特許第6622720号(P6622720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6622720研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622720
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20191209BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20191209BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20191209BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20191209BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20191209BHJP
   B24B 49/18 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H01L21/304 622M
   B24B37/005
   B24B37/00 Z
   B24B53/017 Z
   B24B49/12
   B24B49/18
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-568746(P2016-568746)
(86)(22)【出願日】2016年1月7日
(86)【国際出願番号】JP2016050377
(87)【国際公開番号】WO2016111335
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2018年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-1881(P2015-1881)
(32)【優先日】2015年1月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】松尾 尚典
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−137484(JP,A)
【文献】 特開平06−147838(JP,A)
【文献】 特開2014−172154(JP,A)
【文献】 特開2013−029438(JP,A)
【文献】 特開2012−053073(JP,A)
【文献】 特開2005−244027(JP,A)
【文献】 特開昭63−153821(JP,A)
【文献】 特開2001−223190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
B24B 37/005
B24B 49/12
B24B 49/18
B24B 53/017
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドの表面にレーザ光を照射し、研磨パッドからの反射光を受光して、反射角度毎の反射強度を得る研磨パッドの表面性状測定装置と、
前記研磨パッドの表面性状測定装置で得られた反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得て、数値解析を行うことで研磨パッドの表面性状を求める演算部と、
前記演算部で得られた研磨パッドの表面性状に基づいて、閉ループ制御で研磨パッドのドレッシング条件を決定するドレッシング制御部と、
前記ドレッシング制御部で決定したドレッシング条件に基づいて、研磨パッドのドレッシングを行うドレッシング装置とを備え、
前記研磨パッドの表面性状測定装置は、レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え
前記バンドパスフィルターは、前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されていることを特徴とするCMP装置。
【請求項2】
前記ドレッシング条件の決定は、測定されたパッド表面性状値と予め定めておく所望のパッド表面性状値との差異を所望パッド表面性状変化量として求め、ドレッシング荷重、ドレッサー回転数、研磨パッド回転数、ドレッサー揺動速度の少なくとも一項目の変化量とパッド表面性状の変化量との関係を予め求めて作成した回帰式に、前記所望パッド表面性状変化量を代入することで前記ドレッシング荷重、ドレッサー回転数、研磨パッド回転数、ドレッサー揺動速度の少なくとも一項目を求めることを特徴とする請求項1に記載のCMP装置。
【請求項3】
前記演算部で行う研磨パッドの表面性状を求める数値解析は、所定の空間波長領域の反射強度の総和を、より広い空間波長領域の反射強度の総和で除算することを特徴とする請求項1に記載のCMP装置。
【請求項4】
前記受光部は、研磨パッドから反射するレーザ光の少なくとも4または7次回折光までを受光可能な寸法を持った線状もしくは面状のCCD素子もしくはCMOS素子のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のCMP装置。
【請求項5】
前記研磨パッドの表面に照射するレーザ光は、S偏光させたことを特徴とする請求項1に記載のCMP装置。
【請求項6】
前記ドレッシング制御部は、ドレッシング荷重、研磨パッド回転数、ドレッサー回転数、ドレッサー揺動速度のうち、少なくとも一つを調整することを特徴とする請求項1に記載のCMP装置。
【請求項7】
前記レーザ光の照射は、光源を揺動させ前記研磨パッドの表面への入射角を調節して行うことを特徴とする請求項1に記載のCMP装置。
【請求項8】
研磨パッドの表面にレーザ光を照射し、研磨パッドからの反射光を受光して、反射角度毎の反射強度を得る研磨パッドの表面性状測定装置と、
前記研磨パッドの表面性状測定装置で得られた反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得て、数値解析を行うことで研磨パッドの表面性状を求める演算部と、
前記演算部で得られた研磨パッドの表面性状を、予め設定しておいたパッド表面性状値と比較した上で、ドレッサーの状態および研磨パッドの状態の少なくとも一方を表示する表示装置とを備え、
前記研磨パッドの表面性状測定装置は、レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え
前記バンドパスフィルターは、前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されていることを特徴とするCMP装置。
【請求項9】
前記ドレッサーの状態は、ドレッサーの寿命を示す警報、ドレッサーの状態不良、のいずれかであることを特徴とする請求項8に記載のCMP装置。
【請求項10】
前記研磨パッドの状態は、研磨パッドの表面性状の異常の有無であることを特徴とする請求項8に記載のCMP装置。
【請求項11】
研磨パッドの表面にレーザ光を照射し、研磨パッドからの反射光を受光して、反射角度毎の反射強度を得る研磨パッドの表面性状測定装置と、
前記研磨パッドの表面性状測定装置で得られた反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得て、数値解析を行うことで研磨パッドの表面性状を求める演算部と、
前記演算部で得られた研磨パッドの表面性状に基づき、ドレッサーの状態および研磨パッドの状態の少なくとも一方を表示する表示装置とを備え、
前記研磨パッドの表面性状測定装置は、レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え
前記バンドパスフィルターは、前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されていることを特徴とするCMP装置。
【請求項12】
前記ドレッサーの状態は、ドレッサーのドレッシング能力であることを特徴とする請求項11に記載のCMP装置。
【請求項13】
前記研磨パッドの状態は、研磨パッドの表面性状値であることを特徴とする請求項11に記載のCMP装置。
【請求項14】
研磨パッドの表面にレーザ光を照射し、研磨パッドからの反射光を受光して、反射角度毎の反射強度を得る研磨パッドの表面性状測定装置と、
前記研磨パッドの表面性状測定装置で得られた反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得て、数値解析を行うことで研磨パッドの表面性状を求める演算部と、
前記演算部で得られた研磨パッドの表面性状値を、予め設定しておいたパッド表面性状値の範囲と比較した上で、範囲外であった場合に研磨パッドの表面性状が異常と判定する異常判定部とを備え、
前記研磨パッドの表面性状測定装置は、レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え
前記バンドパスフィルターは、前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されていることを特徴とするCMP装置。
【請求項15】
前記異常判定部で異常と判定されたら、表示装置は異常を発報することを特徴とする請求項14に記載のCMP装置。
【請求項16】
レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え、前記バンドパスフィルターが前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されている研磨パッドの表面性状測定装置を有したCMP装置に所定の動作を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
研磨パッドの表面にレーザ光を照射するステップと、
前記研磨パッドからの反射光を受光するステップと、
前記受光した情報を取り込むステップと、
前記取り込んだ情報から得られた反射角ごとに反射強度を得るステップと、
前記レーザ光を照射するステップと、前記受光するステップと、前記情報を取り込むステップと、前記反射強度を得るステップとを所定時間の間行って反射強度分布を作成するステップ、もしくは前記レーザ光を照射するステップと、前記受光するステップと、前記情報を取り込むステップと、前記反射強度を得るステップとを所定回数繰り返して反射強度分布を作成するステップと、
前記反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得るステップと、
前記空間波長スペクトルから数値解析を行うステップと、
前記数値解析から研磨パッドの表面性状を求めるステップと、
をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
前記求めた表面性状値を予め設定しておいたパッド表面性状値と比較するステップと、前記比較した結果からドレッサの状態または研磨パッドの状態の少なくとも一方を表示するステップと、をさらにコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とする請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項18】
前記求めた表面性状値に基づいて、閉ループ制御で研磨パッドのドレッシング条件を決定するステップ、をさらにコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とする請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項19】
前記ドレッシング条件を決定するステップは、前記数値解析から得られた表面性状値と予め定めておいた所望のパッド表面性状値との差異を所望パッド表面性状変化量として求めるステップと、予め求めて記憶した所定の回帰式に前記所望パッド表面性状変化量を代入するステップと、前記代入した結果から最適なドレッシング条件を選択するステップからなることを特徴とする請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
前記レーザ光を照射するステップの前に、前記研磨パッドへのレーザ光の入射角を調節するステップを、さらにコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とする請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板の研磨に用いられる研磨パッドの表面形状や表面状態などの表面性状を測定する研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化・高密度化に伴い、回路の配線がますます微細化し、多層配線の層数も増加している。回路の微細化を図りながら多層配線を実現しようとすると、下側の層の表面凹凸を踏襲しながら段差がより大きくなるので、配線層数が増加するに従って、薄膜形成における段差形状に対する膜被覆性(ステップカバレッジ)が悪くなる。したがって、多層配線するためには、このステップカバレッジを改善し、然るべき過程で平坦化処理しなければならない。また光リソグラフィの微細化とともに焦点深度が浅くなるため、半導体デバイスの表面の凹凸段差が焦点深度以下に収まるように半導体デバイス表面を平坦化処理する必要がある。
【0003】
従って、半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイス表面の平坦化技術がますます重要になっている。この平坦化技術のうち、最も重要な技術は、化学的機械研磨(CMP(Chemical Mechanical Polishing))である。この化学的機械研磨は、研磨装置を用いて、シリカ(SiO)やセリア(CeO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッドに供給しつつ半導体ウエハなどの基板を研磨パッドに摺接させて研磨を行うものである。
【0004】
上述したCMP(化学的機械研磨)を行う研磨装置(CMP装置)は、研磨パッドを有する研磨テーブルと、半導体ウエハ(基板)を保持するためのキャリア又はトップリング等と称される基板保持装置とを備えている。このようなCMP装置を用いて基板保持装置により基板を保持しつつ、この基板を研磨パッドに対して所定の圧力で押圧して、基板上の絶縁膜や金属膜等を研磨することが行われている。
【0005】
基板の研磨を行なうと、研磨パッドの表面には砥粒や研磨屑が付着し、また、研磨パッドの表面形状や状態が変化して研磨性能が劣化してくる。このため、基板の研磨を繰り返すに従い、研磨速度が低下し、また、研磨むらが生じてしまう。そこで、劣化した研磨パッドの表面形状や状態を再生するために、ドレッサーを用いて研磨パッドのドレッシング(コンディショニング)を行っている。
【0006】
一般にCMP装置は、研磨パッドの表面形状や状態等の表面性状を直接的に測定する機能を持たないため、研磨パッドと基板間あるいは研磨パッドとドレッサー間の摩擦を間接的に測定することで、パッドの表面性状を予想することが行われている。この場合、摩擦を間接的に測定する手段として、研磨パッドを貼付した研磨テーブルを回転させるモータの負荷トルクを参照するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0217306号明細書
【特許文献2】特開2014−172153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、一般にCMP装置上では研磨パッドの表面性状を測定できず、パッド表面性状に関係する測定量を得るために、研磨テーブルを回転させてモータのトルクを測定している。しかしながら、モータのトルクには、パッド表面性状だけでなく、ウエハ等の基板の表面状態、ドレッサー表面状態、回転系機器の設置状態が影響を及ぼし、パッド表面性状を正確に把握することは不可能であるという課題がある。パッド表面性状は、CMP性能を決定付ける要因の一つであるので、これを測定できないのであれば、CMP性能を任意に制御できないことになる。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、CMP性能を反映した研磨パッドの表面性状を測定することができる研磨パッドの表面性状測定装置を備え、研磨パッドの表面性状の測定結果に基づいて運転条件を設定して、研磨やドレッシングを行うCMP装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明のCMP装置の第一の態様は、研磨パッドの表面にレーザ光を照射し、研磨パッドからの反射光を受光して、反射角度毎の反射強度を得る研磨パッドの表面性状測定装置と、前記研磨パッドの表面性状測定装置で得られた反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得て、数値解析を行うことで研磨パッドの表面性状を求める演算部と、前記演算部で得られた研磨パッドの表面性状に基づいて、閉ループ制御で研磨パッドのドレッシング条件を決定するドレッシング制御部と、前記ドレッシング制御部で決定したドレッシング条件に基づいて、研磨パッドのドレッシングを行うドレッシング装置とを備え、前記研磨パッドの表面性状測定装置は、レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え、前記バンドパスフィルターは前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング条件の決定は、測定されたパッド表面性状値と予め定めておく所望のパッド表面性状値との差異を所望パッド表面性状変化量として求め、ドレッシング荷重、ドレッサー回転数、研磨パッド回転数、ドレッサー揺動速度の少なくとも一項目の変化量とパッド表面性状の変化量との関係を予め求めて作成した回帰式に、前記所望パッド表面性状変化量を代入することで前記ドレッシング荷重、ドレッサー回転数、研磨パッド回転数、ドレッサー揺動速度の少なくとも一項目を求めることを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記演算部で行う研磨パッドの表面性状を求める数値解析は、所定の空間波長領域の反射強度の総和を、より広い空間波長領域の反射強度の総和で除算することを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記受光部は、研磨パッドから反射するレーザ光の少なくとも4または7次回折光までを受光可能な寸法を持った線状もしくは面状のCCD素子もしくはCMOS素子のいずれかであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨パッドの表面に照射するレーザ光は、S偏光させたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング制御部は、ドレッシング荷重、研磨パッド回転数、ドレッサー回転数、ドレッサー揺動速度のうち、少なくとも一つを調整することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記レーザー光の照射は、光源を揺動させ前記研磨パッドの入射角を調節して行うことを特徴とする。
【0014】
本発明のCMP装置の第二の態様は、研磨パッドの表面にレーザ光を照射し、研磨パッドからの反射光を受光して、反射角度毎の反射強度を得る研磨パッドの表面性状測定装置と、前記研磨パッドの表面性状測定装置で得られた反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得て、数値解析を行うことで研磨パッドの表面性状を求める演算部と、前記演算部で得られた研磨パッドの表面性状を、予め設定しておいたパッド表面性状値と比較した上で、ドレッサーの状態および研磨パッドの状態の少なくとも一方を表示する表示装置とを備え、前記研磨パッドの表面性状測定装置は、レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え、前記バンドパスフィルターは前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記ドレッサーの状態は、ドレッサーの寿命を示す警報、ドレッサーの状態不良、のいずれかであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨パッドの状態は、研磨パッドの表面性状の異常の有無であることを特徴とする。
【0016】
本発明のCMP装置の第三の態様は、研磨パッドの表面にレーザ光を照射し、研磨パッドからの反射光を受光して、反射角度毎の反射強度を得る研磨パッドの表面性状測定装置と、前記研磨パッドの表面性状測定装置で得られた反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得て、数値解析を行うことで研磨パッドの表面性状を求める演算部と、前記演算部で得られた研磨パッドの表面性状に基づき、ドレッサーの状態および研磨パッドの状態の少なくとも一方を表示する表示装置とを備え、前記研磨パッドの表面性状測定装置は、レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え、前記バンドパスフィルターは前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記ドレッサーの状態は、ドレッサーのドレッシング能力であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨パッドの状態は、研磨パッドの表面性状値であることを特徴とする。
【0018】
本発明のCMP装置の第四の態様は、研磨パッドの表面にレーザ光を照射し、研磨パッドからの反射光を受光して、反射角度毎の反射強度を得る研磨パッドの表面性状測定装置と、前記研磨パッドの表面性状測定装置で得られた反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得て、数値解析を行うことで研磨パッドの表面性状を求める演算部と、前記演算部で得られた研磨パッドの表面性状値を、予め設定しておいたパッド表面性状値の範囲と比較した上で、範囲外であった場合に研磨パッドの表面性状が異常と判定する異常判定部とを備え、前記研磨パッドの表面性状測定装置は、レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え、前記バンドパスフィルターは前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記異常判定部で異常と判定されたら、表示装置は異常を発報することを特徴とする。
【0019】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、レーザ光源、投光部、受光部ミラー及び光源のレーザの波長に対して±5nm以内の光だけを通過させうるバンドパスフィルターを備え、かつ、NDフィルター、光ファイバーの少なくとも1つを更に備え、前記バンドパスフィルターが前記研磨パッドの表面で反射した反射光の光路上において前記受光部の手前に配置されている研磨パッドの表面性状測定装置を有したCMP装置に所定の動作を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、研磨パッドの表面にレーザ光を照射するステップと、前記研磨パッドからの反射光を受光するステップと、前記受光した情報を取り込むステップと、前記取り込んだ情報から得られた反射角ごとに反射強度を得るステップと、前記レーザ光を照射するステップと、前記受光するステップと、前記情報を取り込むステップと、前記反射強度を得るステップとを所定時間の間行って反射強度分布を作成するステップ、もしくは前記レーザ光を照射するステップと、前記受光するステップと、前記情報を取り込むステップと、前記反射強度を得るステップとを所定回数繰り返して反射強度分布を作成するステップと、前記反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得るステップと、前記空間波長スペクトルから数値解析を行うステップと、前記数値解析から研磨パッドの表面性状を求めるステップと、をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とする。
【0020】
本発明の好ましい態様は、前記求めた表面性状値を予め設定しておいたパッド表面性状値と比較するステップと、前記比較した結果からドレッサの状態または研磨パッドの状態の少なくとも一方を表示するステップと、をさらにコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明の好ましい態様は、前記求めた表面性状値に基づいて、閉ループ制御で研磨パッドのドレッシング条件を決定するステップ、をさらにコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0021】
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング条件を決定するステップは、前記数値解析から得られた表面性状値と予め定めておいた所望のパッド表面性状値との差異を所望パッド表面性状変化量として求めるステップと、予め求めて記憶した所定の回帰式に前記所望パッド表面性状変化量を代入するステップと、前記代入した結果から最適なドレッシング条件を選択するステップからなることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明の好ましい態様は、前記レーザ光を照射するステップの前に、前記研磨パッドへのレーザ光の入射角を調節するステップを、さらにコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)CMP装置上に、CMP性能を左右する研磨パッドの表面性状を直接的に測定する機能を搭載することで、研磨パッドの表面性状を好適な所定値に維持するドレッシングを実現したり、ドレッサーや研磨パッドの異常を発報することで、異常状態でのCMP加工を防止することに寄与する。
(2)研磨パッドの表面性状の変化に応じてドレッシング条件を変更することで、常に研磨パッドの表面性状をCMP性能の確保に必要な状態に維持できる。
(3)研磨パッドやドレッサーを無駄なく寿命の最後まで使い切ることでできるために消耗材コストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明に係る研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置の第1の態様を示す模式図である。
図2図2は、本発明に係る研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置の第2の態様を示す模式図である。
図3図3は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置の第1の態様を示す模式的正面図である。
図4図4は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置の第2の態様を示す模式的正面図である。
図5図5は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置の第3の態様を示す模式的正面図である。
図6図6は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置の第4の態様を示す模式的正面図である。
図7図7は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置の第5の態様を示す模式的正面図である。
図8図8は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置の第6の態様を示す模式的正面図である。
図9図9は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置の第7の態様を示す模式的正面図である。
図10図10は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置の第8の態様を示す模式的正面図である。
図11図11は、ドレッシング条件と、研磨パッド及びドレッサの状態の検出するプログラムを実行するコンピュータの一例を示す模式図である。
図12図12は、CMP装置に各種ステップ(所定の動作)を実行させるためのプログラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置の実施形態について図1乃至図12を参照して詳細に説明する。なお、図1から図12において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0025】
図1は、本発明に係る研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置の第1の態様を示す模式図である。図1に示すように、CMP装置は、研磨テーブル1と、研磨対象物である半導体ウエハ等の基板Wを保持して研磨テーブル上の研磨パッドに押圧するキャリア10とを備えている。研磨テーブル1は、テーブル軸1aを介してその下方に配置される研磨テーブル回転モータ(図示せず)に連結されており、テーブル軸1aの回りに回転可能になっている。研磨テーブル1の上面には研磨パッド2が貼付されており、研磨パッド2の表面が基板Wを研磨する研磨面2aを構成している。研磨パッド2には、ダウケミカル社(Dow Chemical Company)製のSUBA800、IC1000、IC1000/SUBA400(二層クロス)等が用いられている。SUBA800は繊維をウレタン樹脂で固めた不織布である。IC1000は硬質の発泡ポリウレタンであり、その表面に多数の微細な孔(ポア)を有したパッドであり、パーフォレートパッドとも呼ばれている。研磨テーブル1の上方には研磨液供給ノズル(図示せず)が設置されており、研磨液供給ノズルによって研磨テーブル1上の研磨パッド2に研磨液(スラリー)が供給されるようになっている。
【0026】
キャリア10は、シャフト11に接続されており、シャフト11は、キャリアアーム12に対して上下動するようになっている。シャフト11の上下動により、キャリアアーム12に対してキャリア10の全体を上下動させ位置決めするようになっている。シャフト11は、モータ(図示せず)の駆動により回転するようになっており、キャリア10がシャフト11の軸心の回りに回転するようになっている。
【0027】
図1に示すように、キャリア10は、その下面に半導体ウエハなどの基板Wを保持できるようになっている。キャリアアーム12は旋回可能に構成されており、下面に基板Wを保持したキャリア10は、キャリアアーム12の旋回により基板の受取位置から研磨テーブル1の上方に移動可能になっている。キャリア10は、下面に基板Wを保持して基板Wを研磨パッド2の表面(研磨面)に押圧する。このとき、研磨テーブル1およびキャリア10をそれぞれ回転させ、研磨テーブル1の上方に設けられた研磨液供給ノズルから研磨パッド2上に研磨液(スラリー)を供給する。研磨液には砥粒としてシリカ(SiO)やセリア(CeO)などを含んだ研磨液が用いられる。このように、研磨液を研磨パッド2上に供給しつつ、基板Wを研磨パッド2に押圧して基板Wと研磨パッド2とを相対移動させて基板上の絶縁膜や金属膜等を研磨する。絶縁膜としてはSiOが挙げられる。金属膜としてはCu膜、W膜、Ta膜、Ti膜が挙げられる。
【0028】
図1に示すように、CMP装置は、研磨パッド2をドレッシングするドレッシング装置20を備えている。ドレッシング装置20は、ドレッサーアーム21と、ドレッサーアーム21に回転自在に取り付けられたドレッサー22とを備えている。ドレッサー22の下部はドレッシング部材22aにより構成され、ドレッシング部材22aは円形のドレッシング面を有しており、ドレッシング面には硬質な粒子が電着等により固定されている。この硬質な粒子としては、ダイヤモンド粒子やセラミック粒子などが挙げられる。ドレッサーアーム21内には、図示しないモータが内蔵されており、このモータによってドレッサー22が回転するようになっている。ドレッサーアーム21は図示しない昇降機構に連結されており、この昇降機構によりドレッサーアーム21が下降することでドレッシング部材22aが研磨パッド2の研磨面2aを押圧するようになっている。ドレッシング装置20は、ドレッシング制御部23に接続されており、ドレッシング制御部23によりドレッシング条件が制御されるようになっている。
【0029】
図1に示すように、CMP装置は、研磨パッド2の表面形状や表面状態などの表面性状を測定する研磨パッドの表面性状測定装置30を備えている。研磨パッドの表面性状測定装置30は、研磨パッド2にレーザ光を照射し、研磨パッド2の表面で反射した反射光を受光することでパッド表面性状を測定するように構成されている。研磨パッドの表面性状測定装置30は、演算部40に接続されている。
【0030】
図1に示すように構成されたCMP装置においては、研磨パッドの表面性状測定装置30で得られたパッド表面からの反射光分布を、演算部40でパッド表面性状値に演算し、その結果をドレッシング制御部23に受け渡す。ドレッシング制御部23では、受け取ったパッド表面性状値に基づいて、ドレッシング条件を決定する。ドレッシング装置20は、ドレッシング制御部23で決められたドレッシング条件の通りの動作をすることで、ドレッサー22によりパッド表面をドレッシングする。
【0031】
図2は、本発明に係る研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置の第2の態様を示す模式図である。図2に示すCMP装置は、図1に示すCMP装置と同様に、研磨パッド2を貼付した研磨テーブル1やキャリア10等からなる研磨部およびドレッシング装置20を備えている。また、図2に示すCMP装置は、図1に示すCMP装置と同様に、研磨パッドの表面性状測定装置30および演算部40を備えている。演算部40は表示装置41に接続されている。
【0032】
図2に示すように構成されたCMP装置においては、研磨パッドの表面性状測定装置30で得られたパッド表面からの反射光分布を、演算部40でパッド表面性状値に演算し、その結果を表示装置41に表示する。
【0033】
図3は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置30の第1の態様を示す模式的正面図である。図3に示すように、研磨パッドの表面性状測定装置30は、レーザ光を出射する光源31と、光源31から出射されたレーザ光を研磨テーブル1上の研磨パッド2の表面に導く投光部32と、研磨パッド2の表面で反射した反射光を受光する受光部33とを備えている。したがって、光源31から出射されたレーザ光は、投光部32を介して研磨パッド2の表面に導かれ、研磨パッド2の表面で反射した反射光は受光部33により受光される。受光部33は演算部40(図1および図2参照)に接続されている。
【0034】
図4は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置30の第2の態様を示す模式的正面図である。図4に示すように、研磨パッドの表面性状測定装置30は、レーザ光を出射する光源31と、光源31から出射されたレーザ光を投光部32を介して略垂直方向下方に導く光ファイバー34と、光ファイバー34の下方に順次配置された偏光子35、NDフィルター(減光フィルター)36、ミラー37とを備えている。また、研磨パッド2の表面で反射した反射光の光路には、受光部33の手前にバンドパスフィルター38が配置されている。したがって、光ファイバー34から出射されたレーザ光は偏光子35でS偏光された後に、NDフィルター36で光量が調整されてミラー37に入射する。そして、レーザ光はミラー37で反射して光路が変更され、研磨パッド2の表面に入射する。研磨パッド2の表面で反射した反射光は、バンドパスフィルター38で特定の波長帯のみの透過が許容され、特定の波長帯の反射光が受光部33で受光される。
【0035】
図3および図4に示す受光部33は、パッドから反射するレーザ光の少なくとも4次回折光または7次回折光までを受光可能な寸法を持った線状もしくは面状のCCD素子もしくはCMOS素子のいずれかからなる。
パッド表面に照射されたレーザ光は、正反射するだけでなく、パッド表面性状に応じて、回折現象を経て、広い角度に反射する。即ち、正反射成分だけでなく、広角度に反射したレーザ光を受光し、これを解析することで、パッド表面性状の情報が得られる。これら広角度に反射したレーザ光を受光するために、線状もしくは面状の受光素子が必要となる。CMP性能を左右するパッド表面性状は、望ましくは7次回折光、実用上は4次回折光までに含まれることが分かっているため、この範囲の回折光が受光可能な大きさを持つ受光素子が必要となる。
【0036】
次に、図1乃至図4に示すように構成された研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置の作用を説明する。
光源31からレーザ光を出射し、研磨パッド2の表面にレーザ光を照射する。研磨パッド2の表面で反射したレーザ光を受光することで、研磨パッド2の表面の情報を測定する。演算部40では、研磨パッドの表面性状測定装置30で得られた反射強度分布を、フーリエ変換することで、研磨パッド表面の空間波長スペクトルに変換する。また、演算部40は、空間波長スペクトルを演算することで、パッド表面性状値を得る。ここで、同演算は、所定の空間波長領域の反射強度の総和を、より広い空間波長領域の反射強度の総和で除算することで、パッド表面性状値を得る。
【0037】
ここで、反射強度分布とは、線状もしくは面状の受光素子における、受光位置ごとの受光強度の分布である。受光素子である線状もしくは面状のCMOS素子またはCCD素子は、多数の受光ピクセルを備えており、ピクセル別に受光強度を検知できる。受光位置は、照射されたレーザ光がパッド表面で反射する際の反射角に応じて変化し、受光強度は、パッド表面性状によって変化する。即ち、パッド表面性状に応じて、各反射角に対する反射強度を捉えることで、パッド表面の性状に応じた特徴的な反射強度分布を得ることになる。また空間波長スペクトルとは、反射強度分布をフーリエ変換することで得られるスペクトルで、パッド表面の空間波長ごとの受光強度の分布を示す。例えば、測定されたパッド表面が、主に波長Aと波長Bの組合せから成る形状であった場合、空間波長スペクトルは、波長Aと波長Bに主たるピークを持つ。
【0038】
空間波長スペクトルは、CMP性能を左右するパッド表面性状が含まれる次数以下の回折光に対して、十分に広い波長領域が取得されるようにする。取得されるべき回折光の次数は、望ましくは7次回折光、実用上は4次回折光であることが分かっている。パッド表面性状を評価する場合、CMP性能に関連する(=「所定の」)空間波長領域の強度だけを抽出したい。しかしながら、得られた空間波長スペクトルには、一般に全波長領域に対してランダムノイズが含まれる。そこで、所定の空間波長領域の反射強度の積分値の、より広い空間波長領域の反射強度の積分値に対する比率を求めることで、ノイズの影響を除外して、所定の空間波長領域の反射強度だけを評価する手法を採る。
【0039】
ダウケミカル社(Dow Chemical Company)製のIC1000系の研磨パッド、もしくは、キャボット社(Cabot Corporation)製のD100系の研磨パッドにおいては、所定の空間波長領域は2〜15マイクロメータ、より広い空間波長領域は1〜30マイクロメータの範囲から選択されることが望ましい。しかしながら、好適な評価波長領域は、研磨パッドの材料や構造などによって異なると考えられるので、この波長領域に限定するものではない。
【0040】
上述した通り、所定の空間波長領域の反射強度の積分値の、より広い空間波長領域の積分値に対する比率を求め、これを、パッド表面性状を特徴づける指標として「波長構成比率」と定義する。波長構成比率が大きいほど、所定の空間波長領域の反射強度が相対的に大きいことを示し、このことは即ち、測定されたパッド表面が、所定の空間波長成分をより多く含むことを示している。予め、所定の空間波長成分の大小が、CMP性能と強い関連性を持つことを調べてあるため、測定されたパッド表面の波長構成比率によって、CMP性能を推測することが可能となる。
【0041】
ドレッシング制御部23は、演算部40で求めたパッド表面性状値を得て、その値に基づいて、閉ループ制御で好適なドレッシング条件を算出する。例えば、パッド表面性状値が、予め設定した所定の範囲内で推移するように、ドレッシング条件を算出する。その際、ドレッシング制御部23は、予め、ドレッシング条件とパッド表面性状値との関連を示す関係式を得ておき、同式により、好適なドレッシング条件を求める。ここでドレッシング条件とは、主に、研磨パッド回転数、ドレッサー回転数、ドレッシング荷重、ドレッサー揺動速度、などである。決定されたドレッシング条件は、ドレッシング装置20に伝達され、所定のドレッシング条件を適用して、研磨パッド2のドレッシングを行う。
【0042】
例えば、ドレッシング条件として、ドレッシング荷重が制御対象になる場合には、予め、ドレッシング荷重とパッド表面性状の関係性を取得しておき、即ち、ドレッシング荷重を大きくしたらどのくらい表面性状値が大きくなるか又は小さくなるかを取得しておき、予め定めた理想的なパッド表面性状値と、測定されたパッド表面性状値とを比較して、そこにずれがあれば、上記関係性に基づいてドレッシング荷重を、理想的なパッド表面性状値に近付く方向に設定する。
また、演算部40で得たパッド表面性状値を異常検知に使用する場合、パッド表面性状値やその経時的な変化を測定し、これが予め定めた値の範囲から外れたら、パッド表面性状異常と判定し、1)異常を発報、2)ドレッサー交換が必要であることを発報、などする。
【0043】
一実施形態では、前記ドレッシング条件の決定は、測定されたパッド表面性状値と予め定めておく所望のパッド表面性状値との差異を所望パッド表面性状変化量として求め、ドレッシング荷重、ドレッサー回転数、研磨パッド回転数、ドレッサー揺動速度の少なくとも一項目の変化量とパッド表面性状の変化量との関係を予め求めて作成した回帰式に、前記所望パッド表面性状変化量を代入することで前記ドレッシング荷重、ドレッサー回転数、研磨パッド回転数、ドレッサー揺動速度の少なくとも一項目を求める。
上記実施形態によれば、予め、ドレッシング条件(ドレッシング荷重、ドレッサー回転数、研磨パッド回転数、ドレッサー揺動速度など)とパッド表面性状値(波長構成比率)との関係を表す回帰式を求めておき、ここに測定されたパッド表面性状値の変化量を代入することで、所望のパッド表面性状値を得るために最適なドレッシング条件を一意的に得ることができる。
【0044】
回帰式は、例えば、dR=A×dL+Bと表すことができる。ここで、dRはパッド表面性状値(波長構成比率)の変化量、dLはドレッシング荷重の変化量、AおよびBは定数、である。
上記ドレッシング条件の決定方法によれば、パッドの表面性状をパッドの使用初期から使用末期まで一定に保つことができるという効果が得られる。パッドの表面性状は、パッドの使用初期から末期まで、パッドの減耗量やドレッサーの切れ味の鋭さによって変化し、その変化に応じて、CMP性能も変化する。パッドの表面性状を一定に保つことは、CMP性能を一定に保つことにつながる。
【0045】
また、表示装置41は、演算部40で得られた研磨パッド2の表面性状値を、予め設定しておいたパッド表面性状値と比較した上で、ドレッサー22の状態および研磨パッド2の状態の少なくとも一方を表示するように構成されている。表示装置41は、上記のように比較をすることなく、演算部40で得られた研磨パッド2の表面性状に基づき、ドレッサー22の状態および研磨パッド2の状態の少なくとも一方を表示するように構成してもよい。
【0046】
CMP装置は、演算部40(図1および図2参照)で得られた研磨パッドの表面性状値を、予め設定しておいたパッド表面性状値の範囲と比較した上で、範囲外であった場合に研磨パッドの表面性状が異常と判定する異常判定部を備えている。異常判定部で異常と判定されたら、表示装置41(図2参照)は異常を発報する。
パッド表面性状の異常の種類は、以下が代表的なものである。
1)パッド表面に異常な点(欠陥)が存在する。
2)ドレッサーが寿命を迎えた。
3)パッドが寿命を迎えた。
1)の場合、複数点のパッド表面性状を測定した際、他の測定点に比べて大きな差異がある点があれば、その点をパッド異常と判断して、発報する。
2),3)の場合、経時的に(基板処理枚数毎に)パッド表面性状の推移を測定し、これが予め定めた範囲から外れたら寿命オーバーと判断して、発報する。
【0047】
研磨パッドの表面性状測定装置30は、図4に示すように、光ファイバー34、偏光子35、NDフィルター36、ミラー37、バンドパスフィルター38などを有することで、より測定精度を向上させたり、設置自由度を高めることも可能である。すなわち、光ファイバー34を用いることで、光源31から出射されたレーザ光を所望の方向に導くことができ、研磨パッドの表面性状測定装置30の光学系の設置自由度を高めることができる。
また、偏光子35によって光源31から出射されたレーザ光をS偏光させた後に研磨パッド2に入射させることで、研磨パッド表面での反射率を高めることができる。さらに、NDフィルター36を用いてレーザ光の光量を減少させて所望の光量に調整した後に、レーザ光を研磨パッド2に入射させることができる。一方、研磨パッド2の表面で反射した反射光の光路にバンドパスフィルター38を設置することで、光源31のレーザ光の波長に対して±5nm以内の反射光だけを通過させるようにしている。本実施形態では、光源31のレーザ光として、波長が635nmのレーザ光を用いている。このように、バンドパスフィルター38を設置することで、光源31のレーザ光の波長に対して±5nm以内の反射光だけを通過させることにより、ノイズとなる周囲の環境光の影響を低減することができるという効果が得られる。
【0048】
図5は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置30の第3の態様を示す模式的正面図である。図5に示すように、研磨パッドの表面性状測定装置30は、レーザ光を出射する光源31と、光源31から出射されたレーザ光を所定の方向に導く投光部32と、研磨パッド2にレーザ光が入射する角度を調整するために投光部32から投光されたレーザ光を反射することにより光路を変更可能なミラー37とを備えている。光源31より出射されたレーザ光は投光部32およびミラー37を介して研磨パッド2の表面に入射する。研磨パッド2の表面で反射した反射光は、バンドパスフィルター38で特定の波長帯のみの透過が許容され、特定の波長帯の反射光が受光部33で受光される。
【0049】
図6は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置30の第4の態様を示す模式的正面図である。図6に示すように、研磨パッドの表面性状測定装置30は、レーザ光を出射する光源31と、光源31から出射されたレーザ光を所定の方向に導く投光部32と、投光部32から投光されたレーザ光の光路に沿って順次配置された偏光子35、NDフィルター(減光フィルター)36、ミラー37とを備えている。ミラー37は、研磨パッド2にレーザ光が入射する角度を調整するために投光部32から投光されたレーザ光を反射することにより光路を変更可能に構成されている。また、研磨パッド2の表面で反射した反射光の光路には、受光部33の手前にバンドパスフィルター38が配置されている。したがって、光源31から出射されたレーザ光は、偏光子35でS偏光された後に、NDフィルター36で光量が調整されて、予めその角度が調整されたミラー37に入射する。そして、レーザ光は、ミラー37で反射して光路が変更され、研磨パッド2の表面に入射する。研磨パッド2の表面で反射した反射光は、バンドパスフィルター38で特定の波長帯のみの透過が許容され、特定の波長帯の反射光が受光部33で受光される。
【0050】
図7は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置30の第5の態様を示す模式的正面図である。図7に示すように、研磨パッドの表面性状測定装置30は、受光部33が固定されており、光源31が揺動可能な可動式になっている。図7に示すように、光源31は、実線で示す第一の位置と二点鎖線で示す第二の位置との間を揺動可能に構成されている。光源31は、レーザ光を照射する前に照射位置を調節し、レーザ光を照射する際には光源31の位置を固定にしてもよい。また、光源31を揺動させながらレーザ光を照射するようにしてもよい。
【0051】
図8は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置30の第6の態様を示す模式的正面図である。図8に示すように、研磨パッドの表面性状測定装置30は、受光部以外は図7に示す研磨パッドの表面性状測定装置30と共通しているので、その共通している部分の説明は省略する。図8に示す態様では、上方位置にある第1受光部33−1と、下方位置にある第2受光部33−2との2つの受光部が設置されている。光源31を揺動させながらレーザ光が研磨パッド2の表面に入射され、研磨パッド2の表面から反射された反射光を2つの受光部33−1,33−2で漏れなく受光させることができる。図示例では受光部は2つであるが、3つ以上の受光部を設けてもよい。
【0052】
図9は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置30の第7の態様を示す模式的正面図である。図9に示すように、研磨パッドの表面性状測定装置30は、光源31と受光部33の構成が図7に示す研磨パッドの表面性状測定装置30と共通しているので、その共通している部分の説明は省略する。第7の態様では、図7の構成に加えて、研磨パッド2の表面から反射した反射光の光路にバンドパスフィルター38を設けている。このように、バンドパスフィルター38を設けることで、特定の波長帯のみの透過が許容され、特定の波長帯の反射光が受光部33で受光される。
【0053】
図10は、図1および図2に示す研磨パッドの表面性状測定装置30の第8の態様を示す模式的正面図である。図10に示すように、研磨パッドの表面性状測定装置30は、光源31の構成が図7に示す研磨パッドの表面性状測定装置30と共通しているので、その共通している部分の説明は省略する。第8の態様では、受光部33は、実線で示す第一の位置と二点鎖線で示す第二の位置との間を揺動可能に構成されている。図10に示すように構成することにより、光源31は、揺動しながらレーザ光を研磨パッド2の表面に照射する。受光部33を揺動可能に構成することにより、研磨パッド2の表面で反射した反射光を、受光部33を揺動させながら受光させることで、もれなく反射光を受光させることができる。また、研磨パッド2の表面に光源31からレーザ光を照射する前に光源31と受光部33の位置をそれぞれ調節させ、研磨パッド2の表面に照射するときは、互いの位置を固定した状態でもよい。
【0054】
次に、上述した研磨パッドの表面性状測定装置30を備えたCMP装置において各種工程(ステップ)を実行するためのプログラムを実行するコンピュータについて説明する。
図11は、CMP装置において各種工程(ステップ)を実行するためのプログラムを実行するコンピュータ90の一例を示す模式図である。図11に示すように、コンピュータ90は、CMP装置において各種工程(ステップ)を実行するためのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶装置91と、各種工程(ステップ)を実行するためのプログラムを処理する演算部92と、各種工程(ステップ)を実行するためのプログラムを実行するために必要な情報を入力するキーボードなどの入力部93とを備えている。演算部92は、CPU(Central Processing Unit)92a、ROM(Read Only Memory)92b、RAM(Random Access Memory)92cなどから構成される。演算部92で演算された結果は、コンピュータ90に備えられた表示部95に表示される。
【0055】
コンピュータ90で実行される、各種工程(ステップ)を実行するためのプログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカードなどのコンピュータ90で読み取り可能な記録媒体から記憶装置91に格納されてもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して記憶装置91に格納されてもよい。
【0056】
次に、CMP装置に各種ステップ(所定の動作)を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体について図12を参照して説明する。
図12のフローチャートに示すように、CMP装置に所定の動作を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、研磨パッドの表面にレーザ光を照射するステップと、研磨パッドからの反射光を受光するステップと、受光した情報を取り込むステップと、前記取り込んだ情報から得られた反射角ごとに反射強度を得るステップと、前記レーザ光を照射するステップと前記受光するステップと前記情報を取り込むステップと前記反射強度を得るステップとを所定時間の間行って反射強度分布を作成するステップ、もしくは前記レーザ光を照射するステップと前記受光するステップと前記情報を取り込むステップと前記反射強度を得るステップとを所定回数繰り返して反射強度分布を作成するステップと、前記反射強度分布をフーリエ変換することで研磨パッド表面の空間波長スペクトルを得るステップと、空間波長スペクトルから数値解析を行うステップと、数値解析から研磨パッドの表面性状を求めるステップとを、コンピュータに実行させるプログラムを記録している。
【0057】
前記記録媒体は、図12の左下側のフローチャートに示すように、前記求めた表面性状値を予め設定しておいたパッド表面性状値と比較するステップと、前記比較した結果からドレッサの状態または研磨パッドの状態の少なくとも一方を表示するステップと、をさらにコンピュータに実行させるプログラムを記録している。
【0058】
前記記録媒体は、前記求めた表面性状値に基づいて、閉ループ制御で研磨パッドのドレッシング条件を決定するステップ、をさらにコンピュータに実行させるプログラムを記録している。
図12の右下側のフローチャートに示すように、前記ドレッシング条件を決定するステップは、前記数値解析から得られた表面性状値の結果と予め定めておいた所望のパッド表面性状値との差異を所望パッド表面性状変化量として求めるステップと、予め求めて記憶した所定の回帰式に前記所望パッド表面性状変化量を代入するステップと、前記代入した結果から最適なドレッシング条件を選択するステップからなる。
【0059】
図12に示す前記記録媒体は、レーザ光を照射するステップの前に、研磨パッドへのレーザ光の入射角を調節するステップを、さらにコンピュータに実行させるプログラムを記録していてもよい。
【0060】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、半導体ウエハ等の基板の研磨に用いられる研磨パッドの表面形状や表面状態などの表面性状を測定する研磨パッドの表面性状測定装置を備えたCMP装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 研磨テーブル
1a テーブル軸
2 研磨パッド
2a 研磨面
10 キャリア
11 シャフト
12 キャリアアーム
20 ドレッシング装置
21 ドレッサーアーム
22 ドレッサー
22a ドレッシング部材
23 ドレッシング制御部
30 研磨パッドの表面性状測定装置
31 光源
32 投光部
33 受光部
33−1 第1受光部
33−2 第2受光部
34 光ファイバー
35 偏光子
36 NDフィルター(減光フィルター)
37 ミラー
38 バンドパスフィルター
40 演算部
41 表示装置
90 コンピュータ
91 記憶装置
92 演算部
92a CPU(Central Processing Unit
92b ROM(Read Only Memory)
92c RAM(Random Access Memory)
93 入力部
95 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12