特許第6621679号(P6621679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6621679オーディオ信号処理装置およびオーディオ信号処理装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6621679
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】オーディオ信号処理装置およびオーディオ信号処理装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20191209BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H01L21/90 B
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-26325(P2016-26325)
(22)【出願日】2016年2月15日
(65)【公開番号】特開2017-147282(P2017-147282A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年1月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中元 聖子
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−022869(JP,A)
【文献】 特開2015−142013(JP,A)
【文献】 特開2002−368085(JP,A)
【文献】 特開2005−327898(JP,A)
【文献】 特表2013−541195(JP,A)
【文献】 特開平06−163721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 23/522
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1層に設けられた第1導電路と、
前記基板の前記第1層とは異なる第2層に設けられた第2導電路と、
前記第1導電路と第1の接続領域で接続し、前記第2導電路と第2の接続領域で接続する接続路と、
を備え、
前記第1導電路は、前記第1の接続領域から第1方向に延伸しており、
前記第2導電路は、前記第2の接続領域から前記第1方向とは逆の方向の第2方向を成分として含む方向に延伸しており、
前記第2の接続領域は、前記基板の断面視において、前記第1の接続領域に対して前記第2方向にずれて配置されており、
前記接続路は、前記第1の接続領域および前記第2の接続領域の間を結ぶ少なくとも1つの直線経路を内部に含み、
前記接続路は複数のビアと、前記複数のビアに含まれるビア同士を電気的に接続する中間配線層とを備え、
前記複数のビアは、前記基板の断面視において、前記第1層から前記第2層に向かって前記第2方向に順にずれて配置されており、
前記複数のビアに含まれるビアは、前記基板の断面視において、隣接するビアと前記基板の厚み方向に重なりを有するオーディオ信号処理装置。
【請求項2】
前記第2の接続領域は、前記基板の厚み方向に前記第1の接続領域と重なりを有する請求項1に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項3】
前記複数のビアのうち第1ビアと、当該第1ビアに対して前記第2層側で隣接する第2ビアとの前記第2方向でのずれ量は、
前記第1ビアの前記第1層側の端面から、前記第2ビアの前記第1層側の端面までの、前記基板の厚さ方向の長さの0.4倍以上、2.0倍以下である請求項1または2に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項4】
前記複数のビアは、前記基板の平面視において、前記第1層から前記第2層に向かって前記第2方向に順にずれて配置されており、且つ、隣接するビアと重なりを有する請求項1から3のいずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項5】
前記基板は、前記第1層および前記第2層の間に絶縁層 を有し、
前記接続路は、前記絶縁層を貫通している請求項1からのいずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項6】
前記第1の接続領域の面積をS1、前記第2の接続領域の面積をS2としたときに、
0.8×S1<S2<1.2×S1を満たす請求項1からのいずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項7】
前記第1導電路、前記接続路、および前記第2導電路は、オーディオ信号を伝送する請求項1からのいずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項8】
前記第2導電路は、前記第2の接続領域から前記第2方向に延伸している請求項1からのいずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項9】
前記第1導電路から前記接続路を通り、前記第2導電路へと流れる電流経路を備える請求項1からのいずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項10】
オーディオ信号処理装置の製造方法であって、
基板の第1層において、第1の接続領域から第1方向に延伸する第1導電路を形成する段階と、
前記基板の前記第1層および第2層の間に、前記第1導電路と前記第1の接続領域で接する接続路を形成する段階と、
前記第2層において、前記接続路に第2の接続領域で接続され、前記第2の接続領域から前記第1方向とは逆の方向の第2方向を成分として含む方向に延伸する第2導電路を形成する段階と、
を備え、
前記第2の接続領域は、前記基板の断面視において、前記第1の接続領域に対して前記第2方向にずれて配置されており、
前記接続路は、前記第1の接続領域および前記第2の接続領域の間を結ぶ少なくとも1つの直線経路を内部に含み、
前記接続路は複数のビアと、前記複数のビアに含まれるビア同士を電気的に接続する中間配線層とを備え、
前記複数のビアは、前記基板の断面視において、前記第1層から前記第2層に向かって前記第2方向に順にずれて配置されており、
前記複数のビアに含まれるビアは、前記基板の断面視において、隣接するビアと前記基板の厚み方向に重なりを有する
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ信号処理装置およびオーディオ信号処理装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の層を基板内に有するオーディオ信号処理装置では、図7に示すように、絶縁層90に設けられたビア900を介して2つの層92、93の導電路920、930が接続されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開平6−69355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、2つの層92、93の導電路920、930を単純に垂直なビア900で接続すると、図8に示すように、ビア900内に電流密度の局所的な濃淡が大きく生じる結果、電流密度が急変する箇所で、意図しない電磁波の輻射(不要輻射とも称する)が生じてしまう。このような不要輻射は、周囲の回路の誤作動を引き起こすことで、正しい音の再生を阻害し、音質を低下させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、オーディオ信号処理装置であって、基板の第1層に設けられた第1導電路と、基板の第1層とは異なる第2層に設けられた第2導電路と、第1導電路と第1の接続領域で接続し、第2導電路と第2の接続領域で接続する接続路と、を備え、第1導電路は、第1の接続領域から第1方向に延伸しており、第2導電路は、第2の接続領域から第1方向とは逆の方向の第2方向を成分として含む方向に延伸しており、第2の接続領域は、基板の断面視において、第1の接続領域に対して第2方向にずれて配置されており、接続路は、第1の接続領域および第2の接続領域の間を結ぶ少なくとも1つの直線経路を内部に含む、オーディオ信号処理装置、および、当該オーディオ信号処理装置の製造方法を提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の層構成を示す模式図である。
図2】本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の層構成の変形例(1)を示す模式図である。
図3】本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の層構成の変形例(2)を示す模式図である。
図4】本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の層構成の変形例(3)を示す模式図である。
図5】ビアの位置関係を示す模式図である。
図6】本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図7】従来のオーディオ信号処理装置の層構成を示す模式図である。
図8】従来のオーディオ信号処理装置で生じる電流密度の濃淡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
[オーディオ信号処理装置の層構成]
図1は、本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の層構成を示す模式図である。この図に示すように、オーディオ信号処理装置100は、基板1内に第1層10および第2層20と、第1層10および第2層20の間に介在して両者を電気的に接続する接続路31とを備えている。なお、第1層10および第2層の上下には、他の層が設けられていてもよい。また、ここでいう基板とは、半導体等のデバイスチップ内の基板であって、半導体等のデバイス製造プロセスを用いて形成されるものである。
【0009】
第1層10には、接続路31に対する第1の接続領域110から第1方向101に延伸して第1点12へと至る第1導電路11が設けられている。第1層10とは異なる第2層20には、接続路31に対する第2の接続領域210から延伸して第2点22へと至る第2導電路21が設けられている。
【0010】
ここで、第1導電路11および第2導電路21の各延伸方向は、基板1の面内方向、つまり、基板1の法線に垂直な平面内の方向である。また、第2導電路21の延伸方向は、基板1の面内方向のうち少なくとも第1方向101とは逆の方向の第2方向102を成分として含む方向となっている。この方向は、第2方向102と同一であってもよいし、第2方向102に対し−90°から+90°の範囲で向きが異なってもよい。前者の場合には、第2導電路21は第2の接続領域210から第2方向102へ延伸する。以上の第1層10および第2層20には、オーディオ信号処理装置100の全体としてオーディオ信号の信号処理を行う任意の回路の少なくとも一部が設けられていてよい。
【0011】
接続路31は、第1導電路11と第1の接続領域110で接続し、第2導電路21と第2の接続領域210で接続する。例えば、基板1は第1層10および第2層20の間に絶縁層30を有しており、接続路31は絶縁層30を貫通する。一例として、接続路31は、絶縁層30を貫通するビア310を有しており、このビア310の一方の端面(図中、下側の端面)は第1導電路11に第1の接続領域110で接続され、ビア310の他方の端面(図中、上側の端面)は第2導電路21に第2の接続領域210で接続されている。
【0012】
以上の第1導電路11、接続路31、および第2導電路21は、第1導電路11から接続路31を通り、第2導電路21へと流れる電流経路109を形成し、オーディオ信号処理の処理前および処理後の少なくとも一方のオーディオ信号を伝送するようになっている。一例として、第1導電路11、接続路31、および第2導電路21は、オーディオ信号処理装置100におけるアナログ/デジタルのオーディオ信号を伝送する。
【0013】
ここで、以上の基板1では、第2の接続領域210は基板1の断面視において、第1の接続領域110に対して第2方向102にずれて配置されており、且つ、接続路31が第1の接続領域110および第2の接続領域210の間を結ぶ少なくとも1つの直線経路(図中の電流経路109の直線部分参照)を内部に含んでいる。例えば、第2の接続領域210は、基板1の断面視において基板1の厚み方向に第1の接続領域110と重なりを有してよい。但し、接続路31における上述の直線経路と基板1の法線とのなす角度が基準角度よりも大きい場合には、第1の接続領域110および第2の接続領域210が基板1の断面視において基板1の厚み方向に重なりを有していなくてもよい。
【0014】
一方、これら第1の接続領域110および第2の接続領域210に接続されるビア310は、第1層10の側から第2層20の側に向かって、第2方向102に位置をずらして設けられている。なお、第2の接続領域210が基板1の断面視において基板1の厚み方向に第1の接続領域110と重なりを有する限りにおいて、接続路31は第1の接続領域110および第2の接続領域210の間を結ぶ少なくとも1つの直線経路を内部に含んでいなくてもよい。
【0015】
これらのような構成によれば、オーディオ信号が急角度で曲がることなく、第1導電路11から第2導電路21へ伝送される。従って、伝送経路内に生じる電流密度の局所的な濃淡が低減される結果、不要輻射の発生を防ぐことができる。よって、回路の誤作動が生じて音質が低下するのを防ぐことができる。
【0016】
また、第1の接続領域110の面積をS1、第2の接続領域210の面積をS2としたときに、面積S1、S2は略等しいことが好ましい。例えば、面積S1、S2は、0.8×S1<S2<1.2×S1を満たしてよい。このような構成によれば、オーディオ信号の伝送経路内に生じる電流密度の局所的な濃淡がいっそう低減される結果、不要輻射の発生をより確実に防ぐことができる。よって、回路の誤作動が生じて音質が低下するのを確実に防ぐことができる。
【0017】
[オーディオ信号処理装置の製造方法]
以上のようなオーディオ信号処理装置100を製造するには、まず、基板1の第1層10に、第1の接続領域110から第1方向101に延伸する第1導電路11を形成する。例えば、任意の半導体集積回路の形成技術を用いて、基板1の第1層10に第1導電路11を形成する。このとき、オーディオ信号の信号処理回路の少なくとも一部を第1層10に形成してもよい。
【0018】
次に、形成済みの第1層10と、これから形成される第2層20との間に、第1導電路11と第1の接続領域110で接続し、第2層20と第2の接続領域210で接続する接続路31を形成する。ここで、第2の接続領域210が第1の接続領域110に対して第2方向102にずれて配置され、且つ、接続路31が第1の接続領域110および第2の接続領域210の間を結ぶ少なくとも1つの直線経路を内部に含むようにする。
【0019】
このような接続路31を形成するには、例えば、インクジェット法などの印刷法を用い、第1層10の上部に絶縁材料を吐出して絶縁層30を形成しつつ、導電性材料を吐出してビア310を形成することで、第1層10の側から第2層20の側に向かって第2方向102に位置がずれた接続路31を絶縁層30内に埋設する。
【0020】
または、第1層10の上部に任意の方法で形成された絶縁層30に対しフォトビア法によって法線と非平行なスルーホールを形成するか、或いは、レーザ加工によって法線と非平行なスルーホールを形成した絶縁性の薄板状部材を第1層10に接合するかの後、スルーホールに導電性材料のペーストまたは溶融金属を充填してもよい。これらの場合にも、第1層10の側から第2層20の側に向かって第2方向102に位置がずれた接続路31を絶縁層30内に埋設することができる。導電性材料としては、銅やアルミニウム、半田など、任意の材料を用いることができる。
【0021】
次に、第2層20に、接続路31に第2の接続領域210で接続され、第2の接続領域210から第2方向102を成分として含む方向に延伸して第2点22に至る第2導電路21を形成する。例えば、任意の半導体集積回路の形成技術を用いて、絶縁層30の上部に第2層20を形成しつつ、この第2層20に第2導電路21を形成する。このとき、オーディオ信号の信号処理回路の少なくとも一部を第2層20に形成してもよい。
これにより、オーディオ信号処理装置100が製造される。
【0022】
[オーディオ信号処理装置の層構成の変形例(1)]
図2は、本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の層構成の変形例(1)を示す模式図である。この図に示すように、本変形例におけるオーディオ信号処理装置400の基板4は、接続路31の代わりに接続路41を備えている。
【0023】
接続路41は、絶縁層30を貫通するビア410を有している。このビア410は、上述のビア310とは異なり、少なくとも第1導電路11および第2導電路21との接続部分において、第1導電路11および第2導電路21との間で接線の傾きが連続するように形成されている。
以上のオーディオ信号処理装置400によれば、第1導電路11および第2導電路21とビア410との接続部分でオーディオ信号が急角度で曲がり難くなるため、より確実に不要輻射の発生、ひいては音質の低下を防ぐことができる。
【0024】
[オーディオ信号処理装置の層構成の変形例(2)]
図3は、本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の層構成の変形例(2)を示す模式図である。この図に示すように、本変形例におけるオーディオ信号処理装置500の基板5は、絶縁層30の代わりに複数の絶縁層52、53、54を備えている。これらの絶縁層52、53、54は、第1層10および第2層20の間にこの順で形成されている。
【0025】
また、基板5は、接続路31の代わりに接続路51を備えている。接続路51は、第1の接続領域110および第2の接続領域210の間を結ぶ少なくとも1つの直線経路を内部に含んでいる。例えば、接続路51は、複数の絶縁層52、53、54のそれぞれを各々貫通する複数のビア520、530、540を有している。一例として、これらのビア520、530、540は、絶縁層52、53、54を法線方向(厚さ方向)に貫通してよい。
【0026】
複数のビア520、530、540は、基板5の断面視において、第1層10から第2層20に向かって第2方向102に順にずれて配置されており、基板5の断面視において、隣接するビア520、530、540と基板5の厚み方向に重なりを有している。
【0027】
例えば、第1層10に最も近いビア(第1ビア)520に対して第2層20の側に隣接するビア(第2ビア)530は、ビア520よりも、第2方向102において第2点22の側に設けられ、かつ、基板5の断面視においてビア520と厚み方向に重なりを有している。同様に、2番目に第1層10に近いビア(第1ビア)530に対して第2層20の側に隣接するビア(第2ビア)540は、ビア530よりも、第2方向102において第2点22の側に設けられ、かつ、基板5の断面視においてビア530と厚み方向に重なりを有している。
【0028】
別言すれば、複数のビア520、530、540のうち第2層20に最も近いビア540を除くビア520、530のそれぞれは、第2層20の側に隣接するビア530、540よりも第2方向102において第2点22から離して設けられ、かつ、ビア530、540との間に、第2方向102に延伸する厚み方向の重なりを有してよい。
【0029】
一例として、第2方向102におけるビア520、530の位置ずれ量Δ1は、第2方向102におけるビア520の長さw1よりも小さくてよい。同様に、第2方向102におけるビア530、540の位置ずれ量Δ2は、第2方向102におけるビア530の長さw2よりも小さくてよい。
【0030】
また、例えば、複数のビア520、530、540のうち第2層20に最も近いビア540を除くビア520、530は、第2層20の側に隣接するビア530、540よりも、第2方向102におけるビア530、540の長さw2、w3未満の距離(Δ1、Δ2)分だけ第1方向101において第2点22から離して設けられる。
【0031】
これにより、ビア520、530、540を有する接続路51は、第1層10の側から第2層20の側に向かって、第2方向102に位置をずらして設けられた状態となっている。
【0032】
ここで、本変形例(2)においては、ビア(第1ビア)520における第1層10の側の端面から、ビア(第2ビア)530における第1層10の側の端面までの、基板5の厚さ方向の長さは、絶縁層52の厚さd1と等しい。この絶縁層52の厚さd1に対して第2方向102におけるビア520、530間の位置ずれ量Δ1が小さいと、電流密度の濃淡が発生しやすくなる。また、第2方向102において第1導電路11および第2導電路21の間隔が大きくなるほど、接続路51に多数の絶縁層(ビア)が必要になって基板1の厚さが大きくなる。従って、ビア520、530の位置ずれ量Δ1は、ビア520が設けられた絶縁層52の厚さd1の0.4倍以上であることが好ましく、より好ましくは0.6倍以上であり、更に好ましくは0.8倍以上であり、特に好ましくは0.9倍以上である。
【0033】
同様に、本変形例(2)においては、ビア(第1ビア)530における第1層10の側の端面から、ビア(第2ビア)540における第1層10の側の端面までの、基板5の厚さ方向の長さは、絶縁層53の厚さd1と等しい。そして、ビア530、540の位置ずれ量Δ2は、ビア530が設けられた絶縁層53の厚さd2の0.4倍以上であることが好ましく、より好ましくは0.6倍以上であり、更に好ましくは0.8倍以上であり、特に好ましくは0.9倍以上である。
【0034】
一方、絶縁層52の厚さd1に対して第2方向102におけるビア520、530間の位置ずれ量Δ1が大きいと、ビア520とビア530との接合部が狭くなり、電流密度の高い部分が発生する結果、電流密度の濃淡が発生する。また、第2方向102における導電路の長さが大きくなる。そのため、ビア520、530の位置ずれ量Δ1は絶縁層52の厚さd1の2.0倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.6倍以下であり、更に好ましくは1.3倍以下であり、特に好ましくは1.1倍以下である。同様に、ビア530、540の位置ずれ量Δ2は絶縁層53の厚さd2の2.0倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.6倍以下であり、更に好ましくは1.3倍以下であり、特に好ましくは1.1倍以下である。
【0035】
また、絶縁層52、53、54の厚さd1、d2、d3に対して、そのビア520、530、540の第2方向102での長さw1、w2、w3が小さいと、オーディオ信号がビア520、530、540を通過するときに急角度で曲がることになってしまう。そのため、第2方向102でのビア520の長さw1は絶縁層52の厚さd1以上であることが好ましく、第2方向102でのビア530の長さw2は絶縁層53の厚さd2以上であることが好ましく、第2方向102でのビア540の長さw3は絶縁層54の厚さd3以上であることが好ましい。
【0036】
ここで、ビア520、530同士が位置ずれするように絶縁層52の上部に絶縁層53を形成する方法について説明する。まず、ビア520の上面の一部と、絶縁層52における絶縁領域の一部とにわたって、絶縁層52の上面のうちビア530の形成領域にエッチストップ層を成膜する。次に、絶縁層52およびエッチストップ層の上部に絶縁材料の層を成膜する。次に、絶縁材料の層におけるビア530の形成領域を、エッチストップ層の上面に達する深さまでエッチング除去する。次に、エッチストップ層を除去することで、絶縁層52の上面のうち、ビア520の上面の一部を含む、ビア530の形成領域を露出させる。そして、形成されたビアホールに導電性材料のペーストまたは溶融金属を充填してビア530を形成する。これにより、絶縁層52の上部に絶縁層53が形成される。絶縁層53の上部に絶縁層54を形成する場合にも、同様の方法を用いることができる。
【0037】
以上のオーディオ信号処理装置500によれば、複数の絶縁層52、53、54を貫通する複数のビア520、530、540が互いに第2方向102に位置をずらして設けられていることによって、基板4の断面視において第2の接続領域210が第1の接続領域110に対して第2方向102にずれて設けられた状態となる。従って、法線と非平行なビアを設ける手間を省くことができる分、容易に電流密度の局所的な濃淡を低減し、不要輻射の発生、ひいては音質の低下を防ぐことができる。
【0038】
[オーディオ信号処理装置の層構成の変形例(3)]
図4は、本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の層構成の変形例(3)を示す模式図である。
【0039】
この図に示すように、本変形例のオーディオ信号処理装置600における基板6の接続路61は、第1の接続領域110および第2の接続領域210の間を結ぶ少なくとも1つの直線経路を内部に含んでおり、隣接するビア520、530、540同士を電気的に接続する中間配線層62、63を有している。例えば、基板6は、隣接する絶縁層52、53の間に中間配線層62を備えている。そして、これらの絶縁層52、53のビア520、530は、当該ビア520、530同士の間の中間配線層62を介して電気的に接続されている。
【0040】
同様に、基板6は、隣接する絶縁層53、54の間に中間配線層63を備えている。そして、これらの絶縁層53、54のビア530、540は、当該ビア530、540同士の間の中間配線層63を介して電気的に接続されている。
【0041】
中間配線層62、63におけるビア520、530、540との当接領域には、導電パッド620、630が貫通して設けられてよい。さらに、導電パッド620はビア520における第2層20の側の端面と、ビア530における第1層10の側の端面とを覆い、導電パッド630はビア530における第2層20の側の端面と、ビア540における第1層10の側の端面とを覆ってよい。導電パッド620、630の抵抗率は、ビア520、530、540の抵抗率と概ね等しいことが好ましい。
【0042】
ここで、第2方向102におけるビア520、530、540の位置ずれ量Δと、第2方向102におけるビア520、530、540の長さwと、絶縁層52、53、54との関係は、上述の変形例(2)におけるビア520、530、540の位置ずれ量Δと、ビア520、530、540の長さwと、絶縁層52、53、54の厚さdとの関係と同様であってよい。但し、本変形例(3)においては、ビア520における第1層10の側の端面からビア530における第1層10の側の端面までの、基板6の厚さ方向の長さは、絶縁層52および中間配線層62の厚さd1と等しい。そのため、絶縁層52、53、54の厚さに代えて、絶縁層52、53、54および中間配線層62、63の厚さを用いてもよい。
【0043】
図5(a)は、ビア520、530、540の位置関係を示す模式図である。なお、図5では、基板6を第1層10または第2層20の側から平面視した場合の基板6の構成を簡略化して図示しており、また、ビア520を点線、ビア530を破線、540を実線で図示している。
【0044】
この図に示すように、複数のビア520、530、540のそれぞれは、基板6の面内方向のうち第2方向102とは垂直の第3方向103の長さよりも、第2方向102の長さが大きくなっている。
【0045】
また、複数のビア520、530、540は、基板6の平面視において、第1層10から第2層20に向かって第2方向102に順にずれて配置されており、且つ、隣接するビア520、530、540との間で第3方向103に重なりを有している。なお、図5(b)に示すように、ビア530、540は、第1層10の側に隣接するビア520、530と第3方向103に離間して設けられてもよい。この場合であっても、ビア520、530、540同士は中間配線層62、63を介して電気的に接続される。但し、オーディオ信号がビア520、530、540の間を伝送されるときに第3方向103に曲げられるため、第3方向103への位置ずれ量は小さい方が好ましい。
【0046】
ここで、中間配線層62の導電パッド620を間に挟んでビア520、530同士が位置ずれするように絶縁層52の上部に絶縁層53を形成する方法について説明する。まず、ビア520の上面と、ビア530の形成領域とにわたって導電パッド620が形成されるように、絶縁層52の上面に中間配線層62を設ける。次に、中間配線層62の上部に絶縁材料の層を成膜する。次に、導電パッド620をエッチストップとして用い、絶縁材料の層におけるビア530の形成領域を、導電パッド620の上面に達する深さまでエッチング除去することで、中間配線層62の上面(導電パッド620の上面)のうち、ビア530の形成領域を露出させる。そして、形成されたビアホールに導電性材料のペーストまたは溶融金属を充填してビア530を形成する。これにより、中間配線層62を間に挟んで絶縁層52の上部に絶縁層53が形成される。中間配線層63を間に挟んで絶縁層53の上部に絶縁層54を形成する場合にも、同様の方法を用いることができる。
【0047】
以上のオーディオ信号処理装置600によれば、ビア520、530、540の間に中間配線層62、63の導電パッド620、630が介在するので、ビア520、530、540同士を第2方向102に位置ずれさせる場合であっても、オーディオ信号の伝送経路の幅が狭くなってしまうのを防止することができる。また、中間配線層62をエッチストップとして用いることができるので、ビア520、530、540の位置を第2方向102に位置ずれさせて絶縁層52、53、54を直接積層する場合と比較して、オーディオ信号処理装置600の製造を容易化することができる。
【0048】
[オーディオ信号処理装置の機能構成]
図6は、本実施形態に係るオーディオ信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。この図に示すように、オーディオ信号処理装置100、400、500、600は、入力部70と、信号処理部71と、出力部72とを備えており、入力部70、信号処理部71及び出力部72の少なくとも1つが上述の基板1、4、5、6を含んで形成されている。また、入力部70と信号処理部71を結ぶ配線、及び/または、信号処理部71と出力部72を結ぶ配線が上述の基板1、4、5、6を含んで形成されていてもよい。また、信号処理部71は、電源およびクロック信号生成部などを含んでいても良く、これらの電源およびクロック信号生成部などのいずれかが基板1、4、5、6を含んで形成されていてもよい。
【0049】
入力部70は、オーディオ信号を受信して信号処理部71に提供する。例えば、入力部70は、オーディオデータを記憶した記憶装置などに有線で接続されてもよいし、放送局などに無線で接続されてもよい。
【0050】
信号処理部71は、入力部70から提供されるオーディオ信号に信号処理を施して出力部72に提供する。例えば、信号処理は、A/D変換、ノイズ除去などの信号処理を行ってよい。
【0051】
出力部72は、信号処理部71から提供されるオーディオ信号に応じた音を出力する。例えば、出力部72は、信号処理部71からのオーディオ信号を可聴帯域の音に変換して出力する。一例として、出力部72は、イヤホン、ヘッドホン、スピーカ等であってよい。
【0052】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0053】
例えば、上記の実施形態においては、基板1、4、5、6がオーディオ信号処理装置100、400、500、600に含まれることとして説明したが、内部で信号を伝送する他の装置に含まれても良い。
【0054】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 基板、4 基板、5 基板、6 基板、10 第1層、11 第1導電路、12 第1点、20 第2層、21 第2導電路、22 第2点、30 絶縁層、31 接続路、41 接続路、51 接続路、52 絶縁層、53 絶縁層、54 絶縁層、62 中間配線層、63 中間配線層、70 入力部、71 信号処理部、72 出力部、90 絶縁層、92 層、93 層、100 オーディオ信号処理装置、101 第1方向、102 第2方向、103 第3方向、109 電流経路、110 第1の接続領域、210 第2の接続領域、310 ビア、400 オーディオ信号処理装置、410 ビア、500 オーディオ信号処理装置、520 ビア、530 ビア、540 ビア、600 オーディオ信号処理装置、620 導電パッド、630 導電パッド、900 ビア、920 導電路、930 導電路
図1
図2
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図8