と、傾斜面321C−2に作用する衝撃力の水平方向分力とを相殺できる。尚、
図6では、対称配置される複数の傾斜面321C−1、321C−2は、異なる縦梁32Cに形成されている。
【0035】
図7に示すように粉体の流れの主方向から見て、通路33Cは傾斜面321Cによって隙間なく塞がれている。抵抗体30Cを通過する粉体のうち、抵抗体30Cに衝突する粉体の割合が多く、粉体流量の測定精度が向上できる。
【0036】
図8は、第4例による抵抗体の断面図である。
図8において、粉体の流れの主方向は上下方向である。
図9は、第4例による抵抗体の上面図である。
図8および
図9に示す抵抗体30Dは、格子状に形成されており、2本の横梁31Dと、2本の横梁に架け渡された4本の縦梁32Dとを有する。各横梁31Dは、上流側から衝突する粉体を受ける垂直面311Dを有する。垂直面311Dは、粉体の流れの主方向に対し垂直な面である。横梁31Dの本数は特に限定されない。一方、各縦梁32Dは、上流側から衝突する粉体を側方に流す傾斜面321Dを有する。傾斜面321Dは、下流側に向かうにつれ側方に突き出す面である。縦梁32Dの本数は特に限定されない。
【0037】
各縦梁32Dは、傾斜面321D−1と傾斜面321D−2とを有する。一方の傾斜面321D−1は、上流側から衝突する粉体を第1側方(
図8において左側方)に流す。他方の傾斜面321D−2は、上流側から衝突する粉体を第2側方(
図8において右側方)に流す。第1側方と第2側方とは反対向きである。
【0038】
尚、傾斜面321D−1と傾斜面321D−2とは、それぞれ、
図8では円弧面を形成するが、楕円弧面を形成してもよい。傾斜面321Dは、下流側に向かうにつれ側方(
図8において左側方または右側方)に突き出す面であればよい。また、傾斜面321Dは、
図8では縦梁32Dのみに形成されるが、横梁31Dのみに形成されてもよく、縦梁32Dと横梁31Dの両方に形成されてもよい。
【0039】
抵抗体30Dは、抵抗体30Dを上流側から下流側に貫通する通路33Dを有する。通路33Dを、粉体や気流が通過する。よって、抵抗体30Dの上流側または抵抗体30Dの下流側において気圧が変動したとき、気流が抵抗体30Dの通路33Dを通過することで、抵抗体30Dに作用する風圧の変動が抑制でき、粉体流量の測定誤差が低減できる。
【0040】
抵抗体30Dは、上流側から衝突する粉体を側方に流す傾斜面321Dを有する。傾斜面321Dに衝突した粉体が傾斜面321Dを転がり落ち、傾斜面321Dにおける粉体の堆積が抑制できる。
【0041】
抵抗体30Dは、上流側から衝突する粉体を第1側方に流す傾斜面321D−1と、上流側から衝突する粉体を第2側方に流す傾斜面321D−2とを有する。傾斜面321D−1に作用する衝撃力の水平方向分力と、傾斜面321D−2に作用する衝撃力の水平方向分力とを減殺できる。
【0042】
上流側から衝突する粉体を第1側方に流す傾斜面321D−1と、上流側から衝突する粉体を第2側方に流す傾斜面321D−2とが対称配置される。傾斜面321D−1に作用する衝撃力の水平方向分力と、傾斜面321D−2に作用する衝撃力の水平方向分力とを相殺できる。尚、
図8では、対称配置される複数の傾斜面321D−1、321D−2は、同じ縦梁32Cに形成されている。
【0043】
抵抗体30Dは、粉体の流れの主方向から見て通路33Dの大きさが変化する方向に、傾斜面321Dを揺動可能に支持する支持部34Dを有する。例えば、支持部34Dは、円筒状の縦梁32Dの内部に差し込まれる丸棒であって、丸棒を中心に縦梁32Dを揺動可能に支持することで、傾斜面321Dを揺動可能に支持する。縦梁32Dは、粉体の衝撃力の水平方向分力によって揺動し、重力によって元の位置に戻る。万が一大きな粉体が落ちてきたときに、通路33Dが広がるため、粉体が詰まるリスクを低減できる。大きな粉体が通路33Dを通過した後、通路33Dは元の大きさに戻る。
【0044】
尚、縦梁32Dの揺動は、粉体の流れの主方向から見て通路33Dの大きさが変化する方向の移動であればよく、曲線移動、直線移動、または曲線移動と直線移動の組合せのいずれでもよい。
【0045】
以上、粉体流量計の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0046】
例えば、粉体流量計の抵抗体の形状は、格子状またはルーバー状に限定されず、例えば櫛歯状、渦巻き状などでもよく、多種多様であってよい。
【0047】
また、複数種類の縦梁が組合わせて用いられてもよい。例えば、
図2に示す縦梁32A、
図4に示す縦梁32B、
図6に示す縦梁32C、
図8に示す縦梁32Dが任意の組合せで用いられてもよい。