特許第6620634号(P6620634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧
特許6620634テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム
<>
  • 特許6620634-テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム 図000002
  • 特許6620634-テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム 図000003
  • 特許6620634-テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム 図000004
  • 特許6620634-テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム 図000005
  • 特許6620634-テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム 図000006
  • 特許6620634-テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム 図000007
  • 特許6620634-テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム 図000008
  • 特許6620634-テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620634
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】テーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システム
(51)【国際特許分類】
   B03B 13/00 20060101AFI20191209BHJP
   B03B 5/04 20060101ALI20191209BHJP
   C22B 1/00 20060101ALI20191209BHJP
   C22B 11/08 20060101ALN20191209BHJP
【FI】
   B03B13/00
   B03B5/04
   C22B1/00 101
   !C22B11/08
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-62584(P2016-62584)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-170413(P2017-170413A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】森川 桂一
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−139675(JP,A)
【文献】 特開2014−121696(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102527489(CN,A)
【文献】 米国特許第04758334(US,A)
【文献】 特開2002−219380(JP,A)
【文献】 特開2016−187797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03B 13/00
B03B 5/04
C22B 1/00
C22B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリッフルが設けられ、該リッフルの伸長方向に揺動運動可能に傾斜して設置された盤を備え、水流と共に給鉱された鉱粒を比重により分散させる揺動テーブルと、上記揺動テーブルの盤の端縁に沿って配置され、上記分散された鉱粒を異なる貯槽に分離して排出するための仕切板と、上記仕切板の配置位置を移動させるための仕切板駆動装置を備えるテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置であって、
上記揺動テーブルに備えられた上記盤の上方に設置され、該盤上の金線領域を撮像する撮像装置と、
上記撮像装置により得られる上記金線領域の画像に対し、最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め、標準偏差から金線の幅を推定することにより、上記盤上の金線位置を推定し、上記金線位置の推定結果に応じて、予め与えられた位置制御パラメータに基づいて仕切板位置修正情報を生成する画像解析装置と、
上記画像解析装置による金線位置の推定結果に応じた仕切板位置修正情報に従って上記仕切板駆動装置の駆動を制御し、 上記画像解析装置により推定された上記金線位置に上記仕切板を位置させる制御装置と、
上記画像解析装置による上記金線位置の推定結果が予め設定された所定値を超えて変化したことを検出したときに、その推定結果が得られた上記金線領域の画像を保存するとともに、上記仕切板の位置制御パラメータを変更する異常検出処理装置と
を備えることを特徴とするテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置。
【請求項2】
上記異常検出処理装置では、上記金線領域の画像を上記画像解析装置による上記金線位置の推定結果と関連付けて保存することを特徴とする請求項1に記載のテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置。
【請求項3】
上記異常検出処理装置では、さらに、上記金線領域の画像と、この画像に対する上記画像解析装置による金線位置の推定結果に応じた上記制御装置による上記仕切板の位置制御結果を逐次保存し、時間平均した上記仕切板の位置制御結果と過去の上記仕切板の位置制御結果の平均値に過去の仕切板位置偏差幅に所定値を乗じた値を加えた範囲との偏差から上記仕切板の位置制御の異常を検出し、異常を検出したときに、上記仕切板の位置制御パラメータを変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置。
【請求項4】
上記画像解析装置と上記異常検出処理装置は、両サーバー間を通信回線を介して画像転送して、並列処理を行う、互いに独立した処理サーバーからなることを特徴とする請求項3記載のテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置。
【請求項5】
複数のリッフルが設けられ、該リッフルの伸長方向に揺動運動可能に傾斜して設置された盤を備え、水流と共に給鉱された鉱粒を比重により分散させる揺動テーブルと、上記揺動テーブルの盤の端縁に沿って配置され、上記分散された鉱粒を異なる貯槽に分離して排出するための仕切板と、上記仕切板の配置位置を移動させるための仕切板駆動装置を備えるテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御方法であって、
上記揺動テーブルに備えられた上記盤の上方より該盤上の金線領域を撮像し、
上記金線領域の画像に対し、最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め、標準偏差から金線の幅を推定することにより、上記盤上の金線位置を推定し、上記金線位置の推定結果に応じて、予め与えられた位置制御パラメータに基づいて仕切板位置修正情報を生成し、
上記金線位置の推定結果に応じた仕切板位置修正情報に従って上記仕切板駆動装置の駆動を制御することにより、推定された上記金線位置に上記仕切板を位置させ、
上記金線位置の推定結果が予め設定された所定値を超えて変化したことを検出したときに、その推定結果が得られた上記金線領域の画像を保存するとともに、上記仕切板の位置制御パラメータを変更する異常検出処理を行う
ことを特徴とするテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御方法。
【請求項6】
上記異常検出処理では、上記金線領域の画像を上記金線位置の推定結果と関連付けて保存することを特徴とする請求項5に記載のテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御方法。
【請求項7】
上記異常検出処理では、さらに、上記金線領域の画像と、この画像に対する上記金線位置の推定結果に応じた上記仕切板の位置制御結果を逐次保存し、時間平均した上記仕切板の位置制御結果と過去の上記仕切板の位置制御結果の平均値に過去の仕切板位置偏差幅に所定値を乗じた値を加えた範囲との偏差から上記仕切板の位置制御の異常を検出し、異常を検出したときに、上記仕切板の位置制御パラメータを変更することを特徴とする請求項5又は6に記載のテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御方法。
【請求項8】
互いに独立した処理サーバーにより、両サーバー間で通信回線を介して画像転送して、上記盤上の金線位置を推定する画像解析処理と上記異常検出処理を並列処理する
ことを特徴とする請求項7記載のテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御方法。
【請求項9】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の仕切板位置制御装置を備えるテーブル比重選鉱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈石鉱物や硫化鉱物を含有する金鉱石から直接精製可能な高濃度の金精鉱を得るテーブル比重選鉱機と画像処理技術とを組み合わせ、仕切板の調整を自動化するようにしたテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から金鉱石の選鉱方法としては、金鉱石を破砕した後、適当な粒度に微粉砕し、得られた鉱粒をシアン化物水溶液中に懸濁させて金を浸出するいわゆる青化法によって金を脈石鉱物や硫化鉱物から分離・濃縮する方法や、比重選鉱および浮遊選鉱によって金鉱物を脈石鉱物や硫化鉱物から分離・濃縮した後に、さらに青化法により金を分離・濃縮する方法が採られている。
【0003】
これらの方法で用いられる青化法では、粗大な金鉱石が存在したり金鉱石の量が多い場合は、そのすべてを青化法により溶解させるには時間が掛かり、溶解装置の処理能力の低下や金の回収が不充分となる問題がある。
【0004】
そこで、高品位の金精鉱を回収する方法として、テーブル比重選鉱(揺動薄流選鉱ともいう)が提案されており、テーブル比重選鉱により、粗大な金鉱石、或いは金鉱石の大半を分離することで低品位金鉱石の青化法による金の分離・濃縮工程を効率化することができる。
【0005】
テーブル比重選鉱には、ウィルフレー・テーブルやジェームス・テーブル等の揺動テーブルが用いられる。揺動テーブルは、揺動方向に沿って形成されたリッフルを有する盤と、盤に揺動運動を与えるための揺動機構を備える。盤上には、盤の揺動方向とは異なる方向に流れる水流と共に、金鉱石の鉱粒が給鉱される。これにより、比重の重い金粒子は、リッフルに沿って揺動方向に前進し、精鉱として回収され、比重の軽い脈石鉱物や硫化鉱物の粒子は、水流方向にリッフルを乗り越えて運搬され、尾鉱として排出される。精鉱と尾鉱とは、たとえば揺動テーブルに沿って移動可能な仕切板によって分離され、それぞれの貯槽に回収される。
【0006】
このように、比重が異なる鉱粒を揺動テーブルに給鉱することにより、精鉱と脈石鉱物や硫化鉱物とが分離して回収されることになる。
【0007】
テーブル比重選鉱を採用することにより、分離した粗大な金鉱石、或いは高品位金鉱石は物量が少なくなるため、直接熔錬を行ったり小規模な高濃度の青化法により金の分離・濃縮を行なうことができる。
【0008】
しかしながら、単に揺動テーブルを用いただけでは、精鉱と尾鉱が明確に分離される訳ではない。また、給鉱される鉱石の種類、特に金鉱石のうちでも産地や状況(あらかじめ他の選鉱がなされているか否か等)に応じて、精鉱と尾鉱の分離状況が異なってくる。さらに、テーブル比重選鉱を繰り返し行うことがあるが、それぞれのバッチごとに、同様に精鉱と尾鉱との境界位置が異なってくることとなる。
【0009】
このため、操業ごとに、精鉱と尾鉱の区分けは作業者の目視によって決定され、かつ、手動により仕切板の位置を調整する必要があるため、適確な選鉱については作業者の経験に頼らざるを得ないのが実情であった。
【0010】
そこで、本件出願人は、テーブル比重選鉱と画像処理技術とを組み合わせ、仕切板の調整を自動化することにより、作業者の経験に頼ることなく、金鉱石から直接精製可能な高品位の金精鉱を回収できるようにしたテーブル比重選鉱機及び比重選鉱方法を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012−139675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の如く、テーブル比重選鉱では、テーブル上に鉱粒のスラリーを供給し、テーブルを搖動させつつ水を供給して、スラリー中の固形分(鉱粒)の比重と粒径によるテーブル上の「流れ方」の違いによって、金品位の高い鉱粒の流れを形成させ、仕切板によってこの流れだけを回収することにより分離している。金品位の高い流れの部分を「金線」という。
【0013】
しかしながら、テーブル比重選鉱機に鉱石を安定に供給することが容易ではないため金線の位置が変動するので、金線の末端位置に仕切板を精度良く制御することは容易ではなく、揺動テーブル上の金線領域の鮮明な画像を安定に且つ確実に取得し、取得した画像から金線位置を正確に推定できるようにする必要がある。
【0014】
また、金線位置の急激な変動等にも対応できるようにする必要がある。さらに、長期的には給水ポンプや鉱石の切り出し量を調整する弁等の設備故障により、テーブル選鉱機が正常に稼働できない状態が必ず発生するので、それら設備故障を早期に修繕するために、設備故障に起因すると予想される金線異常を検出する必要がある。
【0015】
本発明の目的は、このような従来の事情に鑑み、揺動テーブル上の金線領域を撮像して得られる画像から金線位置を正確に推定して、仕切板の位置を金線位置に合わせて精度良く自動制御することができ、しかも、金線位置の急激な変動等にも対応できるようにしたテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置及び仕切板位置制御方法、並びに仕切板位置制御装置を備えたテーブル比重選鉱システムを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、本発明では、テーブル比重選鉱機において、水流と共に給鉱された鉱粒を比重により分散させる揺動テーブルに備えられた盤上の金線領域を撮像して得られる画像から、画像解析により、最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め、標準偏差から金線の幅を推定し、上記盤上の金線位置の推定結果に応じて、仕切板の位置を制御するとともに、上記金線位置の推定結果を評価して金線異常を検出し、上記仕切板の位置制御パラメータを変更する異常検出処理を行う。
【0018】
すなわち、本発明は、複数のリッフルが設けられ、該リッフルの伸長方向に揺動運動可能に傾斜して設置された盤を備え、水流と共に給鉱された鉱粒を比重により分散させる揺動テーブルと、上記揺動テーブルの盤の端縁に沿って配置され、上記分散された鉱粒を異なる貯槽に分離して排出するための仕切板と、上記仕切板の配置位置を移動させるための仕切板駆動装置を備えるテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御装置であって、上記揺動テーブルに備えられた上記盤の上方に設置され、該盤上の金線領域を撮像する撮像装置と、上記画像解析装置による金線位置の推定結果に応じた仕切板位置修正情報に従って上記仕切板駆動装置の駆動を制御し、 上記画像解析装置により推定された上記金線位置に上記仕切板を位置させる制御装置と、上記画像解析装置による上記金線位置の推定結果が予め設定された所定値を超えて変化したことを検出したときに、その推定結果が得られた上記金線領域の画像を保存するとともに、上記仕切板の位置制御パラメータを変更する異常検出処理装置とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、複数のリッフルが設けられ、該リッフルの伸長方向に揺動運動可能に傾斜して設置された盤を備え、水流と共に給鉱された鉱粒を比重により分散させる揺動テーブルと、上記揺動テーブルの盤の端縁に沿って配置され、上記分散された鉱粒を異なる貯槽に分離して排出するための仕切板と、上記仕切板の配置位置を移動させるための仕切板駆動装置を備えるテーブル比重選鉱機における仕切板位置制御方法であって、上記揺動テーブルに備えられた上記盤の上方より該盤上の金線領域を撮像し、上記金線領域の画像に対し、最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め、標準偏差から金線の幅を推定することにより、上記盤上の金線位置を推定し、上記金線位置の推定結果に応じて、予め与えられた位置制御パラメータに基づいて仕切板位置修正情報を生成し、上記金線位置の推定結果に応じた仕切板位置修正情報に従って上記仕切板駆動装置の駆動を制御することにより、推定された上記金線位置に上記仕切板を位置させ、上記金線位置の推定結果が予め設定された所定値を超えて変化したことを検出したときに、その推定結果が得られた上記金線領域の画像を保存するとともに、上記仕切板の位置制御パラメータを変更する異常検出処理を行うことを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明は、テーブル比重選鉱システムであって、上記仕切板位置制御装置を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明において、異常検出処理では、例えば、金線領域の画像を金線位置の推定結果と関連付けて保存するものとすることができる。
【0022】
また、本発明において、異常検出処理では、例えば、さらに、金線領域の画像と、この画像に対する金線位置の推定結果に応じた仕切板の位置制御結果を逐次保存し、時間平均した上記仕切板の位置制御結果と過去の上記仕切板の位置制御結果の平均値に過去の仕切板位置偏差幅に所定値を乗じた値を加えた範囲との偏差から上記仕切板の位置制御の異常を検出し、異常を検出したときに、上記仕切板の位置制御パラメータを変更するものとすることができる。
【0023】
さらに、本発明において、例えば、互いに独立した処理サーバーにより、両サーバー間で通信回線を介して画像転送して、上記盤上の金線位置を推定する画像解析処理と上記異常検出処理を並列処理するものとすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、テーブル比重選鉱機において、水流と共に給鉱された鉱粒を比重により分散させる揺動テーブルに備えられた盤上の金線領域を撮像して得られる画像から、最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め、標準偏差から金線の幅を推定し、金線位置の推定結果に応じて位置制御パラメータを生成して仕切板の位置を制御するので、揺動テーブル上の金線領域を撮像して得られる画像から金線位置を正確に推定して、仕切板の位置を金線位置に合わせて精度良く自動制御することができ、しかも、 上記金線位置の推定結果が予め設定された所定値を超えて変化したことを検出したときに、その推定結果が得られた上記金線領域の画像を保存するとともに、上記位置制御パラメータを変更する異常検出処理を行うことにより、金線位置の急激な変動等に対応することができる。
【0025】
また、本発明では、金線領域の画像を金線位置の推定結果と関連付けて保存することにより、操業履歴から、実行しているテーブル比重選鉱機の制御方法の妥当性を確認するシミュレーション等を行うことが容易になる。
【0026】
また、本発明では、金線領域の画像と、この画像に対する金線位置の推定結果に応じた仕切板の位置制御結果を逐次保存し、時間平均した上記仕切板の位置制御結果と過去の上記仕切板の位置制御結果の平均値に過去の仕切板位置偏差幅に所定値を乗じた値を加えた範囲との偏差から上記仕切板の位置制御の異常を検出することにより、テーブル比重選鉱設備の故障に起因すると予想される金線異常を検出して、対処することができ、また、異常を検出したときに、上記仕切板の位置制御パラメータを変更することにより、金線異常に対応することができる。
【0027】
さらに、本発明では、互いに独立した処理サーバーにより、両サーバー間で通信回線を介して画像転送して、上記盤上の金線位置を推定する画像解析処理と上記異常検出処理を並列処理することで、一定時間内に必ず計算が終了しなければならない画像解析処理と過去の膨大なデータを参照することで時間が掛かる異常検出処理を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明を適用したテーブル比重選鉱システムの構成を概略的に示す概念図である。
図2】テーブル比重選鉱機の揺動テーブルの揺動タイミングを検出する検出器の構成例を示す模式図である。
図3】テーブル比重選鉱機に備えられる制御装置による撮像装置及び発光装置の制御動作を示すタイミングチャートである。
図4】テーブル比重選鉱機において揺動テーブルの盤に給鉱された鉱粒が比重や大きさによって分離された精鉱ゾーンと尾鉱ゾーンを示す模式図である。
図5】上記精鉱ゾーンを示す2値化処理データ化したイメージ図である。
図6】このテーブル比重選鉱システムにおける画像解析装置により、金線領域の画像から最小二乗法により決定される金線の中心線を模式的に示す図である。
図7】テーブル比重選鉱機に備えられた撮像装置、検出器、制御装置、画像解析装置、異常検出処理装置による上記テーブル比重選鉱機の自動運転の手順を示すフローチャートである。
図8】このテーブル比重選鉱システムにおける異常検出処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
本発明は、例えば、図1に概念図を示すような構成のテーブル比重選鉱システム300に適用される。
【0031】
このテーブル比重選鉱システム300は、複数のリッフル1が設けられた盤2上に給鉱される鉱粒を比重により分散させる揺動テーブル3を備えるテーブル比重選鉱機100と、上記揺動テーブル3の盤2の分散された鉱粒を異なる貯槽に分離して排出するための仕切板4の配置位置を移動させるための仕切板駆動装置10の駆動を制御する制御装置140を備える。
【0032】
このテーブル比重選鉱システム300におけるテーブル比重選鉱機100の基本的な構造は、従来から知られているテーブル比重選鉱機と同様であり、複数のリッフル1が設けられ、該リッフル1の伸長方向に揺動運動可能に傾斜して設置された盤2の上面2aに水流と共に給鉱される鉱粒を比重により分散させる揺動テーブル3と、上記揺動テーブル3の盤2の端縁に沿って配置され、分散された鉱粒を異なる貯槽に分離して排出するための仕切板4と、上記仕切板4の配置位置を移動させるための仕切板駆動装置10を備える。
【0033】
上記揺動テーブル3としては、ウィルフレー・テーブルおよびジェームス・テーブルとして知られているタイプの揺動テーブルをいずれも適用することができる。揺動テーブル3は、いずれのタイプでも、複数のリッフル1が設けられた盤2を備える。この盤2は、通常、支持台の上にレール等の手段を介して載置され、揺動機構20による揺動運動が可能となっている。
【0034】
このテーブル比重選鉱機100では、例えば電動モータを用いた回転駆動装置21とクランク・カム機構22を用いた揺動機構20により、毎分数100回ぐらいの頻度で揺動テーブル3を往路はゆっくりで復路は素早く往復運動させて揺動させるようになっている。
【0035】
また、揺動テーブル3の盤2は、基本的に、給鉱側から尾鉱排出側に傾斜するように、0°〜10°程度の傾きで配置される。このテーブル比重選鉱機100では、上記盤2の傾斜角が0.5°〜9°の角度範囲で調整されるように構成されており、また、揺動テーブル3の給鉱側で盤2の下方に、この盤2の傾斜角を調整するための図示しない盤駆動装置が備えられている。この盤駆動装置としては、揺動テーブル3の盤2の給鉱側を所定範囲で昇降させることができる、アクチュエータ等の既存の駆動機構を用いることができる。
【0036】
このテーブル比重選鉱機100において、上記仕切板4は、精鉱回収貯槽5に配置立設されており、仕切板駆動装置10により、上記精鉱回収貯槽5とともに水平移動されるようになっている。また、上記仕切板4は、ポリ塩化ビニル製、若しくはアルミニウムやステンレス等の金属製、若しくは、板状に薄く並べた刷毛で、揺動テーブル3の盤2と接触する部分の形状が三角柱状となっている。このような材質および形状を用いることによって、精鉱と尾鉱の分離時に、仕切板4を揺動テーブル3上でスムーズに移動させることができる。
【0037】
また、このテーブル比重選鉱機100において、仕切板4を駆動する仕切板駆動装置10は、上記仕切板4を上記精鉱回収貯槽5とともに上記盤2の精鉱側端縁に沿って所定範囲の水平移動可能とするものであって、例えば、ステッピングモータ11とボールねじ12からなる既存の駆動機構を用いることができる。この仕切板駆動装置10には、上記盤2の精鉱側端縁に沿って水平移動される上記仕切板4の移動範囲の原点位置においてオンとなる例えばリミットスイッチからなる原点センサ10Aが設けられている。
【0038】
このテーブル比重選鉱機100では、複数のリッフル1が設けられた盤2を備える揺動テーブル3を揺動駆動機構20によってリッフル1の伸長方向に揺動させつつ、揺動テーブル3に、給鉱樋6によって、揺動テーブル3の幅方向から鉱石を粉砕した鉱粒に水を加えて製造した鉱石スラリーを供給し、給水樋7によって、矢印Aに示すように、揺動テーブル3の幅方向から添加水を供給する。
【0039】
すると、揺動テーブル3に供給された鉱石スラリーのうち、脈石鉱物や硫化鉱物等の比重の小さな低比重鉱粒は、揺動テーブル3の揺動運動とは無関係に、給水樋7からの添加水によってリッフル1を乗り越えて、矢印B1,B2,B3に示すように、揺動テーブル3の前側面3A側に流れ落ちて、尾鉱として第1の尾鉱回収貯槽8に回収される。
【0040】
その一方で、比重の大きな高比重鉱粒は、揺動テーブル3の揺動運動に伴って、リッフル1に沿って該リッフル1の伸長方向に沿って移動し、リッフル1の配置された領域からリッフル1が配置されていない平坦部40に流れ出る。鉱粒は、同じ比重であっても、粒径の大きなものは粒径の小さなものよりも給水樋7からの添加水等によって添加水の水流方向すなわち揺動テーブル3の幅方向に移動する傾向が強い。したがって、平坦部40には、高比重で粒径の小さな金品位の高い鉱粒の流れ41と、高比重で粒径の大きな鉱粒の流れ42とが形成される。そして、仕切板4によって、高比重で粒径の小さな金品位の高い鉱粒の流れ41と高比重で粒径の大きな鉱粒の流れ42とが分離され、高比重で粒径の小さな金品位の高い鉱粒は、精鉱として精鉱回収貯槽5に回収され、高比重で粒径の大きな鉱粒は、尾鉱として第2の尾鉱回収貯槽9に回収される。
【0041】
すなわち、揺動機構20により、揺動テーブル3を往路はゆっくりで復路は素早く往復運動させて揺動させることにより、慣性により徐々に比重の軽いものはリッフル1を乗り越えて移動し、重いものはリッフル1を乗り越えることなくリッフル1に沿って移動する。
【0042】
なお、金品位の高い鉱粒の流れの部分を金線という。
【0043】
そして、このテーブル比重選鉱システム300では、上記テーブル比重選鉱機100の揺動テーブル3に備えられた盤2の上方に、該盤2上の金線領域を撮像するための例えばカラーエリアカメラからなる撮像装置110と、該盤2上の金線領域を照明するためのLED発光装置からなる照明装置120が設置されている。
【0044】
さらに、このテーブル比重選鉱システム300は、上記揺動テーブル3の揺動タイミングを検出する検出器130を備え、上記検出器130による検出出力に基づいて、上記制御装置140により撮像装置110及び照明装置120の動作を制御するようになっている。
【0045】
上記制御装置140は、上記検出器130による検出出力に基づいて、上記回転駆動装置21とクランク・カム機構22を用いた揺動機構20により、往路はゆっくりで復路は素早く往復運動させて揺動される揺動テーブル3の揺動の速度が最も遅くなる停止位置近傍のタイミングで上記揺動テーブル3の盤2上の金線領域を撮像するように、上記撮像装置110及び照明装置120の動作を制御する。
【0046】
ここで、上記検出器130は、例えば、図2に示すように、上記揺動テーブル3の揺動させるクランク・カム機構22に設けられた光反射板131と、上記光反射板131に光を照射して、上記光反射板131による反射光を検出する光検出器132からなり、 上記クランク・カム機構22により揺動される上記揺動テーブル3の揺動の速度が最も遅くなる停止位置近傍のタイミングよりも前の所定のタイミングを上記光検出器132により検出するようになっている。
【0047】
そして、上記制御装置140は、例えばマイクロコンピュータからなり、図3のタイミングチャートに示すように、上記光検出器132による検出出力の立ち上がりのタイミングでタイマ1を起動し(図3(A),図3(B))、このタイマ1に設定された所定時間(T1)経過後に、上記撮像装置110を所定時間(T4)(例えば100ms)だけ動作させるとともに(図3(C))、照明装置120を動作させるためのタイマ2を起動して(図3(D))、このタイマ2に設定された所定時間(T2)経過後に、上記撮像装置110の撮像動作期間中に上記照明装置120を短時間発光させる(図3(E))制御を行う。上記照明装置120は、所謂ストロボ発光装置として機能している。図3(C)に示す撮像動作指示信号が出てから撮像装置110による実際の撮像が開始されるまで若干の時間遅れが生じるので、上記照明装置120は撮像動作指示信号から所定時間(T2)遅れで点灯し始める。撮像画像の明るさが適切になるように露光光量を調整するために上記照明装置120の発光時間(T3)を調整する。
【0048】
ここで、上記タイマ1には、上記光検出器132による検出出力の立ち上がりのタイミングから、揺動テーブル3の揺動の速度が最も遅くなる停止位置近傍のタイミングまでの時間(T1)が予め設定される。すなわち、上記タイマ2に設定される時間(T2)により決まる上記撮像装置110の露光期間と上記照明装置120の明るさや発光時間(T3)を考慮して、上記揺動テーブル3上の金線領域の鮮明な画像を安定に且つ確実に取得することのできる移動速度以下の範囲内となる上記停止位置近傍のタイミングまでの時間(T1)が上記タイマ1に予め設定される。
【0049】
このように、上記揺動テーブル3の揺動タイミングを検出する上記検出器130の検出出力に基づいて、上記制御装置140により、上記揺動テーブル3に備えられた上記盤2の上方に設置された撮像装置110の動作を制御して、上記揺動テーブル3の揺動の速度が最も遅くなる停止位置近傍のタイミングで上記揺動テーブル3の上記盤2上の金線領域を撮像することにより、ブレの少ない鮮明な画像を取得することができる。さらに、上記撮像装置110の撮像動作期間中に上記照明装置120を短時間発光させることにより、上記金線領域の鮮明な画像を安定に且つ確実に取得することができる。
【0050】
さらに、このテーブル比重選鉱システム300において、上記テーブル比重選鉱機100には、上記撮像装置110により得られる上記金線領域の画像を解析して金線位置を推定する画像解析装置150と異常検出処理装置160が設けられている。
【0051】
そして、上記制御装置140は、この画像解析装置150による上記金線位置の推定結果と上記異常検出処理装置160による上記金線位置の異常検出結果に応じて、上記仕切板駆動装置10の駆動を制御するようになっている。
【0052】
上記画像解析装置150としては、既存のサーバー、パーソナルコンピュータ等のハードウェアと、2値化画像処理用のソフトウェア等の組合せのほか、専用の2値化画像処理装置等を用いることができる。かかる画像解析装置150は、入力した撮像データを2値化処理して、盤上の状況に基づいて白黒(0または1)の2値画像データを得る。この2値画像データを当該画像解析装置150のモニタ部150Aもしくは外部モニタを通じて表示させることもできる。
【0053】
ここで、上記カラーエリアカメラからなる撮像装置110により得られる金線領域のカラー画像は、通常、上記揺動テーブル3の揺動運動に伴って盤2の平坦部40に形成される高比重で粒径の小さな金品位の高い鉱粒の流れ41の部分すなわち金粒を多く含む金線領域は、金色(有彩色)であるのに対し、高比重で粒径の大きな鉱粒の流れ42の部分すなわち精鉱として回収される領域やそれ以外の盤2の上面2aが露出している領域は、灰色(無彩色)となる傾向が強い。すなわち、上記カラーエリアカメラからなる撮像装置110により得られる上記金線領域のカラー画像における1画素の赤色成分の光強度R、緑色成分の光強度G、青色成分の光強度Bは、金線の画素では、赤色成分の光強度R及び緑色成分の光強度Gよりも青色成分の光強度Bが低いが、金線以外の灰色の画素では、赤色成分の光強度R、緑色成分の光強度G、青色成分の光強度Bが互いにほぼ等しい状態になっている。
【0054】
テーブル比重選鉱において、金の隣に位置する物は比重が金に近いものである。多くの場合、それは硫砒鉄鉱であり硫砒鉄鉱の色は灰色である。黄鉄鉱は金色であり産出量が多い場合があるが、比重は硫砒鉄鉱よりも小さいので金の隣に黄鉄鉱は位置しない。従って、金色の金線の隣は灰色の硫砒鉄鉱の線ができる。
【0055】
そこで、このテーブル比重選鉱システム300において、上記画像解析装置150は、上記カラーエリアカメラからなる撮像装置110により得られる上記金線領域のカラー画像について、色差(R−B)、(G−B)に基づいて、金線の画素と金線以外の灰色の画素を判別して、上記処理対象のカラー画像を2値化して金線を抽出し、金線位置を推定するようにしている。
【0056】
このテーブル比重選鉱システム300において、上記画像解析装置150は、上記カラーエリアカメラからなる撮像装置110により得られる上記金線領域のカラー画像に対し、処理対象のカラー画像の1画素の赤色成分の光強度R、緑色成分の光強度G、青色成分の光強度Bに基づき、検出対象の金線に隣接する鉱物の色において、赤色成分の光強度Rに対する係数をx、青色成分の光強度Bに対する係数をy、金線の画素を判定するため閾値をzとして設定し、
(x・R+(2−x)・G)/2−y・B>z (z>0)
となる画素を金線の画素と判定し、上記処理対象のカラー画像を2値化して金線を抽出し、金線位置を推定する。
【0057】
例えば、R、G、B各々の最低輝度値を0、最高輝度値を255としたとき、上記x=1、y=1、z=40を設定して、
(R+G)/2−B>40
となる画素を金線の画素と判定することにより、検出対象の金線の画素と、この隣接する鉱物(硫砒鉄鉱)の線の画素とを確実に識別することができる。なお、撮像画像の明るさに応じてz値を調整する必要がある。
【0058】
2値化の際における閾値は、選鉱される鉱石の種類、精鉱における高比重鉱粒の含有率(精鉱の回収率)等に応じてあらかじめ適切に設定ないしは選択される。通常は、既存の選鉱において、精鉱とされる範囲と片刃とされる範囲の境界に、この閾値が設定されるように調整することが好ましい。また、操業開始前にテストを行い、操業ごとに画像解析装置150により適宜閾値を調整できるようにしておくことが好ましい。
【0059】
ここで、このテーブル比重選鉱機100において、例えば、図4に示すように、揺動テーブル3の盤2に給鉱されると、鉱粒がその比重や大きさによって分離し、揺動テーブル3の盤2の上では、精鉱のみが存在する、ないしは精鉱が主として存在する精鉱ゾーンと、尾鉱のみが存在する、ないしは尾鉱が主として存在する尾鉱ゾーンと、両者が混在する片刃ゾーンに概ね分離される。通常、選鉱においては、精鉱ゾーンと片刃ゾーンとの境界線が、盤2の精鉱側端縁と尾鉱側端縁の交点となる盤2の角に向けて伸長するように、すなわち、精鉱が精鉱側端縁から脱落し、尾鉱(片刃を含む)が尾鉱側端縁から脱落するように、比重選鉱機100の運転条件があらかじめ設定されることになる。図4において、●は高比重粒、○は低比重粒、丸の大きさは粒の大きさを表している。
【0060】
したがって、上記の閾値を精鉱ゾーンと片刃ゾーンの輝度の間に設定すると、精鉱ゾーンのみが数値1として処理され、それ以外の部分は数値0として処理され、例えば、これを白黒で表現すると、図5のようなデータが得られることになる。画像解析装置150は、この精鉱ゾーンと片刃ゾーンの間に境界があると認定し、2値化処理データとしての位置情報データを出力する。
【0061】
ここで、このテーブル比重選鉱機100では、上記仕切板4の例えば頂部にマーカ4Aが設けられており、上記撮像装置110により、上記揺動テーブル3の盤2上の金線領域とともに上記マーカ4Aを撮像する。
【0062】
このテーブル比重選鉱システム300における画像解析装置150は、処理対象の金線領域の画像を解析して、最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め、標準偏差から金線の幅を推定し、上記マーカ4Aの位置と金線位置の推定結果に応じて、予め与えられた位置制御パラメータに基づいて仕切板位置修正情報を生成して出力するようになっている。
【0063】
そして、上記制御装置140は、上記仕切板駆動装置10と電気的に接続されており、上記画像解析装置150から出力された仕切板位置修正情報に基づいて、上記仕切板駆動装置11の駆動を制御して、上記撮像装置110による画像を上記画像解析装置150により解析して得られる金線領域の位置と上記マーカ4Aの位置が一致するように、上記盤2の精鉱側端縁に沿って、所定範囲内で仕切板4を自動的に水平移動させる。金線領域とマーカ4Aの相対位置で制御を行なうので、揺動テーブル3に対する撮像装置110の位置を厳密に調整する必要がない。また、動作中に撮像装置110が動き、画像内の金線領域の位置が変化しても制御に影響は出ない。一方で、マーカ4Aが無くても、揺動テーブル3に対する撮像装置110の位置と撮像倍率を厳密に調整すればマーカ4Aを認識する制御と相対位置を計算する制御は不要になる。
【0064】
すなわち、このテーブル比重選鉱システム300において、上記テーブル比重選鉱機100に設けられた上記撮像装置110、検出器130、制御装置140は、上記揺動テーブル3の揺動タイミングを検出器130により検出し、上記検出器130による検出出力に基づいて、上記揺動テーブル3に備えられた上記盤2の上方に設置された上記撮像装置110の動作を上記制御装置140により制御して、上記揺動テーブル3の揺動の速度が最も遅くなる停止位置近傍のタイミングで上記揺動テーブル3の上記盤2上の金線領域を上記撮像装置110により撮像し、上記撮像装置110により得られる上記金線領域の画像を上記画像解析装置150により解析して金線位置を推定し、上記画像解析装置150による上記金線位置の推定結果に応じて、上記仕切板駆動装置10の駆動を上記制御装置140により制御する。
【0065】
上記制御装置140は、ハブ(HUB)を介して上記照明装置120及び画像解析装置150異常検出処理装置160にLAN(Local Area Network)で接続されている。
【0066】
また、上記画像解析装置150は、Webサーバー170に接続されており、Webサーバー170にデータベースから設定されるデータとして、解析処理に必要なパラメータ等の各種情報を設定することができるようになっている。
【0067】
このテーブル比重選鉱システム300において、上記画像解析装置150では、上記撮像装置110により得られる上記金線領域の画像に対し、図6に示すように、上記金線領域の画像に含まれる金粒子の画素の分布から、最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め中心線Lを1次近似により決定するとともに標準偏差σから金線の幅Hを推定する。
【0068】
すなわち、上記金線領域の画像に対する処理対象の画像範囲AR内に分布する金粒子の画素数をn、画素位置を(x,y)として、中心線L(y=ax+b)とyとの差の二乗和を最小とするような係数a,bは、
a=(nΣx−ΣxΣy)/(nΣx−(Σx
b=(ΣxΣy−ΣxΣx)/((nΣx−(Σx
で求められ、また、図6に示すように、中心線Lと直交する方向の金線幅を±3σとし、中心線Lと平行な直線L1、L2と仕切板移動線13との交点の幅を金線の幅Hとしている。
【0069】
なお、上記揺動テーブル3の盤2の上面2aが全体的に均一な平面であれば上記1次近似により高精度に中心線Lを求めるができるのであるが、ゴムシート等で覆われた上記盤2の上面2aの上記平坦部40に生じる局所的な凹凸の影響を受けて、上記平坦部40上の高比重で粒径の小さな金品位の高い鉱粒の流れ41や高比重で粒径の大きな鉱粒の流れ42にうねりが生じてしまうと、大きな誤差を持った中心線Lが上記1次近似により決定されてしまうことになる。
【0070】
そこで、このテーブル比重選鉱システム300では、上記撮像装置110により得られる上記金線領域の画像を上記画像解析装置150のモニタ部150Aに表示させ、その画面上でオペレータが上記平坦部40に生じた局所的な凹凸の影響を受けない上記金線領域の画像に対する処理対象の画像範囲ARをキーボードやマウスの操作により指定する範囲指定部150Bが上記画像解析装置150に設けられている。
【0071】
上記画像解析装置150は、上記範囲指定部150Bにより指定される処理対象の画像範囲AR内で、上記最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め中心線Lを1次近似により高精度に決定するとともに標準偏差σから金線の幅Hを推定することができる。
【0072】
そして、上記画像解析装置150による上記金線位置の推定結果に応じて、上記制御装置140により、上記仕切板駆動装置10の駆動を制御し、上記画像解析装置150による上記金線位置の推定結果として得られる金線幅Hの位置に仕切板4を位置させる。所望により、金線の幅Hにさらに予め定めたオフセットを加えても良い。
【0073】
このテーブル比重選鉱システム300では、揺動テーブル3上の金線領域を撮像して得られる画像から金線位置を正確に推定して、仕切板4の位置を金線位置に合わせて精度良く自動制御することができる。
【0074】
また、このテーブル比重選鉱システム300において、上記テーブル比重選鉱機100に設けられた上記異常検出処理装置160は、上記画像解析装置150による金線位置の推定結果が予め設定された所定値を超えて変化したことを検出したときに、その推定結果が得られた金線領域の画像を保存するとともに、上記画像解析装置150において仕切板位置修正情報の生成に使用する上記位置制御パラメータを変更する処理を行うようになっている。
【0075】
上記異常検出処理装置160は、既存のサーバー、パーソナルコンピュータ等のハードウェアと、2値化画像処理用のソフトウェア等の組合せのほか、専用の2値化画像処理装置等を用いることができる。
【0076】
すなわち、このテーブル比重選鉱システム300において、撮像装置110、制御装置140、画像解析装置150、異常検出処理装置160は、上記テーブル比重選鉱機100の揺動テーブル3に備えられた上記盤2の上方に設置された撮像装置110により上記盤2上の金線領域を撮像し、上記撮像装置110により得られる上記金線領域の画像に対し、画像解析装置150により、最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め、標準偏差から金線の幅を推定し、上記金線位置の推定結果に応じて、予め与えられた位置制御パラメータに基づいて仕切板位置修正情報を生成し、上記金線位置の推定結果に応じた仕切板位置修正情報に従って制御装置140により上記仕切板駆動装置10の駆動を制御し、上記画像解析装置150により推定された上記金線位置に上記仕切板4を位置させ、上記画像解析装置150による上記金線位置の推定結果が予め設定された所定値を超えて変化したことを検出したときに、その推定結果が得られた上記金線領域の画像を保存するとともに、上記位置制御パラメータを変更する仕切板4の位置制御装置200を構成している。
【0077】
ここで、上記撮像装置110、検出器130、制御装置140、画像解析装置150、異常検出処理装置160により構成された位置制御装置200は、図7のフローチャートに示す手順にしたがって、仕切板4の位置を制御して、このテーブル比重選鉱機100の自動運転を行う。
【0078】
すなわち、自動運転を開始すると、上記制御装置140は、先ず、原点復帰処理を行う(ステップS1)。すなわち、上記制御装置140は、上記仕切板駆動装置10により上記盤2の精鉱側端縁に沿って上記仕切板4を水平移動させ、上記仕切板4の移動範囲の原点位置においてオンとなるように設置された原点センサ10Aからオン信号が得られる位置において上記仕切板4を停止させることにより、原点復帰処理を行う。
【0079】
そして、上記制御装置140は、上記検出器130による検出出力が得られたか否かを判定する判定処理(ステップS2)を行っており、その判定結果が「Yes」すなわち上記検出器130による検出出力が得られると撮像指令を上記撮像装置110及び照明装置120に送り(ステップS3)、上記照明装置120を点灯するとともに(ステップS4)、上記撮像装置110を動作させる。
【0080】
次に、上記撮像装置110は、上記制御装置140からの撮像指令に応じて照明装置120により照明された金線領域を撮像し(ステップS5)、得られた金線領域の画像を上記画像解析装置150に転送する(ステップS6)。
【0081】
次に、上記画像解析装置150は、上記撮像装置110から送られてくる金線領域の画像を受信し(ステップS7)、受信した金線領域の画像を解析する処理を行う(ステップS8、S9)。
【0082】
すなわち、上記画像解析装置150は、上記撮像装置110による画像を解析して金線領域の位置と上記仕切板4のマーカ4Aの位置が得られたかを判定する判定処理(ステップS8)を行っており、その判定結果が「No」である場合には、上記検出器130による検出出力が得られたか否かを判定する上記ステップS2の判定処理に戻り、また、その判定結果が「Yes」すなわち金線領域の位置と上記仕切板4のマーカ4Aの位置が得られた場合には、上記金線領域の位置と上記仕切板4のマーカ4Aの位置の相対距離を計測して(ステップS9)、予め与えられた位置制御パラメータに基づいて仕切板位置修正情報を生成し(ステップS10)、生成した仕切板位置修正情報を上記制御装置140に送信する(ステップS11)。
【0083】
上記制御装置140は、上記画像解析装置150から送られてくる仕切板位置修正情報を受信し(ステップS12)、受信した仕切板位置修正情報に応じて仕切板位置移動指令を送って上記仕切板駆動装置11の駆動を制御して(ステップS13)、上記検出器130による検出出力が得られたか否かを判定する上記ステップS2の判定処理に戻る。
【0084】
また、上記異常検出処理装置160は、上記画像解析装置150による上記金線位置の推定結果が予め設定された所定値を超えて変化したことを検出したときに、その推定結果が得られた上記金線領域の画像を保存するとともに、上記位置制御パラメータを変更する異常検出処理を行う(ステップS20)。
【0085】
この異常検出処理装置160による異常検出処理は、図8のフローチャートに示す処理手順で実行される。
【0086】
すなわち、上記異常検出処理装置160では、上記画像解析装置150による画像処理結果(a)として処理対象の金線領域の画像解析により得られた例えば金線中心ベクトルと幅を保存し(ステップS21)、この画像処理結果(a)を次回の異常検出処理の比較対象として保存し(ステップS22)、上記ステップS21において保存した画像処理結果(a)と前回の異常検出処理において保存された上記画像解析装置150による画像処理結果(b)との差分(X=a−b)を検出する(ステップS23)。
【0087】
次に、上記ステップS22において検出した差分Xが予め設定された閾値Aよりも大きいか否かを判定する(ステップS24)。
【0088】
そして、上記ステップS24における判定結果が「YES」、すなわち、差分Xが閾値Aよりも大きい場合には、金線位置に異常ありとして、上記画像処理結果(a)が得られた上記金線領域の画像を保存し(ステップS25)、上記位置制御パラメータを変更する(ステップS26)。
【0089】
このように、前回の異常検出処理における画像処理結果(b)と比較して、金線中心ベクトルか幅が閾値を超えて変化したときに上記位置制御パラメータ、例えば一回当りの仕切り板移動量を大きく変更する異常検出処理を行うことにより、予め設定されている位置制御パラメータでは対処できない金線位置の急激な変動等に対応することができる。
【0090】
また、金線中心ベクトルか幅が閾値を超えて変化したときにのみ金線画像を保存することにより、金線異常が発生した金線画像を収集することができ、さらに、正常時の金線画像は保存しないので保存データ量を少なくすることができる。
【0091】
上記金線領域の画像は、上記金線位置の推定結果と関連付けて保存することが好ましい。
【0092】
上記金線領域の画像を上記金線位置の推定結果と関連付けて保存しておくことにより、保存した金線領域の画像に対して新たな画像処理方法若しくは仕切板制御方法を当てはめ、新たな方法による仕切板調整目標位置と従来の処理による仕切板調整目標位置を比較する等のシミュレーション処理が可能となる。これにより、より高度で精密な制御へと改善することが容易になる。
【0093】
また、上記異常検出処理装置160では、さらに、上記金線領域の画像と、この画像に対する上記金線位置の推定結果に応じた上記仕切板4の位置制御結果を逐次保存し(ステップS27)、上記ステップS27により逐次保存した上記仕切板4の位置制御結果から、 時間平均した稼動実績(c)、例えば数時間単位で平均した仕切板4の平均位置、仕切板位置変動幅の3σ等を算出し(ステップS28)、さらに、過去の平均実績(d)、例えば月間平均と偏差幅を算出する(ステップS29)。
【0094】
そして、上記ステップS28において算出した時間平均した稼動実績(c)と上記ステップS29において算出した過去の平均実績(d)との差分(Y=c−d)を検出する(ステップS30)。
【0095】
次に、上記ステップS30において検出した差分Yが過去の仕切板位置偏差幅に予め設定された所定値を乗じた値を閾値Bとし、前記閾値Bよりも大きいか否かを判定する(ステップS31)。
【0096】
そして、上記ステップS31における判定結果が「YES」、すなわち、差分Yが閾値Bよりも大きい場合には、金線位置に異常ありとして、上記ステップS26に移って、上記位置制御パラメータを変更する。
【0097】
このように、過去の平均実績(d)と比較して、時間平均した稼動実績(c)、例えば数時間単位で平均した仕切板の平均位置、仕切板位置変動幅の3σ等が閾値Bを超えて変化したときに上記仕切板の位置制御パラメータを変更する異常検出処理を行うことにより、予め設定されている位置制御パラメータでは対処できない金線位置の経時的な変化等に対応することができ、また、設備故障に起因すると予想される金線異常を検出することができる。
【0098】
テーブル比重選鉱システムでは、長期的には給水ポンプや鉱石の切り出し量を調整する弁等の設備故障により、テーブル選鉱機が正常に稼働できない状態が必ず発生するが、設備故障に起因すると予想される金線異常を検出することにより、それら設備故障を早期に修繕することが可能になる。
【0099】
ここで、画像処理サーバーのCPUはミリ秒単位の制御を確実に処理しなければならないため、金線異常を検出する処理を同時に行うことは容易でないが、このテーブル比重選鉱システム300では、互いに独立した処理サーバーにより、両サーバー間で通信回線を介して画像転送して、上記盤上の金線位置を推定する画像解析処理と上記異常検出処理を並列処理することにより、余裕のある処理が可能となり、仕切板位置制御が疎かになり、金の回収率が悪化する虞がないようにしてある。
【0100】
なお、高速な処理能力を持つ高価なサーバーを用意すれば、上記盤上の金線位置を推定する画像解析処理と上記異常検出処理を1台のサーバーで行うこともできることは言うまでもない。画像処理時間オーバーリスクを下げつつ運用するには2台のサーバーで分割処理した方が総合的に安価になるメリットがある。
【0101】
このような構成のテーブル比重選鉱システム300では、水流と共に給鉱された鉱粒を比重により分散させる揺動テーブル3に備えられた盤2上の金線領域を撮像装置110により撮像して得られる画像から、画像解析装置150において最小二乗法により金線の中心ベクトルを求め、標準偏差から金線の幅を推定し、金線位置の推定結果に応じて、位置制御パラメータに基づいて位置制御情報を生成して、制御装置140により仕切板4の位置を上記位置制御情報に応じて制御するので、揺動テーブル3上の金線領域を撮像して得られる画像から金線位置を正確に推定して、仕切板4の位置を金線位置に合わせて精度良く自動制御することができる。しかも、 異常検出処理装置160が上記金線位置の推定結果が予め設定された所定値を超えて変化したことを検出したときに、その推定結果が得られた上記金線領域の画像を保存するとともに、上記位置制御パラメータを変更する異常検出処理を行うことにより、金線位置の急激な変動等に対応することができる。
【0102】
また、上記テーブル比重選鉱システム300では、上記異常検出処理装置160が金線領域の画像を金線位置の推定結果と関連付けて保存することにより、操業履歴から、実行しているテーブル比重選鉱機100の制御方法の妥当性を確認するシミュレーション等を行うことが容易になる。
【0103】
また、上記テーブル比重選鉱システム300では、上記異常検出処理装置160が金線領域の画像と、この画像に対する金線位置の推定結果に応じた仕切板の位置制御結果を逐次保存し、時間平均した上記仕切板4の位置制御結果と過去の上記仕切板4の位置制御結果の平均値に過去の仕切板位置偏差幅に所定値を乗じた値を加えた範囲から上記仕切板4の位置制御の異常を検出することにより、テーブル比重選鉱設備の故障に起因すると予想される金線異常を検出して、対処することができ、また、異常を検出したときに、上記位置制御パラメータを変更することにより、金線異常に対応することができる。
【0104】
また、上記テーブル比重選鉱システム300では、互いに独立した処理サーバーにより、両サーバー間で通信回線を介して画像転送して、上記盤上の金線位置を推定する画像解析処理と上記異常検出処理を並列処理することで、一定時間内に必ず計算が終了しなければならない画像解析処理と過去の膨大なデータを参照することで時間が掛かる異常検出処理を確実に行うことができる。
【0105】
さらに、上記テーブル比重選鉱システム300では、上記盤上の金線位置を推定する上記画像解析処理と上記異常検出処理を、互いに独立した処理サーバーにより、両サーバー間で通信回線を介して画像転送して、並列処理することにより、余裕のある処理が可能となり、仕切板位置制御が疎かになることなく、金の回収率が悪化する虞がない。
【符号の説明】
【0106】
1 リッフル、2 盤、3 揺動テーブル、4 仕切板、4A マーカ、5 精鉱回収貯槽、6 給鉱樋、7 給水樋、8 第1の尾鉱回収貯槽、9 第2の尾鉱回収貯槽、10 仕切板駆動装置、11 ステッピングモータ、12 ボールねじ、13 仕切板移動線、220 揺動機構、21 回転駆動装置、22 クランク・カム機構、40 平坦部、100 テーブル比重選鉱機、110 撮像装置、120 照明装置、130 検出器、131 光反射板、132 光検出器、140 制御装置、150 画像解析装置、150A モニタ部、150B 範囲指定部、160 異常検出処理装置、200 仕切板の位置制御装置、300 テーブル比重選鉱システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8