(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(言葉の定義 溶剤)
本発明の反応型接着剤は、前述の通り反応型2液タイプのラミネート接着剤である。
本発明では、イソシアネート基と水酸基との化学反応によって硬化する接着剤を使用する。
本発明においては、溶剤は使用しても使用しなくてもよい。なお本発明でいう「溶剤」とは、本発明で使用するポリイソシアネートやポリオールを溶解することの可能な、溶解性が高く揮発性の有機溶剤を指し、「溶剤型」とはこれらの溶解性の高い有機溶剤を含むことを指し、「無溶剤」とはこれらの溶解性の高い有機溶剤を含まないことを指す。溶解性の高い有機溶剤とは、具体的には、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸nープロピル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。中でもトルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチルは特に溶解性の高い有機溶剤として知られている。
【0016】
本発明の反応型接着剤は、低粘度等の要求がある場合には、所望の粘度に応じて適宜前記溶解性の高い有機溶剤で希釈して使用してもよい。その場合は、ポリオール成分Aまたはイソシアネート成分Bのいずれか1つを希釈してもよいし両方を希釈してもよい。このような場合に使用する有機溶剤としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸nープロピル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも溶解性の点から酢酸エチルやメチルエチルケトン(MEK)が好ましく、特に酢酸エチルが好ましい。有機溶剤は、所望される粘度によるが概ね固形分20〜60質量%の範囲に調整すべく希釈して使用することが多い。
また、本発明の接着剤の低粘度化を達成するために、トリアセチン、プロピレンカーボネート等の水酸基を有さないカルボニル基を有する沸点200℃以上の溶剤も使用してよい。これら高沸点の有機溶剤の使用量は所要される粘度と塗膜物性によるが概ね0.1〜10質量%の範囲で使用することが多い。
【0017】
本発明の反応型接着剤は、ポリエステルポリオールA1を含有するポリオール成分Aと、ポリエーテルイソシアネートB1を含有するイソシアネート成分Bとを有する反応型接着剤であって、前記ポリエステルポリオールA1は、分岐構造を有する多価アルコールまたは分岐構造を有する多価カルボン酸を必須反応成分とする多価アルコールと多価カルボン酸の反応生成物であり、反応型接着剤中のイソシアネート基と水酸基とのモル比が2.5以上であり、式(1)で表される値が0.3%以上であることを特徴とする。
【0019】
(分岐構造)
本発明において分岐構造とは、原料多価アルコール又は多価カルボン酸として3官能以上のアルコール、又は、3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物を用いることにより、樹脂主骨格に分岐構造を導入したものが挙げられる。
本発明で使用する3官能以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコールが挙げられる。
また、3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物としては、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族三塩基酸;トリメリット酸、無水トリメリット酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸等の芳香族三塩基酸及びその無水物が挙げられる。
【0020】
本発明においては、前述の通り式(1)で表される値が0.30%以上であるが、これは中でも0.40%以上が好ましく、より好ましくは0.45%以上である。また上限は1.00%であるが具体的には0.55%以下であることが好ましい。
一般式(1)で表される値は、即ち、ポリオール成分A総質量中の分岐構造の割合を表す。この範囲とすることで、本発明の効果であるヒートシール耐性を向上させることができる。
【0021】
(ポリオール成分A ポリエステルポリオールA)
本発明で使用するポリエステルポリオールA1は、前記分岐構造を有する多価アルコールまたは分岐構造を有する多価カルボン酸を必須反応成分とする以外は特に限定なく、公知のポリオールとポリカルボン酸の反応生成物であるポリエステルポリオールA1を使用することができる。具体的には例えば、環状エステル化合物の開環重合反応物と多価アルコールとの反応物であるポリエステル(I−A−1a)、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物との反応物であるポリエステル(I−A−1b)が挙げられる。
【0022】
ここで、前者の環状エステル化合物の開環重合反応物と多価アルコールとの反応物であるポリエステル(I−A−1a)に用いることのできる、環状エステル化合物は、プロピオラクトン、ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、β−メチル−σ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0023】
一方、ポリエステル(I−A−1a)の製造において、該環状エステル化合物の開環重合反応物と反応させる多価アルコールとしては、具体的には2価の水酸基を有する化合物であり、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の鎖状脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;ダイマージオール;前記グリコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0024】
前記ポリエステルポリオール(I−A−1a)を製造する方法としては、前記多価アルコールを開始剤として、環状エステル化合物を60〜120℃の温度条件下に開環重合反応させることにより製造することができる。
【0025】
次に、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物との反応物であるポリエステル(I−A−1b)の製造に用いることのできる多価アルコールとしては、具体的には2価の水酸基を有する化合物であり、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の鎖状脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;ダイマージオール;前記グリコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0026】
前記多価アルコールと反応させる多価カルボン酸又はその無水物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の非環状脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその無水物等が挙げられる。
【0027】
本発明では、前記ポリエステルポリオールA1の中でも、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物との反応物であるポリエステル(I−A−1b)が好ましい。
【0028】
前記ポリエステルポリオール(I−A−1b)の水酸基価は、5〜30mgKOH/gの範囲であることが好ましく、16〜24mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。
【0029】
また、該ポリエステル(I−A−1b)は、その重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲にあるものが好ましい。即ち、重量平均分子量(Mw)が5,000以上では、ヒートシール耐性良好なものとなる。一方、重量平均分子量(Mw)が30,000以下である場合には、ラミネート後外観良好なものとなる。また、ポリエステル(I−A−1b)は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜20,000の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜3.5の範囲にあるものが好ましい。
【0030】
また、前記ポリエステル(I−A−1b)を製造する方法は、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物とを、エステル化触媒の存在下、150〜270℃の温度範囲で反応させてポリエステルポリオールを得る方法が挙げられる。
【0031】
本願においては、前記ポリエステルポリオールA1に多官能イソシアネート化合物を反応させて得られるポリオールであるポリエステルポリウレタンポリオール(I−A−2)を、ポリエステルポリオールA1として使用してもよく、また混合して使用してもよい。
【0032】
ポリエステルポリオールA1と反応させるポリイソシアネート化合物は、例えば、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;
【0033】
シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;
【0034】
1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
【0035】
分子内にウレタン結合部位を有するアダクト型ポリイソシアネート化合物や、分子内にイソシアヌレート環構造を有するヌレート型ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0036】
ここで、前記分子内にウレタン結合部位を有するアダクト型ポリイソシアネート化合物は、例えば、前記した各種のジイソシアネート化合物と多価アルコールとを反応させて得ることができる。斯かるアダクト型ポリイソシアネートの原料として用いられる多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の鎖状脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコールが挙げられる。
【0037】
前記分子内にイソシアヌレート環構造を有するヌレート型ポリイソシアネート化合物は、前記各種のジイソシアネート化合物のヌレート体が挙げられるが、特に前記脂肪族ジイソシアネートのヌレート体であることが好ましい。また、接着剤組成物を塗工に適した粘度に調節することが容易となる点で、前記ジイソシアネート化合物と、前記ジイソシアネート化合物のヌレート体とを併用することが好ましい。この場合、湿熱条件下での基材接着性に優れ、かつ、塗工に適した粘度を示す樹脂組成物となる点で、両者の質量比[ジイソシアネート化合物/ヌレート体]が50/50〜5/95の範囲であることが好ましく、40/60〜10/90の範囲であることがより好ましく、30/70〜15/85の範囲であることが特に好ましい。
【0038】
上記したポリエステルポリウレタンポリオール(I−A−2)は、その水酸基価は、湿熱条件下での基材接着性に優れる点で、5〜30mgKOH/gの範囲であることが好ましく、16〜24mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。
【0039】
また、前記ポリエステルポリウレタンポリオール(I−A−2)は、とりわけ分子内に分岐構造を有し、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であることが好ましい。
特に重量平均分子量(Mw)は10,000〜20,000の範囲であることが好ましい。
【0040】
前記ポリエステルポリウレタンポリオール(I−A−2)は、前記した通り分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜3.5の範囲であるであることが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が前記範囲内にあることにより、低分子量成分に起因した基材との密着性が向上する効果と、高分子量成分に起因した硬化物が高強度となる効果が同時に発揮されるため、湿熱条件下での基材接着性に優れ、初期の接着強度が高いものとなる。
【0041】
前記したポリエステルポリウレタンポリオール(I−A−2)を製造する方法は、例えば、環状エステル化合物の開環重合反応物と多価アルコールとを反応させてポリエステルポリオール(I−A−1a)を製造し、次いで、該ポリエステルポリオール(I−A−1a)と前記ポリイソシアネート化合物とを、ウレタン化触媒の存在下、50〜100℃の温度範囲で反応させる方法(方法1)、或いは、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物とを、エステル化触媒の存在下、150〜270℃の温度範囲で反応させてポリエステルポリオール(I−A−1b)を得た後、該ポリエステルポリオール(I−A−1b)と前記ポリイソシアネート化合物とを、ウレタン化触媒の存在下、50〜100℃の温度範囲で反応させる方法(方法2)などが挙げられる。
【0042】
尚、本願発明において、前記ポリエステル構造を有するポリオール(I−A)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、下記条件のゲルパーミアーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
【0043】
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN SuperHZ−L
+東ソー株式会社製 TSK−GEL SuperHZM−M×4
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0044】
(ポリオール成分A その他の成分)
本願においては、前述の通り、ポリエステルポリオールA1を含有することが必須であるが、本発明の効果を損なわない範囲において、他のポリオールを併用することは構わない。例えば、分岐構造を有さないポリエステルポリオールや、ポリエーテルポリオール等のポリオールを併用することができる。この場合ポリエステルポリオールA1の量は、分岐構造が前記式(1)の範囲であるならば特に限定されることはない。
分岐構造を有さないポリエステルポリオールとしては、前記ポリエステルポリオールA1において、分岐構造を有する原料である多価アルコール又は多価カルボン酸として3官能以上のアルコール、又は、3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物を用いない多価アルコールと多価カルボン酸の反応生成物であるならば特に限定なく使用することができる。
【0045】
(イソシアネート成分B ポリエーテルイソシアネートB1)
本発明で使用するイソシアネート成分BはポリエーテルイソシアネートB1を含む。
ポリエーテルイソシアネートは、イソシアネート化合物と、ポリエーテル基を有する多価アルコールとの反応生成物であるイソシアネートである。
ポリエーテルイソシアネートを使用することで、得られる接着剤の有機溶剤揮発性が向上する。
【0046】
イソシアネート化合物の例としては、例えば、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;
【0047】
シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;
【0048】
1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
【0049】
分子内にウレタン結合部位を有するアダクト型ポリイソシアネート化合物や、分子内にイソシアヌレート環構造を有するヌレート型ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0050】
ポリエーテル基を有する多価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の鎖状脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、等が挙げられる。
中でも、数平均分子量400〜1000のポリアルキレングリコールが好ましい。
【0051】
前記イソシアネート化合物と、前記ポリエーテル基を有する多価アルコールとを反応させる方法としては、特に限定されるものではないが、ウレタン化触媒の存在下、50〜100℃の温度範囲で反応させる方法などが挙げられる。また、反応の終点は、反応生成物のイソシアネート含有量を測定することによって判断可能である。
【0052】
(イソシアネート成分B その他の成分)
本願においては、前述の通り、ポリエーテルイソシアネートB1を含有することが必須であるが、本発明の効果を損なわない範囲において、他のイソシアネートを併用することは構わない。例えば、ポリエーテル基を有さないイソシアネート等を併用することができる。このようなイソシアネートとしては、前記ポリエーテルイソシアネートB1の反応で使用するイソシアネート化合物を適宜使用することができる。中でもトリメチロールプロパン(以下TMPと称する場合がある)アダクト型のトリレンジイソシアネートが好ましい。またこのときのポリエーテルイソシアネートB1の配合割合は、イソシアネート成分B全量に対し50.0質量%〜99.0質量%の範囲が好ましく、85.0質量%〜95.0質量%の範囲がなお好ましい。
【0053】
ここで、上記ポリイソシアネート(II)は、前記ポリオール成分(I)の硬化剤として作用するものであるが、後述するエポキシ化合物や水酸基含有ポリカーボネート樹脂を併用する場合には、これらの樹脂中に水酸基が含まれる場合には、該水酸基とも反応し硬化させることができる。
【0054】
(反応型接着剤)
本発明の反応性接着剤は、前記反応型接着剤中のイソシアネート基と水酸基とのモル比が2.5以上となるように配合することも特徴である。この範囲であればヒートシール耐性をなお向上させることができる。モル比は中でも2.8以上であることが好ましく、3.0以上であることが最も好ましい。一方上限は特に限定はないが硬化不良の観点から5.0以下であることが好ましい。
本発明では、イソシアネート基が過剰となるように配合する。ポリオール成分A中に含まれる水酸基と反応しきれないイソシアネート基は水分と反応してウレア結合となり、よりヒートシール耐性に寄与すると推定される。
【0055】
本発明の反応型接着剤は、前述の通り、ポリオール成分Aとイソシアネート成分Bとを必須成分とするものであるが、更に、脂肪族環状アミド化合物を、ポリオール成分Aとイソシアネート成分Bとのどちらか一方の成分に混合させるか、或いは、第3成分として塗工時に配合してもよい。
【0056】
ここで用いる脂肪族環状アミド化合物は、例えば、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−エナントールラクタム、η−カプリルラクタム、β−プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中でも低分子化学物質の溶出量低減の効果に優れる点からε−カプロラクタムが好ましい。また、その配合量は、ポリオール成分A100質量部あたり、脂肪族環状アミド化合物を0.1〜5質量部の範囲で混合させることが好ましい。
【0057】
本発明の反応型接着剤は、必要に応じて、顔料を併用してもよい。この場合使用可能な顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。これら着色剤の具体例としては種々のものが掲げられ、有機顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の各種(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
【0058】
無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン、酸化ジルコニウム等の各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の各種の硫化物ないしはセレン化物;硫酸バリウム、硫酸鉛等の各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫等の各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等のメタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
【0059】
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
【0060】
本発明で用いる顔料としては、耐久性、耐侯性、意匠性に優れることから、白色顔料としての酸化チタン、亜鉛華等の無機酸化物、黒色顔料としてのカーボンブラックがより好ましい。
【0061】
本発明で用いる顔料の質量割合は、イソシアネート成分Bとポリオール成分Aの合計100質量部に対して、1〜400質量部、中でも10〜300質量部とすることが、接着性、耐ブロッキング性などに優れることからより好ましい。
【0062】
また本発明の反応型接着剤には接着促進剤を用いることもできる。接着促進剤にはシランカップリング剤、チタネート系カップチング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0063】
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
【0064】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、テトラオクチレングリコールチタネート、チタンラクテート、テトラステアロキシチタン等を挙げることが出来る。
【0065】
また、アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げることが出来る。
【0066】
エポキシ樹脂としては、一般的に市販されているビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールのβ−メチルグリシジルエーテル、ノボラック樹脂のβ−メチルグリシジルエーテル、環状オキシラン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
【0067】
本発明で使用する反応型接着剤には、必要であれば、前記以外のその他の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、レベリング剤;コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子;ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子;消泡剤;タレ性防止剤;湿潤分散剤;粘性調整剤;紫外線吸収剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;無機系熱線吸収剤;防炎剤;帯電防止剤;脱水剤などが挙げられる。
【0068】
これらの顔料、接着促進剤、添加剤は、イソシアネート成分B又はポリオール成分Aのどちらか一方の成分に混合させるか、或いは、第3成分として塗工時に配合して使用することができる。これらのなかでも、顔料、接着促進剤、及び添加剤をポリオール成分Aに予め配合したプレミックスを本発明のラミネート接着剤用ポリオール組成物として調整し、反応型接着剤として使用することが、作業性の点から好ましい。
【0069】
(積層フィルム)
本発明の積層フィルムは、第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に前記反応型接着剤からなる接着剤層を積層してなる。具体的には、前記反応型接着剤を第一のプラスチックフィルムに塗布、次いで塗布面に第二のプラスチックフィルムを積層し、該接着剤層を硬化させて得られるものである。例えば前記反応型接着剤を、ロールコーター塗工方式で第一のプラスチックフィルムに塗布し、次いで、乾燥工程を経ることなく、他の基材を貼り合わせる方法が挙げられる。塗工条件は、通常のロールコーターでは、30℃〜90℃まで加熱した状態で、接着剤の配合液粘度が40℃で300〜3000mPa・s程度が好ましい。また塗布量は、固形分に換算し0.5〜5g/m
2が好ましく、より好ましくは、0.5〜3g/m
2程度で使用するのがよい。
【0070】
また、前記第一のプラスチックフィルム上に、印刷インキをグラビア又はフレキソ印刷したものを用いてもよく、この場合であっても良好なラミネート外観を呈することができる。前述の印刷インキは溶剤型、水性型又は活性エネルギー線硬化型インキを使用することがきる。
【0071】
本発明で使用する反応型接着剤を用いた場合、ラミネートした後、常温または加温下で、12〜72時間で接着剤が硬化し、実用物性を発現する。
【0072】
プラスチックフィルムは、包装分野で通常使用されている素材であるならば特に限定はない。例えば第一のプラスチックフィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ナイロンフィルム、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム、ポリ塩化ビニリデン等のKコートフィルム、各種蒸着フィルム等のベースフィルムやアルミ箔等がよく用いられる。また第二のプラスチックフィルムとしては、CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム、VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレン)フィルム、VMPET(アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート)フィルム、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルム、LDPE(低密度ポリエチレン)フィルム、HDPE(高密度ポリエチレン)フィルム、VMLDPE(アルミ蒸着無低密度ポリエチレン)フィルム等のシーラントフィルムがよく用いられる。
シーラントフィルムの厚みは、特に限定されないが、包装材料への加工性やヒートシール耐性などを考慮して10〜60μmの範囲が好ましく、15〜40μmの範囲がより好ましい。また、シーラントフィルムに高低差5〜20μmの凸凹を設けることで、シーラントフィルムに滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
【0073】
本発明においては、高速ラミネート加工しても優れた積層フィルム外観が得られるが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム/VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレン)フィルムのフィルム構成の場合200m/分以上、OPP/CPPのフィルム構成の場合350m/分以上の高速加工であっても良好な外観を呈することできる。
【0074】
(包装体)
本発明の包装体は、前記積層フィルムを袋状に成形してなり、具体的には前記積層フィルムをヒートシール処理することにより包装体の形態となる。また、包装体としての用途、必要な性能(易引裂性やハンドカット性)、包装体として要求される剛性や耐久性(例えば、耐衝撃性や耐ピンホール性など)などを考慮した場合、必要に応じて他の層を積層することもできる。通常は基材層、紙層、第2のシーラント層、不職布層などを伴って使用される。他の層を積層する方法としては、公知の方法を用いることができる。たとえば、他の層との層間に接着剤層を設けてドライラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法、押出しラミネート法などにより積層すればよい。他の層を積層する際に使用する接着剤としては、本発明の接着剤を使用してもよいし、他の1液タイプのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性ポリオレフィンの水性分散体などを用いてもよいが、本発明の効果を最大限発揮するためには、本発明の接着剤を使用することが好ましい。
【0075】
具体的な積層体構成としては、一般の包装体や蓋材、詰め替え容器などに好適に用いることが可能な、第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチックフィルム層、第一のプラスチック層をバリア層にした、基材層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチックフィルム層や紙容器、紙カップなどに好適に用いることが可能な、第二のプラスチックフィルム層/紙層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチックフィルム、第二のプラスチックフィルム層/紙層/ポリオレフィン樹脂層/基材層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチックフィルム層、紙層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/シーラント層やチューブ容器などに好適に用いることが可能な、第二のプラスチックフィルム層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチックフィルム層などが挙げられる。これら積層体は、必要に応じて、印刷層やトップコート層などを有していても構わない。
【0076】
「他の層」としては、前述のプラスチックフィルムを使用してもよいし、天然紙や合成紙等の紙層や、汎用のプラスチック素材のフィルムを使用してもよい。
【0077】
「他の層」は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。また「他の層」は、その他の材料と積層する場合の密着性を向上させるために、前処理としてフィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などしたものであってもよい。
【0078】
本発明の包装体の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラシック、ブリュックタイプ、チューブ容器、紙カップ、蓋材、など種々ある。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
【0079】
本発明の包装体は、主に食品、洗剤、薬剤を充填する包装体として工業的に使用することができる。具体的な用途としては、洗剤、薬剤として、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー、医薬用タブレット等が挙げられる。また、上記の容器を包装する2次包装体にも使用できる。特に前記反応型接着剤を用いているため、溶出が問題となるような食品、医薬品用途の包装体として好適に使用することができる。
【実施例】
【0080】
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。例中断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。
【0081】
合成例1[ポリオール成分A1の合成]
エチレングリコール31.13質量部、ジエチレングリコール294.00質量部、トリメチロールプロパン3.5質量部、テレフタル酸102.08質量部、イソフタル酸153.11質量部、アジピン酸27.86質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら260℃に加熱して1時間保持、後240℃に降温しエステル化反応を行った。酸価が5mgKOH/g以下になったところで反応容器を徐々に減圧し、1mmHg以下、200〜240℃で1時間反応させ、酸価1.2mgKOH/gのポリエステルポリオール樹脂を得た。
得られたポリエステルポリオール樹脂を酢酸エチルで希釈し固形分70%とし、80℃に降温した後トリレンジイソシアネート(製品名コスモネートT−80 三井化学社製)13.97質量部加え、70〜80℃でウレタン反応を行い、再度酢酸エチルで希釈し固形分70%のポリエステルポリウレタンポリオール樹脂を得た(これをポリオール成分A1とする)。
【0082】
合成例2[ポリオール成分A2の合成]
エチレングリコール31.13質量部、ジエチレングリコール294.00質量部、グリセリン2.39質量部、テレフタル酸102.08質量部、イソフタル酸153.11質量部、アジピン酸27.86質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら260℃に加熱して1時間保持、後240℃に降温しエステル化反応を行った。酸価が5mgKOH/g以下になったところで反応容器を徐々に減圧し、1mmHg以下、200〜240℃で1時間反応させ、酸価1.2mgKOH/gのポリエステルポリオール樹脂を得た。
得られたポリエステルポリオール樹脂を酢酸エチルで希釈し固形分70%とし、80℃に降温した後トリレンジイソシアネート(製品名コスモネートT−80 三井化学社製)13.97質量部加え、70〜80℃でウレタン反応を行い、再度酢酸エチルで希釈し固形分70%のポリエステルポリウレタンポリオール樹脂を得た(これをポリオール成分A2とする)。
【0083】
合成例3[ポリオール成分A3の合成]
エチレングリコール33.5質量部、ジエチレングリコール318.25質量部、テレフタル酸215.59質量部、イソフタル酸176.03質量部、アジピン酸143.29質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら260℃に加熱して1時間保持、後250℃に降温し酸価が3mgKOH/gを切るまでエステル化反応を行った。240℃に降温し反応容器を徐々に減圧し、1mmHg以下、200〜240℃で1時間反応させ、酸価1.5mgKOH/gのポリエステルポリオール樹脂を得た。得られたポリエステルポリオール樹脂を酢酸エチルで希釈し固形分75%とした(これをポリオール成分A3とする)。
【0084】
合成例3[イソシアネート成分B1の合成]
酢酸エチル228.66部、4’4メチレンジイソシアネート260.66質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら75℃まで昇温、数平均分子量約400のポリプロピレングリコール85.85質量部、数平均分子量約700のポリプロピレングリコール339.46質量部を加え70〜80℃でウレタン化反応を行った。NCO%が2.6〜3.2%、粘度がS−V間で一定になるまで反応を続けた後、70℃に降温し、トリメチロールプロパン(TMP)アダクト型のトリレンジイソシアネート(製品名デスモジュールL−75 住化バイエルウレタン社製)95.48質量部を加えよく攪拌し、固形分75%のイソシアネート成分B1を得た。
【0085】
(実施例、比較例)
表1の組み合わせに従い反応性接着剤を得た。
【0086】
(評価方法)
[ポリオール成分とポリイソシアネート成分の相溶性]
実施例または比較例の組み合わせで配合した反応性接着剤を、25℃で30分間放置した。その後、二層分離の有無を確認した。
二層分離なし、液クリア・・・○
二層分離なし、液濁り有り・・・△
二層分離あり・・・×
【0087】
[ヒートシール強度の評価]
ナイロンフィルム(ユニチカ社製;EMBLEM ON 15μm)に実施例または比較例の組み合わせで配合した反応性接着剤を塗工(固形分は3g/m
2)、ドライヤーにて溶剤を乾燥後、シーラントフィルムとして直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPEフィルム 東セロ社製;TUX HC−60μm)を貼り合わせ、40℃で72時間エージングし積層フィルムを得た。
得られた2つの積層フィルムのシーラントフィルム面同士を合わせ、1cm幅のシールバーにて180℃・1kgf/cm
2・1秒間ヒートシール処理し、ヒートシール耐性用試料とした。
【0088】
雰囲気温度25℃で、島津社製の引張り試験機を用いて、剥離速度を300mm/分に設定し、ヒートシール耐性用試料の両末端を引っ張り測定した際の引張り強度のピークをヒートシール耐性強度とした。
ヒートシール耐性強度の単位は、N/15mmとする。
【0089】
[ヒートシール耐性強度測定後のフィルム状態]
ヒートシール耐性強度測定時、強度のピークを示した後フィルムそのものが破断した場合を「破断」、破断せずラミネート層で剥離した場合を「×」とした。
なお破断は、接着剤層が強固に接着していることを示しており、実施に耐えうる物性であり、×は接着剤層そのものが脆弱であり実施に耐えない物性であることを示す。
【0090】
[塗工外観]
印刷インキ(DIC製「フィナート F407B中黄・R794白」)で図柄をグラビア印刷したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」と略記する。)に、実施例または比較例の組み合わせで配合した反応性接着剤を、ラミネーター(オリエント社製)で、塗布量が固形分2.7g/m
2程度となるように250m/minで塗布した。乾燥オーブン通過後VMPET(アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート)フィルムと貼合せ、積層フィルムを作製した。
その直後のラミネート外観を目視にて評価した。
評価○:外観良好
評価△:グラデーション部に気泡有り
評価×:ベタ部に気泡有り
【0091】
[残留溶剤量]
印刷インキ(DIC製「フィナート F407B中黄・R794白」)で図柄をグラビア印刷した2軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、「OPPフィルム」と略記する。)に、実施例または比較例の組み合わせで配合した反応性接着剤を、ラミネーター(オリエント社製)で、塗布量が固形分2.7g/m
2程度となるように250m/minで塗布した。乾燥オーブン(3ゾーン各55℃、65℃、75℃)通過後VMPET(アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート)フィルムと貼合せ、積層フィルムを作製した。
その直後のラミネート物を0.2m
2サンプリングし、約1.5cm角に断裁、三角フラスコに入れ密閉し、80℃の恒温槽に30分静置した後、ヘッドスペースより気体をサンプリングしガスクロマトグラフ(Agilent Technologies社製7890A)にて残留溶剤量を測定した。
【0092】
結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
表1において、市販ポリイソシアネートとして、トリメチロールプロパンアダクト型トリレンジイソシアネートを使用した。
【0095】
この結果、実施例で得た反応型接着剤は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の相溶性に問題はなく、得られた積層フィルムは、外観に優れ、十分なヒートシール耐性を示し、且つ外観に優れていた。さらに残留溶剤量も少なく優れていた。
比較例1はNCO/OHモル比が小さい例であり、外観は良好であったが十分なヒートシール耐性を示すに至らなかった。
比較例2はポリエーテルイソシアネートB1を含まない例である。ヒートシール耐性は優れていたが、外観が劣り、また残留溶剤量も著しく多かった。
比較例3、4はポリエステルポリオールA1中に分岐成分を含まなかった例である。何れもヒートシール耐性が不十分であった。