特許第6620616号(P6620616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6620616酸素濃度測定プローブ及び酸素濃度検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620616
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】酸素濃度測定プローブ及び酸素濃度検出器
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20191209BHJP
   G01N 27/411 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   G01N27/409
   G01N27/411
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-48608(P2016-48608)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-161469(P2017-161469A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】辻 隆之
(72)【発明者】
【氏名】秦 昌平
(72)【発明者】
【氏名】黒田 洋光
(72)【発明者】
【氏名】藤戸 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
(72)【発明者】
【氏名】前川 裕宣
(72)【発明者】
【氏名】木村 仁志
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03378478(US,A)
【文献】 特開2006−226966(JP,A)
【文献】 特開2017−116315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/406−27/411
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解質管と、前記固体電解質管の管内に配置された、内部電極及び固体酸素基準極とを備え、
前記内部電極は、当該内部電極上に形成された貴金属又は貴金属の合金からなる金属コーティングを介して前記固体酸素基準極に接触している酸素濃度測定プローブ。
【請求項2】
前記貴金属は、Pt、Rh、Pd又はIrである請求項1に記載の酸素濃度測定プローブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の酸素濃度測定プローブを備える酸素濃度検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素濃度測定プローブ及び酸素濃度検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるような酸素濃度測定プローブを溶融金属に浸漬し、内部電極と外部電極との間に発生する電位差を計測することにより、溶融金属中の酸素濃度を測定していた。
【0003】
上記酸素濃度測定プローブは、固体電解質の内側に金属/金属酸化物からなる固体酸素基準極を備え、当該固体酸素基準極に内部電極の先端部分が埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−90151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸素濃度測定プローブは、溶融金属内に浸漬されて使用されるため、内部電極の表面が1000℃程度に熱せられ、内部電極がステンレス鋼(SUS)等からなる場合、その表面に酸化膜が形成される。
【0006】
内部電極の表面に形成された酸化膜は、酸素濃度測定プローブが繰り返し使用されることにより、ヒートショックで剥がれてしまう。酸化膜が剥がれてしまうと、内部電極と固体酸素基準極との間に隙間が生じてしまい、内部電極と固体酸素基準極との接触が悪くなってしまうため、正しく測定ができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、繰り返し使用しても内部電極と固体酸素基準極との間に隙間が生じにくい酸素濃度測定プローブ及び当該酸素濃度測定プローブを備えた酸素濃度検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、下記の酸素濃度測定プローブ及び酸素濃度検出器を提供する。
【0009】
[1]固体電解質管と、前記固体電解質管の管内に配置された、内部電極及び固体酸素基準極とを備え、前記内部電極は、当該内部電極上に形成された貴金属又は貴金属の合金からなる金属コーティングを介して前記固体酸素基準極に接触している酸素濃度測定プローブ。
[2]前記貴金属は、Pt、Rh、Pd又はIrである前記[1]に記載の酸素濃度測定プローブ。
[3]前記[1]又は[2]に記載の酸素濃度測定プローブを備える酸素濃度検出器。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、繰り返し使用しても内部電極と固体酸素基準極との間に隙間が生じにくい酸素濃度測定プローブ及び当該酸素濃度測定プローブを備えた酸素濃度検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る酸素濃度測定プローブを備えた酸素濃度検出器の一例を示す概略断面図である。
図2】実施例及び比較例の酸素濃度測定プローブを用いて溶融銅中の酸素濃度を連続測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔酸素濃度測定プローブ〕
本発明の実施形態に係る酸素濃度測定プローブを以下に図を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る酸素濃度測定プローブを備えた酸素濃度検出器の一例を示す概略断面図である。
【0013】
本発明の実施形態に係る酸素濃度測定プローブ10は、固体電解質管4と、固体電解質管4の管内に配置された、内部電極1及び固体酸素基準極3とを備え、内部電極1は、当該内部電極1上に形成された貴金属又は貴金属の合金からなる金属コーティング2を介して固体酸素基準極3に接触している。
【0014】
図1に示す酸素濃度測定プローブ10は、固体酸素基準極3を固体電解質管4の管内に封止するための封止材3Aと、固体電解質管4の外側に設けられた補強管5と、補強管5の外側に設けられた耐火物6と、耐火物6の外側に設けられた外部電極7とを更に備える。プローブ10の全長は、例えば500mm〜800mm程度である。
【0015】
(内部電極1)
内部電極1の材質としては、測定対象である溶融金属より融点が高く、酸素濃度測定プローブとして使用できるものであれば特に限定されないが、例えばステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)が挙げられる。特に外部電極7にステンレス鋼(SUS)を用いる場合は内部電極1として同じステンレス鋼(SUS)を用いれば、異種金属を使用することによる熱起電力が発生せず、好適である。酸素濃度測定プローブ10の使用時に内部電極1の表面が1000℃程度に熱せられた際にその表面に酸化膜が形成される材質の場合に本発明の有用性が特に高い。白金(Pt)電極は、1000℃程度に熱せられてもその表面に酸化膜が形成されにくいので本発明の有用性が大きいとは言えず、また、材料コストが高い点でも好適とは言えない。
【0016】
内部電極1の形状としては、図1のような棒状(線状)が好適であるが、これに限られない。例えば、前述の特許文献1の第1図(先端部分が太くなっている形状)や第3図(先端部分が球状となっている形状)に記載の形状等を採用できる。
【0017】
(金属コーティング2)
金属コーティング2は、内部電極1上に形成され、貴金属又は貴金属の合金からなる。また、当該金属コーティング2は1000℃に熱せられても溶融しない必要がある。この点で、金(Au)や銀(Ag)は望ましいとは言えない。
【0018】
金属コーティング2に使用できる貴金属の具体例としては、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)が好適なものとして挙げられる。又はこれらの貴金属の合金であってもよい。これらの金属を使用すれば、酸素濃度測定プローブ10の使用時に内部電極1の表面が1000℃程度に熱せられた際に金属コーティング2の表面に酸化膜が形成されないため、酸化膜が剥がれて隙間が生じるという問題が生じない。
【0019】
金属コーティング2の成膜厚さは、特に限定されないが、1μm以上2000μm以下が好ましい。
【0020】
金属コーティング2の成膜範囲は、内部電極1が固体酸素基準極3と直接に接触し得る部位全体であることが好ましいが、その一部であっても良い。図1に示す実施形態では、固体酸素基準極3と直接に接触し得る部位全体にコーティングし、更に固体酸素基準極3が存在しない上方の部分まで金属コーティング2を設けている。
【0021】
金属コーティング2の形成方法は、種々の方法が可能である。例えば、金属めっきにより形成できる。
【0022】
なお、「内部電極1上に形成された」とは、図1に示されるような内部電極1の表面に(直上に)形成される場合のほか、例えば、前述の特許文献1(3頁右欄、第4図)に記載のFe又はステンレス鋼等のスリーブが内部電極1の先端部に設けられている実施形態において当該スリーブ上に形成される場合も包含する。
【0023】
(固体酸素基準極3)
固体酸素基準極3としては、例えばFe/FeO粉、Ni/NiO粉、Cr/CrO粉等の金属/金属酸化物が使用される。
【0024】
固体酸素基準極3は、固体電解質管4内を満たすように封入され、内部電極1の端部がその中心部に埋設されている。溶融金属と直接に接する固体電解質管4の先端部分(図1の長さaで示される領域)には、内部電極1は到達しておらず、固体酸素基準極3が充填されている。長さaは、例えば3mm〜5mm程度が好ましい。一方、固体電解質管4の残部(補強管5等に覆われて溶融金属と直接に接しない部分)の長さ(図1における長さb)は、例えば50mm〜70mm程度が好ましい。
【0025】
(固体電解質管4)
固体電解質管4の材質としては、固体電解質(イオン導電性固体)の性質を持ち、選択的に酸素イオン(O2-)だけを通すものであればよく、例えば安定化ジルコニア(ZrO+MgO)が好適なものとして挙げられる。
【0026】
(補強管5)
補強管5は、固体電解質管4の割れを防止するためのものであり、例えばアルミナ管が好適である。
【0027】
(耐火物6)
耐火物6の材質としては、耐火セメント、が好適であり、例えばマグネシウム系セメントが好適である。
【0028】
(外部電極7)
外部電極7の材質としては、酸素濃度測定プローブ10を溶融金属中に浸漬した際に溶融しない金属であればよく、例えばステンレス鋼(SUS)が好適である。内部電極1及び外部電極7ともにステンレス鋼(SUS)を使用することが最適であり、この場合、内部電極1と外部電極7との間に測定誤差の原因となる熱起電力が発生しないため、測定誤差を補正する必要が生じないメリットがある。
【0029】
図1中のS領域は、空気であるが、固体酸素基準極の寿命を延ばすため窒素をフローする実施形態としてもよい。
【0030】
本発明の実施形態に係る酸素濃度測定プローブは、種々の溶融金属(例えば溶銅)中の酸素濃度を測定するために好適である。
【0031】
〔酸素濃度検出器〕
本発明の実施形態に係る酸素濃度検出器は、本発明の実施形態に係る上記酸素濃度測定プローブ10を備える。
【0032】
内部電極1及び外部電極7にはそれぞれリード線が接続されており、各リード線は電位差計11に接続されている。内外電極間には酸素濃度比によって決まる起電力が発生しており、この電極間に発生する電圧を電位差計11で測定することにより、周知の換算式を用いて酸素濃度を求めることができる。
【0033】
〔本発明の実施形態の効果〕
固体酸素基準極3と直接に接触し得る部分は金属コーティング2が形成されているため、内部電極1に酸化膜が発生せず、繰り返し使用においても内部電極1と固体酸素基準極3との間に隙間が生じにくく内部電極1と固体酸素基準極3との間の良好な接触状態を保てる。
【実施例】
【0034】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の酸素濃度測定プローブ(内部電極の表面に貴金属からなる金属コーティングが形成されている、図1に示す酸素濃度測定プローブ;実施例)と従来の酸素濃度測定プローブ(実施例において、内部電極の表面に貴金属からなる金属コーティングが形成されていない酸素濃度測定プローブ;比較例)を1100℃〜1200℃に加熱された溶融銅に同時に浸漬し、溶融銅中の酸素濃度を連続測定した。その結果を図2(横軸:測定時間、縦軸:酸素濃度)に示す。
【0035】
従来の酸素濃度測定プローブ(比較例)では、測定初期は安定して測定できていたが、図2中で丸で示した時間帯(9時半付近及び12時20分付近)のように酸素濃度が急激に上昇する場合があった。これは、酸素濃度測定プローブの内部電極と固体酸素基準極との接触が良好に保てなくなる(つまり、内部電極と固体酸素基準極との間に隙間が生じる)場合があることを示している。
【0036】
一方、本発明の酸素濃度測定プローブ(実施例)では、長時間にわたって、安定して酸素濃度を連続測定することが可能であること(つまり、内部電極と固体酸素基準極との間に隙間が生じていないこと)を確認した。
【0037】
なお、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず種々に変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:内部電極、2:金属コーティング
3:固体酸素基準極、3A:封止材
4:固体電解質管、5:補強管
6:耐火物、7:外部電極
10:酸素濃度測定プローブ、11:電位差計
図1
図2