(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622235
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20191209BHJP
H04W 80/02 20090101ALI20191209BHJP
H04W 16/18 20090101ALI20191209BHJP
【FI】
H04L12/28 200B
H04W80/02
H04W16/18 110
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-31222(P2017-31222)
(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公開番号】特開2018-137630(P2018-137630A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 尊広
(72)【発明者】
【氏名】久野 大介
(72)【発明者】
【氏名】中山 悠
(72)【発明者】
【氏名】清水 達也
【審査官】
大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−114356(JP,A)
【文献】
特開2005−101690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04W 16/18
H04W 80/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイヤー2スイッチを有し、所定の条件が満たされた場合には高優先フレームを他のフレームの送信中に割り込み送信するネットワークシステムにおいて、
前記レイヤー2スイッチは、
前記他のフレームの長さを、割り込み送信が実行される前記所定の条件を満たさない長さに分割し、分割後のフレームを送信するフレームサイズ変更部を備える、ネットワークシステム。
【請求項2】
前記高優先フレームは、無線アクセスネットワークにおける張り出しアンテナ装置と基地局装置との間で行われる通信のフレームである、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記レイヤー2スイッチは、
トラヒックをモニタリングするトラヒックモニター部をさらに備え、
前記フレームサイズ変更部は、前記トラヒックモニター部のモニター結果に応じて、前記他のフレームを分割して送信する、請求項1又は2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記トラヒックモニター部は、前記レイヤー2スイッチで処理される高優先フレームの量に関する情報を取得する、請求項3に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記フレームサイズ変更部は、前記他のフレームの送信中に前記高優先フレームが割り込み送信可能な長さよりも短い長さに前記他のフレームを分割する、請求項1から4のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記レイヤー2スイッチは、
自装置の前記フレームサイズ変更部が前記他のフレームの分割を行った場合、自装置に隣接する他のレイヤー2スイッチに対し、分割を行ったことを示す分割制御情報を送信する分割制御情報送信部をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記フレームサイズ変更部は、隣接する他のレイヤー2スイッチから前記分割制御情報が受信された場合に、前記他のフレームの分割を行う、請求項6に記載のネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優先度に応じて割込送信が行われるレイヤー2のネットワークの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、増加するモバイルトラヒックを効率的に収容するため、C−RAN(Centralized Radio Access Network)構成が検討されている(非特許文献1参照)。C−RANでは、多数のRE(Radio Equipment)が高密度で配置され、集約配置されたRECs(Radio Equipment Controls)に接続される。また、IEEE 802.1CMにおいて、フロントホールのトラヒックをL2ネットワークに収容する検討が進められている(非特許文献2参照)。一方、IoT(Internet of Things)の一部に代表される、遅延を許容するトラヒック(遅延許容トラヒック)をアクセスネットワークに収容する検討も進められている。これらを鑑みて、フロントホール、バックホールに加え、遅延許容トラヒックを同一のL2ネットワークに収容したマルチサービス収容アクセスネットワーク(マルチサービスNW)を検討した報告がなされている(非特許文献3参照)。
【0003】
レイヤー2ネットワークでは、非特許文献2の標準規格であるframe preemptionにより優先制御が行われる。この優先制御では、高優先フレームは、RECからREに至る各ノードにおいて、フレーム先頭の一定バイトを読み込んで転送される。各ノードが高優先以外のフレームの処理を行っていた場合、その処理を中断させて高優先フレームの転送処理が行われる。そのため、遅延は一定時間に抑えることができる。一方で、高優先以外のフレームについても異なる優先度が存在する。
【0004】
図7は、従来の優先制御が行われるネットワークの概略を示す図である。ネットワークは、複数のノード90(例えばノード90−1及び90−2)を備える。複数のノードによって構成されるネットワークは、例えばレイヤー2のネットワークである。この場合、各ノード90は、レイヤー2のスイッチであってもよい。1つのノード90には、複数の種類の優先度のフレームが入力される。
図7の例では、高優先フレームと遅延許容フレームとがノード90−1に入力される。ノード90−1は、入力されたフレームを、優先度に応じて順番に隣接する下流のノード(
図7の例ではノード90−2)に送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ドコモ5Gホワイトペーパー,https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/whitepaper_5g/
【非特許文献2】IEEE P802.1CM Draft 0.3, http://www.ieee802.org/1/pages/802.1cm.html
【非特許文献3】久保 他,電子情報通信学会ソサイエティ大会2016,B−8−25,2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7に示されるように、従来から優先制御は提案されている。しかしながら、遅延許容フレームが高優先フレームのframe preemptionの影響を受けると、遅延及びジッターが増加する可能性がある。すなわち、高優先フレームがレイヤー2ネットワークのトラヒックに占める割合が高い場合、遅延許容フレームの処理が繰り返し後回しとなってしまい、低遅延及び低ジッターに抑えることが困難となる。
【0007】
図8は、従来の課題の概略を示す図である。
図8では、遅延許容フレームが高優先フレームよりも先にノードに入力されている。最小遅延が経過した後、遅延許容フレームは出力される。しかしながら、高優先フレームの出力が可能な状態になると、遅延許容フレームの出力が停止され、高優先フレームの出力が開始される。その後、高優先フレームの出力が完了すると、遅延許容フレームの出力が再開される。しかしながら、
図8に示されるように再度高優先フレームが入力されると、再び高優先フレームの出力が開始されてしまう。このように高優先フレームが頻繁に入力される環境では、遅延許容フレームに対してframe preemptionの影響が大きくなり、出力時間の遅延及びフレーム分割が生じてしまう。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、優先度に応じて割込送信が行われるレイヤー2ネットワークにおいて、低い優先度のフレームへの悪影響を抑える事が可能となる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、レイヤー2スイッチを有し、所定の条件が満たされた場合には高優先フレームを他のフレームの送信中に割り込み送信するネットワークシステムにおいて、前記レイヤー2スイッチは、前記他のフレームの長さを、割り込み送信が実行される前記所定の条件を満たさない長さに分割し、分割後のフレームを送信するフレームサイズ変更部を備える、ネットワークシステムである。
【0010】
本発明の一態様は、上記ネットワークシステムであって、前記高優先フレームは、無線アクセスネットワークにおける張り出しアンテナ装置と基地局装置との間で行われる通信のフレームである。
【0011】
本発明の一態様は、上記ネットワークシステムであって、前記レイヤー2スイッチは、トラヒックをモニタリングするトラヒックモニター部をさらに備え、前記フレームサイズ変更部は、前記トラヒックモニター部のモニター結果に応じて、前記他のフレームを分割して送信する。
【0012】
本発明の一態様は、上記ネットワークシステムであって、前記トラヒックモニター部は、前記レイヤー2スイッチで処理される高優先フレームの量に関する情報を取得する。
【0013】
本発明の一態様は、上記ネットワークシステムであって、前記フレームサイズ変更部は、前記他のフレームの送信中に前記高優先フレームが割り込み送信可能な長さよりも短い長さに前記他のフレームを分割する。
【0014】
本発明の一態様は、上記ネットワークシステムであって、前記レイヤー2スイッチは、自装置の前記フレームサイズ変更部が前記他のフレームの分割を行った場合、自装置に隣接する他のレイヤー2スイッチに対し、分割を行ったことを示す分割制御情報を送信する分割制御情報送信部をさらに備える。
【0015】
本発明の一態様は、上記ネットワークシステムであって、前記フレームサイズ変更部は、隣接する他のレイヤー2スイッチから前記分割制御情報が受信された場合に、前記他のフレームの分割を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、優先度に応じて割込送信が行われるレイヤー2ネットワークにおいて、低い優先度のフレームへの悪影響を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明におけるネットワークシステムの一具体例を示す図である。
【
図3】フレームサイズ変更部43の動作の具体例を示す図である。
【
図4】割込制御部44による送信処理の概略を示す図である。
【
図5】L2ネットワーク30の一部を具体例として抽出した図である。
【
図6】ノード40の処理の具体例を示すフローチャートである。
【
図7】従来の優先制御が行われるネットワークの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明におけるネットワークシステムについて説明する。
図1は、本発明におけるネットワークシステムの一具体例を示す図である。REC10及びRE20は、L2ネットワーク30に接続されている。L2ネットワーク30を介することによって、REC10及びRE20は相互に通信可能である。REC10は、Radio Equipment Controllerである。RE20は、Radio Equipmentである。REC10及びRE20がL2ネットワーク30によって通信可能に接続されることによって、C−RANが形成されている。
【0019】
制御装置50及び複数のセンサ60(例えばセンサ60−1及びセンサ60−2)も、L2ネットワーク30に接続されている。制御装置50及び複数のセンサ60も、L2ネットワーク30を介することによって相互に通信可能である。制御装置50は、複数のセンサ60の動作を制御し、各センサによって得られる値を収集する。複数のセンサ60は、それぞれ適切な箇所に配置される。センサ60は、どのようなセンサであってもよい。センサ60は、例えば温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、人感センサ、光センサ、雨量センサ、ひずみセンサ、等のセンサである。制御装置50及び複数のセンサ60がL2ネットワーク30によって通信可能に接続されることによって、Internet of Things(IoT)が形成されている。
【0020】
なお、
図1のようなL2ネットワーク30の利用方法は具体例の一つに過ぎない。L2ネットワーク30は、他のどのような方法で利用されてもよい。
【0021】
次にL2ネットワーク30について詳細に説明する。L2ネットワーク30は、複数のノード40を備える。ノード40は、入力されたフレームを、隣接する他のノードに出力する。ノード40は、例えばレイヤー2のスイッチを用いて構成されてもよい。L2ネットワーク30は、外部の装置(例えばREC10、RE20、制御装置50及びセンサ60)から入力されるフレームを中継し、フレームの宛先に近いエッジから他の外部の装置へ出力する。
図1の例では、ノード40−4は、ノード40−1、ノード40−5及びノード40−7と隣接している。ノード40−4は、外部の装置であるREC10からフレームを受信すると、受信されたフレームを、隣接する他のノード40に対して転送する。ノード40におけるフレームの転送が繰り返されることによって、フレームはノード40−6に到達する。ノード40−6は、RE20に対してフレームを送信する。このようにして、REC10からRE20に対してフレームが中継される。
【0022】
図2は、ノード40の構成の具体例を示す図である。ノード40は、優先制御部41、トラヒックモニター部42、フレームサイズ変更部43、割込制御部44、分割制御情報受信部45及び分割制御情報送信部46を備える。ノード40には、複数のフロー(Flow)が入力される。
図2の例では、Flow1及びFlow2が入力される。各フローを流れるフレームには、フレームの種別に応じた優先度(Class)が設定されている。
【0023】
図2の例では、Class0のフレームはより高い優先度のフレームである。Class0の具体例として、高優先フレームがある。Class0のより具体的な例としては、無線アクセスネットワークにおける張り出しアンテナ装置と基地局装置との間のフロントホールのフレームがある。この場合、Class0のフレームは、Expressフレームとして最高優先で処理される。以下の説明では、Class0のフレームを高優先フレームとして説明する。
【0024】
Class1のフレームはより低い優先度のフレームである。Class1の具体例として、遅延許容フレームがある。この場合、Class1はPreemptableフレームとして、frame preemptionの影響を受ける。以下の説明では、Class1のフレームを遅延許容フレームとして説明する。
【0025】
Flow1には、異なる複数の優先度のフレームが流れる。Flow2にも、異なる複数の優先度のフレームが流れる。
【0026】
優先制御部41は、各フローから入力されたフレームを、優先度毎に分類し、後段に出力する。例えば、優先制御部41は、高優先フレーム(Class0)のフレームを割込制御部44に出力する。一方、優先制御部41は、遅延許容フレームをフレームサイズ変更部43に出力する。優先制御部41は、例えばSP(Strict Priority)scheduler及びRR(Round Robin)schedulerを用いて構成されてもよい。フローが合流した後のQueueにclass別に格納される。
【0027】
トラヒックモニター部42は、自装置において転送されるトラヒックをモニタリングする。トラヒックモニター部42は、モニタリングの結果、自装置において転送されるトラヒックの量に関する情報(以下「トラヒック情報」という。)を優先度毎に取得する。トラヒック情報は、例えばトラヒックの絶対量であってもよいし、所定の時間内におけるトラヒックの量であってもよいし、優先度毎のトラヒックの量の比であってもよいし、他の情報であってもよい。トラヒックモニター部42が取得するトラヒック情報は、自装置において転送されるトラヒックにおいて、高優先フレームが所定の基準よりも多く流れているか否かを判別可能な情報であれば、どのような情報であってもよい。
【0028】
フレームサイズ変更部43は、所定の分割条件が満たされた場合に、遅延許容フレーム(Class1のフレーム)を複数のフレームに分割する。分割条件とは、自装置において転送されるトラヒックにおいて、高優先フレームが所定の基準よりも多く流れていることを示す条件である。分割条件は、例えば所定の期間(サンプリング期間)における高優先フレームのトラヒック量の絶対量が閾値を超えていることであってもよいし、遅延許容フレームのトラヒックとの比が閾値よりも大きいことであってもよい。閾値の例として、高優先フレームのQueueが最大Queue長に対してどの程度蓄積されているかがある。
【0029】
所定の条件が満たされた場合、フレームサイズ変更部43は、遅延許容フレームを、割込制御部44によって割り込み処理が行われない所定の長さ未満の長さのフレーム長に分割する。
【0030】
図3は、フレームサイズ変更部43の動作の具体例を示す図である。
図3(A)は、分割前の遅延許容フレームの具体例を示す。分割前のフレームは、例えばLのフレーム長を有している。
図3(B)は、分割後の遅延許容フレームの具体例を示す。分割後のフレームは、フレーム長がより短い複数のフレームである。分割後のフレームのフレーム長は、分割前のフレーム長であるLよりも短いL_splitである。L_splitのフレーム長のフレームは、frame preemptionが実行されない長さのフレーム長である。言い換えると、少なくともL_split以下のフレーム長のフレームは、たとえそのフレームが送信中に高優先フレームが入力されたとしても、割り込み処理を受けない。フレームサイズ変更部は43は、このようなL_split以下の長さの複数のフレームに遅延許容フレームを分割する。分割されたフレームは、目的ノードに到着するまで、中間ノードでは再結合されない。すなわち、ノード40は、他のノード40から分割されたフレームが受信された場合、自装置が目的ノードであるか否か判定する。目的ノードとは、L2ネットワーク30において論理的に最終ノードとなるノードであり、L2ネットワーク30の外部へフレームを出力するノードである。目的ノードとなったノード40は、分割されたフレームを結合することによって元のフレーム長のフレームに復元する。そして、ノード40は、L2ネットワーク30の外部へフレームを出力してもよい。
【0031】
割込制御部44は、所定の条件が満たされた場合には、高優先フレームを遅延許容フレームの送信中に割り込み送信する。所定の条件とは、遅延許容フレーム(Class1のフレーム)を送信中に高優先フレーム(Class0のフレーム)が入力されたこと、且つ、送信中のフレームのフレーム長が所定の長さよりも長いことである。割込制御部44は、所定の条件が満たされない場合には、FIFOにて送信処理を行う。
【0032】
分割制御情報受信部45は、隣接する他のノード40から分割制御情報を受信する。分割制御情報は、フレームサイズ変更部43によってフレームが分割して送信されたことを示す情報である。
【0033】
分割制御情報送信部46は、自装置のフレームサイズ変更部43によって分割が行われた場合、分割制御情報を隣接する他のノード40に送信する。
【0034】
図4は、割込制御部44による送信処理の概略を示す図である。
図4に示されるように、本実施形態では、分割条件が満たされた場合には遅延許容フレームはL_splitのフレーム長(frame preemptionの影響を受けない長さ)の複数のフレームに分割される。そのため、遅延許容フレームが送信中であった場合にたとえ高優先フレームが入力されたとしても、分割後の遅延許容フレームの送信が完了するまでは高優先フレームの送信処理が開始されない。そのため、遅延許容フレームが分割されない場合に比べて、高優先フレームの送信処理の開始に時間tの遅延が生じる。ただし、分割されたフレームのフレーム長は短いため、その影響は僅かである。一方で、分割された遅延許容フレームは高優先フレームによる割り込み処理を受けることなく送信が完了するまで送信が継続される。そのため、分割が行われない場合に比べて遅延許容フレームの遅延を抑えることが可能となる。また、分割後の遅延許容フレームは、割込を受けることなく送信が完了されるため、ジッターを小さく抑えることが可能となる。
【0035】
図5は、L2ネットワーク30の一部を具体例として抽出した図である。ノード40−1には、上流から高優先フレームが入力される。ノード40−2には、上流となるノード40−1から高優先フレームが入力され、上流となるノード40−5から遅延許容フレームが入力される。この場合、ノード40−2において分割処理が行われる。
【0036】
図6は、ノード40の処理の具体例を示すフローチャートである。まず、トラヒックモニター部42は、所定のタイミングでトラヒック情報を取得する(ステップS101)。次に、フレームサイズ変更部43は、トラヒック情報に基づいて、所定の分割情報が満たされているか否か判定する(ステップS102)。高優先フレームが他の優先度のフレームに対して所定の基準よりも多く流れている場合(ステップS102−YES)、フレームサイズ変更部43は、分割処理を実行する(ステップS103)。フレームサイズ変更部43は、分割後の各フレームを順に割込制御部44に出力する。また、分割制御情報送信部46は、分割制御情報を隣接する他のノードに対して送信する(ステップS104)。
【0037】
ステップS102において、高優先フレームが他の優先度のフレームに対して所定の基準よりも多く流れてはいない場合(ステップS102−NO)、フレームサイズ変更部43は、分割制御情報受信部45が他のノード40から分割制御情報を受信しているか否か判定する(ステップS105)。フレームサイズ変更部43は、分割制御情報受信部45が他のノード40から分割制御情報を受信している場合(ステップS105−YES)、その後の所定の期間において、入力されたトラヒックに対し分割処理を実行する(ステップS106)。フレームサイズ変更部43は、分割後の各フレームを順に割込制御部44に出力する。また、分割制御情報送信部46は、分割制御情報を隣接する他のノードに対して送信する(ステップS107)。
【0038】
このように構成されたノード40を用いたL2ネットワーク30では、分割条件が満たされた場合には低い優先度のフレームはframe preemptionの影響を受けない長さに分割される。そのため、低い優先度のフレームが送信中であった場合にたとえ高い優先度のフレームが入力されたとしても、分割後の低い優先度のフレームの送信が完了するまでは高い優先度のフレームの送信処理が開始されない。そのため、低い優先度のフレームが分割されない場合に比べて、高い優先度のフレームの送信処理の開始に時間tの遅延が生じる。ただし、分割されたフレームのフレーム長は短いため、その影響は僅かである。一方で、分割された低い優先度のフレームは高い優先度のフレームによる割り込み処理を受けることなく送信が完了するまで送信が継続される。そのため、分割が行われない場合に比べて低い優先度のフレームの遅延を抑えることが可能となる。また、分割後の低い優先度のフレームは、割込を受けることなく送信が完了されるため、ジッターを小さく抑えることが可能となる。
【0039】
(変形例)
優先度は上述した2つに限定されない。L2ネットワーク30において、Class2やClass3のフレームが取り扱われてもよい。この場合、Class2のフレームやClass3のフレームが、高い優先度のフレームとして取り扱われるのか、低い優先度のフレームとして取り扱われるのかは各ノードやL2ネットワーク30の設計者や管理者によって適宜設定されてもよい。
【0040】
フレームサイズ変更部43は、隣接する他のノード40のうち、処理対象のフレームのトラヒックにおいて下流に位置するノード40から分割制御情報が受信された場合に分割処理を行うように構成されてもよい。言い換えると、フレームサイズ変更部43は、隣接する他のノード40から分割制御情報が受信されたとしても、分割制御情報の送信元のノード40が処理対象のフレームのトラヒックにおいて上流に位置するノード40である場合には、分割処理を実行しない。このように構成されることによって、L2ネットワーク30の中でより上流に位置するノード40において分割処理が実行される。そのため、frame preemptionの影響を受けることなく低い優先度のフレームを長い区間で送信することが可能となる。そのため、より低い遅延で、且つ、より少ないジッターで低い優先度のフレームを転送することが可能となる。
【0041】
分割制御情報送信部46は、隣接する他のノード40のうち、処理対象のフレームのトラヒックにおいて上流に位置するノード40に対してのみ分割制御情報を送信するように構成されてもよい。このように構成されることによって、L2ネットワーク30の中でより上流に位置するノード40において分割処理が実行される。そのため、frame preemptionの影響を受けることなく低い優先度のフレームを長い区間で送信することが可能となる。そのため、より低い遅延で、且つ、より少ないジッターで低い優先度のフレームを転送することが可能となる。
【0042】
上述した実施形態におけるノード40をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10…REC, 20…RE, 30…L2ネットワーク, 40…ノード, 41…優先制御部, 42…トラヒックモニター部, 43…フレームサイズ変更部, 44…割込制御部, 45…分割制御情報受信部, 46…分割制御情報送信部, 50…制御装置, 60…センサ